JP3716296B2 - 放射線障害防護剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、放射線障害防護剤(抗癌剤を除く)に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、活性酸素が膜脂質の過酸化、炎症、老化、虚血性障害、発癌、糖尿病、動脈硬化、白内障、肺気腫、パーキンソン病等の生体の様々な病体の起因物質と考えられている。活性酸素とは、一般に、酸素が還元されて水を生ずるまでの中間に生成するスーパーオキサイド、過酸化水素、ヒドロキシラジカルなどである。
活性酸素は、ミトコンドリアやミクロソームにおいて電子伝達、ヘモグロビンによる酸素運搬などに際して常に生成しているが、通常、スーパーオキシドディスムターゼなどの酵素により分解されるため、生体への影響は抑えられている。通常はスーパーオキシムターゼなどの酵素により活性酸素は分解され、細胞障害の発生が抑えられているが、酵素機能が低下し、細胞膜脂質の過酸化により種々の疾病が発生する。
【0003】
悪性腫瘍に対する放射線照射療法を受けている人や放射線取扱者、原子炉従事者などは多量の放射線に被曝しているほか、最近では、フロンガス等による上空の成層圏にあるオゾン層破壊のため、一般の人もより強力な紫外線の被曝している。放射線の被曝は、生体内にラジカルを発生させる。ラジカルは通常の酸素分子を活性化し、スーパーオキサイドやヒドロキシラジカルとなることから、放射線の被曝による遺伝的影響、発癌作用等の増加が懸念されている。
【0004】
放射線被曝から生体を防護する薬剤として、従来、含硫アミン化合物等が検討されてきたが、臨床上適用されるまでに至っていない。最近、放射線障害防護剤として、アミフォスチン(Amifostine)の臨床治験がなされているが、副作用の点で問題が存在する。
【0005】
米国特許第4420489号は、5−チオ−D−リボース、6−チオ−D−フルクトース等の環内に硫黄原子を有する糖化合物の放射線障害防止効果を開示しているが、臨床に供与出来るだけの強い効果に至っていない。一方、5−メチルチオ−D−リボースなどは、米国特許第4820692号に原虫に対する殺生物剤として用途が記載されクレームされている。しかしこれらの化合物に活性酸素除去作用に基づく放射線障害防護活性を有することは全く知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、新たな活性酸素除去作用を有する化合物を見いだすべく鋭意検討を重ねた結果、ある種のチオリボース類化合物が、毒性が低くかつ強力な放射線障害防護活性を有することを見いだし、本発明を完成した。
【0007】
【問題を解決するための手段】
かくして本発明は、一般式(1)
【化2】
で表されるチオリボース類化合物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする放射線障害防護剤(抗癌剤を除く)が提供される。
【0008】
上記一般式(1)において、Rは、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基のような炭素数1〜6個の分枝していてもよいアルキル基をであり、好適には炭素数1〜4個の分岐していてもよいアルキル基である。このような化合物は公知の化合物である。
【0009】
このような化合物の具体例としては、5−デオキシ−5−メチルチオ−D−リボース、5−デオキシ−5−エチルチオ−D−リボース、5−デオキシ−5−プロピルチオ−D−リボース、5−デオキシ−5−イソプロピルチオ−D−リボース、5−デオキシ−5−ブチルチオ−D−リボース、5−デオキシ−5−イソブチルチオ−D−リボース、5−デオキシ−5−s−ブチルチオ−D−リボース、5−デオキシ−5−t−ブチルチオ−D−リボース、5−デオキシ−5−ペンチルチオ−D−リボース、5−デオキシ−5−イソペンチル−D−リボース、5−デオキシ−5−(2−メチルブチル)チオ−D−リボース、5−デオキシ−5−ネオペンチル−D−リボース、5−デオキシ−5−ヘキシルチオ−D−リボース、5−デオキシ−5−(4−メチルペンチル)チオ−D−リボース、5−デオキシ−5−(3−メチルペンチル)チオ−D−リボース、5−デオキシ−5−(2−メチルブチル)チオ−D−リボース、5−デオキシ−5−ネオペンチル−D−リボース、5−デオキシ−5−ヘキシルチオ−D−リボース、5−デオキシ−5−(4−メチルペンチル)チオ−D−リボース、5−デオキシ−5−(3−メチルペンチル)チオ−D−リボース、5−デオキシ−5−(2−メチルペンチル)チオ−D−リボース、5−デオキシ−5−(3,3−ジメチルブチル)チオ−D−リボース、5−デオキシ−5−(2,2−ジメチルブチル)チオ−D−リボース、5−デオキシ−5−(1,1−ジメチルブチル)チオ−D−リボース、5−デオキシ−5−(1,2−ジメチルブチル)チオ−D−リボース、5−デオキシ−5−(1,3−ジメチルブチル)チオ−D−リボース、5−デオキシ−5−(2,3−ジメチルブチル)チオ−D−リボース、5−デオキシ−5−(2−エチルブチル)チオ−D−リボースなどが挙げられる。
【0010】
本発明に係わる放射線障害防護剤(抗癌剤を除く)は、その剤型に応じて通常慣用の製剤手段を用いて調製される。投与形態としては、特に限定がなく、必要に応じ適宜選択して使用され、液剤、散剤、顆粒剤、錠剤、腸溶剤およびカプセル剤などの経口剤、注射剤、坐剤などの非経口剤が挙げられる。経口剤として所期の効果を発揮するためには、患者の年齢、体重、疾患の程度により異なるが、通常成人で本発明の有効成分量として1日10〜500mg/kgの範囲で服用する。
【0011】
本発明において、錠剤、カプセル剤、顆粒剤等の経口剤は常法に従って製造される。錠剤はチオリボース類化合物をゼラチン、デンプン、乳糖、ステアリン酸マグネシウム、滑石、アラビヤゴム等の製剤学的賦形剤と混合し賦形することにより製造され、カプセル剤は、本発明でいう有効成分であるチオリボース類化合物を製剤充填剤、もしくは希釈剤と混合し、硬質ゼラチンカプセル、軟質ゼラチンカプセル等に充填することにより製造される。シロップ剤、エリキシル剤は、本発明の化合物をショ糖等の甘味剤、メチルパラベンおよびプロピルパラベン類等の防腐剤、着色剤、調味剤、芳香剤、補助剤と混合して製造される。
非経口剤として所期の効果を発揮するためには、患者の年齢、体重、疾患の程度により異なるが、通常成人で1日1〜200mgの静注、皮下注、筋肉注射することができる。
非経口剤は常法に従って製造され、希釈剤として一般に注射用蒸留水、生理食塩水、デキストロース水溶液、注射用植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等を用いることができる。さらに必要に応じて、適宜、殺菌剤、等張化剤、安定剤、防腐剤、無痛化剤等を加えてもよい。また、この非経口剤は安定性の点から、アンプル等に充填後冷凍し、通常の凍結乾燥技術により水分を除去し、使用直前に凍結乾燥物から液剤を再調製することができる。
その他の非経口剤としては、外用液剤、軟膏等の塗布剤、直腸内投与のための坐剤等が挙げられ、常法に従って製造することができる。
【0012】
【発明の効果】
かくして、本発明によれば、放射線の障害を予防することができる放射線障害防護剤(抗癌剤を除く)を得ることができる。
【0013】
【実施例】
本発明の放射線障害防護剤(抗癌剤を除く)について以下実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限られるものではない。
【0014】
合成例1 5−デオキシ−5−メチルチオ−D−リボースの製造
特開昭58−146274記載の従い製造したS−アデノシルメチオニンのパラトルエンスルホン酸塩1700gを1lの蒸留水に溶解し、水酸化ナトリウムでpHを5.6とした後、80℃で1.5時間加熱して加水分解を行った。反応終了後、低下したpHを再び水酸化ナトリウムで5.6に戻して結晶化を行い、5−デオキシ−5−メチルチオアデノシンの粗結晶923gを得た。この粗結晶を、0.5N硫酸2lに懸濁し、100℃で30分間加熱し加水分解を行った。放冷後、水酸化バリウムを加え中和すると、硫酸バリウムとアデニンが結晶化し析出沈澱した。この沈澱物を濾別後、強酸性イオン交換樹脂ダウエックス50Wでカラム精製、さらに活性炭カラム精製を行い、非吸着画分を濃縮、凍結乾燥することにより、無色シロップ状の5−デオキシ−5−メチルチオ−D−リボース(以下、化合物1という)401gを得た。
【0015】
合成例2 5−デオキシ−5−エチルチオ−D−リボースの製造
ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液11.0g、エタノール150mlを混合した。エチルメルカプタン3.5gを加え、室温で5分間攪拌した。これにメチル−2,3−O−イソプロピリデン−5−O−(p−トルンスルホニル)−D−リボフラノシド20gを加え、80〜85℃で2時間攪拌した。冷却後、反応液中の不溶物(主にp−トルエンスルホン酸ナトリウム)を濾別した。濾液を酸性イオン交換樹脂(アンバーリスト15)で中和した。樹脂を取り除き、溶媒を減圧留去した。残分をクロロホルムに溶解し、水で2回洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下にクロロホルムを留去した。この反応混合物をベンゼンを溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、メチル−2,3−O−イソプロピリデン−5−エチルチオ−D−リボフラノシド11gを得た。
得られたメチル−2,3−O−イソプロピリデン−5−エチルチオ−D−リボフラノシド10g、ジオキサン50ml、0.1N硫酸130mlを混合し、100℃で2時間攪拌した。冷却後、反応液に炭酸バリウムを加え中和した。不溶物を濾別し、濾液を減圧下に濃縮して、粗生成物6.9gを得た。これをクロロホルム:メタノール=20:1(V/V)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、無色シロップ状の5−デオキシ−5−エチルチオ−D−リボース(以下、化合物2という)4.2gを得た。
【0016】
合成例3 5−デオキシ−5−イソブチルチオ−D−リボースの製造
エチルメルカプタンに代えイソブチルメルカプタンを用いる以外は合成例2と同様の方法によって無色の5−デオキシ−5−イソブチルチオ−D−リボース(以下、化合物3という)を得た。得られた無色粘性液体は常温下で固化した。融点は42〜46℃であった。
【0017】
試験例1 OHラジカルスカベンジャー試験
本発明における有効成分のヒドロキシラジカル(以下OHラジカルという)に対するスカベンジャー活性を、パルスラジオリシス法に従って検討した。
【0018】
大型ライナックパルスラジオリシスシステム(45MeV、1nsecパルス幅、分析光;Xeランプ(1kw))を用いて、化合物1とOHラジカルの反応速度定数を求めた。イソチオシアン化カリウム(以下KSCNという)と化合物1とで、下記の試験溶液を調製した。
▲1▼1mM KSCN
▲2▼1mM KSCN / 0.5mM 化合物1
▲3▼1mM KSCN / 1mM 化合物1
▲4▼1mM KSCN / 2mM 化合物1
▲5▼1mM KSCN / 4mM 化合物1
【0019】
上記の試験溶液をN2Oガスにて飽和(27mmol/L)後、上記装置にセットし、SCN-とOHラジカルとの反応で生成する(SCN)2-の475nmでの吸光度を測定し、化合物を添加した時の吸光度の減衰を調べた。結果は、1+(k2/k1)×[化合物1]/[SCN-]の計算式から求められるODO/OD値を[化合物1]/[SCN-]対してプロットし、図1に示した。
ここで、OD0は化合物の試験溶液▲1▼の吸光度、ODは試験溶液▲2▼〜▲5▼の吸光度、k1はSCN-イオンのOHラジカルとの反応速度定数(=2.8×1010M-1s-1)であり、k2が化合物1の反応速度定数である。
【0020】
【図1】
【0021】
直線の傾きより、OHラジカルに対する化合物1の反応速度定数を算出した。
求めた本発明化合物のOHラジカルとの反応速度定数は、k2=9.1×109M-1S-1と非常に強いOHラジカルスカベンジャー活性を持っていることが確認された。
【0022】
試験例2 in vitro放射線障害防護試験
(細胞の調製)
ヒト唾液腺腫瘍細胞(以下、HSG細胞という)1×105個を5ml培養ボトル(ファルコン社製)で10%牛胎児血清含むMEM(以下、単に培地ということがある)で1週間培養した。そのHSG細胞2.5×105個を5ml照射用ボトル(ヌンク社製)に播種し2日間前培養した。
(薬剤の調製)
試験化合物として上記合成例で得られた化合物1、2、および3と比較化合物として5−チオ−D−リボースを培地で溶解し、0.22μmフィルターで濾過滅菌後、1.188、2.375、4.75、9.5、19、38mg/mlの6段階の濃度の薬剤含有培地を調製した。
(試験方法)
前培養したHSG細胞の培地を上記調製の薬剤含有培地と交換し、37℃×30分間培養した。30分間処理後薬剤混在のまま、X線発生装置(島津製作所製;信愛250号)を用い、200kv×15Aで700radのX線を照射した。
照射後、無血清MEM培地で洗浄し、0.1%トリプシンで細胞を剥離させた。細胞数をコールターカウンターで計測し、10日間培養後に100前後のコロニーが生育しうる細胞数の細胞を6cmφのプラスティックデッシュに播種した。コロニーは1%メチレンブルー溶液で染色し、100倍の顕微鏡下でコロニー数を計測した。
計測されたコロニー数から、試験化合物の各薬剤濃度に対してのプレーティングエフィシャンシー(以下PEという)および生存率(以下SFという)を求めた。それぞれの計算式は、PE=無照射群のコロニー数/無照射群の播種細胞数、SF=((照射群のコロニー数)/(照射群の播種細胞数×PE))×100である。結果を図2に示す。
【0023】
【図2】
【0024】
試験例3 in vivo放射線骨髄障害延命試験(動物)マウスは、雌性C3H/Heマウスの2〜3ケ月齢を使用した。(1群10匹)
(薬剤の調製)化合物1及び比較剤として5−チオ−D−リボースをそれぞれ秤量後生理食塩水に溶解し、0.22μmフィルターで濾過滅菌した。濃度は、マウス体重30g当り、0.3mlで所定濃度の投与量になるように調製した。対照群には生理食塩水を投与した。
(試験方法)試験化合物水溶液を腹腔内に投与し、30分後に137Cs γ線照射装置(東京芝浦電機製)を用いて、1000radのγ線を全身照射した。照射後、マウスの生死を毎日観察した。その結果、対照群および比較剤投与群では、9日目に全てのマウスが死亡したが、化合物1を投与した群では、9日目では全てのマウスが生存し、15日目まで生存しているマウスが2匹であった。この結果から、本発明の放射線障害防護剤(抗癌剤を除く)には、放射線障害に対して優れた延命効果、即ち放射線防護作用があることが判った。
【0025】
試験例4 in vivo放射線腸管障害延命試験
(動物)
マウスは、雌性C3H/Heマウスの2〜3ケ月齢を使用した(1群10匹)。
(薬剤の調製)
試験化合物の調製および投与は試験例3と同じ。
(照射条件)
試験化合物水溶液を腹腔内投与30分後、東芝製137Cs γ線照射装置を用いて、1100、1200、1300、1400radのγ線を全身照射した。
(放射線障害防護活性評価)
照射後7日目の死亡率を図3に図示した。
【0026】
【図3】
【0027】
この結果から、本発明の放射線障害防護剤(抗癌剤を除く)は対照群に対して、放射線による骨髄障害を有意に低減することが判った。
【0028】
試験例5 空腸クリプト細胞生存試験
(動物)
C3H/He雌性マウスの5ケ月齢を使用した(1群4匹)。
(薬剤の調製)
試験化合物は化合物1を用い、調製および投与法は試験例2と同様。
(照射条件)
薬剤投与から30分後に、X線照射装置(島津製作所製;信愛7号)を用い、1100〜1700radのX線を全身照射した。
(評価方法)
照射後3.5日目に開腹し、空腸をカルノア固定後パラフィン包埋した。パラフィン溶解後ミクロトームで組織切片を作成し、顕微鏡200倍下でヘマトキシリンで染まる生存クリプト細胞数を計測した。結果は、図4に示す。
【0029】
【図4】
【0030】
この結果からも本発明の放射線障害防護剤(抗癌剤を除く)は、強い放射線防護効果が認められた。
【0031】
試験例6 培養細胞生存試験
(細胞の調製)
HSG細胞を5ml照射用ボトルに2.5×105個播種し2日間前培養した。
(薬剤の調製)
化合物1の30mg/ml水溶液を調製した。
(試験方法)
前培養したHSG細胞の培地を上記調製の薬剤含有培地と交換し、37℃×30分間培養した。無処理群は、新しい培地と入れ換えた。その後、X線発生装置(島津製作所製;信愛250号)を用い、200kv×15Aで100、300、500、700および900radのX線を照射した。照射後、トリプシンで細胞を剥離させ、所定数の細胞を6cmφのプラスティックデッシュに播種し、37℃×10日間培養しコロニーを形成させた。コロニーは1%メチレンブルー溶液で染色し、100倍の顕微鏡下でコロニー数を計測した。
(生存曲線の作成)
試験例1と同様にして、各放射線量におけるPEおよびSFを求め、放射線に対する生存曲線を作成した。結果は、図5に示した。
【0032】
【図5】
【0033】
また、(ln(生存率))/放射線量と放射線量との関係を図6に図示した。
【0034】
【図6】
【0035】
これらの結果から、無処理群と薬剤処理群とでは、直線の接点は変わらず、傾きを変えているいることから、この化合物の効果はDNAの一本鎖切断を防護していることわかる。
【0036】
試験例7 毒性試験
BDF1の6週齢雄性マウスに、化合物1の3000mg/kgを腹腔に1回、あるいは同化合物の200mg/kgを30日間(総量6g/kg)腹腔に連日投与した。
この結果、両投与群とも30日目まで異常な症状は認められず、何れにも死亡例は認められなかった。また、30日目に開腹し病理的に観察したが異常は認められなかった。このように本発明の薬剤は、きわめて毒性の少ない安全な薬剤であり、長期間投与することが可能である。
【0037】
【図面の簡単な説明】
【図1】ラジカルスカベンジャー活性を示した図面である。
【図2】in vitro放射線障害防護効果を示した図面である。
【図3】in vivo放射線腸管障害延命効果を示した図面である。
【図4】空腸クリプト細胞生存試験データを示した図面である。
【図5】培養細胞生存曲線を示した図面である。
【図6】(ln(生存率))/放射線量と放射線量との関係を示した図面である。
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