JP3719466B2 - 非円形開口のレーザー加工 - Google Patents
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Description
【発明の背景】
【0002】
【本発明の技術分野】
本願発明は、レーザービーム加工に関し、特に、非円形断面開口のレーザービーム加工に関する。
ガスタービンエンジンは、燃焼器で高温燃焼ガスを発生するために、燃料と混合され、点火される空気を圧縮する圧縮機を有し、圧縮機を駆動し且つ出力動力を発生するために燃焼器の下流に配置されたタービンでガスからエネルギを抽出する。各種の構成部材が高温燃焼ガスを囲んでいるので、従って、有用な寿命を得るために運転中は、これらは一般的には冷却される。従来の冷却の構成は、構成部材を貫通して典型的には鋭角で傾斜しているフィルム冷却孔を含み、フィルム冷却孔を通る圧縮空気の一部を構成部材の一方の側から受け取り、運転中構成部材の有効なフィルム冷却を生じる冷却空気フィルムを構成部材の片側に沿って形成する。フィルム冷却孔は、燃焼ライナー、タービンノズル静翼及び動翼、タービンシュラウド、並びに、効果的な冷却を要する各種の遮蔽にきまって見ることができる。フィルム冷却孔の具体的な形状は、ディフューザー孔、或いは、或成形孔である。典型的には、ディフューザー孔、又は、スロットが冷却される構成部材の表面の出口領域に形成され、出口領域は入口領域より大きい。しばしば、円形又は他の形状の一定面積の供給孔が構成部材の他の表面から開口のディフューザー部分の入口領域まで形成される。構成部材を冷却するために境界内に連続冷却空気フィルムを生じるため、開口から冷却表面に沿って冷却空気を放出する。
【0003】
記載したガスタービン構成部材に貫通孔を形成するための従来の方法があり、孔は、工業用レーザー、又は、放電機械加工(EDM)を用いるドリル加工により設けることができる。従来のレーザー加工は、レーザービームが金属を蒸発しながら貫通孔が完成するまで適当に付勢されたレーザービームを所望の位置に保持させる。ND:YAGレーザーのようなレーザーは典型的には適当なパルス繰り返し率で動作され、完全な孔が完成するまで各パルスが金属の一部を蒸発する。
【0004】
しかし、改良したフィルム冷却ディフューザー開口或いはスロットに対する、構成部材のこのようないわゆる止まり開口を形成する方法は、重大な問題と経費を生じる。効果的なフィルム冷却ができて、なお、費用のかからない方法で開口の非円形断面のディフューザー部分を形成したいと言う要望もある。効率的なフィルム冷却動作のために、スロットの側壁及び底は空気力学的理由で好ましくは比較的に滑らかにすべきである。側壁及び底は、長寿命を得るため、動作中の構成部材の最大応力を制限するために望ましくない応力集中を避けるのに十分な滑らかさもなければならない。
【0005】
典型的なYAGパルス・レーザーでは、各パルスは典型的にはその値がプラス・マイナス5%の変動がある振幅と有限の持続時間を有する。各パルスの電力を時間で積分することにより、各パルスのエネルギの量を決定することができ、これらはパルス振幅と持続時間のプラス・マイナス5%の最悪の変動の組み合わに基づいて、プラス・マイナス約20%の変動がある。このかなりのエネルギの変動は、パルス当たりの蒸発される金属の量がパルスによりかなり変動することを意味し、相次ぐパルスによって形成される対応する開口は、処理中に形状がかなり変動する。このパルスのエネルギがかなり変動することは、対象が貫通孔又は切り口の形成であり、形成中の孔又は切り口の形状は重要でないから、ドリル加工或いはレーザー切削加工にとっては一般に大きな問題ではない。
【0006】
しかし、このパルスのエネルギがかなり変動することは、金属構成部材を完全に貫通しない非円形止まり孔或いはスロットを形成しようとするにはかなり重要である。従って、従来の方法でレーザーを用いて止まり孔をドリル加工をし、そして、その加工を続けて延長した非円形孔或いは止まりスロットを形成しようとすると、開口のディフューザー部分に幅、深さ、表面輪郭にかなりの偏差を有するものをもたらす。生じるぎざぎざの輪郭のディフューザー部分は空気力学及び強度の理由で好ましくない。ぎざぎざの輪郭は実質的に滑らかで一様な冷却空気フィルムを形成する能力を減じ、スロットのぎざぎざの底部はスロット底部より下の構成部材の基部の実効強度を望ましくなく減ずる。タービンのフィルム冷却される構成部材は全体の厚さが比較的薄いのが典型的であり、この事は止まり開口及びディフューザー孔又はスロットの精確な配置及び深さが要求される。ディフューザー部分より下の残りの基部材料があまりにも薄いと、構成部材は不所望に低い強度を有することになり、その有効寿命を減ずるか、製造過程でその構成部材を排除しなければならないであろう。
【0007】
代わりに、従来のEDM機械加工を止まりディフューザー部分を精確に形成するのに用いることができ、引き続き、所要の貫通孔をスロット内に、従来のEDM機械加工又は従来のレーザードリル加工を用いて形成することができる。これら2つの方法は、典型的には、2つの別々の異なる工程で、同じ機械か異なる機械に構成部材を再設定して、異なる形状の止まりスロット及び貫通孔を構成部材に形成することになる。再設定することは、止まりディフューザー部とその供給孔との精確な整合を保たなければならない別な問題を呈する。従って、その結果得られる製造法は、タービン動翼、タービン静翼、或いは、燃焼ライナーなどの典型的な構成部材はかなりの数のフィルム冷却貫通孔を有し、それに対応した多数の関連した止まり開口があり、多くの動翼と静翼はフィルム冷却開口を付して製造しなければならないから、比較的複雑で費用が嵩むことになる。
【特許文献1】
特開昭63−192902号
【0008】
【発明の概要】
金属製構成部材の壁に、ディフューザーを有する開口を形成する方法であって、ディフューザーがディフューザーの底から壁の第一表面へ上方且つ外方に開いているものに於いて、その方法が、次の諸工程を含むものである。A)金属を蒸発するに十分なパルス繰り返し率及び出力を有するレーザービームを生じるレーザーを用いて壁をレーザー加工し、B)ディフューザーの予定の第一側縁に向けてディフューザーの中心線から始まって、単一パスで表面を横切って好ましくは鋭角でレーザービームを発射し横断させ、そして、C)パス期間中、相次ぐレーザー点が互いに実質的に重なりながらその重なりが減少していくように、速度を増加させてレーザービームを横断させ、パルスが金属を少しづつ削って連続した溝が表面より下に形成されるように各ビームパルスがレーザースポットの所で金属を蒸発させる。
【0009】
横断は、全ての横断期間中鋭角を一定に保って直線的に行い、ディフューザーの予定の第一側縁に向かって中心線から開始し、先に形成した第一の溝につながり且つ同じ直線上に在る第二の溝を、レーザービームをディフューザーの反対側の予定の第二の側縁に向かって表面上を横断させて同じように形成して、一つの長い連続した溝を形成するのが望ましい。複数の隣接する長い溝が、側縁の一方から他方の側縁にレーザービームを直線的に横断させ、スポットの隣接する複数の列が少なくとも接し、好ましくは重なり合うようにしたスポットの複数の平行な列に沿って金属を蒸発させて形成される。隣接する長い溝は異なる長さにすることができる。より具体的な実施例では、実質的に台形のディフューザーを形成するため、溝の長さ方向に直角な方向では長さが狭められる。ディフューザーは複数の横断からなるシーケンスを2回以上行うことにより形成することができるが、各横断はディフューザーのほぼ中心線から開始して、側縁の一方に外方に向かって進む。
【0010】
一実施例によれば、供給孔がディフューザーのほぼ中心で壁の第一表面上にレーザービームを少なくとも一回当てて形成される。レーザーを用いて供給孔を壁を完全に貫通してドリル加工するさらに具体的な方法では、全開口が完了すると、供給孔は反対側の表面から壁の第一表面へ壁中の約半分のような途中まで、且つディフューザーの底まで延びている。本発明の方法は、動翼或いは静翼の冷却式タービン翼又は燃焼器ライナーのような金属製の壁を貫通する複数の冷却開口を形成するのに用いることができる。
【0011】
【発明の詳しい説明】
本発明の新規と思われる特徴は、特許請求の範囲に記載され特徴づけられている。本願発明の他の目的及び利点は添付の図面と共により具体的に記載されている。
本発明の原理を説明するために好適実施例を十分に記載しているが、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲を逸脱することなく、好適実施例に様々な改変或いは変更が可能であることを理解されたい。
【0012】
図1に略図的に示す従来の多軸機械10は、典型的には、例えば翼12を有するガスタービンエンジンのロータ動翼8のような金属構成部材の3乃至8軸運動を生じる構成とすることができる。
例示の実施例では、動翼8は一体に形成され、翼12は全体に中空であり従来のダブティール11とその間のプラットフォーム13に一体に結合され、プラットフォームから翼は半径方向Rに延在する。翼12には、通常、前縁LE及び後縁TE、凹圧力側CC、及び凸吸込む側CVが形成される。翼12は、翼壁21を貫通して長軸又は半径方向に離隔してレーザーで形成された複数の止まり開口14の幾つかの列があることを除けば従来のものである。各開口14は、供給孔16に接続され流体が供給されるように連通した、全体に下流Vに面する非円形断面のディフューザー15を有し、図2に詳細に示すように内側空洞或いはチャンネル18と流通するように配置される。チャンネル18には、通常、運転中にフィルム冷却空気20が図1の流れ矢印に示すように供給され、この空気は翼12の内側からいくつかの供給孔16を通して放出され、ディフューザー15に供給され、エンジン運転中に翼の上を流れる高温燃焼ガスの熱に対抗して、運転中に翼12を冷却する半径方向に連続する冷却空気のフィルムを形成する。
【0013】
開口14及びそのフィルム冷却ディフューザー15、並びにそれらに冷却空気20を供給する供給孔16が翼12の圧力側表面に示されているが、それらは、構成部材のフィルム冷却をするために、その吸込み側表面に、或いは、ガスタービンエンジンの他の高温構成部材、又は、燃焼ガスの様な高温流体に曝される他の構造に用いることもできる。例えば、ディフューザー15及び供給孔16を、他の点では通常のガスタービンエンジン燃焼ライナー、タービンノズル静翼、タービンロータのシュラウド、又は、フィルム冷却を用いるように設計された他の構成部材に同じように構成することができる。
【0014】
本発明によれば、典型的な個々のガスタービンエンジン構成部材には、非常に多くのディフューザー15及びそれに対応する数の供給孔16、更にかなりの数の個々の構成部材を形成しなければならないので、製造コストを減少するために、ディフューザー15及び供給孔16を比較的安価に、比較的速く、比較的精確に形成或いは機械加工することが望まれている。図2及び図3はより具体的に、開口14及びそれに対応する貫通供給孔16がディフューザー15と翼12の内側チャンネル18との間に配置された例示的に最終的な形で示されている。
【0015】
図1に簡略示すように、動翼8は多軸機械10内に略図的に示されているジグ22に適当に固定して支持されて、典型的には並進及回転運動軸が3乃至8軸である機械10の運動のいろいろな程度で動くことができるようにされる。ジグ22は、製造中に動翼8を固定して保持するために従来の任意の形状とすることができる。機械10は、製造工程中動翼8の精確な運動を生じるため従来のコンピュータ数値制御(CNC)の形式のものである。
【0016】
機械10は更にそれに対して適当に固定的に結合された従来の工業用レーザー24を含む。レーザー24自体も焦束レンズ24aの様な各種のブレードを含み、形状は通常のものであるが、これから記述するように本発明に従って動作される。本発明によれば、レーザー24は順に各開口14に対する個々の非円形断面のディフューザー15及びそれに対応する供給孔16を簡単で、安価に、精確な製造方法で機械加工即ち形成するために動作される。図1に示す実施例では、対応する供給孔16とディフューザー15を順に機械加工するために、本発明に従って構成された好ましくは従来のND:YAGレーザーである。本発明は、供給孔を用いないか、及び/又は、例示のディフューザー15とは目的及び使用が異なる他の形式の非円形断面の開口或いは穴の形成に用いることができる。
【0017】
例示の開口14は軸17を有する円形断面の供給孔16と台形断面のディフューザー15を有する。ディフューザー15は、軸17と交差し、且つ、ディフューザーの第一側縁32及び第二側縁34と平行な中心線30を有する。ディフューザー15の平行な前縁36及び後縁38は中心線30に垂直であり、第一側縁32及び第二側縁34に対してそれぞれ鋭角をなしている。図9により具体的に示されているように、ディフューザー15の台形断面は側壁Wと傾斜壁WRとの間の角Cでかなり丸みを付けられていることに注意されたい。各ディフューザー15はディフューザーの底23から壁21の外側表面25まで外方に広がっている。
【0018】
本発明は、金属から作られている壁21に開口14を形成するレーザー機械加工法を提供する。好ましくは、レーザー24を最初に用いてレーザービーム24bを発生し、そのレーザービームを軸17に沿って向けて供給孔が完了するまで放射して、円形断面の供給孔16を形成する。供給孔16は中心合わせ孔としても作用するので、好ましくは最初に供給孔16をレーザー24でドリル加工し、ディフューザー15の機械加工中ディフューザー15を適正に形成する助けとする。次に、レーザー24を用いて壁21の金属を少しづつ蒸発するに十分なパルス繰り返し率及び出力を有するレーザービーム24bを発生させ、外表面25を横切って、好ましくは一定の鋭角Aで、ディフューザー15の中心線から開始して一回のパスでディフューザーの予定の第一側縁32までレーザービームを照射し横断させてディフューザーが形成される。
【0019】
図4及び図6に示すように、レーザービーム24bの最初の横断1は中心線30から第一側縁32まで行われる。最初の横断1とそれに続く横断は、各ビームパルスが円で記された様にレーザースポットSの所で金属を蒸発し、相次ぐレーザースポットが互いに実質的に重なり合いその重なり程度が減少していくように横断期間中その速度を増加しながら行われる。これは、パルスが金属を少しづつ削り取って、外表面25より下で幅WTを有する第一の溝40を形成し、ディフューザー15の形状が側壁Wと傾斜壁WRの間の角Cで滑らかな一体性を与える。横断は好ましくは直線状に行い、且つ、鋭角Aは、第一側縁32、第二側縁34、及び前縁36、後縁38によって画定されるディフューザー15の出口面15Eに対して好ましくは一定に保たれる。鋭角Aは中心合わせ且つ供給孔16の軸17と同じ角度にするのが好ましい。横断期間中の速度の増加は、多軸機械10の送り速度を一定の設定値に設定し、それから、多軸機械とレーザーパルス動作を同時に始動して、横断が設定値に向かって加速を開始するが、実際にその設定値に達する前に停止し、レーザーも照射を終える様にして行うことができる。
【0020】
先に形成した第一の溝40と同じ幅WTを有し同一線上の第二の溝は、同様に中心線30から第二側縁34までのレーザービーム24bの第二の横断2によって形成して、平均第一長さL1を有する第一の長い溝43を形成する。複数の、本実施例では3、隣接した長い溝が、それぞれレーザービームを直線的に横断させ、スポットSの平行な列に沿って金属を蒸発させて、スポットの複数の列が少なくとも接し、好ましくは重なり合うようにして複数の隣接した長い溝を形成することにより、第一側縁32と第二側縁34との間に形成される。図4、7、及び8に図示しているのはそれぞれ順次更に短い長さL2及びL3を有する第2及び第3の重なり合う隣接溝44及び46である。第2の長い溝44は第三及び第四の横断3及び4によって形成され、第三の長い溝46は第五及び第六の横断5及び6によってそれぞれ形成される。典型的な実施例に示すように隣接する長い溝は異なる長さ(L1−L3)とし、略台形断面形状のディフューザー15を形成するために、溝の長さと直角の方向、即ち、前縁36から後縁38の方向、で隣接溝の長さを狭めることができる。ディフューザーは上記横断1−6からなるシーケンスを2回以上、或いは他の数の横断を、利用することにより少しづつ削った層を形成することができるが、その際、各横断はディフューザーのほぼ中心線から開始して、側縁の一方に外方に向かって進み、且つ、鋭角Aは、ディフューザー15の出口面15Eに対して好ましくは一定に保たれる。
【0021】
横断のシーケンスを複数回行い、且つ、パルス繰り返し率及び送り速度を適当に選択することにより、スポットの位置のパルスエネルギが離散するように互いに十分離隔させるために、相次ぐスポットが順次互いに重ならない。従来のドリル加工作業では、例えば、相次ぐパルスは同じスポットの上に働き、同一のスポットの所で材料を蒸発するためパルスエネルギは加わり合い、材料を貫通して孔をドリル加工する。この従来のドリル加工作業はレーザーエネルギを集中させ、且つ、典型的には、集中した熱及びその比較的大な熱影響領域のために、作業中パルスの公称直径よりもスポットの寸法を大きくする。このことは、溝の制御を難しくし、且つギザギザの表面を生じる。これに対して、本発明はレーザービーム24bを急速に横断することにより何れのスポットの所でもパルスエネルギが集中するのを防ぎ、このためパルスエネルギ及びそれに対応するスポットSは横方向に離散してエネルギを分散する。レーザービーム24bの一連のパスを利用し、個々のパス内ではなく、相次ぐパス間でスポットが結局は互いに重なりあってディフューザー15を形成することにより、レーザービームパルスエネルギはディフューザーに沿って分布し全体に効果的に平均化することができる。これは、前述したプラス・マイナス約20%の大きさになりうるパルスエネルギの大きな変動を、それにも拘わらずディフューザー15を精確に形成するように効果的に調節する。パルスエネルギをディフューザー15に沿って長さ方向に分布するので、その結果得られる溝の直径は、個々のスポットSの直径に略等しく、ディフューザーの寸法を精確に加工して、それぞれ略真っ直ぐな前縁36及び後縁38並びに第一側縁32及び第二側縁34をを得ることができる。横断期間中の速度を増加することは、形成される長さ方向のディフューザー15の側壁W及び壁傾斜WRはそれにより比較的表面が平滑で、所期のフィルム冷却をする環境でディフューザーの動作中適当な滑らかな空気力学的性能を得るために、比較的にほとんどでこぼこがない。
【0022】
典型的な実施例では冷却用開口はレーザービーム24bの直径Dを有し、それに対応するスポットSの一つは0.178−0.381ミリメーター(7−15ミル)の典型的な範囲にある。典型的なND:YAGの形式のレーザー24は、本発明による好ましいパルス繰り返し率は約10−50Hzの範囲が好ましく、パルス持続期間は約0.6−2.0ミリ秒(ms)の従来の範囲で、約30−300ワットの範囲の従来の平均出力で動作させることができる。本発明によれば、完全な横断の少なくとも2回のシーケンスでディフューザーを形成するために、機械10の送り速度を毎分約254−1270ミリメーター(10−50インチ)の好ましい範囲に設定し、レーザービーム24bを加速して横断させるために、静止レーザー24に対し翼12を横断するのに機械10を従来のように動作させることができる。
【0023】
レーザー24及びレーザービーム24bを用いて、壁21を貫通して供給孔16をドリル加工するさらに具体的な方法では、全開口が終了すると、供給孔は内側表面26から壁の外側表面25へ壁中へ約半分のような途中まで、且つディフューザー15の底まで延びている。本発明の方法は、動翼或いは静翼の冷却式タービン翼又は燃焼器ライナーのような金属製の壁を貫通する複数の冷却用開口を形成するのに用いることができる。
【0024】
以上、本発明の好適且つ典型的実施例と考えられるものについて説明したが、本発明の他の改変はここに教示したことから当業者に明らかであり、従って、そのような改変は全て本発明の思想及び範囲に在るものとして、特許請求の範囲で保証されることを要望する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例に従って、典型的な中空冷却可能なガスタービンエンジンのロータ動翼のような構成部材を対応するジグに保持する典型的な多軸機械と、構成部材にスロット及び孔のような開口を機械加工するレーザービームの略図を示す。
【図2】図1に示すガスタービンの動翼の翼の一部分をそこに形成した典型的な冷却用開口を通して線2−2に沿ってとった断面図。
【図3】図1に示す翼のスロットの一部を通って線3−3に沿ってとった断面図。
【図4】壁を貫通してレーザー機械加工される冷却用開口のディフューザー部分の線4−4に沿ってとった正面図であり、非円形ディフューザー部分のレーザービームでの形成を示すが、これは引き続きディフューザーの下の壁の残りを貫通して供給孔をレーザーでドリル加工される。
【図5】本発明の実施例による、供給及び中心合わせ孔のレーザーでの形成を示す斜視図。
【図6】本発明の実施例による、ディフューザーの第1の溝のレーザーによる形成を示す斜視図。
【図7】本発明の実施例による、ディフューザーの隣接し重なり合う第2の溝をレーザーでの形成を示す斜視図
【図8】本発明の実施例による、図4に示すレーザービームの複数の横断からなる第1のシーケンスで形成させたディフューザーの隣接し重なり合う第3の溝のレーザーでの形成を示す斜視図
【図9】本発明の実施例による、図4に示すレーザービームの横断の2回のシーケンスで形成させた完成した開口を示す斜視図
【符号の説明】
1,2,3,4,5,6:レーザービームの横断
14:開口
15:ディフューザー15
21:金属製構成部材の壁
24:レーザー
24b:レーザービーム
30:ディフューザーの中心線
32:ディフューザーの第一側縁
34:ディフューザーの第二の側縁
Claims (10)
- 金属製構成部材の壁(21)に、ディフューザー(15)の底(23)から壁(21)の第一表面(25)へ上方且つ外方に開いているようなディフューザー(15)を有する開口(14)を形成する方法であって、
A)金属を蒸発するに十分なパルス繰り返し率及び出力を有するレーザービーム(24b)を生じるレーザー(24)を用いて壁(21)をレーザー加工し、
B)ディフューザー(15)の予定の第一の側縁(32)に向けてディフューザー(15)の中心線(30)から始まって、単一パスで表面を横切って鋭角(A)でレーザービーム(24b)を発射し横断させ、そして、
C)前記パス期間中、増加する速度でレーザービーム(24b)を横断させて、相次ぐレーザー・スポット(S)が互いに実質的に重なりながらその重なりが減少していくようにし、且つ、パルスが金属を少しづつ削って連続した溝が前記表面より下(40)に形成されるように各ビームパルスがレーザースポット(S)の所で金属を蒸発させる、ことからなる方法。 - 第二の溝(42)を、レーザービーム(24b)をディフューザー(15)の反対側の予定の第二の側縁(34)に向かって表面を横切って横断させて同じように形成して、一つの長い連続した溝(43)を形成する請求項1記載の方法。
- レーザービーム(24b)を直線的に横断させ、スポット(S)の隣接する複数の列が少なくとも接するように、スポット(S)の複数の平行な列に沿って金属を蒸発させて複数の隣接する長い溝(43,44,46)が一方の側縁(36)から他方の側縁(38)まで形成される請求項2記載の方法。
- 隣接する複数のスポット(S)の列が重なり合い、実質的に台形のディフューザー(15)を形成するため、隣接する長い溝は異なる長さ(L1,L2,L3)を有し、溝の長さ方向に直角な方向では長さを狭めた請求項3記載の方法。
- 更に、横断(1,2)からなるシーケンスを少なくとも2回以上含み、前記横断はそれぞれディフューザー(15)のほぼ中心線(30)から開始して、側縁(32,34)の一方に外方に向かって進み、鋭角(A)は全横断期間中一定に保たれる請求項3記載の方法。
- 供給孔(16)がディフューザー(15)のほぼ中心で壁(21)の第一表面(25)上にレーザービーム(24b)を少なくとも一回当てて最初に形成される請求項5記載の方法。
- 前記供給孔(16)を加工する工程において、前記供給孔(16)は第二の表面(26)から壁(21)の第一表面(25)に対して、且つディフューザー(15)の底(23)まで延びていて、ディフューザー(15)より前に前記供給孔(16)が形成され、前記供給孔(16)が中心合わせ孔として用いられる請求項6記載の方法。
- 金属製で且つ外及び内表面(25及び26)有する壁(21)を貫通して複数の冷却用開口(14)を形成する方法であって、開口(14)は、長さ方向に離隔した前及び後縁(36及び38)並びに横方向に離隔した第一及び第二側縁(32及び34)を有するディフューザー(15)を含み、ディフューザー(15)はその底(23)から構成部材の壁(21)の第一の表面(25)まで上方外方に広がっているものにおいて、各開口(14)に対する工程が、
A)金属を蒸発するためのパルス繰り返し率及び出力を有するレーザービーム(24b)を生じるレーザー(24)を用いて壁(21)をレーザー加工し、
B)供給且つ中心合わせ孔(16)をディフューザー(15)のほぼ中心で壁(21)の第一表面(25)上をレーザービーム(24b)でレーザー機械加工し、
C)ディフューザー15の長さ方向に延びる中心線(30)から開始してディフューザー(15)の第一側縁(32)まで後縁(38)に沿って1回のパスで前記表面を横方向に横切って、鋭角(A)でレーザービーム24bを増加する速度で横断させて、各ビームパルスがスポット(S)の所で前記壁の金属を蒸発し、相次ぐレーザー(24)の当たるスポット(S)が互いに実質的に重なり合って重なり程度が減少していくようにして前記パルスが金属を少しづつ削り取り、集合的に前記表面より下に深さが減少していく溝(40)の連続した部分を形成し、次いで、
D)ディフューザー(15)の長さ方向に延びる中心線(30)から開始してディフューザー(15)の反対側の第二側縁(34)まで1回のパスで前記表面を横方向に横切って、鋭角(A)でレーザービーム(24b)を増加する速度で横断させて、各ビームパルスがスポット(S)の所で前記金属を蒸発し、相次ぐレーザー(24)の当たるスポット(S)が互いに実質的に重なり合ってその重なり程度が減少していくようにして前記パルスが金属を少しづつ削り取り、集合的に前記表面より下に深さが減少していく溝(44)の連続した残りの部分を形成する、ことからなる、方法。 - 複数の隣接した重なり合う溝(40,44)が、先に形成された溝から始まって前縁(36)まで並べて形成されて、中空にされたディフューザー(15)を形成する請求項8記載の方法。
- 台形のディフューザー(15)を形成するため、隣接する前記溝の長さ(L1,L2,L3)は、前記後縁(38)から前記前縁(36)方向にいくに従い狭められるように、前記横断が一連以上行われる請求項9記載の方法。
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