JP3719105B2 - 引戸開閉装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、引戸本体を電動開閉させる引戸開閉装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、引戸本体を電動開閉させるようにした引戸開閉装置が知られている。この種の引戸開閉装置には、商店やオフィスの入口などに設置される自動ドアとして用いられているものが多い。したがって、この種の引戸開閉装置では、引戸本体により開閉すべき開口部の近傍に設定した検知領域内における人の存否を検出する人感センサを設け、人感センサにより人の存在が検出されると、引戸本体を開放する構成が採用されている。
【0003】
この種の人感センサとしては、検知領域に超音波や赤外線を発射し反射波を検出することによって検知領域内での人の存否を検出する超音波式ないし光源式の人感センサが一般に用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した能動型の人感センサは、一般に複雑な構成を有しているから高価であり、また比較的大型であるから人感センサのみを独立して設置することになり設置施工や配線施工が面倒であるという問題を有している。さらに、室内では超音波や赤外線が多重反射する可能性があり、人が存在しないときに引戸本体が開閉されたり、引戸本体が開放されたままで閉じなかったりする誤動作が生じる可能性も高くなる。
【0005】
そこで、人感センサを用いずにスイッチなどで引戸本体を開放させ、引戸本体が開放された時点でタイマを起動し一定時間後に引戸本体を閉じるように制御することが考えられている。このような構成を採用すれば、別途に人感センサを設ける必要がないから、安価に提供することが可能であるが、人が通過しているか否かには無関係に引戸本体が閉じることになるから、安全性が低いという問題がある。また、タイマの時限時間は設置場所に応じて調節する必要があるから、時限時間の調節は難しく手間のかかる作業になる。
【0006】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、受動型の熱線センサを用いることにより施工を簡単に行うことができ、しかも人の通過中に引戸本体が閉じることのない安全性の高い引戸開閉装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、建物の開口部の上縁に沿って配設される鴨居と、鴨居の長手方向に走行自在となるように配置された引戸本体と、鴨居内に収納されるとともに複数個のコイルが鴨居の長手方向に列設された固定子ブロックと、固定子ブロックの前記コイルの少なくとも一部に対向するように引戸本体に配設され鴨居の長手方向に沿って交互に異極性の磁極が並ぶ永久磁石からなる可動子ブロックと、鴨居内に収納され引戸本体の位置および走行させる方向に応じて固定子ブロックの各コイルの励磁極性と励磁タイミングとを制御するコントローラとを備え、コントローラは、引戸本体の表裏の少なくとも一方側において人体から放射される熱線を検出することにより人の存否を検出する焦電型赤外線センサを用いた人感センサを備え、人感センサにより人が検出されている間は引戸本体を開放した状態に保つとともに、人感センサにより人が検出されなくなった時点を起点として引戸本体を閉じるタイミングを設定し、かつ人感センサの出力を引戸本体の全開時にのみ有効にするとともに引戸本体が閉方向に移動を開始すると無効にし、引戸本体が閉方向に移動を開始した後に引戸本体への負荷が増加すると引戸本体を開方向に移動させるものである。
【0008】
この構成によれば、人感センサとして赤外線を受光する受動型のものを用いているから、能動型のものに比較すると小型であり、コントローラに組み込むことが可能になる。その結果、人感センサを別途に設置する必要がなく施工が容易になるとともに、安価に提供することが可能になる。しかも、人が検出されている間には引戸本体を閉じないようにすることができるから、引戸本体を閉じるタイミングをタイマのみで制御する場合に比較すると引戸本体が不用意に閉じる可能性が少なくなり安全性が高くなる。また、人が検出されなくなった後に引戸本体を閉じるから、より一層安全性が高くなる。
【0009】
さらに、人感センサにより人が検出されなくなって引戸本体が閉方向に移動を開始した後には人感センサの出力が無効になるから、人感センサの出力でチャタリングを生じることがなく、安定した動作が期待できる。加えて、コントローラは、引戸本体が閉方向に移動を開始した後に引戸本体への負荷が増加すると引戸本体を開方向に移動させるから、引戸本体が全開した状態から閉方向に移動を開始すると人感センサの出力とは無関係に引戸本体を移動させるにもかかわらず、人が引戸本体に挟まることによる危険を回避することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図2に示すように、建物に設けられる開口部(たとえば、建物の出入口)の周縁に戸枠1が配設され、戸枠1内に引戸本体10が戸枠1内で走行自在となるように配設される。図示例では片引きの引戸を示しており、戸枠1を構成する鴨居31および敷居32は、長手方向の一端側が他端側の略半分の幅になるように鴨居31および敷居32の上記一端側には切欠部31a,32aがそれぞれ形成されている。したがって、戸枠1は鴨居31および敷居32と3本の縦枠33a〜33cとにより構成される。3本の縦枠33a〜33cのうちの1本の縦枠33aは鴨居31および敷居32の狭幅である上記一端に結合され、他の1本の縦枠33bは鴨居31および敷居32の広幅である上記他端に結合される。残りの1本の縦枠33cは切欠部31a,32aにおいて縦枠33bの一部に対向するように配置される。
【0011】
戸枠1は組み立てられた後に開口部内に配置され、釘等の固定具を用いて開口部に固定される。図2においては鴨居31をまぐさに固定するための釘状の固定具34を例示しているが、他の部材についても同様にして開口部に固定される。敷居32には長手方向の略全長に亙ってレール溝35が形成され、引戸本体10の下面に設けた戸車11がレール溝35に案内される。一方、鴨居31の下面側には下方に開放された断面コ字状の走行レール36が鴨居31の全長に亙って取り付けられており、引戸本体10の上部が走行レール36に嵌入される。つまり、引戸本体10は走行レール36とレール溝35とにより支持された状態で走行することになる。
【0012】
ところで、本実施形態において引戸本体10を走行させる動力源は、図3に示すように、鴨居31に設けた固定子ブロック2と引戸本体10に設けた可動子ブロック3とにより構成されたリニアモータからなる。鴨居31には図4に示すように、凹溝37が形成され、この凹溝37に固定子ブロック2が走行レール36とともに収納される。
【0013】
固定子ブロック2は、図10および図11に示すように、鴨居31の長手方向に等間隔で列設された複数個のコイル4を備える。ただし、鴨居31の長手方向の1箇所についてはコイル4に代えてセンサブロック5を配置してある。センサブロック5は3個のホールIC6を鴨居31の長手方向に等間隔で配列したものであり、中央のホールIC6は隣接する2個のコイル4の中央に位置し、残りのホールIC6は、中央のホールIC6に対してコイル4の配列ピッチの3分の1の距離だけ離れて配置される。ホールIC6は基板41に実装されており、固定子ブロック2を構成する鉄心ブロック42にスペーサ43を介して基板41が取り付けられる。
【0014】
鉄心ブロック42は板状のヨーク部42aに複数の鉄心42bを植設したものであって、各鉄心42bにコイル4が巻装される。したがって、コイル4に通電すればヨーク部42aを介して磁路が形成されることになる。また、固定子ブロック2において鉄心42bの側方には各コイル4および基板41に電気的に接続された接続基板44が配置される。本実施形態ではコイル4が3相で励磁されるように構成されており、接続基板44は各相のコイル4を互いに接続する。接続基板44の端部には信号用のコネクタ45aと電源用のコネクタ45bとが設けられ、コネクタ45a,45bは後述するコントローラ7に接続される。また、接続基板44には絶縁板46が重ねられる。
【0015】
ところで、図6に示すように、固定子ブロック2のヨーク部42aと走行レール36との間にはスペーサ47が介装され、スペーサ47を通る取付ねじ48によって固定子ブロック2が走行レール36とともに鴨居31に固定される。このように、鴨居31に固定子ブロック2を収納することによって、従来の手動式の引戸に用いる鴨居31と同程度の寸法で固定子ブロック2を備えた鴨居31を構成することが可能になる。
【0016】
一方、固定子ブロック2とともにリニアモータを構成する可動子ブロック3は、図2および図3に示すように、固定子ブロック2における各コイル4に対向するように配置され、かつコイル4との対向面に鴨居31の長手方向において交互に異極性の磁極が並ぶ永久磁石51を備える。永久磁石51は上下方向に着磁されており、永久磁石51の下面にはヨーク板52が固着される。ヨーク板52は鴨居31の長手方向における寸法が永久磁石51よりも長く、ヨーク板52の両端部はねじのような固定具53によって引戸本体10の上面に固着される。永久磁石51は上下方向に着磁された複数個の永久磁石を鴨居31の長手方向(ヨーク板52の長手方向)に配列するか、磁性体に多極着磁することによって形成されている。永久磁石51におけるコイル4との対向面に形成された磁極のピッチは、コイル4のピッチの3分の2に設定されている。したがって、コイル4への通電状態をホールIC6で検出される永久磁石51の極性に応じて順次変化させることで、固定子ブロック2と可動子ブロック3との間の磁力を、可動子ブロック3が固定子ブロック2に対して直進移動するように作用させることができ、結果的に鴨居31に対して引戸本体10を走行させることが可能になる。
【0017】
上述したように、リニアモータを構成する要素としての固定子ブロック2と可動子ブロック3とを、それぞれ鴨居31と引戸本体10とに分離して設けていることによって、従来から用いられている引戸本体10に可動子ブロック3を取り付けるとともに、固定子ブロック2を収納した鴨居31を用いることで、動力源により駆動される引戸を構成することができ、鴨居31は手動式の引戸と同寸法に形成することが可能であるから、鴨居31の交換によって手動式の引戸を電動式の引戸に交換することが可能になる。
【0018】
ところで、可動子ブロック2は上述したように複数個のコイル4を備え、またホールIC6を実装した基板41を備えている。可動子ブロック3を固定子ブロック2に対して走行させるには、ホールIC6の出力に基づいてコイル4への通電タイミングを制御する必要がある。そこで、コイル4への通電タイミングを制御するためにコントローラ7が設けられる。コントローラ7は図12および図13に示すように筐体61に収納されており、図5および図6に示すように、鴨居31の広幅部分における幅方向の一方側で凹溝37を形成していない部位に収納される。つまり、コントローラ7は建物の開口部における幅方向の中央付近に配置される。また、コントローラ7の筐体61の下面は鴨居31の他の部位の下面と揃えられている。筐体61をこのような位置に配置していることによって、コントローラ7の操作やメンテナンスに際して、コントローラ7は作業しやすい位置に設けられていることになる。
【0019】
コントローラ7は、図1に示す構成を有し、商用電源(AC100V)71から電源スイッチ72を介して整流平滑部73で整流平滑した直流電源を、パワー出力部74を通して固定子ブロック2のコイル4に与えるように構成されている。パワー出力部74ではコイル4への通電のタイミングを出力制御部70からの指示に従って制御する。出力制御部70には上述したホールIC6のほか、人体から放射される熱線を用いて人の存否を検出する人感センサ75の出力や、赤外線を伝送媒体とするワイヤレス信号を受信する受信部76a,76bの出力が入力される。また、出力制御部70はマイコンを主構成要素として備え、整流平滑部73の出力電圧を制御電源部77で安定化させた電源が供給される。
【0020】
上述した人感センサ75は焦電型赤外線センサを用いた受動型の人感センサであって、人から放射される熱線を受光し、熱線量に所定量以上の変化が生じたときに出力を変化させる。この種の人感センサ75は受動型であって対象物に赤外線を照射する機能が不要であるから構成が簡単であり、しかも冷却などの必要がなく安価かつ省スペースで取り扱いも容易になっている。この種の人感センサ75の検知領域は光学的に視野を制御することによって容易に設定することができ、検知領域を開口部の周囲にバランスよく設定することができる。また、赤外線を通過させる1つの窓62をコントローラ7の筐体61の下面に形成すればよいものであり、窓62の周囲に突出部が形成されることもなく、したがって人感センサ75を設けたことによって開口部に何らかの突出部が形成されることはなく、開口部を通過する際の邪魔になることがない。窓62は筐体61の長手方向の中央に形成されており、しかも、コントローラ7は引戸本体10が開閉する開口部において引戸本体10の走行方向の中央付近に位置するから、結果的に検知領域をバランスよく形成することができる。
【0021】
一方、受信部76a,76bは2個設けられているが、一方の受信部76aのみが筐体61に収納され、他方の受信部76bは別に設けたケース63に収納される。筐体61の下面には窓62に隣接して受光窓64が形成され、ワイヤレス信号は受光窓64を通して受信部76aに入射する。この受光窓64は人感センサ75に対する窓62と同様に、突出部が形成されることはなく、したがって開口部を通過する際の邪魔になることがない。
【0022】
ところで、出力制御部70は、引戸本体10を手動ないしワイヤレス信号によって全開されコイル4の励磁を停止している状態では人感センサ75により人の存在を検出している。出力制御部70では、人感センサ75により人の存在が検出されなくなると、この時点を起点として一定時間後に引戸本体10を移動させる。つまり、引戸本体10の全開位置において人感センサ75により人の存在が検出されなくなるとタイマをリセットして起動し、その後にタイマによる時限時間が終了すると引戸本体10を閉じるようにしてある。その結果、人の存否にかかわらずタイマの時限動作のみによって引戸本体10を閉じる場合に比較すると安全性が高くなる。また、人感センサ75として焦電型赤外線センサを用いているから、超音波式の人感センサなどに比較すると検知領域の調整作業が不要になり設置施工が容易になる。
【0023】
上述のように、人感センサ75により人が検出されなくなってから一定時間が経過すると引戸本体10は全開状態から閉じようとする。このように引戸本体10が閉方向への移動が開始されると出力制御部70では人感センサ75の出力を無効にし、人感センサ75の出力とは無関係に引戸本体10を走行させる。つまり、引戸本体10が閉方向への走行を開始すると、人感センサ75の出力のチャタリングによってタイマが再びリセットされることがないようにしてある。ただし、閉方向への移動時における走行速度は比較的低速となるように200mm/sec以下に制御してあり、さらに、引戸本体10に作用する負荷が増加したときには引戸本体10の移動方向を反転させて開方向に移動させるように制御する。ここに、引戸本体10への負荷の増加は、コイル4の励磁タイミングとホールIC6から出力される磁極の変化のタイミングとのずれによって知ることができる。このように、引戸本体10が全開されている状態から閉方向への移動が開始された後に負荷が増加すれば引戸本体10の移動方向を反転させて開方向に移動させるから、引戸本体10に挟まれることによる危険を回避することができる。
【0024】
出力制御部70では受信部76aにより受信したワイヤレス信号の内容に応じて引戸本体10の走行を制御する。つまり、ワイヤレス信号により引戸本体10の開閉が指示可能になっている。筐体61に収納されていない受信部76bは受信部76aと等価に機能するものであって、受信部76bで受信したワイヤレス信号によっても出力制御部70は引戸本体10の開閉を制御する。なお、コントローラ7の筐体61の下面には窓62および受光窓64の近傍に発光ダイオードからなる表示灯66a,66bが配置される。表示灯66aは電源供給時に点灯して電源が正常に供給されているか否かを示し、表示灯66bは人感センサ75により人が検出されたとき、あるいはリモコン装置からのワイヤレス信号を受信したときに点灯するようになっている。表示灯66a,66bは鴨居31の下面に露出しており、視認性のよい場所に設置されている。
【0025】
ここで、受信部76bを収納するケース63は図14に示すようにワイヤレス信号が通過する受光窓65を長手方向の中央部に有しており、このケース63は図5に示すように鴨居31の長手方向の中央付近に配置される。ただし、ケース63を取り付ける位置は、引戸本体10が走行する走行レール36を挟んで筐体61とは反対側に配置される。要するに引戸本体10の表裏両側に各受信部76a,76bが配置されることになる。このように、引戸本体10に対して表裏両側に受信部76a,76bを設けていることによって、引戸本体10の表裏のどちらからでもワイヤレス信号による引戸本体10の開閉の指示が可能になり、ワイヤレス信号を送信するリモコン装置を使用可能な領域が広くなるのである。
【0026】
ところで、コントローラ7の筐体61の長手方向の両端部にはそれぞれ蓋61a,61bが着脱可能に取着される。一方の蓋61aは固定子ユニット2に接続する接続部を覆うものであって、この部位には信号用のコネクタ78や電源用のコネクタ79が収納される。図8のようにコネクタ78には接続線81が接続され、接続線81は図7のようにコネクタ45aに接続される。また、コネクタ79には図8のように接続線82が接続され、接続線82は図7のようにコネクタ45bに接続される。これらの接続線81,82は鴨居31の内部で配線され、鴨居31の外部で配線する必要はない。つまり、施工時において電源供給用の電線以外の配線が不要であり、配線施工が容易である。
【0027】
他方の蓋61bに対応する部位には電源スイッチ72および電源端子77が設けられ、電源端子77は蓋61bによって隠蔽されるが、電源スイッチ72の操作部は蓋61bを通して下面側に露出するようになっている。電源端子77は速結端子構造を有しており、蓋61bを外すと電線挿入口77aおよび解除釦(図示せず)を操作する操作孔77bが露出する。ここで、速結端子構造とは、板ばねからなる鎖錠ばね(図示せず)によって電線の接続と抜止とを行うものであり、電線挿入口77aから電線を挿入するだけで鎖錠ばねにより電線の接続と抜止とが行われる。また、操作孔77bにマイナスドライバの先端部のような工具を挿入して解除釦を押せば、解除釦が鎖錠ばねを撓ませて鎖錠ばねによる電線の保持を解除することができるように構成されている。
【0028】
しかして、施工時には電源供給用の電線を電線挿入口77aに挿入し、蓋61bを取り付ければ電線は露出せず、電源スイッチ72の操作部のみが鴨居31の下面に露出することになる。このように電源スイッチ72が鴨居31の下面側に露出するから電源スイッチ72の操作が容易になっている。電線は鴨居31の端部付近から鴨居31の外部に引き出され壁内に配線される。すなわち、人感センサ75および受信部76aを収納したコンローラ7の筐体61と、受信部76bを収納したケース63とが鴨居31に収納されているから、人感センサ75や受信部76a,76bの配線、コントローラ7と固定子ブロック2との間の配線などは鴨居31の内部で行われ、これらは工場で組み立てられるから、施工時に面倒な配線作業を行う必要がないのである。その結果、現場施工時には電源供給用の電線のみを配線すればよいのであって、現場での配線作業が容易になる。また、上述したように、本実施形態で用いる鴨居31は、手動式の引戸の鴨居とほぼ同寸法であるから、手動式の引戸に対して鴨居31のみを交換し、引戸本体10の上面に可動子ブロック3を取り付けるだけで電動式の引戸を構成することができ、既製の手動式の引戸を低コストで電動式の引戸に交換することができる。
【0029】
上述の実施形態では片引きの引戸を例示したが、引き違い戸でも同様の構成を採用することが可能である。
【0030】
【発明の効果】
請求項1の発明は、建物の開口部の上縁に沿って配設される鴨居と、鴨居の長手方向に走行自在となるように配置された引戸本体と、鴨居内に収納されるとともに複数個のコイルが鴨居の長手方向に列設された固定子ブロックと、固定子ブロックの前記コイルの少なくとも一部に対向するように引戸本体に配設され鴨居の長手方向に沿って交互に異極性の磁極が並ぶ永久磁石からなる可動子ブロックと、鴨居内に収納され引戸本体の位置および走行させる方向に応じて固定子ブロックの各コイルの励磁極性と励磁タイミングとを制御するコントローラとを備え、コントローラは、引戸本体の表裏の少なくとも一方側において人体から放射される熱線を検出することにより人の存否を検出する焦電型赤外線センサを用いた人感センサを備え、人感センサにより人が検出されている間は引戸本体を開放した状態に保つとともに、人感センサにより人が検出されなくなった時点を起点として引戸本体を閉じるタイミングを設定し、かつ人感センサの出力を引戸本体の全開時にのみ有効にするとともに引戸本体が閉方向に移動を開始すると無効にし、引戸本体が閉方向に移動を開始した後に引戸本体への負荷が増加すると引戸本体を開方向に移動させるものであり、人感センサとして赤外線を受光する受動型のものを用いているから、能動型のものに比較すると小型であり、コントローラに組み込むことが可能になる。その結果、人感センサを別途に設置する必要がなく施工が容易になるとともに、安価に提供することが可能になるという利点があり、しかも、人が検出されている間には引戸本体を閉じないようにすることができるから、引戸本体を閉じるタイミングをタイマのみで制御する場合に比較すると引戸本体が不用意に閉じる可能性が少なくなり安全性が高くなるという利点がある。
【0031】
また、人が検出されなくなった後に引戸本体を閉じるから、より一層安全性が高くなるという利点がある。
【0032】
さらに、人感センサにより人が検出されなくなって引戸本体が閉方向に移動を開始した後には人感センサの出力が無効になるから、人感センサの出力でチャタリングを生じることがなく、安定した動作が期待できる。加えて、コントローラは、引戸本体が閉方向に移動を開始した後に引戸本体への負荷が増加すると引戸本体を開方向に移動させるから、引戸本体が全開した状態から閉方向に移動を開始すると人感センサの出力とは無関係に引戸本体を移動させるにもかかわらず、人が引戸本体に挟まることによる危険を回避することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に用いるコントローラを示すブロック図である。
【図2】 同上の全体構成を模式的に示した概略構成図である。
【図3】同上の要部の概略構成図である。
【図4】同上の要部の概略構成図である。
【図5】同上に用いる鴨居を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は下面図、(d)は背面図である。
【図6】同上に用いる鴨居の側面図である。
【図7】図5のA部拡大図である。
【図8】図5のB部拡大図である。
【図9】図5のC部拡大図である。
【図10】同上に用いる固定子ブロックを示し、(a)は正面図、(b)は下面図、(c)は背面図、(d)は平面図である。
【図11】同上に用いる固定子ブロックに接続基板を取り付けた状態の背面図である。
【図12】同上に用いるコントローラを示し、(a)は下面図、(b)は正面図、(c)は平面図、(d)は背面図である。
【図13】同上に用いるコントローラを示す分解下面図である。
【図14】同上に用いるケースを示し、(a)は下面図、(b)は正面図、(c)は平面図、(d)は側面図である。
【符号の説明】
2 固定子ブロック
3 可動子ブロック
4 コイル
7 コントローラ
10 引戸本体
31 鴨居
51 永久磁石
75 人感センサ
Claims (1)
- 建物の開口部の上縁に沿って配設される鴨居と、鴨居の長手方向に走行自在となるように配置された引戸本体と、鴨居内に収納されるとともに複数個のコイルが鴨居の長手方向に列設された固定子ブロックと、固定子ブロックの前記コイルの少なくとも一部に対向するように引戸本体に配設され鴨居の長手方向に沿って交互に異極性の磁極が並ぶ永久磁石からなる可動子ブロックと、鴨居内に収納され引戸本体の位置および走行させる方向に応じて固定子ブロックの各コイルの励磁極性と励磁タイミングとを制御するコントローラとを備え、コントローラは、引戸本体の表裏の少なくとも一方側において人体から放射される熱線を検出することにより人の存否を検出する焦電型赤外線センサを用いた人感センサを備え、人感センサにより人が検出されている間は引戸本体を開放した状態に保つとともに、人感センサにより人が検出されなくなった時点を起点として引戸本体を閉じるタイミングを設定し、かつ人感センサの出力を引戸本体の全開時にのみ有効にするとともに引戸本体が閉方向に移動を開始すると無効にし、引戸本体が閉方向に移動を開始した後に引戸本体への負荷が増加すると引戸本体を開方向に移動させることを特徴とする引戸開閉装置。
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