JP3719786B2 - 光検出器の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光を検出して電気信号に変換して画像信号を得る光検出器に関し、特に、薄膜トランジスタを用いた光検出器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療分野において、治療を迅速に行う目的で、患者の医療データをデータベース化する方向に進んでいる。これは、患者は複数の医療機関を利用することが一般的であり、このような場合、診察を受けた全ての医療機関のデータが無いと適格な治療行為が行えない可能性があるためである。例えば診察を受けた全ての医療機関で投与された薬剤を考慮した上で適切な治療及び診断を行うことが必要となる場合がある。
【0003】
また、医用画像診断装置、例えばX線撮像装置により得られた画像データについても、画像データを共有するためにデータベース化の必要があり、画像データのディジタル化が望まれている。X線撮像装置では、従来、銀塩フィルムを使用して撮影してきたが、これをディジタル化するためには撮影したフィルムを現像した後、再度スキャナ等で走査する必要があり、手間と時間が掛かっていた。最近は1インチ程度のCCDカメラを使用し、直接画像をディジタル化する方式が実現されている。しかし、例えば肺の撮影をする場合、40(cm)×40(cm)程度の領域を撮影するため、光を集光するための光学装置が必要であり、装置の大型化が問題となっている。
【0004】
これらの問題を解決する方式としてアモルファスシリコン薄膜トランジスタ(a−SiTFT)による光検出器を用いたX線撮像装置が提案されている。このX線撮像装置を図11を用いて説明する。
【0005】
図11に示すように従来のX線撮像装置110は、a−SiTFT111、光電変換膜113および画素容量115とから成る複数の画素e1,1 ,e1,2 …を有している。この画素e1,1 ,e1,2 …は、縦横に数百個から数千個整列配置されたアレイ状(TFTアレイ)になっている。光電変換膜113には、電源117によってバイアス電圧が印加される。a−SiTFT111は、信号線S1と走査線G1に接続しており、走査線駆動回路119aによってオン・オフが制御される。信号線S1の終端は切り換えスイッチ121を通して信号検出用の増幅器123に接続されている。この切り換えスイッチ121は信号線駆動回路19bによってオン・オフが制御される。
【0006】
このX線撮像装置110の画素e1,1 ,e1,2 …に光が入射すると光電変換膜111に電流が流れ、画素容量113に電荷が蓄積される。走査線駆動回路119aでa−SiTFT111を制御し1つの走査線G1に接続されている全てのa−SiTFT111をオンにすると、画素容量113に蓄積された電荷は信号線S1を通って増幅器123側に転送される。切り換えスイッチ121で1画素毎に電荷を増幅器123に入力し、CRT等に表示できるような点順次信号に変換する。このとき画素e1,1 ,e1,2 …に入射する光量によって電荷量が異なり、増幅器123の出力振幅は変化する。
【0007】
図11に示す例では増幅器123の出力信号をアナログ/ディジタル変換することで、直接ディジタル画像にすることができる。さらに、図11中の画素領域はノート型パーソナルコンピュータに使用されているTFT−LCD(薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)と同様な構造であり、薄型、大型画面のものが容易に製造可能である。
【0008】
但し、TFTは、a−Si層に光が入射するとゲートOFF時の抵抗が減少し、ソースからドレインへのリーク電流を生じるという問題がある。このため、TFT−LCDでは、TFT部のa−Si層に対して、遮光膜が何らかの形で取り入れられている。
【0009】
この問題に対して、TFTアレイ利用の医用X線診断装置のX線撮像装置では、図12(L.E.Antonuk,Med.Phys.19(5),1455(1922) )、図13(L.E.Antonuk,SPIE 1651,Medical Imaging IV:Instrumentation 94(1992) )に示すような遮光法が考えられている。
【0010】
図12に示す例では、光電変換膜を画素毎に区切り、隙間をポリイミドでほぼ平坦にし、その上にメタルをスパッタしてパターニングを行い、各画素にバイアスを供給するためのメタル層を形成している。このメタル層が遮光膜を兼ねている。
【0011】
図12に示すように光電変換膜を画素毎に区切った場合のX線撮像装置130は、メタルをガラス基板上にスパッタ法により堆積させた後、所定の領域をケミカルドライエッチング(CDE)することにより得られた走査線及びゲート131と、ゲート131及び前記ガラス基板上にプラズマCVD(chemical vapor deposition )法により堆積させたシリコンナイトライド133と、シリコンナイトライド133上にプラズマCVD法により堆積させた真性のi−a−Si135と、i−a−Si135上の所定領域にプラズマCVD法により堆積させたエッチングストッパーとしてのシリコンナイトライド137と、i−a−Si135上に、プラズマCVD法により堆積させたn+ a−Si139と、(シリコンナイトライド137と)n+ a−Si139上の所定領域にスパッタ法によりAlを堆積させることにより形成したドレイン及びソース141と、ソース141上にプラズマCVD法により堆積させたn+ a−Si143と、n+ a−Si143上にプラズマCVD法により堆積させたi−a−Si145と、i−a−Si145上にプラズマCVD法により堆積させたp+ a−Si147と、光電変換膜の上層電極としてのITO149と、ドレイン及びソース141とシリコンナイトライド137上に堆積させたパッシベーション(膜)としてのポリイミド151と、ポリイミド151上にスパッタ法により設けられ、各画素にバイアス電圧を印加するためと遮光膜としてのメタル層153と、メタル層153とITO149上に堆積させたポリイミド155と、X線を光学信号に変換するX線変換層157とを有している。尚、ここではX線変換層157を設けてX線撮像装置130としているが、これを設けなければ光検出器となる。
【0012】
このX線撮像装置130のように光電変換膜を画素毎に区切った場合には、平坦な画素電極部分のみに光電変換膜を構成するn+ a−Si143と、i−a−Si145と、p+ a−Si147とが存在している。
【0013】
また、X線撮像装置130では、ゲート131と、シリコンナイトライド133と、i−a−Si135と、シリコンナイトライド137と、n+ a−Si139と、ドレイン及びソース141とによりTFTを形成し、n+ a−Si143と、a−Si145と、p+ a−Si147と、ITO149とにより光電変換膜を構成している。
【0014】
また、図13に示す例では、図12の場合と異なり、光電変換膜を画素毎に区切っていないが、シリコンナイトライド等によるTFTアレイの平坦化を行っているため、下層画素電極をTFT上に持ってくることができている。つまり、画素電極が遮光膜を兼ねている。
【0015】
図13に示すように光電変換膜を画素毎に区切らない場合の光検出器170は、メタルをガラス基板上にスパッタ法により堆積させた後、所定の領域をエッチングすることにより得られた走査線及びゲート171と、ゲート171及び前記ガラス基板上にプラズマCVD法により堆積させたシリコンナイトライド173と、シリコンナイトライド173上にプラズマCVD法により堆積させた真性のi−a−Si175と、i−a−Si175上の所定領域にプラズマCVD法により堆積させたエッチングストッパーとしてのシリコンナイトライド177と、i−a−Si175上にプラズマCVD法により堆積させたn+ a−Si179と、(シリコンナイトライド177と)n+ a−Si179上の所定領域にスパッタ法により堆積させたドレイン、ソース、信号線及び電源供給線としてのAl181(ドレイン)、183(ソース)と、n+ a−Si179とAl181,183上にプラズマCVD法により堆積させた平坦性を得るための絶縁膜185と、絶縁膜185上に設けられ、ソース183と電気的に接続されている画素電極187と、画素電極187上に設けられ、光学信号を電気信号に変換する光電変換膜189と、光電変換膜189の上層電極としてのITO(透明電極)191とを有している。
【0016】
この光検出器170では、ゲート171と、シリコンナイトライド173と、i−a−Si175と、シリコンナイトライド177と、n+ a−Si179と、ドレイン181及びソース183とによりTFTを形成している。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光電変換膜を画素毎に区切った場合のX線撮像装置(図12)では、ポリイミドを使っての平坦化や各画素にバイアス電圧を印加するための遮光膜としてのメタル層を必要とするので製作コストが上がるという問題がある。
【0018】
また、光電変換膜を画素毎に区切らない場合の撮像装置(図13)では、ポリイミドを厚く堆積させてTFTアレイを平坦にするため、画素電極とソースとのスルーホールが深くなり、コンタクトが取りずらく、歩留りが低下するという問題が生じる。また、メタル等をTFT上に持ってくることによってバックゲート効果が起きるが、このメタルの電位によってバックゲート効果が異なってくる。これを考えると図13に示した例の場合、メタルが画素電極であるため、各画素で電位が異なり、それによって起こるバックゲート効果が各画素で異なってしまい、TFTが正常にスイッチングしなくなる可能性がある。さらに、TFTに光が入射すると正常にスイッチングしなくなる可能性があるため、遮光膜を設けているが、遮光膜を形成するにあたり、遮光のみを目的として遮光膜を製作すると製作プロセス、即ち、成膜やパターニングの工程が増加するため、製造コストの増加等の問題が生じる。
【0019】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、製造工程を増やすこと無く遮光膜を取り入れることができ、さらに、バックゲート効果を均一もしくは無くすことができる光検出器を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ソース、ドレイン、信号線及び電源供給線が形成されたTFTアレイ上にSiNxを堆積して第1のパッシベーションを形成する工程と、光電変換膜用の画素電極と前記ソースとのコンタクト部、遮光膜と前記電源供給線とのコンタクト部及び引き出し線のパット部のSiNxをエッチング除去する工程と、電極となり得る物質を堆積し、前記画素電極及び前記遮光膜をパターニングし、エッチングを行う工程と、SiNxを堆積し、第2のパッシベーションを形成する工程と、光電変換膜となり得る物質を堆積する工程と、光電変換膜の上層電極を形成する工程とを有することを特徴とすることを要旨とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る光検出器の第1実施形態を示した断面図である。
図1に示すように、第1実施形態の光検出器1A-1は、ガラス基板3上の所定領域にゲート電極、走査線、画素の補助容量用下層電極を形成するために堆積させたMoW5と、MoW5及びガラス基板3上に堆積させたSiOx 7と、SiOx 7上の所定領域に堆積させたa−Si9と、a−Si9上の所定領域に堆積させたエッチングストッパーとしてのSiNx 11と、SiNx 11上とSiNx 11の堆積された領域を除くa−Si9上に堆積させたn+ a−Si13と、SiOx 7上の所定領域に堆積させた画素補助容量用上層電極としてのITO17と、n+ a−Si13上とSiOx 7上の所定領域とITO17上の所定領域に堆積させたドレイン、ソース、データ線及び電源供給線としてのMo19とAl21と、SiNx 11上の所定領域とAl21上の所定領域とITO17上の所定領域に堆積させたSiNx (パッシベーション)23と、Al21上の所定領域とSiNx 23上の所定領域に堆積させた光電変換膜用の下層画素電極、遮光膜としてのTi25と、Ti25上の所定領域に堆積させたSiNx 27と、Ti25上の所定領域に堆積させたi−a−SiC29と、i−a−SiC29上の所定領域に堆積させたi−a−Si31と、i−a−Si31上に堆積させたp−a−SiC33と、p−a−SiC33上に堆積させた光電変換膜用の上層電極としてのITO35とを有する。
【0025】
この光検出器1A-1では、MoW5と、SiOx 7と、a−Si9と、SiNx 11と、n+ a−Si13と、Mo19と、Al21と、SiNx 23と、Ti25と、SiNx 27とによりTFTが構成され、Ti25と、i−a−SiC29と、i−a−Si31と、p−a−SiC33と、ITO35とにより光電変換膜が構成されている。
【0026】
特に、光検出器1A-1では、光電変換膜の下層画素電極としてのTi25と同一の材料で、TFTの上に遮光膜としてのTi25を堆積させている。また、光検出器1A-1では、遮光膜としてのTi25に一定電位を供給するようにしている。これにより、バックゲート効果を均一にする。
【0027】
次に、第1実施形態の光検出器1A-1の製造方法を説明する。
まず、アンダーコート済みのガラス基板3上にMoW5を 2,200(10-10 m;オングストローム)スパッタにより堆積し、CDEによりテーパ・エッチングを行い、ゲート電極、走査線、画素の補助用下層電極を形成した。次いで、プラズマCVDによりSiOx 7を 3,500(10-10 m)、a−Si9を500 (10-10 m)、SiNx 11を 3,000(10-10 m)堆積し、SiNx 11をパターニングしてTFTのエッチングストッパーを形成した。
【0028】
次いで、n+ a−Si13を500 (10-10 m)、Mo19を500 (10-10 m)堆積した後、Mo19、n+ a−Si13、a−Si9を順番にCDEを行い、TFTの基幹部を形成した。
【0029】
次いで、ITO17を 1,000(10-10 m)スパッタにより堆積し、エッチングすることにより画素の補助容量用上層電極を形成した。次いで、コンタクトホール(SiOx 7)を開口した後に、Mo19を全てエッチング除去し、その後さらにソース、ドレイン、信号線、電源供給線を形成するためにMo19を700 (10-10 m)、Al21を 3,500(10-10 m)連続スパッタにより堆積した後、Al21とMo19をエッチングし、さらに、n+ a−Si13をRIE(リアクティブイオンエッチング)することによりチャンネル部を形成し、逆スタガ型TFTのアレイを完成させた。
【0030】
次いで、SiNx 23を厚さ 1,000〜20,000(10-10 m)、好ましくは2,000 〜 6,000(10-10 m)、最適な厚さ 4,000(10-10 m)プラズマCVDにより堆積してパッシベーションを形成した。そして、例としてTFTアレイ上に積層する光電変換膜用の下層画素電極とソースのコンタクト部、遮光膜と電源供給線のコンタクト部及び引き出し線等のパット部のSiNx 23をエッチング除去した。
【0031】
次いで、電極となる得る物質、例えばTi25を厚さ500 〜10,000(10-10 m)、好ましくは 1,000〜 3,000(10-10 m)、最適な厚さ 2,000(10-10 m)スパッタにより堆積し、光電変換膜用の下層画素電極と、逆スタガ型TFTの遮光膜をパターニングし、エッチングを行った。このときTi25の厚さについては、下限は遮光膜として使用するため、Tiの可視光線の透過光量に基づいて決定した。さらに、Ti25が図6(a)に示す厚さに比べ、図6(b)に示すように厚くなった場合、SiNx 27を通過してしまうリーク電流が増加する。このため、上限は前記リーク電流の最大許容値から決定した。
【0032】
次いで、SiNx 27を 2,000(10-10 m)プラズマCVDで堆積し、逆スタガ型TFT上に第2のパッシベーションとなるようにパターニングした。次いで、光電変換膜としてi−a−SiC29+i−a−Si31+p−a−SiC33をプラズマCVDでそれぞれ200 (10-10 m)、1.0 〜3.0 (μm)の内最適な厚さ 1.8(μm)、 200(10-10 m)形成し、さらに、光電変換膜の上層電極としてのITO35を350 (10-10 m)スパッタにより堆積した。その後、ITO35のTFT周辺の段差部をエッチング除去し、次いでp−a−SiC33+i−a−Si31+i−a−SiC29も同様にエッチングすることによって第1実施形態の光検出器1A-1を形成した。
【0033】
この後、X線を検出できるようにするため、最上層に、X線を光学信号に変換する蛍光体を設けるようにすればX線撮像装置に適用することができる。
【0034】
次に、この第1実施形態における更なる例を上げる。
第1実施形態の光検出器1A-1では、パッシベーションとしてのSiNx 23を、TFTアレイ上に積層される光電変換膜用の下層画素電極としてのTi25とTFTのソースとのコンタクト部、および、遮光膜としてのTi25と電圧供給線とのコンタクト部についてエッチング除去したが、これは、光電変換膜の下地が平坦な方が光電変換膜として良い性能を示すことから、比較的滑らかな面を構成するITO17においても、その少しある凹凸を相殺するために、ITO17上にSiNx 23を堆積させたのであって、このSiNx 23は、画素電極部分には必ずしも必要としない。このため、図2に示す光検出器1A-2のように、画素電極部分にはSiNx 23を堆積させない構成としても良い。
【0035】
また、光検出器1A-1では、TFTアレイの画素の補助容量用上層電極をITO17、光電変換膜の下層画素電極をTi25でそれぞれ形成したが、電極となり得る単一の物質、例えばTiで形成するようにしても良い。このとき、図3に示す光検出器1A-3のようにTFTアレイの画素の補助容量用上層電極と光電変換膜用の下層画素電極をTiを用いて別々に形成するようにしても良い。また、TFTアレイの画素の補助容量用上層電極と光電変換膜用の下層画素電極を1層のみ、即ち、図4に示す光検出器1A-4に示すように、光電変換膜用の下層画素電極で、TFTアレイの画素の補助容量用上層電極をまかなうようにしても良い。この場合、TFTアレイの画素の補助容量用上層電極の形成を行わない分、製造コストを削減できる。
このように、第1実施形態では、光電変換膜の下層画素電極と同一工程で、この画素電極とは別に遮光膜を堆積させているので、製造工程を増やすこと無く遮光膜を取り入れることができる。さらに、この遮光膜全てについて一定電位を供給するようにしているので、バックゲート効果を均一にすることができる。また、この遮光膜は光電変換膜のエッチング時のエッチングストッパーとなるので、光電変換膜をエッチングする際のエッチングストッパーを特に設ける必要が無く、この点でも製造工程の増加が無いため、従来のX線検出器に比べて、製造コストを下げることができる。
【0036】
図5は本発明に係る光検出器の第2実施形態を示した断面図である。尚、図1に示した第1実施形態の光検出器1A-1と同一部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略した。
【0037】
図5に示すように、第2実施形態の光検出器1B-1では、下地に段差があることによって性能が下がる部分(TFT部分)の光電変換膜を、段差部分のITO35とp−a−SiC33を除去することにより、光電変換膜として使用できないようにしている。
【0038】
次に、第2実施形態の光検出器1B-1の製造方法を説明する。
逆スタガ型TFTアレイの形成、および、パッシベーション形成までは第1実施形態と同様である。
【0039】
次いで、電極となり得る物質、例えばTi25を、厚さ100 〜10,000(10-10 m)、好ましくは100 〜 3,000(10-10 m)、最適な厚さ 2,000(10-10 m)スパッタにより堆積し、光電変換膜用の下層電極としてパターニングし、エッチングを行った。
【0040】
このTi25の厚さについては、Ti25を電極として使うので下限は抵抗値から決定した。また、Ti25が図6(a)に示す厚さに比べ、図6(b)に示すように厚くなった場合、SiNx 27を通過してしまうリーク電流が増加する。このため、上限は前記リーク電流の最大許容値から決定した。
【0041】
次いで、光電変換膜としてi−a−SiC29+i−a−Si31+p−a−SiC33をプラズマCVDでそれぞれ200 (10-10 m)、1.0 〜3.0 (μm)の内最適な厚さ 1.8(μm)、 200(10-10 m)形成し、さらに、光電変換膜の上層電極としてのITO35を 350(10-10 m)スパッタにより堆積した。その後、ITO35のTFT周辺の段差部をエッチング除去し、次いでp−a−SiC33も同様にエッチングすることによって第2実施形態の光検出器1B-1を形成した。
【0042】
この光検出器1B-1においては、下地に段差があることによって性能が下がる部分(TFT部分)の光電変換膜を、段差部分のITO35とp−a−SiC33を除去することにより、光電変換膜として使用できないようにし、これにより、ほぼ1.8(μm)残っているi−a−SiC29+i−a−Si31層が、TFTの遮光膜となるため、TFTの光によるリーク電流の増加を防ぐことができる。
【0043】
次に、この第2実施形態における更なる例を上げる。
第2実施形態の光検出器1B-1でも、パッシベーションとしてのSiNx 23を、TFTアレイ上に積層される光電変換膜用の下層画素電極としてのTi25とTFTのソースとのコンタクト部、および、遮光膜としてのTi25と電圧供給線とのコンタクト部についてエッチング除去したが、これは、光電変換膜の下地が平坦な方が光電変換膜として良い性能を示すことから、比較的滑らかな面を構成するITO17においても、その少しある凹凸を相殺するために、ITO17上にSiNx 23を堆積させたのであって、このSiNx 23は、画素電極部分には必ずしも必要としない。このため、図7に示す光検出器1B-2のように、画素電極部分にはSiNx 23を堆積させない構成としても良い。
【0044】
また、光検出器1B-1でも、TFTアレイの画素の補助容量用上層電極をITO17、光電変換膜の下層画素電極をTi25でそれぞれ形成したが、電極となり得る単一の物質、例えばTiで形成するようにしても良い。このとき、図8に示す光検出器1B-3のようにTFTアレイの画素の補助容量用上層電極と光電変換膜用の下層画素電極をTiを用いて別々に形成するようにしても良い。また、TFTアレイの画素の補助容量用上層電極と光電変換膜用の下層画素電極を1層のみ、即ち、図9に示す光検出器1B-4に示すように、光電変換膜用の下層画素電極で、TFTアレイの画素の補助容量用上層電極をまかなうようにしても良い。この場合、TFTアレイの画素の補助容量用上層電極の形成を行わない分、製造コストを削減できる。
また、第2実施形態では、光電変換膜の段差部のエッチングにおいて、ITO35とp−a−SiC33のみエッチングしているが、図10に示す光検出器1B-5のようにi−a−Si31の一部もエッチングするようにしても良い。この場合、i−a−Si31は可視光の遮蔽のために残されているので、この条件が満たされる限り、エッチングしても良い。これは図7に示す光検出器1B-2、図8に示す光検出器1B-3、図9に示す光検出器1B-4についても同様に当てはまる。
【0045】
このように、第2実施形態では、TFT部分のITO35とp−a−SiC33を除去することにより、TFT部分の光電変換膜を光電変換膜としては使用せず、遮光膜として使用するようにしているので、製造工程を増やすこと無く遮光膜を取り入れることができる。さらに、TFT上にメタルが存在しないため、バックゲート効果を無くすことができる。また、光電変換膜をエッチングしない、もしくは光電変換膜のエッチングを途中で止めるため、エッチングストッパーを必要とせず、この点でも製造工程の増加が無いため、従来のX線検出器に比べて、製造コストを下げることができる。
【0046】
尚、第1実施形態、第2実施形態共に、光電変換膜用の下層画素電極及びTFTの遮光膜としてTi25を用いたが、本発明はこれに限定されること無く、例えば、Cr,Ta,Mo,MoW,MoTa等を用いるようにしても良い。
また、第1実施形態、第2実施形態共に、パッシベーション23,27としてSiNx を用いたが、本発明はこれに限定されること無く、例えばSiOx 、SiNx +SiOx 等を用いるようにしても良い。
また、第1実施形態、第2実施形態共に、TFTとして逆スタガ型の内、エッチングストッパー・タイプのものを例として説明したが、本発明はこれに限定されること無く、逆スタガ型のバックチャンネルカット・タイプのものでも良い。さらに、第1実施形態、第2実施形態共に、a−Siを用いてTFTを形成しているが、本発明はこれに限定されること無く、ポリシリコンで形成するようにしても良い。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、製造工程を増やすことなく、光検出器に遮光膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光検出器の第1実施形態の構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す第1実施形態の光検出器の変形例を示す断面図である。
【図3】図1に示す第1実施形態の光検出器の変形例を示す断面図である。
【図4】図1に示す第1実施形態の光検出器の変形例を示す断面図である。
【図5】本発明に係る光検出器の第2実施形態の構成を示す断面図である。
【図6】Tiの膜厚増加に伴うリーク電流増加を示す図である。
【図7】図5に示す第2実施形態の光検出器の変形例を示す断面図である。
【図8】図5に示す第2実施形態の光検出器の変形例を示す断面図である。
【図9】図5に示す第2実施形態の光検出器の変形例を示す断面図である。
【図10】図5に示す第2実施形態の光検出器の変形例を示す断面図である。
【図11】a−SiTFTによる光検出器を用いたX線撮像装置を示す回路図である。
【図12】光電変換膜を画素毎に分離しない場合の従来のX線撮像装置の構成を示す断面図である。
【図13】光電変換膜を画素毎に分離した場合の従来の撮像装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1A-1,1A-2,1A-3,1A-4,1B-1,1B-2,1B-3,1B-4,1B-5光検出器
3 ガラス基板
5 MoW
7 SiOx
9 a−Si
11 SiNx
13 n+ a−Si
17 ITO
19 Mo
21 Al
23 SiNx
25 Ti
27 SiNx
29 i−a−SiC
31 i−a−Si
33 p−a−SiC
35 ITO
Claims (1)
- ソース、ドレイン、信号線及び電源供給線が形成されたTFTアレイ上にSiNxを堆積して第1のパッシベーションを形成する工程と、
光電変換膜用の画素電極と前記ソースとのコンタクト部、遮光膜と前記電源供給線とのコンタクト部及び引き出し線のパット部のSiNxをエッチング除去する工程と、
電極となり得る物質を堆積し、前記画素電極及び前記遮光膜をパターニングし、エッチングを行う工程と、
SiNxを堆積し、第2のパッシベーションを形成する工程と、
光電変換膜となり得る物質を堆積する工程と、
光電変換膜の上層電極を形成する工程とを有することを特徴とする光検出器の製造方法。
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