JP3714708B2 - 水田用除草剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は除草剤組成物に関し、さらに詳しくは、水稲の移植および播種前後に施用することにより水稲に安全で水田雑草を効果的に防除する水田用除草剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、水田用として多くの除草剤が実用化されており、それらは単剤もしくは2種以上の有効成分を含む混合剤として広く一般に使用されてきた。しかしながら、これらの剤は一年生雑草には比較的有効であるものの多年生雑草に対する効果は不足しており、そのため近年国内の水田でホタルイ、ウリカワ、ミズガヤツリ等の繁殖力の旺盛な多年生雑草が増加の傾向にあるのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このことから、雑草の発生が少なく繁殖力の貧困な、水稲の移植前後に施用することにより、水稲に安全で幅広い雑草を効果的に防除する水田用除草剤の開発が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の農業者の要望を満たした水田用除草剤を開発すべく諸種の検討を行った。その結果、殺草機構及び殺草スペクトラムの異なる2種の化合物を好ましくは特定の比率で組み合わせることにより、水田における広範囲の雑草を選択的に防除でき、しかもその除草効力はそれらを単独で用いる場合に比較して相乗的に増大し、そのため低薬量で施用でき、さらに殺草スペクトラムが拡大することを見出し、本発明の除草剤組成物を完成するに至った。
【0005】
本発明は、
(A)下記式I:
【0006】
【化3】
【0007】
で表される3−[2、4−ジクロロ−5−(2−プロピニルオキシ)フェニル]−5−(1、1−ジメチルエチル)−1、3、4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(化合物A)と、
(B)下記式II:
【0008】
【化4】
【0009】
で表される(RS)−2−(2,4−ジクロロ−m−トリルオキシ)プロピオンアニリド(一般名:クロメプロップ)(化合物B)とを有効成分として含有することを特徴とする水田用除草剤組成物を提供するものである。
【0010】
本発明組成物の有効成分として用いられる化合物Aは特開昭48−08936号公報に出願済みの極低薬量で除草活性を持つ化合物であり、化合物Bは又、特開昭57−171904号公報に出願ずみの低薬量で除草活性を持つ化合物である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明組成物において、A成分とB成分の配合割合は、厳密に制限されるものでなく、最終の除草剤組成物の適用場所、適用対象、適用時期等によって、広範囲にわたって変えることができるが、一般には、化合物Aの1重量部当たり化合物Bを0.01〜2000重量部、好適には0.5〜200重量部の割合で配合するのが適当である。
【0012】
本発明の組成物を除草剤として実際に用いる場合、上記有効成分をそれ自体既知の固体ないし液体の担体もしくは希釈剤、界面活性剤その他の製剤用補助剤と、それ自体既知の方法で混合して、通常農薬として用いられる製剤形態、例えば粒剤、乳剤、水和剤、フロアブル剤、顆粒水和剤等に調整することができる。
【0013】
除草剤の製造に際して用い得る固体担対としては、カオリナイト群、モンモリロナイト群、イライト群あるいはポリグロスカイト群などで代表されるクレー群、詳しくはパイロフィライト、アタパルジャイト、セピオライト、カオリナイト、ベントナイト、サポナイト、バーミキュライト、雲母等やタルク及び石こう、炭酸カルシウム、ドロマイト、けいそう土、方解石、マグネシウム石灰、りん灰石、ゼオライト、無水ケイ酸、合成ケイ酸カルシウム等の無機物質;大豆粉、タバコ粉、クルミ粉、小麦粉、木粉、でんぷん、結晶セルロース等の植物性有機物質;クマロン樹脂、石油樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアルキレングリコール、ケトン樹脂、エステルガム、コーバルガム、ダンマルガム等の合成または天然の高分子化合物;カルナバロウ、蜜ロウ等のワックス類あるいは尿素などが例示できる。
【0014】
適当な液体担体としては、例えば、ケロシン、鉱油、スピンドル油、ホワイトオイル等のパラフィン系もしくはナフテン系炭化水素;キシレン、エチルベンゼン、クメン、メチルナフタリン等の芳香族炭化水素;トリクロルエチレン、モノクロルベンゼン、o−クロルトルエン等の塩素化炭化水素;ジオキサン、テトラヒドロフランのようなエーテル類;メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソホロン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸アミル、エチレングリコールアセテート、ジエチレングリコールアセテート、マレイン酸ジブチル、コハク酸ジエチル等のエステル類;n−ヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル等のエーテルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒あるいは水等が挙げられる。
【0015】
そのほかに有効成分の乳化、分散、湿潤、拡展、結合、崩壊性調節、有効成分安定化、流動性改良、防錆等の目的で界面活性剤その他の補助剤を使用することもできる。使用される界面活性剤の例としては、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性および両性イオン性のいずれの化合物をも使用しうるが、通常は非イオン性および(または)陰イオン性の化合物が使用される。適当な非イオン性界面活性剤としては、例えばラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールにエチレンオキシドを重合付加させた化合物;イソオクチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノールにエチレンオキシドを重合付加させた化合物;ブチルナフトール、オクチルナフトール等のアルキルナフトールにエチレンオキシドを重合付加させた化合物;パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸にエチレンオキシドを重合付加させた化合物;ドデシルアミン、ステアリン酸アミド等のアミンにエチレンオキシドを重合付加させた化合物;ソルビタン等の多価アルコールの高級脂肪酸エステルおよびそれにエチレンオキシドを重合付加させた化合物;エチレンオキシドとプロピレンオキシドをブロック重合付加させた化合物等があげられる。適当な陰イオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、オレインアルコール硫酸エステルアミン塩等のアルキル硫酸エステル塩;スルホこはく酸ジオクチルエステルナトリウム、2−エチルヘキセンスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸塩;イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、メチレンビスナフタレンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアリールスルホン酸塩などあげられる。さらに本発明の組成物には製剤の性能を改善し、除草効果を高める目的で、カゼイン、ゼラチン、アルブミン、ニカワ、リグニンスルホン酸塩、アルギン酸塩、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルドール、ポリビニルピロリドン、ポリサッカライド等の高分子化合物や他の補助剤を併用することもできる。
【0016】
上記の担体および種々の補助剤は製剤の剤型、適用場面等を考慮して、目的に応じてそれぞれ単独あるいは組合わせて適宜使用できる。
【0017】
このようにして得られる各種製剤型における本発明の組成物中の有効成分含有率は製剤型により種々変化するものであるが、例えば0.01〜99重量%、好ましくは0.1〜80重量%であることができる。
【0018】
水和剤の場合は、例えば有効成分を通常1〜90重量%含有し、残部は固体担体、分散湿潤剤であって、必要に応じて保護コロイド剤、消泡剤等が加えられる。
【0019】
粒剤の場合は、例えば有効成分を通常0.01〜35重量%含有し、残部は固体担体及び界面活性剤等である。有効成分は固体担体と均一に混合されているが、あるいは固体担体の表面に均一に固着もしくは吸着されており、粒の径は約0.2ないし1.5mm程度である。
【0020】
フロアブル剤の場合は、例えば有効成分を通常0.5〜50重量%含有しており、これに3ないし10重量%の分散湿潤剤が含まれ、残部は水であり、必要に応じて保護コロイド剤、防腐剤、消泡剤等が加えられる。
【0021】
上記の如く調製される本発明の組成物の施用適量は、気象条件、土壌条件、薬剤の製剤形態、対象作物、対象雑草、施用時期、施用方法等の違いにより一概に規定できないが、通常、有効成分の合計量を基準にして1ヘクタール当り0.001〜10kg、好ましくは0.01〜2kgの範囲が適当である。さらに、本発明の組成物には、他の殺虫剤、殺菌剤、植物生長調節剤などを適宜配合することにより、省力防除剤とすることができる。
【0022】
また必要に応じて散布時に他の各種殺虫剤、殺菌剤、植物生長調節剤、除草剤及び肥料などの薬剤と混合使用も可能である。
【0023】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0024】
【実施例】
実施例1
(フロアブル剤)
化合物A 1.2重量%
化合物B 12重量%
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 2重量%
ジオクチルスルホこはく酸ナトリウム 2重量%
ザンサンガム 0.2重量%
水 82.6重量%
以上を湿式ボールミルにて湿式粉砕してフロアブル剤を得た。
【0025】
実施例2
(乳剤)
化合物A 1.2重量%
化合物B 12重量%
ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル 3重量%
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム 3重量%
キシレン 80.8重量%
以上を均一溶解し乳剤を得た。
【0026】
実施例3
(水和剤)
化合物A 1.2重量%
化合物B 12重量%
リグニンスルホン酸ナトリウム 3重量%
ジアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム 3重量%
カオリン 80.8重量%
以上を混合粉砕して水和剤を得た。
【0027】
実施例4
(粒剤)
化合物A 0.6重量%
化合物B 6重量%
リグニンスルホン酸ナトリウム 3重量%
ジアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム 1重量%
ベントナイト 30重量%
タルク 59.4重量%
以上を混合粉砕後、造粒機にて通常の方法によって造粒し、乾燥して粒剤を得た。
【0028】
次に、本発明組成物の効果を試験例をあげて具体的に示す。
【0029】
試験例1
(混合による土壌混和処理の薬量低減効果)
面積0.25m2 のコンクリートポットに水田土壌及び化成肥料を入れ、適量の水を加えて充分にかき混ぜて水田の状態にした。これに予め温室内で生育させた2葉期の水稲苗を2本1株としてポット当たり3株移植して、タイヌビエ、コナギ、アゼナ、ホタルイの種子を一定量づつ播種し、ミズガヤツリの塊茎を一定量づつ植え付けた。
【0030】
移植4日前に、供試化合物の所定量をフロアブル剤(実施例1に準拠して製剤した)を用いて処理した。
【0031】
薬剤処理21日後に殺草効果及び水稲薬害程度を調査した結果を表2に示す。
【0032】
なお、表中各草種に対する殺草効果及び水稲薬害程度は、下記の殺草効果及び水稲薬害程度の表1の通り、それぞれ「0」から「5」までの6段階の評点、及び「−」から「×」までの6段階の符号で表した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
試験例2
(混合による茎葉兼土壌処理の薬量低減効果)
試験例1と同様の方法にて試験ポットを用意し、移植3日後に供試化合物の所定量をフロアブル剤(実施例1に準拠して製剤した)を用いて処理した。
【0036】
薬剤処理30日後に殺草効果及び水稲薬害程度を調査した結果を表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】
なお、表中各草種に対する殺草効果及び水稲薬害程度は、下記の殺草効果及び水稲薬害程度の表1の通り、それぞれ「0」から「5」までの6段階の評点、及び「−」から「×」までの6段階の符号で表した。
【0039】
これらの結果から本発明組成物はそれぞれの有効成分をそれぞれ単独で用いた場合に比べて、極めて低い薬量で各種雑草を防除できることがわかった。
【0040】
以上の試験例1及び2の結果が示すように、本発明組成物は、これまでの除草剤には例をみない低薬量で諸雑草を有効に防除することができ、農業用資材として極めて有望である。
【0041】
【発明の効果】
本発明組成物は、上記の試験例から明らかなように、各化合物単独では到底できないような低薬量で、タイヌビエで代表されるノビエ類、アゼナ、コナギ、ホタルイ、ミズガヤツリ等の広汎な雑草に高い除草効果を示し、かつ水稲に対して全く薬害を与えない。
【0042】
また、使用時期は、水稲移植前から雑草生育初期(移植後約20日)までの広い範囲から任意に選定できるが、その中でも雑草の発生前から発生始期(移植前7日から移植後10日ごろまで)に処理すると最も高い除草効果を得ることができる。
【0043】
これらの優れた効果は明らかに本発明組成物に含有されるそれぞれの有効成分の間に強力な相乗効果が存在することを示すものであり、それぞれ単独の除草特性からは全く予想されない効果を示すものである。
【0044】
また、本発明組成物は、各有効成分単独の殺草力が高く、さらに強力な相乗効果が存在することにより、これまでの除草剤に比べて有効成分投下量が極めて少なくてすむ。それゆえ環境や農業者に対する安全性も高く、時代の要望に合致した除草剤であるといえる。
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ID=16873153
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1995
- 1995-09-05 JP JP22822695A patent/JP3714708B2/ja not_active Expired - Lifetime
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