JP3720460B2 - わさび風味香料組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明はわさび風味香料組成物に係り、その目的は人体に対する安全性が高く、近年の天然志向の強い消費者ニーズに応え、また本来の本わさびの風味を提供できるとともに品質一定の香料組成物にすることができるわさび風味香料組成物に提供にある。
【0002】
【発明の背景】
一般に、本わさび(Wasabi japonica MATSUM)は、日本人の食生活の中では必要不可欠な薬味であるといえる。
その利用は、刺し身、寿司、かまぼこを始めとする多種多様な料理の味としてなじみ深いものであることは周知である。
しかしながら、本わさびは収穫が少なく、栽培は困難で従って流通量も少なく、その結果非常に高価なものであり、一般家庭の食卓で汎用されるものではなかった。
【0003】
【従来の技術】
そこで、この様な高価な本わさびに代えて比較的安価な代替品としてシロガラシ(Brassica alba BOISS)、クロガラシ(Brassica nigra KOCH)等のマスタードから抽出して得られるアリルイソチオシアネートを主成分とする抽出物、或いはホースラディッシュ(Cochlearia Armoracia L)から抽出して得られるアリルイソチオシアネートを主成分とする抽出物更には合成アリルイソチオシアネート等が使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこれら代用の抽出物では、本わさびの風味を満足に再現するには至らない。
そこで、これらに加えて合成した3−ブテニルイソチオシアネートが混合使用される場合もあるが、天然志向の強い現在の消費傾向を満足する物でないため消費者ニーズに充分応えるものではなかった。
この様な事情に照らし、この発明は、天然抽出物であって本来の本わさびの風味が現出でき天然志向の強い消費者ニーズに応えられる優れたわさび風味香料の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を解決せんとしたこの発明者は、本わさびの風味は天然の3−butenyl isothiocyanateの含有によるものであるという実験的知得を得てこの発明に到達したもので、即ち請求項1の記載の発明はセイヨウカラシナ(又は、カラシナ)(Brassicajuncea L.)から得られる抽出物中の精油成分3−butenylisothiocyanateの含有量が8%以上である抽出物を必須成分としてなることを特徴とするわさび風味香料組成物で、請求項2記載の発明はクロガラシ(Brassica nigra KOCH)から得られる抽出物と前記請求項1の抽出物の併用したものを必須成分としてなることを特徴とするわさび風味香料組成物で、請求項3記載の発明はシロガラシ(Brassica alba BOISS)から得られる抽出物と前記請求項1の抽出物の併用したものを必須成分としてなることを特徴とするわさび風味香料組成物である。
【0006】
【発明の構成】
以下、この発明に係るわさび風味香料組成物の構成について詳述する。
天然わさび香料は、クロガラシ(Brassica nigra KOCH)、シロガラシ(Brassica alba BOISS)等のマスタードから水蒸気蒸留して得られたオイルである。
この水蒸気蒸留により得られる、その成分はほどんどがアリルイソチオシアネートである。
この発明者らはこのアリルイソチオシアネートの辛味について鋭意研究したところ、この成分は本わさびの辛みはある程度再現できるが、本来の本わさびの風味には満足なものでは無いことをを見いだした。
この発明者らの実験的知得により、本わさびの風味に重要な成分は3−ブテニルイソチオシアネートだということ、またその成分がセイヨウカラシナ(又は、カラシナ)(Brassica juncea L.)に多量に含むことが解明されこの発明に到達した。
この発明で使用するセイヨウカラシナ(又は、カラシナ)(Brassica
juncea L.)はアブラナ科植物の一種である。
【0007】
本わさびの風味は、3−ブテニルイソチオシアネートが重要な機能をもち、この3−ブテニルイソチオシアネートはセイヨウカラシナ(又は、カラシナ)(Brassica
juncea L.)に多量に含有されている。
この抽出物を天然3−ブテニルイソチオシアネート源として用いる。
【0008】
この発明ではセイヨウカラシナ(又は、カラシナ)(Brassica juncea L.)は全草若しくは、葉、茎、種子などのいずれの部位でも使用でき、全草又は、一部以上の部位からの抽出物を必須成分とする。
このような抽出原料を乾燥、非乾燥状態で必要に応じて細断、粉砕し溶媒、或いは水蒸気蒸留にて抽出する。抽出に用いる、溶媒は、極性溶媒、非極性溶媒、液化又は超臨界二酸化炭素抽出、水蒸気蒸留等いずれの方法でもよく、好ましくは、水蒸気蒸留又は減圧水蒸気蒸留による精油の採取が良い。また水蒸気蒸留にて得た留液を非水溶性の溶液にて抽出、非水溶性の溶媒を留去し、精油を得ることも出来る。
この発明の必須成分であるセイヨウカラシナ(又は、カラシナ)(Brassica juncea L.)の抽出物は、この発明においてはその抽出方法は限定されず、業界における常法が全て制限されることなく採用できる。
【0009】
【実施例】
以下、この発明に係るわさび風味香料組成物を実施例を示すことにより、この発明の効果をより具体的に説明する。
但し、この発明は以下の実施例に何ら限定されない。
【0010】
【実施例1】
セイヨウカラシナ(又は、カラシナ)(Brassica juncea L.)種子1Kgを粉砕、3Kgの精製水(30°C)に2時間浸漬し、その後、水蒸気蒸留にて抽出、留液10Kgを得た。
留液10Kgをヘキサン10Kgで抽出し、静置後ヘキサン層を分取、ヘキサンを留去、抽出物2gを得て実施例1のサンプルとした。
【0011】
【比較例1】
シロガラシ(Brassica alba BOISS )種子1Kgを粉砕、3Kgの精製水(30°C)に2時間浸漬し、その後、水蒸気蒸留にて抽出、留液10Kgを得た。
留液10Kgをヘキサン10Kgで抽出し、静置後ヘキサン層を分取、ヘキサンを留去、抽出物0.9gを得て比較例1のサンプルとした。
【0012】
【比較例2】
クロガラシ(Brassica nigra KOCH)種子1Kgを粉砕、3Kgの精製水(30°C)に2時間浸漬し、その後、水蒸気蒸留にて抽出、留液10Kgを得た。
留液10Kgをヘキサン10Kgで抽出し、静置後ヘキサン層を分取、ヘキサンを留去、抽出物2.3gを得て比較例2のサンプルとした。
【0013】
【比較例3】
本ワサビ(Wasabi japonica MATSUM)根茎1Kgを粉砕、3Kgの精製水(30°C)に2時間浸漬し、その後、水蒸気蒸留にて抽出、留液10Kgを得た。
留液10Kgをヘキサン10Kgで抽出し、静置後ヘキサン層を分取、ヘキサンを留去、抽出物2.1gを得て比較例3のサンプルとした。
【0014】
【試験例1】
前記実施例及び比較例のサンプルについて、ガスクロマトグラフィーにて成分分析を行った。
測定条件
ガスクロマトグラフィー:HP5890A(Hewlett packard社製)
カラム:DBWAX0.25mm*30m
温度:50°C−230°C(3°C/min)
SPLIT RATIO:100:1
DETECTOR:FID
SAMPLE SIZE:0.2μl
【0015】
この結果を次の表1にまとめて示す。
【表1】
この結果から明らかなように本わさびから水蒸気蒸留して得られる精油は、3−ブテニルイソチオシアネート、4−ペンテニルイソチオシアネート及び5−ヘキセニルイソチオシアネートのトータル含有量が9.2%であった。
しかしながら、シロガラシ(Brassica alba)、及びクロガラシ(Brassica nigra KOCH)から水蒸気蒸留して得られる精油は、3−ブテニルイソチオシアネート、4−ペンテニルイソチオシアネート及び5−ヘキセニルイソチオシアネートのトータル含有量がそれぞれ0.6%、0.9%であり、本わさびに比べて非常に少ない。
それに比べて、セイヨウカラシナ(又は、カラシナ)(Brassica juncea L.)から水蒸気蒸留して得られる精油は、3−ブテニルイソチオシアネート、4−ペンテニルイソチオシアネート及び5−ヘキセニルイソチオシアネートのトータル含有量が85.2%であり、3−ブテニルイソチオシアネート含量が非常に高いことが判る。
このことにより、セイヨウカラシナ(又は、カラシナ)(Brassicajuncea L.)から得られる抽出物を天然3−ブテニルイソチオシアネート源としてわさび風味香料組成物とすることにより、本わさびの風味が得られることが判る。
【0016】
【試験例2】
実施例1のサンプル、比較例1−3のサンプルを用いてわさび風味香料を作成、風味テストを行った。
【0017】
【試験方法】
各サンプル0.3gを溶性デンプン100gに混合する。混合したサンプル1gを醤油3gに懸濁させた。
これを試験用サンプルとする。次に試験用サンプルに厚さ約3mmにカットしたかまぼこを浸し、15人のパネラーに試食してもらい、比較例3のサンプルを100点とした場合、実施例1及び試験例1、2は何点か0−100点の範囲で採点してもらった。
尚、パネラーは実施例1、比較例1及び2が何か知らせず、比較例3のみ、本わさび抽出物だと試験前に知らせた。この結果を表2に示す。
【表2】
表2の結果から明らかなように、3−ブテニルイソチオシアネートが本わさびの風味に非常に有効であることが判る。
また3−ブテニルイソチオシアネート含量を本わさびの3−ブテニルイソチオシアネート、4−ペンテニルイソチオシアネート及び5−ヘキセニルイソチオシアネート含量に調節したときのパネラーテストが最高点となったことにより、3−ブテニルイソチオシアネートは、本わさびの風味成分である4−ペンテニルイソチオシアネート、5−ヘキセニルイソチオシアネートの代替品としても有効である。
Claims (3)
- セイヨウカラシナ(又は、カラシナ)(Brassicajuncea L.)から得られる抽出物中の精油成分3−butenylisothiocyanateの含有量が8%以上である抽出物を必須成分としてなることを特徴とするわさび風味香料組成物。
- クロガラシ(Brassica nigra KOCH)から得られる抽出物と前記請求項1の抽出物の併用したものを必須成分としてなることを特徴とするわさび風味香料組成物。
- シロガラシ(Brassica alba BOISS)から得られる抽出物と前記請求項1の抽出物の併用したものを必須成分としてなることを特徴とするわさび風味香料組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16380296A JP3720460B2 (ja) | 1996-06-03 | 1996-06-03 | わさび風味香料組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16380296A JP3720460B2 (ja) | 1996-06-03 | 1996-06-03 | わさび風味香料組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09324191A JPH09324191A (ja) | 1997-12-16 |
JP3720460B2 true JP3720460B2 (ja) | 2005-11-30 |
Family
ID=15780989
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP16380296A Expired - Lifetime JP3720460B2 (ja) | 1996-06-03 | 1996-06-03 | わさび風味香料組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
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Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP5155817B2 (ja) * | 2007-10-26 | 2013-03-06 | 株式会社カネカ | 氷結晶化阻害剤及びその利用 |
-
1996
- 1996-06-03 JP JP16380296A patent/JP3720460B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09324191A (ja) | 1997-12-16 |
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