JP3718927B2 - 通信方法及び端末装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば無線電話システムの基地局や端末装置に適用して好適な通信方法と、その通信方法が適用される端末装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
無線電話システムなどの移動通信においては、一つの基地局に複数の移動局(端末装置)を接続させる多元接続が行われている。ここで、無線電話の場合には、一つの基地局を多数の移動局が共通に使用するため、各移動局間の干渉を避けるような種々の通信方式が提案されている。従来からあるこの種の通信方式としては、例えば周波数分割多元接続(FDMA:Frequency Division Multiple Access)、時分割多元接続方式(TDMA:Time Division Multiple Access )、符号分割多元接続方式(CDMA:Code Division Multiple Access )などがある。
【0003】
この内、TDMA方式は、各基地局毎に割当てられた各伝送チャンネルを所定時間単位で分割して、1伝送チャンネル中に複数のタイムスロットを形成させ、そのタイムスロット毎に接続する移動局を割当てるようにしたもので、1伝送チャンネルを使用して複数の移動局と同時に接続できる。
【0004】
また、別の通信方式として、本出願人は先に帯域分割多元接続(BDMA:Band Division Multiple Access )と称する通信方式を提案した(特願平8−132434号など)。そのBDMA方式の詳細については後述する実施例の中で説明するが、簡単に述べると、所定の周波数間隔で所定数のサブキャリア信号が配置された1伝送帯域を複数用意し、各伝送帯域の信号を所定時間毎に区切ってタイムスロットを形成させ、所定数のタイムスロット周期で間欠的に、上記所定数のサブキャリア信号に分散させてデータを変調させたマルチキャリア信号によるバースト信号を伝送する方式である。このBDMA方式は、非常に優れた伝送特性を有する。
【0005】
ところで、無線電話システムの場合には、いずれの通信方式を適用する場合でも、端末装置側で通信を行う場合に、基地局側で設定される基準となるタイミングに同期させて通信を行い、各チャンネル(パス)が干渉するのを防止する必要がある。ここで、端末装置と基地局との距離は一定でないので、仮に同じタイミングで各端末装置から基地局に対して同時に送信が行われても、各端末装置から伝送される信号には異なる伝搬遅延が生じ、基地局で受信できるタイミングは、それぞれのパスが異なるものになってしまう。
【0006】
従って、タイミングを補正する何らかの処理が必要で、例えば基地局側で各端末装置から伝送される信号の基準タイミングとの遅延量を検出して、その遅延量だけ送信タイミングをずらす制御データを端末装置側に伝送して、一定のタイミングで受信できるように補正する処理(タイムアライメント処理)を行うようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようなタイムアライメント処理は、双方向のデータ伝送が必要であるので、基地局と端末装置とが通信を行っている間しか出来ず、例えば端末装置から基地局に対して、通信開始を要求(アクセス要求)する場合に、そのアクセス要求信号を伝送する際には、タイムアライメント処理を施すことが不可能であった。
【0008】
このため、タイムアライメント処理が行われてない状態の信号が伝送されても問題がないように、従来のTDMA通信においては、送信するビット数を少なくし、これを時間軸上にならべた信号バーストを短くすることも考えられるが、本発明が対象にしているようなマルチキャリア通信ではこのような例はなかった。また、一般的にアクセス獲得のためのチャンネルにおける信号の信頼性をあげる方法としてはシンボルあたりの送信電力を上げるといったことしか行われていないが、これは、セルラーシステム全体からみると、他セルへの干渉となり好ましくない。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、無線電話システムなどの通信を、効率のよいシステムで行う場合に、基地局へのアクセス要求などが、良好に出来るようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この問題点を解決するために本発明は、1伝送帯域内に所定数配されたサブキャリアを使用して、端末装置と基地局との間で通信を行う場合に、端末装置から基地局への上りチャンネルにおけるアクセス権獲得のためのチャンネルのサブキャリアの周波数間隔を、他のチャンネルのサブキャリアの周波数間隔よりも広くし、所定数のタイムスロット周期で間欠的に、1伝送帯域内のサブキャリアに分散させてデータを変調させたバースト信号を伝送すると共に、アクセス権獲得のためのチャンネルのデータを1タイムスロット内で送信する期間を、バースト信号長の数分の1とし、1タイムスロットの時間に対応した第1の窓がけデータと、1タイムスロットの時間の数分の1の時間に対応した第2の窓がけデータとを用意し、アクセス権獲得のためのチャンネルの送信時には、第2の窓がけデータを送信データに乗算してから、所定数配置されたサブキャリアにデータを分散させ、アクセス権獲得のためのチャンネル以外の送信時には、第1の窓がけデータを送信データに乗算してから、所定数配置されたサブキャリアにデータを分散させたものである。
【0011】
かかる処理を行うことによって、アクセス権獲得のためのデータの伝送に関しては、他のデータの伝送よりも緩い条件で伝送されることになり、タイムアライメント処理が行われてなくても、基地局側で的確にアクセス権獲得のためのデータを受信できる可能性が高くなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を添付図面を参照して説明する。
【0013】
まず、本例が適用される通信方式の構成について説明する。本例の通信方式の構成は、予め割当てられた帯域(Band)内に複数のサブキャリアを連続的に配置し、この1帯域内の複数のサブキャリアを1つの伝送路(パス)で同時に使用するいわゆるマルチキャリア方式としてあり、さらに1帯域内の複数のサブキャリアを一括して帯域で分割(Division)して変調するもので、ここでは帯域分割多元接続(BDMA:Band Division Multiple Access )と称する。
【0014】
以下、その構成について説明すると、図5は、本例の伝送信号のスロット構成を示す図で、縦軸を周波数を、横軸を時間としたものである。本例の場合には、周波数軸と時間軸とを格子状に分割した直交基底を与えるものである。即ち、1つの伝送帯域(1バンドスロット)が150KHzとされ、この150KHzの1伝送帯域内に、24本のサブキャリアを配置する。この24本のサブキャリアは、6.25kHz間隔で等間隔に連続的に配置され、1キャリア毎に0から23までのサブキャリア番号が付与される。但し、実際に存在するサブキャリアは、サブキャリア番号1から22までの22本としてあり、1バンドスロット内の両端部のサブキャリア番号0及び23についてはサブキャリアを立てないガードバンドとしてあり、電力を0としてある。
【0015】
そして時間軸でみると、200μ秒間隔で1タイムスロットが規定され、1タイムスロット毎に22本のサブキャリアにバースト信号が変調されて伝送される。そして、25タイムスロット(即ち5m秒)配置された状態が、1フレームと定義される。この1フレーム内の各タイムスロットには、0から24までのタイムスロット番号が付与される。図5中にハッチングを付与して示す範囲は、1バンドスロットの1タイムスロット区間を示すものである。なお、ここではスロット番号24のタイムスロットは、データが伝送されない期間とされる。
【0016】
そして、この周波数軸と時間軸とを格子状に分割した直交基底を使用して、基地局が複数の移動局(端末装置)と同時期に通信を行う多元接続を行うものである。ここで、各移動局との接続状態としては、図6に示す構成で行われる。図6は、1バンドスロット(実際には後述する周波数ホッピングにより使用するバンドスロットは切換わる)を使用して、基地局に接続される6つの移動局(ユーザー)U0,U1,U2‥‥U5のタイムスロットの使用状態を示す図で、Rとして示すタイムスロットは受信スロットで、Tとして示すタイムスロットは送信スロットであり、基地局で規定されるフレームタイミングは図6のAに示すように24タイムスロット周期(25タイムスロット用意された内の最後のスロットであるスロット番号24は使用されない)で設定される。なお、ここでは送信スロットと受信スロットとは別の帯域を使用して伝送されるものとしてある。
【0017】
例えば図6のBに示す移動局U0は、受信スロットとして1フレーム内のタイムスロット番号0,6,12,18が使用され、送信スロットとしてタイムスロット番号3,9,15,21が使用され、それぞれのタイムスロットでバースト信号の受信又は送信を行う。また、図6のCに示す移動局U1は、受信スロットとして1フレーム内のタイムスロット番号1,7,13,19が使用され、送信スロットとしてタイムスロット番号4,10,16,22が使用される。また、図6のDに示す移動局U2は、受信スロットとして1フレーム内のタイムスロット番号2,8,14,20が使用され、送信スロットとしてタイムスロット番号5,11,17,23が使用される。また、図6のEに示す移動局U3は、受信スロットとして1フレーム内のタイムスロット番号3,9,15,21が使用され、送信スロットとしてタイムスロット番号0,6,12,18が使用される。また、図6のFに示す移動局U4は、受信スロットとして1フレーム内のタイムスロット番号4,10,16,22が使用され、送信スロットとしてタイムスロット番号1,7,13,22が使用される。さらに、図6のGに示す移動局U5は、受信スロットとして1フレーム内のタイムスロット番号5,11,16,22が使用され、送信スロットとしてタイムスロット番号2,8,14,20が使用される。
【0018】
図6に示す構成としたことで、1バントスロットに6つの移動局が接続される6TDMA(時分割多元接続)が行われるが、各移動局側から見ると、1タイムスロット期間の受信及び送信を行った後に、次の送信又は受信が行われるまで2タイムスロット期間(即ち400μ秒)の余裕があり、この余裕を使用して、タイミング処理と周波数ホッピングと称される処理を行う。即ち、各送信スロットTの前の約200μ秒間には、送信タイミングを基地局側からの信号のタイミングに合わせるタイミング処理TAを行う。そして、各送信スロットTが終了した約200μ秒後には、送信及び受信を行うバンドスロットを別のバンドスロットに切換える周波数ホッピングを行う。なお、ここでのタイミングは、伝送レートを高く設定した場合の例で、伝送レートを低く設定して使用するバンドスロット数を変えた場合には、周波数ホッピングを行うタイミングなどについて別途設定させる必要がある。周波数ホッピングが行われることで、例えば1つの基地局に用意された複数のバンドスロットを各移動局で均等に使用する。
【0019】
即ち、1つの基地局には複数のバンドスロットを割当てる。例えば1つの基地局で1つのセルが構成されるセルラ方式のシステムである場合で、1つのセルに1.2MHzの帯域が割当てられている場合には、8バンドスロットを1つのセルに配置することができる。同様に、1つのセルに2.4MHzの帯域が割当てられている場合には、16バンドスロットを1つのセルに配置することができ、1つのセルに4.8MHzの帯域が割当てられている場合には、32バンドスロットを1つのセルに配置することができ、1つのセルに9.6MHzの帯域が割当てられている場合には、64バンドスロットを1つのセルに配置することがでる。そして、この1つのセルに割当てられた複数のバンドスロットを均等に使用するように、周波数ホッピングと称される周波数切換え処理を行う。なお、本例の場合には1つのセルに連続した帯域の複数のバンドスロットを配置する。
【0020】
図7は、1つのセルに8バンドスロットが配置された場合の例を示し、図7のAに示すように、用意された8バンドスロットのそれぞれで、図7のBに示すように、22本のキャリアが立てられてデータ伝送を行う。
【0021】
このように通信を行う状態を設定することで、各移動局と基地局との間で伝送される信号は、他の信号に対して直交性が保たれた状態となり、他の信号の干渉を受けることなく、該当する信号だけを良好に取り出すことができる。そして、周波数ホッピングにより伝送するバンドスロットを随時切換えるので、各基地局に用意された伝送帯域が有効に活用され、効率の良い伝送ができる。この場合、上述したように1つの基地局(セル)に割当てる周波数帯域を、自由に割当てることができるので、使用される状況に応じた自由なシステム設定が可能になる。
【0022】
次に、以上説明したシステム構成にて基地局と端末装置(移動局)との間で通信を行う場合の、基地局と端末装置の構成について説明する。まず、端末装置で送信を行う構成について、図1を参照して説明する。
【0023】
端末装置から基地局に対して送信する送信データ(デジタルデータ)は、送信データ生成回路101から出力されて、シンボルパターン格納回路102に供給される。このシンボルパターン格納回路102は、送信されるシンボルパターンを格納するメモリで構成され、生成回路101が出力する送信データに対応したシンボルパターンを時系列的に出力する。
【0024】
この時系列的に出力されるシンボルパターンは、高速フーリエ変換回路(以下FFT回路と称する)103に供給されて、高速フーリエ変換処理で時間軸上のデータを周波数軸上のデータに変換する処理を行う。ここでの変換処理としては、時系列的に供給されるシンボルパターンを、一定の周波数fk 間隔の22本のサブキャリアに分散されたデータに変換する。但し、後述するように基地局に対して制御チャンネルを使用して制御データの伝送を行う場合には、2倍の周波数2fk 間隔の11本のサブキャリアに分散されたデータに変換する。
【0025】
FFT回路103の出力は、窓がけ回路104に供給されて、送信用の窓がけデータが乗算される。この窓がけデータが乗算された送信信号は、デジタル/アナログ変換器105に供給されてアナログ送信信号に変換され、その変換された送信信号が周波数変換用の混合器106に供給されて、発振器107の出力が混合されて、送信周波数に周波数変換された送信信号とされる。この送信周波数の送信信号は、送信アンプ108により所定の送信出力に増幅されて、アンテナ109から無線送信される。なお、端末装置における送信データ生成回路101からアンテナ109までの具体的構成については、後述する。
【0026】
ここで、本例の構成による送信信号について説明すると、FFT回路103での変換によりマルチキャリア信号とされて送信されるのであるが、図5により説明したように、1バンドスロットを構成するサブキャリアは22本であり、図2のAに示すように、周波数fk 間隔(図5の例では6.25kHz間隔)の22本のサブキャリアに分散された信号が1バンドスロット内に配置されて伝送される。この1バンドスロット内の各キャリアに変調された信号を、受信側で時間軸上の時系列データに変換することで、図2のBに示すように、1/fk 〔秒〕の信号として表すことができる(この1/fk 〔秒〕をTk 〔秒〕とする)。
【0027】
この図2に示す構成にて伝送されるのは、端末装置と基地局との間で通話用音声データや各種情報の伝送を、情報チャンネルとして用意されたチャンネルで行う場合であり、端末装置から基地局に対して制御データを伝送する上り制御チャンネル(この制御チャンネルについては例えば基地局毎に予め定めた特定のチャンネルとしてある)については、図3に示す構成にて伝送するようにしてある。即ち、図3のAに示すように、情報チャンネルの場合の2倍の周波数間隔である周波数2fk 間隔(図5の例では12.5kHz間隔)の11本のサブキャリアに分散された信号が1バンドスロット内に配置されて伝送される。この1バンドスロット内の各キャリアに変調された信号を、受信側で時間軸上の時系列データに変換することで、図3のBに示すように、Tk 〔秒〕の信号として表すことができる。このTk 〔秒〕の信号は、1/2fk 〔秒〕(即ちTk /2〔秒〕)のデータが2回繰り返される信号となる。
【0028】
この図3に示す構成の上り制御チャンネルで伝送されるデータとしては、端末装置から基地局に伝送する制御データであり、その制御データには端末装置から基地局に対してアクセスすることを要求するデータが含まれる。即ち、例えば端末装置から発信させたいとき、このアクセスすることを要求するデータを、この上り制御チャンネルを使用して基地局に伝送する。そして、基地局から下り制御チャンネルを使用してアクセスを許可するデータが伝送されたとき、そのとき同時に伝送されるチャンネル指示データにより指示された情報チャンネルを使用して、端末装置と基地局との情報チャンネルによる通信を開始させる。また、この上り制御チャンネルを使用して端末装置から基地局に対してデータを送信するときには、予め決められた既知のシンボルパターンを所定位置に付与して送信する。
また、図3に示す構成の上り制御チャンネルは端末からの発信以外にも、登録や、端末への着呼への返答時にも用いられる。
【0029】
このように上り制御チャンネルについては、図3に示すように、1バンドスロットを構成するサブキャリアの数を、情報チャンネルなどの他のチャンネルの半分として、サブキャリアの周波数間隔を2倍としたことで、基地局で上り制御チャンネルで伝送される情報を復調処理する際に、その情報を良好に受信できるようになる。特に本例の場合には、周波数軸上のマルチキャリア信号を時間軸上のシンボルデータに変換したとき、図3のBに示すように同じデータが2回繰り返されることになり、同じ情報を受信できる可能性が2倍になり、受信特性を約3dB改善することができる。
【0030】
そして、端末装置から伝送される上り制御チャンネルの信号は、基地局で受信されて、その受信信号に含まれるデータが復調されて、そのデータに基づいた処理が行われる。このとき、その受信信号に含まれる既知のシンボルパターンの受信タイミングを検出して、基地局での通信の基準タイミングとのずれを判断し、その判断したずれを補正するデータを、下り制御チャンネルで該当する端末装置に対して伝送するタイムアライメント処理を行うようにしてある。
【0031】
図4は、基地局で受信した信号の受信タイミングを検出する構成を示す図で、アンテナ131で受信された信号は、受信アンプ132を介して混合器133に供給され、発振器134が出力する周波数信号が混合されて、所定の伝送チャンネルの信号が中間周波信号(又はベースバンド信号)に周波数変換される。この周波数変換された信号は、アナログ/デジタル変換器135に供給されて所定の周期でサンプリングされ、そのサンプリングデータが受信データの復調回路(図示せず)に供給されると共に、相関検出回路136に供給されて、相関検出処理が行われる。
【0032】
この相関検出回路136には、シンボルパターン格納回路137から予め決められた既知のシンボルパターンのデータが供給され、相関検出回路136でその記憶シンボルパターンと受信データとの比較を行い、両者の相関が最も高くなるタイミングを検出する。その最も相関が高くなるタイミングを検出すると、そのタイミングのデータを、この基地局の制御部(図示せず)に供給して、制御部側では基準タイミングとのずれを判断し、その判断したずれに相当する分だけ、該当する端末装置からの送信タイミングを早く(又は遅く)させる制御データを、下り回線の制御チャンネルを使用して(情報チャンネルを使用した通信中には情報チャンネル中の付随データを使用して)、端末装置に対して伝送する。
【0033】
次に、以上説明したシステム構成にて通信が行われる端末装置(移動局)と基地局の具体的構成について説明する。ここでは、基地局から端末装置への下り回線として2.0GHz帯を使用し、端末装置から基地局への上り回線として2.2GHz帯を使用するものとして説明する。
【0034】
図8は、端末装置の構成を示す図で、まず受信系について説明すると、送受信兼用のアンテナ11はアンテナ共用器12に接続してあり、このアンテナ共用器12の受信信号出力側には、バンドパスフィルタ13,受信アンプ14,混合器15が直列に接続してある。ここで、バンドパスフィルタ13は、2.0GHz帯を抽出する。そして、混合器15で周波数シンセサイザ31が出力する1.9GHzの周波数信号を混合し、受信信号を100MHz帯の中間周波信号に変換する。なお、周波数シンセサイザ31は、PLL回路(フェーズ・ロックド・ループ回路)で構成され、温度補償型基準発振器(TCXO)32が出力する19.2MHzを、1/128分周器33で分周して生成させた150kHzを基準として、1.9GHz帯の150kHz間隔の信号(即ち1バンドスロット間隔)を生成させるシンセサイザである。この端末装置で使用される後述する他の周波数シンセサイザについても、同様にPLL回路で構成される。
【0035】
そして、混合器15が出力する中間周波信号を、バンドパスフィルタ16と可変利得アンプ17を介して復調用の2個の混合器18I,18Qに供給する。また、周波数シンセサイザ34が出力する100MHzの周波数信号を、移相器35で90度位相がずれた2系統の信号とし、この2系統の周波数信号の一方を混合器18Iに供給し、他方を混合器18Qに供給し、それぞれ中間周波信号に混合させ、受信したデータに含まれるI成分及びQ成分を抽出する。なお、周波数シンセサイザ34は、1/128分周器33で分周して生成させた150kHzを基準として、100MHz帯の信号を生成させるシンセサイザである。
【0036】
そして、抽出したI成分をローパスフィルタ19Iを介してアナログ/デジタル変換器20Iに供給し、デジタルIデータに変換する。また、抽出したQ成分をローパスフィルタ19Qを介してアナログ/デジタル変換器20Qに供給し、デジタルIデータに変換する。ここで、各アナログ/デジタル変換器20I,20Qは、TCXO32が出力する19.2MHzを、1/96分周器36で分周して生成させた200kHzを変換用のクロックとして使用するものである。
【0037】
そして、アナログ/デジタル変換器20I,20Qが出力するデジタルIデータ及びデジタルQデータを、復調及びデコーダ21に供給し、復号された受信データを端子22に得る。なお、復調及びデコーダ21には、TCXO32が出力する19.2MHzがクロックとしてそのまま供給されると共に、1/96分周器36が出力する200kHzを1/40分周器37で分周して生成させた5kHzがクロックとして供給される。この5kHzのクロックは、スロットタイミングデータを生成させるのに使用される。即ち、本例の場合には上述したように1タイムスロットが200μ秒であるが、周波数が5kHzの信号は1周期が200μ秒であり、この5kHzの信号に同期してスロットタイミングデータを生成させる。
【0038】
次に、端末装置の送信系の構成を説明すると、端子41に得られる送信データを、変調及びエンコーダ42に供給し、送信用の符号化及び変調処理を行い、送信用のデジタルIデータ及びデジタルQデータを生成させる。ここで、この変調及びエンコーダ42には、TCXO32が出力する19.2MHzがクロックとしてそのまま供給されると共に、1/40分周器37で分周して生成させた5kHzがスロットタイミング生成用のデータとして供給される。そして、変調及びエンコーダ42が出力するデジタルIデータ及びデジタルQデータをデジタル/アナログ変換器43I及び43Qに供給し、アナログI信号及びアナログQ信号に変換し、この変換されたI信号及びQ信号をローパスフィルタ44I及び44Qを介して混合器45I及び45Qに供給する。また、周波数シンセサイザ38が出力する300MHzの周波数信号を、移相器39で90度位相がずれた2系統の信号とし、この2系統の周波数信号の一方を混合器45Iに供給し、他方を混合器45Qに供給し、それぞれI信号及びQ信号と混合して、300MHz帯の信号とし、加算器46で1系統の信号とする直交変調を行う。なお、周波数シンセサイザ38は、1/128分周器33で分周して生成させた150kHzを基準として、300MHz帯の信号を生成させるシンセサイザである。
【0039】
そして、加算器46が出力する300MHz帯に変調された信号を、送信アンプ47,バンドパスフィルタ48を介して混合器49に供給し、周波数シンセサイザ31が出力する1.9GHz帯の周波数信号を混合し、2.2GHz帯の送信周波数に変換する。そして、この送信周波数に周波数変換された送信信号を、送信アンプ(可変利得アンプ)50及びバンドパスフィルタ51を介してアンテナ共用器12に供給し、このアンテナ共用器12に接続されたアンテナ11から無線送信させる。なお、送信アンプ50の利得を制御することにより、送信出力が調整される。この送信出力の制御は、例えば基地局側から受信した出力制御データに基づいて行われる。
【0040】
また、TCXO32が出力する19.2MHzの信号は、1/2400分周器40に供給されて、8kHzの信号とされ、この8kHzの信号を音声処理系の回路(図示せず)に供給する。即ち、本例の端末装置では、基地局との間で伝送する音声信号は、8kHzでサンプリング(又はその倍数の周波数でオーバーサンプリング)するようにしてあり、音声信号のアナログ/デジタル変換器やデジタル/アナログ変換器、或いは音声データ圧縮・伸長処理用のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)などの音声データ処理回路で必要なクロックを、1/2400分周器40から得るようにしてある。
【0041】
次に、この構成の端末装置の送信系のエンコーダ及びその周辺の詳細な構成を、図9を参照して説明する。送信データは、畳み込み符号化器51に供給して、畳み込み符号化を行う。ここでの畳み込み符号化としては、例えば拘束長k=7,符号化率R=1/3の符号化を行う。この畳み込み符号化器51の出力を、4フレームインターリーブバッファ52に供給し、4フレーム(20m秒)に跨がったデータのインターリーブを行う。そして、このインターリーブバッファ52の出力を、DQPSKエンコーダ53に供給し、DQPSK変調を行う。即ち、供給されるデータに基づいて、DQPSKシンボル生成回路53aで対応したシンボルを生成させ、このシンボルを乗算器53bの一方の入力に供給し、この乗算器53bの乗算出力を遅延回路53cで1シンボル遅延させて他方の入力に戻して、DQPSK変調を行う。そして、このDQPSK変調されたデータを、乗算器54に供給して、ランダム位相シフトデータ発生回路55が出力するランダム位相シフトデータを、変調データに乗算する処理を行い、データの位相を見かけ上ランダムに変化させる。
【0042】
そして、乗算器54の出力を、FFT回路(高速フーリエ変換回路)56に供給し、高速フーリエ変換による演算で時間軸上のデータの周波数変換処理を行い、6.25kHz間隔の22本のサブキャリアに変調されたいわゆるマルチキャリアデータとする。なお、高速フーリエ変換を行うFFT回路は、2の巾乗倍のサブキャリアを生成させる構成が比較的簡単に構成でき、本例のFFT回路56では、25 である32本のサブキャリアを生成させる能力のあるものを使用し、情報チャンネルの送信処理では、その内の連続した22本のサブキャリアに変調されたデータを出力する。また、上り制御チャンネルの送信処理では、連続した22本の内の1本毎の11本のサブキャリアに変調されたデータを出力する。
【0043】
なお、本例のFFT回路56で扱う送信データの変調レートは200kHzとしてあり、この200kHzの変調レートの信号から32本のマルチキャリアに変換する処理を行うことで、200kHz÷32=6.25kHzとなり、6.25kHz間隔(但し上り制御チャンネルの場合には12.5kHz間隔)のマルチキャリア信号が得られる。
【0044】
そして、この高速フーリエ変換でマルチキャリアとされたデータを乗算器57に供給し、窓がけデータ発生回路58が出力する時間波形を乗算する処理を行う。この時間波形としては、例えば図10のAに示すように、送信側では1つの波形の長さTU が約200μ秒(即ち1タイムスロット期間)の波形とされる。但し、その両端部TTR(約15μ秒間)は、なだらかに波形のレベルが変化するようにしてあり、図10のBに示すように、時間波形を乗算させる際には、隣接する時間波形と一部が重なるようにしてある。
【0045】
図9の説明に戻ると、乗算器57で時間波形が乗算された信号を、バーストバッファ59を介してデジタル/アナログ変換器43(図8のデジタル/アナログ変換器43I,43Qに相当)に供給し、変換用のクロックとして200kHzを使用してアナログ信号とする。
【0046】
次に、本例の端末装置の受信系のデコーダ及びその周辺の詳細な構成を、図11を参照して説明する。200kHzのクロックを使用してアナログ/デジタル変換器20(図1のアナログ/デジタル変換器20I,20Qに相当)で変換されたデジタルデータを、バーストバッファ61を介して乗算器62に供給し、逆窓がけデータ発生回路63が出力する時間波形を乗算する。この受信時に乗算する時間波形は、図10のAに示す形状の時間波形であるが、その長さTM を160μ秒として送信時よりも短い時間波形としてある。
【0047】
そして、この時間波形が乗算された受信データを、FFT回路64に供給し、高速フーリエ変換処理により周波数軸と時間軸との変換処理を行い、6.25kHz間隔の22本のサブキャリアに変調されて伝送されたデータを時間軸が連続した1系統のデータとする。ここでの変換処理では、送信系でのFFT回路での変換処理と同様に、25 である32本のサブキャリアを処理させる能力のあるものを使用し、その内の連続した22本のサブキャリアに変調されたデータを変換して出力する。そして、本例のFFT回路64で扱う送信データの変調レートは200kHzとしてあり、32本のマルチキャリアを処理できることで、200kHz÷32=6.25kHzとなり、6.25kHz間隔のマルチキャリア信号の変換処理ができる。
【0048】
そして、FFT回路64で高速フーリエ変換されて1系統とされた受信データを、乗算器65に供給し、逆ランダム位相シフトデータ発生回路66が出力する逆ランダム位相シフトデータ(このデータは送信側のランダム位相シフトデータと同期して変化するデータ)を乗算し、元の位相のデータに戻す。
【0049】
そして、元の位相に戻されたデータを、差動復調回路67に供給し、差動復調させ、この差動復調されたデータを4フレームデインターリーブバッファ68に供給し、送信時に4フレームにわたってインターリーブされたデータを元のデータ配列とし、このデインターリーブされたデータをビタビ復号化器69に供給し、ビタビ復号を行う。そして、ビタビ復号されたデータをデコーダされた受信データとして後段の受信データ処理回路(図示せず)に供給する。
【0050】
次に、基地局の構成を、図12を参照して説明する。この基地局での送受信を行う構成は、基本的には端末装置側の構成と同じであるが、複数台の端末装置と同時に接続される多元接続を行うための構成が端末装置とは異なる。
【0051】
まず、図12に示す受信系の構成について説明すると、送受信兼用のアンテナ211はアンテナ共用器212に接続してあり、このアンテナ共用器212の受信信号出力側には、バンドパスフィルタ213,受信アンプ214,混合器215が直列に接続してある。ここで、バンドパスフィルタ213は、2.2GHz帯を抽出する。そして、混合器215で周波数シンセサイザ231が出力する1.9GHzの周波数信号を混合し、受信信号を300MHz帯の中間周波信号に変換する。なお、周波数シンセサイザ231は、PLL回路(フェーズ・ロックド・ループ回路)で構成され、温度補償型基準発振器(TCXO)232が出力する19.2MHzを、1/128分周器233で分周して生成させた150kHzを基準として、1.9GHz帯の150kHz間隔の信号(即ち1バンドスロット間隔)を生成させるシンセサイザである。この基地局で使用される後述する他の周波数シンセサイザについても、同様にPLL回路で構成される。
【0052】
そして、混合器215が出力する中間周波信号を、バンドパスフィルタ216と受信アンプ217を介して復調用の2個の混合器218I,218Qに供給する。また、周波数シンセサイザ234が出力する300MHzの周波数信号を、移相器235で90度位相がずれた2系統の信号とし、この2系統の周波数信号の一方を混合器218Iに供給し、他方を混合器218Qに供給し、それぞれ中間周波信号に混合させ、受信したデータに含まれるI成分及びQ成分を抽出する。なお、周波数シンセサイザ234は、1/128分周器233で分周して生成させた150kHzを基準として、300MHz帯の信号を生成させるシンセサイザである。
【0053】
そして、抽出したI成分をローパスフィルタ219Iを介してアナログ/デジタル変換器220Iに供給し、デジタルIデータに変換する。また、抽出したQ成分をローパスフィルタ219Qを介してアナログ/デジタル変換器220Qに供給し、デジタルIデータに変換する。ここで、各アナログ/デジタル変換器220I,220Qは、TCXO232が出力する19.2MHzを、1/3分周器236で分周して生成させた6.4MHzを変換用のクロックとして使用するものである。
【0054】
そして、アナログ/デジタル変換器220I,220Qが出力するデジタルIデータ及びデジタルQデータを、復調部221に供給し、復調されたデータをデマルチプレクサ222に供給して、各端末装置からのデータに分割し、分割されたデータを同時に接続される端末装置の数(1バンドスロット当たり6台)だけ用意されたデコーダ223a,223b‥‥223nに個別に供給する。なお、復調部221,デマルチプレクサ222及びデコーダ223a,223b‥‥223nには、TCXO32が出力する19.2MHzがクロックとしてそのまま供給されると共に、1/3分周器236が出力する6.4MHzを1/1280分周器237で分周して生成させた5kHzがスロットタイミングデータとして供給される。
【0055】
次に、基地局の送信系の構成を説明すると、同時に通信を行う相手(端末装置)の数だけ用意されたエンコーダ241a,241b‥‥241nで個別に符号化された送信データを、マルチプレクサ242で合成し、このマルチプレクサ242の出力を変調部243に供給し、送信用の変調処理を行い、送信用のデジタルIデータ及びデジタルQデータを生成させる。なお、各エンコーダ241a〜241n,マルチプレクサ242及び変調部243には、TCXO32が出力する19.2MHzがクロックとしてそのまま供給されると共に、1/1280分周器237が出力する5kHzがクロックとして供給される。
【0056】
そして、変調部243が出力するデジタルIデータ及びデジタルQデータを、デジタル/アナログ変換器244I及び244Qに供給し、アナログI信号及びアナログQ信号に変換し、この変換されたI信号及びQ信号をローパスフィルタ245I及び245Qを介して混合器246I及び246Qに供給する。また、周波数シンセサイザ238が出力する100MHzの周波数信号を、移相器239で90度位相がずれた2系統の信号とし、この2系統の周波数信号の一方を混合器246Iに供給し、他方を混合器246Qに供給し、それぞれI信号及びQ信号と混合して、100MHz帯の信号とし、加算器247で1系統の信号とする直交変調を行う。なお、周波数シンセサイザ238は、1/128分周器233で分周して生成させた150kHzを基準として、100MHz帯の信号を生成させるシンセサイザである。
【0057】
そして、加算器247が出力する100MHz帯に変調された信号を、送信アンプ248,バンドパスフィルタ249を介して混合器250に供給し、周波数シンセサイザ231が出力する1.9GHz帯の周波数信号を混合し、2.0GHz帯の送信周波数に変換する。そして、この送信周波数に周波数変換された送信信号を、送信アンプ251及びバンドパスフィルタ252を介してアンテナ共用器212に供給し、このアンテナ共用器212に接続されたアンテナ211から無線送信させる。
【0058】
また、TCXO232が出力する19.2MHzの信号が、1/2400分周器240に供給されて、8kHzの信号とされ、この8kHzの信号を音声処理系の回路(図示せず)に供給する。即ち、本例の基地局では、端末装置との間で伝送する音声信号は、8kHzでサンプリング(又はその倍数の周波数でオーバーサンプリング)するようにしてあり、音声信号のアナログ/デジタル変換器やデジタル/アナログ変換器、或いは音声データ圧縮・伸長処理用のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)などの音声データ処理回路で必要なクロックを、1/2400分周器240から得るようにしてある。
【0059】
次に、基地局で送信データをエンコードして変調する構成の詳細を、図13を参照して説明する。ここではN個(Nは任意の数)の端末装置(ユーザー)と同時に多元接続を行うものとすると、各端末装置のユーザーへの送信信号U0,U1‥‥UNは、それぞれ別の畳み込み符号化器311a,311b‥‥311nに供給して、個別に畳み込み符号化を行う。ここでの畳み込み符号化としては、例えば拘束長k=7,符号化率R=1/3の符号化を行う。
【0060】
そして、それぞれの系で畳み込み符号化されたデータを、それぞれ4フレームインターリーブバッファ312a,312b‥‥312nに供給し、4フレーム(20m秒)に跨がったデータのインターリーブを行う。そして、各インターリーブバッファ312a,312b‥‥312nの出力を、それぞれDQPSKエンコーダ320a,320b‥‥320nに供給し、DQPSK変調を行う。即ち、供給されるデータに基づいて、DQPSKシンボル生成回路321a,321b‥‥321nで対応したシンボルを生成させ、このシンボルを乗算器322a,322b‥‥322nの一方の入力に供給し、この乗算器322a,322b‥‥322nの乗算出力を各遅延回路323a,323b‥‥323nで1シンボル遅延させて他方の入力に戻して、DQPSK変調を行う。そして、このDQPSK変調されたデータを、それぞれ乗算器313a,313b‥‥313nに供給して、ランダム位相シフトデータ発生回路314a,314b‥‥314nが個別に出力するランダム位相シフトデータを、変調データに乗算する処理を行い、それぞれのデータの位相を見かけ上ランダムに変化させる。
【0061】
そして、各乗算器313a,313b‥‥313nの出力を、マルチプレクサ242に供給し合成する。ここで、本例のマルチプレクサ242で合成する際には、その合成する周波数位置を150kHz単位で切換えられるようにしてあり、この切換えを制御することで、各端末装置に対して送信されるバースト信号の周波数切換えを行う。即ち、本例の場合には図6などで説明したように、周波数ホッピングと称されるバントスロット単位での周波数の切換えを行うようにしてあるが、その周波数切換えを、マルチプレクサ242での合成時の処理の切換えにより実現している。
【0062】
そして、マルチプレクサ242で合成されたデータを、FFT回路332に供給し、高速フーリエ変換による演算で時間軸上のデータの周波数変換処理を行い、1バントスロット当たり6.25kHz間隔の22本のサブキャリアに変調されたいわゆるマルチキャリアデータとする。そして、この高速フーリエ変換でマルチキャリアとされたデータを乗算器333に供給し、窓がけデータ発生回路334が出力する時間波形を乗算する処理を行う。この時間波形としては、例えば図10のAに示すように、送信側では1つの波形の長さTU が約200μ秒(即ち1タイムスロット期間)の波形とされる。但し、その両端部TTR(約15μ秒間)は、なだらかに波形のレベルが変化するようにしてあり、図10のBに示すように、時間波形を乗算させる際には、隣接する時間波形と一部が重なるようにしてある。
【0063】
そして、乗算器333で時間波形が乗算された信号を、バーストバッファ335を介してデジタル/アナログ変換器244(図12での変換器244I,244Qに相当)に供給し、アナログI信号及びアナログQ信号とし、図12の構成にて送信処理する。
【0064】
次に、基地局で受信データを復調してデコードする構成の詳細を、図14を参照して説明する。アナログ/デジタル変換器220(図8のアナログ/デジタル変換器220I及び220Qに相当)で変換されたデジタルIデータ及びデジタルQデータを、バーストバッファ341を介して乗算器333に供給し、逆窓がけデータ発生回路343が出力する時間波形を乗算する。この時間波形としては、図10のAに示す形状の時間波形であるが、その長さTM を160μ秒として送信時よりも短い時間波形としてある。
【0065】
そして、この時間波形が乗算された受信データを、FFT回路344に供給して高速フーリエ変換を行い、周波数軸と時間軸との変換処理を行い、1バンドスロット当たり6.25kHz間隔の22本のサブキャリアに変調されて伝送されたデータを時間軸が連続したデータとする。そして、この高速フーリエ変換されたデータを、デマルチプレクサ222に供給し、同時に多元接続される各端末装置の数だけ分割されたデータとする。ここで、本例のデマルチプレクサ222で分割する際には、その分割する周波数位置を150kHz単位で切換えられるようにしてあり、この切換えを制御することで、各端末装置から送信されるバースト信号の周波数切換えを行う。即ち、本例の場合には図6などで説明したように、周波数ホッピングと称されるバントスロット単位での周波数の切換えを周期的に行うようにしてあるが、その受信側での周波数切換えを、デマルチプレクサ222での分割時の処理の切換えにより実現している。
【0066】
そして、デマルチプレクサ222で分割されたそれぞれの受信データを、同時に多元接続される端末装置の数Nだけ設けられた乗算器351a,351b‥‥351nに個別に供給し、それぞれの乗算器351a,351b‥‥351nで逆ランダム位相シフトデータ発生回路352a,352b‥‥352nが出力する逆ランダム位相シフトデータ(このデータは送信側のランダム位相シフトデータと同期して変化するデータ)を乗算し、それぞれの系で元の位相のデータに戻す。
【0067】
そして、差動復調回路353a,353b‥‥353nに供給し、差動復調させ、この差動復調されたデータを4フレームデインターリーブバッファ354a,354b‥‥354nに供給し、送信時に4フレームにわたってインターリーブされたデータを元のデータ配列とし、このデインターリーブされたデータをビタビ復号化器355a,355b‥‥355nに供給し、ビタビ復号を行う。そして、ビタビ復号されたデータをデコーダされた受信データとして後段の受信データ処理回路(図示せず)に供給する。
【0068】
なお、以上説明した実施例では、端末装置から基地局への上り制御チャンネルを構成するサブキャリアを、情報チャンネルなどの他のチャンネルの1バンドスロットを構成するサブキャリアの数の半分として、キャリアの周波数間隔を2倍としたが、キャリアの周波数間隔を3倍,4倍などの他の周波数間隔としても良い。但し、周波数間隔を広げるに従って同じ帯域で伝送できる情報量は少なくなる。また、このように2倍,3倍のように整数倍の周波数間隔以外の周波数間隔に広げるようにしても良いが、整数倍の周波数間隔の場合には、送信処理や受信処理として、情報チャンネルなどを処理する場合の回路で、一部のデータを間引く処理を行うだけで良く、簡単な構成で実現できる。
【0069】
また上述実施例では、上り制御チャンネルを構成する11本のサブキャリアに変調されるデータとしては、情報チャンネルを構成するサブキャリアに変調されるデータと同じ処理を行うようにしたが、上り制御チャンネルで送信されるデータについては、処理を変えるようにしても良い。
【0070】
図15は、その処理を変える場合の例を示す図で、FFT回路103が出力するマルチキャリア信号を、切換スイッチ111を介して窓がけ回路104及び112に選択的に供給できるようにする。この場合、窓がけ回路104は、情報チャンネルなどの送信信号に窓がけデータを乗算する回路で、1タイムスロット期間に相当する長さの窓がけデータTU (図10のA参照)を乗算する。また、窓がけ回路112は、上り制御チャンネルの送信信号に窓がけデータを乗算する回路で、1タイムスロット期間の1/2の期間の長さの窓がけデータ(図示はしないが図10のAの窓がけデータTU の約1/2の期間の窓がけデータ)を乗算する。この場合、窓がけデータを乗算する期間は、例えば1タイムスロット中のほぼ中央の期間に設定しても良いし、1タイムスロット中の最初の期間に設定しても良い。
【0071】
そして、いずれかの窓がけ回路104,112で窓がけデータが乗算された送信信号を、切換スイッチ113を介してデジタル/アナログ変換器105に供給する。なお、切換スイッチ111及び113は、上り制御チャンネルを送信処理するとき、窓がけ回路112側に切換わり、他のチャンネルを送信処理するとき、窓がけ回路104側に切換わるスイッチである。その他の部分は、図1に示す回路と同様に構成する。
【0072】
この図15に示す構成で送信処理を行うことで、上り制御チャンネルで送信される信号は、図16に示す構成となる。即ち、図16のAに示すように、情報チャンネルの場合の2倍の周波数間隔である周波数2fk 間隔(12.5kHz間隔)の11本のサブキャリアに分散された信号が1バンドスロット内に配置されて伝送される。このサブキャリアの数については、上述実施例で説明した図3の例と同じであるが、1タイムスロット中のデータを伝送する区間を、1/2の幅の窓がけデータで1/2に制限してあるので、受信側で時間軸上の時系列データに変換することで、図16のBに示すように、Tk 〔秒〕の間にTk /2〔秒〕だけデータが得られる。また、この図16のBに破線で示すように、隣接するデータはTk /2〔秒〕だけ離れて存在することになる。
【0073】
この図16に示すように上り制御チャンネルの伝送が行われることで、1タイムスロット期間中に、この上り制御チャンネルで伝送される期間が短くなり、例えば端末装置からの送信タイミングが、基地局側で設定された基準タイミングと比較的大きくずれた状態で送信されても、基地局側で隣接する他のタイムスロット期間に跨がって受信される可能性が少なくなる。従って、タイムアライメント処理が行われてなくても、スロットタイミングの直交性を確保できるようになり、例えばタイムアライメント処理が不可能なアクセス要求データの伝送などに好適である。
【0074】
なお、図15,図16の例では、上り制御チャンネルで1タイムスロット期間中にデータを送信する期間を、約1/2に制限したが、他の期間に制限しても良い。例えば、データを送信する期間を、1タイムスロット期間の1/3や1/4に設定しても良い。但し、整数分の1とすることで、比較的簡単な送受信処理が可能になる。
【0075】
また、上り制御チャンネルなどで送信する予め決められた既知のシンボルパターンについては、その既知シンボルパターンを送信処理するのではなく、その既知シンボルパターンを高速フーリエ変換や窓がけ等の送信処理されたデータとしてメモリに記憶させて、送信時にはそのメモリに供給されたデータを読出すようにしても良い。即ち、図17に示すように、既知シンボルパターンに高速フーリエ変換や窓がけ等の送信処理した状態のデータを、送信データメモリ121に記憶させておく。そして、窓がけ回路104の出力と、この送信データメモリ121の出力とを、切換スイッチ122で選択的にデジタル/アナログ変換器105に供給できるようにし、既知のデータを送信するタイミングだけ、切換スイッチ122をメモリ121側に切換えさせ、それ以外のタイミングでは、切換スイッチ122を窓がけ回路104側に接続させる。その他の部分は、図1に示す回路と同様に構成する。
【0076】
この図17に示す構成で送信処理を行うことで、上り制御チャンネルで送信される信号の内の予め決まったデータについては、FFT回路103や窓がけ回路104での送信処理が行われることがなく、それだけ上り制御チャンネルの送信処理を、簡単な処理で実行できるようになり、送信処理にようする電力の削減などが可能になる。
【0077】
また、このようにサブキャリアの周波数間隔を広くするのは、上述実施例では上り制御チャンネルだけとしたが、他のチャンネルについても同様に設定しても良い。例えば、基地局から端末装置に対して制御データを伝送する下りの制御チャンネルについても同様にサブキャリアの周波数間隔を、情報チャンネルよりも広くしても良い。
【0078】
なお、上述実施例で示した周波数、時間、符号化率などの数値は一例を示したもので、上述実施例に限定されるものではない。また、通信方式についても、図5〜図7で説明したような帯域分割多元接続(BDMA方式)以外のマルチキャリア方式の通信方式にも適用できることは勿論である。
【0079】
【発明の効果】
本発明によると、端末装置から基地局への上りチャンネルにおけるアクセス権獲得のためのチャンネルのサブキャリアの周波数間隔を、他のチャンネルのサブキャリアの周波数間隔よりも広くし、所定数のタイムスロット周期で間欠的に、1伝送帯域内のサブキャリアに分散させてデータを変調させたバースト信号を伝送すると共に、アクセス権獲得のためのチャンネルのデータを1タイムスロット内で送信する期間を、バースト信号長の数分の1としたことで、アクセス権獲得のための信号を、比較的良い通信状態で基地局に伝送することができ、タイムアライメント処理などが行われてない状態でも、基地局に該当する信号を確実に伝送できるようになる。
【0080】
この場合、アクセス権獲得のためのチャンネルのサブキャリアの周波数間隔を、他のチャンネルのサブキャリアの周波数間隔の整数倍としたことで、アクセス権獲得のためのチャンネルの送信処理や受信処理が、他のチャンネルの送信処理や受信処理と共通の回路を使用して簡単に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の送信処理を示すブロック図である。
【図2】一実施例の送信処理で生成される情報チャンネル構成を示す説明図である。
【図3】一実施例の送信処理で生成される上り制御チャンネル構成を示す説明図である。
【図4】一実施例の受信処理を示すブロック図である。
【図5】一実施例の伝送信号のスロット構成を示す説明図である。
【図6】一実施例のフレーム内の伝送状態を示す説明図である。
【図7】一実施例によるバンドスロットの配置例を示す説明図である。
【図8】一実施例を適用した端末装置の構成を示すブロック図である。
【図9】図8の例の端末装置のエンコーダの構成を示すブロック図である。
【図10】窓がけデータの例を示す波形図である。
【図11】図8の例の端末装置のデコーダの構成を示すブロック図である。
【図12】一実施例を適用した基地局の構成を示すブロック図である。
【図13】図12の例の基地局の変調処理構成を示すブロック図である。
【図14】図12の例の基地局の復調処理構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の他の実施例の送信処理を示すブロック図である。
【図16】図15の例の送信処理で生成される上り制御チャンネル構成を示す説明図である。
【図17】本発明の更に別の実施例の送信処理を示すブロック図である。
【符号の説明】
32 温度補償型基準発振器(TCXO)、51 畳み込み符号化器、52 4フレームインターリーブバッファ、53 DQPSKエンコーダ、55 ランダム位相シフトデータ発生回路、56 FFT回路(高速フーリエ変換回路)、58 窓がけデータ発生回路、63 逆窓がけデータ発生回路、64 FFT回路、66 逆ランダム位相シフトデータ発生回路、67 差動復調回路、68 4フレームデインターリーブバッファ、69 ビタビ復号化器、101 送信データ生成回路、102 シンボルパターン格納回路、103 FFT回路(高速フーリエ変換回路)、104,112 窓がけ回路、121 送信データメモリ、311a,311b,311n 畳み込み符号化器、312a,312b,312n 4フレームインターリーブバッファ、314a,314b,314n ランダム位相シフトデータ発生回路、320a,320b,320n DQPSKデコーダ、331 マルチプレクサ、332 FFT回路、334 窓がけデータ発生回路、343 逆窓がけデータ発生回路、344 FFT回路、345デマルチプレクサ、352a,352b,352n 逆ランダム位相シフトデータ発生回路、353a,353b,353n 差動復調回路、354a,354b,354n 4フレームデインターリーブバッファ、355a,355b,355n ビタビ復号化器
Claims (4)
- 1伝送帯域内に所定数配されたサブキャリアを使用して、端末装置と基地局との間で通信を行う通信方法において、
上記端末装置から上記基地局への上りチャンネルにおけるアクセス権獲得のためのチャンネルのサブキャリアの周波数間隔を、他のチャンネルのサブキャリアの周波数間隔よりも広くし、
所定数のタイムスロット周期で間欠的に、上記1伝送帯域内のサブキャリアに分散させてデータを変調させたバースト信号を伝送すると共に、上記アクセス権獲得のためのチャンネルのデータを1タイムスロット内で送信する期間を、上記バースト信号長の数分の1とし、
上記1タイムスロットの時間に対応した第1の窓がけデータと、上記1タイムスロットの時間の数分の1の時間に対応した第2の窓がけデータとを用意し、上記アクセス権獲得のためのチャンネルの送信時には、上記第2の窓がけデータを送信データに乗算してから、上記所定数配置されたサブキャリアにデータを分散させ、上記アクセス権獲得のためのチャンネル以外の送信時には、上記第1の窓がけデータを送信データに乗算してから、上記所定数配置されたサブキャリアにデータを分散させた
通信方法。 - 請求項1記載の通信方法において、
上記アクセス権獲得のためのチャンネルのサブキャリアの周波数間隔を、上記他のチャンネルのサブキャリアの周波数間隔の整数倍とした
通信方法。 - エリア毎に用意された基地局と通信を行う端末装置であって、1伝送帯域内に所定数配されたサブキャリアを使用して、基地局との間で通信を行う端末装置において、
シンボル系列の送信データを、複数のサブキャリアに変調されたデータとする変換手段と、
該変換手段で変換された複数のサブキャリアに変調されたデータを、所定の伝送帯域を使用して送信する送信手段とを備え、
上記送信手段でアクセス権獲得のためのデータを送信するチャンネルを送信するとき、上記変換手段でシンボル系列のデータが変換されたサブキャリアの周波数間隔を、他のチャンネルの周波数間隔よりも広くするようにし、
所定数のタイムスロット周期で間欠的に、上記1伝送帯域内のサブキャリアに分散させてデータを変調させたバースト信号を伝送すると共に、上記アクセス権獲得のためのチャンネルのデータを1タイムスロット内で送信する期間を、上記バースト信号長の数分の1とし、
上記1タイムスロットの時間に対応した第1の窓がけデータと、上記1タイムスロットの時間の数分の1の時間に対応した第2の窓がけデータとを用意し、
上記アクセス権獲得のためのチャンネルの送信時には、上記第2の窓がけデータを送信データに乗算してから、上記所定数配置されたサブキャリアにデータを分散させ、上記アクセス権獲得のためのチャンネル以外の送信時には、上記第1の窓がけデータを送信データに乗算してから、上記所定数配置されたサブキャリアにデータを分散させた
端末装置。 - 請求項3記載の端末装置において、
上記変換手段で変換するサブキャリアの周波数間隔として、アクセス権獲得のためのチャンネルのサブキャリアの周波数間隔を、上記他のチャンネルのサブキャリアの周波数間隔の整数倍とした
端末装置。
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