JP3719741B2 - カラー受像管装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、カラー受像管装置に係り、特に偏向ヨークの発生する磁界により生ずる偏向収差を補正するダイナミックフォーカス方式のカラー受像管装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、カラー受像管装置は、図9に示すように、パネル1及びこのパネル1に一体に接合されたファンネル2からなる外囲器を有し、そのパネル1の内面に、青、緑、赤に発光するストライプ状或いはドット状の3色蛍光体層からなる蛍光体スクリーン3(ターゲット)が形成され、この蛍光体スクリーン3に対向して、その内側に多数のアパーチャの形成されたシャドウマスク4が装着されている。一方、ファンネル2のネック5内に、3電子ビーム6B ,6G ,6R を放出する電子銃7が配設されている。またファンネル2の外側に偏向ヨーク8が装着されている。そして、上記電子銃7から放出される3電子ビーム6B ,6G ,6R を偏向ヨーク8の発生する水平及び垂直偏向磁界により偏向し、シャドウマスク4を介して蛍光体スクリーン3を水平、垂直走査することによりカラー画像を表示する構造に形成されている。
【0003】
このようなカラー受像管装置において、特に電子銃7を同一水平面上を通るセンタービーム6G 及び一対のサイドビーム6B ,6R からなる一列配置の3電子ビーム6B ,6G ,6R を放出するインライン型電子銃とし、一方、偏向ヨーク8の発生する水平偏向磁界をピンクッション形、垂直偏向磁界をバレル形として、上記一列配置の3電子ビーム6B ,6G ,6R を自己集中するセルフコンバーゼンス方式インライン型カラー受像管装置が広く実用化されている。
【0004】
通常上記電子銃7は、カソードからの電子放出を制御し且つ放出された電子を集束して3電子ビーム6B ,6G ,6R を形成するカソード及びこのカソードから順次隣接する複数個の電極からなる電子ビーム発生部と、この電子ビーム発生部から得られる3電子ビーム6B ,6G ,6R を蛍光体スクリーン3上に集束する複数個の電極からなる主電子レンズ部とを有する。
【0005】
このようなカラー受像管装置において、蛍光体スクリーン3上の画像特性を良好にするためには、電子銃7から放出される3電子ビーム6B ,6G ,6R を適正に集束するようにすることが必要である。しかし上記セルフコンバーゼンス方式インライン型カラー受像管装置のように、電子銃7から放出される3電子ビーム6B ,6G ,6R を偏向する水平偏向磁界をピンクッション形、垂直偏向磁界をバレル形とする非斉一磁界とすると、電子ビーム6B ,6G ,6R は非点収差を受ける。例えばピンクッション形水平偏向磁界について説明すると、図10(a)に示すように、電子ビーム6(6B ,6G ,6R )は、ピンクッション形水平偏向磁界10により矢印11H ,11V 方向の力を受け、同(b)に示すように、蛍光体スクリーン周辺部上の電子ビームのビームスポット12は、偏向収差を受け著しく歪む。この電子ビームの受ける偏向収差は、電子ビームが垂直方向に過集束状態となるためにおこるものであり、垂直方向に大きなハロー13(にじみ)が発生する。この電子ビームの受ける偏向収差は、管が大型になるほど、また広角偏向になるほど大きくなり、蛍光体スクリーン周辺部の解像度を著しく劣化する。
【0006】
特開昭61−99249号公報(USP4,814,670)などには、上記偏向収差による解像度の劣化を解決する電子銃が開示されている。これらの公報に開示されている電子銃は、基本的に図11(a)に示す構造に形成されている。即ち、いずれも第1乃至第5グリッドG1 〜G5 を有し、電子ビームの進行方向に沿って、電子ビーム発生部GE、4極子レンズQL、最終集束レンズELを形成するものとなっている。その各電子銃の4極子レンズQLは、第3、第4グリッドG3 ,G4 の各対向面に、同(b)及び(c)に示す各3個の非円形の電子ビーム通過孔14a ,14b ,14c ,15a ,15b ,15c を設けることにより形成される。
【0007】
この電子銃による偏向収差の補正を光学レンズで等価的に示すと、図12に示すようになる。即ち、上記電子銃は、カソードKから蛍光体スクリーン方向に順次4極子レンズQL、最終集束レンズELを形成するダイナミックフォーカス方式の電子銃であり、カソードKからの電子ビーム6が蛍光体スクリーン3の中央にランディングする無偏向時には、第3グリッドと第4グリッドの電位をほぼ同じにして、4極子レンズQLをほとんど作用させず、実線で示したように電子ビーム6を最終集束レンズELにより蛍光体スクリーン3の中央に適切に集束する。これに対し、偏向時には、第4グリッドの電位を上げて、破線で示したように4極子レンズQLを形成して、垂直方向に発散、水平方向に集束させると同時に、最終集束レンズELの垂直、水平両方向の集束作用を弱める。それにより電子ビーム6は、垂直方向には、不足集束となるが、偏向収差(非点収差)による集束作用を受け、適切に集束される。一方、水平方向には、4極子レンズQLの集束作用と最終集束レンズELの集束作用の減少により、水平方向の総合的な集束は、ほとんど変化せず、偏向ヨーク8の発生する磁界により、若干不足集束となる。しかしこの電子ビーム6が到達する蛍光体スクリーン3の周辺部は、中央部に比べ電子銃との距離が離れているため、水平方向についても適切に集束される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、電子銃から放出される一列配置の3電子ビームを偏向ヨークの発生する非斉一磁界により偏向するカラー受像管装置は、その非斉一磁界により非点収差を受け、蛍光体スクリーン周辺部のビームスポットが歪む。この電子ビームの受ける偏向収差は管が大型になるほど、また広偏向角になるほど大きくなり、蛍光体スクリーン周辺部の解像度を著しく劣化する。この解像度の劣化を解決する電子銃として、電極を第1乃至第5グリッドで構成し、カソードから蛍光体スクリーン方向に順次電子ビーム発生部、4極子レンズ、最終集束レンズを形成するダイナミックフォーカス方式の電子銃としたものが提案されている。
【0009】
しかしながらこのようなダイナミックフォーカス方式の電子銃では、第3グリッドと第4グリッドに5〜10 kV程度の2種類の中位の電圧を管外から供給しなければならないため、電圧供給部の耐電圧が問題となる。また各電極に所定の電圧を与えるための接続線が長くなり、管内の耐電圧が低下して、放電やリーク電流などによる電子ビームの集束特性が劣化するなど、カラー受像管装置の性能や信頼性を損なうという問題がある。
【0010】
そこで、特開平1−232643号公報(USP4,945,284)では、複数のグリッドのうち隣接する2つのグリッドを管内で配置した抵抗器で接続し、2つのグリッドのうち最終加速電極に近接する一方にダイナミック電圧を印加し、他方に上記抵抗器を介して上記ダイナミック電圧を印加することにより、管外から供給する中位の電圧を1種類とする電子銃が示されている。
【0011】
しかしながら、上記抵抗器の抵抗値が200 kΩ程度と示されており、この抵抗値の設定について十分な考慮がなされていない。即ち、開示されている200 kΩ程度の抵抗値であると、ダイナミックフォーカス電圧を印加しても、抵抗器で接続されている2つの電極間に電位差が生ぜず、偏向磁界の非点収差を補正する多極子レンズが形成しないため、非点収差の補正は困難である。
【0012】
この発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、抵抗器で接続されている2つの電極間に電位差を発生させ、偏向磁界の非点収差を補正する多極子レンズを効果的に形成して非点収差を補正し、画面全域にわたり解像度が高く、且つ電子銃の耐電圧特性の良好な信頼性に富んだカラー受像管装置を構成することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明は、電子ビーム発生部から放出する少なくとも1本の電子ビームをターゲット上に集束する複数個のグリッドから形成した主電子レンズ部を有する電子銃と、この電子銃から放出した電子ビームをターゲット上に偏向走査する磁界を発生する偏向ヨークとを少なくとも備え、電子銃は少なくとも一つのカソードと複数のグリッドからなり、複数のグリッドのうち隣接する少なくとも二つのグリッドを管内に配置した抵抗器で接続しており、隣接するグリッドの対向面に非円形の電子ビーム通過孔を穿孔し、この隣接するグリッドの少なくとも一方に電子ビームの偏向に同期して変化するダイナミック電圧を印加する電子銃を具備したカラー受像管装置についてのものである。
【0014】
そして、この発明は、電子銃の複数のグリッドはカソード側からターゲット方向に配置した第1乃至第4のグリッドから少なくともなり、第1乃至第3のグリッドは隣接しており、第4のグリッドには陽極高電圧を印加し、第3のグリッドには陽極高電圧よりも低い直流電圧に前記電子ビームの偏向に同期して変化する電圧を重畳したダイナミック電圧を印加し、第2のグリッドと第3のグリッドは管内に配置された抵抗器を介して少なくとも接続しており、第1のグリッドには第2のグリッドの電圧より低い電圧を印加し、第2、第3のグリッドの間に偏向収差を補正する多極子レンズ形成手段を具備せしめ、第3のグリッドと第2のグリッドとの間の静電容量Ca、第2のグリッドと第1のグリッドとの間の静電容量Cb、抵抗器の抵抗値R、水平偏向に同期したダイナミック電圧の周波数fH とし、円周率をπとするとき
π2 ・fH ・Ca・R≧13・(1−γ)
ただし、γ=Ca/(Ca+Cb)
の関係にある。
【0015】
また、この発明は、電子銃の複数のグリッドはカソードからターゲット方向に配置した第1乃至第7グリッドから少なくともなり、第1乃至第6グリッドは隣接しており、第7グリッドには陽極高電圧を印加し、第6グリッドには前記陽極高電圧よりも低い直流電圧に電子ビームの偏向に同期して変化する電圧の重畳したダイナミック電圧を印加し、第5グリッドは第6グリッドと管内に配置された抵抗器を介して少なくとも接続しており、第5、第6グリッドの間に偏向収差を補正する多極子レンズ形成手段を具備せしめ、第4グリッドには第6グリッドの電圧よりも低い電圧を印加し、第4グリッドと第2グリッドは管内で接続しており、第1グリッドには第4グリッドよりも低い電圧を印加し、第6グリッドと第5グリッドとの間の静電容量Ca、第5グリッドと第4グリッドとの間の静電容量Cb、抵抗器の抵抗値R、水平偏向に同期したダイナミック電圧の周波数fH とし、円周率をπとするとき
π2 ・fH ・Ca・R≧13・(1−γ)
ただし、γ=Ca/(Ca+Cb)
の関係にある。
【0016】
更に、この発明は、電子銃の複数のグリッドはカソードからターゲット方向に配置した第1乃至第4のグリッドから少なくともなり、第1乃至第3のグリッドは隣接しており、第2、第3のグリッドが第1の抵抗器により接続され、第3、第4のグリッドは第1の抵抗器に接続された第2の抵抗器により接続され、第1のグリッドに所定の電圧を印加し、第4のグリッドに陽極高電圧を印加し、前記第3のグリッドに管外にて電圧供給手段を接続するとともに電子ビームの偏向に同期して変化するダイナミック電圧を印加し、第2、第3のグリッド間に偏向収差を補正する多極子レンズ形成手段を具備せしめ、第3のグリッドと第2のグリッドとの間の静電容量Ca、第2のグリッドと第1のグリッドとの間の静電容量Cb、第1の抵抗器の抵抗値R、水平偏向に同期したダイナミック電圧の周波数fH とし、円周率をπとするとき
π2 ・fH ・Ca・R≧13・(1−γ)
ただし、γ=Ca/(Ca+Cb)
の関係にある。
【0017】
また、この発明は、電子銃の複数のグリッドはカソードからターゲット方向に配置した第1乃至第5のグリッドから少なくともなり、第1乃至第3のグリッドは隣接しており、第2、第3のグリッドが第1の抵抗器により接続され、第3、第4のグリッドは第2の抵抗器により接続され、第4、第5のグリッドは第3の抵抗器により接続され、第1のグリッドに所定の電圧を印加し、第5のグリッドに陽極高電圧を印加し、第3のグリッドに管外にて電圧供給手段を接続するとともに電子ビームの偏向に同期して変化するダイナミック電圧を印加し、第2、第3のグリッド間に偏向収差を補正する多極子レンズ形成手段を具備せしめ、第3のグリッドと第2のグリッドとの間の静電容量Ca、第2のグリッドと第1のグリッドとの間の静電容量Cb、第1の抵抗器の抵抗値R、水平偏向に同期したダイナミック電圧の周波数fH とし、円周率をπとするとき
π2 ・fH ・Ca・R≧13・(1−γ)
ただし、γ=Ca/(Ca+Cb)
の関係にある。
【0018】
【作用】
上記の構成により、例えば請求項1,2記載の発明の場合(請求項3,4記載の発明の場合も同様)、電子ビームを水平偏向する期間には、
2π・fH ・Ca・R>>1
の関係を満足し、第2のグリッドと第3のグリッドの間の静電容量Caと第1のグリッドと第2のグリッドの間の静電容量Cbを介してダイナミック電圧を分割減少して交流的に第2のグリッドに印加することができる。その結果、第2のグリッドと第3のグリッドの電位差が電子ビームの水平偏向に従って大きくなり、第2、第3のグリッドにより形成される多極子レンズが電子ビームの水平偏向に従って強くなる。同時に最終集束レンズの集束作用が弱まる。従って、それにより、水平偏向磁界の非点収差を補正することができる。
【0019】
その結果、管外から一つの中位の電圧を電子銃に供給するだけで、偏向磁界の非点収差を補正することが可能となり、画面全域にわたり解像度が高く、且つ優れた耐電圧特性を備え、信頼性に富んだ高性能カラー受像管装置とすることができる。これに加え、請求項3,4記載の発明の場合、上記中位の電圧を管外に設けた抵抗器を介して供給することにより、カラー受像管装置の回路コストを大幅に低減することができる。
【0020】
【実施例】
以下、図面を参照してこの発明を実施例に基づいて説明する。
図3にその一実施例であるカラー受像管装置を示す。このカラー受像管装置は、パネル1及びこのパネル1に一体に接合されたファンネル2からなる外囲器を有し、そのパネル1の内面に、青、緑、赤に発光するストライプ状の3色蛍光体層からなる蛍光体スクリーン3(ターゲット)が形成され、この蛍光体スクリーン3に対向して、その内側に多数のアパーチャの形成されたシャドウマスク4が装着されている。一方、ファンネル2のネック5内に、同一水平面上を通る一列配置の3電子ビーム20B ,20G ,20R を放出する電子銃21が配設されている。またファンネル2の外側に偏向ヨーク8が装着されている。そして、上記電子銃21から放出される3電子ビーム20B ,20G ,20R を偏向ヨーク8の発生する水平及び垂直偏向磁界により偏向し、シャドウマスク4を介して蛍光体スクリーン3を水平、垂直走査することにより、カラー画像を表示する構造に形成されている。
【0021】
上記電子銃21は、図1(請求項1,2に対応)に示すように、水平方向(H軸方向)に一列配置された3個のカソードK、これらカソードKを各別に加熱するヒータH、上記カソードから順次所定間隔離間して蛍光体スクリーン方向に配置された第1乃至第7グリッドG1 〜G7 を有する。その第5グリッドG5 (第2のグリッド)と第6グリッドG6 (第3のグリッド)とは、管内に配置された抵抗器22を介して電気的に接続されている。
【0022】
その第1及び第2グリッドG1 ,G2 は、板状電極からなり、その板面に3個のカソードKに対応して、比較的小さな3個のほぼ円形電子ビーム通過孔が一列配置に設けられている。
【0023】
第3乃至第6グリッドG3 〜G6 は、それぞれ筒状電極からなり、その第3グリッドG3 の第2グリッドG2 との対向面には、3個のカソードKに対応して第2グリッドG2 の電子ビーム通過孔よりも大きな3個のほぼ円形の電子ビーム通過孔が一列配置に設けられている。また、この第3グリッドG3 の第4グリッドG4 (第1のグリッド)との対向面、第4グリッドG4 と第5グリッドG5 の第4グリッドG4 との対向面及び第6グリッドG6 の第7グリッドG7 (第4のグリッド)との対向面には、それぞれ3個のカソードKに対応して第3グリッドG3 の第2グリッドG2 との対向面の電子ビーム通過孔よりも更に大きな3個のほぼ円形の電子ビーム通過孔が一列配置に設けられている。更に第5グリッドG5 の第6グリッドG6 との対向面には、図2(a)に示すように、3個のカソードに対応して垂直方向(V軸方向)を長径とする実質的に縦長の3個の電子ビーム通過孔24a ,24b ,24c が一列配置に設けられている。これに対して第6グリッドG6 の第5グリッドG5 との対向面には、同(b)示すように、3個のカソードKに対応して水平方向を長径とする実質的に横長の3個の電子ビーム通過孔25a ,25b ,25c が一列配置に設けられている。第7グリッドG7 は、カップ状電極からなり、その第6グリッドG6 との対向面には、3個のカソードに対応して上記第6グリッドG6 の第7グリッドG7 との対向面の電子ビーム通過孔と同じ大きさの3個のほぼ円形の電子ビーム通過孔が一列配置に設けられている。
【0024】
この電子銃21では、カソードK及び第1乃至第3グリッドG1 〜G3 により、カソードKからの電子放出を制御し且つ放出された電子を加速集束して電子ビームを形成する電子ビーム発生部GEが形成され、第3乃至第7グリッドG3 〜G7 により、その電子ビームを蛍光体スクリーン上に集束する主電子レンズ部MLが形成される。この主電子レンズ部MLには、実質的に縦長の電子ビーム通過孔24a ,24b ,24c の形成された第5グリッドG5 と実質的に横長の電子ビーム通過孔25a ,25b ,25c の形成された第6グリッドG6 との間に多極子レンズQLが形成され、第6グリッドG6 と第7グリッドG7 との間に最終集束レンズELが形成される。
【0025】
このような電子銃21において、第7グリッドG7 には、ファンネルに設けられた陽極端子27(図3参照)を介して高圧電源28から25〜35 kVの陽極高電圧Eb が印加される。また第6グリッドG6 と第3グリッドG3 とは管内で接続され、これら第3、6グリッドG3 ,G6 には、ネック端部のステム29を気密に貫通するステムピン30(図3参照)を介して電子銃電源31から供給される陽極高電圧Eb の20〜35%程度の電圧を基準電圧Vf (直流電圧)として、この基準電圧Vf に電子ビームの偏向に同期して変化するパラボラ状の電圧Vd の重畳されたダイナミックフォーカス電圧が印加される。この第6グリッドG6 に抵抗器22を介して接続された第5グリッドG5 には、後述する電圧が印加される。更に第2グリッドG2 と第4グリッドG4 とは管内で接続され、これら第2、4グリッドG2 ,G4 には、ステム29を気密に貫通するステムピン30を介して電子銃電源31から500〜1000Vのカットオフ電圧が供給され、第1グリッドG1 は接地され、カソードKには、電子銃電源31から100〜200Vの直流電圧に映像信号を重畳した電圧が供給される。
【0026】
上記第5グリッドG5 に印加される電圧については、抵抗器22を介して第6グリッドG6 に印加されるダイナミックフォーカス電圧の少なくとも直流電圧成分が供給され、これに第5グリッドG5 と第6グリッドG6 との対向面間の静電容量Caにより第6グリッドG6 と静電的に結合させ、この静電容量Caを介して誘導されるダイナミックフォーカス電圧の交流成分の重畳された電圧が印加される。
【0027】
この第5グリッドG5 に印加される電圧の交流成分ed は、図4に電気的な等価回路で示すように、抵抗器22の抵抗値をR、第5グリッドG5 と第4グリッドG4 との対向面間の静電容量をCb、第6グリッドG6 に印加されるダイナミックフォーカス電圧をVd 、その周波数をf、位相差をφ、円周率をπとし、
ω=2πf
2 =−1
とすると、数1で表される。
【0028】
【数1】
Figure 0003719741
【0029】
ただし、τ=R・Ca
γ=Ca/(Ca+Cb)
その位相差をφは、数2で表される。
【0030】
【数2】
Figure 0003719741
【0031】
なお、上記静電容量Ca,Cbの大きさは、それぞれ対向グリッドG4 ,G5 ,G6 の間隔及び対向面積により決定される。これら各グリッドG4 ,G5 ,G6 の対向面積が略同じ場合には、第5グリッドG5 と第6グリッドG6 の調整をga、第4グリッドG4 と第5グリッドG5 の調整をgbとすることにより、
γ=gb/(ga+gb)
と表すことができる。
【0032】
上式において、ω・Ca・R即ち2π・f・Ca・Rの値は、ダイナミックフォーカス電圧の周波数fで変化するので、静電容量Caと抵抗値Rを適切に選定して水平偏向周波数fH により、第5グリッドG5 に誘導される電圧ed を適切に設定することができる。即ち、第5グリッドG5 と第6グリッドG6 との電位差を生じさせ、第5、第6グリッドG5 ,G6 間に多極子レンズを形成させて、偏向磁界の非点収差を補正することが可能である。
【0033】
つまり、
2π・fH ・Ca・R>>1
とすると、第5グリッドG5 に第6グリッドG6 に印加されるダイナミックフォーカス電圧の交流成分Vd の約γ(=Ca/(Ca+Cb))倍を重畳することができる。例えばCa=Cbの場合には、図5に示すように、電子ビームの偏向に同期して変化するパラボラ状の電圧Vd の50%(50%Vd )を第5グリッドG5 の電極に重畳することができ、第5グリッドG5 の電圧を曲線33で示したように、曲線34で示した第6グリッドG6 に印加されるダイナミックフォーカス電圧に同期して変化させ、第5グリッドG5 と第6グリッドG6 との電位差を電子ビームの偏向に従って大きくすることができる。
【0034】
従って、抵抗値Rと電極間の静電容量、及びダイナミック電圧の周波数fを上述したように選択し、第5、第6グリッドG5 ,G6 の対向するビーム通過孔をそれぞれ図2(a),(b)に示すように構成することにより、これら第5、第6グリッドG5 ,G6 間に形成される多極子レンズの水平方向に集束、垂直方向に発散する作用を電子ビームの偏向に従って大きくすることができ、同時に最終集束レンズELの集束作用を弱めて、水平偏向磁界の非点収差を補正するものとすることができる。なお、TH は、水平偏向の1周期である。
【0035】
ここで、実際のカラー受像管では、画面の出画範囲よりも水平方向に4〜8%広い範囲をオーバースキャンするので、4π/104rad 程度の位相差が許容される。従って、これを考慮すると、
π2 ・fH ・Ca・R≧13・(1−γ)
となり、
R≧13・(1−γ)/(π2 ・fH ・Ca)
の条件を満たせばよいことになる。
【0036】
ここで、電極間の静電容量は約2 pF程度であるから、Ca=Cb=2 pF、水平偏向周波数fH を15.75 kHZ とすると、
R≧20.9 MΩ
となり、第5グリッドG5 と第6グリッドG6 とを接続する抵抗器22の抵抗値Rを20.9 MΩ以上に設定することにより、実用上位相差の問題をなくして第6グリッドG6 に印加されるダイナミックフォーカス電圧の約50%を第5グリッドG5 に誘導することができる。
【0037】
なお、上記実施例では、
Ca=Cb
としたが、本発明はこれに限らず、CaとCbを実用的範囲で調整し、重畳電圧の割合を設定した場合にも適用できる。
【0038】
次に、この発明の他の実施例について説明する。この実施例において電子銃21は、図6(請求項3に対応)に示すように、水平方向(H軸方向)に一列配置された3個のカソードK、これらカソードKを各別に加熱するヒータH、上記カソードから順次所定間隔離間して蛍光体スクリーン方向に配置された第1乃至第3グリッドG1 〜G3 、第4グリッドG4 (第1のグリッド)、第5グリッドG5 (第2のグリッド)、第6グリッドG6 (第3のグリッド)、第7グリッドG7 (第4のグリッド)を有する。第5グリッドG5 と第6グリッドG6 とは、電子銃に接近して管内に配置された第1の抵抗器221を介して電気的に接続されている。また第6グリッドG6 と第7グリッドG7 とは、電子銃に接近して管内に配置され上記第1の抵抗器221に直列に接続された第2の抵抗器222を介して電気的に接続されている。更に第6グリッドG6 は、ネック端部のステム29(図3参照)を気密に貫通するステムピン20を介して管外に配置された可変抵抗器50の一端に接続されている。この可変抵抗器50の他端は接地されている。
【0039】
その第1及び第2グリッドG1 ,G2 は、板状電極からなり、その板面に3個のカソードKに対応して、比較的小さな3個のほぼ円形電子ビーム通過孔が一列配置に設けられている。
【0040】
第3乃至第7グリッドG3 〜G7 は、それぞれ筒状電極からなり、その第3グリッドG3 の第2グリッドG2 との対向面には、3個のカソードKに対応して第2グリッドG2 の電子ビーム通過孔よりも大きな3個のほぼ円形の電子ビーム通過孔が一列配置に設けられている。またこの第3グリッドG3 の第4グリッドG4 との対向面および第4グリッドG4 には、それぞれ3個のカソードKに対応して上記第3グリッドG3 の第2グリッドG2 との対向面の電子ビーム通過孔よりも大きな3個のほぼ円形の電子ビーム通過孔が一列配置に設けられている。また第5グリッドG5 の第4グリッドG4 との対向面、第6グリッドG6 の第7グリッドG7 との対向面および第7グリッドG7 には、それぞれ3個のカソードKに対応して第4グリッドG4 の電子ビーム通過孔よりもさらに大きな3個のほぼ円形の電子ビーム通過孔が一列配置に設けられている。更に第5グリッドG5 の第6グリッドG6 との対向面には、図2(a)に示すように、3個のカソードに対応して垂直方向(V軸方向)を長径とする実質的に縦長の3個の電子ビーム通過孔24a ,24b ,24c が一列配置に設けられている。これに対して第6グリッドG6 の第5グリッドG5 との対向面には、同(b)示すように、3個のカソードKに対応して水平方向を長径とする実質的に横長の3個の電子ビーム通過孔25a ,25b ,25c が一列配置に設けられている。
【0041】
この電子銃21では、カソードK及び第1乃至第3グリッドG1 〜G3 により、カソードKからの電子放出を制御し且つ放出された電子を加速集束して電子ビームを形成する電子ビーム発生部GEが形成され、第3乃至第7グリッドG3 〜G7 により、その電子ビームを蛍光体スクリーン上に集束する主電子レンズ部MLが形成される。この主電子レンズ部MLには、実質的に縦長の電子ビーム通過孔24a ,24b ,24c の形成された第5グリッドG5 と実質的に横長の電子ビーム通過孔25a ,25b ,25c の形成された第6グリッドG6 との間に多極子レンズQLが形成され、第6グリッドG6 と第7グリッドG7 との間に最終集束レンズELが形成される。
【0042】
このような電子銃21において、第7グリッドG7 には、ファンネルに設けられた陽極端子27(図3参照)を介して高圧電源28から25〜35 kVの陽極高電圧Eb が印加される。また第6グリッドG6 と第3グリッドG3 とは管内で接続され、これら第3、6グリッドG3 ,G6 には、第6グリッドG6 と第7グリッドG7 に接続された第2の抵抗器222及び管外に配置された可変抵抗器50により第7グリッドG7 に供給される陽極高電圧Eb を抵抗分割して、陽極高電圧Eb の20〜35%程度の電圧を基準電圧Vf (直流電圧)として供給され、電子銃電源31からこの基準電圧Vf に電子ビームの偏向に同期して変化するパラボラ状の電圧Vd の重畳されたダイナミックフォーカス電圧が印加される。この第6グリッドG6 に第1の抵抗器221を介して接続された第5グリッドG5 には、後述する電圧が印加される。さらに第4グリッドG4 と第2グリッドG4 とは管内で接続され、これら第2、4グリッドG2 ,G4 には、ステム29を気密に貫通するステムピン30を介して電子銃電源31から500〜1000Vのカットオフ電圧が供給される。第1グリッドG1 は接地され、カソードKには、電子銃電源31から100〜200Vの直流電圧に映像信号を重畳した電圧が供給される。
【0043】
上記第5グリッドG5 に印加される電圧については、第1の抵抗器221を介して第6グリッドG6 に印加されるダイナミックフォーカス電圧の少なくとも直流電圧成分が供給され、これに第5グリッドG5 と第6グリッドG6 との対向面間の静電容量Caにより第6グリッドG6 と静電的に結合させ、この静電容量Caを介して誘導されるダイナミックフォーカス電圧の交流成分の重畳された電圧が印加される。
【0044】
この第5グリッドG5 に印加される電圧の交流成分ed は、図7に電気的な等価回路で示すように、第1の抵抗器221の抵抗値をR、第5グリッドG5 と第4グリッドG4 との対向面間の静電容量をCb、第6グリッドG6 に印加されるダイナミックフォーカス電圧をVd 、その周波数をf、位相差をφ、円周率をπとし、
ω=2πf
2 =−1
とすると、数1で表され、その位相差をφは、数2で表される。
【0045】
なお、上記静電容量Ca,Cbの大きさは、それぞれ対向グリッドG4 ,G5 ,G6 の間隔及び対向面積により決定される。これら各グリッドG4 ,G5 ,G6 の対向面積が略同じ場合には、第5グリッドG5 と第6グリッドG6 の調整をga、第4グリッドG4 と第5グリッドG5 の調整をgbとすることにより、
γ=gb/(ga+gb)
と表すことができる。
【0046】
上式において、ω・Ca・R即ち2π・f・Ca・Rの値は、ダイナミックフォーカス電圧の周波数fで変化するので、静電容量Caと抵抗値Rを適切に選定して水平偏向周波数fH により、第5グリッドG5 に誘導される電圧ed を適切に設定することができる。即ち、第5グリッドG5 と第6グリッドG6 との電位差を生じさせ、第5、第6グリッドG5 ,G6 間に多極子レンズを形成させて、偏向磁界の非点収差を補正することが可能である。
【0047】
つまり、
2π・fH ・Ca・R>>1
とすると、第5グリッドG5 に第6グリッドG6 に印加されるダイナミックフォーカス電圧の交流成分Vd の約γ(=Ca/(Ca+Cb))倍を重畳することができる。例えばCa=Cbの場合には、図5に示すように、電子ビームの偏向に同期して変化するパラボラ状の電圧Vd の50%(50%Vd )を第5グリッドG5 の電極に重畳することができ、第5グリッドG5 の電圧を曲線33で示したように、曲線34で示した第6グリッドG6 に印加されるダイナミックフォーカス電圧に同期して変化させ、第5グリッドG5 と第6グリッドG6 との電位差を電子ビームの偏向に従って大きくすることができる。
【0048】
従って、抵抗値Rと電極間の静電容量、及びダイナミック電圧の周波数fを上述したように選択し、第5、第6グリッドG5 ,G6 の対向するビーム通過孔をそれぞれ図2(a),(b)に示すように構成することにより、これら第5、第6グリッドG5 ,G6 間に形成される多極子レンズの水平方向に集束、垂直方向に発散する作用を電子ビームの偏向に従って大きくすることができ、同時に最終集束レンズELの集束作用を弱めて、水平偏向磁界の非点収差を補正するものとすることができる。なお、TH は、水平偏向の1周期である。
【0049】
つまり、
2π・fH ・Ca・R>>1
とすると、前の実施例と同様に、第5、第6グリッドG5 ,G6 間に形成される多極子レンズの水平方向に集束、垂直方向に発散する作用を電子ビームの偏向に従って大きくすることができ、同時に最終集束レンズELの集束作用を弱めて、水平偏向磁界の非点収差を補正するものとすることができる。
【0050】
そこで、前の実施例と同様の設定により、
R≧20.9 MΩ
となり、第5グリッドG5 と第6グリッドG6 とを接続する第1の抵抗器221の抵抗値Rを20.9 MΩ以上に設定することにより、実用上位相差の問題をなくして第6グリッドG6 に印加されるダイナミックフォーカス電圧の約50%を第5グリッドG5 に誘導することができる。
【0051】
次に、この発明の更に他の実施例について説明する。図8(請求項4に対応)にその電子銃を示す。この電子銃は、図6に示した実施例の電子銃の第6グリッドと第7グリッドとの間に筒状の中間電極Gm を配置したもので、水平方向(H軸方向)に一列配置された3個のカソードK、これらカソードKを各別に加熱するヒータH、上記カソードから順次所定間隔離間して蛍光体スクリーン方向に配置された第1乃至第3グリッドG1 〜G3 、第4グリッドG4 (第1のグリッド)、第5グリッドG5 (第2のグリッド)、第6グリッドG6 (第3のグリッド)、中間電極Gm (第4のグリッド)、第7グリッドG7 (第5のグリッド)を有する。この電子銃において、第5グリッドG5 と第6グリッドG6 とは電子銃に接近して管内に配置された第1の抵抗器221を介して電気的に接続され、第6グリッドG6 と中間電極Gm とは第2の抵抗器222を介して電気的に接続され、中間電極Gm と第7グリッドG7 とが第3の抵抗器223を介して接続されたものとなっている。その他の構造については、図6に示した実施例の電子銃と同じであるので、同一部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【0052】
この電子銃21では、第7グリッドG7 にファンネルに設けられた陽極端子31を介して高圧電源から25〜35 kVの陽極高電圧Eb が印加される。中間電極Gm 及び管内で接続された第6、第3グリッドG6 、G3 には、それぞれ第6グリッドG6 と中間電極Gm とに接続された第2の抵抗器222、中間電極Gm と第7グリッドG7 に接続された第3の抵抗器223及び管外に配置された可変抵抗器50により第7グリッドG7 に供給される陽極高電圧Eb を抵抗分割して、中間電極Gm に陽極高電圧Eb の50〜80%、第6、第3グリッドG6 、G3 に20〜35%程度の電圧が印加される。特に第6、第3グリッドG6 、G3 には、上記陽極高電圧Eb の20〜35%程度の電圧を基準電圧Vf (直流電圧)とし、この基準電圧Vf に電子銃電源から供給される電子ビームの偏向に同期して変化するパラボラ状の電圧Vd の重畳されたダイナミックフォーカス電圧が印加される。なお、第5、第2、第1グリッドG5 ,G2 ,G1 及びカソードKには、それぞれ図6に示した実施例の電子銃と同じ電圧が印加される。
【0053】
それにより、この電子銃21では、カソードK及び第1乃至第3グリッドG1 〜G3 により、カソードKからの電子放出を制御し且つ放出された電子を加速集束して電子ビームを形成する電子ビーム発生部GEが形成され、第3乃至第7グリッドG3 〜G7 により、その電子ビームを蛍光体スクリーン上に集束する主電子レンズ部MLが形成される。この主電子レンズ部MLには、実質的に縦長の電子ビーム通過孔24a ,24b ,24c の形成された第5グリッドG5 と実質的に横長の電子ビーム通過孔25a ,25b ,25c の形成された第6グリッドG6 との間に多極子レンズQLが形成され、第6グリッドG6 と第7グリッドG7 との間に最終集束レンズELが形成される。この最終集束レンズELは、第6グリッドG6 と第7グリッドG7 との間に中間電極Gm が介在することにより、実質的に電界の拡張された大口径電子レンズとなっている。
【0054】
このように電子銃を構成すると、第5グリッドG5 と第6グリッドG6 との間に形成される多極子レンズは、図6に示した実施例の電子銃と同様に作用して、偏向磁界の非点収差を補正する。更にこの多極子レンズに偏向周波数に応じた選択作用をもたせることができる。しかも、第6グリッドG6 を管外に設けた可変抵抗器26に接続することにより中位の電圧を容易に供給でき、カラー受像管装置の回路コストを大幅に低減することができる。更に最終集束レンズを大口径電子レンズとしたので、球面収差が小さくなり、電子ビームを蛍光体スクリーン上に良好に集束することができる。その結果、画面全域にわたり解像度が高く、且つ優れた耐電圧特性を備え、信頼性に富んだカラー受像管装置とすることができる。
【0055】
なお、今までの実施例では、最終集束レンズが軸対称のBPF型の電子銃及び拡張電界型電子レンズからなる電子銃について説明したが、この発明は、これら電子銃に限定されるものではなく、その他の対称電子レンズや非対称電子レンズ、更にはこれら電子レンズを複合した電子レンズからなる電子銃を備えるカラー受像管装置にも適用できる。
【0056】
【発明の効果】
この発明は、電子ビーム発生部から放出する少なくとも1本の電子ビームをターゲット上に集束する複数個のグリッドから形成した主電子レンズ部を有する電子銃と、この電子銃から放出した電子ビームをターゲット上に偏向走査する磁界を発生する偏向ヨークとを少なくとも備え、電子銃は少なくとも一つのカソードと複数のグリッドからなり、複数のグリッドのうち隣接する少なくとも二つのグリッドを管内に配置した抵抗器で接続しており、隣接するグリッドの対向面に非円形の電子ビーム通過孔を穿孔し、この隣接するグリッドの少なくとも一方に電子ビームの偏向に同期して変化するダイナミック電圧を印加する電子銃を具備したカラー受像管装置について、抵抗器で接続されたグリッド間の静電容量、抵抗器の抵抗値、水平偏向に同期したダイナミック電圧の周波数を所定の関係を満足するように設定することにより、管外から一つの中位の電圧を電子銃に供給するだけで、偏向磁界の非点収差を補正することが可能となる。更に、その非点収差を補正する多極子レンズを偏向周波数に応じた選択作用をもたせることが可能となり、画面全域にわたり解像度が高く、且つ優れた耐電圧特性を備え、信頼性に富んだ高性能カラー受像管装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例における電子銃の構成を示す図である。
【図2】図2(a)はその電子銃の第5グリッドの第6グリッドとの対向面の電子ビーム通過孔の形状を示す図、図2(b)は第6グリッドの第5グリッドとの対向面の電子ビーム通過孔の形状を示す図である。
【図3】この発明の一実施例におけるカラー受像管装置の構成を示す図である。
【図4】上記電子銃の第4、第5、第6グリッドの電気的な等価回路図である。
【図5】上記電子銃の第5、第6グリッドに印加される電圧波形を説明するための図である。
【図6】この発明の他の実施例における電子銃の構成を示す図である。
【図7】上記電子銃の第4、第5、第6グリッドの電気的な等価回路図である。
【図8】この発明の更に他の実施例における電子銃の構成を示す図である。
【図9】従来のカラー受像管装置の構成を示す図である。
【図10】図10(a)は電子ビームに対するピンクッション形水平偏向磁界の作用を説明するための図、図10(b)はその結果生ずる蛍光体スクリーン上のビームスポットの形状を示す図である。
【図11】図11(a)は従来の改良された電子銃の構成を示す図、図11(b)はその第3グリッドの第4グリッドとの対向面の電子ビーム通過孔の形状を示す図、図11(c)は第4グリッドの第3グリッドとの対向面の電子ビーム通過孔の形状を示す図である。
【図12】上記改良された電子銃の主電子レンズ部の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
1…パネル
3…蛍光体スクリーン
8…偏向ヨーク
20B ,20G ,20R …3電子ビーム
21…電子銃
22…抵抗器
24a ,24b ,24c …電子ビーム通過孔
25a ,25b ,25c …電子ビーム通過孔
27…陽極端子
29…ステム
30…ステムピン
EL…最終集束レンズ
K…カソード
G1 …第1グリッド
G2 …第2グリッド
G3 …第3グリッド
G4 …第4グリッド
G5 …第5グリッド
G6 …第6グリッド
G7 …第7グリッド
GE…電子ビーム発生部
ML…主電子レンズ部
QL…多極子レンズ
221…第1の抵抗器
222…第2の抵抗器
223…第3の抵抗器
50…可変抵抗器
EL…最終集束レンズ
K…カソード
Gm …中間電極
GE…電子ビーム発生部
ML…主電子レンズ部
QL…多極子レンズ

Claims (5)

  1. 電子ビーム発生部から放出する少なくとも1本の電子ビームをターゲット上に集束する複数個のグリッドから形成した主電子レンズ部を有する電子銃と、この電子銃から放出した電子ビームをターゲット上に偏向走査する磁界を発生する偏向ヨークとを少なくとも備え、前記電子銃は少なくとも一つのカソードと複数のグリッドからなり、前記複数のグリッドのうち隣接する少なくとも2つのグリッドを管内に配置した抵抗器で接続しており、前記隣接するグリッドの対向面に非円形の電子ビーム通過孔を穿孔し、この隣接するグリッドの少なくとも一方に電子ビームの偏向に同期して変化するダイナミック電圧を印加する電子銃を具備したカラー受像管装置において、
    前記電子銃の前記複数のグリッドは前記カソード側からターゲット方向に配置した第1乃至第4のグリッドから少なくともなり、前記第1乃至第3のグリッドは隣接しており、前記第4のグリッドには陽極高電圧を印加し、前記第3のグリッドには前記陽極高電圧よりも低い直流電圧に前記電子ビームの偏向に同期して変化する電圧を重畳したダイナミック電圧を印加し、前記第2のグリッドと前記第3のグリッドは管内に配置された抵抗器を介して少なくとも接続しており
    前記第1のグリッドには前記第2のグリッドの電圧より低い電圧を印加し、前記第2、第3のグリッドの間に偏向収差を補正する多極子レンズ形成手段を具備せしめ、
    前記第3のグリッドと前記第2のグリッドとの間の静電容量Ca、前記第2のグリッドと前記第1のグリッドとの間の静電容量Cb、前記抵抗器の抵抗値R、水平偏向に同期したダイナミック電圧の周波数fH とし、円周率をπとするとき
    π2 ・fH ・Ca・R≧13・(1−γ)
    ただし、γ=Ca/(Ca+Cb)
    の関係にあることを特徴とするカラー受像管装置。
  2. 電子ビーム発生部から放出する少なくとも1本の電子ビームをターゲット上に集束する複数個のグリッドから形成した主電子レンズ部を有する電子銃と、この電子銃から放出した電子ビームをターゲット上に偏向走査する磁界を発生する偏向ヨークとを少なくとも備え、前記電子銃は少なくとも一つのカソードと複数のグリッドからなり、前記複数のグリッドのうち隣接する少なくとも二つのグリッドを管内に配置した抵抗器で接続しており、前記隣接するグリッドの対向面に非円形の電子ビーム通過孔を穿孔し、この隣接するグリッドの少なくとも一方に電子ビームの偏向に同期して変化するダイナミック電圧を印加する電子銃を具備したカラー受像管装置において、
    前記電子銃の前記複数のグリッドは前記カソードからターゲット方向に配置した第1乃至第7グリッドから少なくともなり、前記第1乃至第6グリッドは隣接しており、第7グリッドには陽極高電圧を印加し、第6グリッドには前記陽極高電圧よりも低い直流電圧に前記電子ビームの偏向に同期して変化する電圧の重畳したダイナミック電圧を印加し、第5グリッドは第6グリッドと管内に配置された抵抗器を介して少なくとも接続しており、前記第5、第6グリッドの間に偏向収差を補正する多極子レンズ形成手段を具備せしめ、
    前記第4グリッドには前記第6グリッドの電圧よりも低い電圧を印加し、第4グリッドと第2グリッドは管内で接続しており、
    前記第1グリッドには前記第4グリッドよりも低い電圧を印加し、
    前記第6グリッドと前記第5グリッドとの間の静電容量Ca、前記第5グリッドと前記第4グリッドとの間の静電容量Cb、前記抵抗器の抵抗値R、水平偏向に同期したダイナミック電圧の周波数fH とし、円周率をπとするとき
    π2 ・fH ・Ca・R≧13・(1−γ)
    ただし、γ=Ca/(Ca+Cb)
    の関係にあることを特徴とするカラー受像管装置。
  3. 電子ビーム発生部から放出する少なくとも1本の電子ビームをターゲット上に集束する複数個のグリッドから形成した主電子レンズ部を有する電子銃と、この電子銃から放出した電子ビームをターゲット上に偏向走査する磁界を発生する偏向ヨークとを少なくとも備え、前記電子銃は少なくとも一つのカソードと複数のグリッドからなり、前記複数のグリッドのうち隣接する少なくとも二つのグリッドを管内に配置した抵抗器で接続しており、前記隣接するグリッドの対向面に非円形の電子ビーム通過孔を穿孔し、この隣接するグリッドの少なくとも一方に電子ビームの偏向に同期して変化するダイナミック電圧を印加する電子銃を具備したカラー受像管装置において、
    前記電子銃の前記複数のグリッドは前記カソードからターゲット方向に配置した第1乃至第4のグリッドから少なくともなり、前記第1乃至第3のグリッドは隣接しており、前記第2、第3のグリッドが第1の抵抗器により接続され、前記第3、第4のグリッドは前記第1の抵抗器に接続された第2の抵抗器により接続され、前記第1のグリッドに所定の電圧を印加し、前記第4のグリッドに陽極高電圧を印加し、前記第3のグリッドに管外にて電圧供給手段を接続するとともに前記電子ビームの偏向に同期して変化するダイナミック電圧を印加し、
    前記第2、第3のグリッド間に偏向収差を補正する多極子レンズ形成手段を具備せしめ、
    前記第3のグリッドと前記第2のグリッドとの間の静電容量Ca、前記第2のグリッドと前記第1のグリッドとの間の静電容量Cb、前記第1の抵抗器の抵抗値R、水平偏向に同期したダイナミック電圧の周波数fH とし、円周率をπとするとき
    π2 ・fH ・Ca・R≧13・(1−γ)
    ただし、γ=Ca/(Ca+Cb)
    の関係にあることを特徴とするカラー受像管装置。
  4. 電子ビーム発生部から放出する少なくとも1本の電子ビームをターゲット上に集束する複数個のグリッドから形成した主電子レンズ部を有する電子銃と、この電子銃から放出した電子ビームをターゲット上に偏向走査する磁界を発生する偏向ヨークとを少なくとも備え、前記電子銃は少なくとも一つのカソードと複数のグリッドからなり、前記複数のグリッドのうち隣接する少なくとも二つのグリッドを管内に配置した抵抗器で接続しており、前記隣接するグリッドの対向面に非円形の電子ビーム通過孔を穿孔し、この隣接するグリッドの少なくとも一方に電子ビームの偏向に同期して変化するダイナミック電圧を印加する電子銃を具備したカラー受像管装置において、
    前記電子銃の前記複数のグリッドは前記カソードからターゲット方向に配置した第1乃至第5のグリッドから少なくともなり、前記第1乃至第3のグリッドは隣接しており、前記第2、第3のグリッドが第1の抵抗器により接続され、前記第3、第4のグリッドは第2の抵抗器により接続され、前記第4、第5のグリッドは第3の抵抗器により接続され、前記第1のグリッドに所定の電圧を印加し、前記第5のグリッドに陽極高電圧を印加し、前記第3のグリッドに管外にて電圧供給手段を接続するとともに前記電子ビームの偏向に同期して変化するダイナミック電圧を印加し、
    前記第2、第3のグリッド間に偏向収差を補正する多極子レンズ形成手段を具備せしめ、
    前記第3のグリッドと前記第2のグリッドとの間の静電容量Ca、前記第2のグリッドと前記第1のグリッドとの間の静電容量Cb、前記第1の抵抗器の抵抗値R、水平偏向に同期したダイナミック電圧の周波数fH とし、円周率をπとするとき
    π2 ・fH ・Ca・R≧13・(1−γ)
    ただし、γ=Ca/(Ca+Cb)
    の関係にあることを特徴とするカラー受像管装置。
  5. 請求項1乃至4項記載のカラー受像管装置において、グリッド間の静電容量Ca,Cbを形成するグリッド間の間隔をそれぞれga,gbとしたとき、
    γ=gb/(ga+gb)
    の関係にあることを特徴とするカラー受像管装置。
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