JP3713427B2 - 自走式土質改良機の固化材制御装置及び自走式土質改良機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、土砂を受け入れて固化材を供給し改質する自走式土質改良機及びこに設けられる固化材制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ガス管等の埋設工事、上下水道工事、及びその他の道路工事・基礎工事等においては、掘削による建設発生土をそのまま埋め戻すのが望ましい。しかし、建設発生土が埋め戻しに適さない場合(例えば、岩石・煉瓦片・コンクリート片・金属その他の異物が多量に含まれている場合や、粘性の高い粘土質の土や風化が進行し過ぎた土など、土質そのものが軟弱でそのまま埋め戻すと地盤沈下等が発生するおそれのある場合)には、建設発生土に例えば石灰やセメント等を主成分とする固化材(土質改良材)を混合して固化させ、再利用可能な良質の土(改良土)に改良した後に掘削箇所を埋めることが行われている。
【0003】
このような土質改良を行う機械において、土質改良プラントの用地確保の困難化あるいは用地の分散化等の背景に基づき、例えば特開2000−45263号公報に記載のように、土質改良機械を自力走行可能として機動性を持たせた自走式土質改良機が既に提唱されている。この自走式土質改良機は、例えば油圧ショベル等で投入された改質対象土砂を土砂ホッパ(ホッパ)で受入れた後に固化材を添加し、処理機構部(混合手段)において混合・攪拌してその混合物(改良土)を搬出コンベアで排出するようになっている。
【0004】
また、上記従来技術では、より良質の改良土を得るために、ホッパに投入された土砂を混合手段に供給する搬送手段(搬送コンベア)に搬送中の土砂重量を測定する土砂供給量測定手段を設け、この土砂供給量測定手段により測定された投入土砂の重量に応じて上記固化材を供給する供給部(供給手段)のロータの回転速度を制御することにより固化材の供給量を制御し、土砂と固化材との混合比が所定範囲内となるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、再生資源促進法(いわゆるリサイクル法)の施行(平成3年10月)といった廃棄物再利用促進の背景の下、建設発生土の改質のニーズが高まる中、上記自走式土質改良機の有用性が認められ、上記のように、建設発生土をその掘削箇所に埋め戻す埋め戻し材として改質する他にも種々の用途が広がりつつある。すなわち、建設発生土だけでなく比較的高い含水比の粘土、泥土、畑の土等を改質し、グランドや公園等の地盤材、道路のアスファルト舗装の骨材としての水硬性路盤材や埋め戻し材として利用する等の多様な用いられ方をされるようになってきている。
【0006】
また、それら用途の違いによって要求される改良土の強度も異なってきており、例えば、道路の路盤材に利用する場合にあっても、通常の道路路盤材に利用する場合のように長期的に所定以上の強度が発現すれば足りる場合や、工事現場の仮設道路の路盤材に利用する場合のように極力迅速に所定以上の強度を発現させることが要求される場合もある。
【0007】
このとき、改良土は含有する固化材が水分と反応するにつれ固化していくことにより強度を増すので、改良土の強度発現の時期には固化材の反応速度が大きく影響することとなる。例えば、上記のような通常の道路路盤材には比較的含水比の低い改良土が用いられ、雨等の水分が加わることにより適度な含水比となり長期的に所定以上の強度が発現するようになっている。一方、工事現場の仮設道路の路盤材には最初から好適な含水比の改良土が用いられ、迅速に所定以上の強度が発現するようになっている。
【0008】
また、発現する強度の大小自体にも水分が密接に関係している。すなわち、含水比を考慮せず単に土砂重量のみで固化材供給量を決定すると含水比の大小により同一重量でも乾燥重量が異なり、土砂と固化材との混合比が変わることから発現強度が異なってくる。例えば、ガス管埋設時に利用される改良土は、通常、後に再掘削される場合が多いが、改良土の強度が過剰に高すぎると再掘削が困難となる場合もあるため、目標強度範囲内に高精度に強度を発現させる必要がある。このとき、改良土の品質管理においてもその含水比が大きく影響し、品質管理を経済的に行うためには、生産時において管理期間等に応じたある程度正確な強度を発現させておかなければならない場合もある。
【0009】
さらに、土砂には一般に最適な締め固め性が得られる含水比が存在し、改良土を埋め戻しに用いる場合、特に路床、路盤材等のように締め固め性が要求される用途に用いる場合は、施行後の地盤支持力の安定化や施工管理等の面からも最適含水比にあることが望ましい。
【0010】
以上のような背景から、上記のような、拡大した用途に対応し改良土の強度の大小、強度発現の時期、及び締め固め性等を制御するためには、投入土砂の含水比を考慮することが重要となってきている。
【0011】
しかしながら、上記従来技術は、投入土砂の重量に応じて固化材の供給量を制御するものであって改良土の含水比までは考慮されていないため、上記のように拡大された用途に対して十分には対応できない場合があった。
【0012】
本発明の目的は、近年の用途拡大に対応して、種々の強度発現のニーズに対して十分に対応できる自走式土質改良機の固化材制御装置及び自走式土質改良機を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、受け入れた土砂に固化材を供給して土砂を改質する自走式土質改良機の固化材制御装置において、前記受け入れた土砂の含水比を検出する含水比検出手段と、前記受け入れた土砂の湿潤重量を検出する土砂検出手段と、この土砂検出手段で検出した湿潤重量と前記含水比検出手段で検出した含水比とから土砂の乾燥重量を決定する乾燥重量決定手段と、この乾燥重量決定手段により決定した乾燥重量と含水比の異なる各種土砂に対して所要強度の改良土を得るために必要な固化材の混合比とを基に固化材の供給量を演算するコントローラと、このコントローラにより演算された量の固化材を土砂に供給する供給手段とを備える。
【0014】
(2)上記目的を達成するために、また本発明は、受け入れた土砂に固化材を供給して土砂を改質する自走式土質改良機の固化材制御装置において、予め検出した土砂の含水比が入力される入力手段と、前記受け入れた土砂の湿潤重量を検出する土砂検出手段と、この土砂検出手段で検出した湿潤重量と前記入力手段で入力した含水比とから土砂の乾燥重量を決定する乾燥重量決定手段と、この乾燥重量決定手段により決定した乾燥重量と含水比の異なる各種土砂に対して所要強度の改良土を得るために必要な固化材の混合比とを基に固化材の供給量を演算するコントローラと、このコントローラにより演算された量の固化材を土砂に供給する供給手段とを備える。
【0015】
これにより、投入土砂と固化材とが反応して強度を発現させる際の改良土の強度の大小、強度発現の時期、及び締め固め性を制御することができるので、例えば、目標強度範囲内に高精度に強度を発現させる必要のあるガス管埋設時の土質改良作業や、長期的に所定以上の強度が発現すれば足りる通常の道路路盤材用の土質改良作業や、極力迅速に所定以上の強度を発現させる必要のある工事現場の仮設道路用の土質改良作業、あるいは最適な締め固め性が望まれる路床、路盤材用の土質改良作業等、近年の拡大された用途における種々の強度発現態様のニーズに対して、十分に対応することができる。
【0016】
(3)また上記目的を達成するために、本発明の自走式土質改良機は、上記(1)又は(2)の固化材制御装置を備える。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の固化材制御装置の一実施の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明の固化材制御装置の一実施の形態を適用する自走式土質改良機の全体構造を表す側面図であり、図2は本発明の固化材制御装置の一実施の形態を適用する自走式土質改良機の全体構造を表す上面図である。
【0025】
これら図1及び図2において、この自走式土質改良機は、例えば油圧ショベルのバケット等の作業具により改良対象となる土砂が投入され、その投入土砂を所定の粒度に選別する(詳細は後述)篩ユニット1、この篩ユニット1で選別された土砂を受け入れるホッパ2、このホッパ2から導入された土砂を所定の固化材(土質改良材)と混合して下方へ排出する混合装置(処理槽)3、ホッパ2に受け入れた土砂を前記混合装置3へと搬送して導入する搬送コンベア4、及び前記固化材を供給するための固化材供給装置5を搭載した土質改良機本体6と、この土質改良機本体6の下方に設けられた走行体7と、混合装置3で混合され下方へ排出された混合物を受け入れて自走式土質改良機後方側(図1中右側)に搬送し排出する排出コンベア8とを有する。
【0026】
前記の走行体7は、本体フレーム9と、走行手段としての左・右無限軌道履帯10とを備えている。本体フレーム9は、例えば略長方形の枠体によって形成され、前記篩ユニット1、ホッパ2、混合装置3、固化材供給装置5、及び後述のパワーユニット(機械室)73等を載置する車台を構成する土質改良機取付け部9Aと、この土質改良機取付け部9Aと前記の左・右無限軌道履帯10とを接続するトラックフレーム部9Bとから構成される。また無限軌道履帯10は、前記トラックフレーム部9Bに回転自在に支持された駆動輪11及び従動輪12の間に掛け渡されており、駆動輪11側に設けられた左・右走行用油圧モータ13L,13R(左走行用油圧モータ13Lのみ図1に図示)によって駆動力が与えられることにより自走式土質改良機を走行させるようになっている。
【0027】
前記の篩ユニット1は、上下方向に振動可能ないわゆる振動篩であり、前記ホッパ2とともに、前記土質改良機取付け部9Aの自走式土質改良機前方側(図1中左側)端部の上方に搭載されている。また、篩ユニット1は、前記土質改良機取付け部9Aに立設した支持ポスト14の上に設けられた支持部材15に、ばね16を介して弾性的に支持された支持枠体17と、この支持枠体17に装着された格子部材18(図2参照)と、この格子部材18の振動軸(図示せず)を内部に挿通した回転ドラム19(図2参照)と、この回転ドラム19を回転駆動させるための駆動力を発生する加振用油圧モータ20(図2参照)とを有している。そして、加振用油圧モータ20の駆動力をベルト21を介して回転ドラム19に伝達し回転させることにより、回転ドラム19の内部に挿通された格子部材18の図示しない振動軸が振動し、これによって格子部材18及び支持枠体17が上下方向に振動するようになっている
このとき、図1に示すように、支持枠体17は自走式土質改良機前方側(図1中左側)の方が自走式土質改良機後方側(図1中右側)よりも低くなるように傾斜して配置されているため、上記の振動により、篩ユニット1に投入された土砂に含まれる種々の大きさの成分のうち、格子部材18の格子サイズより大きなものを格子部材18より自走式土質改良機前方側(図1中左側)へと流下させて排出し、格子部材18の格子サイズ以下のもののみを選別して下方のホッパ2へと導入するようになっている。これにより、土砂中に含まれる岩石、コンクリート、金属塊等の固形異物を排除すると共に、土砂の嵩密度を低下させて土砂の内部に十分な空気が含まれるようにする機能をも果たす。
【0028】
ホッパ2は、上端部が前記支持部材15に固定して設けられており、その下端部は搬送コンベア4の傾斜角に応じた角度傾斜している。またこのホッパ2は、篩ユニット1からの円滑な土砂投入時の便宜のため、上方へ向かって拡径となる無底の箱型形状(言い換えれば略角筒形状あるいは枠体形状)となっており、その上下は開口している。また、ホッパ2の上部開口部の寸法は、その長手方向、幅方向ともに前記篩ユニット1の支持枠体17よりもわずかに大きく、また、下端の幅は、後述の搬送コンベア4の搬送ベルト26の幅よりもわずかに小さくなっている。これにより、前記篩ユニット1より導入された土砂を搬送コンベア4の搬送ベルト26(後述)上に確実に導くようになっている。
【0029】
前記の搬送コンベア4は、図1に示すように、前記土質改良機取付け部9Aの自走式土質改良機前側(図1中左側)端部に搭載されており、前記ホッパ2及び前記篩ユニット1の略直下に位置している。この搬送コンベア4は、上流側(図1中左側)が低く下流側(図1中右側)が高くなっており、詳細には、前記土質改良機取付け部9Aの自走式土質改良機前方から後方(図1中左から右)へ向かって所定角度だけ斜めに立ち上がるように傾斜して設けられている。そしてこの搬送コンベア4は、フレーム22と、このフレーム22に支持され搬送コンベア用油圧モータ23で駆動される駆動輪24と従動輪25との間に巻回して設けられた搬送ベルト26と、この搬送ベルト26における搬送面を支持するためのガイドローラ27と、搬送ベルト26の搬送面の下流側端部において幅方向左右両側に設けられた規制板28とを備えている。また、ガイドローラ27は、前記フレーム22により支持され、搬送ベルト26の搬送面の裏面と当接してその送りにより転動する固定ローラであり、所定のピッチ間隔をもって複数個が配置されている。なお、搬送コンベア4は、従動輪25側に周知の調整機構を備えており、適宜搬送ベルト26の張り調整を行えるようになっている。
【0030】
図3は、前記の固化材供給装置5の全体構造を表す側断面図である。図3において、固化材供給装置5は、前記篩ユニット1よりも自走式土質改良機後方側(図1中右側)に位置しており、図1に示すように、前記土質改良機取付け部9Aの長手方向ほぼ中間部上に搭載されている。詳細には、土質改良機取付け部9A上に立設した4本(または3本)の支柱29上に設けた略長方形の台板30に支持されている。このとき、前記の搬送コンベア4は、その自走式土質改良機後方側(図1中右側)端部が、前記支柱29,29間まで延在されており、このような位置関係において、その搬送コンベア4下流側端部の直上にある固化材供給装置5によって、ホッパ2から供給された土砂に対し搬送コンベア4上で所定量の固化材が添加されるようになっている(詳細は後述)。
【0031】
図3に示すように、固化材供給装置5は、所定量の固化材を貯留する貯留タンク31と、この貯留タンク31の下部に連設され、所定量ずつ固化材を供給するフィーダ32とを備えている。
【0032】
前記の貯留タンク31は、全体が概略円筒形状で内部に固化材を貯留する空間を有するものであり、下部側が前記台板30上に設置され有底筒形の下部タンク部33と、略円形の天板部34と、下部タンク部33と天板部34との間に設けられた上部側の容積が可変な上部タンク部としての蛇腹部35とから構成される。
【0033】
前記天板部34は、外周側が下方に曲成された板体からなり、その中央部には概略円形の開口36が形成されており、この開口36の上部には両開き可能な開閉蓋37が設けられている。そして、天板部34の開閉蓋37が設けられた部位の下方位置には、カッタ38が装着されており、このカッタ38は、開閉蓋37の下面に連結した支持アーム39に取り付けられている。
【0034】
貯留タンク31に固化材を充填するときには、前記土質改良機取付け部9Aの片側に設けたクレーン40(図2参照)を用いる。すなわち、天板部34に設けた開閉蓋37を開き、フレキシブルコンテナを前記クレーン40で吊り上げ、前記開口36から貯留タンク31の内部に挿入し、自重によりフレキシブルコンテナをカッタ38に押し付けてその下端部を切り裂き、フレキシブルコンテナ内部の固化材を貯留タンク31内へ供給する。なお、このとき、カッタ38で切り裂かれたフレキシブルコンテナから固化材が確実に貯留タンク31内に流入し、周囲に溢出したり飛散したりしないようにするために、カッタ38が取り付けられた前記支持アーム39は天板部34から所定深さだけ入り込んだ位置に設けられている。
【0035】
また、前記の下部タンク部33は、図3に示すように、底板41と周胴部42とから構成されている。このとき、底板41には、所定の開口径を有する固化材供給開口43が設けられ、この固化材供給開口43から固化材をフィーダ32へ供給するようになっている。そして円滑かつ確実なフィーダ32への供給を実現するために、下部タンク部33内の下部にはホッパ内攪拌手段44が設けられている。
【0036】
このホッパ内攪拌手段44は、下部タンク部33の底板41の中央部を貫通して伸びる回転軸45に複数本の主攪拌翼46を取り付けたものからなり、主攪拌翼46は下部タンク部33内の底板41に近接した位置に配置される。一方、回転軸45の下部タンク部33外の位置には、その底板41の裏面側に固定して設けた攪拌用油圧モータ47に連結されている。ここで、攪拌用油圧モータ47は、電動モータ等で構成してもよい。
【0037】
前記の主攪拌翼46の径方向外周側の先端は下部タンク部33の周胴部42の内面近傍にまで延在されており、各主攪拌翼46の先端部間を周方向に連結するように、リング状の保持部材48が固着して設けられている。そして、この保持部材48において、前後に位置する主攪拌翼46への連結部分の間にそれぞれ1または複数の補助攪拌翼49が取り付けられている。これら各補助攪拌翼49は保持部材48の径方向内周側の面から下部タンク部33の底板41に沿って回転軸45側に向けて所定の長さだけ突出している。
【0038】
図4は、前記のフィーダ32の詳細構造を表す側断面図である。この図4において、フィーダ32は、貯留タンク31における前記固化材供給開口43の下面に固着したケーシング50を有している。
【0039】
このケーシング50には固化材供給開口43に通じる流入口51と下方に開口した供給口52とを有し、その中間部の壁面は円弧状の定量供給部53となっている。この定量供給部53の内部には、ロータ54が回転軸55に嵌合するようにして設けられ、このロータ54は回転軸55を、例えば、可変速電動モータ等からなる図示しないフィーダ用モータによって回転駆動されるようになっている。ロータ54には定量供給部53の内壁面に対してほぼ摺接する複数の隔壁56が放射状に設けられており、ロータ54が所定角度回転する毎に相隣接する隔壁56,56間の空間に相当する分の固化材が分離され、その空間の容積分の固化材が定量ずつ供給されるようになっている。
【0040】
そこで、ロータ54の回転速度を制御することにより、固化材の供給量を制御することができ、つまりロータ54の回転速度を速くすればするほど固化材の供給量を多くできる。このようにしてフィーダ32は固化材を調整された供給量で供給できるようになっている。
【0041】
以上説明した、ホッパ2、搬送コンベア4、及び固化材供給装置5が、土砂と固化材とからなる土質改良を行うための素材を供給する素材供給部としての機能を果たす。
【0042】
図5は、前記の混合装置3の詳細構造を表す上面図であり、図6は図5中VI−VI断面による側断面図である。これら図5及び図6において、混合装置3は土質改良機取付け部9Aの長手方向中間部に設けられており、略水平方向に配置された長方形状容器からなる混合装置本体57と、この混合装置本体57の自走式土質改良機前方側(図5中左側)及び自走式土質改良機後方側(図5中右側)において幅方向両側にそれぞれ張り出して設けられ、ボルト等を介し土質改良機取付け部9Aの上面に取りつけられる取付け部58と、前記混合装置本体57の自走式土質改良機前方側(図5中左側)上部に設けられ、前記搬送コンベア4からの土砂及び固化材供給装置5のフィーダ32からの固化材を導入する導入口59と、前記混合装置本体57の自走式土質改良機後方側(図5中右側)下部に設けられた排出口60と、混合装置本体57内に互いに平行に設けられた偶数本(この実施の形態では2本)のパドルミキサ61とを有している。
【0043】
前記のパドルミキサ61は、回転軸62と、この回転軸62に攪拌・移送部材として間欠的に多数設けられた羽根(パドル)63と、前記回転軸62の両端をそれぞれ回転自在に支持する軸受64,64とを備えている。
【0044】
このとき、前記回転軸62の後端部は、混合装置本体57の後端部に設けた駆動部65内に延在されている。各回転軸62の後端には伝達ギア66が連結されており、両伝達ギア66,66は相互に噛合している。そして、一方の(図5中上方の)伝達ギア66には混合装置用油圧モータ67の出力軸に連結されており、この混合装置用油圧モータ67を回転駆動することによって、両回転軸62,62を同時にかつ相互に反対方向に回転駆動するようになっている。
【0045】
またこのとき、各回転軸62の外周面には前記パドル63が図5及び図6に示すように所定の角度(例えば90°毎)となるようにして多数設置されており、上記のように回転軸62を回転させることによって、パドル63が回転駆動されて混合装置本体57内に導かれた土砂及び固化材が攪拌され均一に混合されながら、排出口60側に向けて移送されるようになっている。なお、この移送量は、パドル63の角度を変えることで適宜調整可能である。
【0046】
以上のようにして、混合装置本体57の導入口59から導入された土砂と固化材とがパドルミキサ61の作用で均一に攪拌・混合されると共に、排出口60に向けて移送され、その移送の間に改良土が製造される。そして、このようにして製造された改良土は排出口60から自重の作用で前記排出コンベア8上に排出されるようになっている。
【0047】
なお、混合装置本体57は導入口59及び排出口60を除いて密閉形状となっているが、混合装置本体57の内部点検・修理用に、混合装置本体57の側面又は上面に開閉扉68が設けられる。また、下面にこの開閉扉を設けてもよい。
【0048】
以上説明した混合装置3が、土砂と固化材との攪拌・混合を行う処理機構部としての機能を果たすようになっている。
【0049】
図1及び図2に戻り、前記の排出コンベア8は、排出コンベア用油圧モータ69によって搬送ベルト70を駆動し、これによって前記混合装置3から搬送ベルト70上に落下してきた混合物(改良土)を搬送するようになっている。
【0050】
また、この排出コンベア8は、排出側(図1中右側)端部近傍の部分が支持部材71(図1参照)を介し、前記混合装置3よりも自走式土質改良機後方側(図1中右側)に位置し前記土質改良機取付け部9A上にパワーユニット積載部材72を介して搭載されたパワーユニット73に吊り下げ支持されている。また、排出側と反対側(図1中左側)端部近傍の部分(図示せず)及び搬送方向中間部74は、前記土質改良機取付け部9Aよりも下方に位置している。それらのうち、前記搬送方向中間部74は中間部材75を介して土質改良機取付け部9Aから吊り下げられるように支持されており、排出側と反対側(図1中左側)端部近傍の部分も、支持部材(図示せず)を介し土質改良機取付け部9Aから吊り下げられるように支持されている。
【0051】
以上のような支持構造により、排出コンベア8は、図1に示すように、混合装置3の下方位置において排出方向に小距離だけ水平に延在した後、パワーユニット73の外縁部(後端部)76の下方空間で、排出方向(図1中右方)に斜め上方に立ち上がるように延在配置されている。
【0052】
以上説明した排出コンベア8が、改良土排出部としての機能を果たすようになっている。
【0053】
ここで、前記篩ユニット1、混合装置3、搬送コンベア4、排出コンベア8、左・右無限軌道履帯10、及びホッパ内撹拌手段44は、この自走式土質改良機に備えられる動力源、すなわち原動機としてのエンジン(図示せず)及びこのエンジンによって駆動される少なくとも1つの油圧ポンプ(図示せず)からの動力によって駆動される。前記油圧ポンプからの圧油は、当該圧油の方向及び流量を制御するコントロールバルブを備えた制御弁装置(図示せず)を介し、前記篩ユニット1、混合装置3、搬送コンベア4、排出コンベア8、左・右無限軌道履帯10、及びホッパ内撹拌手段44にそれぞれ対応する前記加振用油圧モータ20、混合装置用油圧モータ67、搬送コンベア用油圧モータ23、排出コンベア用油圧モータ69、左・右走行用油圧モータ13L,13R、及び撹拌用油圧モータ47へと供給され、これによって対応する油圧モータが回転駆動する。そして、上記エンジン、油圧ポンプ、及び制御弁装置は、いずれも、前記パワーユニット73内に設けられている。
【0054】
このパワーユニット73の自走式土質改良機前方側(図1中左側)の領域には、特に図示しないが、操作者が搭乗する区画である運転席が設けられている。この運転席には、前記制御弁装置に備えられた左・右走行用コントロールバルブ(図示せず)を切り換え操作して前記左・右走行用油圧モータ13L,13Rの駆動速度を制御するための操作手段(例えば左・右操作レバー)が設けられている。
【0055】
以上のような基本構成の自走式土質改良機に、本実施の形態の固化材制御装置が設けられている。この固化材制御装置は、投入された土砂の含水比を測定する含水比測定装置77と、搬送土砂の重量を測定する土砂供給量測定装置78と、これらの検出結果から土砂乾燥重量を求めそれに応じて固化材の供給量を制御するコントローラと、このコントローラの出力信号に応じて固化材を供給する上記フィーダ32とを備えている。
【0056】
図7は、本発明の固化材制御装置の一実施の形態に設けられた前記含水比測定装置77の概略取付構造を模式的に表す図である。この図7において、含水比測定装置77は、測定対象物の誘電率を基にその含水比を測定する公知の装置であり、図7に示すように、例えば、前記ホッパ2の内壁面(あるいは前記搬送コンベア4の搬送経路等、投入土砂への固化材添加前の土砂搬送経路中でもよい)に設けられている。この含水比測定装置77は、複数本(この例では2本)の電極79a,79bと、演算器(図示せず)を備えた本体80と、この本体80と前記コントローラとを電気的に接続するケーブル81とを有し、前記本体80は前記電極79a,79bが投入された土砂に接触すると、電極79a,79b間の電位差から前記本体80内の演算器で投入土砂の誘電率を演算し、さらにこの誘電率から投入土砂の含水比を演算し、この演算結果を含水比αとしてケーブル81を介してコントローラに出力するようになっている。
【0057】
このとき、電極79bは、略丸棒状の電極であり、電極79aは、電極79bを軸心位置としてその周囲を覆うような略半円筒形となっている。
【0058】
なお、特に図示しないが、含水比測定装置77の電極79a,79bを前記篩ユニット1から導入される土砂との衝突から保護するために、ホッパ2の内壁面の前記電極79上方部分に、板状あるいは網状のカバーを設けてもよい。
【0059】
図8は、本発明の固化材制御装置の一実施の形態に設けられた前記土砂供給量測定装置78の構造を表す図である。この図8において、土砂供給量測定装置78は、前記搬送コンベア4の搬送経路中、ホッパ2を出て前記フィーダ32により固化材が添加される間(以下、土砂重量測定区間という)に設けられ、土砂重量測定区間における搬送コンベア4のガイドローラ27,27の概略中間位置に搬送ベルト26の搬送面裏側に当接するように設けられた重量測定ローラ82と、前記フレーム22に固定された軸受部材83と、この軸受部材83により揺動自在に支持され一端に前記重量測定ローラ82を有する揺動板84と、この揺動板84の他端側に位置し前記コントローラに電気的に接続された荷重センサ85とからなる。
【0060】
すなわち、搬送ベルト26により土砂が搬送され前記土砂重量測定区間に達すると、その重量により搬送ベルト26が撓み、重量測定ローラ82が図8中矢印ア方向に押されると、揺動板84の他端が同図中矢印イ方向に揺動変位する。このとき、荷重センサ85に対する荷重が増大し、荷重センサ85は前記土砂重量測定区間を搬送中の土砂重量を湿潤重量βとしてコントローラに出力するようになっている。
【0061】
なお、本実施の形態では、土砂供給量測定装置78を搬送コンベア4の搬送経路中に設け搬送土砂の湿潤重量βを直接測定したが、土砂供給量測定装置78を排出コンベア8の搬送経路中に設けて改良土の重量を測定し、その改良土の重量から間接的に搬送コンベア4上の搬送土砂の湿潤重量βを求めるようにしてもよい。
【0062】
また、前記コントローラは、前記フィーダ32の図示しないフィーダ用モータと電気的に接続しており、入力された前記湿潤重量βに含水比αを乗ずることにより算出した搬送中の土砂乾燥重量γを基に回転数を制御する指令信号(回転速度指令信号δ)を演算し、前記フィーダ用モータに出力するようになっている。
【0063】
図9は、前記コントローラによる制御手順を表すフローチャートである。
この図9において、コントローラは、まずステップ10で前記含水比測定装置77の本体80からの前記土砂の含水比αを入力する。
その後、ステップ20で、前記土砂供給量測定装置78の重量センサ85からの前記土砂の湿潤重量βを入力する。
そして、ステップ30で、入力された湿潤重量βと含水比αとから土砂乾燥重量γを算出する。
その後、ステップ40で、算出した土砂乾燥重量γを基にフィーダ用モータの回転速度を制御する回転速度指令δ(x0)を算出する。ここで、この回転速度指令δ(x0)の算出の手順を以下に説明する。
すなわち、コントローラには、事前試験により予め求められた、改良土が所定の強度Fを得るために必要な、土砂乾燥重量γに対する固化材の混合量(=混合比ε)が格納されている。
図10は、この事前試験により求められた、改良土の強度Fと、土砂乾燥重量γに対する固化材の混合量(=混合比ε)との関係を表す図である。すなわち、所定の含水比の土砂を採取し、この土砂を用いて数種類の混合比εの改良土を製造して所定期間養生した後、各改良土にて発現した強度Fを測定し、その強度Fと混合比εとの関係を表す曲線を得たものである。この曲線を用いることにより、改良後に得たい強度F0に対して、一意的にこれに対応する混合比ε0を求めることができる。
そして、上記ステップ30で算出された土砂乾燥重量γと、この混合比ε0とから固化材供給量x0を求め、対応するフィーダ用モータの回転速度指令δ(x0)を算出する。以上の手順が終了したらステップ50へ移る。
ステップ50では、算出した回転速度指令δ(x0)を前記フィーダ用モータに出力し、このフローを終了する。
【0064】
以上において、コントローラとフィーダ32とが特許請求の範囲各項記載の受け入れた土砂の含水比に応じて固化材を供給する制御手段を構成する。
【0065】
また、含水比測定装置77が受け入れた土砂の含水比を検出する含水比検出手段を構成し、土砂供給量測定装置78が受け入れた土砂量を検出する土砂検出手段を構成する。
【0066】
そして、コントローラのステップ30〜50とフィーダ32とが、土砂検出手段で検出した土砂量と含水比検出手段で検出した含水比とに応じて固化材を供給する第1供給調整手段を構成する。そのうち、コントローラのステップ30が土砂検出手段で検出した土砂量と含水比検出手段で検出した含水比とに応じて土砂の乾燥重量を決定する乾燥重量決定手段を構成し、フィーダ32とコントローラのステップ40及びステップ50がこの決定された乾燥重量に応じて固化材を供給する供給手段を構成する。
【0067】
次に、本実施の形態の動作及び作用を以下に説明する。
例えば油圧ショベルのバケット等により自走式土質改良機の前記篩ユニット1に土砂を投入すると、この篩ユニット1で選別されて前記格子部材18を通過した土砂成分が下方のホッパ2へと導入される。ホッパ2で受け入れられた土砂は、その下方の搬送コンベア4の搬送ベルト26上に載置され、自走式土質改良機後方へ向かって搬送される。そして、搬送コンベア4の搬送方向下流側端部近傍にて、その搬送土砂の表面に貯留タンク31からフィーダ32を介して所定量の固化材が加えられ、これらの混合物が混合装置3へと導入される。
【0068】
混合装置3へ導入された土砂及び固化材は、混合装置本体57内のパドルミキサ61,61で均一に攪拌混合され、団粒状態となった改良土となって排出コンベア8の搬送ベルト70上に排出される。そして、改良土は排出コンベア8によってさらに自走式土質改良機後方へと搬送され、最終的に自走式土質改良機後部から排出される。
【0069】
ここで、改良土の強度には、投入土砂に含まれる水分と固化材との反応速度が大きく影響する。すなわち、改良土は含有する固化材が水分と反応するにつれ固化していくことにより強度を増すものであり、近年、拡大傾向にある改良土の用途に対応するためには、投入土砂の含水比を考慮することにより改良土の強度を制御することが重要である。
【0070】
そこで、本実施の形態においては、前述のように、投入土砂の含水比αを測定し、これと搬送土砂の湿潤重量βとから求められた土砂乾燥重量γに応じて固化材を供給する。すなわち、前記含水比測定装置77により、土砂の搬送経路において固化材が添加される前にその含水比αを測定して前記コントローラに出力し、また、前記土砂供給量測定装置78により搬送コンベア4上の搬送土砂の湿潤重量βを測定して前記コントローラに出力する。コントローラは、これら入力された含水比α及び湿潤重量βから前記搬送土砂乾燥重量γを算出し、これと事前試験により予め求められ格納された混合比εとから、所要の強度F1を得るための固化材供給量x0を得る。フィーダ32の回転速度を制御する回転速度指令δ(x0)を算出する。フィーダ32は、コントローラより入力された回転速度指令δ(x0)に応じた回転速度で回転駆動し、搬送コンベア4上の搬送土砂の乾燥重量γに対して固化材供給量x0を供給する。
【0071】
このように、含水比αに基づき土砂に含まれる水分量を差し引いた土砂乾燥重量γを算出し、この土砂乾燥重量γをパラメータとして所望の強度F0を得るための混合比ε0を求め、この求めた最適な混合比ε0によって固化材を供給する。これにより、含水比αを考慮せず単に土砂湿潤重量βのみで固化材供給量xを決定していた従来技術のように、含水比αの大小で同一土砂湿潤重量βでも土砂乾燥重量γが異なり土砂と固化材との混合比εがばらつくことがない。したがって、改良土の所望の強度Fを正確に発現させることができるので、例えば、目標強度範囲内に高精度に強度を発現させる必要のあるガス管埋設時の土質改良作業等、近年の拡大された用途における種々の強度発現態様のニーズに対して、十分に対応することができる。
【0072】
なお、以上においては、投入土砂の含水比αを含水比測定装置77により検出してコントローラに出力し、コントローラが図10のテーブルに応じてフィーダ32に回転速度指令δ(x0)を出力する構成としたが、これに限られない。例えば、前記含水比測定装置77を別に単体で構成し、操作者が図10に相当するテーブルやデータを自ら保持しておき、掘削した土砂を自走式土質改良機に投入する前に、操作者が含水比測定装置77の前記電極79a,79bを土砂に差し込んで予めその土砂の含水比αを測定し、別途設けた操作盤等により前記のコントローラに手入力するようにしてもよい。この場合、コントローラがこの手入力された含水比αに応じて図9のステップ20〜ステップ50の手順を行うようにしてもよいし、さらに、ステップ40で回転速度指令δ(x0)を算出するときに用いた図10のテーブルあるいはデータを操作者自らが所持し、このステップ40より以前に予めコントローラに混合比εを手入力するようにしてもよい。
【0073】
この場合、前記の別途設けた操作盤が予め検出された土砂の含水比が入力される入力手段を構成する。また、コントローラのステップ30〜ステップ50とフィーダ32とが入力値に応じて固化材を供給する第2供給調整手段を構成し、そのうちコントローラのステップ30が土砂検出手段で検出した土砂量と入力手段で入力された含水比とに応じて土砂の乾燥重量を決定する乾燥重量決定手段を構成する。
【0074】
また、以上においては、コントローラにおいて、含水比αと湿潤重量βとから土砂乾燥重量γを算出し、この乾燥重量γに対して所定の混合比εで固化材を供給するようにした。このとき、前記混合比εは、前述したように、所定の含水比の土砂を用いた事前試験により求められたものであり、強度との関係は、この所定の含水比の条件のもとでは、図10に示す1本の曲線で一意的に表されるものであった。しかしながら、厳密には、土砂の含水比が変化すると、この強度と混合比との関係もそれに応じて変化する。すなわち、含水比αに応じて図10の強度−混合比曲線がシフトする。そこで、さらに高精度の改良土強度の制御を行うために、強度に与える土砂含水比の影響をも考慮しつつ制御を行うことが考えられる。以下、そのような変形例を説明する。
【0075】
図11は含水比を種々変えた事前試験により求められた、改良土の強度Fと土砂乾燥重量γに対する固化材の供給量xとの割合(=混合比ε)との関係を表す図であり、図12は図11中に示す所望の強度F1を得るための改良土の含水比αと固化材の混合比εとの関係を表す図である。
【0076】
図11は、それぞれ異なる含水比α1〜α3(α1>α2>α3)を持つ土砂A,B,C(この例では複雑防止のため3種類の土砂A,B,Cを試験対象としたが、投入土砂の任意な含水比に対しより高精度に混合比を制御したい場合には試験対象をさらに増やせばよい)を採取し、土砂A,B,Cを用いてそれぞれ任意に数種類の混合比の改良土を製造して所定期間養生した後、各改良土の強度を測定した結果を土砂A,B,Cを用いた改良土に関しそれぞれ強度と混合比εとの関係を表す3つの曲線A,B,Cで表したものである。これら各曲線に対して、例えば、図11に示す改良後に得たい所定強度F1を設定することにより、含水比の異なる土砂A,B,Cに対して所定強度F1の改良土を得るための混合比ε1〜ε3が得られる。この混合比ε1〜ε3と含水比α1〜α3との関係を求めることにより、図12に示すような、所要の強度F1を得るための含水比αと混合比εとの関係を表す1本の曲線を求めることができる。本変形例では、例えば、この図12に示すテーブルがコントローラに予め設定されている。
【0077】
図13は、本変形例におけるコントローラの制御手順を表すフローチャートである。
この図13において、コントローラは、まずステップ110で前記含水比測定装置77の本体80、あるいは前記別途設けた操作盤からの前記含水比αを入力する。
その後、ステップ120で、前記土砂供給量測定装置78の重量センサ85からの前記湿潤重量βを入力する。
そして、ステップ130で、入力された含水比αと湿潤重量βとから土砂乾燥重量γを算出する。
その後、ステップ140で、ステップ110で入力した含水比αに基づき、図12より所要強度F1を与える混合比εを求め、これとステップ130で算出した土砂乾燥重量γとから、固化材供給量x1を求め、これに対応するフィーダ用モータの回転速度を制御する回転速度指令δ(x1)を算出する。
そして、ステップ150で、算出した回転速度指令δ(x1)をフィーダ用モータに出力し、このフローを終了する。
【0078】
これにより、投入される土砂の含水比γの変化に応じつつ、図11及び図12に示した所要強度F1を得るための最適な混合比εとなるように固化材を供給することができるので、さらに高精度に改良土に所定の強度を発現させることができる。
【0079】
なお、図11に示された所要の強度を複数個設定して図12の曲線を複数本用意しておき、操作者が発現強度を入力することでその特性曲線を適宜選択するようにしてもよい。
【0080】
以上においては、用途に応じて高精度に発現強度を制御することを目的として含水比を利用したものであったが、これに限られない。すなわち、前述のように固化材の反応速度は水分の変化に関係していることから、反応速度を制御して改良土強度発現の時期を制御するのに含水比を用いることも考えられる。以下このような変形例を説明する。本変形例は、前記自走式土質改良機の混合装置3に含水比調整装置86を新たに設ける構成であり、他の構成は上記本発明の固化材制御装置の一実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0081】
図14は本変形例の含水比調整装置86の全体構造を表す側面図であり、図15は本変形例の含水比調整装置86の全体構造を表す上面図であり、図16は本変形例の含水比調整装置86の全体構造を表す前面図である。
【0082】
これら図14乃至図16において、前記含水比調整装置86は、貯水タンク87(図14参照)と、前記混合装置3の導入口59に臨み、例えば、いわゆるエルボやチーズ等の配管継ぎ手等からなる複数の(この例では4つの)ノズル部88と、前記貯水タンクの水をノズル部88に導く、例えばパイプやホース等からなる通水部89と、この通水部89に備えられ、通水部89中を通過する水の流量を制御するコントロールバルブ90(図14参照)とからなる。
【0083】
前記貯水タンク87は、図14に示すように、少なくとも前記ノズル部88より高い位置に配置され、前記コントロールバルブ90が開くと、貯水タンク87中の水が通水部89を介してノズル部88から放水され、前記導入口59から混合装置3内の土砂と固化材との混合物に散水されるようになっている。
【0084】
また、前記コントロールバルブ90は、前記コントローラと電気的に接続しており、コントローラからの散水量指令ζ(後述)に応じて混合装置3内の土砂と固化材との混合物への散水量を調整するようになっている。
【0085】
なお、前記ノズル部88を配管継ぎ手を用いる構成としたが、これに限られず、例えば、ジョウロ等のようにシャワー状に散水するノズルを用いてもよい。また、貯水タンクをノズル部88よりも高所に設け、水の自重により散水する構成としたが、これにも限られず、例えば、ポンプ等を別途設ける構成としてもよい。
【0086】
図17は、前記コントローラによる制御手順を表すフローチャートである。
この図17において、コントローラは、まずステップ210で前記含水比測定装置77の本体80、あるいは前記別途設けた操作盤からの前記含水比αを入力する。
ステップ220では、前記土砂供給量測定装置78の重量センサ85からの前記湿潤重量βを入力する。
ステップ230では、入力された含水比αと湿潤重量βとから土砂乾燥重量γを算出する。
ステップ240では、ステップ210で入力された含水比αと、ステップ250で算出した土砂乾燥重量γと、操作者が予め入力した目標含水比α’とから、土砂の含水比が目標含水比α’となるような散水量(給水量)を算出し、これに対応する散水量指令ζを算出する。このときの目標含水比α’の決定方法については、対象とする土砂について、含水比を種々変えて所要の強度発現までの所要時間(いいかえれば反応速度)を測定する事前試験を行ってそのデータに基づき操作者が所要の強度発現を正確に得るための目標含水比α’を入力してもよいし、過去の経験によりおおよその目標含水比α’を入力してもよい。いずれにしても、強度発現時期の短期、長期に応じて目標含水比α’を決定し入力すればよい。このステップ240が終了したらステップ250へ移る。
ステップ250では、算出した散水量指令ζを前記コントロールバルブ90に出力する。
ステップ260では、ステップ230で算出した土砂乾燥重量γに基づき、予め格納された、例えば、先の図10に示した特性(あるいは土砂乾燥重量γと目標含水比α’とに基づき、例えば、先の図11及び図12に示した特性)とから最終的に発現させたい所望の強度F0(又は強度F1)に対応する混合比ε0(又は混合比ε1〜ε3のいずれか)を求め、この混合比ε0(又はε1〜ε3のいずれか)と土砂乾燥重量γとから固化材供給量x0(又は固化材供給量x1〜x3、以下省略)を算出し、これに対応するフィーダ用モータの回転速度を制御する回転速度指令δ(x0)を算出する。
ステップ270では、算出した回転速度指令δ(x0)をフィーダ用モータに出力し、このフローを終了する。
【0087】
なお、以上において、コントローラのステップ240及びステップ250と、含水比調整装置86とが、特許請求の範囲各項記載の乾燥重量と含水比検出手段で検出した含水比又は入力手段で入力された含水比とに応じて含水比を調整する含水比調整手段を構成する。
【0088】
以上のように、本変形例においては、含水比αを所望の目標含水比α’に制御することで固化材の反応速度を制御し改良土の強度発現の時期を制御できるので、長期的に所定以上の強度が発現すれば足りる通常の道路路盤材用の土質改良作業や、極力迅速に所定以上の強度を発現させる必要のある工事現場の仮設道路用の土質改良作業等、近年の拡大された用途における種々の強度発現態様のニーズに対して、より十分に対応することができる。
【0089】
なお、上記は、目標含水比α’を決定するのに所望の反応速度が得られるように決定したが、これに限られない。すなわち、前述したように、土砂には一般に最適な締め固め性が得られる含水比αが存在し、改良土を埋め戻しに用いる場合、特に路床、路盤材のように締め固め性が要求される用途に用いる場合は、施行後の地盤支持力の安定化や施工管理等の面からも最適な含水比αにあることが望ましい。
【0090】
そこで、この最適な締め固め性が得られるように含水比αを決定してもよい。この変形例を以下に説明する。この本変形例では、改良土の所望の締め固め性を得るための含水比αを事前試験により求める。
【0091】
図18は事前試験により求められた改良土の締め固め性Sと含水比αとの関係を表す図である。
【0092】
図18は、数種類(4種類としたが、より高精度に最適な締め固め性が得られる含水比を求めたい場合はさらに多種類とすればよい)の含水比αの土砂を採取し、それぞれを用いて所定の混合比の改良土を製造し、所定期間養生した後、各改良土において締め固め試験を行った結果を締め固め性Sと含水比αとの関係として表している。この図より、最良の締め固め性S0となる所定の含水比α0を求めることができる。
【0093】
なお、この特性は土砂の種類に応じて一意的に決まる性質のものである。本変形例では、このようにして求められた含水比α0を先に説明したステップ240で目標含水比α’の代わりに用いる。これにより、改良土の締め固め性Sを所望の値に(最適に)制御することができるので、最適な締め固め性が望まれる路床、路盤材等、近年の拡大された用途における種々の強度発現態様のニーズに対して、十分に対応することができる。
【0094】
本発明の他の実施の形態を図19により説明する。本実施の形態は、上記本発明の一実施の形態、図11乃至図13、図14乃至図17、あるいは図18の変形例において、誘電率を検出することにより土砂の含水比を測定する前記含水比測定装置77に代えて、マイクロ波の減衰量により土砂の含水比αを測定する含水比測定装置77Aを用いた実施の形態である。なお、他の構成は上記本発明の固化材制御装置の一実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0095】
図19は、本発明の固化材制御装置の他の実施の形態に備えられる含水比測定装置77Aの全体構造を表す図である。この図19において、含水比測定装置77Aは、土砂にマイクロ波を当て、その土砂を通過するマイクロ波の減衰量により含水比を測定するものであり、例えば、前記自走式土質改良機の搬送コンベア4の土砂の搬送経路において、土砂がホッパ2を出てフィーダ32により固化材を添加されるまでの間に設けらている。すなわち、前記搬送コンベア4の幅方向一方側に設けられ、所定量のマイクロ波を送波する発生器91と、前記搬送コンベア4の幅方向他方側に設けられ、前記発生器91から送波されたマイクロ波の受波量を測定する測定器92とからなり、搬送コンベア4によりこれらの間を通過する搬送土砂に発生器91が所定量のマイクロ波を当て、その土砂を通過したマイクロ波量を測定器92により測定するようになっている。
【0096】
なお、発生器91あるいは測定器92が搬送ベルト26上の搬送土砂と接触しないように、搬送ベルト26の幅方向両側には、略板状のカバー93が設けられている。
【0097】
また、前記測定器92は、前記コントローラと電気的に接続しており、測定したマイクロ波量を含水比αに変換し、コントローラに出力するようになっている。コントローラは、この入力された含水比αに基づき、先の図9、図13、あるいは図17で説明した制御を行うようになっている。
【0098】
なお、本実施の形態においては、含水比測定装置77Aが特許請求の範囲各項記載の受け入れた土砂の含水比を検出する含水比検出手段を構成する。
【0099】
以上のように構成された本実施の形態によっても、上記本発明の一実施の形態、図11乃至図13、図14乃至図17、あるいは図18の変形例と同様の効果を得る。
【0100】
なお、以上においては、混合装置3において、パドルミキサ61を用いたミキシング方式で土砂と固化材との混合を行ったが、これに限られるものではなく、特開平9−195265号公報のようにいわゆる解砕方式による混合装置を用いてもよい。また、走行手段として無限軌道履帯10を備える場合を例にとって説明したが、これにも限られず、ホイール式等で走行手段を構成することもできる。さらに、ホッパ2上に設ける篩ユニット1を振動篩としたが、これに限られず、固定篩としても良い。これらの場合も、同様の効果を得る。
【0101】
【発明の効果】
本発明によれば、投入された土砂の含水比と乾燥重量に応じて固化材を供給するので、投入土砂と反応して強度を発現させる際の発現強度の大小、発現時期、あるいは締め固め性等を制御することができる、したがって、近年の拡大された用途における種々の強度発現態様のニーズに対して、十分に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の固化材制御装置の一実施の形態を適用する自走式土質改良機の全体構造を表す側面図である。
【図2】本発明の固化材制御装置の一実施の形態を適用する自走式土質改良機の全体構造を表す上面図である。
【図3】本発明の固化材制御装置の一実施の形態を適用する自走式土質改良機に備えられた固化材供給装置の全体構造を表す側断面図である。
【図4】本発明の固化材制御装置の一実施の形態を構成するフィーダの詳細構造を表す側断面図である。
【図5】本発明の固化材制御装置の一実施の形態を構成する混合装置の詳細構造を表す上面図である。
【図6】図5中VI−VI断面による側断面図である。
【図7】本発明の固化材制御装置の一実施の形態を構成する含水比測定装置の全体構造を模式的に表す図である。
【図8】本発明の固化材制御装置の一実施の形態を構成する土砂供給量測定装置の全体構造を模式的に表す図である。
【図9】本発明の固化材制御装置の一実施の形態を構成するコントローラによる制御手順を表すフローチャートである。
【図10】事前試験により求められた、改良土の強度と土砂乾燥重量に対する固化材の混合比との関係を表す図である。
【図11】本発明の固化材制御装置の一実施の形態において、土砂の含水比の変化に応じて固化材の供給量を制御する変形例にて用いる含水比を種々変えた事前試験により求められた改良土の強度と土砂乾燥重量に対する固化材の混合比との関係を表す図である。
【図12】本発明の固化材制御装置の一実施の形態において、土砂の含水比の変化に応じて固化材の供給量を制御する変形例にて用いる所望の強度を得るための、改良土の含水比と土砂乾燥重量に対する固化材の混合比との関係を表す図である。
【図13】本発明の固化材制御装置の一実施の形態において、土砂の含水比の変化に応じて固化材の供給量を制御する変形例におけるコントローラの制御手順を表すフローチャートである。
【図14】本発明の固化材制御装置の一実施の形態において含水比を制御する変形例に備えられた含水比調整装置の全体構造を表す側面図である。
【図15】本発明の固化材制御装置の一実施の形態において含水比を制御する変形例に備えられた含水比調整装置の全体構造を表す上面図である。
【図16】本発明の固化材制御装置の一実施の形態において含水比を制御する変形例に備えられた含水比調整装置の全体構造を表す前面図である。
【図17】本発明の固化材制御装置の一実施の形態において、土砂の含水比を制御する変形例におけるコントローラによる制御手順を表すフローチャートである。
【図18】本発明の固化材制御装置の一実施の形態において、土砂の含水比を制御する変形例にて用いる事前試験により求められた改良土の締め固め性と含水比との関係を表す図である。
【図19】本発明の固化材制御装置の他の実施の形態に備えられた含水比測定装置の全体構造を表す図である。
【符号の説明】
2 ホッパ
3 混合装置
32 フィーダ(供給手段、第1供給調整手段、制御手段)
77 含水比測定装置(含水比検出手段、制御手段)
77A 含水比測定装置(含水比検出手段、制御手段)
78 土砂供給量測定装置(土砂検出手段、制御手段)
86 含水比調整装置(含水比調整手段)
α 含水比
α’ 目標含水比
β 湿潤重量
γ 土砂乾燥重量
δ 回転速度指令
ε 混合比
ζ 散水量指令
Claims (3)
- 受け入れた土砂に固化材を供給して土砂を改質する自走式土質改良機の固化材制御装置において、
前記受け入れた土砂の含水比を検出する含水比検出手段と、
前記受け入れた土砂の湿潤重量を検出する土砂検出手段と、
この土砂検出手段で検出した湿潤重量と前記含水比検出手段で検出した含水比とから土砂の乾燥重量を決定する乾燥重量決定手段と、
この乾燥重量決定手段により決定した乾燥重量と含水比の異なる各種土砂に対して所要強度の改良土を得るために必要な固化材の混合比とを基に固化材の供給量を演算するコントローラと、
このコントローラにより演算された量の固化材を土砂に供給する供給手段と
を備えたことを特徴とする自走式土質改良機の固化材制御装置。 - 受け入れた土砂に固化材を供給して土砂を改質する自走式土質改良機の固化材制御装置において、
予め検出した土砂の含水比が入力される入力手段と、
前記受け入れた土砂の湿潤重量を検出する土砂検出手段と、
この土砂検出手段で検出した湿潤重量と前記入力手段で入力した含水比とから土砂の乾燥重量を決定する乾燥重量決定手段と、
この乾燥重量決定手段により決定した乾燥重量と含水比の異なる各種土砂に対して所要強度の改良土を得るために必要な固化材の混合比とを基に固化材の供給量を演算するコントローラと、
このコントローラにより演算された量の固化材を土砂に供給する供給手段と
を備えたことを特徴とする自走式土質改良機の固化材制御装置。 - 請求項1又は2に記載された固化材制御装置を備えたことを特徴とする自走式土質改良機。
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