JP3720447B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機等の画像形成装置における定着装置として、熱ローラ方式のものが知られている。このものは、所定の温度に加熱された加熱ローラに、弾性層を有する加圧ローラを圧接して両ローラ間に定着ニップ部を形成し、表面に未定着トナー像を担持した紙等の記録材を、この定着ニップ部にて挟持搬送しつつ、加熱加圧してトナー像を定着するものである。熱ローラ方式以外の接触加熱方式の定着装置としては、フラッシュ加熱方式、オーブン加熱方式、熱板加熱方式等の種々のものがあり、また実現されている。
【0003】
近時では、さらに、固定支持された加熱体と、この加熱体に対向圧接しつつ搬送される耐熱フィルム(定着フィルム)と、定着フィルムを介して記録材を加熱体に密着させる加圧部材(加圧ローラ)とを備え、加熱体の熱を定着フィルムを介して間接的に記録材へ付与することで表面に担持されている未定着トナー像を加熱定着させる方式、いわゆるフィルム加熱方式も提案されている。
【0004】
このフィルム加熱方式の定着装置においては、加熱体として低熱容量の加熱体を用いることができるため、従来の接触加熱方式のものに比べて、省電力化及びウェイトタイムの短縮化を図ることができる等の利点がある。
【0005】
図2に、フィルム加熱方式の定着装置を用いた画像形成装置の1例として、レーザービームプリンタの概略断面を示す。同図において、1は像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という)である。感光ドラム1は、アルミニウム製の円筒状のドラム基体の表面に、OPC(有機光半導体)等の感光層を設けた構成であり、駆動手段(不図示)によって矢印R1方向に所定のプロセススピードで回転駆動されている。2は一次帯電ローラ(帯電部材)であり、この一次帯電ローラ2によって一様に帯電された感光ドラム1は画像信号に対応して変調されたレーザービーム3の照射を受けてその表面に静電潜像が形成される。
【0006】
感光ドラム1上の静電潜像は現像装置4による現像工程によってトナーが付着されトナー像として顕像化(現像)される。その後、トナー像は、転写ローラ5によって紙等の記録材Pに転写される。転写ローラ5は、矢印R1方向の回転する感光ドラム1表面に圧接駆動されて、転写ニップ部を形成する。感光ドラム1上のトナー像に同期するようにして転写ニップ部N1 に搬送された記録材Pは、転写ニップ部N1 によって挟持搬送されながら、転写電圧が印加された転写ローラ5によって記録材P表面に転写される。このとき、転写ローラ5には、2μA相当の電流が流れるような電圧であって、トナーの帯電極性と逆極性のDC電圧が印加される。
【0007】
トナー像転写後の記録材Pは、ガイド部材7に沿って定着装置6に導かれ、定着装置6の定着ニップ部N2 において加熱加圧を受けて、表面の未定着トナー像が定着された後、ハードコピーとして装置本体外部に排出される。一方、トナー像転写後の感光ドラム1は、記録材Pに転写されずに表面に残った転写残トナーがクリーニング装置8によって除去された後、一次帯電工程から始まる次の画像形成プロセスに供される。
【0008】
次に、図3を参照して、上述の定着装置6、すなわちフィルム加熱方式の定着装置6について説明する。
【0009】
11は薄肉の耐熱性の無端状(エンドレス)の定着フィルムであり、この定着フィルム11の内側には一定温調されるヒータ(加熱部材)12が固定配置され、また外側にはこのヒータ12に定着フィルム11を密着させる加圧ローラ13が回転自在に配置されていて、定着フィルム11と加圧ローラ13との間に定着ニップ部N2 を形成している。ヒータ12は定着フィルム11のガイドとしても作用するステー15によって支持される。加圧ローラ13は、画像形成装置本体の駆動ギヤ(不図示)によって回転駆動され、定着フィルム11は加圧ローラ13によって駆動され、同図時計回り方向に周回する。すなわち、定着フィルム11は少なくともトナー像の定着実行時には、定着ニップ部N2 に搬送導入される記録材Pと順方向に略同一速度で周回移動されるとともに、ヒータ12と加圧ローラ13とによる加圧加熱によって記録材P上のトナー像にエネルギーを付与し、このトナー像を軟化・溶融せしめて記録材P上に定着させる。定着ニップ部N2 を通過してトナー像が定着された記録材Pは、画像形成装置本体外部に排出される。なお、ヒータ12の背面には、ヒータの温度を検知する温度検知センサ14が配設されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような、加圧ローラ13によって定着フィルム11を駆動し、記録材Pを搬送するタイプのフィルム加熱方式の定着装置は、加圧ローラ13の温度によって記録材Pの搬送速度が変化するという欠点がある。これは、加圧ローラ13は、通常、一定回転で駆動されている(角速度が一定)のに対して、その外径が、ゴム層の熱膨張に伴い、次第に大きくなるため周速が増すことが原因である。すなわち、加圧ローラ13が高温の時は低温の時よりも記録材Pの搬送速度が速くなる。この場合の搬送速度は、感光ドラム1の周速よりも速くなるため、転写ニップ部N1 と定着ニップ部N2 との間の距離が、記録材Pの搬送方向長さよりも短い装置構成では、転写ニップ部N1 に後端側を挟まれた記録材Pは、その先端側が定着ニップ部N2 によって引っ張られることになる。
【0011】
このような場合、記録材P上に転写されるトナー像は、感光ドラム1上にあったものよりも当然、搬送方向に長く伸びることになるが、これ以外にも、記録材Pのおける感光ドラム1からの分離ポイントが変化するという問題も生じる。
【0012】
図2に示したレーザービームプリンタを例にこれを説明する。
【0013】
プリント(画像形成)開始1枚目等で、まだ加圧ローラ13の温度が低いときはローラ外径も通常と変わらないため、定着装置6が記録材Pを引っ張ることはない。このときの記録材Pの搬送状態を図4(a)に示す。記録材Pは転写ニップ部N1 と定着ニップ部N2 との間で余裕をもって若干、弛みがちで搬送される。感光ドラム1に対する記録材Pの分離方向は斜め下方となり、また、分離ポイントDは転写ニップ部N1 に近い位置となる。ここから数枚の連続プリントにより、加圧ローラ13の温度が上昇すると、ローラのゴム層が熱膨張し、ローラ外径が大きくなる。すると、記録材Pは定着ニップ部N2 に引っ張られるため、転写ニップ部N1 と定着ニップ部N2 との間でテンションがかかって引っ張った状態になる。この場合の記録材Pの搬送状態は図4(b)のようになり、感光ドラム1に対する記録材Pの分離方向はほぼ横方向となり、また、分離ポイントDは、上述の図4(a)の場合よりも転写ニップ部N1 から遠い位置となる。
【0014】
ところで、感光ドラム1に対する記録材Pの分離ポイントDは、記録材Pの背面電荷の量に大きく影響を与えることが従来より知られている。反転現像の場合、すなわち、感光ドラム1を例えばマイナスに帯電し、像露光して画像部分の電荷を除去し、画像部分にネガトナーを付着させて現像を行った場合、転写時には、転写ローラ5にプラスの転写電圧を印加することになり、分離ポイントDが転写ニップ部N1 に近いとプラス電荷の量が少ない、又は感光ドラム1からのマイナス電荷の放電が転写ローラ5からの放電よりも勝るため、記録材Pの電位はマイナスになることもある。
【0015】
また、分離ポイントDが転写ニップ部N1 から遠いと、記録材Pのプラス電荷の量が多くなるが、これが多過ぎると記録材P上のトナーをプラスに帯電させ、このプラス電荷とトナーとが互いに反発して、トナーを感光ドラム1に戻してしまういわゆる再転写現象が起きやすくなる。このため、通常、分離ポイントDは最もバランスの取れた位置に設定されているが、上述のような、定着装置6の状態によって分離ポイントDが変化する装置構成においては、安定した転写画像を得ることは困難である。特に、前述の従来例では、記録材Pは、その先端部が定着ニップ部N2 に突入後はほぼ横方向の分離になるため、ベタ黒画像、高密度のハーフトーン等をプリントすると記録材Pの後端側で再転写による濃度低下(以降「転写抜け」という)が発生していた。
【0016】
従来の熱ローラ方式の定着装置等の場合、スタンバイ状態においてあらかじめ一定の温度に制御されており、このときの温度と画像形成時の温度との差は少ないため、加圧ローラ13の熱膨張差も少なかった。また、フィルム加熱方式の定着装置6においても、あらかじめ一定の温度に制御していれば、熱膨張差も少なくなる。しかしながら、フィルム定着装置6の利点である、昇温が速く、またあらかじめスタンバイ時に加熱しておくいわゆる予熱の必要がないという特性を十分に活かすためには常時の通電は好ましくない。
【0017】
また、転写ニップ部N1 と定着ニップ部N2 との間の距離を長くして、記録材Pが転写ニップ部N1 と定着ニップ部N2 とによって同時に挟持される状態をなくせば、加圧ローラ13の熱膨張差に起因する記録材Pの搬送速度差の影響を受けなくすることが可能である。しかし、こうすると画像形成装置が大型化され、また近年の情報出力装置としてのプリンタや複写機等の電子写真装置に対する要求である、ファーストプリントタイムを短くするということに反することとなり、好ましくない。
【0018】
そこで、本発明は、トナー像転写後の記録材における被帯電体からの分離ポイントが変化することに基づく転写不良を防止するようにした画像形成装置、特にフィルム加熱方式の帯電装置を備えた画像形成装置においては、予熱の必要がなく昇温が速いという利点を損なうことなく上述の転写不良を防止するようにした画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は、表面に所定極性のトナー像が形成される像担持体に転写部材を接触させて転写ニップ部を形成し、該転写ニップ部にて記録材を挟持搬送するとともに、前記転写部材に前記トナー像と逆極性の転写バイアスを印加することで前記像担持体表面のトナー像を前記記録材に転写する転写手段を備えた画像形成装置において、前記転写部材に転写バイアスを印加する電圧印加手段と、該電圧印加手段が印加する転写バイアスを変更する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記分離手段による分離ポイントの変化に基づいて、前記電圧印加手段が前記転写部材に印加する転写バイアスを変更する、ことを特徴とする。
【0020】
請求項2に係る本発明は、記録材に転写されたトナー像を定着ニップ部にて挟持搬送しながら加熱加圧して定着する定着手段を備え、前記記録材の搬送方向に沿っての前記転写ニップ部と前記定着ニップ部との間の距離を、常用する規格サイズの記録材の搬送方向長さよりも短く設定し、前記制御装置は、前記定着ニップ部に対する前記記録材の先端部の突入の前後で、前記電圧印加手段が前記転写部材に印加する転写バイアスを変更する、ことを特徴とする。
【0021】
請求項3に係る本発明は、前記定着手段が、耐熱性の定着フィルムと、該定着フィルムを加熱する加熱部材と、該加熱部材に前記定着フィルムを密着させるとともに該定着フィルムとの間に定着ニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記定着にニップ部にて前記記録材を挟持搬送しながら加熱加圧する、ことを特徴とする。
【0022】
請求項4に係る本発明は、前記加圧部材が、芯金と該芯金の表面を円筒状に囲繞する弾性体とを有する加圧ローラである、ことを特徴とする。
【0023】
請求項5に係る本発明は、前記加圧ローラの外径を検知する検知手段を有し、前記制御手段は、該検知手段が検知する前記加圧ローラの外径に応じて、前記転写バイアスの変更の要不要を決定する、ことを特徴とする。
【0024】
請求項6に係る本発明では、前記制御手段は、前記加熱体の温度を制御するとともに、該制御温度に応じて、前記転写バイアスの変更の要不要を決定する、ことを特徴とする。
【0025】
請求項7に係る本発明は、前記記録材の通紙枚数を検知する検知手段を有し、前記制御手段は、該検知手段が検知する記録材の通紙枚数に応じて、前記転写バイアスの変更の要不要を決定する、ことを特徴とする。
【0026】
〔作用〕
以上構成に基づき、定着ニップ部に対する記録材の突入による分離ポイントの変化に応じて転写バイアスを変更することにより、記録材に付与する転写電荷を常に最適な量にコントロールし、良好な転写性を維持することが可能になる。
【0027】
また、加圧ローラ13の熱膨張による外径変化を検知したり、加熱体の制御温度によりあらかじめ加圧ローラの外径変化を予測したり、通紙枚数から加圧ローラ13の膨張量を予測したりして、これらに応じて、定着ニップ部に対する記録材の突入前後の転写バイアスを変更することで、転写電界についてのより細かい制御を行うことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
〈実施の形態1〉
本実施の形態では、フィルム加熱方式の定着装置を用いたレーザービームプリンタ(画像形成装置)において、記録材の先端側が定着ニップ部へ突入した後の転写電圧を、突入前の転写電圧よりも低く制御することを特徴とするものである。
【0029】
本実施の形態で用いたレーザービームプリンタ(画像形成装置)の概略構成は、図2に示すものとほぼ同様であり、同じ部分の説明は省略するものとし、さらに具体的な構成について説明を加えると、感光ドラム1(像担持体)は直径24mmのOPC感光体であり、転写ローラ(転写部材)5は直径16mm、抵抗値1.0×109 Ωであり、感光ドラム1、転写ローラ5の双方ともプロセススピードと同じ周速36mm/sec で回転駆動される。転写ローラ5には、これに転写バイアスを印加する電源(電圧印加手段)21と、電源21を制御して転写バイアスを変更する制御装置20が接続されている。これら転写ローラ5と電源21とによって転写手段を構成している。
【0030】
定着装置(定着手段)6は、直径30mm、厚さ50μmの耐熱性の定着フィルム11を直径20mmの加圧ローラ(加圧部材)13で周回駆動する。通常時の加圧ローラ13の周速は36.4mm/sec と、36mm/sec のプロセススピードよりも若干速く設定している。すなわち、本実施の形態1の構成では、加圧ローラ13温度にかかわらず最初から定着ニップ部N2 によって記録材Pを引っ張るようにしているため、加圧ローラ13の温度の違いによるローラ径の変化は、感光ドラム1からの記録材Pの分離に対してさほど影響を与えない。その代り、必ずプリント1枚目から、記録材P先端部の定着ニップ部に対する突入前後で分離ポイントDが変化するようになっている。転写ニップ部N1 と定着ニップ部N2 との間の距離は、70mmに設定してあり、したがって、例えば、搬送方向長さが297mmのA4サイズの記録材Pならば、トナー像の転写時間のうちほぼ76%(={(297−70)/297}×100%)以上の時間が定着ニップ部N2 によって引っ張られることになる。
【0031】
画像形成装置1の基本的な動作は従来例と同様であるため重複説明は省略する。
【0032】
上述の構成において本実施の形態では記録材Pの定着ニップ部N2 への突入タイミングに合わせて、制御装置20によって電源21を制御し、転写ローラ5に印加する転写バイアスを突入前よりも低い電圧に切り換えて制御する。
【0033】
このような制御は、記録材Pの定着ニップ部N2 への突入に伴い、記録材Pの感光ドラム1からの分離ポイントDが図4(a)の位置から同図(b)の位置に移って、転写ニップ部N1 から遠ざかり、転写性が変化することに対応するために行うものである。本出願人らの検討によると、本実施の形態に用いた画像形成装置1において、定着ニップ部N2 に記録材Pが突入した後の分離ポイントDが、転写ニップ部N1 に近い位置から転写ニップ部から遠い位置に移動した場合、記録材Pの定着ニップ部N2 に対する突入前と同様の転写性を得るには突入前よりも約500Vだけ転写ローラ5に印加する転写電圧を下げればよいことがわかった。
【0034】
図1に、この転写電圧の切換えのタイミングを模式的に示す。なお、同図の横軸は時間であり、また縦軸は転写ローラ5に印加する転写電圧である。
【0035】
同図中の(A)領域は、前回転が終了した後の、記録材Pの先端部が定着ニップ部N2 に突入する前の領域を示し、VA はそのときに転写ローラ5に印加する転写電圧である。次に、(B)領域では記録材Pの先端部が定着ニップ部N2 に突入した後の領域で、VB はそのときに転写ローラ5に印加する転写電圧である。本実施の形態1においては、(A)領域は約1.94sec 、(B)領域はA4の記録材Pの場合で約6.25sec 、また、転写電圧の差、つまりVA −VB は、約500Vということになる。
【0036】
記録材P先端部の定着ニップ部N2 に対する突入のタイミングは、転写ニップ部N1 への突入前に紙検知センサ等で記録材Pの先端を検知し、そこから定着ニップ部N2 までの距離と、そのときの記録材Pの搬送速度とから計算によって求めることができる。あるいは転写ニップ部N1 と定着ニップ部2 との間に配置したセンサによって、記録材Pの先端部を検知し、これによって突入タイミングを予測するときはさらに精度よく切換えタイミングを予測することができる。さらには、記録材Pの搬送方向についての定着ニップ部N2 のすぐ下流側に排紙センサを設け、この排紙センサが記録材Pの先端部を検知したときに、これにタイミングを合わせるようにして転写電圧の切換えを行うこともできる。ただし、この場合には、記録材Pの先端部が定着ニップ部N2 に突入した時間との間にわずかに時間差が生じることになるが、実際には突入直後には記録材Pはまださほど強く引っ張られていないため、分離ポイントDの変化も少なく、したがって、上述のように、排紙センサが記録材Pの先端部を検知したときに、転写電圧を切り換えるようにしてもほとんど問題はない。以上のように、記録材Pを検知するセンサと、定着ニップ部N2 までの距離とそのときの記録材Pの搬送速度からタイミングを算出する手段等によって、分離ポイントが変化したことを検知するようにしている。
【0037】
もし仮に、上述の画像形成装置を使用して、感光ドラム1に対する記録材Pの分離ポイントDが変化した場合であっても、従来のように、転写ローラ5に対して一定の転写電圧を印加し続けた場合には、記録材Pの後端側の領域で転写抜けが発生する。この転写抜けが発生する領域は、記録材Pが例えばA4の記録材である場合は、後端側の227mm(=297mm−70mm)の領域で転写抜けの発生が見られる。
【0038】
これに対して、本実施の形態のように、分離ポイントDの変化に対応させて、転写ローラ5に印加する転写電圧を切り換えることにすると、記録材P上の転写後のトナー像全体について、転写抜けや画像むらのない良好なトナー像を得ることができる。
【0039】
なお、上述の本実施の形態では、記録材P先端部の定着ニップ部N2 への突入に応じて、転写バイアスを一気に500V低下させたが、実際の搬送では記録材Pは定着ニップ部N2 に突入してから徐々に張力が増加されることになるので、これに合わせて転写バイアスを徐々に下げるようにしてもよい。
【0040】
また、本実施の形態では、転写電圧を下げる場合についてのみ説明したが、画像形成装置の構成によっては、定着ニップ部N2 に対する記録材P先端部の突入後に、分離ポイントDが転写ニップ部N1 に近くなる場合も十分に考えられる。この場合には、もちろん、突入後に転写電圧を上げるようにする。
〈実施の形態2〉
本実施の形態2では、実施の形態1と同様の画像形成装置1を用いるが、低温時の加圧ローラ13の周速を35.8mm/sec と、36mmのプロセススピードよりも若干遅くし、この加圧ローラ13の外径を測定し、これに応じて、記録材Pの定着ニップ部N2 への突入後の転写電圧制御を変化させるようにしている。
【0041】
加圧ローラ13は、一般に、図3に示すように、金属等の芯金13aの表面を、円筒状に成型したシリコーンゴム等によって囲繞することで構成しており、、温度によってシリコーンゴムの部分が膨張して外径が変化する性質がある。本実施の形態ではこの外径変化をセンサで検知するが、このセンサにはレーザードップラー方式のものや、アクチュエータで変化を測定する方式のものが用いられる。
【0042】
最初、加圧ローラ13の温度が低く、その周速がプロセススピードより遅い場合には、記録材Pは、転写ニップ部N1 による搬送速度の方が、定着ニップ部N2 による搬送速度よりも速いため、転写ニップ部N1 と定着ニップ部N2 との間で弛みがちとなる。このときは、転写ローラ5に印加する転写電圧は、記録材P先端部の定着ニップ部N2 に対する突入の有無(前記)にかかわらず、記録材Pの通紙中一定の値で制御する。
【0043】
プリントを続行すると、加圧ローラ13の温度は上昇し、加圧ローラ13の周速がプロセススピードより速くなる外径にまで加圧ローラ13は膨張し、定着ニップ部N2 によって記録材Pを引っ張るようになる。本実施の形態でいえば、低温時のローラ直径20mmに対して約20.11mm以上に膨張した場合である。この加圧ローラ13の外径がある値にまで膨張したことが検知されると定着ニップ部N2 に対する記録材P先端部の突入前後で転写電圧を切り換えるように、画像形成装置のモード設定がなされている。転写電圧の切換え制御は、前述の実施の形態1と同様である。このモードへの移行を判断するローラ径は画像形成装置の構成によって異なるが、本実施の形態では加圧ローラ13の外径が20.15mmになったことが検知された場合に移行する。加圧ローラ13の外径の測定は常時行っても、あるいは紙間等、限定されたタイミングでのみ行ってもよい。また、上記の転写切換えモード移行へのタイミングとしては画像形成時よりも紙間の方が好ましく、当然、記録材Pが転写ニップ部N1 と定着ニップ部N2 との双方によって同時に搬送されている間は行うべきではない。
【0044】
以上のように、加圧ローラ13外径を測定してそれに応じて記録材Pの突入後に印加する転写電圧の制御を変化させれば、実施の形態1と同様か、それ以上に最適な転写電圧制御を行うことが可能となる。
【0045】
なお、本実施の形態では、イニシャルの加圧ローラ13周速をプロセススピードより遅くしたが等速以上にすることもできる。
〈実施の形態3〉
本実施の形態は、加圧ローラ13の熱膨張による外径の変化を定着装置6の制御温度から予測し、これに応じて記録材Pの定着ニップ部N2 への突入後の転写電圧制御を変化させる。本実施の形態で用いる画像形成装置の基本的な構成は、加圧ローラ13外径の検知機構がないことを除いて実施の形態2と同様である。
【0046】
フィルム加熱方式の定着装置6では、定着ニップ部N2 内の温度を一定にするために、連続通紙等により加圧ローラ13の温度が上昇するのに伴い、ヒータの制御温度を低い温度に切り換えていくのが一般的である。ヒータの温度切換え制御は、記録材Pの通紙枚数によって制御温度を決めるものや、記録材Pの通紙毎にヒータ、もしくは加圧ローラ13の温度を検知して制御温度を決めるタイプ等、いろいろあるが、いずれの場合でもこの制御の目的から明らかなようにヒータの制御温度は加圧ローラ13温度との間に相関がある。ここで、加圧ローラ13温度と外径との関係は、図5のように示せることから、当然制御温度によって加圧ローラ13外径を類推することは可能である。
【0047】
本実施の形態の定着装置6は180℃、170℃、160℃、150℃の4段階の制御温度を持ち、cold startから連続通紙で180℃が1〜3枚目、170℃が4〜6枚目、160℃が7〜16枚目、150℃が17枚目以降である。本実施の形態では、ヒータの制御温度が高い場合は加圧ローラ13の温度が低いため、熱膨張も少ないと判断し、転写電圧は記録材Pの先端部から後端部まで一定にする。具体的には制御温度が180℃、170℃、160℃のときである。
【0048】
ヒータの制御温度が低い場合は加圧ローラ13の温度も高く熱膨張が大きい状態であるため、記録材Pの突入前後で、転写電圧を切り換えるモードに移行する。
【0049】
本実施の形態ではヒータの制御温度が150℃温調に切り換わるタイミングで上述のモードに移行する。
【0050】
これにより実施の形態1、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
〈実施の形態4〉
実施の形態3ではヒータの制御温度に応じて転写電圧制御のモードを切り換えていたが、本実施の形態では記録材Pの通紙枚数に応じて切り換える。
【0051】
制御温度のみにタイミングを合わせた場合、モード切換えのできるタイミングが限定されるため、必ずしも最適なタイミングで切換えができなくなる可能性がある。
【0052】
例えば、実施の形態3の構成の装置では、実際はcold statから通紙15枚目で切り換えるのが最適だとしても、150℃温調に入る17枚目しかモード切換えのチャンスはない。
【0053】
したがって、本実施の形態ではcold startからそのまま15枚目をカウントして切り換える、あるいはやはり定着温調制御と連動させて温調が160℃に入ってから9枚目で切り換える等、枚数と制御温度とを組み合わせる制御を行う。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、定着ニップ部に対する記録材の先端部の突入前と突入後とで、転写時の記録材Pに付与する転写バイアスを変更することにより、分離ポイントの変化による像担持体上のトナー像の転写性の低下を防止し、記録材Pの全面にわたって濃度ムラのない良好な画像を得ることが可能になった。
【0055】
なお、本発明は、定着手段として耐熱性の定着フィルムを使用するフィルム加熱方式の定着手段に適用した場合に、特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の転写電圧印加のタイミングチャート。
【図2】画像形成装置の概略構成を示す縦断面図。
【図3】フィルム加熱方式の定着装置の構成を示す縦断面図。
【図4】(a)は、記録材の搬送速度が、転写ニップ部と定着ニップ部とで同じ場合の記録材の搬送状態を示す図。(b)は、記録材の搬送速度が、転写ニップ部出よりも定着ニップ部での方が速い場合の記録材の搬送状態を示す図。
【図5】加圧ローラ温度と加圧ローラ外径(径変化)との関係を示す図。
【符号の説明】
1 像担持体(感光ドラム1)
2 帯電部材(一次帯電ローラ)
3 レーザービーム
4 現像装置
5 転写部材(転写ローラ)
6 定着手段(定着装置)
7 ガイド部材
8 クリーニング装置
11 定着フィルム
12 加熱部材(ヒータ)
13 加圧部材(加圧ローラ)
13a 芯金
13b 弾性体
14 温度検知センサ
15 ステー
20 制御手段
21 電圧印加手段(電源)
D 分離ポイント
N1 転写ニップ部
N2 定着ニップ部
P 記録材
Claims (7)
- 表面に所定極性のトナー像が形成される像担持体に転写部材を接触させて転写ニップ部を形成し、該転写ニップ部にて記録材を挟持搬送するとともに、前記転写部材に前記トナー像と逆極性の転写バイアスを印加することで前記像担持体表面のトナー像を前記記録材に転写する転写手段を備えた画像形成装置において、
前記転写部材に転写バイアスを印加する電圧印加手段と、
該電圧印加手段が印加する転写バイアスを変更する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記分離手段による分離ポイントの変化に基づいて、前記電圧印加手段が前記転写部材に印加する転写バイアスを変更する、
ことを特徴とする画像形成装置。 - 記録材に転写されたトナー像を定着ニップ部にて挟持搬送しながら加熱加圧して定着する定着手段を備え、
前記記録材の搬送方向に沿っての前記転写ニップ部と前記定着ニップ部との間の距離を、常用する規格サイズの記録材の搬送方向長さよりも短く設定し、
前記制御装置は、前記定着ニップ部に対する前記記録材の先端部の突入の前後で、前記電圧印加手段が前記転写部材に印加する転写バイアスを変更する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。 - 前記定着手段が、
耐熱性の定着フィルムと、
該定着フィルムを加熱する加熱部材と、
該加熱部材に前記定着フィルムを密着させるとともに該定着フィルムとの間に定着ニップ部を形成する加圧部材と、を有し、
前記定着にニップ部にて前記記録材を挟持搬送しながら加熱加圧する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。 - 前記加圧部材が、芯金と該芯金の表面を円筒状に囲繞する弾性体とを有する加圧ローラである、
ことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。 - 前記加圧ローラの外径を検知する検知手段を有し、
前記制御手段は、該検知手段が検知する前記加圧ローラの外径に応じて、前記転写バイアスの変更の要不要を決定する、
ことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。 - 前記制御手段は、前記加熱体の温度を制御するとともに、該制御温度に応じて、前記転写バイアスの変更の要不要を決定する、
ことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。 - 前記記録材の通紙枚数を検知する検知手段を有し、
前記制御手段は、該検知手段が検知する記録材の通紙枚数に応じて、前記転写バイアスの変更の要不要を決定する、
ことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
Priority Applications (1)
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JP04377096A JP3720447B2 (ja) | 1996-02-29 | 1996-02-29 | 画像形成装置 |
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JP04377096A JP3720447B2 (ja) | 1996-02-29 | 1996-02-29 | 画像形成装置 |
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JPH09236996A JPH09236996A (ja) | 1997-09-09 |
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JP04377096A Expired - Lifetime JP3720447B2 (ja) | 1996-02-29 | 1996-02-29 | 画像形成装置 |
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JP (1) | JP3720447B2 (ja) |
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JP2001100586A (ja) * | 1999-09-30 | 2001-04-13 | Canon Inc | 画像形成装置 |
-
1996
- 1996-02-29 JP JP04377096A patent/JP3720447B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH09236996A (ja) | 1997-09-09 |
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