JP3713545B2 - ミクロンサイズの重合体粒子の製造方法 - Google Patents

ミクロンサイズの重合体粒子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒子径が約2〜20μmで比較的均一な粒子径分布を有する重合体粒子を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、比較的大きさの揃ったミクロンサイズの粒子径を有する重合体粒子は多くの分野で注目を集めており、また様々な用途で必要とされている。例えば、樹脂改質剤または塗料の分野での光拡散剤あるいは艶消し剤、化粧品の分野での滑り性付与剤、電子複写機の分野でのトナー用材料としての展開が挙げられる。また、特に粒子径分布が均一な重合体粒子が必要とされる用途としては、例えば、診断薬担体、液晶パネル用スペーサー、クロマトグラフィー用充填剤、標準粒子等への展開が挙げられる。このようなミクロンサイズの重合体粒子の応用は、今後益々拡大していくことが期待されている。
【0003】
しかしながら、一般にこのようなミクロンサイズの粒子径を有し、かつ粒子径分布が均一な重合体粒子を製造することは容易ではなく、それ故このような重合体粒子を簡単に且つ効率よく製造する技術の開発が望まれている。
【0004】
粒子径分布が比較的均一な重合体粒子を製造する方法としては、乳化重合法が知られている。しかし乳化重合法では、通常、サブミクロンオーダーの小粒子径の重合体粒子しか得られず、特殊な条件下においても3μm程度が限界と言われている。
【0005】
一方、ミクロンサイズの重合体粒子を簡単な操作で製造する方法としては、懸濁重合法が知られている。しかし懸濁重合法で得られる重合体粒子は粒子径分布が広く、従って比較的粒子径分布の均一な重合体粒子を得るには、得られた重合体粒子を乾式又は湿式の分級装置を用いて分級する工程が必要となる。このような方法では、工程数が多くなり、製造が煩雑になるだけでなく、収率も著しく低下し、また粒子径の精度も不十分であるという欠点がある。
【0006】
これに対し、均一な粒子径分布を有する重合体粒子を得るための方法としては以下のような技術が提案されている。例えば特開昭54−97582号公報、特開昭63−137911号公報、あるいは特開平2−240108号公報等に開示されているのは、乳化重合法において連鎖移動剤を多量に用いることにより、通常の重合体粒子よりもはるかに低い分子量を有するオリゴマーを含む重合体粒子を製造してこれをシード粒子とし、このシード粒子に水に幾分可溶な重合性単量体を吸収させて重合体粒子を製造する方法である。
【0007】
しかしながらこの方法においては、シード粒子は乳化重合法で形成するためサブミクロンサイズの粒子しか得られず、よって得られる重合体粒子の大きさに限界があり、ミクロンサイズの重合体粒子を得るためには、重合性単量体の吸収、重合工程を数回繰り返す必要がある。このため重合工程が煩雑になり、重合安定性も低下し、また均一な粒子径の重合体粒子が得られにくくなるという問題点があった。さらに重合体粒子中に残存するオリゴマーは、該重合体粒子を成形加工あるいは使用する際に悪影響を及ぼす場合があり、またオリゴマーを生成するために用いられる連鎖移動剤は強い臭気を発するという問題もあった。
【0008】
また特開昭54−126288号公報、特開昭61−215605号公報等に開示されているのは、第1段階において膨潤助剤と呼ばれる低分子量の疎水性化合物をシード粒子に吸収させ、第2段階において該シード粒子に重合性単量体を吸収させ膨潤粒子を形成し、その後重合を行うことにより重合体粒子を製造する方法である。この方法では一度に多量の重合性単量体をシード粒子に吸収させることが可能なため、一回の膨潤、重合操作で粒子径分布が均一なミクロンサイズの重合体粒子を得ることができる。
【0009】
しかし、疎水性化合物の膨潤助剤をシード粒子に吸収させる工程が容易ではなく、そのため水溶性の有機溶媒を使用する必要があり、その除去操作を行わねばならず、あるいは膨潤助剤をシード粒子より小さく微分散し、シード粒子に吸収させる操作が必要になる。従って、プロセスが煩雑にならざるを得ず、またその工程に長時間を要するために生産性が低下するといった問題を生じる。さらには用いられた膨潤助剤が粒子中に残存するため、得られた重合体粒子を成形加工あるいは使用する場合に悪影響を及ぼすことが懸念される。
【0010】
また、以上のようにシード粒子に重合性単量体を多量に吸収させ、次いで重合を行うという方法では、重合体粒子に意図したモルフォロジーを形成することは困難であるという問題点を有する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術が有する上記問題点を解決し、比較的均一な粒子径分布を有するミクロンサイズの重合体粒子を簡単な操作で効率よく製造する方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、比較的均一な粒子径分布を有するミクロンサイズの重合体粒子を簡単な操作で効率よく製造するために検討を重ねた結果、重合性単量体、水難溶性物質、重合開始剤、乳化剤及び/又は水溶性高分子化合物、及び水からなる特定のO/W型エマルション(A)を重合するにあたり、その重合開始後、すなわち重合中及び/又は重合終了後に単量体(B)を連続的あるいは間欠的に添加して重合することによって、前述の課題を解決し得ることを見出し、本発明に至った。
【0013】
すなわち請求項1に記載の本発明の製造方法は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、イタコン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートからなる群から選ばれた1種又は2種以上からなる重合性単量体(A−1)と20℃の水に対する溶解度が0.05重量%以下で分子量が20,000以下の水難溶性物質(A−2)からなる有機化合物、20℃の水に対する溶解度が0.05重量%以下の重合開始剤(A−3)、乳化剤及び/又は水溶性高分子化合物(A−4)及び水からなるO/W型エマルション(A)に、重合性単量体(B)を添加して重合を行うことによりミクロンサイズの重合体粒子を製造する製造方法であって、前記重合性単量体(A−1)と水難溶性物質(A−2)との配合比が、10:90〜99.99:0.01(ただし、重量比)の範囲であり、前記重合性単量体(B)の添加量が、前記重合性単量体(A−1)と水難溶性物質(A−2)からなる有機化合物の量の0.1〜500倍(但し、重量比)の範囲であり、前記重合開始剤(A−3)の量が、重合性単量体(A−1)と重合性単量体(B)との合計量100重量部に対して0.001〜5重量部の範囲であり、前記エマルション(A)と重合性単量体(B)からなる系全体に含まれる乳化剤及び/又は水溶性高分子化合物の量及び水の量が、重合性単量体(A−1)と重合性単量体(B)との合計量100重量部に対して、それぞれ0.01〜5重量部及び100〜500重量部の範囲であり、かつ前記O/W型エマルション(A)の重合開始後に重合性単量体(B)を連続的あるいは間欠的に添加して重合することにより、平均粒子径約2〜20μmの重合体粒子を製造するものである。
【0014】
上記O/W型エマルション(A)の調製方法としては、請求項2に記載のように前記重合性単量体(A−1)と水難溶性物質(A−2)からなる有機化合物100重量部と前記重合開始剤(A−3)0.001〜100重量部からなる溶液(a−1)と、前記乳化剤及び/又は水溶性高分子化合物(A−4)0.01〜10重量部と水100〜1,000重量部からなる溶液(a−2)とを混合し、機械的剪断を加えるという方法や、あるいは請求項3に記載のように、前記重合性単量体(A−1)10〜99.99重量部と前記重合開始剤(A−3)0.001〜100重量部からなる溶液(a′−1)と、前記水難溶性物質(A−2)0.01〜90重量部(ただし、前記重合性単量体(A−1)との合計量が100重量部となる量)、乳化剤及び/又は水溶性高分子化合物(A−4)0.01〜10重量部、及び水100〜1,000重量部からなる分散液(a′−2)とを混合し、機械的剪断を加えるという方法が好ましい。
【0015】
請求項1〜3の製造方法において、前記水難溶性物質(A−2)としては、請求項4に記載のように、分子内に少なくとも1つの重合性不飽和基を有する化合物を用いるのが好ましい。
【0016】
また、請求項に記載のように、前記重合性単量体(B)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、酢酸ビニル、塩化ビニルから選ばれた1種または2種以上の単量体と、分子内に2個以上の重合性不飽和基を有する多官能性単量体との混合物を用いることが好ましい。
【0017】
さらに、ゴム的性質を有する重合体粒子を得ようとする場合には、請求項に記載のように、請求項1〜の製造方法における前記重合性単量体(B)として、まずその単独重合体のガラス転移温度が0℃以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体及び分子内に2個以上の重合性不飽和基を有する多官能性単量体を添加し、さらに、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、酢酸ビニル、塩化ビニルから選ばれた1種または2種以上の単量体を添加することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のミクロンサイズの重合体粒子の製造方法について、以下に詳しく説明する。
【0019】
本発明の製造方法において、O/W型エマルション(A)の調製に用いられる重合性単量体(A−1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等に代表されるような(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン等に代表されるような芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル等に代表されるようなシアン化ビニル系単量体、酢酸ビニル、塩化ビニル等から選ばれた1種又は2種以上からなる単量体、及び(メタ)アクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、イタコン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等に代表されるような分子内に2個以上の重合性不飽和基を有する多官能性単量体からなる単量体系が好適に用いられる。
【0020】
得られる粒子がゴム的性質を有することを要求される場合には、その単独重合体のガラス転移温度が0℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体と分子内に2個以上の重合性不飽和基を有する多官能性単量体からなる単量体系が用いられる。
【0021】
次に、20℃の水に対する溶解度が0.05重量%以下で分子量が20,000以下の水難溶性物質(A−2)としては、例えば、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジノニルフェニル等に代表される長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体類、セチルアルコールあるいはステアリルアルコール等に代表される高級アルコール類、ヘキサデカン、オクタデカン等に代表される炭化水素類、1−クロロドデカン、1−クロロデカン等に代表されるようなハロゲン化炭化水素類、又は、例えば、セグメントの主成分がメタクリル酸メチルで末端にメタクリロイル基を有する数平均分子量6,000のAA−6、あるいはセグメントの主成分がアクリル酸ブチルで末端がメタクリロイル基を有する数平均分子量6,000のAB−6(何れも東亜合成化学工業(株)製)等に代表されるような末端に(メタ)アクリロイル基、p−スチリルアルキル基、ジヒドロキシル基あるいはジカルボキシル基等を有する各種マクロモノマー類等から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせを用いることができる。
【0022】
ただし、本発明の製造方法により得られる重合体粒子を樹脂改質剤として用いる場合には、水難溶性物質として、高級アルコール類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等の非重合性の化合物を使用すると、重合体粒子中に残存した水難溶性物質が原因となって成形時のガス発生や滑性過多等の問題を起こし易い。この問題を解決するため、分子内に少なくとも1つの重合性不飽和基を有する重合性の水難溶性物質を使用することが好ましい。
【0023】
なお、20℃の水に対する溶解度が0.05重量%以上のものを用いると、エマルションの安定性が不足し、目的とする粒子径の重合体粒子が得られにくくなる。
【0024】
O/W型エマルション(A)を調製する際の上記重合性単量体(A−1)と水難溶性物質(A−2)との配合比(重量比)は、通常10:90〜99.99:0.01、好ましくは50:50〜99.9:0.1の範囲である。重合性単量体(A−1)が10%より少なく、水難溶性物質が90%より多い場合は、重合性単量体の含有率が低過ぎるために、目的の組成を有する重合体粒子が得られ難くなる。また、水難溶性物質が0.01%より少なく、重合性単量体が99.99%より多い場合には、エマルションの安定性が不足して、目的とする粒子径のエマルションを形成し難く、あるいは一旦形成できても維持し難くなる。
【0025】
20℃の水に対する溶解度が0.05重量%以下の重合開始剤(A−3)としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド又はオクタノイルパーオキサイド等に代表されるような有機過酸化物、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)又は2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等に代表されるようなアゾ系化合物等から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせを好適に用いることができる。
【0026】
上記重合開始剤(A−3)は、O/W型エマルション(A)に添加して用いられ、その使用量は、用いる重合性単量体種により異なるが、O/W型エマルション(A)の調製に用いられる重合性単量体(A−1)と後から添加される重合性単量体(B)との合計量100重量部に対して、通常0.001〜5重量部、好ましくは0.005〜3重量部の範囲である。使用量が5重量部より多い場合は、O/W型エマルション(A)の調製に用いられる重合性単量体(A−1)に溶解させることが困難になり、さらにはO/W型エマルション(A)を重合する際の反応熱を除去することも困難になる。また0.001重量部より少ない場合は、特に後から添加される重合性単量体(B)の重合転化率が上がり難く、未反応の重合性単量体が残存し易い。
【0027】
20℃の水に対する溶解度が0.05重量%を越える水溶性重合開始剤あるいは比較的水溶性の高い油溶性重合開始剤を用いた場合には、乳化剤濃度が臨界ミセル濃度以下であっても、水相中に溶解している重合性単量体と重合開始剤ラジカルとの反応により重合が開始し、このため目的の重合体粒子以外に新粒子が多量に発生するという問題を生じる。従って、O/W型エマルション(A)に加えられた重合開始剤(A−3)が水相に溶出せず、O/W型エマルション(A)中に保持されるように、水に対する溶解度が0.05重量%以下の油溶性重合開始剤を用いることが必要である。
【0028】
なお、水に対する溶解度が0.05重量%以下の重合開始剤を用いた場合でも、水相で重合が開始することを防止するために、例えば、亜硝酸ナトリウム、ハイドロキノンに代表されるような水溶性の重合禁止剤を必要に応じて併用することができる。
【0029】
さらに、エマルション(A)の調製に用いられる乳化剤及び/又は水溶性高分子化合物(A−4)としては、公知のものが特に制限なく使用可能である。例えば、乳化剤としてはカルボン酸系乳化剤、スルホン酸系乳化剤、リン酸系乳化剤等が、また水溶性高分子化合物としてはポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩等が挙げられる。
【0030】
上記乳化剤及び/又は水溶性高分子化合物(A−4)の使用量は、O/W型エマルション(A)の調製に用いられる重合性単量体(A−1)と後から添加される重合性単量体(B)の合計量100重量部に対して、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部の範囲である。ただし、後で重合性単量体(B)を乳化し、エマルションとして添加する場合には、その際に用いる乳化剤及び水溶性高分子化合物も併せて上記範囲内で用いられる。すなわち、エマルション(A)と重合性単量体(B)からなる重合系全体における乳化剤及び/又は水溶性高分子化合物の使用量を上記範囲内とする。使用量が5重量部より多い場合は新粒子が発生しやすく、また重合体粒子に不純物として残存し易くなり、一方、0.01重量部より少ない場合は、重合安定性が低下する。
【0031】
O/W型エマルション(A)の調製に用いられる水の量は、前記重合性単量体(A−1)と後から添加される重合性単量体(B)の合計量100重量部に対して、通常100〜500重量部、好ましくは150〜400重量部の範囲である。水の量が100重量部未満であると重合中の反応熱の除去が困難になるだけでなく、重合安定性も低下し、500重量部を越えると得られる重合体粒子分散液の固形分濃度が低下し、生産効率が低下する。ただし、重合性単量体(B)をエマルションとして添加する場合には、その際に用いる水も併せて上記範囲内とする。
【0032】
上記(A−1)〜(A−4)各成分及び水からなる混合液に機械的剪断を加えてO/W型エマルション(A)を調製するには、エマルションの粒径を制御するために、剪断の強さを調節可能な分散装置が特に制限なく使用でき、例えば、高圧ホモジナイザー、ホモミキサー、超音波分散装置、あるいは遠心ポンプ等を好適に用いることができる。ただし、エマルション調製時の剪断による発熱により重合が開始しないように冷却操作を行うことが好ましい。
【0033】
O/W型エマルション(A)の粒子径は、目的とする重合体粒子の粒子径及び重合性単量体(B)の添加量により決定されるが、通常は0.5〜5μm程度の範囲で調製される。分散条件等については、得られるO/W型エマルション(A)に粗大エマルション等が存在せず、できる限りシャープな粒子径分布を形成するように適宜決めることができる。
【0034】
以上により調製したO/W型エマルション(A)を、撹拌機が付設され、加熱冷却が可能なジャケットを備えた重合可能な装置に加え、次いで昇温し、O/W型エマルション(A)の重合開始後、すなわち重合中及び/又は重合終了後に重合性単量体(B)を連続的あるいは間欠的に添加することにより、平均粒子径約2〜20μmの重合体粒子を製造することができる。
【0035】
重合性単量体(B)としては、上記重合性単量体(A−1)に用いられるのと同様の単量体類から選ばれたものが用いられるが、必ずしも重合性単量体(A−1)と同種のものを用いる必要はない。
【0036】
重合性単量体(B)の添加量は、O/W型エマルション(A)中の重合性単量体(A−1)及び水難溶性物質(A−2)の合計量に対して、通常0.1〜500倍、好ましくは0.5〜400倍(ただし、重量比)の範囲である。重合性単量体(B)の添加量が0.1倍より少ない場合は、O/W型エマルション(A)に重合性単量体(B)を添加する効果が小さくなり、また500倍より多い場合は、O/W型エマルション(A)に加えた重合開始剤(A−3)が相対的に不足し、重合転化率が上がり難くなる。
【0037】
なお、重合性単量体(B)の組成を、必要に応じて、連続的あるいは多段階的に変化させることにより、設計したモルフォロジーを形成することができる。
【0038】
例えば、得られる重合体粒子がゴム的性質を有することを要求される場合には、主成分として、その単独重合体のガラス転移温度が0℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体及び分子内に2個以上の重合性不飽和基を有する多官能性単量体からなる単量体系を用い、組成を1段あるいは2段以上に変化させて添加することができる。
【0039】
さらには、そのゴム的性質を有する重合体粒子の外層として、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等に代表されるような(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン等に代表されるような芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル等に代表されるようなシアン化ビニル系単量体、酢酸ビニル、塩化ビニル等から選ばれた1種又は2種以上からなる単量体系を添加し、グラフト重合を行うことも可能である。特にこのグラフト層については、O/W型エマルション(A)に加えた重合開始剤(A−3)により重合することも可能であり、また、必要に応じて公知の方法が利用でき、例えば水溶性あるいは比較的水溶性の高い油溶性重合開始剤を用い、熱分解反応により重合開始剤ラジカルを発生させて重合しても良いし、公知のレドックス系重合開始剤を併用して重合することも可能である。
【0040】
上記重合性単量体(B)の添加方法については特に制限はなく、そのままの状態で添加しても良いし、また先述した乳化剤及び/又は水溶性高分子化合物、及び水と共にエマルションを形成させて添加しても良い。この場合のエマルションの調製方法については特に制限はなく、また粒子径についても特に制限はない。ただし、O/W型エマルション(A)からなるシード粒子に重合性単量体(B)がより速く吸収されるように、より小さい粒子径に分散されている方が好ましい。
【0041】
また、重合性単量体(B)の添加時期については、O/W型エマルション(A)を設定温度に昇温し、重合を開始した以降であれば特に制限はなく、重合途中、重合終了後あるいはその双方に亘って添加しても良い。その際の重合性単量体(B)の添加速度は、重合の進行状況に応じて設定されるべきであるが、系内の重合転化率が50%以上に維持されるように添加されることが好ましく、60%以上に維持されるようにすることがより好ましい。添加速度がこれより速い場合には、系内に多量の単量体液滴が存在することになり、モルフォロジーの形成が困難になるだけでなく、粒子径分布も均一化し難くなる。このように重合状況に応じて重合性単量体(B)の添加速度を任意に設定することにより、重合速度を容易に制御できることも本発明の特徴である。
【0042】
【実施例】
次に具体的な実施例を挙げて説明するが、これらはいずれも例示的なものであり、本発明の内容を何ら限定するものではない。
【0043】
なお、平均粒子径及び粒子径分布の測定は、マイクロトラック粒度分析計Model9230UPA、マイクロトラック粒度分析計Model9220FRA(何れも日機装(株)製)、及び光学顕微鏡で観察し、撮影した写真を画像分析することにより行った。
【0044】
また、O/W型エマルション(A)の調製は、機械的剪断を加える工程で分散液の温度が上がらないように必要に応じて冷水で冷却しながら行った。
【0045】
[製造例1(O/W型エマルション(A)の調製)]
アクリル酸ブチル96.5%、メタクリル酸アリル2%、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール0.5%、及びメタクリル酸ステアリル1%からなる混合液100重量部にラウロイルパーオキサイド8重量部を均一に溶解し、溶液(a−1)を調製した。これとは別に水250重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3重量部及び亜硝酸ナトリウム0.015重量部からなる溶液(a−2)を調製した。
【0046】
この溶液(a−1)と溶液(a−2)とを混合し、その混合液にT.K.Auto Homomixer(特殊機化工業(株)製)により10,000rpmの回転数で20分間機械的剪断を与え、O/W型エマルション(A)を調製した。
【0047】
得られたエマルションは、平均粒子径が1.0μm、CV値[(標準偏差/平均粒子径)×100]が29%であった。さらに光学顕微鏡で観察した結果、粗大エマルションは存在しないことが確認された。
【0048】
[製造例2(O/W型エマルション(A)の調製)]
アクリル酸ブチル96.5重量部、メタクリル酸アリル2重量部、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール0.5重量部及びベンゾイルパーオキサイド10重量部を均一に溶解し、溶液(a′−1)を調製した。これとは別に水250重量部、カルコール68(主にセチルアルコールとステアリルアルコールの混合物:花王(株)製)1重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3重量部及び亜硝酸ナトリウム0.015重量部からなる分散液(a′−2)を調製した。
【0049】
この溶液(a′−1)と分散液(a′−2)とを混合し、その混合液を遠心ポンプにより1,750rpmで1時間循環処理した。
【0050】
得られたエマルションは、平均粒子径が2.9μm、CV値が21%であった。さらに光学顕微鏡で観察した結果、粗大エマルションは存在しないことが確認された。
【0051】
[製造例3(O/W型エマルション(A)の調製)]
メタクリル酸メチル77.5%、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール2.5%、メタクリル酸ジノニルフェニル20%からなる混合液100重量部にラウロイルパーオキサイド1.5重量部を均一に溶解し、溶液(a−1)を調製した。これとは別に水250重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3重量部、ポリビニルアルコールGH−23(日本合成化学工業(株)製)1重量部及び亜硝酸ナトリウム0.015重量部からなる溶液(a−2)を調製した。
【0052】
この溶液(a−1)と溶液(a−2)とを混合し、その混合液にT.K.Auto Homomixerにより7,000rpmの回転数で20分間機械的剪断を与え、O/W型エマルション(A)を調製した。
【0053】
得られたエマルションは、平均粒子径が1.0μm、CV値が34%であった。さらに光学顕微鏡で観察した結果、粗大エマルションは存在しないことが確認された。
【0054】
[製造例(O/W型エマルション(A)の調製)]
アクリル酸ブチル80%、アクリロニトリル16%、メタクリル酸アリル2.5%及び1−クロロドデカン1.5%からなる混合液100重量部に、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1重量部を均一に溶解し、溶液(a−1)を調製した。これとは別に水250重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4重量部及び亜硝酸ナトリウム0.015重量部からなる溶液(a−2)を調製した。
【0055】
この溶液(a−1)と溶液(a−2)とを混合し、その混合液をT.K.Auto Homomixerにより6,000rpmの回転数で20分間機械的剪断を与え、O/W型エマルション(A)を調製した。
【0056】
得られたエマルションは、平均粒子径が3.7μm、CV値が22%であった。さらに光学顕微鏡で観察した結果、粗大エマルションは存在しないことが確認された。
【0057】
[比較製造例1(比較のためのO/W型エマルション(A´)の調製)]
メタクリル酸ステアリルを使用せず、アクリル酸ブチルを97.5%に増量した以外は製造例1と全く同様にしてO/W型エマルション(A)を調製した。
【0058】
得られたエマルションを光学顕微鏡で観察した結果、1μm程度〜数10μm程度の非常にブロードな粒子径分布を有していた。また、得られた乳化分散液を1時間程度放置すると相分離した。
【0059】
[比較製造例2(比較のためのO/W型エマルション(A´)の調製)]
溶液(a−1)の調製にラウロイルパーオキサイドを使用せず、溶液(a−2)の調製に過硫酸カリウム0.3重量部を加え、T.K.Auto Homomixerの回転数を8500rpmとした以外は、製造例1と全く同様にしてO/W型エマルション(A´)を調製した。
【0060】
得られたエマルションは、平均粒子径が2.1μm、CV値が31%であった。さらに光学顕微鏡で観察した結果、粗大エマルションは存在しないことが確認された。
【0061】
上記により調整したエマルションを用い、以下の実施例及び比較例において、重合体粒子の製造を試みた。
【0062】
[実施例1]
アクリル酸ブチル97.5%、メタクリル酸アリル2%及びジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール0.5%からなる混合液100重量部を均一に溶解して溶液(1)を調製し、これとは別に水150重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3重量部及び亜硝酸ナトリウム0.015重量部からなる溶液(2)を調製した。
【0063】
この溶液(1)と溶液(2)とを混合し、その混合液にT.K.Auto Homomixerにより10,000rpmの回転数で20分間機械的剪断を与え、重合性単量体(B)のエマルションを調製した。
【0064】
製造例1で調製したO/W型エマルション(A)の1/100倍量(重合性単量体(A−1)及び水難溶性物質(A−2)を合計で1重量部含む)と水100重量部をガラス製反応器に加え、窒素気流中で撹拌しながら65℃まで昇温した。次いで、上記重合性単量体(B)のエマルションを4時間にわたって連続添加した。その後、系の温度を65℃に保持して3時間撹拌し、重合体粒子の分散液を得た。
【0065】
得られた重合体粒子は、平均粒子径が4.7μm、CV値が18%であった。また重合終了時の重合転化率[(重合体粒子生成量/モノマー仕込量)×100]は98%であり、重合性単量体(B)を連続添加中の重合転化率は常に60%以上を保持していた。
【0066】
[実施例2]
重合性単量体(B)の第1段のエマルション(B−1)を、実施例1で示した重合性単量体(B)のエマルションと全く同様の手順により調製した。
【0067】
製造例2で調製したO/W型エマルション(A)の1/100倍量(重合性単量体(A−1)及び水難溶性物質(A−2)を合計で1重量部含む)と水100重量部をガラス製反応器に加え、窒素気流中で撹拌しながら65℃まで昇温した。次いで、上記エマルション(B−1)を4時間にわたって連続添加した。その後、系の温度を65℃に保って3時間撹拌し、重合体粒子の分散液を得た。
【0068】
得られた重合体粒子は、平均粒子径が13.5μm、CV値が16%であった。また重合転化率は98%であり、重合性単量体(B−1)を連続添加中の重合転化率は常に60%以上を保持していた。
【0069】
次に、重合性単量体(B)の第2段として、水60重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.25重量部からなる溶液に、メタクリル酸メチル40重量部を混合し、その混合液にT.K.Auto Homomixerにより10,000rpmの回転数で20分間機械的剪断を与え、エマルション(B−2)を調製した。
【0070】
上記重合体粒子の分散液に、エマルション(B−2)を1.5時間にわたって連続添加した。その後、系の温度を65℃に保持して2時間撹拌し、重合体粒子の分散液を得た。
【0071】
得られた重合体粒子は、平均粒子径が15.0μm、CV値が17%であった。また重合転化率は98%であり、重合性単量体(B−2)を連続添加中の重合転化率は常に60%以上を保持していた。
【0072】
[実施例3]
メタクリル酸メチル97.5%、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール2.5%からなる混合液100重量部を均一に溶解し、溶液(1)を調製し、これとは別に水150重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3重量部及び亜硝酸ナトリウム0.015重量部からなる溶液(2)を調製した。
【0073】
この溶液(1)と溶液(2)とを混合し、その混合液にT.K.Auto Homomixerにより10,000rpmの回転数で20分間機械的剪断を与え、重合性単量体(B)のエマルションを調製した。
【0074】
この重合性単量体(B)のエマルションを用い、また製造例1で調製したO/W型エマルション(A)に代えて、製造例3で調製したO/W型エマルション(A)を1/10倍量用いた以外は、実施例1と全く同様にして重合体粒子の分散液を得た。
【0075】
得られた重合体粒子は、平均粒子径が2.2μm、CV値が24%であった。また重合転化率は98%であり、重合性単量体(B)を連続添加中の重合転化率は常に60%以上を保持していた。
【0076】
[実施例
アクリル酸ブチル81.5%、アクリロニトリル16%及びメタクリル酸アリル2.5%からなる混合液100重量部を均一に溶解して溶液(1)を調製し、これとは別に水150重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3重量部、及び亜硝酸ナトリウム0.02重量部からなる溶液(2)を調製した。
【0077】
この溶液(1)と溶液(2)とを混合し、その混合液にT.K.Auto Homomixerにより10,000rpmの回転数で20分間機械的剪断を与え、重合性単量体(B)の第1段のエマルション(B−1)を調製した。
【0078】
このエマルション(B−1)を用い、また製造例1で調製したO/W型エマルション(A)に代えて、製造例で調製したO/W型エマルション(A)を1/10倍量用い、設定温度を65℃から55℃に変更した以外は、実施例1と全く同様にして重合体粒子の分散液を得た。
【0079】
得られた重合体粒子は、平均粒子径が7.9μm、CV値が16%であった。また重合転化率は99%であり、エマルション(B−1)を連続添加中の重合転化率は常に60%以上を保持していた。
【0080】
さらに、得られた上記重合体粒子分散液を窒素気流中で65℃に昇温し、水60重量部、硫酸第1鉄7水塩0.0028重量部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.011重量部及びホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.28重量部を添加した。その後、スチレン30重量部、アクリロニトリル10重量部及びクメンハイドロパーオキサイド0.08重量部からなる重合性単量体(B)の第2段である混合液(B−2)を3時間にわたって連続追加した。この間にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.25重量部を連続的に添加した。上記混合液(B−2)の追加終了後、重合を完結させるために、65℃で2時間保持した。
【0081】
得られた重合体粒子は、平均粒子径が8.7μm、CV値が16%であった。また重合転化率は99%であった。
【0082】
[比較例1]
製造例1で調製したO/W型エマルション(A)の1/100倍量に代えて、比較製造例1で調製したO/W型エマルション(A´)の1/100倍量を用いた以外は実施例1と全く同様にして重合体粒子の製造を試みた。
【0083】
その結果、重合安定性が悪く、スケールが多量に発生し、ミクロンサイズの重合体粒子を安定に得ることはできなかった。
【0084】
[比較例2]
実施例1に示したのと全く同様にして重合性単量体(B)のエマルションを調製した。
【0085】
比較製造例2で調製したO/W型エマルション(A´)の1/2倍量(重合性単量体(A−1)と水難溶性物質(A−2)を合計で50重量部含む)と水50重量部をガラス製反応器に加え、窒素気流中で攪拌しながら65℃まで昇温した。次いで上記重合性単量体(B)のエマルションの1/2倍量(重合性単量体(B)を50重量部含む)を2.5時間にわたって連続添加した。その後、系の温度を65℃に保持して3時間攪拌し、重合体粒子の分散液の製造を試みた。
【0086】
その結果、重合転化率が上がりにくく、さらにサブミクロンサイズの新粒子が多量に発生した。また重合安定性が非常に悪く、重合スケールが多量に発生し、ミクロンサイズの重合体粒子を安定に得ることができなかった。
【0087】
【発明の効果】
請求項1〜に記載の製造方法によれば、比較的均一な粒子径分布を有するミクロンサイズの重合体粒子を簡単な操作で効率よく製造することができ、また設計したモルフォロジーの形成が可能となる。従って、本発明の製造方法は、例えば樹脂改質剤または塗料の分野での光拡散剤あるいは艶消し剤、化粧品の分野での滑り性付与剤、電子複写機の分野でのトナー用材料等に使用される重合体粒子の製造に好適に用いられる。

Claims (9)

  1. (メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、イタコン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートからなる群から選ばれた1種又は2種以上からなる重合性単量体(A−1)と20℃の水に対する溶解度が0.05重量%以下で分子量が20,000以下の水難溶性物質(A−2)からなる有機化合物、20℃の水に対する溶解度が0.05重量%以下の重合開始剤(A−3)、乳化剤及び/又は水溶性高分子化合物(A−4)及び水からなるO/W型エマルション(A)に、重合性単量体(B)を添加して重合を行うことによりミクロンサイズの重合体粒子を製造する製造方法であって、
    前記重合性単量体(A−1)と水難溶性物質(A−2)との配合比が、10:90〜99.99:0.01(ただし、重量比)の範囲であり、
    前記重合性単量体(B)の添加量が、前記重合性単量体(A−1)と水難溶性物質(A−2)からなる有機化合物の量の0.1〜500倍(ただし、重量比)の範囲であり、
    前記重合開始剤(A−3)の量が、重合性単量体(A−1)と重合性単量体(B)との合計量100重量部に対して0.001〜5重量部の範囲であり、
    前記エマルション(A)と重合性単量体(B)からなる系全体に含まれる乳化剤及び/又は水溶性高分子化合物の量及び水の量が、重合性単量体(A−1)と重合性単量体(B)との合計量100重量部に対して、それぞれ0.01〜5重量部及び100〜500重量部の範囲であり、
    かつ前記O/W型エマルション(A)の重合開始後に重合性単量体(B)を連続的あるいは間欠的に添加して重合する
    ことを特徴とする平均粒子径約2〜20μmの重合体粒子の製造方法。
  2. 前記重合性単量体(A−1)と水難溶性物質(A−2)からなる有機化合物100重量部と前記重合開始剤(A−3)0.001〜100重量部からなる溶液(a−1)と、
    前記乳化剤及び/又は水溶性高分子化合物(A−4)0.01〜10重量部と水100〜1,000重量部からなる溶液(a−2)とを混合し、
    機械的剪断を加えることにより前記O/W型エマルション(A)を調製する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の重合体粒子の製造方法。
  3. 前記重合性単量体(A−1)10〜99.99重量部と前記重合開始剤(A−3)0.001〜100重量部からなる溶液(a′−1)と、
    前記水難溶性物質(A−2)0.01〜90重量部(ただし、前記重合性単量体(A−1)との合計量が100重量部となる量)、乳化剤及び/又は水溶性高分子化合物(A−4)0.01〜10重量部、及び水100〜1,000重量部からなる分散液(a′−2)とを混合し、
    機械的剪断を加えることにより前記O/W型エマルション(A)を調製する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の重合体粒子の製造方法。
  4. 前記水難溶性物質(A−2)が、分子内に少なくとも1つの重合性不飽和基を有する化合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合体粒子の製造方法。
  5. 前記重合性単量体(B)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、酢酸ビニル、塩化ビニルから選ばれた1種または2種以上の単量体と、分子内に2個以上の重合性不飽和基を有する多官能性単量体との混合物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合体粒子の製造方法。
  6. 前記重合性単量体(B)として、まずその単独重合体のガラス転移温度が0℃以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体及び分子内に2個以上の重合性不飽和基を有する多官能性単量体を添加し、さらに、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、酢酸ビニル、塩化ビニルから選ばれた1種または2種以上の単量体を添加することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の重合体粒子の製造方法。
  7. O/W型エマルション(A)の粒子径が0.5〜5μmであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の重合体粒子の製造方法。
  8. 重合性単量体(B)の添加量が、O/W型エマルション(A)中の重合性単量体(A−1)及び水難溶性物質(A−2)の合計量に対して、重量比で0.5〜400倍の範囲であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の重合体粒子の製造方法。
  9. 重合性単量体(B)が、系内の重合転化率が50%以上に維持されるように連続的に添加されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の重合体粒子の製造方法。
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