JP3717340B2 - 電子部品製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品製造装置に関し、特に、液晶表示装置や半導体装置などの薄膜の成膜工程を有する電子部品製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体装置や液晶表示装置などの電子部品の製造において、プラズマプロセス法やスパッタ法などの成膜技術が広く用いられている。この成膜技術によって形成された薄膜の各種特性を検出することにより、薄膜を形成するための各種パラメータの導出を行なったり、成膜時の各種不具合を速やかに検出することが行なわれている。
【0003】
特に、薄膜の膜厚は、薄膜の導電性または絶縁性などの特性のみならず、薄膜のパターン形成の不良に影響をおよぼし、薄膜の上層に形成される配線膜などの断線や短絡不良などに影響をおよぼすため、製品の歩留まりや信頼性を左右する上で重要な管理項目である。
【0004】
従来、成膜装置によって形成された薄膜の膜厚を測定する場合、膜厚の測定に多大な時間が必要であり、膜厚測定時に薄膜を傷つけないように精密な基板の搬送およびハンドリングが必要であった。このため、その測定装置も大掛かりなものとなり、既存ラインの空きスペースに組込むことが困難なため、オフラインでの測定が主であった。薄膜の膜厚を測定する手法として、直接薄膜の段差を測定する触針法やエリプソメータによる測定法など、様々な手法が用いられている。
【0005】
図19は、エリプソメータを用いた膜厚測定装置の概略構成を示している。膜厚測定装置は、偏光子101および検光子102を含む。光源からの光は、偏光子101によって偏光されてワークとなる薄膜形成基板103上に照射される。基板103で反射された光は、検光子102によって受光され、反射光の偏光状態が検出器により検出される。検出器は、入射光の偏光状態と反射光の偏光状態とを比較することによって、膜厚の光学定数(屈折率、消衰係数)を求める。
【0006】
しかし、図20に示すように、薄膜層104が金属などの配線パターン105を覆って、基板106上に形成されている場合には、その部分に微妙な凹凸があるため上述した測定手法では膜厚の測定ができない。
【0007】
そのため、配線パターン105などのない特定の領域を選び、その領域上に成膜を行なったり、配線パターンのないダミー基板上に成膜を行い、その薄膜の任意の点の膜厚を測定する。そして、ダミー基板上の薄膜の不具合がなくなるように成膜条件を決定し、その成膜条件を実際の生産品に適用して同様の成膜がなされていると仮定して生産を行っていた。
【0008】
また、基板上の凹凸の影響が少ない測定手法として、光の干渉を利用した手法がある。この光干渉法は、基板によって反射された光または基板を透過した光の分光スペクトルを解析することにより薄膜の膜厚を測定するものである。
【0009】
図21を参照して、光干渉法の一例を説明する。光源から照射された光は、基板103によって反射される。基板103の表面側に反射されるこの反射光は、薄膜104の表面で反射する光▲1▼と、薄膜104を除いた基板103の本体部106の表面で反射する光▲2▼とが合成されたものである。
【0010】
図22は、分光器によって検出された図21に示す反射光の波長と光強度との関係を示すグラフである。このグラフは、横軸を反射光の波長とし、縦軸をその光強度としている。光▲1▼と光▲2▼とが互いに干渉して、見かけ上反射光の波長に対して光強度に強弱が発生する。このような光の干渉は光▲1▼と光▲2▼との光路差によって発生するため、薄膜104の膜厚および光の照射角などに依存することとなり、グラフの波長−光強度の曲線形状も薄膜104の膜厚によって変化する。したがって条件により、グラフの波長−光強度の曲線形状を解析することによって薄膜104の膜厚を求めることができる。
【0011】
図22に示すような波長−光強度の関係曲線の解析手法として、ピーク・バレイ法と呼ばれる手法がある。この手法は、波長−光強度の関係曲線において光強度がピーク(図22のa点およびb点)となる波長を求め、その関係式から薄膜の膜厚を求めるものである。
【0012】
また、波長−光強度の関係曲線を用いた膜厚測定法として、特開平5−10726号公報には、透過光を利用した膜厚測定法の発明が開示されている。この測定法では、光源とセンサとを用い、透過性の基板を透過した光の波長−光強度の関係曲線を求める。また、ピーク・バレイ法のように単に光強度がピークとなる波長を求めるのではなく、その関係曲線が後述する理論式から求めた波長−光強度の理論関係曲線に最も近づくように薄膜の膜厚および屈折率を変化させて、膜厚を測定するものである。Tを薄膜の透過率、n′を薄膜の屈折率、n′0を空気の屈折率、n′1を透明基板の屈折率、r0を光が空気中から薄膜に入射するときの振幅反射率、r1を光が薄膜から透明基板に入射するときの振幅反射率、δを光が薄膜中を進行する時の位相のずれ、δ0を光が空気中から薄膜に入射するときの位相のずれ、δ1を光が薄膜から透明基板に入射するときの位相のずれとすると、次式の関係が成立つ。
【0013】
【数1】
【0014】
光が薄膜中を透過する時の位相のずれδは、薄膜の膜厚dと光の波長λとに依存するので、式(1)から波長λと薄膜の透過率Tとの関係を求めることができる。したがって、薄膜の膜厚dと薄膜の屈折率n′とを変化させて、式(1)から求められる波長−光強度の理論関係曲線を、波長−光強度の測定関係曲線に最も近づけ、そのときの薄膜の膜厚dと薄膜の屈折率n′とを測定値とする。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
図19に示すエリプソメータを用いた膜厚測定装置においては、基板103と偏光子101および検光子102との位置関係が固定されていなければならない。このため、基板103の上下方向のずれ、傾斜または振動等がある場合、薄膜の膜厚の測定が不可能になる。特にサイズが数百mm角以上と大型で、かつ0.5〜1.1mm程度の薄型のガラス基板を用いた液晶表示装置の製造ラインでは、基板の大きなそり(部分傾斜)や振動などが生じる。このため、インラインで膜厚測定装置を用いるためには、部分傾斜や振動の影響を受けないように、安定した大型のステージの設置が必要になる。また、偏光子101、検光子102および基板103の位置関係を精度良く設置して、光軸を合わせ込む必要がある。そのため、基板103上の複数箇所を同時に測定するのが困難であったり、測定システムが大掛かりになるためインラインで限られたスペースに組込むことが不可能な場合が多い。
【0016】
また、上述した配線パターンのないダミー基板上に成膜を行い、その薄膜の任意の点の膜厚を測定する方法では、ダミー基板に対する成膜を行なう工程が余分に必要となり、余分な膜厚測定処理が必要となる。このため、1つの製品に対する膜厚測定箇所を減少せざるを得なくなる。よって、膜厚異常の見落としや、異常発見が遅れたりすることにより、膨大な損害が生じる場合があった。
【0017】
また、各種電子部品では、基板と薄膜との間に配線やその他の金属膜などの微細なパターンが形成されている。その影響をある程度小さくして膜厚を測定する方法として、上述した光干渉法であるピーク・バレイ法が挙げられる。しかし、ピーク・バレイ法においては、測定した波長域内に光強度のピークまたはバレイが2つ以上存在しなければ、理論的に薄膜の膜厚測定が不可能である。また、光強度のピークまたはバレイが2つ以上存在する場合でも、ピークまたはバレイ付近の波長域において、薄膜による光吸収が起こると、光強度のピーク位置がずれる現象が起こる。このため、正確に膜厚測定ができない。
【0018】
また、特開平5−10726号公報に開示された膜厚測定法では、波長−光強度曲線の波形自体を解析しているため、光強度のピークまたはバレイが2つ以上なくても薄膜の膜厚測定が可能である。しかし、この測定法では、薄膜の吸収係数を考慮していない。そのため、測定波長域に薄膜による光吸収がある場合には、薄膜の吸収がない波長域に測定波長域をシフトさせる必要がある。したがって、複数の薄膜を測定する際に、波長域の異なる多数の光源が必要となり、測定する薄膜の種類により光源を切換える機構が必要である。よって、膜厚測定装置が大型化し、コストが高くなる。
【0019】
また、広範な波長域の光照射とそれに対する解析とが必要なため、膜厚測定に時間がかかる。さらに、透過性の基板のみを対象としているため、不透明基板であったり、配線などの遮光膜が薄膜と基板との間に形成されている場合には、薄膜の膜厚測定が困難であったり測定精度が落ちたりする。
【0020】
さらにまた、基板、光源およびセンサの位置関係が固定されていなければならない。基板に上下方向のずれ、傾斜または振動などがある場合には、光路が振れたりする。このため、正確に膜厚を測定することが困難である。特にサイズが数百mm角以上と大型で、かつ0.5〜1.1mm程度の薄型のガラス基板を用いた液晶表示装置の製造ライン中では、基板の大きなそり(部分傾斜)や振動などが生じる。このため、インラインで膜厚測定を行なうためには、部分傾斜や振動の影響を受けないように安定した大型のステージの設置が必要になる。よって、膜厚測定装置が大型化する。しかも、基板およびセンサの位置関係を精度良くして光軸を合わせ込む必要がある。このため、基板内の複数箇所を同時に測定するのが困難であったり、センサを既存ラインの空きスペースに組込むことが不可能である。
【0021】
センサを移動させながら複数箇所の膜厚を測定することも考えられるが、光軸を高精度に維持しつつ、高速移動させるのは困難である。このため、測定時間がかかる。
【0022】
また、上述のように従来の膜厚測定方法では、インラインでの膜厚測定が困難であった。このため、いくつかの工程を経た後に、検査工程において基板の全面的または局部的な不良が検出される。しかし、不良が発生してから不良が検出されるまでの間にはタイムラグがある。そのため、その間に不良品を大量発生させてしまうという問題がある。
【0023】
また、従来の膜厚測定方法では、膜厚測定装置の光源の劣化などの各種条件の変化から、膜厚測定装置の故障やメンテナンス時期等を予想することはできなかった。このため、膜厚測定装置の稼働率の低下原因となっていた。
【0024】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、不良品が発生した場合であっても不良品の発生を最小限に食止めることができる電子部品製造装置を提供することである。
【0025】
本発明の他の目的は、製造タクトタイムを落とすことなく高速に膜厚測定が可能な電子部品製造装置を提供することである。
【0026】
本発明のさらに他の目的は、高精度で膜厚測定ができる電子部品製造装置を提供することである。
【0027】
本発明のさらに他の目的は、薄膜の膜厚測定装置の故障やメンテナンス時期を予想し、薄膜の膜厚測定装置の稼働率を向上させた電子部品製造装置を提供することである。
【0028】
本発明のさらに他の目的は、薄膜の膜厚測定装置を小型化し、インラインで膜厚測定可能な電子部品製造装置を提供することである。
【0029】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明に係る電子部品製造装置は、成膜装置と、光源、光源からの光を導き、基板上の複数の箇所に同時に照射するように、基板上に形成された薄膜に対してほぼ垂直に照射する複数の照射手段、複数の箇所で、薄膜および基板からの反射光を受光する複数の受光手段、複数の受光手段の先端にそれぞれ取付けられた複数の第1の接続コネクタ、複数の受光手段のいずれかで受光された反射光を波長ごとに分光する分光手段、一方端が分光手段に接続され、他方端が複数の第1の接続コネクタのいずれかに接続されることにより、接続された第1の接続コネクタより光を分光手段に導く第2の接続コネクタおよび、分光手段で分光された反射光の強度に基づいて、薄膜の膜厚を算出する算出手段を備える薄膜の膜厚測定装置とを含み、薄膜の膜厚測定装置は、電子部品の製造ライン中であって、成膜装置による成膜が行なわれた後に薄膜の膜厚測定を行なう位置に設けられている。
【0030】
照射手段および受光手段を基板に対してそれぞれほぼ垂直に設けることにより、照射手段および受光手段を一体化して既存ラインの空きスペースなどに組込むことが可能となる。また、光の入射角がほぼ直角であることより、反射光の光路ずれが少なくなる。このため、基板の振動や傾斜、基板と照射手段および受光手段との間の距離などに影響されることなく薄膜の膜厚測定が可能となる。
【0031】
また、成膜装置における成膜が行なわれた後に薄膜の膜厚測定が行なわれる。このため、成膜不良を直ちに発見することができ、不良品の発生を最小限に食止めることができる。
【0033】
液晶表示装置などに用いられる大型基板の場合には、基板内の膜厚のバラツキが大きく、成膜時の異常放電などにより成膜異常が局部的に生じる場合がある。このような場合であっても、照射手段および受光手段を複数配置することにより、複数箇所の膜厚測定を同時に行なうことができる。このため、製造タクトタイムを落とすことなく局部的な膜厚異常などを発見することができる。
【0035】
第1の接続コネクタおよび第2の接続コネクタの組合わせにより、分光手段に導く光が切換えられる。このように切替手段として、コネクタを用いることにより、シャッタを用いる場合に比べて、光の漏れを防止し、光の利用効率を高くすることができる。このため、薄膜の膜厚測定の精度を高めることができる。
【0036】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、複数の第1の接続コネクタの各々および第2の接続コネクタには、それぞれ集光レンズが内蔵されている。
【0037】
第1および第2の接続コネクタに集光レンズを内蔵することにより、さらに光の漏れを防止することができ、光の利用効率を高くすることができる。このため、薄膜の膜厚測定の精度をより高めることができる。
【0038】
請求項3に記載の発明は、請求項1〜2のいずれかに記載の発明の構成に加えて、薄膜の膜厚測定装置は、さらに、光源からの光を導き、光の反射材料に対してほぼ垂直に光を照射する反射較正用照射手段と、反射材料からの反射光を受光する反射較正用受光手段と、反射較正用受光手段で受光された光に基づき、算出手段における薄膜の膜厚の算出時に用いられるパラメータを較正する反射較正手段とを含む。
【0039】
反射材料からの反射光を用いて薄膜の膜厚の算出時に用いられるパラメータが較正される。このため、電子部品の製造中であっても、パラメータを較正しながら薄膜の膜厚測定が行なわれる。よって、薄膜の膜厚測定の精度を高めることができる。
【0040】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、薄膜の膜厚測定装置は、さらに、光源からの光を導き、光の反射材料に対して光を照射する光源較正用照射手段と、反射材料からの反射光を受光する光源較正用受光手段と、光源較正用受光手段で受光された光に基づき、光源の光量低下を検出する光源光量低下検出手段とを含む。
【0041】
反射材料からの反射光を用いて光源の光量低下が検出される。このため、あらかじめ光源の寿命を知ることができ、光源の寿命がくる前に光源を取り替えることができる。また、光源の取り替えを成膜時やライン停止時に行なえるため、薄膜の膜厚測定装置の稼働率を上昇させることできる。
【0042】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成に加えて、薄膜の膜厚測定装置は、さらに、外乱光を受光する外乱光受光手段と、外乱光受光手段で受光された光に基づき、算出手段における薄膜の膜厚の算出時に用いられるパラメータを較正する外乱光較正手段とを含む。
【0043】
外乱光を用いて薄膜の膜厚の算出時に用いられるパラメータが較正される。このため、外乱光の影響を受けることなく、薄膜の膜厚測定が行なわれ、膜厚測定の精度を高めることができる。
【0044】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明の構成に加えて、照射手段は、光源からの光を導き、基板上に形成された薄膜に対して照射する光ファイバを含み、受光手段は、薄膜および基板からの反射光を受光し、受光した反射光を分光手段に導く光ファイバを含む。
【0045】
光ファイバのみで照射手段および受光手段を構成できる。このため、薄膜の膜厚測定装置を小型化することができる。
【0050】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1における薄膜の膜厚測定装置の概略構成を説明するためのブロック図である。この薄膜の膜厚測定装置は、光源1と、光源1からの光を基板3上の複数箇所(ここでは2箇所)に導き、それぞれの箇所における基板3からの反射光を受光する分岐型光ファイバ2と、基板3の複数箇所に導かれる入射光および基板3の複数の反射光を選択的に遮断する光制限シャッタ4と、分岐型光ファイバ2によって導かれた反射光を波長ごとの光強度に分解する分光器5と、波長ごとの光強度を解析して薄膜の膜厚を算出する計算機6とを含む。
【0051】
光源1には、たとえば可視光線波長域(400〜800nm)に近い波長域(400〜850nm)を有するハロゲンランプを用いる。ただし、他のランプをハロゲンランプと同一の光源室内または別の光源室内に設け、同時に点灯させて使用したり、切換えて点灯させて使用してもよい。また、分光器5等の光学部品には、その波長域をカバーできる部品が使用される。
【0052】
図2は、分岐型光ファイバ2の概略構成を説明するためのブロック図である。この分岐型光ファイバ2は、光源1からの光を基板3上に導く光ファイバ2aと、光源1からの光を基板3上の測定点▲1▼に導き、基板3上の測定点▲1▼からの反射光を分光器5へ導く光ファイバ2bと、光源1からの光を基板3上の測定点▲2▼に導き、基板3上の測定点▲2▼からの反射光を分光器5へ導く光ファイバ2cと、基板3上の測定点▲1▼からの反射光および測定点▲2▼からの反射光を分光器5へ導く光ファイバ2dとを含む。
【0053】
図3は、分岐型光ファイバ2をさらに詳細に説明するための図である。光ファイバ2aは、2群の光ファイバ2aaおよび2abを含む。光ファイバ2aaは、光源1からの光を基板3上の測定点▲1▼へ導く。光ファイバ2abは、光源1からの光を基板3上の測定点▲2▼へ導く。
【0054】
光ファイバ2bは、2群の光ファイバ2baおよび2bbを含む。光ファイバ2baは、光源1からの光を基板3上の測定点▲1▼へ導く。光ファイバ2bbは、基板3上の測定点▲1▼からの反射光を分光器5へ導く。
【0055】
光ファイバ2cは、2群の光ファイバ2caおよび2cbを含む。光ファイバ2caは、光源1からの光を基板3上の測定点▲2▼へ導く。光ファイバ2cbは、基板3上の測定点▲2▼からの反射光を分光器5へ導く。
【0056】
光ファイバ2dは、2群の光ファイバ2daおよび2dbを含む。光ファイバ2daは、基板3上の測定点▲1▼からの反射光を分光器5へ導く。光ファイバ2dbは、基板3上の測定点▲2▼からの反射光を分光器5へ導く。
【0057】
図4は、光制限シャッタ4の概略構成を説明するための図である。この光制限シャッタ4は、図3に示す光ファイバ2bおよび2cのそれぞれの途中に設けられている。すなわち、光ファイバ2aと2cとの接続点(光ファイバ2dと2bとの接続点)2xと測定点▲1▼および▲2▼との間にそれぞれ設けられている。光ファイバ2bの途中に設けられた光制限シャッタ4bは、その開閉によって基板3上の測定点▲1▼への入射光および測定点▲1▼からの反射光の通過および遮断の切換を制御する。光ファイバ2cの途中に設けられた光制限シャッタ4cは、その開閉によって基板3上の測定点▲2▼への入射光および測定点▲2▼からの反射光の通過および遮断の切換を制御する。光制限シャッタ4bおよび4cの一方を閉じ、他方を開くことによって、基板3上の測定点▲1▼および▲2▼からの反射光の一方のみを選択して分光器5に導くことが可能である。また、光制限シャッタ4bおよび4cを同時に開くことによって、基板3上の測定点▲1▼および▲2▼での膜厚の平均値を測定することも可能である。
【0058】
図5は、計算機6が実行する膜厚測定処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。まず、分光器5によって基板3からの反射光を波長ごとの光強度(スペクトル)に分解する(S1)。計算機6は、分光器5から波長ごとのスペクトルデータを取得し(S2)、後述する理論式を用いて薄膜の膜厚を算出する(S3)。計算機6は、求められた膜厚を計算機6の画面上に表示し、データを蓄積保存する(S4)。計算機6は、蓄積されたデータを集中制御機(図示せず)に転送する(S5)。
【0059】
計算機6より薄膜の膜厚に関するデータを受信した集中制御機は、薄膜の膜厚が予め定められた基準値を超えた場合や、基板内での測定点間の膜厚の差が大きい場合や、ある測定点における膜厚の時間的な変化が大きい場合などに、警報を出すなどして異常発生に対する処理を行なう。
【0060】
ここで、薄膜の膜厚解析法の一例を説明する。基板の屈折率をn0、薄膜の屈折率をn1、空気の屈折率をn2、薄膜の吸収係数をk、薄膜の膜厚をd、光源の波長をλとすると、基板からの反射光強度Rは式(2)〜(7)で表すことができる。
【0061】
【数2】
【0062】
光学定数nおよびkは、光の波長λによって変化する値である。予め定められた複数の代表波長または波長サンプリングを行なうことにより(たとえば、400nmから850nmまで5nm刻みでサンプリングを行なうことにより)、光学定数nおよびkを変化させ、式(2)〜(7)より薄膜の膜厚を求める。
【0063】
光学定数nおよびkの測定波長域内の変化が少ない場合や、膜厚の正確な値が必要なく、時間的な変化のみが知りたい場合には、代表波長のみを用いた膜厚測定や数箇所程度の測定点での膜厚測定でもよく、処理時間の高速化を図ることができる。
【0064】
光学定数nおよびkが既知でない場合には、光学定数nおよびkならびに薄膜の膜厚dを以下の▲1▼〜▲3▼のようにして求めることができる。
▲1▼ 値を求める対象である薄膜の膜厚d、薄膜の屈折率n1、および薄膜の吸収係数kについて、初期値として大まかな数値(たとえば、想定される膜厚、代表波長における屈折率および吸収係数など)を式(2)に代入する。
▲2▼ 次に、それぞれのパラメータd,n1,kの上限値および下限値を設定する。たとえば、膜厚dであれば、初期値として想定する膜厚の±50%の値を上限値および下限値として設定する。
▲3▼ パラメータd,n1,kをそれぞれの上限値および下限値の範囲内で変化させて式(2)に代入し、その結果得られる曲線が実測の波長−光強度の曲線に最も近づくように各パラメータの値を算出する。より具体的には、両曲線の光強度の差を各波長ごとに求め、測定波長域におけるその差の2乗の総和が最も小さくなるようにパラメータを変化させることで各パラメータを求めることができる。この手法によって、光学定数nおよびkと薄膜の膜厚dとを同時に求めることが可能となる。
【0065】
また、基板上に多層の薄膜が成膜される場合にも、上述した手法と同様にして各層の薄膜の膜厚を算出することができる。ここで、基板の屈折率をn(0)、基板からp層目の薄膜の屈折率をn(p)、空気の屈折率をn(p+1)、基板からp層目の薄膜の吸収係数をk(p)、基板からp層目の薄膜の膜厚をd(p)、光源の波長をλとすると、基板からの反射光強度R(p+1,0)とこれらのパラメータとの間には式(8)〜(12)に示される関係が成立つ。
【0066】
【数3】
【0067】
基板から1層目の薄膜、2層目の薄膜…と順次理論式に値を代入することにより、すなわち、pに1,2…を順次代入することによって、薄膜が何層であってもそれぞれの薄膜の光学定数(n(p),k(p))および膜厚d(p)を求めることができる。ただし、光学定数の近い薄膜同士が隣接して積層されている場合には、それらの薄膜を同一層として解析が行なわれる。薄膜の数が増加するにつれパラメータ数も増加するため、演算に要する時間も増加したり、実際の値との誤差が大きくなる。しかし、本願発明者の検討によれば、液晶表示装置においては、3層程度でもインラインで測定可能であることを確認した。
【0068】
基板上の測定箇所は、液晶表示装置の異常を予知するためには1点でもよいが、1m角以上の大きさの液晶表示装置用の基板では、薄膜の膜厚が部分的に異なる場合が多く、局所的な膜厚異常がまれに生じる。このため、1枚の基板に対して3〜5点程度の測定をすることが望ましい。
【0069】
図6(a)は本実施の形態における薄膜の膜厚測定装置の設置の一例を示す側面図であり、図6(b)はその平面図である。図6(a)に示すように、図1に示す分岐型光ファイバ2が内部に設けられたセンサユニット10が、成膜装置内部に設けられた支柱10aに固定される。分岐型光ファイバ2は、支柱10a内部に引きめぐらされる。センサユニット10は、成膜装置のゲート開口部(以下、「ゲートバルブ」という。)13の近傍に位置する基板3に対して、ほぼ垂直に光照射を行なうように取付けられている。膜厚測定装置は、成膜直後に薄膜の膜厚測定を行なう。基板3の移動中またはメンテナンス中に、基板3がセンサユニット10に接触しないように、両者の距離は10mm以上必要であるが、測定精度を維持するためには、約100mm〜数10mm以下にすることが好ましい。
【0070】
この成膜装置は、たとえば、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置であって、複数枚単位で成膜を行ない、成膜した複数の基板を順次トレイに納めていく。この複数の基板は、図6(b)に示すアンロード室のゲートバルブ13内部に設けられたロードロック14内に貯えられている。基板搬送用ロボット11は、ロードロック14から基板を1枚ずつ取り出してロボットハンド12上に載せて、センサユニット10の真下に基板3が位置するように移動させる。1枚の基板中に複数の測定点がある場合には、ロボット11は、ある測定点の測定が終了するたびに次の測定点がセンサユニット10の真下にくるように、順次、基板3の移動を繰返す。基板3が移動するごとにセンサユニット10は、各測定点に対する膜厚の測定を行なう。図6(c)に、ロボットハンド12の形状を示す。基板3は、おおむねコの字型で支えられる場合が多く、基板3が支持される点から遠ざかるにつれ、基板3は、自身の重みにより垂れ下がる。このため、基板3は数mm程度相対位置がずれたり、多少傾いたりしている。よって、膜厚測定装置は、このようなずれや傾斜に対して測定精度を維持する必要がある。
【0071】
次に、センサユニット10の構造の詳細を説明する。センサユニット10の先端には、図2および図3を参照して説明した上述の光ファイバ2bおよび光ファイバ2cが設けられている。
【0072】
光ファイバ2bは、上述のように光ファイバ2baおよび2bbを含むが、図7に示すように光ファイバ2bbを6つの光ファイバより構成し、同一径の光ファイバ2baの周囲に配置させて光ファイバ2bを構成してもよい。このような構造とすることにより、図8を参照して、光ファイバ2baの周囲に6つの光ファイバ2bbを配置し、それらを治具で固定させるだけで、光ファイバ2baおよび光ファイバ2bbを互いに平行にすることができる。このため、光ファイバ2bの組立が容易になる。また、膜厚測定時に基板3が傾いていたとしても、光ファイバ2baより照射された光の反射光が6つの光ファイバ2bbのいずれかで受光される。このため、基板3の傾きに影響されることなく薄膜の膜厚を測定することができる。光ファイバ2cも図7と同様に構成される。
【0073】
図9〜図11は、基板の上下方向のずれ、傾斜および振動が測定値に与える影響をそれぞれ説明するための図である。基板上には、GI層(窒化シリコン)、i層(アモルファシスシリコン)およびn+層(n+型アモルファスシリコン)の3層が成膜されているものとする。図9は、センサユニット10と基板3との間の距離を横軸に、上述の膜厚測定装置によって測定された薄膜の膜厚を縦軸にとったグラフを示している。図9から分かるように、GI層、i層およびn+層が堆積した多層構造においても、それぞれの層が距離の移動による変動をほとんど生じることなく測定されている。なお、上述のようにセンサユニット10と基板3との間の距離には、数mm程度のずれが生じているが、この影響を受けることなく薄膜の膜厚の測定が可能である。
【0074】
図10は、センサユニット10に対する基板3の傾斜角を横軸に、上述の膜厚測定装置により測定された膜厚を縦軸にとったときのグラフを示している。傾斜角が3〜4°以上になると、受光される反射光は、傾斜角が0°の場合に比べ50%以下となるが、図10からもわかるように、GI層、i層およびn+層が積層された多層構造においても、8°以下の基板3の傾きであれば(より好ましくは2°以下の基板3の傾きであれば)、比較的高精度に薄膜の膜厚を測定することができる。
【0075】
図11は、基板3の上下振動の影響を示したグラフである。上下の振幅4mm、振動数5Hzの条件で10秒ごとに反射光の強度を測定した。図11のグラフは、測定時間を横軸にとり、上述の膜厚測定装置によって測定された反射光の反射強度を縦軸にとっている。図11からもわかるように、反射強度は振動を加えても安定していることがわかる。
【0076】
図12に示すようなタンタル(Ta)からなる反射膜を覆うように上述のGI層、i層およびn+層が堆積された3層構造の各層の膜厚を測定した。この時、着目する層の下層はすべてガラス基板であると仮定して、膜厚の測定が行なわれる。図13は、反射膜が存在しない部分、反射膜が10%程度存在する液晶表示装置の表示部内部および反射膜が50%程度存在する液晶表示装置の表示部周辺におけるGI層、i層およびn+層の膜厚を示している。GI層、i層およびn+層におけるバラツキは、それぞれ±2.5%,±1.3%,±1.0%程度であり、各層の膜厚の測定結果は安定している。これは、基板3に対してほぼ垂直の光を当てることにより、光の屈折の影響が低減され、反射膜のエッジ部において光の反射方向が変化してしまう影響が低減されたためである。
【0077】
なお、上述の薄膜の膜厚を求める際に光源1として用いられるハロゲンランプは、時間が経つとともに光量および波長分布が変化する。このため、反射光強度Rを求める際には、定期的に光源1の照射光のスペクトルを、較正用の全反射基板(金メッキ基板など)を用いて求め、各種パラメータを較正する。
【0078】
上述のようにセンサユニット10の先端には、2つの光ファイバ2bおよび2cを設けたが、1つまたは3つ以上の光ファイバであってもよいのは言うまでもない。また、上述の説明では、ロボット11が基板3を移動させて、複数の測定点における薄膜の膜厚測定を行なっているが、センサユニット10を移動させて、複数の測定点における薄膜の膜厚測定を行なうようにしてもよい。
【0079】
以上のように本実施の形態にかかる薄膜の膜厚測定装置は、センサユニット10部分の構造が極めて簡単である。このため、小型化が可能となる。
【0080】
また、膜厚の測定を解析する際、波長−光強度曲線のみを用いて解析を行なうことができる。このため、多層膜や多点計測においても短時間で薄膜の膜厚を測定することができる。
【0081】
また、膜厚測定装置がコンパクトなため、製造ラインに組込みやすい。さらに、短時間で膜厚の測定が可能なため、成膜直後に膜厚を測定することができるようになり、製造中の異常発生から発見までのタイムラグを短くすることができ、不良発生による損害を最小限に食止めることができる。
【0082】
また、膜厚のデータを蓄積保存し、そのデータを解析することによって、成膜装置または成膜材料などの寿命、成膜装置の適切なメンテナンス時期、および成膜条件変更の時期などを予測することができる。そのため、突発的なメンテナンスを回避することができ、成膜装置を安定に稼動させることができる。
【0083】
[実施の形態2]
図14を参照して、本発明の実施の形態2に係る薄膜の膜厚測定装置は、光源1と、分光器5と、基板3に対向する位置に設けられた複数のセンサユニット10と、プレート18上のキャリブレーション材料20に対向する位置に設けられたセンサユニット19と、プレート18上のミラー22に対向する位置に設けられたセンサユニット21と、プレート18上の反射材料28に対向する位置に設けられたセンサユニット29と、センサユニット10、19、21および29の受光部に光ファイバ24を介してそれぞれ接続された複数のカプラ23と、分光器5に光ファイバ24を介して接続されるとともに、複数のカプラ23のいずれかと接続されることにより、センサユニット10、19、21および29のいずれかで受光された光を分光器5に導くカプラ23と、分光器5に接続され、波長ごとの光強度を解析して薄膜の膜厚を算出する計算機(図示せず)とを含む。
【0084】
キャリブレーション材料20には、シリコンウエハなどのように鏡面処理が施され、かつ反射率が既知である材料が用いられる。ミラー22は、センサユニット21から照射された光を、センサユニット21の外に反射するように傾斜している。反射材料28には、全反射基板(金メッキ基板など)が用いられる。
【0085】
カプラ23および25は、互いに接続されることにより、光ファイバ24同士を光の漏れがないように接続するコネクタの役割を果たす。図15を参照して、カプラ23および25には、光の利用効率を高めるために集光レンズ26が内蔵されている。
【0086】
計算機は、実施の形態1で説明した計算機6と同様の方法に従い薄膜の膜厚を計算する。このため、説明は繰返さない。光源1および分光器5は、実施の形態1と同様である。このため、説明は繰返さない。
【0087】
本実施の形態では、100nm(=1000Å)以下の膜厚の透明導電膜であるITO膜の膜厚を測定する場合について説明する。液晶表示装置に一般的に用いられるITO膜は画素電極として用いられる。図16は、透過型の液晶表示装置の画素部の断面構造を示している。このような構造では、膜厚が薄いITO膜の特性が反射光強度の分布として現れにくい。このため、実施の形態1で示した評価方法では、ITO膜の膜厚測定は困難である。
【0088】
しかし、液晶表示装置などにおいては、例えば駆動用ドライバなどを実装する端子部などでITO膜の下層にTaなどの反射膜が形成される場合が多い。下層にTaなどの反射膜があると、反射光強度の分布が安定し、その部分で高精度の測定が可能となる。
【0089】
図17に実施の形態1と同様のハロゲンランプ(波長域約400nm〜約850nm)からなる光源1を用いて、ITO膜の膜厚を測定した結果を示す。横軸に生産条件における設定膜厚をとり、縦軸に膜厚測定装置での測定結果を示す。薄膜の膜厚が60nm(=600Å)の場合には膜厚の測定値が安定している。ITO膜の膜厚が60nm以外の場合には、測定値のバラツキが大きい。このため、膜厚異常を検出することが困難になる。
【0090】
このため、光源1として、ハロゲンランプおよび重水素ランプを用い、同一の光源室に入れ、同時点灯させた状態(波長域約220nm〜約850nm)で、ITO膜の膜厚を測定した。その結果、図18に示すようなグラフが得られた。このグラフからもわかるように、いずれの膜厚においても測定値のバラツキが小さく、生産条件における設定膜厚と測定値との相関性が高い。ただし、設定膜厚値と測定膜厚値との間には、若干のずれが生じている。これは、計算速度を増すために、吸収係数k(p)を波長ごとに一定としたことなどによるものである。このため、予め、設定膜厚値と測定膜厚値との関係が分かっていれば、測定膜厚値を補正することによって、正確な膜厚測定が可能となる。ただし、膜厚測定装置をインラインで使用し膜厚異常を検出する場合には、測定点における膜厚の時間的な変化のみがわかればよい。このような場合には、測定値の補正は必要なくなる。
【0091】
計算機は、薄膜の膜厚測定を行なっていない時間に、センサユニット19、21および29を利用して、各種パラメータの較正を行なったり、光源1の光量低下を検出したりする。センサユニット19を用いて較正を行なう場合、カプラ25がセンサユニット19に接続されたカプラ23に接続される。センサユニット19より、ある特定の波長の光がキャリブレーション材料20に照射され、キャリブレーション材料20で反射された光がセンサユニット19で受光される。計算機は、受光された光の強度の分散を正規化することにより、各種パラメータを較正する。
【0092】
センサユニット21を用いて較正を行なう場合、計算機は、センサユニット21で受光された外乱光の強度を測定し、外乱光の影響が生じないように各種パラメータを較正する。
【0093】
センサユニット29を用いて光量低下の検出を行なう場合、計算機は、センサユニット29で受光された光の強度をモニタリングし、光強度が所定のしきい値以下(たとえば、初期強度の70%以下)になったときに、光源1の光量が低下したことをモニタ(図示せず)等を通じて報知する。なお、センサユニット29および反射材料28を設けなくとも、センサユニット19およびキャリブレーション材料20を用いて、光源1の光量低下の検出を行なうようにしてもよい。
【0094】
以上説明したように、本実施の形態における膜厚測定装置では、ハロゲンランプおよび重水素ランプを同時点灯させた光源1を用いることにより、波長域が約220nm〜約850nmの波長域の光に対する膜厚測定が行なわれる。一般に、膜厚が薄い膜を測定するには、波長の短い光を用いて膜厚測定を行なわなければならない。このため、重水素ランプを同時点灯させることにより、ハロゲンランプのみを用いた場合に比べ、正確にITO膜の膜厚測定を行なうことができる。
【0095】
液晶表示装置などに用いられる大型基板の場合には、基板内の膜厚のバラツキが大きく、成膜時の異常放電などにより成膜異常が局部的に生じる場合がある。このような場合であっても、センサユニットを複数配置して薄膜の複数の箇所に同時に光を照射することにより、複数箇所の膜厚測定を同時に行なうことができる。このため、製造タクトタイムを落とすことなく局部的な膜厚異常などを発見することができる。
【0096】
また、カプラを用いて、分光器に導かれる光が切換えられる。このため、光制限シャッタを用いる場合に比べ、光の漏れを防止し、光の利用効率を高くすることができる。よって、薄膜の膜厚測定精度を高くすることができる。
【0097】
また、カプラに内蔵された集光レンズにより、さらに光の漏れを防止し、光の利用効率を高くすることができる。
【0098】
また、キャリブレーション材料およびミラーを用いて、各種パラメータの較正が行なわれる。このため、液晶表示装置の製造中であっても、パラメータを較正しながら薄膜の膜厚測定を行なうことができる。よって、薄膜の膜厚測定の精度を高めることができる。
【0099】
また、反射材料を用いることにより、光源の光量低下が検知される。このため、あらかじめ光源の寿命を知ることができ、光源の寿命がくる前に光源を取り替えることができる。また、光源の取り替えを成膜時やライン停止時に行なえるため、薄膜の膜厚測定装置の稼働率を上昇させることできる。
【0100】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1における薄膜の膜厚測定装置の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図2】 分岐型光ファイバ2の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図3】 分岐型光ファイバ2をさらに詳細に説明するための図である。
【図4】 光制限シャッタの概略構成を説明するための図である。
【図5】 本発明の実施の形態1における薄膜の膜厚測定装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図6】 本発明の実施の形態1における薄膜の膜厚測定装置の設置の一例を示す図である。
【図7】 光ファイバ2bの構成を示す図である。
【図8】 光ファイバ2bの構成を示す図である。
【図9】 センサユニットと基板との間の距離を変化させたときの薄膜の膜厚測定結果を示すグラフである。
【図10】 センサユニットに対する基板の傾斜角を変化させたときの薄膜の膜厚測定結果を示すグラフである。
【図11】 基板に上下振動を与えたときにセンサユニットに入射する反射光の強度の時間変化を示すグラフである。
【図12】 Taからなる反射膜を覆うようにGI層、i層およびn+層が堆積された3層構造を示す図である。
【図13】 反射膜の面積比を変化させたときの薄膜の膜厚測定結果を示すグラフである。
【図14】 本発明の実施の形態2における薄膜の膜厚測定装置の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図15】 カプラの断面構造を示す図である。
【図16】 透過型の液晶表示装置の画素部の断面構造を示す図である。
【図17】 ハロゲンランプを光源として用いたときのITO膜の膜厚測定結果を示すグラフである。
【図18】 ハロゲンランプおよび重水素ランプを光源として用いたときのITO膜の膜厚測定結果を示すグラフである。
【図19】 従来のエリプソメータを用いて膜厚を測定する方法を説明するための図である。
【図20】 膜厚の測定ができない基板の一例を示す図である。
【図21】 従来の光干渉法の一例を説明するための図である。
【図22】 反射光の波長と光強度との関係の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 光源、2 分岐型光ファイバ、2a,2b,2c,2d,2aa,2ab,2ba,2bb,2ca,2cb,2da,2db,24 光ファイバ、3,106 基板、4,4b,4c 光制限シャッタ、5 分光器、6 計算機、10,19,21,29 センサユニット、10a 支柱、11 ロボット、12ロボットハンド、13 ゲートバルブ、14 ロードロック、18 プレート、20 キャリブレーション材料、22 ミラー、23,25 カプラ、26 集光レンズ、28 反射材料、101 偏光子、102 検光子、103 薄膜形成基板、104 薄膜層、105 配線パターン。
Claims (6)
- 成膜装置と、
光源、
前記光源からの光を導き、基板上の複数の箇所に同時に照射するように、前記基板上に形成された薄膜に対してほぼ垂直に照射する複数の照射手段、
前記複数の箇所で、前記薄膜および前記基板からの反射光を受光する複数の受光手段、
前記複数の受光手段の先端にそれぞれ取付けられた複数の第1の接続コネクタ、
前記複数の受光手段のいずれかで受光された前記反射光を波長ごとに分光する分光手段、
一方端が前記分光手段に接続され、他方端が前記複数の第1の接続コネクタのいずれかに接続されることにより、接続された第1の接続コネクタより光を前記分光手段に導く第2の接続コネクタおよび、
前記分光手段で分光された前記反射光の強度に基づいて、前記薄膜の膜厚を算出する算出手段を備える薄膜の膜厚測定装置とを含み、
前記薄膜の膜厚測定装置は、電子部品の製造ライン中であって、前記成膜装置による成膜が行なわれた後に前記薄膜の膜厚測定を行なう位置に設けられている、電子部品製造装置。 - 前記複数の第1の接続コネクタの各々および前記第2の接続コネクタには、それぞれ集光レンズが内蔵されている、請求項1記載の電子部品製造装置。
- 前記薄膜の膜厚測定装置は、さらに、
前記光源からの光を導き、光の反射材料に対してほぼ垂直に光を照射する反射較正用照射手段と、
前記反射材料からの反射光を受光する反射較正用受光手段と、
前記反射較正用受光手段で受光された光に基づき、前記算出手段における前記薄膜の膜厚の算出時に用いられるパラメータを較正する反射較正手段とを含む、請求項1〜2のいずれかに記載の電子部品製造装置。 - 前記薄膜の膜厚測定装置は、さらに、
前記光源からの光を導き、光の反射材料に対して光を照射する光源較正用照射手段と、
前記反射材料からの反射光を受光する光源較正用受光手段と、
前記光源較正用受光手段で受光された光に基づき、前記光源の光量低下を検出する光源光量低下検出手段とを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品製造装置。 - 前記薄膜の膜厚測定装置は、さらに、
外乱光を受光する外乱光受光手段と、
前記外乱光受光手段で受光された光に基づき、前記算出手段における前記薄膜の膜厚の算出時に用いられるパラメータを較正する外乱光較正手段とを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の電子部品製造装置。 - 前記照射手段は、前記光源からの光を導き、前記基板上に形成された薄膜に対して照射する光ファイバを含み、
前記受光手段は、前記薄膜および前記基板からの前記反射光を受光し、受光した前記反射光を前記分光手段に導く光ファイバを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の電子部品製造装置。
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