JP3720310B2 - 内燃機関の点火制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、同一気筒に対して1燃焼サイクルに複数回点火するようにした内燃機関の点火制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関において同一気筒に対して1燃焼サイクルに複数回の点火、いわゆる多重点火を行う技術としては、特開平7−103123号公報記載のものが知られている。この従来技術においては、最小点火進角に基づいて設定された点火時期に通常の点火を行うと共に、それに続いて複数回点火を行って着火率を増加させて内燃機関の始動時の着火性の向上などを図っている。
【0003】
さらに、上記した従来技術においては、後続する複数回の点火の通電時間を通常の点火のそれよりも短くすることで、通電時間の長大化を抑えて点火系部品の信頼性を確保するように構成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術にあっては通常の点火に続いて連続的に点火して始動時の混合気の着火性を向上させているが、それとは別に、内燃機関は始動された後、アイドル時など低回転、低負荷にあっては空燃比が理論空燃比よりリーン側に設定されるリーンバーン制御が良く行われる。
【0005】
そのようなアイドル時を含む低回転、低負荷のリーンバーン制御領域においては、燃焼特性が必ずしも良好ではなく、よって燃費性能の面でも十分に満足し難いと共に、出力トルク特性の点でも不満が残るものであった。
【0006】
しかしながら、前記した従来技術は連続点火を行うことで内燃機関の始動時の着火性を向上させる技術を提案するに止まり、アイドル時を含む低回転、低負荷のリーンバーン制御領域での燃焼特性の改善を解決するものではなかった。
【0007】
従ってこの発明の目的は、上記した課題を解決し、アイドル時を含む低回転、低負荷のリーンバーン制御領域における燃焼特性を改善し、よって燃費性能および出力トルク特性を向上させるようにした内燃機関の点火制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため、この発明は請求項1項において、同一気筒に対して2個の点火プラグを備えると共に、1燃焼サイクルに複数回点火するように制御する内燃機関の点火制御装置において、前記2個の点火プラグを介して前記複数回の点火の中の1回を、前記内燃機関の出力トルクが最大となる最小点火進角に基づいて得た第1の点火時期で実行する第1の点火実行手段、および前記2個の点火プラグを介して前記複数回の点火の中の少なくとも他の1回を、前記第1の点火時期よりもクランク角度において先行する第2の点火時期で実行する第2の点火実行手段を備える如く構成した。
【0009】
2個の点火プラグを介して複数回の点火の中の1回を、内燃機関の出力トルクが最大となる最小点火進角に基づいて得た第1の点火時期で実行し、2個の点火プラグを介して少なくとも他の1回を第1の点火時期よりもクランク角度において先行する第2の点火時期で実行する如く構成したので、第1の点火時期で実行される本来的な点火の前に、第2の点火時期で実行される点火を行うこととなって、混合気の活性化を促進することができ、それによって本来の点火時の燃焼期間を短縮することができ、着火性を向上させることができて燃焼特性を改善することができる。また、混合気の活性化の促進によって筒内圧力や等容度を向上させることができ、出力トルク特性を向上させることができる。
【0010】
請求項2項においては、前記第2の点火実行手段は、前記内燃機関の燃焼室の混合気を着火しないように前記少なくとも他の1回の点火を実行する如く構成した。
【0011】
燃焼室の混合気を着火しないように他の1回の点火を実行する如く構成したので、第1の点火時期で実行される本来的な点火の前に、混合気の活性化を一層良く促進することができ、それによって本来の点火時の燃焼期間を短縮することができ、着火性を向上させることができて燃焼特性を改善することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に即してこの発明の一つの実施の形態に係る内燃機関の点火制御装置を説明する。
【0013】
図1は、その実施の形態に係る内燃機関の点火制御装置を全体的に示す概略図である。尚、図1において内燃機関を透視的に示す。
【0014】
同図において、符合10はOHC型の内燃機関(以下[エンジン」という)を示す。エンジン10は直列配置された第1気筒から第4気筒までの4個の気筒(シリンダ)12を備える(図1には1個の気筒のみ示す)。エンジン10においてエアクリーナ(図示せず)から吸引された空気はスロットルボディ14の内部に収容されたスロットルバルブ(図示せず)で調量されつつインテークマニホルド16を流れ、吸気ポート20に達する。
【0015】
吸気ポート20の付近には燃料噴射弁(インジェクタ)22が配置され、開弁されるとき、図示しない燃料パイプを通じて圧送された燃料(ガソリン)を噴射する。噴射された燃料は吸引された空気と混合し、よって形成された混合気は吸気弁24が開弁するとき、燃焼室26に流入する。
【0016】
図2はエンジン10のシリンダヘッド付近の拡大説明斜視図であるが、図示の如く、エンジン10は吸気ポート20に近い位置に吸気側の点火プラグ30iを備えると共に、排気ポート32に近い位置に排気側の点火プラグ30eを備え、よって計2個の点火プラグを備えてエンジン10がリーンバーン制御されるときも十分な点火性能(着火性能)を得るように構成される。
【0017】
尚、この実施の形態においては、後述するように、点火は通常の点火(以下「本点火」という)とそれに先行するクランク角度で行われる点火(以下「プレ点火」という)の2回(換言すれば複数回)が行われるが、吸気側の点火プラグ30iも排気側の点火プラグ30eも同時に本点火とプレ点火を行う。
【0018】
図1の説明に戻ると、燃焼室26内の混合気は2個の点火プラグ30i,30eで同時に点火され、本点火によって着火されて燃焼し、ピストン34を図で下方に駆動する。ピストン34の駆動はクランクシャフト36によって回転運動に変換されて出力される。
【0019】
クランクシャフト36の回転はギヤ機構を介してカムシャフト40に伝えられ、カムシャフト40をクランクシャフトの1/2の回転で回転させる。カムシャフト40は動弁機構を介して吸気弁24と排気弁42(図2にのみ示す)を開閉する。混合気の燃焼によって生じた排出ガスは、排気弁42が開弁するとき、エキゾーストマニホルド44およびエキゾーストパイプ46を介してエンジン10の外部に放出される。
【0020】
クランクシャフト36の付近にはクランク角センサ50が配置され、クランク角度720度ごとに気筒判別信号を、4気筒のTDC付近の所定クランク角度でTDC信号を、TDC信号間を細分した15度などの所定クランク角度ごとにクランク角度信号を出力する。
【0021】
スロットルボディ14の下流でインテークマニホルド16の上流の適宜位置には絶対圧センサ52が配置され、エンジン負荷を示す吸気管内絶対圧PBAに応じた信号を出力すると共に、スロットルボディ14の内部に収容されたスロットルバルブの付近にはスロットル開度センサ54が配置され、スロットルバルブの位置(スロットル開度)THに応じた信号を出力する。
【0022】
また、シリンダの冷却水通路56には水温センサ60が配置されて冷却水温TWに応じた信号を出力すると共に、シリンダの適宜位置にはノックセンサ62が配置され、燃焼室26の振動を通じてノックの有無と強度を示す信号を出力する。さらに、エキゾーストパイプには広域空燃比センサ64が配置され、排出ガス中の酸素濃度に応じた値を出力する。
【0023】
他方、エンジン10が搭載された車両(図示せず)のエンジンルームの適宜位置にはECU(電子制御ユニット)70が配置される。ECU70はマイクロコンピュータからなり、CPU,ROM,RAM,入出力回路およびカウンタなど(全て図示せず)を備える。上記したセンサ群の出力は、ECU70に送られる。ECU70はクランク角センサ50から出力されたクランク角度信号をカウントしてエンジン回転数NEを検出する。その他のセンサ出力は、適宜な処理を経てRAMに格納される。
【0024】
図3はECU70の入出力を示すブロック図である。前記したセンサ群はECU70の入力側に接続されると共に、前記した吸、排気側の点火プラグ30i,30eは、点火装置72i,72eを介してECU70の出力側に接続される。点火装置72i,72eは同一構成であって、それぞれ一次コイル、二次コイルおよび一次コイルへのバッテリ(図示せず)からの通電・遮断を行うイグナイタなどからなる。
【0025】
この実施の形態においては点火系はディストリビュータを有しない、ディストリビュータレスであって、点火装置72i,72eは、図1に(排気側のみ)示すように、点火プラグ30i,30eの上部に収納される。
【0026】
また、燃料噴射弁22も駆動回路74を介してECU70の出力側に接続される。ECU70はセンサ出力に基づいて燃料噴射量および噴射時期を決定し、駆動回路74を介して燃料噴射弁22を開弁駆動する。
【0027】
図4は、この実施の形態に係る内燃機関の点火制御装置の動作を示すフロー・チャートである。尚、図示のプログラムは、前記したTDC信号で起動される。
【0028】
以下説明すると、S10で検出されたエンジン回転数NE、吸気管内絶対圧PBA、スロットル開度TH、エンジン冷却水温TWなどを読み込み、S12に進んで検出されたエンジン回転数NEが所定エンジン回転数NEL(例えば2500rpm)以下か否か判断し、肯定されるときはS14に進み、検出された吸気管内絶対圧PBAが所定吸気管内絶対圧PBAL(例えば負圧でいえば−367mmHg相当値)以下か判断する。
【0029】
S14でも肯定されるときはS16に進み、エンジン回転数NEが比較的低く、エンジン負荷(吸気管内絶対圧PBA)も比較的低い、低回転、低負荷のリーンバーン制御領域にあると判断し、検出されたエンジン回転数NEと吸気管内絶対圧PBAとから適宜設定されたマップを検索し、前記したプレ点火の点火時期と通電時間を決定する。
【0030】
プレ点火の点火時期は、例えばBTDC(上死点前)90度(degree)から50度の間に決定されると共に、その通電時間は例えば1.4msecから2.0msecの間に決定される。より具体的には、通電時間は、1.4msecから2.0msecの間においてエンジン回転数NEと吸気管内絶対圧PBAが低いほど長くなるように決定される。尚、後で述べるように、通電時間が最大値2.0msecであっても、プレ点火においては混合気が着火しないように設定される。
【0031】
尚、このリーンバーン制御領域にあっては、空燃比は理論空燃比に比してリーン側の値(例えば16.0:1から24.0:1)に制御される。スロットル開度が全閉(あるいはその付近)となってエンジン回転数NEが700rpm程度に低下するアイドル時も、このリーンバーン制御領域に含まれる。S12あるいはS14で否定されるときはS16の処理をスキップする。
【0032】
次いでS18に進み、検出されたエンジン回転数NEおよび吸気管内絶対圧PBAなどから本点火の点火時期と通電時間を算出する。
【0033】
ここで、本点火とは燃焼室26の混合気を着火して燃焼させるために行われる通常の点火を意味し、その点火時期は、エンジンの出力トルクが最大となる最小点火進角(Minimum Advance for Best Torque)となるように実験を通じてマップとして設定され、エンジン回転数NEと吸気管内絶対圧PBAから検索して得られる基本点火時期を、冷却水温TWおよびノックの有無ならびに強度などから進遅角補正して得た点火時期、いわゆる通常の点火時期(エンジンの出力トルクが最大となる最小点火進角に基づいて得た第1の点火時期)を意味する。
【0034】
本点火の点火時期は、例えば、アイドル時にあってはBTDC10度から20度に、それ以外のリーンバーン制御領域にあってはBTDC20度から40度に決定される。また、アイドル時を含むリーンバーン制御領域にないときは、例えばBTDC50度からATDC15度の間に決定される。
【0035】
また、通電時間は、本点火の点火エネルギを確保するのに必要な一次コイルに通電すべき時間を意味し、同様にエンジン回転数NEおよび吸気管内絶対圧PBAからマップ検索して決定される。通電時間は、具体的には2.3msec以上の値に決定される。
【0036】
尚、エンジン10の点火(燃焼)順を第1,第3,第4,第2気筒の順とするとき、S16およびS18で算出される点火時期と通電時間は、図4フロー・チャートが起動されるTDC信号に相当する気筒の次の気筒(点火順において)用の値である。
【0037】
図5は同様にこの実施の形態に係る内燃機関の点火制御装置の動作を示すフロー・チャートで、図4フロー・チャートの処理で決定された点火時期などに基づく通電処理などの具体的な動作を示すフロー・チャートである。尚、図示のプログラムは、BTDCの所定のクランク角度で起動される。
【0038】
図5の説明に入る前に、図6タイム・チャートを参照してこの実施の形態に係る点火制御を概説すると、エンジン10は同一気筒(例えば第1気筒)に対して1燃焼サイクル(吸入、圧縮、爆発、排気の4行程に相当)に複数回(2回)点火され、その複数回(2回)の1回を前記した本点火の点火時期(第1の点火時期)で実行すると共に、その複数回の点火の中の少なくとも他の1回、より正確には2回の中の他の1回を、本点火の点火時期(第1の点火時期)よりもクランク角度において先行する第2の点火時期、例えばBTDC90度から50度で実行するようにした。この第2の点火時期による点火を、前記したように「プレ点火」という。
【0039】
以下、図6タイム・チャートを参照して図5フロー・チャートの処理を説明すると、先ずS100でプレ点火の通電開始時期が到来したか否か判断し、否定されるときは以降の処理をスキップすると共に、肯定されるときはS102に進み、吸、排気側の点火プラグ30i,30eの点火装置72i,72eの一次コイルのそれぞれに通電を開始する。
【0040】
次いでS104に進んでプレ点火の点火時期が到来したか否か判断し、否定されるときは同様に以降の処理をスキップすると共に、肯定されるときはS106に進み、一次コイルへの通電を遮断して点火(放電)を行う。尚、前記したようにプレ点火の通電時間が最大値(2.0msec)に決定されても、混合気が着火しない(換言すれば火炎核が形成されない)ように構成される。
【0041】
次いで、S108に進んで本点火の通電開始時期が到来したか否か判断する。この場合、本点火の電に備えて点火の電時間を2.0msec以上確保することとする。従って、本点火の点火時期が進角補正されるなどしてプレ点火と本点火が接近して2.0msecの本点火の通電時間が確保できないときは、図6に想像線で示す如く、決定されたプレ点火の通電時間を減少させて点火時期を早めることとする。
【0042】
S108で否定されるときは同様に以降の処理をスキップすると共に、肯定されるときはS110に進み、吸、排気側の点火プラグ30i,30eの点火装置72i,72eの一次コイルのそれぞれに通電を開始する。次いでS112に進み、本点火の点火時期の到来を確認してS114に進み、一次コイルへの通電を遮断して点火(放電)を行う。この本点火によって燃焼室26の混合気は着火されて燃焼する。
【0043】
図7から図10は、この実施の形態に係るプレ点火を実機に適用したときの実験結果を示すデータ図である(図7から図9においてこの実施の形態に係るプレ点火を実行しない場合を白丸で示す)。
【0044】
実機としては排気量660ccの火花点火式内燃エンジンを用いた。また、運転条件は、エンジン回転数1500rpm、負荷1.9ps(−340mmHg)、空燃比22:1であった。
【0045】
図7と図8から明らかなように、この実施の形態に係るプレ点火を行った場合、行わなかった場合に比し、筒内圧力最大値Pmaxと等容度が共に向上した。この筒内圧力最大値Pmaxの向上は、進角によるものではなく、燃焼効率の改善によるものと考えられる。その結果、図9に示すように、BSFC(Brake
Specific Fuel Consumption)も平均して約1%の改善が見られた。
【0046】
尚、ここで「等容度」は、図11に示すように、指圧図において、(実際のサイクルの燃焼開始から終了までの面積(斜線で示す)/理想的なサイクルの面積(破線で囲まれた面積)×100[%]を意味する。
【0047】
さらに、図10に示すように、総燃焼期間がクランク角度において平均して6度短縮された。主として初期燃焼期間(点火(IG)から10%MBF(Mass
Burned Fraction )の短縮が顕著であり、着火性の改善が認められた。
【0048】
この実施の形態に係るプレ点火によって燃焼特性が改善された理由は、以下のように考えられる。即ち、通常の1回の点火(本点火)しか行わない場合、プラグ電極間の火花放電によって放電路中の混合気が活性化して化学反応し、その化学反応と電熱との複合現象により火炎核が形成され、火炎核の成長に伴って燃焼が進行する。
【0049】
他方、この実施の形態に係るプレ点火を行う場合、プレ点火に起因するプラグ電極間の火花放電によって放電路中の混合気が活性化して化学反応する。次いで、本点火によってプラグ電極間の火花放電を発生することで、その活性化と化学反応がさらに促進される。そして促進された化学反応と電熱との複合現象により火炎核が形成されて火炎核の成長に伴って燃焼が進行する。
【0050】
このように、プレ点火によって活性化が促進されることで、燃焼特性が改善されるものと考えられる。具体的には、本点火の前に、火炎核が形成されない程度の火花を放電することで、混合気に電界を与え、それによって混合気の活性化が促進されるものと考えられる。この活性化の促進によって本点火時の着火性の改善(初期燃焼期間の短縮)および筒内圧力最大値ならびに等容度の向上につながるものと思われる。
【0051】
この実施の形態に係る点火制御においては上記の如く、着火しない程度のプレ点火を実行した後、本点火を実行するように構成したので、アイドル時を含む低回転、低負荷のリーンバーン制御領域における燃焼特性を改善し、よって燃費性能および出力トルク特性を向上させることができる。
【0052】
さらに、減速時の燃料供給停止(フューエルカット)から燃料供給を再開するときの負荷条件を低負荷側に設定することができ、燃費性能を向上させることができる。
【0053】
さらに、吸気側と排気側に2個の点火プラグ30i,30eを備えるようにしたので、エンジン10がリーンバーン制御されるときも、十分な点火性能と着火性能を得ることができる。
【0054】
この実施の形態は上記の如く、同一気筒12に対して(吸入、圧縮、爆発、排気の4行程からなる)1燃焼サイクルに複数回(具体的には2回)点火する内燃機関(エンジン10)の点火制御装置において、前記複数回の点火の中の1回(本点火)を、前記内燃機関の出力トルクが最大となる最小点火進角に基づいて得た第1の点火時期で実行する第1の点火実行手段(S108からS114)、および前記複数回の点火の中の少なくとも他の1回(プレ点火)を、前記第1の点火時期よりもクランク角度において(上死点前側に)先行する第2の点火時期で実行する第2の点火実行手段(S100からS106)を備えるように構成した。
【0055】
また、前記第2の点火実行手段は、前記内燃機関の燃焼室26の混合気を着火しないように前記少なくとも他の1回の点火を実行する如く構成した。
【0056】
尚、この発明の実施の形態を同一気筒に対して1燃焼サイクルに2回点火するエンジンを例にとって説明したが、それに限られるものではなく、3回以上点火するエンジンにも同様に妥当する。
【0057】
また、この発明の実施の形態を1個の気筒に2個の点火プラグを備えるエンジンを例にとって説明したが、それに限られるものではなく、1個の気筒に1個の点火プラグのみ備えるエンジンにも同様に妥当する。
【0058】
さらに、1個の気筒に2個の点火プラグを備えるエンジンを例にとって説明すると共に、その2個の点火プラグでの点火(本点火とプレ点火)を同時に行うようにしたが、2個の点火プラグでの点火を適宜な位相差をもって時間的にずらせるようにしても良い。
【0059】
【発明の効果】
請求項1項にあっては、2個の点火プラグを介して複数回の点火の中の1回を、内燃機関の出力トルクが最大となる最小点火進角に基づいて得た第1の点火時期で実行し、2個の点火プラグを介して少なくとも他の1回を第1の点火時期よりもクランク角度において先行する第2の点火時期で実行する如く構成したので、第1の点火時期で実行される本来的な点火の前に、第2の点火時期で実行される点火を行うこととなり、混合気の活性化を促進することができ、それによって本来の点火時の燃焼期間を短縮することができ、着火性を向上させることができて燃焼特性を改善することができる。また、混合気の活性化の促進によって筒内圧力や等容度を向上させることができ、出力トルク特性を向上させることができる。
【0060】
請求項2項においては、燃焼室の混合気を着火しないように他の1回の点火を実行する如く構成したので、第1の点火時期で実行される本来的な点火の前に、混合気の活性化を一層良く促進することができ、それによって本来の点火時の燃焼期間を短縮することができ、着火性を向上させることができて燃焼特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一つの実施の形態に係る内燃機関の点火制御装置を全体的に示す概略図である。
【図2】図1に示すエンジンのシリンダへッド付近の拡大説明斜視図である。
【図3】図1に示す装置の中のECUの入出力を示すブロック図である。
【図4】図1に示す内燃機関の点火制御装置の動作を示すフロー・チャートである。
【図5】同様に、図1に示す内燃機関の点火制御装置の動作を示すフロー・チャートである。
【図6】図4および図5に示す内燃機関の点火制御装置の動作を示すタイム・チャートである。
【図7】図4および図5に示す装置の動作に基づくプレ点火を実機に適用したときの実験結果を示すデータ図である。
【図8】同様に図4および図5に示す装置の動作に基づくプレ点火を実機に適用したときの実験結果を示すデータ図である。
【図9】同様に図4および図5に示す装置の動作に基づくプレ点火を実機に適用したときの実験結果を示すデータ図である。
【図10】同様に図4および図5に示す装置の動作に基づくプレ点火を実機に適用したときの実験結果を示すデータ図である。
【図11】図8に示す等容度の定義を示す説明図である。
【符号の説明】
10 内燃機関(エンジン)
12 気筒
26 燃焼室
30 点火プラグ
50 クランク角センサ
52 絶対圧センサ
70 ECU(電子制御ユニット)
72 点火装置

Claims (2)

  1. 同一気筒に対して2個の点火プラグを備えると共に、1燃焼サイクルに複数回点火するように制御する内燃機関の点火制御装置において、
    a.前記2個の点火プラグを介して前記複数回の点火の中の1回を、前記内燃機関の出力トルクが最大となる最小点火進角に基づいて得た第1の点火時期で実行する第1の点火実行手段、および
    b.前記2個の点火プラグを介して前記複数回の点火の中の少なくとも他の1回を、前記第1の点火時期よりもクランク角度において先行する第2の点火時期で実行する第2の点火実行手段、
    を備えることを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  2. 前記第2の点火実行手段は、前記内燃機関の燃焼室の混合気を着火しないように前記少なくとも他の1回の点火を実行することを特徴とする請求項1項記載の内燃機関の点火制御装置。
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