JP3714404B2 - 平板型光源 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は平面状に発光する放電装置等の平板型光源、例えば液晶パネル等のバックライトが必要な表示素子を使用するビデオカメラ、デジタルカメラ、テレビ、ゲーム機やカーナビゲーションシステム等の情報映像機器やワープロ等のOA機器、若しくは光源を内蔵した表示システム等における平板型光源、平板型光源を用いた照明用光源と照明装置および液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネルは薄型軽量でありかつ低消費電力であるため、ビデオカメラ等の携帯用機器やパソコン、テレビ等各種の情報映像ディスプレイとして広く利用されている。しかし、液晶自体は発光素子でなく、表示のためには液晶パネルの背面から光を供給するバックライトが必要である。通常用いられているバックライトは、水銀と希ガスを封入した冷陰極蛍光ランプとアクリル樹脂の導光体を組み合わせたものが主であるが、携帯用の液晶表示装置のバックライトとして小電力の平板型放電ランプも使用されている。
【0003】
例えば特開2000ー149869号公報に記載されている従来の平板型光源は、断面が扁平状の放電空間を有し内面に蛍光体が塗布されった密閉容器で構成され、前記密閉容器内に表面が誘電体に覆われている一対の放電電極が設けられており、放電空間にはキセノンとアルゴンの混合ガスが封入されている。
本構造による平板型光源は、電極間に高周波電圧を印加することにより放電空間内に希ガス放電が発生し、これにより蛍光体が励起されて発光し外部に放射される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の平板型光源は、封入ガスとしてキセノンとアルゴンの混合ガスを用い、放電空間全体に渡って均一に放電するようキセノンの混合比を規定している。しかし、この混合ガスを用いた平板型光源は扁平容器に人手が触れたり、外部から導体或いは容量性の物質を近づけたり触れさせたりすると、条件によっては放電が収縮したり明るさが不均一になる等の問題があった。また、キセノンの混合比を減らせば放電の安定性は良くなるが、輝度、効率が大幅に低下する問題があった。
【0005】
本発明の目的は上述した課題を解決するためになされたもので、外部の電界や容量に影響されない安定な発光特性を有し、高輝度、高効率で均一な発光面を有する平板型光源を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明による平板型光源は、透光性を有する前面板と背面板とを略平行に位置させて扁平状の放電空間を有する密閉容器を構成し、前記放電空間に少なくとも一対の放電電極を設けた平板型光源において、前記密閉容器の内部に封入されたガスはキセノンとアルゴンとネオンの混合ガスであり、前記キセノンとアルゴンとネオンの混合ガスにおけるキセノンの混合比を5%以上15%以下、アルゴンの混合比を35%以上
65%以下、ネオンの混合比を20%以上50%以下にする。また、上記混合ガスの封入圧力をP(Pa)としたとき、
2660≦P≦27000の圧力範囲になるよう密閉容器内に封入する。また、上記放電電極の表面を覆って誘電体層を設ける。また、上記放電電極を上記放電空間の辺の長さ方向ほぼ全長に渡って設ける。また、上記放電電極を複数個に分割する。また、上記放電空間の高さを1.3mmから3mmとする。また、上記密閉容器の内面に蛍光体を塗布する。
【0007】
この場合、上記一対の放電電極の間に矩形波かパルス電圧を印加して放電を行わせる。
【0008】
本発明の平板型光源は、液晶表示装置のバックライトとして有効であるが、照明用の光源としても使用できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施例を図面と共に説明する。図1は本発明による平板型光源の一実施例を示す断面斜視図である。図に示すように、ソーダガラス等からなる透光性の前面板2と、ソーダガラスやセラミック等からなる浅皿形の背面板3とが、例えば低融点ガラス(図示せず)で略平行に位置するよう一体に気密封着され、扁平状の放電空間8を有する密閉容器1が構成されている。発光面となる前面板2の内面には互いに略平行な一対の放電電極4、5が放電空間8の互いに離間した第一および第二の辺に沿って長さ方向全体に渡って設けられており、さらに放電電極4、5の表面には誘電体層6が形成されている。前面板2と背面板3の内面には蛍光体7が塗布され、放電空間8にはキセノンとアルゴンとネオンの3種混合ガスが封入されている。発光面の大きさは、例えば2.5インチ液晶用のバックライトに用いる場合52mm×40mmで、この時、電極間距離は約54mm、放電空間8の高さは
1.8mmである。また、5インチ液晶用のバックライトに用いる場合105mm×80mmで、この時、電極間距離は約83mm、放電
空間8の高さは2.4mmである。
【0010】
本構造による平板型光源は、両放電電極4、5間に矩形波の高周波電圧やパルス電圧を印加することにより放電空間8内に希ガス放電が発生し、キセノンから放射される紫外線により蛍光体7が励起されて発光し、前面板を通して外部に放射される。
【0011】
図2は駆動電圧波形を示した図で、例えば前記電極4に―Vhの電圧パルスを有する電圧11を印加し、他の一方の電極5には11と同じ電圧パルスで、半周期位相のずれた電圧パルス―Vhを有する電圧12を印加すれば高周波のパルス放電を行わせることができる。また、パルス幅W1と休止期間W2を同じ時間幅にすれば電圧11と電圧12を合わせた電圧波形は矩形波になり矩形波の駆動となる。周波数は10kHzから100kHz位まで使用できる。
矩形波駆動の場合は、矩形波電圧を両電極に印加しても良いし、片方の電極に印加して放電させても良い。
本発明による平板型光源の発光輝度はキセノンの混合比を増やすことで増加する。しかし、キセノンの混合比が15%以上になると密閉容器1に指や導体が触れると放電不均一になったり収縮したりして全面発光しない。また、キセノンの混合比が5%以下になるとキセノンの量が少なすぎて暗くなりバックライトとして必要な輝度が得られなくなる。従って、上記構造の平板型光源に封入するキセノンーアルゴンーネオン混合ガスのキセノン混合比は5%以上、15%以下が最適な範囲である。
【0012】
図3は混合ガスの封入圧力と相対効率の関係を示した図で、aはキセノン7%+アルゴン93%、bはキセノン7%+アルゴン68%+ネオン25%、cはキセノン7%+アルゴン43%+ネオン50%の混合ガスの特性である。駆動条件は、放電電極4、5に周波数16kHzの略矩形のパルス電圧を印加して点灯させ、電力一定での特性である。
図中aとbを比べると、同じキセノン7%でもネオンを混合すると効率が高くなる。bは25%ネオンを混合した場合で、aに比べると効率は約10%高くなる。また、cはキセノン7%でネオンを50%に増やした場合の特性で、ネオンの混合比を増やすと効率は更に高くなり、封入圧力も高くできる。しかし、ネオンは、ある混合比の範囲以外では放電が収縮を起こし平面状に発光しなくなる。平板型光源の封入ガスとして従来のキセノン+アルゴン混合ガスにネオンを加えることで発光効率を高くでき、封入圧力も増やせることが解った。また、ネオンの混合比には最適な範囲があることも解った。
【0013】
【表1】
表1は前記混合ガス(キセノン、アルゴン、ネオン)の混合比と放電の安定性を調べた結果の一例を示したものである。表中の安定性は密閉容器1に手や導体を触れさせた場合における放電の収縮や不均一発光発生の有無を表したもので、○印は上記したような使用条件、環境が変化しても安定で均一性の良い発光が得られた場合である。
たとえば、キセノン10%+アルゴン50%+ネオン40%の混合比は安定性良く高輝度、高効率の平面発光が得られたが、ネオンの混合比を増やして、キセノン10%+アルゴン26%+ネオン64%の混合ガスは、密閉容器に手で触れると放電が収縮して平面発光にならなかった。また、キセノン15%の場合、ネオンが50%まで安定性は問題なかったが、50%より増やすと放電の収縮が直らなかった。
これら一連の実験結果から安定で均一性の良い平板型光源を得るため前記キセノンとアルゴンとネオンの混合ガスにおける混合比は、キセノンの混合比を5%以上15%以下、アルゴンの混合比を35%以上65%以下、ネオンの混合比を20%以上50%以下にすればよい。前記した混合ガスは、上記した混合比の範囲内で平板型光源に封入すれば点灯中、平板型光源に手で触れたり導体を近づけたりしても放電の収縮や不均一は発生しない。
前記混合ガスの封入圧力については、電力一定の条件で図3に示したようにある封入圧力で効率は最大になる。この最適封入圧力は入力電力により増減する。入力を増やすと最適圧力は高くなり、減らすと低くなる。入力電力は例えば携帯機器のバックライト用に用いた場合から照明用光源に用いた場合、あるいは発光面積の大小で大きく変化する。均一で安定な発光が得られる電力範囲は0.5Wから50W程度であり、この時の封入圧力範囲は、上記混合ガスの封入圧力をP(Pa)としたとき、
2660≦P≦27000であった。
封入圧力をこの範囲より高くすると放電が収縮したり不均一な発光になり易い。また、点灯させるための始動電圧が2500V以上必要になり、通常のインバータなどでは点灯不可能になる。また、
封入圧力がこの範囲より低いと暗く、実用上問題になることや、明るくするために電流を増やすと放電が収縮するため平面発光として使用できなくなる。
【0014】
放電空間の高さは1.3mm以上あれば放電空間全面均一に発光する。但し、1.3mmより狭くなると条件によっては放電が集中して均一に発光しない場合がある。また、高さが3mmより高くなると放電が蛍光体から離れすぎるため輝度が低下することや、密閉容器1が厚くなり、平板型光源の特徴がなくなってくる。これらから、放電空間8の高さは1.3mmから3mmが望ましい。
【0015】
放電電極の長さは上記実施例では放電空間8の辺の全長とほぼ同じ長さとしたが、これに限らず多少短くても良いし、放電空間の辺より長く封着部分にまで形成されていても良い。また、発光面が大きくなると放電電極が長くなるが、放電電極があまり長くなると放電電流が多くなり駆動回路の電流容量が大きくなる。駆動回路の電流容量が大きくなると放熱やコスト高になるなどの問題がでてくるので、この場合は放電電極を適当な数に分割して形成すると電極1ヶあたりの電流は少なくなるので回路を小さくできる。
【0016】
以上、詳述したように本発明による平板型光源は、高輝度、高発光効率でかつ使用周囲条件が変化しても安定で均一性の良い平面発光が維持される特徴を有する。また、本発明による平板型光源を、例えば液晶表示装置のバックライト用光源に用いれば、高輝度で長寿命のバックライトが得られる。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、封入ガスにキセノンとアルゴンとネオンの3種混合ガスを用い、各々の希ガスの混合比と封入圧力を規定の範囲にすることで、高輝度、高発光効率で、さらに使用環境や条件が変化しても安定な放電で均一性の良い平板型光源が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による平板型光源の断面斜視図である。
【図2】駆動電圧波形を示す図である。
【図3】封入圧力と発光効率の関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1…密閉容器、2…前面板、3…背面板、4、5…放電電極、6…誘電体、7…蛍光体、8…放電空間、11、12…電圧波形。
Claims (9)
- 透光性を有する前面板と背面板とを略平行に位置させて扁平状の放電空間を有する密閉容器を構成し、前記放電空間に少なくとも一対の放電電極を設けた平板型光源において、前記密閉容器の内部に封入されたガスはキセノンとアルゴンとネオンの混合ガスであり、前記混合ガスのキセノンの混合比を5%以上15%以下、アルゴンの混合比を35%以上65%以下、ネオンの混合比を20%以上50%以下とし、水銀を含まないこと、および上記放電電極の表面を覆って誘電体層を設けたことを特徴とする平板型光源。
- 上記混合ガスの封入圧力をP(Pa)としたとき、2660≦P≦27000の圧力範囲になるよう密閉容器に封入したことを特徴とする請求項1に記載の平板型光源。
- 上記放電電極を上記放電空間の辺の長さ方向ほぼ全長に渡って設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の平板型光源。
- 上記放電電極を複数個に分割したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の平板型光源。
- 上記密閉容器の内面に蛍光体を塗布したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の平板型光源。
- 上記放電空間の高さを1.3mmから3mmとしたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の平板型光源。
- 上記放電電極に矩形波かパルス電圧を印加して放電を行わせることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の平板型光源。
- 請求項1から請求項7のいずれかに記載の平板型光源を用いて照明するよう構成したことを特徴とする照明装置。
- 請求項1から請求項7のいずれかに記載の平板型光源をバックライトとして用いたことを特徴とする液晶表示装置。
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