JP3713897B2 - プリンタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、レシート発行機等の電子機器に用いられるカッタ機構付きのプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、レシート発行機等に用いられるプリンタにおいては、低価格品では、レシートを手切りする機種もあるが、中高級機種には自動的にレシートをカットするオートカッタ機構が内蔵されたものが数多くある。これらのオートカッタには、レシートを完全に切り離すタイプ(本明細書では以下の文中でフルカットと呼ぶ)と、一部に切り残しを設けるタイプ(本明細書では以下の文中でパーシャルカットと呼ぶ)がある。
【0003】
そこで、同一カッタでフルカットとパーシャルカットを切り換え可能な機種が多数提案されている。例えば、特開平6−47696号公報に記載のように、クランク機構等を用いて、モータの回転方向を変えることにより、カッタ刃の工程(移動ストローク)を変化させ、切り欠き溝のところでカッタ刃が反転するように、短いストロークの移動をさせる場合、パーシャルカットとなり、切り欠き溝を完全に過ぎる長いストロークの移動をさせる場合はフルカットとなる構造のものがある。
【0004】
その他に、スライド移動するカッタ刃に接点検出器を用いて、カッタ刃の位置を検出し、それにより、カッタ刃の移動方向を反転させるタイミングを変えて、移動ストロークを変えるという方式も一般的である。これらの従来技術は、機械式、電気式の違いはあっても、カッタ刃のストロークを変えるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来技術においては、カッタの機構には、クランク機構や位置検出器が必要になり、構造が複雑になる。更に、制御においても、モータの回転方向を変えたり、検出信号を常時確認するといったことが必要になり、回路やソフト上のコストアップとなっていた。特に、モータの回転方向を変える機種では、モータにDCブラシモータを使用すると、ブラシ部の摩耗により、耐久性を劣化させるという問題もあった。
【0006】
そこで、本発明は従来のこのような問題を解決する為のものであり、その目的とするところは、オートカッタに複雑な機構を追加することなく、また、制御を変えることなく、フルカット仕様とパーシャルカット仕様に変更できるプリンタを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のプリンタは、
一端を支点として一定角度回転する可動刃を有し、印字ユニット筐体に取り付けられて所定幅の記録紙を切るオートカッタユニットと、
記印字ユニット筐体に取り付けられた係止部材と、
前記オートカッタユニットの、前記記録紙の幅方向と平行に設けられ、前記係止部材と係合するための第1、第2の係合部と、を備え、
前記第1の係合部の位置は、前記可動刃が前記一定角度回転するときの記録紙の切断範囲が前記記録紙幅より大の位置に設けられ、
前記第2の係合部の位置は、前記可動刃が前記一定角度回転するときの記録紙の切断範囲が前記記録紙幅より小の位置に設けられ、
前記第1の係合部と前記係止部材とを係合させる位置と、前記第2の係合部と前記係止部材とを係合させる位置とを切り換えて、前記オートカッタユニットをスライド可能に前記印字ユニット筐体に取り付け固定する固定手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るプリンタの好ましい実施の一形態を図1から図5を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態のプリンタの全体構成を示す斜視図であり、印字ユニット筐体1の上部にオートカッタユニット4が配設されている。印字ユニット筐体1にはガイド軸2がオートカッタユニット4を貫いて設けられている。オートカッタユニット4の上面には紙出口9がスリット形状で設けられている。記録紙10は印字ユニット筐体1の内部に固定された紙経路(図示していない)を通り、印字部(図示していない)にて印字され、紙送りされるが、その詳細については、本発明とは直接関係がない為、説明は省略する。印字後の記録紙10はオートカッタユニット4の内部を通過し、紙出口9から上方に排出される。
【0013】
オートカッタユニット4はガイド軸2を案内にして、ガイド軸2方向に移動可能に保持されている。尚、ガイド軸2は排出される記録紙10の幅方向と平行に掛け渡されている。印字ユニット筐体1にはオートカッタユニット4の位置を固定するための係止手段であるところの係止フック3が取り付けられている。一方、オートカッタユニット4には係止フック3と係合する係合穴4a、4bが設けられている。図1では、係止フック3は係合穴4aを弾性的に付勢し、オートカッタユニット4を所定の位置に位置決めしている。
図2は図1の状態のプリンタを上面から、オートカッタユニット4の内部構造を見た図である。オートカッタユニット4は、ハサミ式のカッタ構造をとっており、ユニット内部には可動刃5と、固定刃6が可動刃回転支点7のまわりで重ねられており、駆動ホイール8に設けられたクランクピン8aは可動刃5に設けられた長孔5aと係合する。図示しない動力源により、駆動ホイール8が1回転すると、可動刃5は矢印A方向に移動し、固定刃6と交叉し、再び元の位置に戻ってくる。記録紙10の通る幅方向の範囲は図中のWで示している。可動刃5が移動していくと、記録紙10は可動刃5と固定刃6の間に挟まれ、紙の幅方向の右側から順にカットされていく。尚、可動刃5の先端の軌跡は図中のSで示している。このように、紙幅Wの全範囲において、可動刃5は固定刃6と交叉するため、このカッタ動作によって、記録紙10は完全に切り離される。このカット状態を一般にフルカットと呼ぶ。
スーパーマーケット等のレジスターに用いられるプリンタでは、キャッシャーが切り離された記録紙、即ち、レシートを都度、必ず確実に、お客に手渡す場合、前述したフルカット状態が望ましい。しかしながら、実際の使われ方では、レシートを手渡さない場合も多い。そういう場合、前述したフルカット状態となるプリンタでは、プリンタの紙出口部にて、レシートが貯まってしまい。ついには、貯まったレシートの一部がプリンタ内部に入り込んで、紙ジャムといったトラブルとなる場合がある。
【0014】
そこで、レシートを完全に切り離すのではなく、一部分を切らない状態(切り残し)にして、レシートを取らなくても、強制的に、次々と排出する方法がある。この切り残しのあるカット状態を一般にパーシャルカットと呼び、次に説明する。
【0015】
図3は、図1で示したプリンタのオートカッタユニット4を右方向にスライド移動させて、係合穴4bに係止フック3を係合させて、位置固定した状態を示している。この時、オートカッタユニット4は移動するが、印字ユニット筐体1の中の紙経路は変わらない為、オートカッタユニット4に対して、排出される記録紙10の相対位置が少し変わっている。図1では紙出口9のスリットに対して、記録紙10は右に寄っているが、図3では紙出口9のスリットに対して、記録紙10は左に寄っているのである。これにより、記録紙10とオートカッタユニット4との相対位置が変わり、カット状態が変わる。
【0016】
図4は図3の状態のプリンタを上面から、オートカッタユニット4の内部構造を見た図である。記録紙10の通る幅方向の範囲は図中のWで示し、可動刃5の先端の軌跡は図中のSで示している。これは、可動刃5が記録紙10の幅方向の左側の一部を残して、固定刃6と交叉することを示しており、左側の一部が切り残しとなる。この時の印字レシートサンプルを示したものが図5である。
【0017】
図5に示すように、記録紙10はカット部12によって、それぞれのレシート11に分割されているが、完全に切り離されているのではなく、切り残し部13によって連結されている。このようなパーシャルカット状態では、たとえキャッシャーがレシート11を確実にお客に手渡さなくても、レシートは連なって、排出される為に、レシートが貯まって、プリンタ内部に入り込むことがない。
【0018】
以上に述べたように、本発明のプリンタでは、オートカッタユニット4を簡単にスライド移動させるだけで、レシートのカット状態をフルカット、またはパーシャルカットに切り換えが可能になる。よって、従来必要であったカッタ刃の移動ストロークを変える必要がない。従って、複雑なメカ構造は不要となり、また、カッタ刃の制御方法も簡単になる。
【0019】
上述した実施例では、オートカッタユニット4の移動及び固定手段として、ガイド軸2と弾性的なフック機構を用いていた。このような機構は、オペレーターが簡単に、オートカッタユニット4の位置を変えられるという長所がある。しかしながら、通常、フルカット仕様とパーシャルカット仕様は、レジスター等の機器のインストール時に一度設定すれば、頻繁に変える必要がない場合が多い。そこで、そのような場合、実施例で示したようなクリック感のあるフック機構は設けず、ネジ等によって、しっかり固定すれば良い。こうすれば、機構は簡単になり、コストダウンになる。
【0020】
次に本発明の第2の実施例について、図6から図8を参照にして詳細に説明する。既に述べた第1の実施例は、記録紙に対して、プリンタの一部を移動させて、カット状態を変える構造であるが、第2の実施例ではプリンタに対して、セットする記録紙の位置を変える構造である。
【0021】
図6は記録紙10のセット前の状態を示している。プリンタは紙供給部15とプリンタ機構部16があり、プリンタ機構部16の内部には、印字機構部と、オートカッタ機構部が有る。このオートカッタ機構はギロチン刃19が前後にスライド移動するタイプのものである。ギロチン刃19には一部に切り欠き19aを有している。ロール状の記録紙10をプリンタにセットする場合、まず、支持軸20を記録紙10の内径に通して、紙供給部15の所定位置に支持軸をセットし、紙入口17に記録紙10の紙端を挿入する。すると、プリンタのローディング機構により、記録紙10はプリンタ機構部16内の紙経路を通り、紙出口18から排出される。尚、紙経路の幅は、紙幅より広く設定してある。
【0022】
尚、支持軸20には記録紙10の内径より大きな径のつば部21を有している。つば部21は記録紙10の左右何れかの側にもセット可能である。図6では記録紙10の右側から、支持軸20を入れて、つば部21が右側になるような状態を示している。このようにして、記録紙10を紙供給部15にセットした状態を図7に示す。
【0023】
図7では、記録紙10は紙供給部15の左側にセットされており、記録紙10は、紙経路内を、殆ど直進して紙送りされ、紙出口18に対して左寄りになって排出される。尚、紙経路(図示しない)の幅は記録紙10の幅より大きいが、紙経路内に僅かの傾きが施され、幾分記録紙10は左寄りになるように紙送りされる。よって、記録紙10は紙経路の左側で規制され、蛇行防止となっている。
【0024】
この状態にて、オートカット動作は、ギロチン刃19がスライド移動し、記録紙10を突き刺すことによって、行われるが、切り欠き溝19aの部分はカットされない為に、記録紙10のA部には切り残しができる。すなわち、パーシャルカットとなる。
【0025】
一方、つば部21が記録紙10の左側になるようにして、記録紙10をプリンタにセットした状態を図8に示す。図8では、記録紙10は紙供給部15の右側にセットされている。この状態では、記録紙10は右寄りになるように紙経路右側に傾きが施されている。よって、記録紙10は紙出口18に対して右寄りになって排出される。この状態では、ギロチン刃19がスライド移動しても、ギロチン刃19の切り欠き溝19aは記録紙10から外れた位置を通過する構成になる為、記録紙10の幅方向全域に刃部が突き抜けることになり、カット状態はフルカットとなる。
【0026】
以上に述べたように、第2の実施例では、記録紙10をプリンタにセットする時に、右側にセットするか、左側にセットするかを変えるだけで、フルカット仕様とパーシャルカット仕様に変更することができる。
【0027】
説明した実施例では、カッタ機構はハサミ式のカッタと、ギロチン式カッタについて説明したが、本発明は必ずしもそれらのカッタに限定するものではなく、カッタ刃の一部を欠落させたロータリーカッタや、円盤状の刃が移動するカッタ(丸刃カッタ)においても、カッタユニットと記録紙の相対位置を変えることによって、切り残しの部分が紙幅方向に変わるという原理を利用すれば、当然のことながら、本発明を適用することができ、適用範囲の広い技術である。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、オートカッタユニットを簡単にスライド移動させるだけで、レシートのカット状態をフルカット、またはパーシャルカットに切り換えが可能になる。よって、従来必要であった、カッタ刃の移動ストロークを変える必要がない。従って、複雑なメカ構造は不要となり、また、カッタ刃の制御方法も簡単になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例のプリンタのフルカット仕様を示す斜視図である。
【図2】同プリンタのフルカット仕様時のカッタ部の構成を示す平面図である。
【図3】同プリンタのパーシャルカット仕様を示す斜視図である。
【図4】同プリンタのパーシャルカット仕様時のカッタ部の構成を示す平面図である。
【図5】同プリンタのパーシャルカット状態のレシートを示す平面図。
【図6】本発明の第2の実施例のプリンタの記録紙セット方法を説明する斜視図。
【図7】同プリンタのパーシャルカット仕様を示す斜視図である。
【図8】同プリンタのフルカット仕様を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 印字ユニット筐体
2 ガイド軸
3 係止フック
4 オートカッタユニット
5 可動刃
6 固定刃
7 回転支点
9 紙出口
10 記録紙
15 紙供給部
16 プリンタ機構部

Claims (1)

  1. 一端を支点として一定角度回転する可動刃を有し、印字ユニット筐体に取り付けられて所定幅の記録紙を切るオートカッタユニットと、
    記印字ユニット筐体に取り付けられた係止部材と、
    前記オートカッタユニットの、前記記録紙の幅方向と平行に設けられ、前記係止部材と係合するための第1、第2の係合部と、を備え、
    前記第1の係合部の位置は、前記可動刃が前記一定角度回転するときの記録紙の切断範囲が前記記録紙幅より大の位置に設けられ、
    前記第2の係合部の位置は、前記可動刃が前記一定角度回転するときの記録紙の切断範囲が前記記録紙幅より小の位置に設けられ、
    前記第1の係合部と前記係止部材とを係合させる位置と、前記第2の係合部と前記係止部材とを係合させる位置とを切り換えて、前記オートカッタユニットをスライド可能に前記印字ユニット筐体に取り付け固定する固定手段を備えたことを特徴とするプリンタ。
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