JP2006220668A - 薄膜の膜厚測定装置 - Google Patents

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康伸 田草
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Abstract

【課題】基板の部分的な傾斜や振動の影響を受けることなく安定に薄膜の膜厚測定ができる薄膜の膜厚測定装置を提供する。
【解決手段】薄膜の膜厚測定装置は、光源1と、光源1からの光を基板3上の複数箇所(ここでは2箇所)に導き、それぞれの箇所における基板3からの反射光を受光する分岐型光ファイバ2と、基板3の複数箇所に導く入射光と、基板3の複数の反射光とを選択的に遮断する光制限シャッタ4と、分岐型光ファイバ2によって導かれた反射光を波長ごとの光強度に分解する分光器5と、波長ごとの光強度を解析して薄膜の膜厚を算出する計算機6とを含む。光源1には、たとえば可視光線波長域(400〜800nm)に近い波長域(400〜850nm)を有するハロゲンランプを用いる。ただし、他のランプをハロゲンランプと同一の光源室内または別の光源室内に設けてもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜の膜厚測定装置に関する。特に、液晶表示装置や半導体装置を製造する際に、ガラス基板または半導体ウエハ基板などの基板上に形成された各種薄膜の膜厚を測定する薄膜の膜厚測定装置に関する。
近年、半導体装置や液晶表示装置などの電子部品の製造において、プラズマプロセス法やスパッタ法などの薄膜形成技術が広く用いられている。この薄膜形成技術によって形成された薄膜の各種特性を検出することにより、薄膜を形成するための各種パラメータの導出を行なったり、薄膜形成時の各種不具合を速やかに検出することが行なわれている。
特に、薄膜の膜厚は、薄膜の導電性または絶縁性などの特性のみならず、薄膜の上層に形成される配線膜などの断線や短絡不良などに影響をおよぼすため、製品の歩留まりや信頼性を左右する上で重要な管理項目である。
従来、薄膜形成装置によって形成された薄膜の膜厚を測定する場合、膜厚の測定に多大な時間が必要であり、その測定装置も大掛かりなものとなるため、オフラインでの測定が主であった。薄膜の膜厚を測定する手法として、直接薄膜の段差を測定する触針法やエリプソメータによる測定法など、様々な手法が用いられている。
図18は、エリプソメータを用いた膜厚測定装置の概略構成を示している。薄膜測定装置は、偏光子101および検光子102を含む。光源からの光は、偏光子101によって偏光されてワークとなる薄膜形成基板103上に照射される。基板103で反射された光は、検光子102によって受光され、反射光の偏光状態が検出器により検出される。検出器が入射光の偏光状態と反射光の偏光状態とを比較することによって膜厚の光学定数(屈折率、消衰係数)を求める。
しかし、図19に示すように、薄膜層104が金属などの配線パターン105を覆って、基板106上に形成されている場合には、その部分に微妙な凹凸があるため上述した測定手法では膜厚の測定ができない。
そのため、配線パターン105などのない特定の領域を選び、その領域上に成膜を行なったり、配線パターンのないダミー基板上に成膜を行ない、その薄膜の任意の点の膜厚を測定する。そして、ダミー基板上の薄膜の不具合がなくなるように成膜条件を決定し、その成膜条件を実際の生産品に適用して同様の成膜がなされていると仮定して生産を行なっていた。
また、基板上の凹凸の影響が少ない測定手法として、光の干渉を利用した手法がある。この光干渉法は、基板によって反射された光または基板を透過した光の分光スペクトルを解析することにより薄膜の膜厚を測定するものである。
図20を参照して、光干渉法の一例を説明する。光源から照射された光は、基板103によって反射される。基板103の表面側に反射されるこの反射光は、薄膜104の表面で反射する光[1]と、薄膜104を除いた基板103の本体部106の表面で反射する光[2]とが合成されたものである。
図21は、分光器によって検出された図20に示す反射光の波長と光強度との関係を示すグラフである。このグラフは、横軸を反射光の波長とし、縦軸をその光強度としている。光[1]と光[2]とが互いに干渉して、見かけ上反射光の波長に対して光強度に強弱が発生する。この光の干渉は光[1]と光[2]との光路差によって発生するため、薄膜104の膜厚および光の照射角などに依存することとなり、グラフの波長−光強度の曲線形状も薄膜104の膜厚によって変化する。したがって、グラフの波長−光強度の曲線形状を解析することによって薄膜104の膜厚を求めることができる。
図21に示すような波長−光強度の関係曲線の解析手法として、ピーク・バレイ法と呼ばれる手法がある。この手法は、波長−光強度の関係曲線において光強度がピーク(図21のa点およびb点)となる波長を求め、その関係式から薄膜の膜厚を求めるものである。
また、波長−光強度の関係曲線を用いた膜厚測定法として、下記特許文献1には、透過光を利用した膜厚測定法の発明が開示されている。この測定法では、光源とセンサとを用い、透過性の基板を透過した光の波長−光強度の関係曲線を求める。また、ピーク・バレイ法のように単に光強度がピークとなる波長を求めるのではなく、その関係曲線が後述する理論式から求めた波長−光強度の理論関係曲線に最も近づくように薄膜の膜厚および屈折率を変化させて、膜厚を測定するものである。Tを薄膜の透過率、n′を薄膜の屈折率、n′0を空気の屈折率、n′1を透明基板の屈折率、r0を光が空気中から薄膜に入射するときの振幅反射率、r1を光が薄膜から透明基板に入射するときの振幅反射率、δを光が薄膜中を進行する時の位相のずれ、δ0を光が空気中から薄膜に入射するときの位相のずれ、δ1を光が薄膜から透明基板に入射するときの位相のずれとすると、次式の関係が成立つ。
Figure 2006220668
光が薄膜中を透過する時の位相のずれδは、薄膜の膜厚dと光の波長λとに依存するので、式(1)から波長λと薄膜の透過率Tとの関係を求めることができる。したがって、薄膜の膜厚dと薄膜の屈折率n′とを変化させて、式(1)から求められる波長−光強度の理論関係曲線を、波長−光強度の測定関係曲線に最も近づけ、そのときの薄膜の膜厚dと薄膜の屈折率n′とを測定値とする。
特開平5−10726号公報
図18に示すエリプソメータを用いた膜厚測定装置においては、基板103と偏光子101および検光子102との位置関係が固定されていなければならない。このため、基板103の上下方向のずれ、傾斜または振動等がある場合、薄膜の膜厚の測定が不可能になる。特にサイズが数百mm角以上と大型で、かつ0.5〜1.1mm程度の薄型のガラス基板を用いた液晶表示装置の製造ラインでは、基板の大きなそり(部分傾斜)や振動などが生じる。このため、インラインで膜厚測定装置を用いるためには、部分傾斜や振動の影響を受けないように、安定した大型のステージの設置が必要になる。また、偏光子101、検光子102および基板103の位置関係を精度良く設置して、光軸を合わせ込む必要がある。そのため、基板103上の複数箇所を同時に測定するのが困難であったり、インラインで限られたスペースに組込むことが不可能である。
また、上述したダミー基板上に成膜を行ない、その薄膜の任意の点の膜厚を測定する方法では、ダミー基板に対する成膜を行なう工程が余分に必要となり、余分な膜厚測定処理が必要となる。このため、1つの製品に対する膜厚測定箇所を減少せざるを得なくなる。よって、膜厚異常の見落としや、異常発見が遅れたりすることにより、膨大な損害が生じる場合があった。
また、各種電子部品では、基板と薄膜との間に配線やその他の金属膜などの微細なパターンが形成されている。その影響をある程度小さくして膜厚を測定する方法として、上述した光干渉法であるピーク・バレイ法が挙げられる。しかし、ピーク・バレイ法においては、測定した波長域内に光強度のピークまたはバレイが2つ以上存在しなければ、理論的に薄膜の膜厚測定が不可能である。また、光強度のピークまたはバレイが2つ以上存在する場合でも、ピークまたはバレイ付近の波長域において、薄膜による光吸収が起こると、光強度のピーク位置がずれる現象が起こる。このため、正確に膜厚測定ができない。
また、特許文献1に開示された膜厚測定法では、波長−光強度曲線の波形自体を解析しているため、光強度のピークまたはバレイが2つ以上なくても薄膜の膜厚測定が可能である。しかし、この測定法では、薄膜の吸収係数を考慮していない。そのため、測定波長域に薄膜の吸収がある場合には、薄膜の吸収がない波長域に測定波長域をシフトさせる必要がある。したがって、複数の薄膜を測定する際に、波長域の異なる多数の光源が必要となり、測定する薄膜の種類により光源を切換える機構が必要である。よって、膜厚測定装置が大型化し、コストが高くなる。
また、広範な波長域の光照射とそれに対する解析とが必要なため、膜厚測定に時間がかかる。さらに、透過性の基板のみを対象としているため、不透明基板であったり、配線などの遮光膜が薄膜と基板との間に形成されている場合には、薄膜の膜厚測定が困難であったり測定精度が落ちたりする。
さらにまた、基板、光源およびセンサの位置関係が固定されていなければならない。基板に上下方向のずれ、傾斜または振動などがある場合には、光路が振れたりする。このため、正確に膜厚を測定することが困難である。特にサイズが数百mm角以上と大型で、かつ0.5〜1.1mm程度の薄型のガラス基板を用いた液晶表示装置の製造ライン中では、基板の大きなそり(部分傾斜)や振動などが生じる。このため、インラインで膜厚測定を行なうためには、部分傾斜や振動の影響を受けないように安定した大型のステージの設置が必要になる。このため、膜厚測定装置が大型化する。しかも、基板およびセンサの位置関係を精度良くして光軸を合わせ込む必要がある。このため、基板内の複数箇所を同時に測定するのが困難であったり、センサをインラインで限られたスペースに組込むことが不可能である。
センサを移動させながら複数箇所の膜厚を測定することも考えられるが、光軸を高精度に維持しつつ、高速移動させるのは困難である。このため、測定時間がかかる。
また、特許文献1に開示された発明は、透過光を利用した測定法であるため、基板を挟んだ両側に光源とセンサとが設置される。このため、インラインで使用する際に、基板と光源またはセンサとの間の距離が近すぎる場合には、基板の振動や位置ずれにより、基板と光源またはセンサとが接触し、基板が割れたり、傷ついたりする。
また、透過光を利用して薄膜を測定するため、基板上に一定の面積率で反射膜が形成されている部分では、光が透過しにくいため、測定が困難であるという問題がある。
さらに、基板上に多層の薄膜が形成されている場合には、それぞれの薄膜の吸収係数を考慮しなければ各薄膜を正確に算出することができない。下層のガラス基板上に一定の面積率でパターン形成された凹凸の反射膜があり、かつ多層膜のそれぞれの境界面でも光の反射および屈折が行なわれる場合には、反射光と屈折光とが、複雑に分布する。このため、透過光の分布が複雑となり、薄膜の膜厚の測定が困難であるという問題がある。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、基板の部分的な傾斜や振動の影響を受けることなく安定に薄膜の膜厚測定ができる薄膜の膜厚測定装置を提供することである。
本発明の他の目的は、インラインで限られたスペースに組込むことができる薄膜の膜厚測定装置を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、薄膜の種類や構造に関係になく、薄膜の膜厚測定を行なうことができる薄膜の膜厚測定装置を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、高精度かつ短時間で膜厚測定ができる薄膜の膜厚測定装置を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、基板上に一定の面積率で反射膜が形成されている部分であっても、高精度で薄膜の膜厚測定ができる薄膜の膜厚測定装置を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、基板上に多層の薄膜が形成されている場合であっても、各層の薄膜の膜厚を高精度に測定可能な薄膜の膜厚測定装置を提供することである。
この発明のある局面によれば薄膜の膜厚測定装置は、少なくとも約220nmから850nmの波長域を有する光源と、光源からの光を導き、基板上に形成された薄膜に対して照射する照射手段と、薄膜または基板からの反射光を受光する受光手段と、受光手段で受光された反射光を波長ごとに分光する分光手段と、分光手段で分光された約220nmから850nmの波長域内の反射光の強度に基づいて、薄膜の膜厚を算出する算出手段とを含み、薄膜は、透明導電膜を含み、算出手段は、第1の膜厚測定対象領域では、反射膜での反射を無視して透明導電膜の膜厚を算出し、反射膜がコーティングされている面積の割合が第1の膜厚測定対象領域よりも大きい第2の膜厚測定対象領域では、下層の薄膜への光透過の影響を無視して透明導電膜の膜厚を算出する。
好ましくは、第1の膜厚測定対象領域は、コーティングされている反射膜の面積の割合が50%以下であり、第2の膜厚測定対象領域は、コーティングされている反射膜の面積の割合が50%より大きい。
この発明の他の局面に係る薄膜の膜厚測定装置は、少なくとも約220nmから850nmの波長域を有する光源と、光源からの光を導き、基板上に形成された薄膜に対して照射する照射手段と、薄膜または基板からの反射光を受光する受光手段と、受光手段で受光された反射光を波長ごとに分光する分光手段と、分光手段で分光された約220nmから850nmの波長域内の反射光の強度に基づいて、薄膜の膜厚を算出する算出手段とを含む。
薄膜の境界部分における反射光を利用して薄膜の膜厚測定を行なう。このため、ガラスなどの透明な基板であっても、シリコンなどの不透明な基板であっても、薄膜の膜厚測定ができ、広範な製品に対する薄膜の膜厚測定ができる。また、少なくとも約220nmから850nmの波長域に対する反射光強度に対して膜厚が測定される。このため、最大2つのランプ(ハロゲンランプおよび重水素ランプ)での膜厚測定が可能となる。また、少なくとも約220nmから850nmの波長域の反射光強度の解析により、液晶表示装置、半導体装置およびイメージセンサなどの多くの電子部品に一般的に使用されているITO(indium tin oxide)膜、窒化シリコン膜、アモルファスシリコン膜およびn+型アモルファスシリコン膜などの大半の単層膜やこれらの膜により構成される多層膜の膜厚測定が可能となる。このため、薄膜の種類や構造に関係になく、薄膜の膜厚測定を行なうことができるようになる。
好ましくは上記発明の構成に加えて、照射手段は、光源からの光を導き、基板上に形成された薄膜に対して照射する光ファイバを含み、受光手段は、基板からの反射光を受光し、受光した反射光を分光手段に導く光ファイバを含む。
光ファイバのみで照射手段および受光手段を構成できる。このため、薄膜の膜厚測定装置を小型化することができ、既存または新規であってもラインの空きスペース等を利用して容易に組込むことができる。
好ましくは上記発明の構成に加えて、光源は、同一の筐体内に設けられた、波長域の異なる複数のランプを含む。
複数のランプを同一の筐体内に設けることにより、それぞれ個別の筐体内に設ける場合に比べ、基板へ照射する光の切換が簡単になり、光源から光を導く照射手段の構造を簡単にすることができる。このため、薄膜の膜厚測定装置を小型化することができる。
好ましくは上記発明の構成に加えて、光源は、それぞれ異なる筐体内に設けられた、波長域の異なる複数のランプを含む。
好ましくは上記発明の構成に加えて、複数のランプは、重水素ランプおよびハロゲンランプを含む。
好ましくは上記発明の構成に加えて、複数のランプは、それぞれ独立に点灯可能である。
複数のランプをそれぞれ独立に点灯させることにより、ランプの点灯の組合わせを変化させ、様々な波長域を有する光を薄膜に対して照射することができる。よって、薄膜の材質に応じて適切な波長域の光を選択することにより、薄膜の膜厚測定を適切に行なうことができる。
好ましくは上記発明の構成に加えて、光源は、少なくとも約400nmから850nmの波長域を有するハロゲンランプであり、算出手段は、分光手段で分光された約400nmから850nmの波長域内の反射光の強度に基づいて、基板の薄膜の膜厚を算出する。
1つのハロゲンランプのみを用いて薄膜の膜厚測定が可能となる。このため、薄膜の膜厚測定装置を小型化することができる。また、400nmから850nmの波長域の反射光強度の解析により、液晶表示装置、半導体装置およびイメージセンサなどの多くの電子部品に一般的に使用されている窒化シリコン膜、アモルファスシリコン膜およびn+型アモルファスシリコン膜などの多数の単層膜の膜厚を測定することができる。また、これらの膜の多層膜であっても膜厚測定が可能となる。このため、薄膜の種類や構造に関係になく、薄膜の膜厚測定を行なうことができるようになる。
好ましくは上記発明の構成に加えて、照射手段は、基板に対してほぼ垂直に光を照射する位置に配設され、受光手段は、基板に対してほぼ垂直に反射された光を受光する位置に配設される。
照射手段および受光手段を基板に対してそれぞれほぼ垂直に設けることにより、照射手段および受光手段を一体化して既存ラインの空きスペースなどに組込むことが可能となる。また、光の入射角がほぼ直角であることより、反射光の光路ずれが少なくなる。このため、基板の振動や傾斜、基板と照射手段および受光手段との間の距離などに影響されることなく薄膜の膜厚測定が可能となる。
好ましくは上記発明の構成に加えて、照射手段は、光源からの光を導き、基板上に形成された薄膜に対してほぼ垂直に光を照射する1つの光ファイバを含み、受光手段は、光ファイバの周囲にそれぞれ配置され、基板からの反射光をそれぞれ受光する複数の光ファイバを含む。
基板が傾いていたとしても、軸対象に光照射が行なわれ、反射光が複数の光ファイバのいずれかで受光される。このため、基板の傾きに影響されることなく薄膜の膜厚測定を行なうことができる。
好ましくは上記発明の構成に加えて、受光手段は、基板に対してほぼ垂直に反射された光を受光する位置に配置された1つの光ファイバを含み、照射手段は、光ファイバの周囲にそれぞれ配置され、光源からの光を導き、基板上に形成された薄膜に対してほぼ垂直に光をそれぞれ照射する複数の光ファイバを含む。
基板が傾いていたとしても、軸対象に複数の光ファイバより照射された光のうちのいずれかの反射光が、複数の光ファイバの中心に位置する1つの光ファイバで受光される。このため、基板の傾きに影響されることなく薄膜の膜厚測定を行なうことができる。
好ましくは上記発明の構成に加えて、1つの光ファイバおよび複数の光ファイバは同一径を有する円柱構造の光ファイバであり、複数の光ファイバは、6つの光ファイバを含む。
すべての光ファイバが円柱構造である。このため、外部から圧力をかけるだけで簡単に光ファイバの被膜をはがすことができる。また、1つの光ファイバの周囲に6つの光ファイバを並べるだけで照射手段および受光手段を組立てることができる。このため、最適な光ファイバの位置決めを容易に行なうことができる。
好ましくは上記発明の構成に加えて、算出手段は、基板の屈折率をn0、薄膜の屈折率をn1、空気の屈折率をn2、光の波長をλ、薄膜の吸収係数をk、および光の波長λにおける光の反射強度をRとすると、分光手段で分光された反射光の強度に基づいて、式(2)〜式(7)によって薄膜の膜厚dを算出する。
Figure 2006220668
式(2)は薄膜の吸収係数kを考慮した式となっている。このため、光が吸収される波長域であっても薄膜の膜厚測定ができるなど、光源の波長域を制限することなく、高精度かつ短時間で膜厚測定ができる。よって、ラインのタクトを落とすことなく、薄膜の膜厚測定が可能となり、インラインでの使用が可能となる。
好ましくは上記発明の構成に加えて、算出手段は、基板の屈折率をn0、基板からp層目の薄膜の屈折率をn(p)、空気の屈折率をn(p+1)、光の波長をλ、p層目の薄膜の吸収係数をk(p)とすると、分光手段で分光された反射光の強度に基づいて、式(8)〜式(12)によってp層目の薄膜の膜厚d(p)を算出する。
Figure 2006220668
式(8)は、各層の薄膜の吸収係数k(p)を考慮した式となっている。このため、光が吸収される波長域であっても多層膜からなる薄膜の膜厚測定ができるなど、光源の波長域を制限することなく、高精度かつ短時間で膜厚測定ができる。このため、ラインのタクトを落とすことなく、薄膜の膜厚測定が可能となり、インラインでの使用が可能となる。
好ましくは上記発明の構成に加えて、薄膜は、透明導電膜を含み、基板は、反射膜がコーティングされた基板である。
膜厚測定対象となっている薄膜の下層に屈折率の近似した薄膜が存在していても、測定対象の薄膜の下層に反射膜を設けることにより、屈折率の近似した薄膜の影響を受けることなく、薄膜の測定を正確に行なうことができる。
好ましくは上記発明の構成に加えて、反射膜は、膜厚測定対象領域の面積の0%より大きく50%以下の面積を有し、算出手段は、反射膜での反射を無視して薄膜の膜厚を算出する。
本願発明の発明者は、着目する層の下層はすべてガラス基板などからなる透過性基板であると仮定して薄膜の膜厚測定を行なうと、薄膜の膜厚測定を正確に行なうことができることを実験的に確認した。
好ましくは上記発明の構成に加えて、反射膜は、膜厚測定対象領域の面積の50〜100%の面積を有し、算出手段は、下層の薄膜への光透過の影響を無視して薄膜の膜厚を測定する。
本願発明の発明者は、着目する層がITO層などの透明導電膜であり、ITO層の下層にTaの反射膜が形成されている場合には、ITO層の下層に一様な反射膜があると仮定して薄膜の膜厚測定を行なうと、薄膜の膜厚測定を正確に行なうことができることを実験的に確認した。
好ましくは上記発明の構成に加えて、反射膜は、タンタル、チタニウム、アルミニウム、クロムまたはモリブデンを主成分とする金属膜または合金膜である。
これらの材料は、半導体装置や液晶表示装置などに一般的に使用される材料である。このため、着目する薄膜の下層の反射膜として使用することにより、反射膜を新たに形成するための材料や工程が不要となる。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1における薄膜の膜厚測定装置の概略構成を説明するための図である。この薄膜の膜厚測定装置は、光源1と、光源1からの光を基板3上の複数箇所(ここでは2箇所)に導き、それぞれの箇所における基板3からの反射光を受光する分岐型光ファイバ2と、基板3の複数箇所に導く入射光と、基板3の複数の反射光とを選択的に遮断する光制限シャッタ4と、分岐型光ファイバ2によって導かれた反射光を波長ごとの光強度に分解する分光器5と、波長ごとの光強度を解析して薄膜の膜厚を算出する計算機6とを含む。
光源1には、たとえば可視光線波長域(400〜800nm)に近い波長域(400〜850nm)を有するハロゲンランプのみを用いる。ただし、他のランプをハロゲンランプと同一の光源室内または別の光源室内に設け、同時に点灯させて使用したり、切換えて点灯させて使用してもよい。また、分光器5等の光学部品には、その波長域をカバーできる部品が使用される。
図2は、分岐型光ファイバ2の概略構成を説明するための図である。この分岐型光ファイバ2は、光源1からの光を基板3上に導く光ファイバ2aと、光源1からの光を基板3上の測定点[1]に導き、基板3上の測定点[1]からの反射光を分光器5へ導く光ファイバ2bと、光源1からの光を基板3上の測定点[2]に導き、基板3上の測定点[2]からの反射光を分光器5へ導く光ファイバ2cと、基板3上の測定点[1]からの反射光および測定点[2]からの反射光を分光器5へ導く光ファイバ2dとを含む。
図3は、分岐型光ファイバ2をさらに詳細に説明するための図である。光ファイバ2aは、2群の光ファイバ2aaおよび2abを含む。光ファイバ2aaは、光源1からの光を基板3上の測定点[1]へ導く。光ファイバ2abは、光源1からの光を基板3上の測定点[2]へ導く。
光ファイバ2bは、2群の光ファイバ2baおよび2bbを含む。光ファイバ2baは、光源1からの光を基板3上の測定点[1]へ導く。光ファイバ2bbは、基板3上の測定点[1]からの反射光を分光器5へ導く。
光ファイバ2cは、2群の光ファイバ2caおよび2cbを含む。光ファイバ2caは、光源1からの光を基板3上の測定点[2]へ導く。光ファイバ2cbは、基板3上の測定点[2]からの反射光を分光器5へ導く。
光ファイバ2dは、2群の光ファイバ2daおよび2dbを含む。光ファイバ2daは、基板3上の測定点[1]からの反射光を分光器5へ導く。光ファイバ2dbは、基板3上の測定点[2]からの反射光を分光器5へ導く。
図4は、光制限シャッタ4の概略構成を説明するための図である。この光制限シャッタ4は、図3に示す光ファイバ2bおよび2cのそれぞれの途中に設けられている。すなわち、光ファイバ2aと2cとの接続点(光ファイバ2dと2bとの接続点)2xと測定点[1]および[2]との間にそれぞれ設けられている。光ファイバ2bの途中に設けられた光制限シャッタ4bは、その開閉によって基板3上の測定点[1]への入射光および測定点[1]からの反射光の通過および遮断の切換を制御する。光ファイバ2cの途中に設けられた光制限シャッタ4cは、その開閉によって基板3上の測定点[2]への入射光および測定点[2]からの反射光の通過および遮断の切換を制御する。光制限シャッタ4bおよび4cの一方を閉じ、他方を開くことによって、基板3上の測定点[1]および[2]からの反射光の一方のみを選択して分光器5に導くことが可能である。また、光制限シャッタ4bおよび4cを同時に開くことによって、基板3上の測定点[1]および[2]での膜厚の平均値を測定することも可能である。
図5は、計算機6が実行する膜厚測定処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。まず、分光器5によって基板3からの反射光を波長ごとの光強度(スペクトル)に分解する(S1)。計算機6は、分光器5から波長ごとのスペクトルデータを取得し(S2)、後述する理論式を用いて薄膜の膜厚を算出する(S3)。計算機6は、求められた膜厚を計算機6の画面上に表示し、データを蓄積保存する(S4)。計算機6は、蓄積されたデータを集中制御機(図示せず)に転送する(S5)。
計算機6より薄膜の膜厚に関するデータを受信した集中制御機は、薄膜の膜厚が予め定められた基準値を超えた場合や、基板内での測定点間の膜厚の差が大きい場合や、ある測定点における膜厚の時間的な変化が大きい場合などに、警報を出すなどの異常発生に対する処理を行なう。
ここで、薄膜の膜厚解析法の一例を説明する。基板の屈折率をn0、薄膜の屈折率をn1、空気の屈折率をn2、薄膜の吸収係数をk、薄膜の膜厚をd、光源の波長をλとすると、基板からの反射光強度Rは式(2)〜(7)で表すことができる。
光学定数nおよびkは、光の波長λによって変化する値である。予め定められた複数の代表波長または波長サンプリングを行なうことにより(たとえば、400nmから850nmまで5nm刻みでサンプリングを行なうことにより)、光学定数nおよびkを変化させ、各波長λごとに、式(2)〜(7)より想定される膜厚に応じその上下限値をあらかじめ設定し、上下限値の範囲内で薄膜の膜厚dを求める。すべての波長における薄膜の膜厚dを平均することにより、薄膜の膜厚を求める。
光学定数nおよびkが既知でない場合には、光学定数nおよびkならびに薄膜の膜厚dを以下の[1]〜[3]のようにして求めることができる。
[1] 値を求める対象である薄膜の膜厚d、薄膜の屈折率n1、および薄膜の吸収係数kについて、初期値として大まかな数値(たとえば、想定される膜厚、代表波長における屈折率および吸収係数など)を式(2)に代入する。
[2] 次に、それぞれのパラメータd,n1,kの上限値および下限値を設定する。たとえば、膜厚dであれば、初期値として想定する膜厚の±50%の値を上限値および下限値として設定する。
[3] パラメータd,n1,kをそれぞれの上限値および下限値の範囲内で変化させて式(2)に代入し、その結果得られる曲線が実測の波長−光強度の曲線に最も近づくように各パラメータの値を算出する。より具体的には、両曲線の光強度の差を各波長ごとに求め、測定波長域におけるその差の2乗の総和が最も小さくなるようにパラメータを変化させることで各パラメータを求めることができる。この手法によって、光学定数nおよびkと薄膜の膜厚dとを同時に求めることが可能となる。
また、基板上に多層の薄膜が成膜される場合にも、上述した手法と同様にして各層の薄膜の膜厚を算出することができる。ここで、基板の屈折率をn(0)、基板からp層目の薄膜の屈折率をn(p)、空気の屈折率をn(p+1)、基板からp層目の薄膜の吸収係数をk(p)、基板からp層目の薄膜の膜厚をd(p)、光源の波長をλとすると、基板からの反射光強度R(p+1,0)とこれらのパラメータとの間には式(8)〜(12)に示される関係が成立つ。
基板から一層目の薄膜、二層目の薄膜…と順次理論式に値を代入することにより、すなわち、pに1,2…を順次代入することによって、薄膜が何層であってもそれぞれの薄膜の光学定数(n(p),k(p))および膜厚d(p)を求めることができる。ただし、光学定数の近い薄膜同士が隣接して積層されている場合には、それらの薄膜を同一層として解析が行なわれる。薄膜の数が増加するにつれパラメータ数も増加するため、演算に要する時間も増加することになる。また、薄膜の数が増加するにつれ実際の値との誤差が大きくなる。しかし、本願発明者の検討によれば、液晶表示装置においては、3層程度でもインラインで測定可能であることを確認した。
基板上の測定箇所は、液晶表示装置の異常を予知するためには1点でもよいが、1m角以上の大きさの液晶表示装置用の基板では、薄膜の膜厚が部分的に異なる場合が多く、局所的な膜厚異常がまれに生じる。このため、1枚の基板に対して3〜5点程度の測定をすることが望ましい。
図6(a)は本実施の形態における薄膜の膜厚測定装置の設置の一例を示す側面図であり、図6(b)はその平面図である。図6(a)に示すように、図1に示す分岐型光ファイバ2が内部に設けられたセンサユニット10が、成膜装置内部に設けられた支柱10aに固定される。分岐型光ファイバ2は、支柱10a内部に引きめぐらされる。センサユニット10は、成膜装置のゲート開口部(以下、「ゲートバルブ」という。)13の近傍に位置する基板3に対して、ほぼ垂直に光照射を行なうように取付けられている。基板3の移動中またはメンテナンス中に、基板3がセンサユニット10に接触しないように、両者の距離は10mm以上必要であるが、測定精度を維持するためには、約100mm〜数10mm以下にすることが好ましい。
この成膜装置は、たとえば、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置であって、複数枚単位で成膜を行ない、成膜した複数の基板をそれぞれトレイに納めていく。この複数の基板は、図6(b)に示すアンロード室のゲートバルブ13内部に設けられたロードロック14内に貯えられている。基板搬送用ロボット11は、ロードロック14から基板を1枚ずつ取り出してロボットハンド12上に載せて、センサユニット10の真下に基板3が位置するように移動させる。1枚の基板中に複数の測定点がある場合には、ロボット11は、ある測定点の測定が終了するたびに次の測定点がセンサユニット10の真下にくるように、順次、基板3の移動を繰返す。基板3が移動するごとにセンサユニット10は、各測定点に対する膜厚の測定を行なう。なお、図6(c)に、ロボットハンド12の形状を示す。基板3は、おおむねコの字型で支えられる場合が多く、基板3が支持される点から遠ざかるにつれ、基板3は、自身の重みにより垂れ下がる。このため、基板3は数mm程度相対位置がずれたり、多少傾いたりしている。よって、膜厚測定装置は、このようなずれや傾斜に対して測定精度を維持する必要がある。
次に、センサユニット10の構造の詳細を説明する。センサユニット10の先端には、図2および図3を参照して説明した上述の光ファイバ2bおよび光ファイバ2cが設けられている。
光ファイバ2bは、上述のように光ファイバ2baおよび2bbを含むが、図7に示すように光ファイバ2baを6つの光ファイバより構成し、光ファイバ2bbの周囲に配置させる。また、光ファイバ2bbと6つの光ファイバ2baとは同一径とする。このような構造にすることにより、図8を参照して、光ファイバ2bbの周囲に6つの光ファイバ2baを配置し、それらを治具で固定させるだけで、光ファイバ2bbおよび光ファイバ2baを互いに平行にすることができる。このため、光ファイバ2bの組立が容易になる。また、膜厚測定時に基板3が傾いていたとしても、6つの光ファイバ2baのいずれかより照射された光の反射光が光ファイバ2bbで受光される。このため、基板3の傾きに影響されることなく薄膜の膜厚を測定することができる。
光ファイバ2cも図7と同様に構成される。
図9〜図11は、基板の上下方向のずれ、傾斜および振動が測定値に与える影響をそれぞれ説明するための図である。基板上には、GI層(窒化シリコン)、i層(アモルファシスシリコン)およびn+層(n+型アモルファスシリコン)の3層が成膜されているものとする。図9は、センサユニット10と基板3との間の距離を横軸に、上述の膜厚測定装置によって測定された薄膜の膜厚を縦軸にとったグラフを示している。図9から分かるように、GI層、i層およびn+層が堆積した多層構造においても、それぞれの層が距離の移動による変動をほとんど生じることなく測定されている。なお、上述のように基板3の反りによって、センサユニット10と基板3との間の距離には、数mm程度のずれが生じているが、この影響を受けることなく薄膜の膜厚の測定が可能である。
図10は、センサユニット10に対する基板3の傾斜角を横軸に、上述の膜厚測定装置により測定された膜厚を縦軸にとったときのグラフを示している。傾斜角が3〜4°以上になると、受光される反射光は、傾斜角が0°の場合に比べ50%以下となるが、図10からもわかるように、GI層、i層およびn+層が積層された多層構造においても、8°以下の基板3の傾きであれば(より好ましくは2°以下の基板3の傾きであれば)、比較的高精度に薄膜の膜厚を測定することができる。
図11は、基板3の上下振動の影響を示したグラフである。上下の振幅4mm、振動数5Hzの条件で10秒ごとに反射光の強度を測定した。図11のグラフは、測定時間を横軸にとり、上述の膜厚測定装置によって測定された反射光の反射強度を縦軸にとっている。図11からもわかるように、反射強度は振動を加えても安定していることがわかる。
図12に示すようなタンタル(Ta)からなる反射膜を覆うように上述のGI層、i層およびn+層が堆積された3層構造の各層の膜厚を測定した。この時、着目する層の下層はすべてガラス基板であると仮定して、膜厚の測定が行なわれる。図13は、反射膜が存在しない部分、反射膜が10%程度存在する液晶表示装置の表示部内部および反射膜が50%程度存在する液晶表示装置の表示部周辺におけるGI層、i層およびn+層の膜厚を示している。GI層、i層およびn+層におけるバラツキは、それぞれ±2.5%,±1.3%,±1.0%程度であり、各層の膜厚の測定結果は安定している。これは、基板3に対してほぼ垂直の光を当てることにより、光の屈折の影響が低減され、反射膜のエッジ部において光の反射方向が変化してしまう影響が低減されたためである。
なお、上述の薄膜の膜厚を求める際に光源1として用いられるハロゲンランプは、時間が経つとともに光量および波長分布が変化する。このため、反射光強度Rを求める際には、定期的に光源1の照射光のスペクトルを全反射基板を用いて求め、各種パラメータを修正しておくことが好ましい。
なお、図14に示すように、光ファイバ2bbを6つの光ファイバより構成し、同一径の光ファイバ2baの周囲に配置させて光ファイバ2bを構成してもよい。このような構造とすることにより、光ファイバ2bの組立が容易になる。また、膜厚測定時に基板3が傾いていたとしても、光ファイバ2baより照射された光の反射光が6つの光ファイバ2baのいずれかで受光される。このため、基板3の傾きに影響されることなく薄膜の膜厚を測定することができる。光ファイバ2cを同様の構成としてもよい。
以上のように本実施の形態にかかる薄膜の膜厚測定装置は、センサユニット10部分の構造が極めて簡単である。このため、小型化が可能となる。
また、膜厚の測定を解析する際、波長−光強度曲線のみで解析が行なえる。このため、多層膜や多点計測においても短時間で薄膜の膜厚を測定することができる。
また、膜厚測定装置がコンパクトなため、製造ラインに組込みやすい。さらに、短時間で膜厚の測定が可能なため、成膜直後に膜厚を測定することができるようになり、製造中の異常発生から発見までのタイムラグを短くすることができ、不良発生による損害を最小限に食止めることができる。
また、膜厚のデータを蓄積保存し、そのデータを解析することによって、成膜装置または成膜材料などの寿命、成膜装置の適切なメンテナンス時期、および成膜条件変更の時期などを予測することができる。そのため、突発的なメンテナンスを回避することができ、安定した成膜装置の稼動が可能となる。
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2に係る薄膜の膜厚測定装置は、実施の形態1に係る薄膜の膜厚測定装置と同様である。このため説明は繰返さない。本実施の形態では、100nm(=1000Å)以下の膜厚の透明導電膜であるITO膜の膜厚を測定する場合について説明する。液晶表示装置に一般的に用いられるITO膜は画素電極として用いられる。図15は、透過型の液晶表示装置の画素部の断面構造を示している。このような構造では、膜厚が薄いITO膜の特性が反射光強度の分布として現れにくい。このため、実施の形態1で示した評価方法では、ITO膜の膜厚測定は困難である。
しかし、液晶表示装置などにおいては、例えば駆動用ドライバなどを実装する端子部などでITO膜の下層にTaなどの反射膜が形成される場合が多い。下層にTaなどの反射膜があると、反射光強度の分布が安定し、その部分で高精度の測定が可能となる。反射膜の面積は、総面積に対して50%以上であるものとする。
図16に実施の形態1と同様のハロゲンランプ(波長域約400nm〜約850nm)からなる光源1を用いて、ITO膜の膜厚を測定した結果を示す。横軸に生産条件における設定膜厚をとり、縦軸に膜厚測定装置での測定結果を示す。薄膜の膜厚が60nm(=600Å)の場合には膜厚の測定値が安定している。ITO膜の膜厚が60nm以外の場合には、測定値のバラツキが大きい。このため、膜厚異常を検出することが困難になる。
このため、光源1として、ハロゲンランプおよび重水素ランプを用い、同一の光源室に入れ、同時点灯させた状態(波長域約220nm〜約850nm)で、ITO膜の膜厚を測定した。その結果、図17に示すようなグラフが得られた。このグラフからもわかるように、いずれの膜厚においても測定値のバラツキが小さく、生産条件における設定膜厚と測定値との相関性が高い。ただし、設定膜厚と測定値との間には、若干の値のずれが生じている。これは、計算速度を増すために、吸収係数k(p)を波長ごとに一定としたこと(ITO層の下層に一様な反射膜があると仮定したこと)などによるものである。このため、予め、設定膜厚と測定値との関係が分かっていれば、測定値を補正することによって、正確な膜厚測定が可能となる。ただし、膜厚測定装置をインラインで使用し膜厚異常を検出する場合には、測定点における膜厚の時間的な変化のみがわかればよい。このような場合には、測定値の補正は必要なくなる。
以上説明したように、本実施の形態における膜厚測定装置では、ハロゲンランプおよび重水素ランプを同時点灯させた光源1を用いることにより、波長域が約220nm〜約850nmの波長域の光に対する膜厚測定が行なわれる。一般に、膜厚が薄い膜を測定するには、波長の短い光を用いて膜厚測定を行なわなければならない。このため、重水素ランプを同時点灯させることにより、ハロゲンランプのみを用いた場合に比べ、正確にITO膜の膜厚測定を行なうことができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態1における薄膜の膜厚測定装置の概略構成を説明するための図である。 分岐型光ファイバ2の概略構成を説明するための図である。 分岐型光ファイバ2をさらに詳細に説明するための図である。 光制限シャッタの概略構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1における薄膜の膜厚測定装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態1における薄膜の膜厚測定装置の設置の一例を示す図である。 光ファイバ2bの構成を示す図である。 光ファイバ2bの構成を示す図である。 センサユニットと基板との間の距離を変化させたときの薄膜の膜厚測定結果を示すグラフである。 センサユニットに対する基板の傾斜角を変化させたときの薄膜の膜厚測定結果を示すグラフである。 基板に上下振動を与えたときにセンサユニットに入射する反射光の強度の時間変化を示すグラフである。 Taからなる反射膜を覆うようにGI層、i層およびn+層が堆積された3層構造を示す図である。 反射膜の面積比を変化させたときの薄膜の膜厚測定結果を示すグラフである。 光ファイバ2bの構成を示す図である。 透過型の液晶表示装置の画素部の断面構造を示す図である。 ハロゲンランプを光源として用いたときのITO膜の膜厚測定結果を示すグラフである。 ハロゲンランプおよび重水素ランプを光源として用いたときのITO膜の膜厚測定結果を示すグラフである。 従来のエリプソメータを用いて膜厚を測定する方法を説明するための図である。 膜厚の測定ができない基板の一例を示す図である。 従来の光干渉法の一例を説明するための図である。 反射光の波長と光強度との関係の一例を示す図である。
符号の説明
1 光源、2 分岐型光ファイバ、2a,2b,2c,2d,2aa,2ab,2ba,2bb,2ca,2cb,2da,2db 光ファイバ、3,106 基板、4,4b,4c 光制限シャッタ、5 分光器、6 計算機、10 センサユニット、10a 支柱、11 ロボット、12 ロボットハンド、13 ゲートバルブ、14 ロードロック、101 偏光子、102 検光子、103 薄膜形成基板、104 薄膜層、105 配線パターン。

Claims (14)

  1. 少なくとも約220nmから850nmの波長域を有する光源と、
    前記光源からの光を導き、基板上に形成された薄膜に対して照射する照射手段と、
    前記薄膜または前記基板からの反射光を受光する受光手段と、
    前記受光手段で受光された前記反射光を波長ごとに分光する分光手段と、
    前記分光手段で分光された約220nmから850nmの波長域内の前記反射光の強度に基づいて、前記薄膜の膜厚を算出する算出手段とを含み、
    前記薄膜は、透明導電膜を含み、
    前記算出手段は、第1の膜厚測定対象領域では、前記反射膜での反射を無視して前記透明導電膜の膜厚を算出し、反射膜がコーティングされている面積の割合が前記第1の膜厚測定対象領域よりも大きい第2の膜厚測定対象領域では、下層の薄膜への光透過の影響を無視して前記透明導電膜の膜厚を算出する、薄膜の膜厚測定装置。
  2. 前記第1の膜厚測定対象領域は、コーティングされている反射膜の面積の割合が50%以下であり、前記第2の膜厚測定対象領域は、コーティングされている反射膜の面積の割合が50%より大きい、請求項1に記載の薄膜の膜厚測定装置。
  3. 前記反射膜は、タンタル、チタニウム、アルミニウム、クロムまたはモリブデンを主成分とする金属膜または合金膜である、請求項1または2に記載の薄膜の膜厚測定装置。
  4. 前記照射手段は、前記基板に対してほぼ垂直に光を照射する位置に配設され、
    前記受光手段は、前記基板に対してほぼ垂直に反射された光を受光する位置に配設される、請求項1または2に記載の薄膜の膜厚測定装置。
  5. 前記照射手段は、前記光源からの光を導き、前記基板上に形成された薄膜に対して照射する光ファイバを含み、
    前記受光手段は、前記基板からの前記反射光を受光し、受光した前記反射光を前記分光手段に導く光ファイバを含む、請求項4に記載の薄膜の膜厚測定装置。
  6. 前記照射手段は、1つの光ファイバを含み、
    前記受光手段は、前記光ファイバの周囲にそれぞれ配置され、前記基板からの反射光をそれぞれ受光する複数の光ファイバを含む、請求項5に記載の薄膜の膜厚測定装置。
  7. 前記受光手段は、前記基板に対してほぼ垂直に反射された光を受光する位置に配置された1つの光ファイバを含み、
    前記照射手段は、前記光ファイバの周囲にそれぞれ配置され、前記光源からの光を導き、前記基板上に形成された薄膜に対してほぼ垂直に光をそれぞれ照射する複数の光ファイバを含む、請求項5に記載の薄膜の膜厚測定装置。
  8. 前記1つの光ファイバおよび前記複数の光ファイバは同一径を有する円柱構造の光ファイバであり、
    前記複数の光ファイバは、6つの光ファイバを含む、請求項6または7に記載の薄膜の膜厚測定装置。
  9. 前記算出手段は、前記基板の屈折率をn0、前記薄膜の屈折率をn1、空気の屈折率をn2、光の波長をλ、前記薄膜の吸収係数をk、および前記光の波長λにおける光の反射強度をRとすると、前記分光手段で分光された前記反射光の強度に基づいて、次式によって前記薄膜の膜厚dを算出する、請求項1〜8のいずれかに記載の薄膜の膜厚測定装置。
    Figure 2006220668
  10. 前記算出手段は、前記基板の屈折率をn0、前記基板からp層目の薄膜の屈折率をn(p)、空気の屈折率をn(p+1)、光の波長をλ、前記p層目の薄膜の吸収係数をk(p)とすると、前記分光手段で分光された前記反射光の強度に基づいて、次式によって前記p層目の薄膜の膜厚d(p)を算出する、請求項1〜8のいずれかに記載の薄膜の膜厚測定装置。
    Figure 2006220668
  11. 前記光源は、同一の筐体内に設けられた、波長域の異なる複数のランプを含む、請求項1〜10のいずれかに記載の薄膜の膜厚測定装置。
  12. 前記光源は、それぞれ異なる筐体内に設けられた、波長域の異なる複数のランプを含む、請求項1〜10のいずれかに記載の薄膜の膜厚測定装置。
  13. 前記複数のランプは、重水素ランプおよびハロゲンランプを含む、請求項11または12に記載の薄膜の膜厚測定装置。
  14. 前記複数のランプは、それぞれ独立に点灯可能である、請求項11〜13のいずれかに記載の薄膜の膜厚測定装置。
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