JP3716690B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷ジョブの出力完了通知を送信する機能を有する画像形成装置に関し、より詳細には、1つのビンに複数のユーザ宛ての印刷物が混在するおそれがある場合に、こうした状況を未然に防止するのに役立つ出力完了通知送信技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、複数のビン(印刷された用紙すなわち印刷物が排出される場所)を有する排紙部を備えたプリンタにおいては、排紙部をいわゆるメールビンとして使用することが行われている。ここで、メールビンとしての使用とは、通常は、ビンを使用するユーザをあらかじめビンごとに割り当てて登録しておき、各ビンの使用を登録されているユーザに専有させることをいう(メールビン機能)。このとき、各ユーザ宛ての印刷物はそのユーザが登録されているビンに対してのみ排出されるので、プリンタを共用する各ユーザは、メールビン機能を利用することによって、自分以外の特定ユーザに対する連絡や報告などを容易に行うことができ、また、印刷物が1つのビンに集中するのを避けることができる。
【0003】
特に後者の点についてさらに説明を加えると、複数のパソコンとプリンタ(特にビンの数が1つのもの)とをネットワークで接続して複数のユーザがプリンタを共用するシステムでは、あるユーザがプリンタに対して出力要求(印刷ジョブ)を送信する際に、すでに1つのビンに自分以外のユーザの印刷物が排出されたままになっており、自分の印刷物がその中に埋もれてしまうことが多い。このように1つのビンに複数のユーザの印刷物が混在する場合には、多数の印刷物の中から自分の印刷物を取り出すのに多少の手間がかかるといった問題がある。こうした状況は、印刷する枚数が多い場合や、ユーザが印刷物を取り忘れた場合などに発生しやすい。上記のメールビン機能は、一方で、このような問題の解決を図ろうとしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、メールビン機能を有する画像形成装置にあっては、実際問題として、1つのビンを一人のユーザのみが使用するということは稀であり、一般的には、ビンごとに複数のユーザが登録されている。したがって、この場合、上述した問題、すなわち、印刷物の取り忘れによって1つのビンに多数のユーザ宛ての印刷物(自分からの自分宛ての印刷物と他のユーザからの自分宛ての印刷物の両方を含む)が大量に残ってしまうおそれがあるといった問題は、やはり発生する。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、主として、メールビンとして使用される排紙部を備えた画像形成装置において、印刷物の取り忘れの防止に対する一助を担い、各ビンに複数のユーザ宛ての印刷物が混在するのを未然に防止するのに役立つ画像形成装置及びその制御方法並びにそのための制御プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0007】
(1)本発明に係る画像形成装置は、印刷ジョブを受信する受信手段と、印刷ジョブに基づいて印刷された用紙が排出されるビンを有する排紙部と、印刷ジョブの出力完了通知を送信する送信手段と、ビンに用紙が残存しているか否かを検出する検出手段と、ビンに残存している用紙の宛先を特定する残存用紙宛先特定手段と、ビンに用紙が残存している場合、特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一か否かを判断する第1の判断手段と、特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一でない場合、特定された残存用紙の宛先を出力完了通知の送信先と設定する出力完了通知先設定手段と、設定された残存用紙の宛先に出力完了通知が送信されてから所定の時間が経過したか否かを判断する第2の判断手段と、特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一でない場合、ビンが空になるか又は所定時間が経過するまで印刷ジョブの処理を禁止するジョブ処理禁止手段と、ビンに残存している用紙の宛先情報を記憶する記憶手段と、ビンから取り出された用紙の宛先情報を入力する入力手段と、を有し、前記残存用紙宛先特定手段は、前記記憶手段の内容に基づいて、ビンに残存している用紙の宛先を特定し、入力された宛先情報は、前記記憶手段の内容から削除されることを特徴とする。
【0008】
(2)前記排紙部は、複数のビンを有し、さらに、前記複数のビンから排出先として1つのビンを選択する選択手段を有し、前記残存用紙宛先特定手段は、選択されたビンに残存している用紙の宛先を特定し、前記第1の判断手段は、選択されたビンに用紙が残存している場合に、特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一か否かを判断する。
【0009】
(3)前記複数のビンのうち少なくとも1つのビンは、特定ユーザの排出先としてあらかじめ登録されており、前記選択手段は、ビンに登録されている特定ユーザを宛先とする印刷ジョブについては、その特定ユーザが登録されているビンを選択する。
【0010】
(4)前記複数のビンはいずれも特定ユーザの排出先としてあらかじめ登録されておらず、前記選択手段は、空のビンから優先的に1つのビンを選択する。
【0011】
(5)前記出力完了通知は、選択されたビンの識別情報を含む。
【0016】
(6)本発明に係る他の画像形成装置は、印刷ジョブを受信する受信手段と、印刷ジョブに基づいて印刷された用紙が排出される、複数のビンを有する排紙部と、印刷ジョブの出力完了通知を送信する送信手段と、各ビンに用紙が残存しているか否かを検出する検出手段と、各ビンに残存している用紙の宛先を特定する残存用紙宛先特定手段と、前記複数のビンのすべてに用紙が残存している場合、前記複数のビンのすべてにおける特定された残存用紙の宛先の中に印刷ジョブと同一の宛先が存在するか否かを判断する第1の判断手段と、前記複数のビンのすべてにおける特定された残存用紙の宛先の中に印刷ジョブと同一の宛先が存在しない場合、特定された残存用紙の宛先のすべてを出力完了通知の送信先と設定する出力完了通知先設定手段と、特定された残存用紙の宛先のすべてに出力完了通知が送信されてから所定の時間が経過したか否かを判断する第2の判断手段と、前記複数のビンのすべてにおける特定された残存用紙の宛先の中に印刷ジョブと同一の宛先が存在しない場合、前記複数のビンのうち少なくとも1つのビンが空になるか又は所定時間が経過するまで印刷ジョブの処理を禁止するジョブ処理禁止手段と、各ビンに残存している用紙の宛先情報を記憶する記憶手段と、ビンから取り出された用紙の宛先情報を入力する入力手段と、を有し、前記残存用紙宛先特定手段は、前記記憶手段の内容に基づいて、各ビンに残存している用紙の宛先を特定し、入力された宛先情報は、前記記憶手段の内容から削除されることを特徴とする。
【0017】
(7)さらに、前記複数のビンのうち空のビンから優先的に排出先として1つのビンを選択する選択手段を有する。
【0018】
(8)前記出力完了通知は、選択されたビンの識別情報を含む
【0023】
(9)本発明に係る画像形成装置の制御方法は、印刷された用紙が排出されるビンを有する排紙部を備えた画像形成装置の制御方法であって、印刷ジョブを受信する過程と、ビンに用紙が残存しているか否かを検出する過程と、ビンに用紙が残存している場合、そのビンに残存している用紙の宛先を特定する過程と、特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一か否かを判断する過程と、特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一でないと判断された場合、特定された残存用紙の宛先を出力完了通知の送信先と設定する過程と、設定された送信先に出力完了通知を送信する過程と、設定された残存用紙の宛先に出力完了通知が送信されてから所定の時間が経過したか否かを判断する過程と、特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一でない場合、ビンが空になるか又は所定時間が経過するまで印刷ジョブの処理を禁止する過程と、ビンに残存している用紙の宛先情報を記憶手段に記憶する過程と、ビンから取り出された用紙の宛先情報についてユーザによる入力を受け付ける過程と、前記入力された宛先情報を前記記憶手段の内容から削除する過程と、を有し、前記ビンに残存している用紙の宛先を特定する過程では、前記記憶手段の内容に基づいて、ビンに残存している用紙の宛先を特定することを特徴とする。
【0024】
(10)本発明に係る他の画像形成装置の制御方法は、印刷された用紙が排出される、複数のビンを有する排紙部を備えた画像形成装置の制御方法であって、印刷ジョブを受信する過程と、各ビンに用紙が残存しているか否かを検出する過程と、前記複数のビンのすべてに用紙が残存している場合、前記複数のビンのすべてに対して残存している用紙の宛先を特定する過程と、前記複数のビンのすべてにおける特定された残存用紙の宛先の中に印刷ジョブと同一の宛先が存在するか否かを判断する過程と、前記複数のビンのすべてにおける特定された残存用紙の宛先の中に印刷ジョブと同一の宛先が存在しない場合、特定された残存用紙の宛先のすべてを出力完了通知の送信先と設定する過程と、設定された送信先に出力完了通知を送信する過程と、特定された残存用紙の宛先のすべてに出力完了通知が送信されてから所定の時間が経過したか否かを判断する過程と、前記複数のビンのすべてにおける特定された残存用紙の宛先の中に印刷ジョブと同一の宛先が存在しない場合、前記複数のビンのうち少なくとも1つのビンが空になるか又は所定時間が経過するまで印刷ジョブの処理を禁止する過程と、各ビンに残存している用紙の宛先情報を記憶手段に記憶する過程と、ビンから取り出された用紙の宛先情報についてユーザによる入力を受け付ける過程と、前記入力された宛先情報を前記記憶手段の内容から削除する過程と、を有し、前記複数のビンのすべてに対して残存している用紙の宛先を特定する過程では、前記記憶手段の内容に基づいて、ビンに残存している用紙の宛先を特定することを特徴とする。
【0025】
(11)本発明に係るコンピュータ読取可能な記録媒体は、印刷された用紙が排出されるビンを有する排紙部を備えた画像形成装置の制御プログラムであって、印刷ジョブを受信する過程と、ビンに用紙が残存しているか否かを検出する過程と、ビンに用紙が残存している場合、そのビンに残存している用紙の宛先を特定する過程と、特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一か否かを判断する過程と、特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一でないと判断された場合、特定された残存用紙の宛先を出力完了通知の送信先と設定する過程と、設定された送信先に出力完了通知を送信する過程と、設定された残存用紙の宛先に出力完了通知が送信されてから所定の時間が経過したか否かを判断する過程と、特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一でない場合、ビンが空になるか又は所定時間が経過するまで印刷ジョブの処理を禁止する過程と、ビンに残存している用紙の宛先情報を記憶手段に記憶する過程と、ビンから取り出された用紙の宛先情報についてユーザによる入力を受け付ける過程と、前記入力された宛先情報を前記記憶手段の内容から削除する過程と、をコンピュータに実行させ、前記ビンに残存している用紙の宛先を特定する過程では、前記記憶手段の内容に基づいて、ビンに残存している用紙の宛先を特定させる、プログラムを記録したものである。
【0026】
(12)本発明に係るコンピュータ読取可能な記録媒体は、印刷された用紙が排出される、複数のビンを有する排紙部を備えた画像形成装置の制御プログラムであって、印刷ジョブを受信する過程と、各ビンに用紙が残存しているか否かを検出する過程と、前記複数のビンのすべてに用紙が残存している場合、前記複数のビンのすべてに対して残存している用紙の宛先を特定する過程と、前記複数のビンのすべてにおける特定された残存用紙の宛先の中に印刷ジョブと同一の宛先が存在するか否かを判断する過程と、前記複数のビンのすべてにおける特定された残存用紙の宛先の中に印刷ジョブと同一の宛先が存在しない場合、特定された残存用紙の宛先のすべてを出力完了通知の送信先と設定する過程と、設定された送信先に出力完了通知を送信する過程と、特定された残存用紙の宛先のすべてに出力完了通知が送信されてから所定の時間が経過したか否かを判断する過程と、前記複数のビンのすべてにおける特定された残存用紙の宛先の中に印刷ジョブと同一の宛先が存在しない場合、前記複数のビンのうち少なくとも1つのビンが空になるか又は所定時間が経過するまで印刷ジョブの処理を禁止する過程と、各ビンに残存している用紙の宛先情報を記憶手段に記憶する過程と、ビンから取り出された用紙の宛先情報についてユーザによる入力を受け付ける過程と、前記入力された宛先情報を前記記憶手段の内容から削除する過程と、をコンピュータに実行させ、前記複数のビンのすべてに対して残存している用紙の宛先を特定する過程では、前記記憶手段の内容に基づいて、ビンに残存している用紙の宛先を特定させる、プログラムを記録したものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を使って本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
まず、各実施の形態で共通する事項について説明しておく。
【0029】
図1は、本発明を適用したネットワークシステムの構成図である。
【0030】
このシステムでは、1台のプリンタ(画像形成装置)10に7台のパソコン20,30,40,50,60,70,80がネットワーク90を介して相互に通信可能に接続されている。各パソコン20〜80は、7人の所定のユーザA乃至ユーザGにそれぞれ割り当てられている。よって、本システムでは、7人のユーザA〜Gによって1台のプリンタ10が共用されている。なお、各ユーザA〜Gは、個人でもグループでもよい。
【0031】
なお、ネットワーク90の構成、すなわち、画像形成装置(ここではプリンタ10)とパソコン20〜80とを接続する手段は、イーサネットケーブルなどの有線方式であっても、赤外線や電波などを利用した無線方式であってもよい。
【0032】
また、ネットワーク90に接続される画像形成装置やパソコンの台数は、上記の例に限定されないことはもちろんである。本発明は、1台又は複数台の画像形成装置と複数台のパソコンとを有する任意のシステムに適用可能である。
【0033】
しかも、このとき、画像形成装置の種類は、プリンタ以外に、例えば、スキャナとプリンタとの複合機(例えば、デジタル複写機など)やファクシミリ装置であってもよく、また、種類の異なる複数台の画像形成装置を有するシステムであってもよい。
【0034】
プリンタ10は、メールビン機能を有するものであり、印刷ジョブに基づいて印刷された用紙(印刷物)が排出される、複数(ここでは5つ)のビン1,2,3,4,5を有する排紙部を備えている。ビン1〜5は、排紙部をメールビンとして使用する場合に用いられる。メールビンの使用方法には、「通常の使用方法」と、「通常と異なる使用方法」とがある。ここで、「通常の使用方法」とは、前述したように、ビンを使用するユーザをあらかじめビンごとに割り当てて登録しておき、各ビンの使用を登録されているユーザに専有させるという方法であり、「通常と異なる使用方法」とは、ビンを使用するユーザをあらかじめビンごとに登録しておくことなく、画像形成装置(プリンタ10)が自動的に空のビンに印刷物を排出し、排出先のビンの識別情報(例えば、ビン番号など)をその印刷ジョブを送信したユーザに通知するという方法である。このようなメールビン機能は、例えば、各パソコン20〜80の印刷モード設定画面上で、印刷物の宛先(ユーザ)を指定した印刷(以下「メール印刷」という)を指示することによって実現される。なお、ここでは、ビン1〜5は、オプションとしての排紙装置15aをプリンタ本体10aに装着することによって提供されている。
【0035】
プリンタ10は、各パソコン20〜80から送信された印刷ジョブを受信すると、受信した印刷ジョブに基づいて印刷を行い、印刷物を1つのビンに排出する。排出先のビンは、メールビンを通常の使用方法で用いる場合は、印刷ジョブに含まれる宛先情報(送信元のパソコンの識別情報やメール印刷の有無と宛先の情報)を解析して認識される宛先であるユーザが登録されているビンであり、メールビンを通常と異なる使用方法で用いる場合は、所定の基準に従って任意に決定されたビンである。いずれの場合においても、印刷ジョブの宛先は、メール印刷の場合はメール印刷で指定されたユーザであり、メール印刷以外の場合は印刷ジョブを送信したユーザ自身である。そして、印刷物の排出が完了すると、当該印刷ジョブの宛先であるユーザ(厳密には、ユーザに割り当てられたパソコン。以下同様)に出力完了通知を送信する。ここで、出力完了通知とは、印刷ジョブに対する出力(印刷と排紙の両方を含む。以下同様)が完了した旨の通知のことをいう。その際、本発明では、後で詳述するように、ある印刷ジョブに対してプリンタ10が排紙しようとするビンに先に排出された印刷物が残存している場合、その印刷ジョブを処理して該当するユーザに出力完了通知を送信する前に、同一のビンに残存している印刷物の宛先(ユーザ)に対して出力完了通知を送信する。これにより、各ユーザに対して印刷物の取り忘れを通知することが可能となる。
【0036】
図2は、プリンタ10の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0037】
プリンタ10は、ジョブ受信部11、CPU12、メモリ13、プリンタエンジン14、排紙部15、出力除去検出部16及び出力完了通知送信部17を有する。
【0038】
ジョブ受信部11は、プリンタ10をネットワーク90上でパソコン20〜80と接続するためのネットワークインタフェースの一部であり、パソコン20〜80から送信された印刷ジョブを受信する。印刷ジョブは、印刷ジョブを送信したパソコンの識別情報、印刷モード情報(メール印刷の有無と宛先の情報を含む)及び画像データなどから構成されている。
【0039】
CPU12は、プリンタ10の各部を制御するとともに、後述する制御フローチャートに従って、1つのビンに複数のユーザ宛ての印刷物が混在するおそれがある場合に、こうした状況を未然に防止するのに役立つよう、出力完了通知の送信先(以下「出力完了通知先」という)を設定するとともに、出力完了通知を送信するタイミングを調整する機能を有する。出力完了通知先の設定に当たっては、ジョブ受信部11で受信された印刷ジョブに含まれる情報(送信元のパソコンの識別情報やメール印刷の宛先の情報)や、出力除去検出部16の検出結果が考慮される。また、CPU12は、受信された印刷ジョブに含まれる画像データをプリンタエンジン14で印刷可能なビットマップデータの形態に変換し(ラスタライズ)、さらに必要に応じてNin1などのレイアウト処理を行う機能をも有する。
【0040】
メモリ13は、図示しないが、あらかじめ情報が記憶されていて基本的に変更できない読出し専用のROMと、自由に情報の書込み読出しができるRAMとからなる。ROMには、制御プログラムが記憶され、RAMには、印刷ジョブや後述するユーザ情報テーブルが記憶される。メールビン機能を有するプリンタ10の場合、各ビン1〜5に対するユーザA〜Gの登録情報は、ユーザ登録テーブルとしてRAM又は書替え可能なROM(例えば、フラッシュメモリ)に記憶される。
【0041】
図3は、メモリ13の構成を示す図である。図3に示すように、メモリ13(RAM)は、ジョブ記憶部131と、ユーザ情報テーブル132とを有する。ジョブ記憶部131には、受信された印刷ジョブが出力完了まで一旦記憶(蓄積)される。ユーザ情報テーブル132は、各ビン1〜5に排出された印刷物の宛先(ユーザ)に関する情報(例えば、ユーザ名やユーザIDなど)(以下「ユーザ情報」という)をビンごとに記憶したテーブルである(図5、図7参照)。このテーブル132内のユーザ情報は、対応する印刷物が排出先のビンから除去されるまで削除されない。このユーザ情報テーブル132を参照して、各ビンに残存している印刷物の宛先(ユーザ)が特定される。なお、印刷ジョブは、ジョブ記憶部131に蓄積された順番に処理され、出力される。
【0042】
プリンタエンジン14は、CPU12でラスタライズ(及びレイアウト処理)された画像データを印刷モードに従って用紙上に出力する。
【0043】
排紙部15は、複数のビン1〜5を有し、プリンタエンジン14で印刷された排出用紙を収納する。排紙部15は、上記の排紙装置15aを含んでいる。
【0044】
出力除去検出部16は、各ビン1〜5に印刷物が残存しているか否か、すなわち、各ビン1〜5から印刷物が除去されているか否かを検出する。この検出は、各ビン1〜5ごとに行われる。例えば、出力除去検出部16は、用紙の有無を検知するセンサを各ビン1〜5に取り付けることによって構成されている。
【0045】
出力完了通知送信部17は、ジョブ受信部11と同様、プリンタ10をネットワーク90上でパソコン20〜80と接続するためのネットワークインタフェースの一部であり、CPU12からの指令に従って、出力完了通知を、設定された出力完了通知先(ユーザA〜Gのパソコン20〜80)に、調整されたタイミングで送信する。なお、メールビンが通常と異なる使用方法で用いられる場合は、あらかじめ各ビンごとにユーザが割り当てられていないため、出力完了通知は、出力が完了した旨の通知に加えて、排出先のビンの識別情報(例えば、ビン番号)を含んでいる。
【0046】
本発明では、前述のように、1つのビンに複数のユーザ宛ての印刷物が混在するおそれがある場合に、こうした状況を未然に防止するのに役立つよう、出力完了通知先を設定するとともに、出力完了通知を送信するタイミングを調整する。より具体的には、ある印刷ジョブに対して画像形成装置(プリンタ10)が排紙しようとするビンに、先に排出された印刷物が残存している場合、その印刷ジョブを処理して該当するユーザに出力完了通知を送信する前に、同一のビンに残存している印刷物の宛先(ユーザ)に対して出力完了通知を送信する。要するに、同一のビンに排出される印刷物の宛先が切り替わる度に、そのビンに残存している先に排出された印刷物の宛先に対して出力完了通知を送信するようにしている。以下、各実施の形態において、より詳細に説明する。
【0047】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態は、メールビンが通常の使用方法で用いられる場合、すなわち、ビンを使用するユーザがあらかじめビンごとに登録されている場合である。ここでは、例えば、ビン1にはユーザA及びユーザD、ビン3にはユーザC、ユーザE及びユーザG、ビン4にはユーザB、ビン5にはユーザFがそれぞれ登録され、ビン2はユーザ未登録であるとする(図5参照)。
【0048】
本実施の形態では、あるユーザ(例えば、ユーザD)宛ての印刷物が任意のビン(ここではビン1)に残存している状態で、同一のビンを排出先とする別のユーザ(例えば、ユーザA)宛ての印刷ジョブを処理しようとする場合、この印刷ジョブを処理してその別のユーザ(ユーザA)に出力完了通知を送信する前に、同一のビンに印刷物が残存しているユーザ(ユーザD)に対して出力完了通知を送信する。
【0049】
なお、本実施の形態では、画像形成装置として、メールビン機能を有するプリンタ10を例にとって説明するが、これに限定されるわけではなく、1つのビンしか有しない排紙部を備えた画像形成装置であってもよい。
【0050】
図4は、第1の実施の形態に係るプリンタ10の動作例を説明するための制御フローチャートである。ここでは、あるユーザ(例えば、ユーザA)宛ての印刷ジョブを受信した後、当該印刷ジョブの処理を行い、当該印刷ジョブの宛先であるユーザAに対して出力完了通知を送信するまでの、当該プリンタ10の一連の処理手順を示している。なお、この制御フローチャートの各ステップの処理は、プリンタ10のCPU12によって実行される。
【0051】
まず、ステップS100では、CPU12は、ジョブ受信部11で、あるユーザ(例えば、ユーザA)宛ての印刷ジョブが受信されると、受信された印刷ジョブをメモリ13内のジョブ記憶部131に一旦記憶(蓄積)する。
【0052】
そして、ステップS105では、メモリ13内のユーザ登録テーブルを参照して、次に処理すべき印刷ジョブ(例えば、ステップS100で受信された印刷ジョブ)の宛先であるユーザ(ユーザA)が登録されているビンを検索し、検索されたビン(ここではビン1)を当該印刷ジョブに対する排出先のビンと決定する。
【0053】
そして、ステップS110では、出力除去検出部16の検出結果に基づいて、ステップS105で決定された排出先のビン(ビン1)に、先に排出された印刷物が残存しているか否かを判断する。印刷物が残存していない場合は(S110:NO)、同一のビンに複数のユーザ宛ての印刷物が混在するおそれはないので、直ちにステップS135に進む。
【0054】
これに対し、印刷物が残存している場合は(S110:YES)、ステップS115で、メモリ13内のユーザ情報テーブル132を参照して、排出先のビン(ビン1)に残存している印刷物の宛先(ユーザ)を特定する。そして、ステップS120では、ステップS115で特定された宛先が当該印刷ジョブの宛先(ユーザA)と同一か否かを判断する。宛先(ユーザ)が同一である場合は(S120:YES)、排出先のビン(ビン1)に印刷物を排出しても、同一のビンに複数のユーザ宛ての印刷物が混在するおそれはないので、直ちにステップS135に進む。
【0055】
これに対し、宛先(ユーザ)が同一でない場合は(S120:YES)、排出先のビン(ビン1)に印刷物を排出すると、同一のビンに複数のユーザ宛ての印刷物が混在してしまうので、ステップS125で、ステップS115で特定された宛先(例えば、ユーザD)を出力完了通知先と設定し、出力完了通知送信部17に出力完了通知送信指令を送る。この指令を受けて、出力完了通知送信部17は、設定された出力完了通知先、すなわち、ステップS115で特定された宛先(ユーザD)に対して出力完了通知を送信する。
【0056】
そして、ステップS130では、出力除去検出部16によって排出先のビン(ビン1)から印刷物が除去されたこと、すなわち、排出先のビン(ビン1)が空になったことが検出されるまで待機し(印刷ジョブの処理の禁止)、排出先のビン(ビン1)が空になったことが検出された時点でステップS135に進む。この結果、1つのビンに複数のユーザ宛ての印刷物が混在することが、確実に防止される。また、排出先のビン(ビン1)が空になったことが検出されると同時に、メモリ13内のユーザ情報テーブル132からそのビン(ビン1)のユーザ情報(ユーザD)を削除する。
【0057】
ステップS135では、ステップS105で排出先のビンが決定された印刷ジョブを処理して、プリンタエンジン14で印刷を行わせ、印刷物を排紙部15の今回排出先となったビン(ビン1)に排出させる。
【0058】
そして、ステップS140では、ステップS135で処理された印刷ジョブの宛先(ユーザA)を出力完了通知先と設定し、出力完了通知送信部17に出力完了通知送信指令を送る。この指令を受けて、出力完了通知送信部17は、設定された出力完了通知先、すなわち、当該印刷ジョブの宛先(ユーザA)に対して出力完了通知を送信する。また、この出力完了通知の送信と同時に、出力完了通知先のユーザ(ユーザA)の情報を、メモリ13内のユーザ情報テーブル132の今回排出先となったビン(ビン1)の位置に書き込む。
【0059】
したがって、本実施の形態によれば、あるユーザ(ユーザD)宛ての印刷物が任意のビン(ビン1)に残存している状態で、同一のビンを排出先とする別のユーザ(ユーザA)宛ての印刷ジョブを処理しようとする場合、この印刷ジョブを処理してその別のユーザ(ユーザA)に出力完了通知を送信する前に、同一のビンに印刷物が残存しているユーザ(ユーザD)に対して出力完了通知を送信するので、各ユーザに対して印刷物の取り忘れを通知することが可能となり、1つのビンに複数のユーザ宛ての印刷物が混在するといった状況を未然に防止することができる。
【0060】
なお、図4の制御フローチャートに示す処理手順に対しては、以下に示すように、種々の変更例が考えられる。
【0061】
例えば、図4の制御フローチャートでは、ステップS130で、出力先のビンが空になるまで待機するようにしているが、これは、同一のビンに異なるユーザ宛ての印刷物が混在しないようにするためには、基本的に、先に排出された印刷物が除去されてから次の出力を行うのが、確実性の点で望ましいからである。しかし、出力完了通知を受け取ったユーザがいつまでも印刷物を取りに来ないときには、それ以降そのビンへの出力が行われなくなってしまうので、待機する時間(待機時間)を設定して、ステップS125で出力完了通知が送信されてから所定の時間が経過した場合は、たとえそのビンが空になっていなくても、次の処理に移行できるようにしてもよい。
【0062】
ここで、「所定の時間」は、好ましくは、あらかじめユーザが任意に設定することができる調整可能な時間である。例えば、この所定時間が「0」に設定された場合、プリンタ10は、印刷物が残ったままになっているユーザに対して出力完了通知を送信するとすぐに印刷ジョブの処理を行う。また、この所定時間が「無限大」に設定された場合は、排出先のビンに残存している印刷物が除去されない限り、プリンタ10は、印刷ジョブの処理を行わない。
【0063】
さらに、この場合、好ましくは、設定された待機時間の長さにかかわらず、待機中に印刷物がビンから除去された時は直ちに待機(印刷ジョブの処理の禁止)を解除して、印刷ジョブの処理を開始する。
【0064】
但し、上記の変更例では、印刷物が除去されていなくても所定時間が経過すると待機を解除するため、排出先のビンに先に排出された印刷物が残存している状態で引き続き次の出力が行われることになり、1つのビンに複数のユーザ宛ての印刷物が混在するおそれが生じる。この場合、一人のユーザがビンから自分宛ての印刷物を取り出して自分宛て以外の印刷物をそのまま元のビンに戻したとすると、どのユーザ宛ての印刷物が除去され、どのユーザ宛ての印刷物が元に戻されたかを特定することができない。
【0065】
これを解決する方法としては、例えば、下記の2つの方法が考えられる。
【0066】
まず、第1の方法は、次の通りである。
【0067】
出力完了通知を受け取ったユーザは、自分が登録されているビンに排出されている印刷物を、自分宛てのものか否かを問わず、すべて取り出す。このとき、プリンタ10は、そのビンに残存していた印刷物がすべて除去されたものと判断して、次の処理に移行する。その後、ユーザは、ビンから取り出した印刷物の中から自分宛ての印刷物を抽出した後、残りの印刷物を元のビンに戻さずに別の専用のトレイに移動する。
【0068】
また、第2の方法は、次の通りである。これは、ビンに印刷物が残存しているユーザを特定するためのユーザ情報テーブル132を利用することによって実現することができる。
【0069】
出力完了通知を受け取ったユーザは、自分宛ての印刷物を自分が登録されているビンに取りに行った際に、プリンタ10に設けられている図示しない操作パネルや10キー(テンキー)など何らかの適当な手段を用いて、自分のユーザ情報をプリンタ10に入力する。これにより、メモリ13内のユーザ情報テーブル132からそのユーザに関する情報が削除される。また、例えば、プリンタ10から送信されて来る出力完了通知に対して返信を行うなど、ネットワーク90を利用して、自分に関するユーザ情報を削除することも可能である。このようにしてユーザ情報がユーザ情報テーブル132から削除されたユーザに対しては、プリンタ10は、そのユーザ宛ての印刷物がビンから除去されたものと判断して、印刷物の取り忘れを通知するための出力完了通知の送信を行わない。
【0070】
以上の変更例に示す方法を図5の例に適用すると、次の通りである。
【0071】
図5の例において、ユーザA宛ての印刷ジョブを受信した場合を考える。このとき、当該印刷ジョブに対する排出先のビンはビン1であり、このビン1には先に排出された印刷物としてユーザA宛ての印刷物とユーザD宛ての印刷物とが残存している。そこで、まずユーザAとユーザDに対して出力完了通知を送信し、ビン1が空になるか又は所定時間が経過した後、上記ユーザA宛ての印刷ジョブを処理する。そして、ビン1への出力が完了すると、当該印刷ジョブに対する出力完了通知をユーザAに送信し、ユーザAをユーザ情報テーブル132のビン1の位置に書き込む。
【0072】
また、同じく図5の例において、今度は、ユーザG宛ての印刷ジョブを受信した場合を考える。このとき、ユーザGが登録されているビン3に印刷物が残存しているユーザは、ユーザCとユーザEである。そこで、まずユーザCとユーザEに対して出力完了通知を送信し、ビン3が空になるか又は所定時間が経過した後、上記ユーザG宛ての印刷ジョブを処理する。そして、ビン3への出力が完了すると、ユーザGに出力完了通知を送信し、ユーザGをユーザ情報テーブル132のビン3の位置に書き込む。
【0073】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、メールビンが通常と異なる使用方法で用いられる場合、すなわち、ビンを使用するユーザがあらかじめビンごとに登録されていない場合である。この場合、プリンタ10(画像形成装置)は、自動的に空のビンに各ユーザ宛ての印刷物を排出し、排出先のビンの識別情報(例えば、ビン番号)をその印刷ジョブを送信したユーザに通知する。
【0074】
本実施の形態では、次の2つの態様で出力完了通知を送信することができる。第1の態様は、メールビンとして使用される排紙部15のすべてのビン1〜5に印刷物が残存している状態で、あるユーザ宛ての印刷ジョブを処理しようとする場合、印刷物が残存したままのユーザ全員に対して出力完了通知を送信するというものであり、第2の態様は、プリンタ10が出力を行おうとする任意の1つのビンに印刷物が残ったままになっているユーザに対してのみ出力完了通知を送信するというものである。
【0075】
図6は、第2の実施の形態に係るプリンタ10の動作例を説明するための制御フローチャートである。ここでは、上記した2つの態様のうちの第1の態様について、あるユーザ(例えば、ユーザA)宛ての印刷ジョブを受信した後、当該印刷ジョブの処理を行い、当該印刷ジョブの宛先であるユーザAに対して出力完了通知を送信するまでの、当該プリンタ10の一連の処理手順を示している。なお、この制御フローチャートの各ステップの処理は、プリンタ10のCPU12によって実行される。
【0076】
なお、上記した2つの態様のうち第2の態様に対する制御フローチャートについては、受信した印刷ジョブに対して排出先のビンがあらかじめ決められているか又はプリンタ10(画像形成装置)によって任意に決められるものであるといった違いを除ければ、図4に示す第1の実施の形態に対応する制御フローチャートと基本的に同様であるため(ステップS105の内容が異なるのみ)、その説明を省略することとする。
【0077】
まず、ステップS200では、CPU12は、ジョブ受信部11で、あるユーザ(例えば、ユーザA)宛ての印刷ジョブが受信されると、受信された印刷ジョブをメモリ13内のジョブ記憶部131に一旦記憶(蓄積)する。
【0078】
そして、ステップS205では、出力除去検出部16の検出結果に基づいて、印刷物が残存していない空のビンが有るか否かを判断する。
【0079】
空のビンが有る場合は(S205:YES)、ステップS230で、次に処理すべき印刷ジョブ(例えば、ステップS200で受信された印刷ジョブ)を処理して、プリンタエンジン14で印刷を行わせ、ステップS235で、ステップS205で検出された空のビンの中から後述する任意の適当な方法で1つのビンを選択し、この選択された空のビンに印刷物を排出させた後、ステップS250に進む。
【0080】
ここで、一般に、複数のビンから1つのビンを選択する方法、すなわち、プリンタ10(画像形成装置)が出力を行うビンを決定する方法は、任意の適当な方法(基準)を用いればよい。例えば、単純にビン番号の順に選択しても、ユーザ情報の登録数が少ないビンから順に選択しても、又は、印刷ジョブの総容量が少ないビンから順に選択してもよい。
【0081】
これに対し、空のビンが無い場合は(S205:NO)、ステップS210で、メモリ13内のユーザ情報テーブル132を参照して、すべてのビン1〜5のいずれかに残存しているすべての印刷物の宛先(ユーザ)、すなわち、いずれかのビンに印刷物が残ったままになっているユーザをすべて特定する。
【0082】
そして、ステップS215では、ステップS210で特定されたすべての宛先の中に、次に処理すべき印刷ジョブ(例えば、ステップS200で受信された印刷ジョブ)と同一の宛先(ユーザA)が存在するか否かを判断する。同一の宛先(ユーザA)が存在する場合は(S215:YES)、ステップS240で、ステップS230と同様に、当該印刷ジョブを処理して、プリンタエンジン14で印刷を行わせ、ステップS245で、同一の宛先(ユーザA)の印刷物が残存しているビンを選択し(このようなビンが複数存在する場合は、このような複数のビンの中から前述した任意の適当な方法で1つのビンを選択し)、この選択されたビンに印刷物を排出させた後、ステップS250に進む。
【0083】
これに対し、同一の宛先(ユーザA)が存在しない場合は(S215:NO)、ステップS220で、ステップS210で特定されたすべての宛先(ユーザ全員)を出力完了通知先として設定し、出力完了通知送信部17に出力完了通知送信指令を送る。この指令を受けて、出力完了通知送信部17は、ステップS210で特定されたすべての宛先(ユーザ全員)に対して出力完了通知を送信する。
【0084】
そして、ステップS225では、出力除去検出部16によっていずれか1つのビンから印刷物が除去されたこと、すなわち、いずれか1つのビンが空になったことが検出されるまで待機し(印刷ジョブの処理の禁止)、いずれか1つのビンが空になったことが検出された時点でステップS230に進む。この結果、1つのビンに複数のユーザ宛ての印刷物が混在することが、確実に防止される。また、いずれか1つのビンが空になったことが検出されると同時に、メモリ13内のユーザ情報テーブル132からそのビンのユーザ情報を削除する。なお、ステップS230とステップS235の各処理の内容は、前述した通りである。
【0085】
ステップS250では、ステップS230又はステップS240で処理された印刷ジョブの宛先(ユーザA)を出力完了通知先と設定し、出力完了通知送信部17に出力完了通知送信指令を送る。この指令を受けて、出力完了通知送信部17は、設定された出力完了通知先、すなわち、当該印刷ジョブの宛先(ユーザA)に対して出力完了通知を送信する。このときの出力完了通知は、前述のように、出力が完了した旨の通知に加えて、排出先のビンの識別情報(例えば、ビン番号)を含んでいる。また、この出力完了通知の送信と同時に、出力完了通知先のユーザ(ユーザA)の情報を、メモリ13内のユーザ情報テーブル132の今回排出先となったビンの位置に書き込む。
【0086】
したがって、本実施の形態によれば、メールビンとして使用される排紙部15のすべてのビン1〜5に印刷物が残存している状態で、あるユーザ(ユーザA)宛ての印刷ジョブを処理しようとする場合、この印刷ジョブを処理して該当するユーザ(ユーザA)に出力完了通知を送信する前に、印刷物が残存したままのユーザ全員に対して出力完了通知を送信するので、各ユーザに対して印刷物の取り忘れを通知することが可能となり、1つのビンに複数のユーザ宛ての印刷物が混在するといった状況を未然に防止することができる。
【0087】
なお、図6の制御フローチャートに示す処理手順に対しても、種々の変更例が考えられるが、これらは、第1の実施の形態において説明した内容と基本的に同様であるため、その説明を省略することとする。
【0088】
但し、設定された待機時間の長さにかかわらず、待機中に印刷物がビンから除去された時は直ちに待機(印刷ジョブの処理の禁止)を解除して、印刷ジョブの処理を開始する場合、第2の実施の形態に対応する変更例では、所定時間が経過したにもかかわらずいずれのビンからも印刷物が除去されなかったときは、プリンタ10(画像形成装置)は任意のビンに対して出力を行う。
【0089】
以上の変更例に示す方法を図5及び図7の例に適用すると、次の通りである。
【0090】
まず、図5の例において、ユーザG宛ての印刷ジョブを受信した場合を考える。このとき、空のビン2を検索し、このビン2を排出先としてユーザG宛ての出力を行った後、ユーザGに対して出力完了通知(排出先のビン番号2を含む)を送信する。そして、ユーザGをユーザ情報テーブル132のビン2の位置に書き込む。
【0091】
また、図7の例において、同じくユーザG宛ての印刷ジョブを受信した場合を考える。このとき、空のビンを検索するが、どのビンも空ではなく、しかも印刷物が残存したままのユーザの中にユーザGは存在しないため、印刷物が残存したままのユーザ全員(ユーザA,B,C,D,E,F)に対して出力完了通知を送信する。その後、空になった任意のビン(ビン番号=N)に対してユーザG宛ての出力を行い、ユーザGに対して出力完了通知(排出先のビン番号Nを含む)を送信する。そして、ユーザGをユーザ情報テーブル132のビンNの位置に書き込む。
【0092】
なお、以上のようにコンピュータを利用する場合、本発明に係る出力完了通知送信技術は、図4や図6などに示す処理手順を記述した所定のプログラムをCPU12が実行することによって行われるものであり、この所定のプログラムはコンピュータ読取可能な記録媒体(例えば、フロッピーディスクやCD−ROMなど)によって提供されることもできる。この場合、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録されているプログラムは、通常、ハードディスクに転送され記憶される。また、この所定のプログラムは、例えば、単独で上記処理を実行するアプリケーションソフトウェアとして提供されてもよいし、また、プリンタ10の一機能としてプリンタ10のソフトウェアに組み込んでもよい。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、画像形成装置が出力を行おうとするビンに先に排出された印刷物が残存している場合、その印刷物の宛先であるユーザに対して出力完了通知を送信するので、各ユーザに対して印刷物の取り忘れを通知することが可能となり、1つのビンに対して複数のユーザ宛ての印刷物が混在するといった状況を未然に防止することができるとともに、出力完了通知を受け取ったユーザがいつまでも印刷物を取りに来ないときには、それ以降そのビンへの出力が行われなくなってしまうので、出力完了通知が送信されてから所定の時間が経過した場合は、たとえそのビンが空になっていなくても、次の処理に移行できる。
さらに、印刷物が除去されていなくても所定時間が経過すると待機を解除されて、排出先のビンに先に排出された印刷物が残存している状態で引き続き次の出力が行われることに起因して、1つのビンに複数のユーザ宛ての印刷物が混在する場合であっても、どのユーザ宛ての印刷物が除去され、どのユーザ宛ての印刷物が元に戻されたかを特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用したネットワークシステムの構成図である。
【図2】 図1のプリンタの制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図3】 図2のメモリの構成を示す図である。
【図4】 第1の実施の形態に係るプリンタの動作例を説明するための制御フローチャートである。
【図5】 図3のユーザ情報テーブルの一例を示す図である。
【図6】 第2の実施の形態に係るプリンタの動作例を説明するための制御フローチャートである。
【図7】 図3のユーザ情報テーブルの他の一例を示す図である。
【符号の説明】
1,2,3,4,5…ビン、
10…プリンタ、
11…ジョブ受信部、
12…CPU、
13…メモリ、
14…プリンタエンジン、
15…排紙部、
16…出力除去検出部、
17…出力完了通知送信部、
20,30,40,50,60,70,80…パソコン、
131…ジョブ記憶部、
132…ユーザ情報テーブル。
Claims (12)
- 画像形成装置において、
印刷ジョブを受信する受信手段と、
印刷ジョブに基づいて印刷された用紙が排出されるビンを有する排紙部と、
印刷ジョブの出力完了通知を送信する送信手段と、
ビンに用紙が残存しているか否かを検出する検出手段と、
ビンに残存している用紙の宛先を特定する残存用紙宛先特定手段と、
ビンに用紙が残存している場合、特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一か否かを判断する第1の判断手段と、
特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一でない場合、特定された残存用紙の宛先を出力完了通知の送信先と設定する出力完了通知先設定手段と、
設定された残存用紙の宛先に出力完了通知が送信されてから所定の時間が経過したか否かを判断する第2の判断手段と、
特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一でない場合、ビンが空になるか又は所定時間が経過するまで印刷ジョブの処理を禁止するジョブ処理禁止手段と、
ビンに残存している用紙の宛先情報を記憶する記憶手段と、
ビンから取り出された用紙の宛先情報を入力する入力手段と、を有し、
前記残存用紙宛先特定手段は、前記記憶手段の内容に基づいて、ビンに残存している用紙の宛先を特定し、
入力された宛先情報は、前記記憶手段の内容から削除されることを特徴とする画像形成装置。 - 前記排紙部は、複数のビンを有し、
さらに、前記複数のビンから排出先として1つのビンを選択する選択手段を有し、
前記残存用紙宛先特定手段は、選択されたビンに残存している用紙の宛先を特定し、
前記第1の判断手段は、選択されたビンに用紙が残存している場合に、特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一か否かを判断することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。 - 前記複数のビンのうち少なくとも1つのビンは、特定ユーザの排出先としてあらかじめ登録されており、
前記選択手段は、ビンに登録されている特定ユーザを宛先とする印刷ジョブについては、その特定ユーザが登録されているビンを選択することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置 - 前記複数のビンはいずれも特定ユーザの排出先としてあらかじめ登録されておらず、前記選択手段は、空のビンから優先的に1つのビンを選択することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
- 前記出力完了通知は、選択されたビンの識別情報を含むことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
- 画像形成装置において、
印刷ジョブを受信する受信手段と、
印刷ジョブに基づいて印刷された用紙が排出される、複数のビンを有する排紙部と、
印刷ジョブの出力完了通知を送信する送信手段と、
各ビンに用紙が残存しているか否かを検出する検出手段と、
各ビンに残存している用紙の宛先を特定する残存用紙宛先特定手段と、
前記複数のビンのすべてに用紙が残存している場合、前記複数のビンのすべてにおける特定された残存用紙の宛先の中に印刷ジョブと同一の宛先が存在するか否かを判断する第1の判断手段と、
前記複数のビンのすべてにおける特定された残存用紙の宛先の中に印刷ジョブと同一の宛先が存在しない場合、特定された残存用紙の宛先のすべてを出力完了通知の送信先と設定する出力完了通知先設定手段と、
特定された残存用紙の宛先のすべてに出力完了通知が送信されてから所定の時間が経過したか否かを判断する第2の判断手段と、
前記複数のビンのすべてにおける特定された残存用紙の宛先の中に印刷ジョブと同一の宛先が存在しない場合、前記複数のビンのうち少なくとも1つのビンが空になるか又は所定時間が経過するまで印刷ジョブの処理を禁止するジョブ処理禁止手段と、
各ビンに残存している用紙の宛先情報を記憶する記憶手段と、
ビンから取り出された用紙の宛先情報を入力する入力手段と、を有し、
前記残存用紙宛先特定手段は、前記記憶手段の内容に基づいて、各ビンに残存している用紙の宛先を特定し、
入力された宛先情報は、前記記憶手段の内容から削除されることを特徴とする画像形成装置。 - さらに、前記複数のビンのうち空のビンから優先的に排出先として1つのビンを選択する選択手段を有することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
- 前記出力完了通知は、選択されたビンの識別情報を含むことを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
- 印刷された用紙が排出されるビンを有する排紙部を備えた画像形成装置の制御方法であって、
印刷ジョブを受信する過程と、
ビンに用紙が残存しているか否かを検出する過程と、
ビンに用紙が残存している場合、そのビンに残存している用紙の宛先を特定する過程と、
特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一か否かを判断する過程と、
特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一でないと判断された場合、特定された残存用紙の宛先を出力完了通知の送信先と設定する過程と、
設定された送信先に出力完了通知を送信する過程と、
設定された残存用紙の宛先に出力完了通知が送信されてから所定の時間が経過したか否かを判断する過程と、
特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一でない場合、ビンが空になるか又は所定時間が経過するまで印刷ジョブの処理を禁止する過程と、
ビンに残存している用紙の宛先情報を記憶手段に記憶する過程と、
ビンから取り出された用紙の宛先情報についてユーザによる入力を受け付ける過程と、
前記入力された宛先情報を前記記憶手段の内容から削除する過程と、を有し、
前記ビンに残存している用紙の宛先を特定する過程では、前記記憶手段の内容に基づいて、ビンに残存している用紙の宛先を特定することを特徴とする画像形成装置の制御方法。 - 印刷された用紙が排出される、複数のビンを有する排紙部を備えた画像形成装置の制御方法であって、
印刷ジョブを受信する過程と、
各ビンに用紙が残存しているか否かを検出する過程と、
前記複数のビンのすべてに用紙が残存している場合、前記複数のビンのすべてに対して残存している用紙の宛先を特定する過程と、
前記複数のビンのすべてにおける特定された残存用紙の宛先の中に印刷ジョブと同一の宛先が存在するか否かを判断する過程と、
前記複数のビンのすべてにおける特定された残存用紙の宛先の中に印刷ジョブと同一の宛先が存在しない場合、特定された残存用紙の宛先のすべてを出力完了通知の送信先と設定する過程と、
設定された送信先に出力完了通知を送信する過程と、
特定された残存用紙の宛先のすべてに出力完了通知が送信されてから所定の時間が経過したか否かを判断する過程と、
前記複数のビンのすべてにおける特定された残存用紙の宛先の中に印刷ジョブと同一の宛先が存在しない場合、前記複数のビンのうち少なくとも1つのビンが空になるか又は所定時間が経過するまで印刷ジョブの処理を禁止する過程と、
各ビンに残存している用紙の宛先情報を記憶手段に記憶する過程と、
ビンから取り出された用紙の宛先情報についてユーザによる入力を受け付ける過程と、
前記入力された宛先情報を前記記憶手段の内容から削除する過程と、を有し、
前記複数のビンのすべてに対して残存している用紙の宛先を特定する過程では、前記記憶手段の内容に基づいて、ビンに残存している用紙の宛先を特定することを特徴とする画像形成装置の制御方法。 - 印刷された用紙が排出されるビンを有する排紙部を備えた画像形成装置の制御プログラムであって、
印刷ジョブを受信する過程と、
ビンに用紙が残存しているか否かを検出する過程と、
ビンに用紙が残存している場合、そのビンに残存している用紙の宛先を特定する過程と、
特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一か否かを判断する過程と、
特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一でないと判断された場合、特定された残存用紙の宛先を出力完了通知の送信先と設定する過程と、
設定された送信先に出力完了通知を送信する過程と、
設定された残存用紙の宛先に出力完了通知が送信されてから所定の時間が経過したか否かを判断する過程と、
特定された残存用紙の宛先が印刷ジョブの宛先と同一でない場合、ビンが空になるか又は所定時間が経過するまで印刷ジョブの処理を禁止する過程と、
ビンに残存している用紙の宛先情報を記憶手段に記憶する過程と、
ビンから取り出された用紙の宛先情報についてユーザによる入力を受け付ける過程と、
前記入力された宛先情報を前記記憶手段の内容から削除する過程と、をコンピュータに実行させ、
前記ビンに残存している用紙の宛先を特定する過程では、前記記憶手段の内容に基づいて、ビンに残存している用紙の宛先を特定させる、プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。 - 印刷された用紙が排出される、複数のビンを有する排紙部を備えた画像形成装置の制御プログラムであって、
印刷ジョブを受信する過程と、
各ビンに用紙が残存しているか否かを検出する過程と、
前記複数のビンのすべてに用紙が残存している場合、前記複数のビンのすべてに対して残存している用紙の宛先を特定する過程と、
前記複数のビンのすべてにおける特定された残存用紙の宛先の中に印刷ジョブと同一の宛先が存在するか否かを判断する過程と、
前記複数のビンのすべてにおける特定された残存用紙の宛先の中に印刷ジョブと同一の宛先が存在しない場合、特定された残存用紙の宛先のすべてを出力完了通知の送信先と設定する過程と、
設定された送信先に出力完了通知を送信する過程と、
特定された残存用紙の宛先のすべてに出力完了通知が送信されてから所定の時間が経過したか否かを判断する過程と、
前記複数のビンのすべてにおける特定された残存用紙の宛先の中に印刷ジョブと同一の宛先が存在しない場合、前記複数のビンのうち少なくとも1つのビンが空になるか又は所定時間が経過するまで印刷ジョブの処理を禁止する過程と、
各ビンに残存している用紙の宛先情報を記憶手段に記憶する過程と、
ビンから取り出された用紙の宛先情報についてユーザによる入力を受け付ける過程と、
前記入力された宛先情報を前記記憶手段の内容から削除する過程と、をコンピュータに実行させ、
前記複数のビンのすべてに対して残存している用紙の宛先を特定する過程では、前記記 憶手段の内容に基づいて、ビンに残存している用紙の宛先を特定させる、プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
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