JP3714645B2 - 気腹針 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、腹腔内の内視鏡下外科手術において腹壁に穿刺し、体腔内に気腹用ガスを送り込むための気腹針に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラパロスコピックコレシストミーを始めとする体腔内の内視鏡下外科手術では、手技の最初において気腹を行う。このため、腹壁に気腹針を穿刺し、その気腹針を通じて体腔内にCO2 ガス等の気体を送り込むようにしている。ところが、従来においては、気腹針を用いて体腔内に送気する場合、気腹針の送気口が正しく体腔内にあるかどうかが確認できなかった。
【0003】
この問題を解決するものとしては、特開昭56−109652号公報に示されるような気腹針装置がある。この装置は、送気口の周囲に気腹針の本体から絶縁されている電極を設け、この電極をリード線により誘導ハム検出器と接続し、さらに誘導ハム検出器をランプ,ブザ等を有する表示装置に接続したものである。
【0004】
そして、気腹針が人体に刺し込まれ、電極が腹壁または内臓に接触すると通常の商用電源により室内に存在するノイズによりリード線に生ずる誘導ハムが増大し、この誘導ハムが誘導ハム検出器の基準レベルより大きくなると誘導ハム検出器は出力信号を表示装置に供給し、この表示装置を作動させる。なお、電極が体腔内にあるときは誘導ハムのレベルが小さく、表示装置は作動しない。
【0005】
この構成により、表示装置の作動あるいは非作動により送気口が腹壁(または内臓)あるいは体腔内にあることが判別できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
(従来技術の欠点)
前述した従来の気腹針装置は、気腹針の送気口が正しく体腔内にあるかどうかを確認するために、誘導ハムの変化を検知する誘導ハム検出手段を必要とするが、この手段はリード線に接続される抵抗、この抵抗に整流素子を介して接続されるコンパレータ及びこのコンパレータの基準電源とにより構成されるため、装置が複雑かつ大型とならざるをえなかった。
【0007】
(発明の目的)
本発明は、前記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、簡単な構成で、安全に気腹を行うことができる気腹針を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するために、先端に鋭利な穿刺針部を有する外套管と、この外套管の外周面に設けられた凹部と、前記外套管内の長手方向に延在し、気腹用の気体供給源と接続される開口部と連通する中空部と、前記外套管に設けられ、前記凹部と前記中空部の双方と連通する送気孔と、前記凹部と嵌合し、前記送気孔を閉塞することにより前記中空部の気密性を保つ弁体部と、を有することを特徴とするものである。
前記のように構成したので、簡単な構成で、安全に気腹針を行うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
<第1の実施形態>
図1乃至図4を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る気腹針の全体図、図2は外套管先端の断面図、図3は気腹針に気腹ガスを送気させた状態を示す図、図4は保護部が腹壁に当接した状態を示す図、図5は気腹針が腹壁に刺入されている状態を示す図、図6は弁体部が腹壁中に位置した状態を示す図である。
【0010】
図1に示すように、気腹針1は、長尺な外套管2と基端側に基端部3を有するものである。外套管2は鋭利な穿刺針部4を先端に有し、また、基端部3は体腔内に気腹ガスを供給する図示しない気体供給源のチューブが接続される開口部5を有するものである。
【0011】
図2に示すように、穿刺針部4内には、円柱の先端を略半球状にしたような形状の保護部6と、一端が保護部6の基端側と当接し、他端が穿刺針部4の底部7と当接した弾性コイル8が挿通されている。保護部6は弾性コイル8により外套管2の先端方向に付勢されており、通常は、保護部6の先端部分は穿刺針部4の先端から突出した状態となっている。また、この保護部6は穿刺針部4内を摺動自在に移動できるようになっている。
【0012】
底部7の背面側には、外套管2の長手方向に延在する中空部9が設けられており、この中空部9は開口部5と連通している。外套管2の穿刺針部4後方の外周面には直方体状の凹部10が複数設けられている。この凹部10には、ゴムなどの弾性筒体よりなる弁体部11が嵌合するようになっている。
【0013】
弁体部11の先端側(穿刺針部4側)は、凹部10と固着剤により接着固定された固定端部12となっている。一方、後端側はどこにも接着されていない自由端部13となっている。また、各凹部10の後端側には、送気孔14がそれぞれ設けられている。この送気孔14は中空部9と連通しており、通常は弁体部11の自由端部13に閉塞されて、中空部9内を気密状態としている。
【0014】
以上述べたように構成されている第1実施形態の作用を説明する。
使用前において、気腹針1は図2に示すような状態にある。即ち、保護部6の先端部分は、弾性コイル8の付勢力により穿刺針部4よりも前方に突き出した位置にあり、鋭利な穿刺針部4を保護する役目を果たす。
【0015】
そして、送気口に接続された図示しない気体供給源から例えばCO2 ガスを中空部9に供給する。すると、図3に示すように、中空部9内のガス圧が高まることにより、通常は自由端部13により閉塞されている送気孔14からCO2 ガスが吹き出し、自由端部13が上方へ押し上げられる。
【0016】
この状態で、術者は外套管2の基端側を把持し、図4に示すように保護部6を腹壁15に押し付ける。さらに、外套管2を押し込むと、腹壁15に押し当てる力の反力により弾性コイル8が収縮するとともに保護部6が穿刺針部4内に退避し、図5に示すように鋭利な穿刺針部4が腹壁15に刺入される。
【0017】
図6に示すように、弁体部11が完全に腹壁15中に位置している場合、ガス圧により押し上げられていた自由端部13は、腹壁15の押圧により閉塞される。つまり、この状態において誤って腹壁15中にCO2 ガスを送気したりすることがない。
【0018】
さらに、外套管2を押し進めて、弁体部11が腹壁15を越えて体腔内16に位置すると、自由端部13は腹壁15の押圧から解放されて、穿刺針部4を腹壁15に刺入する前と同じようにCO2 ガスにより上方に押し上げられる。そして、体腔内16にCO2 ガスを充填させて気腹を行うことが可能となる。また、このとき、弾性コイル8は再び保護部6を付勢し、保護部6が穿刺針部4よりも前方に突出するので、穿刺針部4が体腔内組織を不用意に損傷させることがない。気腹針1の使用が不要となったら、気腹針1を引き抜くことにより気腹作業は終了する。
【0019】
以上説明したように本実施形態によれば、中空部9と連通した送気孔14が弁体部11の自由端部13により閉塞されているので、弁体部11が腹壁15中に位置しているときは気腹針1より気腹ガスが送気されず、弁体部11が体腔内16に位置しているときにのみ体腔内16への気腹が行われるので、簡単な構成で安全に気腹を行うことができる。
【0020】
次に、前記第1実施形態の気腹針1によって体腔内16の術野空間を確保した後、体腔内組織の各種処置を行う複数の把持鉗子21,22,23の構成を説明する。
【0021】
図7は複数の把持鉗子を用いて体腔内組織の各種処置を行っている状態を示す図、図8はトラカールを必要としない先端が鋭利な把持部を有する把持鉗子の断面図、図9は同把持鉗子が体腔内に位置した状態を示す図である。
【0022】
把持鉗子21は、外套管24と、リンク部26を介して把持部25と連結されるシャフト27とを有するものである。常時においては、リンク部26及びシャフト27は外套管24内に挿通されており、通常、把持部25のみが閉じた状態で外套管24より突出している。
【0023】
リンク部26は外套管24内に挿通されているときは、把持部25を閉じさせる状態、即ち、外套管24の長手方向に対して伸びた状態となっている。一方、このリンク部26が外套管25より突出したときには、リンク部26は把持部25を開かせる状態、即ち、外套管25の径方向に対して伸びた状態となる。また、把持部25は、閉状態のときにはトラカールを介することなく腹壁15に対して直接に穿刺が可能なように、その先端が鋭利に形成されている。
【0024】
外套管24の基端側にはハウジング28が設けられており、このハウジング28内には一端がハウジング28先端側の内壁面と当接し、他端が外套管24のエッジ部29と当接した弾性コイル30が設けられている。
【0025】
このように構成された把持鉗子21を刺入するには、まず術者はハウジング28よりも前方において外套管24を把持して、把持部25を腹壁15に対して押し当てる。さらに把持部25を腹壁15に押し込むと、先端が鋭利に形成された把持部25が腹壁15に刺入される。このとき、図9に示す状態にまで外套管24を押し込むと、弾性コイル30の反力により外套管24は図中右方向に移動し、リンク部26が外套管24より突出する。
【0026】
つまり、この構成によれば、把持部25の先端を鋭利に形成したので把持部25がトラカールの役目も果たすことになり、腹壁に穿刺したトラカールを介して把持鉗子を体腔内に挿入していた従来の手法と異なり、トラカールを用いずに把持鉗子21を腹壁15に穿刺することができる。また、把持部25は、把持鉗子21を腹壁15に刺入しているときは、腹壁15により閉方向に押圧されているので不用意に開くことがなく、把持鉗子21を安全に腹壁15に刺入することができる。
【0027】
図10はトラカールを必要としない先端が鈍な把持部を有する把持鉗子を示す一部断面図である。この把持鉗子22は、把持部33以外の構成は基本的には前述した把持鉗子21と同様のものである。
【0028】
図10に示すように、把持鉗子22は、鋭利な穿刺針部32を有する外套管31と、リンク部34を介してシャフト35と接続された把持部33を有するものである。把持部33は、先端が鈍的(鋭利でない)に形成されており、また、外套管31内を進退自在に移動することができる。また、外套管31の基端側にはハウジング36が設けられており、その内部に弾性コイル37を有している。
【0029】
この把持鉗子22を腹壁15に刺入するには、まず、外套管31を把持して、把持部33を腹壁15に押し当てる。この状態でさらに押し込むと、把持部33の先端は鈍的に形成されているので腹壁15に押し当てられたままの状態であり、一方、先端が鋭利な穿刺針部32を有する外套管31は弾性コイル37の反力により把持部33よりも突出して、腹壁15に刺入される。さらに外套管31を押し込むと、把持部33を内部に収納しつつ穿刺針部32が腹壁15に刺入される。
【0030】
この把持鉗子22によれば、外套管31の先端を鋭利な穿刺針部32により構成したので、前述した把持鉗子21と同様にトラカールを介すことなく、腹壁15に刺入することができる。また、把持部33の先端が鈍的に形成されているので、体腔内組織を不用意に損傷させることがない。
【0031】
図11は腸などの柔軟な組織を把持するための把持鉗子23を示す図、図12は図11のA矢視図である。
この把持鉗子23は、トラカールを介して体腔内16に挿入されるものであり、外套管38内に進退自在に挿通された把持部39がリンク部41と連結されている。また、把持部39は2本の弾性部材40が合わさることにより、略楕円の形状をなすものである。この場合、把持鉗子23は2本で1組の弾性部材40を3組有しているが、これに限らず何組設けても良い。
【0032】
ところで、腸などの柔軟な組織を損傷無く把持するためには、組織を1点で把持せずに広い範囲で把持することが望ましいが、この把持鉗子23は複数の弾性部材40で形成されており、また、弾性部材40は外套管38の径方向に広がるように癖付けがしてあるので、より広い範囲で組織を把持することが可能となる。なお、把持部39は弾性を有する弾性部材40により構成されるので、外套管38の内径と同じ径で外套管38内に収納される。
【0033】
なお、以上説明してきた態様により、以下の項で示す各種の構成が得られる。[付記項1]
先端に鋭利な穿刺針部を有する外套管と、
この外套管の外周面に設けられた凹部と、
前記外套管内の長手方向に延在し、気腹用の気体供給源と接続される開口部と連通する中空部と、
前記外套管に設けられ、前記凹部と前記中空部の双方と連通する送気孔と、
前記凹部と嵌合し、前記送気孔を閉塞することにより前記中空部の気密性を保つ弁体部と、
を有することを特徴とする気腹針。
【0034】
[付記項2]
前記弁体部は、その一端が前記凹部に固着された固定端部であり、他端が自由端部であることを特徴とする付記項1に記載の気腹針。
【0035】
[付記項3]
前記自由端部は、前記送気孔を閉塞することを特徴とする付記項2に記載の気腹針。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、簡単な構成により安全に気腹作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る気腹針の全体図。
【図2】同実施形態に係る外套管先端の断面図。
【図3】同実施形態に係る気腹針に気腹ガスを送気させた状態を示す図。
【図4】同実施形態に係る保護部が腹壁に当接した状態を示す図。
【図5】同実施形態に係る気腹針が腹壁に刺入されている状態を示す図。
【図6】同実施形態に係る弁体部が腹壁中に位置した状態を示す図。
【図7】複数の把持鉗子を用いて体腔内組織の各種処置を行っている状態を示す図。
【図8】トラカールを必要としない先端が鋭利な把持部を有する把持鉗子の断面図。
【図9】同把持鉗子が体腔内に位置した状態を示す図。
【図10】トラカールを必要としない先端が鈍な把持部を有する把持鉗子を示す一部断面図。
【図11】腸などの柔軟な組織を把持するための把持鉗子を示す図。
【図12】図11のA矢視図。
【符号の説明】
1 気腹針
2 外套管
4 穿刺針部
5 開口部
6 保護部
9 中空部
10 凹部
11 弁体部
12 固定端部
13 自由端部
14 送気孔
15 腹壁
16 体腔内
【発明の属する技術分野】
本発明は、腹腔内の内視鏡下外科手術において腹壁に穿刺し、体腔内に気腹用ガスを送り込むための気腹針に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラパロスコピックコレシストミーを始めとする体腔内の内視鏡下外科手術では、手技の最初において気腹を行う。このため、腹壁に気腹針を穿刺し、その気腹針を通じて体腔内にCO2 ガス等の気体を送り込むようにしている。ところが、従来においては、気腹針を用いて体腔内に送気する場合、気腹針の送気口が正しく体腔内にあるかどうかが確認できなかった。
【0003】
この問題を解決するものとしては、特開昭56−109652号公報に示されるような気腹針装置がある。この装置は、送気口の周囲に気腹針の本体から絶縁されている電極を設け、この電極をリード線により誘導ハム検出器と接続し、さらに誘導ハム検出器をランプ,ブザ等を有する表示装置に接続したものである。
【0004】
そして、気腹針が人体に刺し込まれ、電極が腹壁または内臓に接触すると通常の商用電源により室内に存在するノイズによりリード線に生ずる誘導ハムが増大し、この誘導ハムが誘導ハム検出器の基準レベルより大きくなると誘導ハム検出器は出力信号を表示装置に供給し、この表示装置を作動させる。なお、電極が体腔内にあるときは誘導ハムのレベルが小さく、表示装置は作動しない。
【0005】
この構成により、表示装置の作動あるいは非作動により送気口が腹壁(または内臓)あるいは体腔内にあることが判別できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
(従来技術の欠点)
前述した従来の気腹針装置は、気腹針の送気口が正しく体腔内にあるかどうかを確認するために、誘導ハムの変化を検知する誘導ハム検出手段を必要とするが、この手段はリード線に接続される抵抗、この抵抗に整流素子を介して接続されるコンパレータ及びこのコンパレータの基準電源とにより構成されるため、装置が複雑かつ大型とならざるをえなかった。
【0007】
(発明の目的)
本発明は、前記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、簡単な構成で、安全に気腹を行うことができる気腹針を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するために、先端に鋭利な穿刺針部を有する外套管と、この外套管の外周面に設けられた凹部と、前記外套管内の長手方向に延在し、気腹用の気体供給源と接続される開口部と連通する中空部と、前記外套管に設けられ、前記凹部と前記中空部の双方と連通する送気孔と、前記凹部と嵌合し、前記送気孔を閉塞することにより前記中空部の気密性を保つ弁体部と、を有することを特徴とするものである。
前記のように構成したので、簡単な構成で、安全に気腹針を行うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
<第1の実施形態>
図1乃至図4を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る気腹針の全体図、図2は外套管先端の断面図、図3は気腹針に気腹ガスを送気させた状態を示す図、図4は保護部が腹壁に当接した状態を示す図、図5は気腹針が腹壁に刺入されている状態を示す図、図6は弁体部が腹壁中に位置した状態を示す図である。
【0010】
図1に示すように、気腹針1は、長尺な外套管2と基端側に基端部3を有するものである。外套管2は鋭利な穿刺針部4を先端に有し、また、基端部3は体腔内に気腹ガスを供給する図示しない気体供給源のチューブが接続される開口部5を有するものである。
【0011】
図2に示すように、穿刺針部4内には、円柱の先端を略半球状にしたような形状の保護部6と、一端が保護部6の基端側と当接し、他端が穿刺針部4の底部7と当接した弾性コイル8が挿通されている。保護部6は弾性コイル8により外套管2の先端方向に付勢されており、通常は、保護部6の先端部分は穿刺針部4の先端から突出した状態となっている。また、この保護部6は穿刺針部4内を摺動自在に移動できるようになっている。
【0012】
底部7の背面側には、外套管2の長手方向に延在する中空部9が設けられており、この中空部9は開口部5と連通している。外套管2の穿刺針部4後方の外周面には直方体状の凹部10が複数設けられている。この凹部10には、ゴムなどの弾性筒体よりなる弁体部11が嵌合するようになっている。
【0013】
弁体部11の先端側(穿刺針部4側)は、凹部10と固着剤により接着固定された固定端部12となっている。一方、後端側はどこにも接着されていない自由端部13となっている。また、各凹部10の後端側には、送気孔14がそれぞれ設けられている。この送気孔14は中空部9と連通しており、通常は弁体部11の自由端部13に閉塞されて、中空部9内を気密状態としている。
【0014】
以上述べたように構成されている第1実施形態の作用を説明する。
使用前において、気腹針1は図2に示すような状態にある。即ち、保護部6の先端部分は、弾性コイル8の付勢力により穿刺針部4よりも前方に突き出した位置にあり、鋭利な穿刺針部4を保護する役目を果たす。
【0015】
そして、送気口に接続された図示しない気体供給源から例えばCO2 ガスを中空部9に供給する。すると、図3に示すように、中空部9内のガス圧が高まることにより、通常は自由端部13により閉塞されている送気孔14からCO2 ガスが吹き出し、自由端部13が上方へ押し上げられる。
【0016】
この状態で、術者は外套管2の基端側を把持し、図4に示すように保護部6を腹壁15に押し付ける。さらに、外套管2を押し込むと、腹壁15に押し当てる力の反力により弾性コイル8が収縮するとともに保護部6が穿刺針部4内に退避し、図5に示すように鋭利な穿刺針部4が腹壁15に刺入される。
【0017】
図6に示すように、弁体部11が完全に腹壁15中に位置している場合、ガス圧により押し上げられていた自由端部13は、腹壁15の押圧により閉塞される。つまり、この状態において誤って腹壁15中にCO2 ガスを送気したりすることがない。
【0018】
さらに、外套管2を押し進めて、弁体部11が腹壁15を越えて体腔内16に位置すると、自由端部13は腹壁15の押圧から解放されて、穿刺針部4を腹壁15に刺入する前と同じようにCO2 ガスにより上方に押し上げられる。そして、体腔内16にCO2 ガスを充填させて気腹を行うことが可能となる。また、このとき、弾性コイル8は再び保護部6を付勢し、保護部6が穿刺針部4よりも前方に突出するので、穿刺針部4が体腔内組織を不用意に損傷させることがない。気腹針1の使用が不要となったら、気腹針1を引き抜くことにより気腹作業は終了する。
【0019】
以上説明したように本実施形態によれば、中空部9と連通した送気孔14が弁体部11の自由端部13により閉塞されているので、弁体部11が腹壁15中に位置しているときは気腹針1より気腹ガスが送気されず、弁体部11が体腔内16に位置しているときにのみ体腔内16への気腹が行われるので、簡単な構成で安全に気腹を行うことができる。
【0020】
次に、前記第1実施形態の気腹針1によって体腔内16の術野空間を確保した後、体腔内組織の各種処置を行う複数の把持鉗子21,22,23の構成を説明する。
【0021】
図7は複数の把持鉗子を用いて体腔内組織の各種処置を行っている状態を示す図、図8はトラカールを必要としない先端が鋭利な把持部を有する把持鉗子の断面図、図9は同把持鉗子が体腔内に位置した状態を示す図である。
【0022】
把持鉗子21は、外套管24と、リンク部26を介して把持部25と連結されるシャフト27とを有するものである。常時においては、リンク部26及びシャフト27は外套管24内に挿通されており、通常、把持部25のみが閉じた状態で外套管24より突出している。
【0023】
リンク部26は外套管24内に挿通されているときは、把持部25を閉じさせる状態、即ち、外套管24の長手方向に対して伸びた状態となっている。一方、このリンク部26が外套管25より突出したときには、リンク部26は把持部25を開かせる状態、即ち、外套管25の径方向に対して伸びた状態となる。また、把持部25は、閉状態のときにはトラカールを介することなく腹壁15に対して直接に穿刺が可能なように、その先端が鋭利に形成されている。
【0024】
外套管24の基端側にはハウジング28が設けられており、このハウジング28内には一端がハウジング28先端側の内壁面と当接し、他端が外套管24のエッジ部29と当接した弾性コイル30が設けられている。
【0025】
このように構成された把持鉗子21を刺入するには、まず術者はハウジング28よりも前方において外套管24を把持して、把持部25を腹壁15に対して押し当てる。さらに把持部25を腹壁15に押し込むと、先端が鋭利に形成された把持部25が腹壁15に刺入される。このとき、図9に示す状態にまで外套管24を押し込むと、弾性コイル30の反力により外套管24は図中右方向に移動し、リンク部26が外套管24より突出する。
【0026】
つまり、この構成によれば、把持部25の先端を鋭利に形成したので把持部25がトラカールの役目も果たすことになり、腹壁に穿刺したトラカールを介して把持鉗子を体腔内に挿入していた従来の手法と異なり、トラカールを用いずに把持鉗子21を腹壁15に穿刺することができる。また、把持部25は、把持鉗子21を腹壁15に刺入しているときは、腹壁15により閉方向に押圧されているので不用意に開くことがなく、把持鉗子21を安全に腹壁15に刺入することができる。
【0027】
図10はトラカールを必要としない先端が鈍な把持部を有する把持鉗子を示す一部断面図である。この把持鉗子22は、把持部33以外の構成は基本的には前述した把持鉗子21と同様のものである。
【0028】
図10に示すように、把持鉗子22は、鋭利な穿刺針部32を有する外套管31と、リンク部34を介してシャフト35と接続された把持部33を有するものである。把持部33は、先端が鈍的(鋭利でない)に形成されており、また、外套管31内を進退自在に移動することができる。また、外套管31の基端側にはハウジング36が設けられており、その内部に弾性コイル37を有している。
【0029】
この把持鉗子22を腹壁15に刺入するには、まず、外套管31を把持して、把持部33を腹壁15に押し当てる。この状態でさらに押し込むと、把持部33の先端は鈍的に形成されているので腹壁15に押し当てられたままの状態であり、一方、先端が鋭利な穿刺針部32を有する外套管31は弾性コイル37の反力により把持部33よりも突出して、腹壁15に刺入される。さらに外套管31を押し込むと、把持部33を内部に収納しつつ穿刺針部32が腹壁15に刺入される。
【0030】
この把持鉗子22によれば、外套管31の先端を鋭利な穿刺針部32により構成したので、前述した把持鉗子21と同様にトラカールを介すことなく、腹壁15に刺入することができる。また、把持部33の先端が鈍的に形成されているので、体腔内組織を不用意に損傷させることがない。
【0031】
図11は腸などの柔軟な組織を把持するための把持鉗子23を示す図、図12は図11のA矢視図である。
この把持鉗子23は、トラカールを介して体腔内16に挿入されるものであり、外套管38内に進退自在に挿通された把持部39がリンク部41と連結されている。また、把持部39は2本の弾性部材40が合わさることにより、略楕円の形状をなすものである。この場合、把持鉗子23は2本で1組の弾性部材40を3組有しているが、これに限らず何組設けても良い。
【0032】
ところで、腸などの柔軟な組織を損傷無く把持するためには、組織を1点で把持せずに広い範囲で把持することが望ましいが、この把持鉗子23は複数の弾性部材40で形成されており、また、弾性部材40は外套管38の径方向に広がるように癖付けがしてあるので、より広い範囲で組織を把持することが可能となる。なお、把持部39は弾性を有する弾性部材40により構成されるので、外套管38の内径と同じ径で外套管38内に収納される。
【0033】
なお、以上説明してきた態様により、以下の項で示す各種の構成が得られる。[付記項1]
先端に鋭利な穿刺針部を有する外套管と、
この外套管の外周面に設けられた凹部と、
前記外套管内の長手方向に延在し、気腹用の気体供給源と接続される開口部と連通する中空部と、
前記外套管に設けられ、前記凹部と前記中空部の双方と連通する送気孔と、
前記凹部と嵌合し、前記送気孔を閉塞することにより前記中空部の気密性を保つ弁体部と、
を有することを特徴とする気腹針。
【0034】
[付記項2]
前記弁体部は、その一端が前記凹部に固着された固定端部であり、他端が自由端部であることを特徴とする付記項1に記載の気腹針。
【0035】
[付記項3]
前記自由端部は、前記送気孔を閉塞することを特徴とする付記項2に記載の気腹針。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、簡単な構成により安全に気腹作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る気腹針の全体図。
【図2】同実施形態に係る外套管先端の断面図。
【図3】同実施形態に係る気腹針に気腹ガスを送気させた状態を示す図。
【図4】同実施形態に係る保護部が腹壁に当接した状態を示す図。
【図5】同実施形態に係る気腹針が腹壁に刺入されている状態を示す図。
【図6】同実施形態に係る弁体部が腹壁中に位置した状態を示す図。
【図7】複数の把持鉗子を用いて体腔内組織の各種処置を行っている状態を示す図。
【図8】トラカールを必要としない先端が鋭利な把持部を有する把持鉗子の断面図。
【図9】同把持鉗子が体腔内に位置した状態を示す図。
【図10】トラカールを必要としない先端が鈍な把持部を有する把持鉗子を示す一部断面図。
【図11】腸などの柔軟な組織を把持するための把持鉗子を示す図。
【図12】図11のA矢視図。
【符号の説明】
1 気腹針
2 外套管
4 穿刺針部
5 開口部
6 保護部
9 中空部
10 凹部
11 弁体部
12 固定端部
13 自由端部
14 送気孔
15 腹壁
16 体腔内
Claims (1)
- 先端に鋭利な穿刺針部を有する外套管と、
この外套管の外周面に設けられた凹部と、
前記外套管内の長手方向に延在し、気腹用の気体供給源と接続される開口部と連通する中空部と、
前記外套管に設けられ、前記凹部と前記中空部の双方と連通する送気孔と、
前記凹部と嵌合し、前記送気孔を閉塞することにより前記中空部の気密性を保つ弁体部と、
を有することを特徴とする気腹針。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP31372296A JP3714645B2 (ja) | 1996-11-25 | 1996-11-25 | 気腹針 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31372296A JP3714645B2 (ja) | 1996-11-25 | 1996-11-25 | 気腹針 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10151138A JPH10151138A (ja) | 1998-06-09 |
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Family
ID=18044735
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31372296A Expired - Fee Related JP3714645B2 (ja) | 1996-11-25 | 1996-11-25 | 気腹針 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3714645B2 (ja) |
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-
1996
- 1996-11-25 JP JP31372296A patent/JP3714645B2/ja not_active Expired - Fee Related
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