JP2000141069A - タービン翼およびその冷却孔加工方法 - Google Patents

タービン翼およびその冷却孔加工方法

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JP2000141069A
JP2000141069A JP10319607A JP31960798A JP2000141069A JP 2000141069 A JP2000141069 A JP 2000141069A JP 10319607 A JP10319607 A JP 10319607A JP 31960798 A JP31960798 A JP 31960798A JP 2000141069 A JP2000141069 A JP 2000141069A
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hole
cooling
cooling hole
turbine blade
diffusion
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JP10319607A
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Yoshinobu Makino
吉延 牧野
Kazuhide Matsumoto
一秀 松本
Yoshio Takahashi
義雄 高橋
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】冷却孔を効率良く形成して、かつガスタービン
翼全体を均一に冷却できるガスタービン翼およびその冷
却孔加工方法を得る。 【解決手段】基材にレーザ光を照射して小径の冷却孔を
形成するピアシング工程後、小径孔の中心軸に対してレ
ーザ光の光軸を傾斜させて基材表面に向かって除々に拡
径されるディフュージョン形状の冷却孔15を形成する
ディフュージョン形状孔形成工程を施し、その後、小径
孔の中心軸を中心としてレーザ光の光軸を円運動させて
径が同一であるストレート形状の冷却孔14を形成する
ストレート形状孔形成工程を施すことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に、冷却効率を
向上させた冷却孔を有するタービン翼およびその冷却孔
加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ガスタービンのタービン翼、燃焼器およ
びシュラウドセグメントなどの高温部材は、ガスタービ
ンの燃焼ガス温度に絶えるため、従来より耐熱合金が用
いられている。
【0003】また、これらの高温部材の温度上昇を防止
するために、燃焼ガス温度よりも低い温度の冷却空気を
用いて高温部材を冷却する技術が開発されている。これ
らの冷却技術としては、例えば、対流冷却、インピンジ
冷却、フィルム冷却およびトランスピレーション冷却な
どが挙げられる。
【0004】これらのなかでも、フィルム冷却は、基材
表面の温度を冷却するために、基材表面に多数のフィル
ム冷却孔を設けている。そして、これらの冷却孔からタ
ービン翼壁面などに冷却空気を吹き出させ、この冷却空
気によりタービン翼表面に膜状の冷却空気層を形成させ
ることで、高温ガス流から基材を保護している。
【0005】従来、フィルム冷却孔の作製には、放電加
工が適用されていた。
【0006】放電加工は、最終的に作製する冷却孔と同
形状の鋳型電極を作製して冷却孔を作製する。このた
め、放電加工によれば、どのような形状の冷却孔であっ
ても精度良く作製することができるという利点を有する
ものの、各冷却孔ごとに鋳型電極を作製するためにコス
ト高となってしまい、また加工の手間がかかるという問
題を有していた。
【0007】そこで、近年においては、ハイパルス形状
を有するYAGレーザなどを用いてレーザ加工を採用す
ることで、冷却孔加工におけるコストを低減するととも
に、フィルム冷却孔作製の生産効率を向上させている。
【0008】例えば、特開平9−144504号公報に
掲載されているように、冷却孔の形成にレーザ加工が適
用されている。
【0009】図7は、ガスタービン静翼の冷却孔加工方
法の一例を示す図である。
【0010】図7に示すように、ガスタービン静翼1の
基材には、多数のフィルム冷却孔2が設けられている。
【0011】これらのフィルム冷却孔2は、図示しない
YAGレーザ発振器から発振されたレーザ光3が集光レ
ンズ4により集光され、その集光されたレーザ光がガス
タービン静翼1に照射されて、ガスタービン静翼1の基
材を貫通して形成される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たレーザ光により冷却孔を作製すると、放電加工と比較
してコスト低減を図れるという利点を有するものの、冷
却孔の形状が限定されてしまうことから、十分な冷却効
果を得ることができないという問題を有していた。
【0013】図8は、レーザ加工による冷却孔の断面形
状を示す図である。
【0014】図8(a)に示すように、冷却空気は、ガ
スタービン静翼1の内部(上流側)から外部(下流側)
へと矢印Aに示すように流れる。ところが、レーザによ
り作製した冷却孔2では、冷却孔2出口の下流側近傍5
には十分に冷却されない範囲があり、このため十分な冷
却効果を得ることができなかった。
【0015】また、冷却孔2出口の下流側近傍5の十分
に冷却されない範囲を冷却するために、特開平9−14
4504号公報では、図8(b)に示すように、冷却孔
出口の下流側を拡径した冷却孔6を加工している。しか
し、この場合においても未だ十分な冷却効果を得ること
ができなかった。
【0016】このように、図8の(a)および(b)に
示す冷却孔2および冷却孔6において、さらに使用する
ガス温度が高くなった場合には、運転中に基材温度の上
昇によりタービン翼が損傷する可能性が生じてしまう問
題を有していた。
【0017】本発明は、このような問題を解決するため
になされたものであり、冷却孔を効率良く形成してコス
ト低減を図るとともに、冷却効率を向上させたガスター
ビン翼およびその冷却孔加工方法を提供することを目的
とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
タービン翼の基材に冷却ガスを吹き出すための複数の冷
却孔をレーザ加工により作製するタービン翼の冷却孔加
工方法において、前記基材にレーザ光を照射して小径の
冷却孔を形成するピアシング工程後、前記小径孔の中心
軸に対して前記レーザ光の光軸を傾斜させて前記基材表
面に向かって除々に拡径されるディフュージョン形状の
冷却孔を形成するディフュージョン形状孔形成工程を施
し、その後、前記小径孔の中心軸を中心として前記レー
ザ光の光軸を円運動させて径が同一であるストレート形
状の冷却孔を形成するストレート形状孔形成工程を施す
ことを特徴とする。
【0019】本発明によれば、レーザ加工を用いること
により、基材表面に向かって除々に拡径される冷却孔を
効率良く加工できることから、コスト低減を図るととも
に、冷却効率を向上させたガスタービン翼を得ることが
できる。
【0020】請求項2記載の発明は、請求項1記載のタ
ービン翼の冷却孔加工方法において、ピアシング工程お
よびストレート形状孔形成工程においては、レーザ光の
焦点位置を冷却空気出口側の基材表面に設定し、ディフ
ュージョン形状孔形成工程においては、前記レーザ光の
焦点位置を冷却空気入口側の基材内面に設定することを
特徴とする。
【0021】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載のタービン翼の冷却孔加工方法において、基材に対
するレーザ光の光軸の傾斜角度を2°〜30°に設定
し、長円状の開口部を有するディフュージョン形状孔を
形成することを特徴とする。
【0022】本発明において、長円状(長方形の両短辺
を半円弧状としたもの(レーストラック形状))の開口
部を有するディフュージョン形状孔を形成することで、
タービン翼の基材を効率良く冷却できる。また、冷却孔
の開口部は、長円状に限定されるものではなく、冷却孔
が設けられるタービン翼の箇所によって、冷却孔の開口
部の形状を変えることにより冷却性能を随時変えること
ができる。
【0023】また、基材に対するレーザ光の光軸の傾斜
角度は板厚に依存するものであるが、板厚が1〜2mm
の場合には、基材に対するレーザ光の光軸の傾斜角度
は、3°〜7°の範囲とすると好ましい。
【0024】請求項4記載の発明は、請求項1または2
記載のタービン翼の冷却孔加工方法において、基材に対
するレーザ光の光軸の傾斜角度を5°〜25°に設定
し、かつ、前記レーザ光の光軸を1°〜45°旋回させ
て、扇型形状の開口部を有するディフュージョン形状孔
を形成することを特徴とする。
【0025】本発明において、扇型形状の開口部を有す
るディフュージョン形状孔を形成すことで、基材の冷却
面積を向上させることができる。なお、基材に対するレ
ーザ光の光軸の傾斜角度は10°〜15°、またレーザ
光の光軸を15°〜25°とするとより好ましい。
【0026】請求項5記載の発明は、請求項1から4ま
でのいずれかに記載のタービン翼の冷却孔加工方法にお
いて、ストレート形状孔をレーザ加工、かつディフュー
ジョン形状孔を放電加工して冷却孔を加工し、または、
ストレート形状孔およびディフュージョン形状孔の両者
とも放電加工して冷却孔を加工することを特徴とする。
【0027】レーザ加工によれば、冷却孔の形状加工性
が良く、またコストを低減することができる。一方、放
電加工によればさらに加工性が優れ、精度の高い形状を
作製できるが、一方において、コストが高くなるという
欠点を有する。このため、これらの諸条件を考慮してレ
ーザ加工または放電加工のどちらかを用いることによ
り、所望のタービン翼を得ることができる。
【0028】請求項6記載の発明は、請求項5記載のタ
ービン翼の冷却孔加工方法において、放電加工電極は、
0.05〜5.0mmの板厚を有するCu平板電極から
なり、前記Cu平板電極は、作製するディフュージョン
形状孔の鋳型形状を有する鋸型電極であることを特徴と
する。
【0029】本発明によれば、放電加工電極が薄い平板
電極からなるため作製し易く、また、コストの低減を図
ることができる。また、放電加工電極を鋸型形状とした
ことから、効率良く冷却孔を加工することができる。
【0030】請求項7記載の発明は、請求項5または6
記載のタービン翼の冷却孔加工方法において、放電加工
電極をディフュージョン形状孔の形状に沿って円運動さ
せ、放電加工することを特徴とする。
【0031】請求項8記載のタービン翼は、タービン翼
の基材内側に配置され、同一径を有するストレート形状
孔と、タービン翼の基材外側に配置され、前記基材表面
に向かって除々に拡径されるディフュージョン形状孔と
から構成される冷却孔を有することを特徴とする。
【0032】請求項9記載のタービン翼は、請求項1か
ら7までに記載のタービン翼の冷却孔加工方法により作
製される。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図1〜
図6を用いて説明する。
【0034】第1実施形態(図1〜図3) 本実施形態においては、レーザ光を用い、ガスタービン
静翼の空気出口形状、即ち、ガスタービン静翼に長円状
(長方形の両短辺を半円弧状としたもの(レーストラッ
ク形状))の開口部を有する冷却孔を作製した。また、
この冷却孔はストレート形状の冷却孔とディフュージョ
ン形状の冷却孔とから構成される。
【0035】ガスタービン静翼の基材として、Ni基ま
たはCo基の超合金を用い、ガスタービン翼面の板厚を
1.0mmから5.0mmの範囲とした。また、レーザ
としてYAGレーザを採用した。
【0036】図1は、ガスタービン静翼における冷却孔
の加工方法を示す図である。
【0037】図1(a)に示すように、ガスタービン静
翼の基材10に対し、集光レンズ11にて集光されたレ
ーザ光12を基材10に照射した。この時、ガスタービ
ン静翼面と冷却孔の中心軸との角度Θは、15°〜45
°の範囲とした。
【0038】以下において、レーザによる冷却孔の孔あ
け手順を説明する。
【0039】まず、ピアシングと呼ばれる、可能な限り
小さい孔をあける処理をガスタービン静翼の基材10に
施した。なお、ピアシング径φは、0.1〜0.2mm
の範囲とし、ピアシング形成における他の各条件は表1
に示すようにした。
【0040】
【表1】
【0041】表1に示すように、ピアシングの各条件
は、レーザ光のパルス幅を0.1〜2.0msおよびレ
ーザエネルギーを5〜20J/パルスとし、また、孔あ
け用ガスとして、Nガス、Arガス、Oガスまたは
エアーを用い、ガス圧を2〜10kgf/cmとし
た。そして、レーザ光12は移動させず、レーザ光12
の焦点位置をガスタービン静翼の基材10表面とした。
【0042】そして、ショット数はレーザ光12が貫通
すれば照射を止める程度とした。なお、ピアシング形成
は基材10の板厚により異なるが、本実施形態において
は、数ショットでピアシングが終了した。
【0043】次に、ディフュージョン形状の冷却孔を形
成した。
【0044】レーザ光12の基材10への入射角度Θ
は、ピアシング形成時の入射角度Θのまま変化させず、
レーザ光12の焦点位置をガスタービン静翼の内面に設
定した。そして、図1(b)に示すように、焦点位置を
中心として、角度δを1°から30°までの範囲で傾斜
させて、レーザ光12を(L)から(M)にまで移動さ
せた。そして、(L)から(M)を経た後、同様にレー
ザ光12を(M)から(N)まで移動させた。なお、デ
ィフュージョン形状の冷却孔形成時における孔加工条件
は、表1に示すように、レーザ光のパルス幅を0.1〜
2.0ms、パルスデュティを5〜50Hz、レーザエ
ネルギを5〜20J/パルスおよび孔あけ速度を1°〜
10°/secとした。また、孔あけ用ガスとして、N
ガス、Arガス、Oガスまたはエアーを用い、ガス
圧を2〜10kgf/cmとした。
【0045】そして最後に、ストレート形状の冷却孔を
形成した。
【0046】まず、ガスタービン静翼の内面に設定され
たレーザ光12の焦点位置をピアシング形成時における
焦点位置、即ち、ガスタービン静翼の基材10表面にレ
ーザ光12の焦点位置を戻した。その後、レーザ光12
を移動させながら円形を描き、ストレート形状の冷却孔
を形成した。なお、ストレート形状の冷却孔形成時にお
ける孔加工条件は、表1に示すように、レーザ光のパル
ス幅を0.1〜2.0ms、パルスデュティを5〜50
Hz、レーザエネルギーを5〜20J/パルスおよび孔
あけ速度を1〜50mm/min(板厚に依存)とし
た。また、孔あけ用ガスとして、Nガス、Arガス、
ガスまたはエアーを用い、ガス圧を2〜10kgf
/cmとした。
【0047】このような手順により作製されたガスター
ビン静翼の冷却孔を図2に示す。
【0048】図2は、ガスタービン静翼の基材上面から
みた冷却孔を示す図である。
【0049】図2に示すように、冷却孔13の空気入口
である上流側、即ち、ガスタービン静翼内面側の冷却孔
は円柱形状、即ち、ストレート形状の冷却孔(以下、
「ストレート形状孔」という)14であり、このストレ
ート形状孔14の直径φは、0.2から6.0mmの範
囲であった。そして、このストレート形状孔14はガス
タービン静翼基材のほぼ真ん中から拡径され、ディフュ
ージョン形状の冷却孔(以下、「ディフュージョン形状
孔」という)15を形成している。そして、冷却空気の
出口である下流側、即ち、ガスタービン静翼の基材表面
には長円状(長方形の両短辺を半円弧状としたもの(レ
ーストラック形状))の開口部が設けられ、上流側から
下流側へ向かって冷却孔13は拡径されている。
【0050】図3は、冷却孔形状の差異による、ガスタ
ービン静翼表面における冷却面積を示す比較図である。
【0051】図3(a)に示すように、従来における冷
却孔16の出口形状は円形状の開口部であり、上流側か
ら下流側に向かって冷却空気が流れる領域17、即ち、
冷却面積はそれ程増加していない。一方、本実施形態に
おいては、冷却孔13の出口形状が長円状の開口部であ
り、上流側から下流側に向かって冷却空気が流れる領域
18、即ち、冷却面積は従来における冷却孔16と比較
して格段に増加している。
【0052】このことから、図3(b)に示すように、
従来においては冷却孔16の下流側の一部のみが冷却さ
れており、冷却効果がそれ程優れていなかったが、本実
施形態によれば、冷却孔13の出口形状が長円形状であ
ることから、冷却面積が広がり、ガスタービン静翼基材
の冷却性能を飛躍的に向上させることができる。
【0053】本実施形態によれば、冷却孔13同士の間
隔を狭くしてガスタービン静翼の基材10に冷却孔13
を配置することにより、効率良く基材10を冷却するこ
とができる。このため、晒されるガス温度が高い場合に
おいても、基材10が十分冷却されるため、基材10の
劣化を促進して運転時の高温強度を維持することができ
る。
【0054】また、冷却孔13の加工において、最後に
ストレート形状孔14を形成することにより、ピアシン
グおよびディフュージョン形状孔15の形成において、
冷却孔13内面に残存した溶融層を最小とすることがで
きる。
【0055】さらに、本実施形態によれば、ディフュー
ジョン形状孔15の形成時において、焦点位置をガスタ
ービン静翼基材の内面に移動させるこよにより、基材1
0の最小孔径の変化を抑えて、冷却孔13内面の基材1
0のダメージを小さくすることができる。なお、本実施
形態においては用いなかったが、レーザ光12の翼内面
へのダメージを抑制するため、保護材をガスタービン静
翼の基材10に挿入することもできる。
【0056】第2実施形態(図4、図5) 本実施形態においては、ガスタービン静翼に扇型形状の
開口部を有する冷却孔を作製した。
【0057】図4は、扇型形状の開口部を有する冷却孔
の加工方法を示す図である。なお、図4(a)は第1実
施形態における図1(a)とほぼ同様の構成であるた
め、同一箇所には同一の符号を用いた。
【0058】図4(a)に示すように、ガスタービン静
翼の基材10に対し、集光レンズ11にて集光されたレ
ーザ光12を基材10に照射した。この時、ガスタービ
ン静翼面と冷却孔の中心軸との角度ηは、5°〜25°
の範囲とした。
【0059】また、冷却孔の形成方法は、第1実施形態
における長円状の開口部を有する冷却孔と同様で良く、
ピアシングを行った後、ディフュージョン形状孔15を
形成し、最後にストレート形状孔14を形成した。また
孔加工条件については、第1実施形態の表1と同様の孔
加工条件を用いた。
【0060】本実施形態においては、図4(b)に示す
ように、ストレート形状孔14の孔径φを0.2〜6.
0mmとし、また、扇型の角度δを1°〜45°の範囲
とした。
【0061】このようにして、ガスタービン静翼に扇型
形状の開口部を有する扇型冷却孔19を得た。
【0062】図5は、冷却孔形状の差異による、ガスタ
ービン静翼表面における基材温度を比較する図である。
【0063】図5(a)は、従来における冷却孔16を
示す断面図であり、図5(b)は、本実施形態における
扇型冷却孔19を示す断面図である。
【0064】また図5(c)には、従来の冷却孔16お
よび扇型冷却孔19について、冷却空気の基材位置と基
材温度との関係図を示した。
【0065】図5(a)に示すように、従来の冷却孔1
6では、冷却孔16の径が変化しないことから、冷却孔
16出口近傍20の冷却空気がガスタービン静翼の基材
10から離れ、図5(c)に示すように、基材10温度
が上昇し易かった。一方、本実施形態の扇型冷却孔19
によれば、図5(b)に示すように、ガスタービン静翼
表面の冷却孔19が基材10のほぼ真ん中から拡径され
ていることから、冷却孔19出口近傍21の冷却空気は
ガスタービン静翼基材10から離れない。このため、図
5(c)に示すように、基材10温度はそれ程上昇せ
ず、ガスタービン静翼基材10の温度上昇を効果的に抑
制することができる。
【0066】従って、本実施形態によれば、扇型形状の
開口部を有する冷却孔19を設けることで、冷却空気が
ガスタービン静翼基材10に触れる冷却面積が広がり、
ガスタービン静翼基材10の冷却性能を向上させること
ができる。
【0067】その他の実施形態(図6) 本実施形態においては、放電加工により冷却孔の作製を
行い、放電加工の効率を向上させたことについて説明す
る。
【0068】本実施形態では第1実施形態と同様に、ガ
スタービン静翼に長円状の開口部をを有する冷却孔を作
製した。
【0069】図6(a)は、放電加工用の鋸型電極を示
す図である。
【0070】図6(a)に示すように、鋸型のCu電極
22の板厚は、0.05〜5.0mmとした。なお、板
厚は冷却孔の形状によって変更する必要がある。また、
鋸の刃の部分における先端の角度Θは、作製する冷却孔
のディフュージョン形状により決めることができる。
【0071】このような鋸型電極22を図示しないガス
タービン静翼基材上に配置し、この鋸型電極22を上下
方向に移動させ、かつ、鋸型電極22を図6(a)に示
すBの矢印方向に回転させながら移動させた。これによ
り、図6(b)に示すC部に曲率を持たせ、かつ、ガス
タービン静翼基材に鋸型電極22を鋳型とした図6
(b)に示す冷却孔23を作製することができる。
【0072】図6(b)は、ガスタービン静翼の基材上
面からみた冷却孔を示す図である。図6(b)に示すよ
うに、冷却孔23の空気入口である上流側、即ち、ガス
タービン静翼内面側の冷却孔は円柱形状、即ち、ストレ
ート形状孔24であり、このストレート形状孔24はガ
スタービン静翼基材のほぼ真ん中から拡径され、ディフ
ュージョン形状孔25を形成している。そして、冷却空
気の出口である下流側、即ち、ガスタービン静翼の基材
表面には、長円状(レーストラック形状)の開口部を有
する冷却孔23が設けられ、上流側から下流側へ向かっ
て冷却孔23は拡径されている。
【0073】本実施形態によれば、放電加工により、デ
ィフュージョン形状を形成すると、レーザ光を用いた加
工より加工時間はかかるが、精度よくディフュージョン
形状孔25を形成することができる。なお、本実施形態
においては、鋸型電極22を製作したが、多数のストレ
ート形状を有する電極を用いて、冷却孔を形成しても良
い。
【0074】また、本実施形態においては、ガスタービ
ン翼の冷却孔加工方法について主に説明したが、他の高
温部品についても同様の方法を適用することができる。
【0075】
【発明の効果】以上で説明したように、本発明によるタ
ービン翼の冷却孔加工方法によれば、冷却孔を効率良く
形成してコスト低減を図り、また、高温ガスに晒される
タービン翼の基材を効率よく冷却することで、タービン
翼の基材劣化を防止し長寿命化を図ることができる。
【0076】
【図面の簡単な発明】
【0077】
【図1】本発明の第1実施形態における、ガスタービン
静翼における冷却孔の加工方法を示す図。
【0078】
【図2】本発明の第1実施形態における、ガスタービン
静翼の基材上面からみた冷却孔を示す図。
【0079】
【図3】本発明の第1実施形態における、冷却孔形状と
翼表面での冷却空気の下流側への流れる面積の比較を示
す図。
【0080】
【図4】本発明の第2実施形態における、扇型形状の開
口部を有する冷却孔の加工方法を示す図。
【0081】
【図5】(a)は、従来における冷却孔16を示す断面
図、(b)は、扇型冷却孔を示す断面図で冷却孔形状の
差異による、ガスタービン静翼表面における基材温度を
示す比較図。
【0082】
【図6】(a)は、放電加工用の鋸型電極を示す図、
(b)は、ガスタービン静翼の基材上面からみた冷却孔
を示す図。
【0083】
【図7】従来における、レーザ孔あけ方法を説明する翼
断面図。
【0084】
【図8】従来における、レーザ孔あけ方法を示す説明
図。
【0085】
【符号の説明】
10 ガスタービン静翼の基材 11 集光レンズ 12 レーザ光 13 冷却孔 14 ストレート形状孔 15 ディフュージョン形状孔 16 従来における冷却孔 17 冷却空気が流れる領域 18 冷却空気が流れる領域 19 扇型冷却孔 20 冷却孔16の出口近傍 21 冷却孔19の出口近傍 22 鋸型電極 23 冷却孔 24 ストレート形状孔 25 ディフュージョン形状孔
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B23K 26/04 B23K 26/04 C F01D 5/18 F01D 5/18 9/02 102 9/02 102 (72)発明者 高橋 義雄 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 Fターム(参考) 3C059 AA01 AB01 CH12 DA03 HA13 HA14 3G002 CA06 CA15 CB01 GA08 GB01 4E068 AF00 AF02 CA11 DA00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タービン翼の基材に冷却ガスを吹き出す
    ための複数の冷却孔をレーザ加工により作製するタービ
    ン翼の冷却孔加工方法において、前記基材にレーザ光を
    照射して小径の冷却孔を形成するピアシング工程後、前
    記小径孔の中心軸に対して前記レーザ光の光軸を傾斜さ
    せて前記基材表面に向かって除々に拡径されるディフュ
    ージョン形状の冷却孔を形成するディフュージョン形状
    孔形成工程を施し、その後、前記小径孔の中心軸を中心
    として前記レーザ光の光軸を円運動させて径が同一であ
    るストレート形状の冷却孔を形成するストレート形状孔
    形成工程を施すことを特徴とするタービン翼の冷却孔加
    工方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のタービン翼の冷却孔加工
    方法において、ピアシング工程およびストレート形状孔
    形成工程においては、レーザ光の焦点位置を冷却空気出
    口側の基材表面に設定し、ディフュージョン形状孔形成
    工程においては、前記レーザ光の焦点位置を冷却空気入
    口側の基材内面に設定することを特徴とするタービン翼
    の冷却孔加工方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のタービン翼の冷
    却孔加工方法において、基材に対するレーザ光の光軸の
    傾斜角度を2°〜30°に設定し、長円状の開口部を有
    するディフュージョン形状孔を形成することを特徴とす
    るタービン翼の冷却孔加工方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載のタービン翼の冷
    却孔加工方法において、基材に対するレーザ光の光軸の
    傾斜角度を5°〜25°に設定し、かつ、前記レーザ光
    の光軸を1°〜45°旋回させて、扇型形状の開口部を
    有するディフュージョン形状孔を形成することを特徴と
    するタービン翼の冷却孔加工方法。
  5. 【請求項5】 請求項1から4までのいずれかに記載の
    タービン翼の冷却孔加工方法において、ストレート形状
    孔をレーザ加工、かつディフュージョン形状孔を放電加
    工して冷却孔を加工し、または、ストレート形状孔およ
    びディフュージョン形状孔の両者とも放電加工して冷却
    孔を加工することを特徴とするタービン翼の冷却孔加工
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のタービン翼の冷却孔加工
    方法において、放電加工電極は、0.05〜5.0mm
    の板厚を有するCu平板電極からなり、前記Cu平板電
    極は、作製するディフュージョン形状孔の鋳型形状を有
    する鋸型電極であることを特徴とするタービン翼の冷却
    孔加工方法。
  7. 【請求項7】 請求項5または6記載のタービン翼の冷
    却孔加工方法において、放電加工電極をディフュージョ
    ン形状孔の形状に沿って円運動させ、放電加工すること
    を特徴とするタービン翼の冷却孔加工方法。
  8. 【請求項8】 タービン翼の基材内側に配置され、同一
    径を有するストレート形状孔と、タービン翼の基材外側
    に配置され、前記基材表面に向かって除々に拡径される
    ディフュージョン形状孔とから構成される冷却孔を有す
    ることを特徴とするタービン翼。
  9. 【請求項9】 請求項1から7までに記載のタービン翼
    の冷却孔加工方法により作製されたタービン翼。
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