JP3711765B2 - 高耐熱性触媒担体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の排ガス浄化用触媒の担体として有用な、Al−Ti複合酸化物を主成分とする高耐熱性触媒担体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の排ガス浄化用触媒の担体としては、比表面積が大きく活性の高いアルミナ( Al2O3)が広く用いられている。また近年、酸素過剰のリーン雰囲気の排ガス中においても窒素酸化物(NOx )を浄化することが課題となり、 Al2O3などの担体に、貴金属とともにアルカリ金属やアルカリ土類金属からなるNOx 吸蔵材を担持した触媒が開発されている(特開平5-317652号など)。この触媒によれば、NOx はNOx 吸蔵材に吸着され、それがHCなどの還元性ガスと反応して浄化されるため、リーン雰囲気においてもNOx の排出を抑制することができる。
【0003】
ところが排ガス中には燃料に含まれる硫黄に起因するSO2 が含まれ、これが貴金属上でリーン雰囲気中の酸素と反応してSO3 などのSOx となる。これらがアルカリ性のNOx 吸蔵材と反応して亜硫酸塩や硫酸塩が生成し、これによりNOx 吸蔵材の機能が低下することが明らかとなった。この現象は硫黄被毒と称されている。また、 Al2O3などの多孔質担体はSOx を吸着しやすいという性質があることから、上記硫黄被毒が促進されるという問題がある。
【0004】
一方、TiO2はSO2 を吸着しにくいので、TiO2担体を用いることが想起され実験が行われた。その結果、SO2 はTiO2には吸着されずそのまま下流に流れ、貴金属と直接接触したSO2 のみが酸化されるだけであるので硫黄被毒の程度は少ないことが明らかとなった。ところがTiO2担体では初期活性が低く、耐久試験後のNOx の浄化性能も低いままであるという不具合があることも明らかとなった。
【0005】
そこで特開平8-099034号公報には、TiO2−Al2O3 などの複合金属酸化物からなる担体を用いることが提案されている。これによりNOx 吸蔵材の硫黄被毒が抑制され、耐久試験後にも高いNOx 浄化能が確保できる。
このような複合金属酸化物を製造する方法として、例えば特公平2-033644号公報に開示された製造方法が知られている。この製造方法は、2種類以上の含酸素有機金属化合物を、多座あるいは架橋配位能を有する極性化合物を含む溶液中で混合し、加水分解によりゲル化させた後、乾燥・焼成することを特徴としている。この製造方法によれば、比較的均一な複合金属酸化物を容易に製造することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特公平2-033644号公報には、含酸素有機金属化合物として金属アルコキシドなどが例示されている。そこでAl−Ti複合酸化物を製造するために上記製造方法を利用しようとすれば、アルミニウムアルコキシドとチタンアルコキシドを用いることが考えられる。
【0007】
ところがアルミニウムアルコキシドとチタンアルコキシドでは加水分解速度が異なるために、特公平2-033644号公報に開示された製造方法によりAl−Ti複合酸化物を製造すると、充分に均一な組成のAl−Ti複合酸化物を得ることが困難であった。
そのため特公平2-033644号公報に開示された製造方法により得られたAl−Ti複合酸化物を担体とした排ガス浄化用触媒では、TiO2による硫黄被毒抑制作用が不充分となり、耐久試験後のNOx 浄化率の低下の抑制が不充分であった。
【0008】
そこで本願発明者らは、鋭意研究の結果、アルミニウムアルコキシドの少なくとも一つ以上のアルコキシル基がキレート剤で置換された置換Alアルコキシドと、チタンの塩及びアルコキシドの少なくとも一方とを有機溶媒中で混合した溶液を調製し、アルコキシドを加水分解した後乾燥・焼成する製造方法を開発した。この製造方法によれば、比表面積が大きくかつ均一な組成のAl−Ti複合酸化物が得られる。
【0009】
しかしながら上記した製造方法をさらに改良すべく研究を重ねたところ、アルミニウムアルコキシドとしてイソプロポキシドを用いた場合には、得られたAl−Ti複合酸化物は高温下において十分な耐熱性が得られない場合があることが明らかとなった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、Al−Ti複合酸化物からなる触媒担体の耐熱性を一層向上させることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1に記載の高耐熱性触媒担体の製造方法の特徴は、アルミニウムアルコキシドの少なくとも一つのアルコキシル基をキレート剤で置換した置換 Al アルコキシドと、 Ti を含む塩及び有機チタン化合物の少なくとも一方と、 La 及び Zr の少なくとも一方を含む塩及び有機金属化合物の少なくとも一方とを有機溶媒中で混合した溶液を調製し、アルコキシドを加水分解した後、乾燥・焼成することにある。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、Al−Ti複合酸化物の製造に特公平2-033644号公報に開示された製造方法を応用すべく研究を行った。しかしながらこの製造方法でAl−Ti複合酸化物を製造すると、焼成温度が 900℃程度以上の場合には比表面積が低下すること、また焼成によりα-Al2O3が生成することなどが明らかとなり、製造されたAl−Ti複合酸化物中には複合酸化物を構成しない遊離の Al2O3が多く残存していることがわかった。
【0013】
そしてこの原因を追求した結果、アルミニウムアルコキシドの方がチタンアルコキシドより加水分解速度が大きいことが明らかとなったのである。つまりアルミニウムアルコキシドとチタンアルコキシドとが共存した状態で加水分解すると、アルミニウムアルコキシドの方が速く加水分解するために、焼成後複合化しない Al2O3が残留する。このように遊離した Al2O3は、高温でα-Al2O3となって比表面積が低下する。したがってこのAl−Ti複合酸化物を排ガス浄化用触媒の触媒担体として用いると、使用中に活性が低下するという不具合が生じる。
【0014】
そこで本発明の製造方法では、アルミニウムアルコキシドの少なくとも一つのアルコキシル基をキレート剤で置換した置換Alアルコキシドを用いている。加水分解速度は、置換Alアルコキシドの方がアルミニウムアルコキシドより小さく、置換Alアルコキシドとチタンアルコキシドの加水分解速度はほぼ同等となる。
【0015】
また置換Alアルコキシドを用いることにより、アルミニウムとチタンとがキレート剤を介して化合して安定化すると考えられる。そして置換Alアルコキシドは、有機溶媒中で安定して存在している。したがって、キレート剤の解離により加水分解速度の大きいアルミニウムアルコキシドが遊離するような不具合が生じない。
【0016】
これらの理由により、Al−Ti複合酸化物中に複合酸化物を構成しない遊離の Al2O3が残存するのが抑制されるため、比表面積が大きくかつ均一な組成のAl−Ti複合酸化物が得られる。したがってこのAl−Ti複合酸化物を排ガス浄化用触媒の触媒担体として用いれば、使用中に活性が低下するような不具合がなく耐久性が向上する。
【0017】
そして得られた触媒担体では、La及びZrの少なくとも一方の酸化物を添加成分として含んでいる。この添加成分を含むことにより、遊離の Al2O3のα化が抑制されるため、一層比表面積が大きくかつ均一な組成のAl−Ti複合酸化物が得られる。したがってこの高耐熱性触媒担体によれば、使用中に活性が低下するような不具合がなく耐久性が一層向上する。
【0018】
この添加成分であるLa及びZrの酸化物は、いずれも Al2O3のα化を抑制する作用を有しているが、ランタン酸化物の方がジルコニウム酸化物よりその作用が大きいので、ランタン酸化物を用いることがより望ましい。
ジルコニウム酸化物としては、ZrO2ばかりでなくZrと他の金属との複合酸化物も用いることができる。またランタン酸化物としては、 La2O3ばかりでなく他の酸化数の酸化ランタン及びLaと他の金属との複合酸化物も用いることができる。
【0019】
例えばZrO2は、TiO2に対するモル比で1〜5倍含むことが望ましい。ZrO2がTiO2と同モル未満では添加した効果が得られず、5倍モルを超えて添加すると耐熱性が低下するようになる。またランタン酸化物は、 Al2O3に対して 0.5〜20重量%含むことが望ましい。 0.5重量%未満では添加した効果が得られず、20重量%を超えて添加すると耐熱性が低下するようになる。
【0020】
なお、ジルコニウム酸化物及びランタン酸化物のどちらか一方を添加してもよいし、両方を添加することもできる。またこの添加成分は、単独酸化物としてAl−Ti複合酸化物中に存在していてもよいが、 Al2O3及びTiO2の少なくとも一方と複合酸化物を構成して存在していることが望ましい。この高耐熱性触媒担体は、請求項1に記載の製造方法で製造することができる。
【0021】
さらにZrO2はRhと共に用いると、還元性雰囲気において水蒸気改質反応や水性ガスシフト反応による水素生成活性が高い。したがってZrO2を添加成分とした本発明の高耐熱性触媒担体を用いた排ガス浄化用触媒では、還元性雰囲気の排ガス中における水素生成活性を高くできるため、サルフェートを還元する能力に優れている。これによりNOx 吸蔵材など触媒成分の耐硫黄被毒性が向上し、耐熱性が向上する。
【0022】
請求項1に記載の製造方法において、アルミニウムアルコキシドとしては、乾燥などの容易さからアルコキシル基の炭素数が1〜5のアルコキシドが好ましく、アルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムブトキシド、アルミニウムイソブトキシドなどを用いることができる。
【0023】
本発明の製造方法では、上記アルミニウムアルコキシドのアルコキシル基の少なくとも一つがキレート剤で置換された置換Alアルコキシドを用いている。アルミニウムアルコキシドのアルコキシル基の全部がキレート剤で置換されていると、得られる触媒担体の比表面積が低下する場合がある。したがってアルコキシル基の1〜2個がキレート剤で置換された置換Alアルコキシドが用いられ、なかでも2個のアルコキシル基がキレート剤で置換されたものは、加水分解速度がチタンアルコキシドの加水分解速度により接近しているので特に望ましい。
【0024】
Al2O3源としての置換Alアルコキシドは、アルミニウムトリイソプロポキシアルコキシド(Al(O-i-C3H7)3 )のアルコキシル基の少なくとも一つがキレート剤で置換された置換Alイソプロポキシドを用いることが好ましい。イソプロポキシル基をアセト酢酸エチルで置換した置換Alイソプロポキシドは、室温で2−プロパノールに溶解するので、触媒担体の収率が2倍に向上するという効果が得られる。しかしAl(O-i-C3H7)3 のイソプロポキシル基の全部がキレート剤で置換されていると、得られるAl−Ti複合酸化物の比表面積が低下する場合がある。したがってイソプロポキシル基の1〜2個がキレート剤で置換された置換Alイソプロポキシドを用いることが望ましい。なかでも2個のイソプロポキシル基がキレート剤で置換されたものは、加水分解速度がチタンアルコキシドの加水分解速度により接近しているので特に望ましい。
【0025】
キレート剤としては、ジメチルグリオキシム、ジチゾン、オキシン、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、グリシン、EDTA、NTAなどを用いることができる。
TiO2源であるチタンの塩としては、用いる有機溶媒に溶解する塩が用いられ、硝酸塩、塩化物、酢酸塩、あるいはチタン酸アンモニウム、チタン錯体などを用いることができる。
【0026】
またTiO2源であるチタンアルコキシドとしては、乾燥などの容易さからアルコキシル基の炭素数が1〜5のアルコキシドが好ましく、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンイソプロポキシド、チタンブトキシド、チタンイソブトキシドなどを用いることができる。
Al2O3源とTiO2源との混合割合は、目的とする高耐熱性触媒担体の用途などに応じて決められる。自動車の排ガス浄化用触媒の担体として利用される場合には、 Al2O3が多くなるほど耐熱性が向上し、TiO2が多くなるほど耐硫黄被毒性が向上するが、両者のバランスを取るためにはTiO2/ Al2O3=2/1〜1/12の範囲となるように混合するのが好ましい。
【0027】
La及びZrの少なくとも一方を含む塩及び有機金属化合物としては、酢酸ランタン、ジルコニウムテトライソブトキシド、ランタントリイソプロポキシドなどが例示され、用いられる有機溶媒に可溶のものが用いられる。
有機溶媒としては、混合される化合物を溶解するものが用いられ、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert−ブタノールなどを用いることができる。
【0028】
溶液中のアルコキシドを加水分解するには、空気中の水分を利用することもできるが、溶液を所定温度で攪拌しながら水を添加することが好ましい。反応を急激に行わせることにより、得られる高耐熱性触媒担体の比表面積を一層大きくすることができる。
この水の添加量は、少なすぎると加水分解に長時間必要となり、多すぎると均一な加水分解が困難となって高耐熱性触媒担体の組成が不均一となる。したがって水の添加量は、用いる置換Alアルコキシドに対してモル比で 0.5〜20の範囲が好ましく、モル比で1〜10の範囲が特に望ましい。
【0029】
また加水分解反応を一層促進するために、アンモニア、炭酸アンモニウム、アミン類などのアルカリ物質、あるいは蟻酸、シュウ酸、酒石酸などの酸類からなる加水分解促進剤を添加することも好ましい。
この加水分解工程における加熱温度は、35〜 150℃の範囲とすることが望ましい。35℃未満では反応速度が小さくて比表面積が小さくなる。また加熱温度が 150℃を超えると、置換Alアルコキシドなどのアルコキシドが分解する場合がある。40〜 100℃の範囲とするのが特に望ましい。
【0030】
加水分解後、析出物が乾燥されて溶媒などが除去され、次いで焼成されることで高耐熱性触媒担体が得られる。乾燥条件は特に制限されない。また焼成温度は、 500〜1200℃とすることが好ましい。 500℃未満では安定した高耐熱性触媒担体の形成が困難となり、1200℃を超えると高耐熱性触媒担体の比表面積が低下する。
【0031】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
図1に示す模式図に従ってAl−Ti−Zr複合酸化物を製造した。
先ず Al2O3源としてのエチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート(Al-EAA)(置換Alアルコキシド)を75%溶解した2−プロパノール溶液 493.2gと、TiO2源としてのチタンテトライソプロポキシド( Ti(O-i-C3H7)4)96.0gと、ジルコニウムテトライソブトキシド(Zr(O-i-C4H9)4 )を85%溶解した2−プロパノール溶液15.2gとを 911.5gの2−プロパノール中に加え、82℃で2時間攪拌して溶解した(図1(A))。
【0032】
次に上記溶液を環流下で82℃に保持して攪拌しながら、 299.0gのイオン交換水を滴下してアルコキシドを加水分解し、環流下の82℃で5時間攪拌を続けて熟成を行った(図1(B))。
その後減圧乾燥して溶媒を除去し、さらに 120℃で12時間乾燥した(図1(C))。その後 480℃で4時間仮焼し、大気中にて 900℃で5時間焼成して(図1(D))、本実施例の高耐熱性触媒担体粉末を得た。また焼成を1000℃で5時間の条件としたものも併せて製造した。
【0033】
得られた2種類の高耐熱性触媒担体粉末の比表面積をBET法にて測定し、結果をそれぞれ表1に示す。
(実施例2)
加水分解前の溶液の組成とイオン交換水の添加量を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にして2種類の高耐熱性触媒担体を得た。
【0034】
Al-EAAの75%溶液 : 422.9g
Ti(O-i-C3H7)4 : 82.3g
Zr(O-i-C4H9)4の85%溶液: 65.3g
2−プロパノール : 851.0g
イオン交換水 : 281.7g
そして実施例1と同様にして比表面積を測定し、結果を表1に示す。
【0035】
(実施例3)
加水分解前の溶液の組成とイオン交換水の添加量を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にして2種類の高耐熱性触媒担体を得た。
Al-EAAの75%溶液 : 358.9g
Ti(O-i-C3H7)4 : 69.8g
Zr(O-i-C4H9)4 の85%溶液: 110.9g
2−プロパノール : 796.1g
イオン交換水 : 265.6g
そして実施例1と同様にして比表面積を測定し、結果を表1に示す。
【0036】
(実施例4)
加水分解前の溶液の組成とイオン交換水の添加量を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にして2種類の高耐熱性触媒担体を得た。
Al-EAAの75%溶液 : 275.5g
Ti(O-i-C3H7)4 : 53.6g
Zr(O-i-C4H9)4 の85%溶液: 170.2g
2−プロパノール : 724.4g
イオン交換水 : 244.7g
そして実施例1と同様にして比表面積を測定し、結果を表1に示す。
【0037】
(実施例5)
加水分解前の溶液の組成とイオン交換水の添加量を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にして2種類の高耐熱性触媒担体を得た。
Al-EAAの75%溶液 : 467.1g
Ti(O-i-C3H7)4 : 30.3g
Zr(O-i-C4H9)4 の85%溶液: 96.2g
2−プロパノール : 844.0g
イオン交換水 : 276.6g
そして実施例1と同様にして比表面積を測定し、結果を表1に示す。
【0038】
(実施例6)
加水分解前の溶液の組成とイオン交換水の添加量を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にして2種類の高耐熱性触媒担体を得た。
Al-EAAの75%溶液 : 335.1g
Ti(O-i-C3H7)4 : 21.7g
Zr(O-i-C4H9)4 の85%溶液: 172.6g
2−プロパノール : 743.3g
イオン交換水 : 248.0g
そして実施例1と同様にして比表面積を測定し、結果を表1に示す。
【0039】
(実施例7)
加水分解前の溶液の組成とイオン交換水の添加量を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にして2種類の高耐熱性触媒担体を得た。
Al-EAAの75%溶液 : 627.9g
Ti(O-i-C3H7)4 : 40.7g
Zr(O-i-C4H9)4 の85%溶液: 3.2g
2−プロパノール : 966.7g
イオン交換水 : 311.4g
そして実施例1と同様にして比表面積を測定し、結果を表1に示す。
【0040】
(実施例8)
加水分解前の溶液の組成とイオン交換水の添加量を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にして2種類の高耐熱性触媒担体を得た。
Al-EAAの75%溶液 : 293.6g
Ti(O-i-C3H7)4 : 19.0g
Zr(O-i-C4H9)4 の85%溶液: 196.6g
2−プロパノール : 711.7g
イオン交換水 : 239.0g
そして実施例1と同様にして比表面積を測定し、結果を表1に示す。
【0041】
(実施例9)
Zr(O-i-C4H9)4 の代わりに酢酸ランタンを用い、加水分解前の溶液の組成とイオン交換水の添加量を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にして2種類の高耐熱性触媒担体を得た。
Al-EAAの75%溶液 : 512.5g
Ti(O-i-C3H7)4 : 99.7g
(CH3COO)3La : 0.9g
2−プロパノール : 927.6g
イオン交換水 : 304.0g
そして実施例1と同様にして比表面積を測定し、結果を表1に示す。
【0042】
(実施例10)
Zr(O-i-C4H9)4 の代わりに酢酸ランタンを用い、加水分解前の溶液の組成とイオン交換水の添加量を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にして2種類の高耐熱性触媒担体を得た。
Al-EAAの75%溶液 : 510.3g
Ti(O-i-C3H7)4 : 99.3g
(CH3COO)3La : 1.8g
2−プロパノール : 925.2g
イオン交換水 : 303.3g
そして実施例1と同様にして比表面積を測定し、結果を表1に示す。
【0043】
(実施例11)
Zr(O-i-C4H9)4 の代わりに酢酸ランタンを用い、加水分解前の溶液の組成とイオン交換水の添加量を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にして2種類の高耐熱性触媒担体を得た。
Al-EAAの75%溶液 : 497.2g
Ti(O-i-C3H7)4 : 96.7g
(CH3COO)3La : 7.1g
2−プロパノール : 910.9g
イオン交換水 : 299.0g
そして実施例1と同様にして比表面積を測定し、結果を表1に示す。
【0044】
(実施例12)
Zr(O-i-C4H9)4 の代わりに酢酸ランタンを用い、加水分解前の溶液の組成とイオン交換水の添加量を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にして2種類の高耐熱性触媒担体を得た。
Al-EAAの75%溶液 : 479.5g
Ti(O-i-C3H7)4 : 93.3g
(CH3COO)3La : 14.4g
2−プロパノール : 891.6g
イオン交換水 : 293.0g
そして実施例1と同様にして比表面積を測定し、結果を表1に示す。
【0045】
(実施例13)
Zr(O-i-C4H9)4 の代わりに酢酸ランタンを用い、加水分解前の溶液の組成とイオン交換水の添加量を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にして2種類の高耐熱性触媒担体を得た。
Al-EAAの75%溶液 : 448.0g
Ti(O-i-C3H7)4 : 87.2g
(CH3COO)3La : 27.3g
2−プロパノール : 857.3g
イオン交換水 : 282.5g
そして実施例1と同様にして比表面積を測定し、結果を表1に示す。
【0046】
(実施例14)
Zr(O-i-C4H9)4 の代わりに酢酸ランタンを用い、加水分解前の溶液の組成とイオン交換水の添加量を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にして2種類の高耐熱性触媒担体を得た。
Al-EAAの75%溶液 : 425.1g
Ti(O-i-C3H7)4 : 82.7g
(CH3COO)3La : 36.6g
2−プロパノール : 832.3g
イオン交換水 : 274.8g
そして実施例1と同様にして比表面積を測定し、結果を表1に示す。
【0047】
(実施例15)
Zr(O-i-C4H9)4 の代わりに酢酸ランタンを用い、加水分解前の溶液の組成とイオン交換水の添加量を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にして2種類の高耐熱性触媒担体を得た。
Al-EAAの75%溶液 : 513.4g
Ti(O-i-C3H7)4 : 99.9g
(CH3COO)3La : 0.5g
2−プロパノール : 928.5g
イオン交換水 : 304.3g
そして実施例1と同様にして比表面積を測定し、結果を表1に示す。
【0048】
(実施例16)
Zr(O-i-C4H9)4 の代わりに酢酸ランタンを用い、加水分解前の溶液の組成とイオン交換水の添加量を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にして2種類の高耐熱性触媒担体を得た。
Al-EAAの75%溶液 : 415.8g
Ti(O-i-C3H7)4 : 80.9g
(CH3COO)3La : 44.4g
2−プロパノール : 822.2g
イオン交換水 : 271.7g
そして実施例1と同様にして比表面積を測定し、結果を表1に示す。
【0049】
(比較例1)
加水分解前の溶液の組成とイオン交換水の添加量を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にして2種類の高耐熱性触媒担体を得た。
Al-EAAの75%溶液 : 422.9g
Ti(O-i-C3H7)4 : 82.3g
Zr(O-i-C4H9)4 の85%溶液: 0g
2−プロパノール : 763.0g
イオン交換水 : 250.0g
そして実施例1と同様にして比表面積を測定し、結果を表1に示す。
【0050】
(評価)
【0051】
【表1】
【0052】
表1において、各実施例の触媒担体は比較例1の触媒担体に比べて高い比表面積を示し、これはジルコニウム酸化物又はランタン酸化物を添加成分として含む効果であることが明らかである。
また実施例7,8の触媒担体では、実施例5,6の触媒担体に比べて比表面積が低いことから、ZrO2はTiO2に対するモル比で1〜5倍含まれるのが望ましいことがわかる。
【0053】
さらに実施例9〜16を比較することにより、ランタン酸化物は Al2O3に対して 0.5〜20重量%含まれていることが望ましいこともわかる。
以上、本発明の実施例について説明したが、この本発明の実施例には特許請求の範囲に記載した技術的事項以外に次のような各種の技術的事項の実施態様を有するものであることを付記しておく。
(1)トリイソプロポキシアルミニウム(Al(O-i-C3H7)3 )の少なくとも一つのイソプロピル基をキレート剤で置換した置換Alアルコキシドと、チタン(Ti)を含む塩及び有機チタン化合物の少なくとも一方と、ランタン(La)及びジルコニウム(Zr)の少なくとも一方を含む塩及び有機金属化合物の少なくとも一方とを有機溶媒中で混合した溶液を調製し、アルコキシドを加水分解した後、乾燥・焼成することを特徴とする高耐熱性触媒担体の製造方法。
【0054】
【発明の効果】
すなわち本発明で製造される高耐熱性触媒担体によれば、高温で処理した場合でも高い比表面積を有しているので、自動車の排ガス浄化用触媒の担体として用いれば高い耐熱性を有ししている。また添加成分としてZrO2を採用すれば、硫黄被毒も防止することができる。
【0055】
そして本発明の製造方法によれば、比表面積が大きく耐熱性に優れた上記触媒担体を容易にかつ確実に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の製造方法の工程順序を示す説明図である。
Claims (1)
- アルミニウムアルコキシドの少なくとも一つのアルコキシル基をキレート剤で置換した置換Alアルコキシドと、チタン(Ti)を含む塩及び有機チタン化合物の少なくとも一方と、ランタン(La)及びジルコニウム(Zr)の少なくとも一方を含む塩及び有機金属化合物の少なくとも一方とを有機溶媒中で混合した溶液を調製し、アルコキシドを加水分解した後、乾燥・焼成することを特徴とする高耐熱性触媒担体の製造方法。
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