JP3713777B2 - 埋設管布設方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、既に地中に布設された埋設管の先端の土砂を掘削してはその埋設管の先端に新たな管を継ぎ足していくシールド工法に好適な埋設管布設方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、地中に埋設管を布設するための工法として、シールド工法が広く採用されている。このシールド工法は、道路交通や構造物に与える影響が小さいこと、騒音の振動などが少ないこと、深い場所での施工が可能であること等多くの長所を備えている。
【0003】
既に地中に布設された埋設管の先端に配置された掘削マシンを使ってその先端の土砂を所定長掘削し、その土砂を、例えばスラリーの状態にしてその埋設管の内部を経由して取り除き、その後、図8に示すように円周方向に複数枚接続することにより全体として円筒形の短管20が形成されるセグメント21(図9参照)を、埋設管の内部を通してその埋設管の先端に運搬し、その埋設管の先端に運搬したセグメントを図8に示すように円筒形に組み立てるとともにその円筒形の短管20を埋設管の先端に連結する。これを繰り返すことにより、地中内に複数のセグメント21が円筒形に組み立てられてなる短管20が、その管長方向に複数連結された埋設管が地中に布設される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の従来のシールド工法では、1つの短管を構成するのに複数のセグメントが必要であるため、それらのセグメントを順次埋設管内部を搬送する必要があることから、セグメントの運搬に時間がかかり、また、埋設管の先端に搬送したセグメントの組立てにも時間がかかり、能率上、コスト上問題がある。また複数のセグメントを組み立てて1つの短管を構成することからその短管の出来形精度に難があり、またそれら複数のセグメントどうしの継ぎ目から漏水が起こる可能性があるという問題もある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、従来と比較し、能率上、コスト上有利であって、しかも継ぎ目の少ない埋設管を布設することのできる埋設管布設方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の埋設管布設方法は、地中に設置された埋設管の先端に新たな管を継ぎ足す埋設管布設方法において、
上記埋設管の内径よりも管長の短い円筒管を偏平に変形させ、この変形した状態の円筒管を、地中に設置された埋設管の内部を通過させてその埋設管の先端に運搬し、その埋設管の先端に運搬された円筒管を円形に戻してその円筒管を埋設管の先端に連結することを特徴とする。
【0007】
ここで、上記本発明の埋設管布設方法において、上記円筒管として、その円筒管の一方の管端に、管長方向に突出した連結部を有するものを用いることが好ましい。
また、上記本発明の埋設管布設方法において、上記円筒管を偏平に変形させるにあたり、その円筒管を、その円筒管の弾性変形限界内で変形させることが好ましい。
【0008】
あるいは、上記円筒管を偏平に変形させるにあたり、その円筒管を塑性変形させてもよい。ただし、その円筒管にクラックや折れが生じない範囲である必要がある。
本発明の埋設管布設方法は、上記のように、円筒管を分割せずにその円筒管そのものをセグメントとして使用し、その円筒管を楕円状もしくは偏平に変形させて埋設管内を運搬するものであるため、従来、円筒を複数に分割したセグメントを使用するときに必要となる、それら複数のセグメントを、例えば、ボルトとナットを用いて円筒状に組み立てのための構造等が不要であり、また組み立ての工数自体も不要である。さらに、円筒管自体をセグメントとして使用するため、継ぎ目も少なく漏水等の危険も少ない。
【0009】
また、上記円筒管として変形が可能な例えば鋼管、塩化ビニル管、ポリエチレン管、強化プラスチックパイプ(FRP)等を使用し、弾性変形限界内で変形させる場合は、その変形のための、例えば油圧ジャッキ等を緩めるだけでもとの円筒形に戻り、出来形精度をより高精度に保つことができる。塑性変形させた場合は、再度油圧ジャッキ等をセットし円形に戻す必要がある。
【0010】
さらに、上記円筒管として、上記連結部を有するものを用いる場合、その埋設管の先端に円筒管を連結するにあたり、その連結部をガイドとして連結することにより位置決めが容易となり、工数の削減に寄与する。また、その連結部の形状や埋設管の用途等によっては、円筒管が連結部を有していることによって、円筒管を埋設管の先端に嵌め込むだけで済む場合もあり、円筒管と埋設管との溶接等を不要とすることもできる。さらに円筒管が複数連結されてなる埋設管は、例えば竹の節のように、埋設管の、その連結部の部分の肉厚がその埋設管の長手方向に繰り返し厚くなった状態となり、その埋設管の剛性が増し、土圧などの外力に対する曲げ耐力が向上する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の埋設管布設方法の一実施形態を適用したシールド工法により地中に布設された埋設管の模式図、図2は本発明の埋設管布設方法の一実施形態を適用したシールド工法の模式図、図3は、変形された円筒管が埋設管内に運び込まれた状態を示す側面図である。
【0012】
図1に示すように、ここでは既に、円筒形の鋼管1が順次連結されてなる埋設管5が、その埋設管5の先端5aに掘削マシン6が配置された状態に地中に布設されているものとする。掘削マシン6は、埋設管5の先端5aを反力として地中を掘削し、その埋設管5の先端5aの先に、鋼管1一本分の空洞を形成する。掘削マシン6により掘削されることにより生じた土砂は、例えばスラリーとして、埋設管5内を通り、その埋設管5の後端5bからその埋設管5の外部に排出される。
【0013】
次に、埋設管5の先端5aの先の空洞に新たな鋼管1が挿入され埋設管5の先端5aに搬入された鋼管1が連結される。
新たな鋼管1を搬入するにあたっては、図2(A)に示すように、鋼管1の内部に油圧ジャッキ2a,2bがセットされ、それらの油圧ジャッキ2a,2bにより鋼管1の内壁面に力を作用させ、その鋼管1を、その鋼管1の弾性変形限界内で、図2(B)のように偏平に変形させる。その偏平に変形された鋼管1は、図2(B)に示すように高さの低い台車3に乗せられてくさび4で固定され、図2(C)に示すように、地中に既に布設された埋設管5内にその後端5bから搬入され、その埋設管5の内部を経由してその埋設管5の先端5aにまで運搬される。埋設管5の先端5aの先端に運ばれた鋼管1は、油圧ジャッキ2a,2bがゆるめられて円形に戻りながら、その向きが埋設管5と連通するように変更される。
【0014】
そのようにして円筒形に戻るとともにその向きが埋設管5の向きと同じ向きに変更された鋼管1は、例えばメカニカル接合等により、埋設管5の先端に連結される。
尚、鋼管1を埋設管5の先端に運んだ後、その鋼管1の向きを変更する際に、掘削マシン6(図1参照)から埋設管5の内部を通って延びる、例えば土砂を排出するためのホース等が邪魔になるため、それらのホース等には、掘削マシン6の後方の位置にジョイントが備えられており、鋼管1が埋設管5の先端5aに運搬される際には、それらのホース等は、そのジョイントで一旦分離され、鋼管1が埋設管5の先端5aに連結された後、再度接続される。
【0015】
以上のような、掘削マシン6による掘削と、埋設管5の先端5aへの鋼管1の連結とを繰り返すことにより、埋設管5が順次延設される。
図3を参照して、上述の実施形態における鋼管1の寸法について説明する。ここでは、鋼管1として、外径1,800mm×厚さ11mm(STK 490)、長さL=375mmのものを用意する。この鋼管1を偏平に変形させるにあたっては、油圧ジャッキにて約1トンを負荷して、その鋼管1の外壁どうしの偏平方向の距離dが1736mmとなるように変形する。この場合の直径の縮径量は約93mmである。鋼管1をこのように変形させることにより、鋼管1は、図3に示すような、埋設管5の内部を通過することができる状態となる。このときの鋼管1の変形量はその弾性変形限界内である。
【0016】
図4は、本発明のシールド工法の他の実施形態における、鋼管が埋設管の先端に連結された状態を示す模式図、図5は、図4に示す鋼管の断面図、図6は、図4に示す鋼管が多数連結されてなる埋設管の模式図である。
この鋼管10の一端には、ガイドリング11が、溶接部13で溶接されることにより固定されている。このガイドリング11は、本発明にいう連結部の一例である。このガイドリング11の先端部11aの内側はテーパ状に形成されており、このため、埋設管12の先端12aに鋼管10を連結する際に多少の位置ずれがあっても、その位置ずれが修正され、連結が容易となる。また、このガイドリング11の内壁にはゴム製のOリング11bが取り付けられており、このOリング11bは、この鋼管10が埋設管12と連結された状態で漏水防止の役割りをなす。尚、この実施形態では、ガイドリング11は埋設管12の外壁側に取付けられているが、このガイドリング11は、埋設管12の内壁側に取付けられていてもよい。
【0017】
このような埋設管12が順次連結されると、図6に示すように、ガイドリング11が竹の節状に配列された埋設管12が形成されることになり、このガイドリング11が埋設管12の剛性を増加させ、土圧などの外力に対する曲げ耐力の向上につながる。
尚、図4〜図6を参照して説明した工法では、埋設管12は、ガイドリング11をガイドにして鋼管10が順次機械的に連結されただけの状態にあるが、その埋設管12の内壁にコンクリートを吹き付け、あるいはその内壁に化成シートあるいは金属材料等を内張りすることにより、その埋設管12そのものを流送パイプラインとして使用することもできる。
【0018】
あるいは、このようにして構築された埋設管を鞘管として用い、その鞘管内に本管を挿入して二重管を構築してもよい。
図7は、本発明の埋設管布設方法が適用されたシールド工法の他の例を示す図である。
ここでは、シールド工法により、複数の鋼管100が連結された埋設管105による立坑が形成され、その埋設管105の先端105aには、掘削マシン106が配置される。
【0019】
埋設管105の先端105aに新たな鋼管100を連結するにあたっては、その新たな鋼管100は、ジャッキ101により偏平に変形され、門形クレーン102に吊り下げされ、埋設管105の内部を経由して埋設管105の先端105aに運搬される。
以上では、横に延びる埋設管と縦に延びる埋設管について説明したが、その他、埋設管は傾斜していてもよく、本発明を用いて、どのような方向に延びる埋設管をも形成することができる。
【0020】
また、以上の実施形態は、本発明をシールド工法に適用した例であるが、本発明は、シールド工法のみに適用されるものではない。例えば、補修が必要なコンクリート円形隊道に本発明を適用し、旧隊道に鋼管を順次送り込んで接合することにより、その隊道を改修し、その隊道の再使用を可能とすることもできる。
さらに、上記各実施形態では、埋設管を構成するにあたり鋼管が用いられているが、本発明は鋼管を使用することにのみ適用されるものではなく、例えば塩化ビニル管やFRP管等の可撓性あるいは弾性のある材料で形成された管を用いて埋設管を構築する際にも適用することができる。あるいは、本発明は、クラックや折れ等を生じることなく、塑形変形させて再度もとの円形に戻すことのできる材料で形成された管を用いて埋設管を構築する際にも適用することができる。さらにまた、鋼管1の長さ方向の長さを調節する(上下又は左右で異ならせる)ことにより、図1に示すような、障害物を避けることができる屈曲した管を布設することもできる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、円筒管そのものをセグメントとして、その円筒管が順次連結された埋設管が布設され、従来と比べ、能率上、コスト上有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の埋設管布設方法の一実施形態を適用したシールド工法により地中に布設された埋設管の模式図である。
【図2】本発明の埋設管布設方法の一実施形態を適用したシールド工法の模式図である。
【図3】変形された円筒管が埋設管内に運び込まれた状態を示す側面図である。
【図4】本発明のシールド工法の他の実施形態における、鋼管が埋設管の先端に連結された状態を示す模式図である。
【図5】図4に示す鋼管の断面図である。
【図6】図4に示す鋼管が多数連結されてなる埋設管の模式図である。
【図7】本発明の埋設管布設方法が適用されたシールド工法の他の例を示す図である。
【図8】複数のセグメントが接続されて形成された円筒状の短管を示す模式図である。
【図9】図8に示すセグメント1つを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 鋼管
2a,2b 油圧ジャッキ
3 台車
4 くさび
5 埋設管
5a 埋設管の先端
5b 埋設管の後端
6 掘削マシン
10 鋼管
11 ガイドリング
11b Oリング
12 埋設管
13 溶接部
100 鋼管
101 油圧ジャッキ
102 門形クレーン
105 埋設管
106 掘削マシン
Claims (4)
- 地中に布設された埋設管の先端に新たな管を継ぎ足す埋設管布設方法において、
前記埋設管の内径よりも管長の短い円筒管を偏平に変形させ、この変形した状態の円筒管を、地中に布設された埋設管の内部を通過させて該埋設管の先端に運搬し、該埋設管の先端に運搬された前記円筒管を円形に戻して該円筒管を前記埋設管の先端に連結することを特徴とする埋設管布設方法。 - 前記円筒管として、該円筒管の一方の管端に、管長方向に突出した連結部を有するものを用いることを特徴とする請求項1記載の埋設管布設方法。
- 前記円筒管を偏平に変形させるにあたり、該円筒管を該円筒管の弾性変形限界内で変形させることを特徴とする請求項1記載の埋設管布設方法。
- 前記円筒管を偏平に変形させるにあたり、該円筒管を塑性変形させることを特徴とする請求項1記載の埋設管布設方法。
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