JP3718744B2 - デジタルカメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はデジタルカメラに関し、特に、撮影レンズからの光路を分岐して光学ファインダに導くミラーを備えたデジタルカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、デジタルカメラには液晶表示器等の表示装置が備えられており、表示装置は、撮影し記録した画像の再生表示と、撮影中の画像の表示に用いられている。使用者は表示される撮影中の画像を見ながら構図を設定したり合焦状態を確認したりすることができ、表示装置はビデオファインダとして機能する。ところが、表示装置の電力消費は多いため、表示装置をファインダとして利用すると、デジタルカメラの電源である電池の消耗が加速されてしまい、撮影可能な時間が短くなる。
【0003】
この不都合を避けるために、光学ファインダを備えたデジタルカメラもある。光学ファインダを備えるデジタルカメラには、撮影レンズを介さずに光をファインダに導く別体型と、撮影レンズを透過した光を反射してファインダに導く一眼レフ(SLR)型とがある。別体型ではファインダと撮影レンズにパララックスが生じてしまうが、SLR型は本質的にパララックスがないという特長を有する。
【0004】
SLR型では、撮影レンズから撮像素子に至る光路上に配置されて撮影レンズ透過光を反射するミラーと、反射された光を使用者の眼に導くとともに観察される像を正立正像とするためのプリズムが備えられる。ミラーとしてはハーフミラーが用いられており、撮影レンズからの光は、一部が反射されてファインダに導かれ、残りが透過して撮像素子に導かれる。ハーフミラーの配置は固定であり、したがって、撮像素子に導かれる光は常に撮影レンズを透過した光の一部のみとなり、撮影レンズ透過光の全てを撮影に利用することはできない。このため、暗い環境での撮影においては、良好な画像を提供することができなくなる。
【0005】
一方、よく知られているように、銀塩フィルムを感光させる方式のSLR型のカメラでは、従来より、撮影レンズからフィルムに至る光路上に全反射ミラーを斜めに配置し、回動によりミラーを光路から退避させることが行われている。撮影すなわちフィルムの露光直前まではミラーを光路上に位置させて光をプリズムに向けて反射させ、撮影時にはミラーを退避させて光をフィルムに導き、撮影直後にミラーを光路上に戻す制御が行われる。この方式のミラーはクイックリターンミラーと呼ばれている。
【0006】
クイックリターンミラーは、通常、フィルムの巻き上げ動作で機械的に蓄えられる力により駆動される。フィルムの巻き上げをモータで行うカメラでも同様である。近年では、駆動用のモータによってクイックリターンミラーを直接回動させることも提案されている。
【0007】
デジタルカメラの撮像素子は、一般に、対角長が10mm前後程度であり、銀塩フィルムの1コマに比べてかなり小さい。このため、撮影レンズをはじめとする諸部材も小型のものでよく、デジタルカメラは銀塩カメラに比べて小型、軽量になっている。撮影レンズをその光軸方向に可動とし、使用しないときに撮影レンズの全体または一部をカメラ本体に収容するようにして、さらなる小型化を図ったデジタルカメラもある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
銀塩カメラで採用されているクイックリターンミラーをデジタルカメラに備えれば、ハーフミラーを固定配置した構成において生じる撮像素子への光量低下の問題を回避することができる。しかも、撮像素子が小さいため、ミラーは小さなものでよく、ミラーを回動させるための駆動力も僅かでよい。
【0009】
ところが、デジタルカメラにはフィルム巻き上げ機構がないため、ミラーを回動するための駆動力をフィルム巻き上げ動作によって蓄えることはできない。ミラー駆動用のモータを備えることは可能であるが、そのようにすると、デジタルカメラの小型軽量化が難しくなる。また、電力消費の多いモータを備えれば、電池の消耗を助長することになる。
【0010】
さらに、従来のカメラでは、クイックリターンミラーを支持する部材が固定されており、その構成をそのまま採用すると、撮影レンズのカメラ本体への収容ができなくなる。すなわち、撮影レンズと撮像素子の間に、支持部材が光路に斜交するように配置されることになり、撮影レンズを動かし得る範囲がきわめて狭くなって、撮影レンズのかなりの部分を本体に収容することは不可能になる。
【0011】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、撮影レンズ透過光を分岐させる退避可能なミラーを備えた小型のデジタルカメラを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、デジタルカメラに、撮影レンズと、撮影レンズの光軸上に配置された撮像素子と、撮影レンズの光軸に対して垂直な方向の回動軸を有し、撮影レンズから撮像素子に至る光路と斜めに交差する第1の位置と光路から外れる第2の位置とを含む範囲で、回動自在なミラーと、ミラーの回動軸を支持するとともに、ミラーの回動範囲の一端を第1の位置に規定する支持部材と、支持部材に固定され、供給される電力によりミラーを回動させる駆動部材とを備える。
【0013】
ミラーは、少なくとも第1の位置と第2の位置を含む範囲で回動可能であり、第1の位置にあるときに撮影レンズから撮像素子に至る光路と斜交し、第2の位置にあるときに光路から退避する。ミラーは全反射ミラーでもハーフミラーでもよい。全反射ミラーの場合は、第1の位置で、撮影レンズ透過光を全て反射することになり、第2の位置にあるときに限り撮像素子による撮影が可能になる。ハーフミラーの場合は、第1の位置で、撮影レンズ透過光の一部を反射し、残りを透過させて撮像素子に導くことになり、第2の位置のみならず第1の位置でも撮像素子による撮影が可能になる。
【0014】
支持部材はミラーの回動軸を支持し、また、ミラーの回動し得る範囲を規制して、回動範囲の一端を第1の位置に規定する。これにより、光路に進出しているときのミラーの光路に対する傾きが固定され、反射光の方向が一定になる。
【0015】
駆動部材は、支持部材に固定されており、支持部材に対して相対的にミラーを回動させる。駆動部材はミラーを回動させるための駆動力を電力から生成するが、必ずしも回転力を直接生成する必要はない。例えば、駆動部材が直線的な動きをし、その動きを回転としてミラーに伝達するようにすると、簡素な構成でありなが、ミラーを迅速に回動させることができる。しかも、駆動部材を第1の位置にあるミラーに沿って光路に対して斜めに配置することができるから、全体構成の大型化が避けられる。
【0016】
本発明ではまた、上記のデジタルカメラに、撮影レンズを保持し、撮像素子、ミラー、支持部材および駆動部材を収容する本体を備えて、撮影レンズを光軸方向に可動にして、少なくともその一部を本体に収容し得る構成とする。ここで、支持部材は、ミラーの回動軸と平行な回動軸を有し、撮影レンズが本体に収容される際に、撮影レンズを収容するレンズ鏡筒によって押されて、ミラーと共に回動するものとする。
【0017】
支持部材を回動させることにより、本体内に撮影レンズを収容するための広い空間を現出することができる。ミラーも支持部材と共に回動するから、あらかじめ第1の位置に設定しておくことで、ミラー自体が撮影レンズの収容の妨げとなることも避けられる。駆動部材も、支持部材と共に回動するため、撮影レンズの収容の妨げにはならない。支持部材はレンズ鏡筒で押されることによって回動するから、支持部材を回動させるための駆動機構は不要である。
【0018】
駆動部材への電力の供給を制御する制御部を備え、制御部が、撮影レンズが本体に収容される間、駆動部材への電力の供給を断つようにするとよい。撮影レンズの収容動作の間にミラーが回動するのを避けることができて、ミラーと撮影レンズの衝突による両者の損傷を防止することができる。
【0019】
駆動部材を自己保持型として、電力を供給されないときは、ミラーを第1の位置または第2の位置に保つものとするとよい。ミラーを停止している状態に保つための電力が不要になり、電力消費を低減することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のデジタルカメラの一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1、図2および図3はそれぞれ、デジタルカメラ1の上面図、側方から見た断面図、および背面図である。デジタルカメラ1は、箱型のカメラ本体2と、交換可能な撮影レンズ301と、光学ファインダ22から構成されている。カメラ本体2には使用者が把持するためのグリップGが形成されており、グリップGの上面にはシャッタボタン9が設けられている。グリップGの内部は電池室となっており、駆動源である単三形乾電池が4本格納されている。また、本体の上面には電源スイッチPSが設けられている。
【0021】
カメラ本体2はクイックリターンミラーを備えたSLR型として構成されている。シャッタボタン9を押すことにより、撮影レンズ301の光軸に対して垂直な方向の回動軸を端部に有するクイックリターンミラーM1が、撮影レンズ301の光軸と45゜の角度で交差する第1の位置(図2に実線で示し、以下、この位置を進出位置という)から、光路より外れるファインダ22側の第2の位置(図2に破線で示し、以下、この位置を退避位置という)まで回動するとともに、フォーカルプレーンシャッタ26が開く。これにより、撮影レンズ301を透過した光が撮像素子であるCCD302上に結像し、CCD302が画素ごとに受けた光を電気信号に変換することにより、撮影が行われる。CCD302はCCDユニット303内に納められている。
【0022】
撮影レンズ301は、第1レンズ群3102と第2レンズ群3103より成るズームレンズである。第1レンズ群3102はレンズ鏡筒3011内部に設けられたズームモータ3104によって駆動される。第1レンズ群3102と第2レンズ群3103の間隔が変わることにより、撮影レンズ301全体としての焦点距離が変化し、これによりズーム機能が実現される。
【0023】
カメラ本体2の内部には撮影レンズ301を駆動するためのステッピングモータ221が備えられており、その回転軸にはスクリュー2211が結合されている。スクリュー2211はレンズ鏡筒3011の後端部に設けられた係合穴3014と係合しており、モータ221の回転駆動により撮影レンズ301全体がその光軸方向に移動する構成となっている。これにより、撮影レンズ301の焦点調節が行われる。デジタルカメラ1では、非使用時には、図2に矢印A1で示す方向に撮影レンズ301を移動させて、その大部分をカメラ本体2に収容し得るように構成されている。撮影レンズ301のカメラ本体2への収容もモータ221によって行われる。
【0024】
撮影レンズ301のレンズ鏡筒3011内には、絞り3105と、これを制御する絞り制御ドライバ3106が設けられており、また、光量調節用のNDフィルタ3107と、これを光路に進退させるためのアクチュエータ3108が設けられている。
【0025】
クイックリターンミラーM1はハーフミラーであり、撮影レンズ301側の表面に反射膜が設けられている。ミラーM1の透過率は70%に設定されており、したがって、ミラーM1が進出位置にあるときでも、撮影レンズ301透過後の光量の30%がファインダ22側に導かれ、残りの70%がCCD302側に導かれる。このため、ミラーM1が退避位置にあるときだけでなく、進出位置にあるときでも撮影が可能である。デジタルカメラ1では、シャッタボタン9の操作に応じてクイックリターンミラーM1を退避位置まで回動させて撮影を行うモードと、シャッタボタン9が操作されてもクイックリターンミラーM1を進出位置に留めて撮影を行うモードを選択することができる。後者のモードでは、使用者は常に光学ファインダ22で構図を確認することが可能である。
【0026】
CCDユニット303は、CCD302のほかに、CCD302が受ける光の周波数特性を制御するための空間ローパスフィルタ304と、CCD302の分光感度特性を補正するための赤外カットフィルタ305を一体的に備えている。クイックリターンミラーM1を進出位置に留めて撮影をする際には、駆動部306によってCCDユニット303を図2の矢印A3の方向に変位させて、ミラーM1が退避位置にあるときとの光路の差異を補正する。つまり、ミラーM1が進出位置にあるときには、退避位置にあるときに比べて、合焦位置は矢印A3方向に変化することになり、これをCCDユニット303の後方下方への変位で補正する。
【0027】
CCDユニット303の前後方向の変位により光路長の差が除去され、上下方向の変位によりCCD302上での光の結像位置の差が除去される。CCDユニット303の変位量は、ミラーM1の屈折率、厚さ、および進出位置での撮影レンズ301の光軸に対する傾きを考慮して設定されている。
【0028】
CCDユニット303を変位させるための機構307を図4に示す。図4において、(a)は変位機構307の正面図、(b)はCCDユニット303を変位させないとき、つまりミラーM1を退避位置に回動させたときの、変位機構307の断面図、(c)はCCDユニット303を変位させたとき、つまりミラーM1を進出位置に留めたときの、変位機構307の断面図である。
【0029】
CCDユニット303は、断面が平行四辺形であり、4つの側面がガイド部材307a、307b、307c、307dに接して、摺動するように構成されている。ガイド部材307a〜307dはカメラ本体2に固定されている。ガイド部材307dの側部には、CCDユニット303の変位方向に沿って長穴が形成されており、CCDユニット303と一体化されている係合部材306aが、その長穴から外部に突出している。ガイド部材307dの外側には、CCDユニット303を駆動するための駆動部306が固定されている。
【0030】
駆動部306はシリンダ306cとその内部を摺動するプランジャ306bより成り、シリンダ306c内部に設けられた電磁石でプランジャ306bを移動させる。プランジャ306bの先端はCCDユニット303に設けられた係合部材306aに係合している。
【0031】
電磁石のほかに、駆動部306のプランジャ306bとシリンダ306cにはそれぞれ永久磁石が備えられている。これらの永久磁石は、両極を結ぶ方向がプランジャの移動方向と一致するように配置されている。N極からS極に向かう方向はプランジャの永久磁石とシリンダの永久磁石とで逆であり、また、プランジャの磁石の両極間距離はシリンダの磁石の両極間距離の半分程度に設定されている。したがって、電磁石への通電がないとき、プランジャは、プランジャのN極とシリンダのS極が対向する位置と、プランジャのS極とシリンダのN極が対向する位置の2ヶ所で安定する。
【0032】
この構成により、駆動部306は可動部材であるプランジャ306bの位置を外力によらずに2ヶ所で保持する自己保持型となっている。電磁石は、プランジャとシリンダの永久磁石間の引力よりも大きな力を生成して、プランジャを移動させる。ただし、プランジャとシリンダの永久磁石の強さは、僅かな衝撃ではプランジャが移動しない範囲で低く設定されており、電磁石の電力消費は僅かである。また、プランジャを移動させた後は電磁石への通電は不要であり、移動のため以外には電力消費はない。
【0033】
CCDユニット303がカメラ本体2の前側(かつ上側)に位置する図4(b)の状態で、駆動部306に順方向に通電すると、プランジャ306bは矢印A3方向に移動して、CCDユニット303を同じ方向に移動させる。CCDユニット303はガイド部材307a、307bの後端307e、307fに当接することにより停止し、カメラ本体2の後側(かつ下側)に位置する図4(c)の状態となる。CCDユニット303が後側に位置する図4(c)の状態で、駆動部306に逆方向に通電すると、プランジャ306bは矢印A4方向に移動して、CCDユニット303を同じ方向に移動させる。CCDユニット303はガイド部材307a、307bの前端307g、307hに当接することにより停止し、前側に位置する図4(b)の状態となる。
【0034】
駆動部306のプランジャ306bの一方の自己保持位置は、ガイド部材307a、307bの後端307e、307fよりも少し後方に設定されており、他方の自己保持位置は、ガイド部材307a、307bの前端307g、307hよりも少し前方に設定されている。このため、CCDユニット303には、後端307e、307fまたは前端307g、307hに押し当てる付勢力が働くことになり、CCDユニット303の位置はガイド部材307a、307bによって決定される。したがって、CCDユニット303の位置は厳密に定まる。
【0035】
なお、ここでは永久磁石の引力を利用して駆動部306の自己保持を実現したが、永久磁石の斥力によりCCDユニット303をガイド部材307a、307bの前端や後端に押し当てる構成とすることもできる。
【0036】
また、駆動部306を自己保持型とすることに代えて、非通電時にはCCDユニット303をバネで後側に保持するようにし、通電時にバネの付勢力に抗してCCDユニット303を前側に移動させるようにしてもよい。逆に、非通電時にはCCDユニット303をバネで前側に保持するようにし、通電時にバネの付勢力に抗してCCDユニット303を後側に移動させるようにしてもよい。駆動部306への通電を止めることにより、CCDユニット303は後側または前側に戻ることになる。
【0037】
図2に示すように、デジタルカメラ1のファインダ22内には、フォーカシングスクリーン220、ペンタプリズム225および接眼レンズ226が備えられている。クイックリターンミラーM1が進出位置にあるときの撮影レンズ301の光軸とミラーMの交点Bからスクリーン220までの光路長と、CCDユニット303が前側の位置(図4(b))にあるときの交点BからCCD302の受光面までの光路長は、等しく設定されている。したがって、スクリーン220に結像した像により合焦状態を確認した後、ミラーM1を退避位置まで回動させて撮影を行う場合は、CCDユニット303を後側の位置(図4(c))に移動させなくても、撮影される画像の合焦状態は確保される。
【0038】
デジタルカメラ1は撮影した画像を記録するためのメモリカード8を装着することができる。メモリカード8は着脱可能であり、図1、図3に示すように、ファインダ22内に挿入される。ファインダ22の右側部にはメモリカード8を挿入するためのスロットが設けられている。
【0039】
図3に示すように、カメラ本体2の背面には、液晶表示器(LCD)212が備えられている。CCD302で撮影した画像を直ちに表示することで、LCD212はビデオファインダとして機能する。LCD212には、メモリカード8に記録されている画像を再生表示することもできる。カメラ本体2の背面には、LCD212のオン/オフを切り替えるための表示ボタン213も設けられている。表示ボタン213を押すごとに、LCD212への電力の供給と停止が切り替わる。
【0040】
光学ファインダ22の上面には、撮影モードをはじめとするデジタルカメラ1の動作モードを設定するための、モード切り替えダイヤルMODEが設けられている。
【0041】
デジタルカメラ1は、ファインダの利用に関して3つの撮影モードを有している。これらを、光学ファインダモード1(OF1)、光学ファインダモード2(OF2)、および液晶ファインダモード(LCD)と呼ぶ。光学ファインダモード1、2は、光学ファインダ22とLCD212を併用できるモードであり、液晶ファインダモードはLCD212のみを使用するモードである。
【0042】
光学ファインダモード1では、記録する画像を撮影する時にクイックリターンミラーM1を退避位置まで回動させ、それ以外の時はミラーM1を進出位置に保つ。光学ファインダモード2では、クイックリターンミラーM1を常に進出位置に保つ。液晶ファインダモードでは、クイックリターンミラーM1を常に退避位置に保つ。表1に、各モードでの記録画像撮影時とそれ以外の時の、クイックリターンミラーM1の位置、LCD212のオン/オフ、表示ボタン213の有効/無効、およびCCDユニット303の位置の設定を示す。
【0043】
【表1】
【0044】
光学ファインダモード1および2では、表示ボタン213の操作は有効で、その操作に応じてLCD212のオン/オフを切り替える。液晶ファインダモードでは、表示ボタン213の操作は無効とされ、LCD212は強制的にオンに設定される。液晶ファインダモードでは、ミラーM1を退避位置に設定するため光学ファインダ22には像が形成されず、このとき表示ボタン213の操作を有効にすると、ファインダ像が全く得られないという状況が生じ得るが、LCD212を強制的にオンにして映像を表示させることで、使用者の混乱を避けることができる。
【0045】
光学ファインダモード1での記録画像撮影時以外を除き、各撮影モードでは、クイックリターンミラーM1を進出位置に設定するか退避位置に設定するか応じて、CCDユニット303の位置を図4(b)に示した前側と図4(c)に示した後側のいずれかに設定する。したがって、撮影モードの切り替え時と光学ファインダモード1におけるLCD212のオン/オフの切り替え時のごく短い期間を除いて、LCD212に表示される画像にミラーM1の位置の違いに起因するピントのずれは発生しない。
【0046】
光学ファインダモード1においては、LCD212がオフであれば、クイックリターンミラーM1が進出位置にある場合でも、CCDユニット303は前側の位置に設定する。この状態で表示ボタン213が操作されてLCD212に表示を開始する場合、直ちに表示を開始するのではなく、CCDユニット303の後側への移動の完了を待って表示を開始するようにしている。このため、CCD302により所定の時間間隔で次々と撮影される画像のうち、ピントの合っていないものがLCD212に表示されることはない。
【0047】
デジタルカメラ1の概略の回路構成を図5に示す。デジタルカメラ1は、全体制御部211とカメラ制御CPU220を備えている。全体制御部211は、CCD302による撮影とその出力信号の処理を制御するとともに、シャッタボタン9、電源スイッチPS、表示ボタン213等のデジタルカメラ1に設けられたあらゆるスイッチ類を含む操作部250の設定状況や入力操作を監視する。全体制御部211は、また、LCD212のオン/オフやメモリカード8の読み書きも制御する。
【0048】
カメラ制御CPU220は、クイックリターンミラーM1、CCDユニット変位機構307、フォーカルプレーンシャッタ26等、全体制御部211によって制御されない各部を制御し、また、全体制御部211の制御も行う。全体制御部211とカメラ制御CPU220は、制御に必要な情報を授受し合う。カメラ制御CPU220は、撮影レンズ301に関する全ての制御も司る。例えば、レンズ駆動モータ221を介しての撮影レンズ301の焦点調節やカメラ本体2への収容、絞り制御ドライバ3106を介しての絞り3105の調節、アクチュエータ3108を介してのNDフィルタ3107の設定を行う。
【0049】
デジタルカメラ1は、CCD302による撮影とその出力信号の処理のために、タイミング制御回路202、タイミングジェネレータ214、信号処理回路213、A/D変換器205、黒レベル補正回路206、WB(ホワイトバランス)回路207、γ補正回路208、および画像メモリ209を備えており、LCD212による画像表示のために、VRAM210を備えている。
【0050】
CCD302は、R(赤)、G(緑)、B(青)の色成分の光を選択的に光電変換する3種の画素を、2次元に一定の様式で交互に配置して成る。CCD302は、レンズ301によって結像された被写体の光像を、R、G、Bの色成分の画像信号(各画素が光電変換により生成した画素信号の列から成る信号)に変換して出力する。
【0051】
タイミングジェネレータ214は、CCD302の動作を制御するための種々のタイミングパルスを生成する。タイミングパルスの生成は、タイミング制御回路202から与えられる基準クロックに基づいて行われる。タイミングジェネレータ214が生成しCCD302に供給するタイミングパルスには、例えば、積分の開始/終了(露光の開始/終了)を指示する光電変換制御信号、各画素の出力時期を指示する読出制御信号(水平同期信号、垂直同期信号、転送信号等)が含まれる。
【0052】
信号処理回路213は、CCD302から出力される画像信号(アナログ信号)に所定のアナログ処理を施す。具体的には、信号処理回路213は、CDS(二重相関サンプリング)回路とAGC(オートゲインコントロール)回路とを有しており、CDS回路によって画像信号のノイズの低減を行い、AGC回路のゲインを調整することにより画像信号のレベルの調整を行う。
【0053】
A/D変換器205は、画像信号に含まれるアナログの各画素信号を10ビットのデジタル信号に変換する。このA/D変換は、タイミング制御回路202から与えられるA/D変換用のクロックに基づいて行われる。
【0054】
黒レベル補正回路206は、A/D変換された画素信号(以下、画素データという)の黒レベルを、基準の黒レベルに補正する。
【0055】
WB回路207は、ホワイトバランスの調整のために、R、G、Bの各色成分の画素データのレベル変換を行う。このレベル変換は、γ補正後にホワイトバランスも合わせて調整されるようになされる。WB回路207は、全体制御部211内のレベル変換テーブルを参照して、R、G、Bの各色成分の画素データのレベルを変換する。なお、変換テーブルの各色成分の変換係数(特性の傾き)は、全体制御部211により、撮影画像ごとに設定される。
【0056】
γ補正回路208は画素データのγ特性を補正する。γ補正回路208は、γ特性の異なる6種類のγ補正テーブルを有しており、撮影シーンや撮影条件に応じてあらかじめ定められたγ補正テーブルを用いてγ補正を行う。
【0057】
画像メモリ209は、γ補正回路208から出力される画素データを一時的に記憶する。画像メモリ209は1フレーム分の画素データを記憶する。CCD302は横1600×縦1200の画素より成り、画像メモリ209は1600×1200画素分の画素データの記憶容量を有し、各画素データをCCD302上の画素位置に対応させて記憶する。
【0058】
VRAM210は、LCD212に表示する画像の画素データを記憶するためのバッファメモリである。LCD212は横400×縦300の画素を有しており、VRAM210の記憶容量はこれに対応する。
【0059】
LCD212をオンにして撮影を行う場合、CCD302により1/30秒ごとに撮影された画像の各画素データが、A/D変換器205ないしγ補正回路208の各回路で上述の処理を受けた後、画像メモリ209に記憶されるとともに、全体制御部211を介してVRAM210に転送され、LCD212に画像が表示される。使用者はこの表示を見ながら構図を設定したり、被写体に対する撮影レンズ301の焦点状態を確認したりすることができる。再生モードにおいては、メモリカード8から読み出された画像が、全体制御部211で所定の信号処理を施された後VRAM210に転送されて、LCD212に表示される。
【0060】
カードI/F215は、メモリカード8への画像データの書き込みおよびメモリカード8からの画像データの読み出しを行うためのインターフェースである。
【0061】
図示しないが、全体制御部211は、撮影した画像の記録処理を行うために、フィルタリング処理を行うフィルタ部と、圧縮画像およびサムネイル画像を生成する記録画像生成部を備えており、また、メモリカード8に記録された画像をLCD212に表示するために、再生画像を生成する再生画像生成部を備えている。
【0062】
フィルタ部は、記録すべき画像の高周波成分をデジタルフィルタにより補正して、輪郭に関する画質の調整を行うものである。記録画像生成部は、画像メモリ209から画素データを読み出して、メモリカード8に記録する圧縮画像とサムネイル画像とを生成する。記録画像生成部は、画像メモリ209をラスタ走査し、横方向についても縦方向についても所定の間隔で離間した画素データを読み出すことで、サムネイル画像を生成する。読み出された画像データは順次メモリカード8に転送され、サムネイル画像の生成と記録は並行して行われる。サムネイル画像はメモリカード8のサムネイル画像エリアに記録される。
【0063】
記録画像生成部は、また、画像メモリ209から全ての画素データを読み出し、これらの画素データに2次元DCT(ディスクリートコサイン変換)、ハフマン符号化等のJPEG方式による所定の圧縮処理を施して、圧縮した画像を生成する。生成された圧縮画像は、メモリカード8に転送されて、その本画像エリアに記録される。
【0064】
全体制御部211は、シャッタボタン9の操作により撮影が指示されると、その指示の後に画像メモリ209に記憶された画素データから、圧縮画像とサムネイル画像を生成し、その撮影画像に関するタグ情報(コマ番号、露出値、シャッタスピード、撮影日時、シーン情報、画像の判定結果等の情報)と共に、両画像をメモリカード8に記録する。
【0065】
なお、カメラ制御CPU220は、前述の電池より成る電源部Eからの電力供給も制御する。電源スイッチPSが操作されて電力供給の停止が指示されると、カメラ制御CPU220は電源部Eに停止信号を与え、電源部Eはこれに応じて、電力の供給を停止する。
【0066】
クイックリターンミラーM1の駆動機構について、図6を参照して説明する。クイックリターンミラーM1は、大きな開口を有する保持枠122に接着剤によって固定されており、保持枠122は支持部材であるミラー支持台123に支持されている。保持枠122はその一端の近傍に左右に突出する腕部を有し、これらの腕部には穴122a、122bが形成されている。支持台123は保持枠122の開口と略同じ大きさの開口を有し、保持枠122の穴122a、122bに対向する部位に穴123a、123bが形成されている。
【0067】
保持枠122の穴122aとミラー支持台123の穴123aには軸125aが挿通され、穴122bと穴123bには軸125bが挿通されている。軸125a、125bは同一直線上にあり、保持枠122は、軸125a、125bを中心に、支持台123に対して回動可能である。
【0068】
ミラー支持台123は、軸125a、125bが撮影レンズ301の光軸に対して垂直な方向を向き、軸125a、125bが後側(CCD302側)かつ上側(光学ファインダ22側)になるように、撮影レンズ301からCCD302に至る光路上に斜めに配置されている。保持枠122は回動可能であるが、支持台123に当接することにより回動範囲の一端を規定される。保持枠122が支持台123に当接しているとき、クイックリターンミラーM1は撮影レンズ301の光軸に対して45°の角度となる進出位置をとる。
【0069】
ミラー支持台123の側部には、ミラーM1を保持枠122と共に回動させる駆動部124が設けられている。駆動部124はシリンダ124cとその内部を摺動するプランジャ124bより成り、シリンダ124c内部に設けられた電磁石でプランジャ124bを移動させる。シリンダ124cはビス124dによって支持台123に固定されている。プランジャ124bの先端部には平行な2つの突起124x、124yより成る係合部124aが固定されており、保持枠122の腕部に設けられた突起122zが、突起124x、124yの間隙124zに通されている。保持枠122の突起122zは、間隙124z内で摺動自在である。
【0070】
保持枠122が支持台123に当接してミラーM1が進出位置にあるとき、駆動部124はプランジャ124bがシリンダ124cに浅く入った状態となる。この状態で駆動部124に順方向に通電すると、プランジャ124bは矢印A5方向に移動してシリンダ124cに深く引き込まれる。これにより、保持枠122の突起122zが、間隙124z内を摺動しながら、軸125a、125bを中心に矢印A7方向に回動し、クイックリターンミラーM1は保持枠122と共に退避位置に移動する。
【0071】
ミラーM1が退避位置にある状態で駆動部124に逆方向に通電すると、プランジャ124bは矢印A6方向に移動してシリンダ124cに浅く入った位置に戻る。これにより、保持枠122の突起122zが、間隙124z内を摺動しながら、軸125a、125bを中心に矢印A8方向に回動し、ミラーM1は保持枠122が支持台123に当接する進出位置に復帰する。
【0072】
クイックリターンミラーM1を駆動するための駆動部124も、前述のCCDユニット303の変位機構307の駆動部306と同様に、自己保持型である。具体的には、電磁石の他に、駆動部124のプランジャ124bとシリンダ124cにはそれぞれ永久磁石が備えられている。これらの永久磁石は、両極を結ぶ方向がプランジャの移動方向と一致するように配置されている。N極からS極に向かう方向はプランジャの永久磁石とシリンダの永久磁石とで逆であり、また、プランジャの磁石の両極間距離はシリンダの磁石の両極間距離の半分程度に設定されている。したがって、電磁石への通電がないとき、プランジャは、プランジャのN極とシリンダのS極が対向する位置と、プランジャのS極とシリンダのN極が対向する位置の2ヶ所で、安定に保持される。
【0073】
電磁石は、プランジャとシリンダの永久磁石間の引力よりも大きな力を生成して、プランジャを移動させる。ただし、プランジャとシリンダの永久磁石の強さは、僅かな衝撃ではプランジャが移動しない範囲で低く設定されており、電磁石の電力消費は僅かである。また、プランジャを移動させた後は電磁石への通電は不要であり、移動のため以外には電力消費はない。
【0074】
駆動部124のプランジャ124bの一方の自己保持位置は、保持枠122が支持台123に当接する位置よりも、シリンダ124c内で少し浅くなるように設定されている。このため、保持枠122には、支持台123に押し当てる付勢力が働くことになり、ミラーM1の進出位置は支持台123によって決定される。したがって、ミラーM1の進出位置は厳密に定まる。
【0075】
一方、ミラーM1の退避位置はプランジャ124bの他方の自己保持位置に対応する。ミラーM1の退避位置は、撮影レンズ301からCCD302に至る光路から外れ、スクリーン220に当接しない範囲であれば、どこでもよく、プランジャの保持位置に多少の誤差があっても許容されるからである。支持台123またはカメラ本体2にミラーM1の退避位置を規定するための部材を設けるようにしてもよい。また、プランジャ124bがシリンダ124cに当接する構成とし、これにより退避位置を規定することも可能である。
【0076】
なお、ここでは永久磁石の引力を利用して駆動部124の自己保持を実現したが、永久磁石の斥力により保持枠122を支持台123に押し当てる構成とすることもできる。
【0077】
また、駆動部124を自己保持型とすることに代えて、非通電時には保持枠122をバネで支持台123に押し当てるようにし、通電時にバネの付勢力に抗して保持枠122を退避位置に移動させるようにしてもよい。この構成では、CCD302によって撮影を行うときのみに駆動部124に通電することになるので、光学ファインダモード1、2での電力消費を最小限に抑えることができる。逆に、非通電時には保持枠122をバネで退避位置に保持するようにし、通電時にバネの付勢力に抗して保持枠122を進出位置に移動させるようにしてもよい。この構成では、液晶ファインダモードでの電力消費を最小限に抑えることができる。
【0078】
前述のように、デジタルカメラ1では、撮影レンズ301をカメラ本体2に収容可能としている。これを実現するために、ミラー支持台123は、回動可能に構成されている。支持台123は、保持枠122の回動軸125a、125bを挿通する穴123a、123bの近傍に、軸123cを挿通するための穴を有している。軸123cは、回動軸125a、125bと平行であり、その両端はカメラ本体2の側板に固定されている。支持台123はこの軸123cを中心に回動する。
【0079】
回動軸123cの一端にはバネ126が巻き付けられており、バネ126の一端はカメラ本体2の側板125eに設けられた突起125dに、他端は支持台123の側部に設けられた突起123dに係合している。バネ126は、支持台123を矢印A9の方向(ミラーM1が退避位置に向かう方向)に付勢している。カメラ本体2の側板125eには、支持台123の突起123dが当接する突起125cが設けられており、これにより、バネ126の付勢力による支持台123の矢印A9方向への回動は規制される。支持台123は、撮影レンズ301を収容しないときは、突起123dが突起125cに当接した状態に保たれ、撮影レンズ301の光軸に対して45°の角度となる。
【0080】
ミラー支持台123の下端には突起123eが形成されている。突起123eは、その先端部が下方を向くように、なだらかに湾曲した形状とされている。図7に、側方から見たデジタルカメラ1の断面を示す。撮影レンズ301のレンズ鏡筒3011の後端下部には、支持台123の突起123eに当接する突起301eが形成されている。図7において破線は、カメラ本体2に収容した撮影レンズ301と、その時の支持台123を表している。撮影レンズ301をカメラ本体2に収容しないとき、突起301eは突起123eから離間する。
【0081】
電源スイッチPSの操作により電力供給停止の指示を受けると、カメラ制御CPU220はレンズ駆動モータ221を駆動して、撮影レンズ301を図2、図7の矢印A1方向に移動させる。撮影レンズ301が焦点調節可能範囲の無限端側を超えた段階で、レンズ鏡筒3011の突起301eが突起123eに当接し、撮影レンズ301のさらなる移動で、ミラー支持台123はレンズ鏡筒3011に押されて、回動軸123cを中心に、CCDユニット303側に回動する。
【0082】
カメラ制御CPU220は、焦点調節可能範囲の無限端からの移動距離が所定量に達した段階で、モータ221の駆動を止めて、撮影レンズ301を停止させる。このとき、撮影レンズ301はその大部分がカメラ本体2に収容された状態となり、ミラー支持台123は、撮影レンズ301の光軸に対して略垂直で、フォーカルプレーンシャッタ26から僅かに離間した状態(図2に一点鎖線、図7に破線で示す)となる。カメラ制御CPU220は、モータ221の駆動を止めると同時に、モータ221を含むあらゆる部位への電力供給を停止させる。
【0083】
なお、この収容動作に先だって、カメラ制御CPU220は、クイックリターンミラーM1を進出位置に設定しておく。これにより、退避位置にあるミラーM1を支持台123の回動により誤って回動させて、ミラーM1と撮影レンズ301とを衝突させることが避けられる。カメラ制御CPU220は、また、クイックリターンミラーM1を進出位置に設定した後は、電源部Eから駆動部124への電力供給を禁止する。これにより、収容動作中に、駆動部124が誤ってミラーM1を回動させて、ミラーM1と撮影レンズ301とを衝突させることが避けられる。したがって、撮影レンズ301を収容する際に、撮影レンズ301やミラーM1が損傷する恐れはない。
【0084】
撮影レンズ301をカメラ本体2に収容する際の、各部の動作のタイミングを図8に示す。図8において、横軸は時間であり、t1は電力供給停止を指示する電源スイッチPSの操作時点、t2はモータ221の駆動開始時点、t3はモータ221の駆動終了時点を表している。ミラーM1を進出位置に回動させる処理は、電源スイッチPSの操作後直ちに行われ、その後にモータ221の駆動が開始される。電源スイッチPSの操作時に既にミラーM1が進出位置にあるときは、ミラーM1の回動処理は省略され、実質的にt2=t1となる。
【0085】
カメラ制御CPU220は、駆動部124への電力供給の可否を表す通電禁止フラグを、モータ221の駆動開始(t2)から終了(t3)まで、禁止に対応するオンに設定する。モータ221の駆動終了時点(t3)は、電源部Eから各部への電力供給の停止時点でもある。
【0086】
撮影レンズ301の収容に際し、クイックリターンミラーM1を進出位置に回動させるための、駆動部124の位置の制御の処理の流れを図9に示す。まず、ミラーM1が進出位置にある(ダウン)か退避位置にある(アップ)かを判定する(ステップ#2)。ミラーM1が退避位置にあるときは、駆動部124に逆方向に通電することにより、ミラーM1を進出位置まで回動させる(#4)。回動後、ミラーM1は駆動部124の自己保持機能により進出位置に保たれるから、通電を停止して本処理を終了する。ステップ#2の判定で、ミラーM1が進出位置にあるときには、ステップ#4を省略して処理を終了する。
【0087】
カメラ制御CPU220は、電源スイッチPSが操作されて電力供給の開始が指示されると、レンズ駆動モータ221を駆動して、カメラ本体2に収容されている撮影レンズ301を焦点調節が可能な位置まで移動させる。バネ126の付勢力を受けているミラー支持台123は、撮影レンズ301の前方への移動に伴って、図6の矢印A9方向に回動し、突起123dが突起125cに当接した位置で停止する。
【0088】
カメラ制御CPU220は、レンズ鏡筒3011の突起301eが支持台123の突起123eから離間した後もモータ221の駆動を継続して、所定の基準位置に達した時点で撮影レンズ301を停止させる。この基準位置は、無限遠から最短撮影距離に対応する範囲内であればどこでもよいが、ピントの合ったファインダ像を使用者に速やかに提供するために、広い距離範囲に対して焦点が合うパンフォーカス位置に設定するのが好ましい。
【0089】
撮影レンズ301を焦点調節可能な位置に移動させるこの制御においても、カメラ制御CPU220は、撮影レンズ301を移動させている間は、電源部Eから駆動部124への電力の供給を禁止する。これにより、駆動部124の誤動作でクイックリターンミラーM1が回動して撮影レンズ301に衝突することが避けられ、両者の損傷を確実に防止することができる。なお、カメラ制御CPU220は、電源スイッチPSの操作により電力の供給が指示されると、電源部Eに対し、駆動部124を除く各部への電力供給の開始を指令するが、LCD212への電力供給は、選択されている撮影モード、および表示ボタン213の設定に応じて行う。
【0090】
カメラ本体2に収容した撮影レンズ301を焦点調節可能な位置に移動させる際の、各部の動作のタイミングを図10に示す。図10において、横軸は時間であり、t4は電力供給開始を指示する電源スイッチPSの操作時点、t5はモータ221の駆動終了時点を表している。電源スイッチPSの操作が検出されると、カメラ制御CPU220は直ちにモータ221を駆動して、撮影レンズ301を前方に移動させる。そして、撮影レンズ301が基準位置に達した時点でモータ221の駆動を停止する。モータ221の駆動開始(t4)から駆動終了(t5)までは、駆動部124への電力供給の可否を表す前述の通電禁止フラグは、禁止に対応するオンに設定される。
【0091】
以上説明したように、デジタルカメラ1においては、プランジャ124bとシリンダ124cから成る駆動部124を備えて、プランジャ124bの直線的な動きを回転に変換しつつクイックリターンミラーM1に伝達するようにしている。これにより、ミラーM1の迅速な回動を可能にしながら、駆動部124を電力消費の少ない自己保持型とすることが容易になっている。しかも、駆動部126を回動可能なミラー支持台123に固定して、撮影レンズ301からCCD302に至る光路に対して斜めに配置しているため、駆動部126が細長い形状でありながら、全体構成の大型化を避けることができる。駆動部126を細長い形状としたことで、撮影レンズ301をカメラ本体2に収容するための空間の確保も容易になっている。
【0092】
回転力を直接生成するモータを備えて、その回転を直接またはギア等を介して間接にクイックリターンミラーM1に伝達する構成としてもよい。その場合も、モータをミラー支持台123に固定して、撮影レンズ301収容の障害にならないようにする。
【0093】
また、ここではクイックリターンミラーM1をハーフミラーとしたが、ミラーM1として全反射ミラーを備える構成とすることも可能である。その場合、光学ファインダ22とLCD212の同時利用はできなくなるが、光学ファインダ22のみを用いるモードに加えて、液晶ファインダモードを利用することができるから、銀塩フィルムを使用するカメラよりも使い勝手がよくなる。
【0094】
【発明の効果】
本発明のデジタルカメラは、撮影レンズから撮像素子に至る光路に回動により退避するミラーを配置して、光路を分岐するようにしているため、撮影レンズ透過光を利用する光学ファインダを備えることができる。このため、ビデオファインダによる電力消費が抑えられ、しかも、パララックスのないファインダ像を提供することができる。また、ミラーを退避させることにより、撮影レンズを透過した光の全てを撮像素子に導くことが可能であり、明るい画像を撮影することができる。さらに、ミラーを回動させるための駆動部材を光路に対して斜めに配置することができるから、大型化を最小限に抑えることができる。
【0095】
撮影レンズを光軸方向に可動にして、少なくともその一部を本体に収容し得るようにし、撮影レンズの収容に際して、支持部材がレンズ鏡筒によって押されてミラーと共に回動するようにした構成では、撮影レンズの収容のための広い空間を本体内に確保することができて、小型のデジタルカメラとなる。
【0096】
さらに、撮影レンズの収容に際し、駆動部への電力の供給を断つようにした構成では、収容動作の間にミラーが誤って回動するのを確実に避けることが可能になり、ミラーと撮影レンズの衝突による両者の損傷を防止することができる。
【0097】
駆動部材を自己保持型として、電力供給がないときにミラーを第1または第2の位置に保つようにした構成では、ミラーを停止している状態に保つための電力が不要になり、電力消費を低減することができる。例えば、長時間露光の撮影においても、電力消費は短時間露光の撮影と同じになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態のデジタルカメラの上面図。
【図2】 上記デジタルカメラの断面図。
【図3】 上記デジタルカメラの背面図。
【図4】 上記デジタルカメラのCCDユニット変位機構の正面図および断面図。
【図5】 上記デジタルカメラの概略の回路構成を示すブロック図。
【図6】 上記デジタルカメラのクイックリターンミラー駆動機構の分解斜視図。
【図7】 上記デジタルカメラの撮影レンズとミラー支持台の関係を示す断面図。
【図8】 上記デジタルカメラにおけるカメラ本体への撮影レンズ収容時の、各部の動作の時期を示すタイミングチャート。
【図9】 上記デジタルカメラにおけるカメラ本体への撮影レンズ収容時の、クイックリターンミラーの駆動制御の処理の流れを示すフローチャート。
【図10】 上記デジタルカメラにおけるカメラ本体からの撮影レンズ復帰時の、各部の動作の時期を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
1 デジタルカメラ
2 カメラ本体
8 メモリカード
9 シャッタボタン
M1 クイックリターンミラー(ハーフミラー)
22 光学ファインダ
26 フォーカルプレーンシャッタ
122 ミラー保持枠
123 ミラー支持台
124 ミラー駆動部
126 バネ
212 LCD
213 表示ボタン
220 フォーカシングスクリーン
221 撮影レンズ駆動モータ
225 ペンタプリズム
226 接眼レンズ
301 撮影レンズ
302 CCD
303 CCDユニット
306 ユニット駆動部
307 ユニット駆動機構
Claims (4)
- 撮影レンズと、
前記撮影レンズの光軸上に配置された撮像素子と、
前記撮影レンズの光軸に対して垂直な方向の回動軸を有し、前記撮影レンズから前記撮像素子に至る光路と斜めに交差する第1の位置と前記光路から外れる第2の位置とを含む範囲で、回動自在なミラーと、
前記ミラーの回動軸を支持するとともに、前記ミラーの回動範囲の一端を前記第1の位置に規定する支持部材と、
前記支持部材に固定され、供給される電力により前記ミラーを回動させる駆動部材と
を備えることを特徴とするデジタルカメラ。 - 前記撮影レンズを保持し、前記撮像素子、前記ミラー、前記支持部材および前記駆動部材を収容する本体を備え、
前記撮影レンズは光軸方向に可動で、少なくともその一部が前記本体に収容可能であり、
前記支持部材は、前記ミラーの回動軸と平行な回動軸を有し、前記撮影レンズが前記本体に収容される際に、前記撮影レンズを収容するレンズ鏡筒によって押されて、前記ミラーと共に回動する
ことを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。 - 前記駆動部材への電力の供給を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記撮影レンズが前記本体に収容される間、前記駆動部材への電力の供給を断つ
ことを特徴とする請求項2に記載のデジタルカメラ。 - 前記駆動部材は自己保持型であり、電力を供給されないときは、前記ミラーを前記第1の位置または前記第2の位置に保つ
ことを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
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