JP3711633B2 - タッチパネル制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電子機器における表示画面に対応して設けられ、該表示画面を直接タッチしてデータ入力するためのタッチパネルを制御するタッチパネル制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばペン入力機能を備えた電子手帳等の情報機器は、表示画面に重ねてタッチパネルが設けられており、該表示画面を直接ペンタッチすると、そのペンタッチ位置が画面領域のX軸及びY軸にに対応付けられてサンプリングされる。
【0003】
これにより、表示画面上でのペンタッチ位置に対応した手書きデータを入力して表示させたり、表示されているデータの指定や選択を行なわせている。
通常、タッチパネルとしては抵抗膜方式のものが使用される。
【0004】
この抵抗膜方式のタッチパネルは、上層と下層の2層の抵抗膜間にX方向及びY方向に交互に直流電圧を印加し、タッチ位置に応じたX方向の出力電圧とY方向の出力電圧とを導出するもので、このタッチパネルにより導出されるタッチ位置に応じたX方向の出力電圧とY方向の出力電圧とをデジタルデータに変換し、表示画面領域のX座標及びY座標に対応付けた値としてサンプリングすることで、手書きデータを入力する場合にはその手書き入力位置に対応する表示ドットの点灯位置が判断され、また、表示データを指定する場合にはその指定位置に対応する表示データの内容が判断される。
【0005】
ここで、前記タッチパネルによるタッチ入力位置の検出精度を上げるため、X方向及びY方向共に、正方向と逆方向の印加電圧に基づきサンプリングされるタッチ位置データの一致を比較し、その誤差が予め設定された誤差許容値内であれば、当該サンプルデータを有効としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のタッチパネルのように、X方向及びY方向共に、正/逆両方向の印加電圧に基づく各サンプルデータの一致を比較して、当該サンプルデータの有効/無効を判断するものにあっては、例えば手書き入力に伴ないタッチパネル上をそのタッチ位置が素早く移動する場合、あるいはタッチ入力に伴なうタッチパネルからの電圧出力にチャタリングが生じた場合には、正方向電圧印加時のサンプルデータと逆方向電圧印加時のサンプルデータとの誤差が大きくなるため、その誤差の許容値を予め大きく設定しないと、サンプルデータの殆どが無効になる問題がある。
【0007】
一方、前記タッチ入力に伴なうサンプル誤差許容値を予め大きく設定すると、サンプルデータの殆どが有効になるものの、入力位置の検出精度が低下するため、実際のタッチ位置から大きくずれたサンプルデータも有効になってしまう問題がある。
【0008】
本発明は、前記のような問題に鑑みなされたもので、ユーザによる入力操作の癖やパネル特性等の影響に拘らず、タッチ入力に伴なうサンプルデータが有効となる割合を適切に設定することが可能になるタッチパネル制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の請求項1に係わるタッチパネル制御装置は、タッチパネルと、前記タッチパネルのX軸、Y軸方向それぞれについて、正方向及び逆方向の電圧を印加し、タッチされた位置の正方向及び逆方向の電圧印加による2種の位置データを検出する入力位置検出手段と、前記入力位置検出手段により検出された2種の位置データの差の誤差許容値を記憶する誤差許容値記憶手段と、前記入力位置検出手段により検出された2種の位置データの差が前記誤差許容値記憶手段に記憶された誤差許容値の範囲内であるか否かにより、検出された位置データの有効/無効を判断する有効/無効判断手段と、前記有効/無効判断手段により前記検出された位置データが有効と判断された回数及び無効と判断された回数をそれぞれ計数する有効/無効回数計数手段と、この有効/無効回数計数手段により計数される検出値有効回数と検出値無効回数との割合に応じて、前記誤差許容値記憶手段に記憶された誤差許容値を増加又は減少させて変更する誤差許容値変更手段とを具備したことを特徴とする。
【0010】
つまり、請求項1に係わるタッチパネル制御装置では、タッチパネルのX軸、Y軸方向それぞれについて、正方向及び逆方向の電圧を印加し、タッチされた位置の正方向及び逆方向の電圧印加による2種の位置データを検出する方式において、検出された2種の位置データの差が誤差許容値記憶手段に記憶された誤差許容値の範囲内であるか否かによりタッチ入力位置の検出値が有効か無効かを判断し、有効と判断された回数及び無効と判断された回数の割合に応じて、前記誤差許容値が増加又は減少変更されるので、タッチ入力位置の検出値が有効と判断される割合を一定に自動補正できることになる。
【0011】
また、本発明の請求項2に係わるタッチパネル制御装置は、請求項1に係わるタッチパネル制御装置であって、前記誤差許容値変更手段、前記有効/無効回数計数手段により計数される検出値有効回数の割合が検出値無効回数の割合より多い場合には前記誤差許容値を減少させ、また、検出値無効回数の割合が検出値有効回数の割合よりも多い場合には前記誤差許容値を増加させて変更する誤差許容値変更手段であることを特徴とする。
【0012】
つまり、請求項2に係わるタッチパネル制御装置では、有効/無効回数計数手段により計数される検出値有効回数の割合が検出値無効回数の割合より多い場合には検出誤差許容値は減少され、検出値無効回数の割合が検出値有効回数の割合よりも多い場合には検出誤差許容値は増加変更されるので、タッチ入力位置の検出精度が低すぎたり、検出値が無効となり過ぎたりせずに、タッチ入力位置の検出値が有効と判断される割合を常に一定に自動補正できることになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明のタッチパネル制御装置の実施形態に係わるペン入力型携帯情報機器の外観構成を示す正面図である。
【0016】
この携帯情報機器本体1は、例えばユーザが片手で十分に把持できる程度の大きさからなり、この情報機器本体1の正面には、タッチパネル液晶表示部2が設けられる。
【0017】
図1における携帯情報機器本体1のタッチパネル液晶表示部2は、動作モードを選択設定するための複数のメニューアイコンを配列したメニュー画面3の表示状態を示している。
【0018】
図2は前記ペン入力型携帯情報機器の電子回路の構成を示すブロック図である。
このペン入力型携帯情報機器の電子回路は、MPU(超小型演算処理装置)11を備えている。
【0019】
MPU11は、タッチパネル液晶表示部2におけるペンタッチ操作に伴ない入力されるタッチ位置に応じたサンプルデータに応じて、ROM12に予め記憶されているシステムプログラムを起動させ、回路各部の動作制御を実行するもので、MPU11には、前記ROM12の他に、RAM13が接続されると共に、タッチパネル液晶表示部2における液晶表示部15がセグメントドライバ16及びコモンドライバ17を介して接続される。
【0020】
タッチパネル液晶表示部2は、液晶表示部15の表示画面上に透明のタッチパネル14を重ねて構成したもので、このタッチパネル14から出力されるペンタッチに伴なう電圧信号は、タッチパネルコントローラ18に入力され、A/Dコンバータ19を介しペンタッチ位置のサンプルデータとしてMPU11に与えられる。
【0021】
前記MPU11に対し、ROM12及びRAM13は何れもその制御信号線と共にアドレスバス20,データバス11を介して接続され、また、セグメントドライバ16及びコモンドライバ17は何れもその制御信号線と共にデータバスを介して接続される。
【0022】
図3は前記ペン入力型携帯情報機器のタッチパネル14におけるペンタッチ位置のサンプリング状態を示す図であり、同図(A)はペンタッチ位置Aに対するX方向及びY方向それぞれの正逆両方向のサンプリング状態を示す図、同図(B)はペンタッチ位置サンプリング時のタッチパネル14に対する電圧印加状態を示す図である。
【0023】
図4は前記ペン入力型携帯情報機器のタッチパネルコントローラ18の構成を示す回路図である。
図5は前記ペン入力型携帯情報機器のタッチパネルコントローラ18におけるペンタッチ位置のサンプリング手順に伴なうスイッチON/OFF状態を示すテーブルである。
【0024】
すなわち、タッチパネル14及びA/Dコンバータ19の制御は、タッチパネルコントローラ18におけるスイッチSW1〜SW11の切り替えを、図5に示すようなスイッチON/OFFパターンに従ってシステム制御することにより実行される。なお、前記タッチパネルコントローラ18におけるスイッチSW1〜SW11は、実際にはトランジスタのスイッチングにより実現される。
【0025】
例えば図1に示すようなペン入力型携帯情報機器におけるメニュー画面3の表示状態では、図5における“STATE2”に対応してSW1,3,9がONになり「ペンINT待ち」の状態となる。
【0026】
ここで、ユーザがメニューアイコンの何れか1つをペンタッチして選択すると、MPU11のPENINT端子が“L”になり、ペン割り込みが発生する。
こうして、MPU11に対しぺん割り込みが発生すると、タッチパネル液晶表示部2のどの位置にぺん入力されたかを検出するため、図5におけるペンタッチ位置のサンプリング手順に従ってタッチパネルコントローラ18及びA/Dコンバータ19が制御され、ペン入力位置に対応するデータがサンプリングされる。このサンプルデータにより、メニュー画面3で選択されたアイコンのメニューが認識され、実際のメニュー処理が開始される。
【0027】
このペンタッチに伴なうデータサンプル処理は、ペンがオフされる、つまり、ペンがタッチパネル14から離れたと判断されるまで、ある一定周期で繰り返し行なわれる。そして、ペンタッチがオフされると、前記「ペンINT待ち」の状態に戻る。
【0028】
図6は前記ペン入力型携帯情報機器のRAM13におけるレジスタの構成を示す図である。
RAM13には、ペン入力位置検出用の各種のデータが記憶されるデータレジスタ13a、MPU11の制御動作に伴ない入出力される各種のデータが必要に応じて一時的に記憶されるワークエリア13b、メモデータやスケジュールデータ,アドレスデータ等が記憶される手帳データレジスタ13c等が備えられる。
【0029】
前記ペン入力位置検出用データレジスタ13aには、タッチパネル14からタッチパネルコントローラ18を介してサンプリングされるX軸正方向及び逆方向のサンプル値(xf,xr)、Y軸正方向及び逆方向のサンプル値(yf,yr)、A/Dコンバータ19の最大サンプル値(ADCMAX )からX軸正方向のサンプル値(xf)を減算したX軸正方向逆算値(xfber )「図面中は“xf”の上に“−”を引いて示す」、A/Dコンバータ19の最大サンプル値(ADCMAX )からY軸正方向のサンプル値(yf)を減算したY軸正方向逆算値(yfber )「図面中は“yf”の上に“−”を引いて示す」、液晶表示部15の表示画面に対応するX軸方向の最小有効サンプル値(XA )、液晶表示部15の表示画面に対応するY軸方向の最小有効サンプル値(YA )、X軸正方向サンプル値(xf)とX軸逆方向サンプル値(xr)とに基づくX正逆サンプル値の誤差許容値(XB )、Y軸正方向サンプル値(yf)とY軸逆方向サンプル値(yr)とに基づくY正逆サンプル値の誤差許容値(YB )、A/Dコンバータ19により得られる最大サンプル値(ADCMAX )、A/Dコンバータ19により得られる最小サンプル値(ADCMIN )、Xサンプル誤差許容値(XB )を決定するための任意固定計数値(α)、Yサンプル誤差許容値(YB )を決定するための任意固定計数値(β)がそれぞれ記憶される。
【0030】
次に、前記構成によるペン入力型携帯情報機器におけるペン入力動作について説明する。
図7は前記ペン入力型携帯情報機器におけるペンサンプルデータ取得処理を示すフローチャートである。
【0031】
すなわち、図3で示したように、タッチパネル14上の点Aがペンタッチされた場合には、まず、X軸,Y軸それぞれの正逆方向のサンプリングが順次連続して行なわれ、X軸正方向サンプル値(xf),X軸逆方向サンプル値(xr),Y軸正方向サンプル値(yf)、Y軸逆方向サンプル値(yr)が取得され、RAM13内に記憶される(ステップS1)。
【0032】
ここで、例として前記X軸正方向サンプル値(xf)の取得手順について説明する。
まず、図5における“STATE0”に対応してタッチパネルコントローラ18の全スイッチSW1〜SW11がオフされ、「アイドル状態」(タッチパネル14の端子XL,XR,YU,YDが浮いた状態)に設定される。
【0033】
次に、“STATE3”に対応してスイッチSW1,4,10がオンされてtA (約50μs)秒間A/D変換コンバータ19のX入力が“L”にセットされ、タッチパネル14の残留電圧が開放される(ペン入力がオフのときにタッチパネル14に残留している電圧をA/D値としないようにするためのサンプル前処理)。
【0034】
次に、“STATE4”に対応してスイッチSW1,4がオンされてデータサンプルを行なうためのパネル準備が行なわれる。つまり、A/D変換コンバータ19のX入力にかかるペン入力によるパネル14の出力電圧が安定する時間であるtB 秒後にA/D変換コンバータ19がアクティブにされ、X軸正方向のサンプリングが行なわれ、そのサンプル値(xf)が取得されてRAM13内に記憶される。
【0035】
すると、タッチパネル14は前記アイドル状態に戻され、続いて、X軸逆方向サンプル値(xr)、Y軸正方向サンプル値(yf)、Y軸逆方向サンプル値(yr)が前記同様の処理により順次取得されてRAM13内に記憶される。
【0036】
こうして、X軸正逆それぞれのサンプル値(xf,xr)及びY軸正逆それぞれのサンプル値(yf,yr)が取得されてRAM13に記憶されると、ペン入力がオフされたか否か判断される(ステップS2)。
【0037】
ペン入力がオフのときのサンプルデータは、基本的に“0”又は“0”に近い値を示し、また、タッチパネル14は液晶表示部15の表示画面より大きいので、表示画面の範囲外のデータを示したときには、ペン入力がオフされたと判断される。
【0038】
つまり、前記RAM13に記憶されたX軸正逆それぞれのサンプル値(xf,xr)がX軸の最小有効サンプル値(XA )以下であるか、又は、Y軸正逆それぞれのサンプル値(yf,yr)がY軸の最小有効サンプル値(YA )以下である場合には、ペン入力がオフされたと判断される(ステップS2)。
【0039】
前記ステップS2において、ペン入力がオフされてないと判断された場合には、前記X軸及びY軸に関するサンプル値が有効か否かが判断される(ステップS3)。
【0040】
つまり、X軸,Y軸それぞれ正方向の各サンプル値(xf)(yf)を、A/D最大サンプル値(ADCMAX )から減算し、これをそれぞれX方向逆算値(xfber )及びY方向逆算値(yfber )とし、このX方向逆算値(xfber )及びY方向逆算値(yfber )とX軸,Y軸それぞれ逆方向の各サンプル値(xr)(yr)とを減算比較し、その差がX軸方向でXサンプル誤差許容値(XB )以内、且つY軸方向でYサンプル誤差許容値(YB )以内であれば、前記各サンプル値(xf,xr)(yf,yr)は有効と判断される(ステップS3)。
【0041】
ここで、前記Xサンプル誤差許容値(XB )及びYサンプル誤差許容値(YB )は、図8及び図9を参照して後述するペン入力設定機能によりユーザにより任意の許容値に設定される。
【0042】
前記ステップS3において、前記X軸正逆それぞれのサンプル値(xf,xr)及びY軸正逆それぞれのサンプル値(yf,yr)が有効であると判断されると、同ステップS3において減算比較されたX方向逆算値(xfber )及びY方向逆算値(yfber )とX軸逆方向サンプル値(xr)及びY軸逆方向サンプル値(yr)とがそれぞれ加算されて平均かされ、これがペンタッチ位置Aに対応するXYサンプルデータ(x,y)として取得される(ステップS4)。
【0043】
前記Xサンプル誤差許容値(XB )及びYサンプル誤差許容値(YB )は、その値を小さくすればするほど、X軸及びY軸の各サンプル値が有効データとして判断される条件が厳しくなるので結果的にペン入力が入りにくい状態となるが、これに伴ない、前記誤差許容値(XB )(YB )を極端に小さくすると、ペン入力ができない状態になり得るので、ペン入力可能な最小値をもって設定する必要がある。
【0044】
また、前記Xサンプル誤差許容値(XB )及びYサンプル誤差許容値(YB )は、その値を大きくすればするほど、X軸及びY軸の各サンプル値が有効データとして判断される条件が緩んでくるので結果的にペン入力が入りやすい状態となるが、これに伴ない、実際にペンタッチしている位置から次第に離れた点がサンプル値として取得されてしまう可能性が出てくるので、この場合も、ペン入力のサンプリング精度に悪影響が出ない程度の最大値をもって設定する必要がある。
【0045】
図8は前記ペン入力型携帯情報機器においてXサンプル誤差許容値(XB )及びYサンプル誤差許容値(YB )を設定するためのペン入力設定画面の表示状態を示す図である。
【0046】
携帯情報機器本体1のタッチパネル表示部2に表示されているペン入力設定画面において、“hard”アイコン31をペンタッチすると、当該“hard”アイコン31がペンタッチされる毎に、スライダ33が“hard”方向に移動表示されると共に、Xサンプル誤差許容値(XB )及びYサンプル誤差許容値(YB )の値は減少され、ペン入力の入りにくい状態に設定される。
【0047】
また、“soft”アイコン32をペンタッチすると、当該“soft”アイコン32がペンタッチされる毎に、スライダ33が“soft”方向に移動表示されると共に、Xサンプル誤差許容値(XB )及びYサンプル誤差許容値(YB )の値は増加され、ペン入力の入りやすい状態に設定される。
【0048】
そして、“設定終了”アイコン34をペンタッチすると、その直前の誤差許容設定値(XB ,YB )が有効となってRAM13に記憶され、ペン入力設定モードが終了される。
【0049】
図9は前記ペン入力型携帯情報機器においてXサンプル誤差許容値(XB )及びYサンプル誤差許容値(YB )を設定するためのペン入力設定処理を示すフローチャートである。
【0050】
すなわち、Xサンプル誤差許容値(XB )及びYサンプル誤差許容値(YB )を設定するためのペン入力設定処理が起動されると、タッチパネル液晶表示部2にペン入力設定画面(図8参照)が表示されると共に、ペン入力待ちの状態となり、ペン入力があると、そのペンタッチ位置が“hard”アイコン31の表示位置であるか否か判断される(ステップA1,A2)。
【0051】
このステップA2において、“N”と判断された場合、つまり、ペンタッチ位置が“hard”アイコン31の表示位置以外であると判断されると、ステップA5以降の処理に移行する(ステップA2→A5)。
【0052】
一方、前記ステップA2において、“Y”と判断された場合、つまり、ペンタッチ位置が“hard”アイコン31の表示位置であると判断された場合には、A/D最大サンプル値(ADCMAX )とA/D最小サンプル値(ADCMIN )との間で可変設定される変数(ADC)が、前記A/D最小サンプル値(ADCMIN )よりも大きいか否か判定される(ステップA2→A3)。
【0053】
ここで、(ADC)=(ADCMIN )である場合には、これ以上(ADC)は減少しないので、ステップA5以降の処理に移行する(ステップA3→A5)。この場合、タッチパネル液晶表示部2に表示されているペン入力設定画面のスライダ33は、“hard”側の最大位置に表示される。
【0054】
また、前記ステップA3において、“Y”と判断された場合、つまり、変数(ADC)が前記A/D最小サンプル値(ADCMIN )よりも大きいと判断された場合には、該変数(ADC)の値が(−1)されて減少更新され、この更新された変数(ADC)及びXB 決定用固定係数値(α),YB 決定用固定係数値(β)に基づき、下式(1)及び下式(2)に従って、Xサンプル誤差許容値(XB )及びYサンプル誤差許容値(YB )がそれぞれその許容値が小さくなる方向へ更新設定される(ステップA3→A4)。
【0055】
XB =α×ADC …式(1)
YB =β×ADC …式(2)
ここで、前記XB 決定用固定係数値(α),YB 決定用固定係数値(β)は、何れも任意の固定値であり、変数(ADC)の値“1”に相当する分のXサンプル誤差許容値(XB )及びYサンプル誤差許容値(YB )は、該係数値(α),(β)により定められる。
【0056】
次に、ステップA5において、“Y”と判断された場合、つまり、ペンタッチ位置が“soft”アイコン32の表示位置であると判断された場合には、前記変数(ADC)が、前記A/D最大サンプル値(ADCMAX )よりも小さいか否か判定される(ステップA5→A6)。
【0057】
ここで、(ADC)=(ADCMAX )である場合には、これ以上(ADC)は増加しないので、ステップA8の処理に移行する(ステップA6→A8)。
この場合、タッチパネル表示部2に表示されているペン入力設定画面のスライダ33は、“soft”側の最大位置に表示される。
【0058】
また、前記ステップA6において、“Y”と判断された場合、つまり、変数(ADC)が前記A/D最大サンプル値(ADCMAX )よりも小さいと判断された場合には、該変数(ADC)の値が(+1)されて減少更新され、この更新された変数(ADC)及びXB 決定用固定係数値(α),YB 決定用固定係数値(β)に基づき、上式(1)及び上式(2)に従って、Xサンプル誤差許容値(XB )及びYサンプル誤差許容値(YB )がそれぞれその許容値が大きくなる方向へ更新設定される(ステップA6→A7)。
【0059】
そして、前記ペン入力設定画面に表示されている“設定終了”アイコン34がペンタッチされると、前記ステップA4あるいはA7において更新設定されたXサンプル誤差許容値(XB )及びYサンプル誤差許容値(YB )がRAM13に記憶され、一連のペン入力設定モードが終了される(ステップA8→設定終了)。
【0060】
なお、前記“設定終了”アイコン34がペンタッチされない場合には、ペン入力待ちの状態に復帰される(ステップA8→A1)。
したがって、前記構成のペン入力型携帯情報機器によれば、タッチパネル液晶表示部2にペン入力設定画面を表示させ、“hard”アイコン31をペンタッチすると、そのペンタッチ毎にスライダ33が“hard”側に移動表示されると共に、Xサンプル誤差許容値(XB )及びYサンプル誤差許容値(YB )がそれぞれその許容値が小さくなる方向へ更新設定され、ペン入力が入りにくくなる反面ペン入力位置のサンプリング精度が高くなり、また、“soft”アイコン32をペンタッチすると、そのペンタッチ毎にスライダ33が“soft”側に移動表示されると共に、Xサンプル誤差許容値(XB )及びYサンプル誤差許容値(YB )がそれぞれその許容値が大きくなる方向へ更新設定され、ペン入力位置のサンプリング精度が低くなる反面ペン入力が入りやすくなるので、ユーザ各個人のペン入力の癖やタッチパネルの入力特性等に応じて最適なサンプル誤差許容値を設定することができ、サンプリング精度が低下しすぎることなく、しかもペン入力が入りにくくならない状態で、ペン入力に伴なうサンプル値を得ることができる。
【0061】
なお、前記実施形態では、ペン入力設定画面における“hard”アイコン31や“soft”アイコン32をペンタッチすることで、Xサンプル誤差許容値(XB )及びYサンプル誤差許容値(YB )をそれぞれ変更設定する構成としたが、スライダ33そのものをペンタッチして移動表示させることにより、前記サンプル誤差許容値を同様に変更設定する構成としてもよい。
【0062】
また、前記実施形態では、Xサンプル誤差許容値(XB )及びYサンプル誤差許容値(YB )を、ペン入力設定処理を経てそれぞれユーザ任意の誤差許容値に変更設定する構成としたが、前記図7におけるペンサンプルデータ取得処理において、ペンサンプル値が有効/無効となる度合いに応じて、前記各サンプル誤差許容値(XB ,YB )を自動的に補正設定する構成としてもよい。
【0063】
図10は前記ペン入力型携帯情報機器においてペン入力に伴なうサンプル誤差許容値(XB ,YB )を自動的に補正設定する場合のRAM13におけるレジスタの構成を示す図である。
【0064】
この場合の、RAM13には、前記実施形態と同様に、ペン入力位置検出用の各種のデータが記憶されるデータレジスタ13a′、MPU11の制御動作に伴ない入出力される各種のデータが必要に応じて一時的に記憶されるワークエリア13b、メモデータやスケジュールデータ,アドレスデータ等が記憶される手帳データレジスタ13c等が備えられる。
【0065】
前記ペン入力位置検出用データレジスタ13a′には、タッチパネル14からタッチパネルコントローラ18を介してサンプリングされるX軸正方向及び逆方向のサンプル値(xf,xr)、Y軸正方向及び逆方向のサンプル値(yf,yr)、A/Dコンバータ19の最大サンプル値(ADCMAX )からX軸正方向のサンプル値(xf)を減算したX軸正方向逆算値(xfber )「図面中は“xf”の上に“−”を引いて示す」、A/Dコンバータ19の最大サンプル値(ADCMAX )からY軸正方向のサンプル値(yf)を減算したY軸正方向逆算値(yfber )「図面中は“yf”の上に“−”を引いて示す」、液晶表示部15の表示画面に対応するX軸方向の最小有効サンプル値(XA )、液晶表示部15の表示画面に対応するY軸方向の最小有効サンプル値(YA )、X軸正方向サンプル値(xf)とX軸逆方向サンプル値(xr)とに基づくX正逆サンプル値の誤差許容値(XB )、Y軸正方向サンプル値(yf)とY軸逆方向サンプル値(yr)とに基づくY正逆サンプル値の誤差許容値(YB )、A/Dコンバータ19により得られる最大サンプル値(ADCMAX )、ペンサンプル値の有効判定回数(valid)及び無効判定回数(invalid)、X方向サンプル値の誤差許容最大値及び誤差許容最小値からなるX方向サンプル誤差許容範囲(XB MAX,MIN )、Y方向サンプル値の誤差許容最大値及び誤差許容最小値からなるY方向サンプル誤差許容範囲(YB MAX,MIN )、前記サンプル有効回数(valid)及び無効回数(invalid)の最大限度回数値(DMAX )及び最小限度回数値(DMIN )、ペンサンプルの有効度合い設定用の係数値(J)及び無効度合い設定用の係数値(K)、サンプル誤差許容値(XB ,YB )それぞれに対する1回の補正に伴なう増減値であるXB 補正値(ax)及びYB 補正値(ay)がそれぞれ記憶される。
【0066】
なお、前記RAM13内のペン入力位置検出用のデータレジスタ13a′に記憶されるX方向サンプルの誤差許容最大値(XB MAX ),誤差許容最小値(XB MIN )、Y方向サンプルの誤差許容最大値(YB MAX ),誤差許容最小値(YB MIN )、及び有効度設定係数(J)、無効度設定係数(K)は、ペン入力位置のサンプリング精度とペン入力の入りやすさとの関係を考慮して予め適切な値に設定される。
【0067】
図11は前記ペン入力型携帯情報機器におけるペンサンプル誤差許容値(XB ,YB )の自動補正処理を示すフローチャートである。
このペンサンプル誤差許容値(XB ,YB )の自動補正処理は、前記図7におけるペンサンプルデータ取得処理のステップS2とステップS4との間に組み合わされてなる。
【0068】
まず、前記図7におけるペンサンプルデータ取得処理のステップS2において、ペン入力がオフされてないと判断された場合には、サンプル有効回数(valid)又はサンプル無効回数(invalid)が有効,無効数最大値(DMAX )を越えているか否か判断される(ステップS2→B1)。
【0069】
このステップB1において“Y”、つまり、サンプル有効回数(valid)又はサンプル無効回数(invalid)の値が有効,無効数最大値(DMAX )を越えていると判断された場合には、サンプル有効回数(valid)及びサンプル無効回数(invalid)は何れも“0”にクリアされて初期化され、ステップS3の有効/無効判断処理に移行する(ステップB1→B2,S3)。
【0070】
一方、前記ステップB1において“N”、つまり、サンプル有効回数(valid)又はサンプル無効回数(invalid)の何れの値も有効,無効数最大値(DMAX )以下であると判断されると、サンプル有効回数(valid)及びサンプル無効回数(invalid)の値が何れも有効,無効数最小値(DMIN )以上であるか否か判断される(ステップB1→B3)。
【0071】
このステップB3において“Y”、つまり、サンプル有効回数(valid)及びサンプル無効回数(invalid)の値が何れも有効,無効数最小値(DMIN )以上であると判断されると、ステップB4以降の許容値補正処理に移行する(ステップB3→B4)。
【0072】
すなわち、ペン入力に伴なうサンプル値の無効回数(invalid)が有効回数(valid)に有効度設定係数(J)を乗算した値よりも大きくなった場合で、且つ、現在の各サンプル誤差許容値(XB ,YB )がそれぞれその誤差許容最大値(XB MAX ,YB MAX )以下である場合には、当該サンプル誤差許容値(XB ,YB )がそれぞれ対応する補正値(ax,ay)分だけ増加され、ペン入力に伴なうサンプル値が有効になりやすい方向に補正設定される。この際、サンプル有効回数(valid)及びサンプル無効回数(invalid)は何れも“0”にクリアされて初期化される(ステップB4→B5)。
【0073】
一方、ペン入力に伴なうサンプル値の有効回数(valid)が無効回数(invalid)に無効度設定係数(K)を乗算した値よりも大きくなった場合で、且つ、現在の各サンプル誤差許容値(XB ,YB )がそれぞれその誤差許容最小値(XB MIN ,YB MIN )以上である場合には、当該サンプル誤差許容値(XB ,YB )がそれぞれ対応する補正値(ax,ay)分だけ減少され、ペン入力に伴なうサンプル値の有効判断が厳しくなる方向、つまり、ペン入力に伴なうサンプリング精度が高くなる方向に補正設定される。この際、サンプル有効回数(valid)及びサンプル無効回数(invalid)は何れも“0”にクリアされて初期化される(ステップB6→B7)。
【0074】
そして、前記図7のステップS3による有効/無効判断処理と同様に、ペン入力に伴なうサンプル値が有効と判断された場合には、サンプル有効回数(valid)が(+1)されてインクリメントされ、前記図7のステップS4におけるサンプル値(x,y)の平均化取得処理に移行する(ステップS3→B8,S4)。
【0075】
また、前記図7のステップS3による有効/無効判断処理と同様に、ペン入力に伴なうサンプル値が無効と判断された場合には、サンプル無効回数(invalid)が(+1)されてインクリメントされる(ステップS3→B9)。
【0076】
なお、前記Xサンプル誤差許容値(XB )及びYサンプル誤差許容値(YB )は初期値を有し、リセット時には当該初期値に設定されるものとする。
したがって、前記ペン入力型携帯情報機器におけるペンサンプル誤差許容値(XB ,YB )の自動補正処理によれば、ペンサンプル値の有効回数(valid)と無効回数(invalid)の統計を取り、その有効度と無効度とを比較し、タッチパネル14の劣化等によりサンプル無効回数(invalid)が多くなった場合には、各サンプル誤差許容値(XB ,YB )を大きく補正することにより、無効になったペンサンプル値を有効になりやすくでき、また、サンプル有効回数(valid)が多くなった場合には、各サンプル誤差許容値(XB ,YB )を小さく補正することにより、ペンサンプル値が有効になる条件を厳しくできる。
【0077】
よって、前記ペンサンプル誤差許容値(XB ,YB )の自動補正を行なうことにより、ユーザによるペン入力装置の癖やタッチパネル14の劣化等の要因でペンサンプル値にばらつきが生じても、常にサンプル値が有効になる割合を一定にすることができる。
【0078】
【発明の効果】
以上のように、本発明の請求項1に係わるタッチパネル制御装置によれば、タッチパネルのX軸、Y軸方向それぞれについて、正方向及び逆方向の電圧を印加し、タッチされた位置の正方向及び逆方向の電圧印加による2種の位置データを検出する方式において、検出された2種の位置データの差が誤差許容値記憶手段に記憶された誤差許容値の範囲内であるか否かによりタッチ入力位置の検出値が有効か無効かを判断し、有効と判断された回数及び無効と判断された回数の割合に応じて、前記誤差許容値が増加又は減少変更されるので、タッチ入力位置の検出値が有効と判断される割合を一定に自動補正できるようになる。
【0079】
また、本発明の請求項2に係わるタッチパネル制御装置によれば、有効/無効回数計数手段により計数される検出値有効回数の割合が検出値無効回数の割合より多い場合には検出誤差許容値は減少され、検出値無効回数の割合が検出値有効回数の割合よりも多い場合には検出誤差許容値は増加変更されるので、タッチ入力位置の検出精度が低すぎたり、検出値が無効となり過ぎたりせずに、タッチ入力位置の検出値が有効と判断される割合を常に一定に自動補正できるようになる。
【0081】
よって、本発明によれば、ユーザによる入力操作の癖やパネル特性等の影響に拘らず、タッチ入力に伴なうサンプルデータが有効となる割合を適切に設定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタッチパネル制御装置の実施形態に係わるペン入力型携帯情報機器の外観構成を示す正面図。
【図2】前記ペン入力型携帯情報機器の電子回路の構成を示すブロック図。
【図3】前記ペン入力型携帯情報機器のタッチパネルにおけるペンタッチ位置のサンプリング状態を示す図であり、同図(A)はペンタッチ位置Aに対するX方向及びY方向それぞれの正逆両方向のサンプリング状態を示す図、同図(B)はペンタッチ位置サンプリング時のタッチパネルに対する電圧印加状態を示す図。
【図4】前記ペン入力型携帯情報機器のタッチパネルコントローラの構成を示す回路図。
【図5】前記ペン入力型携帯情報機器のタッチパネルコントローラにおけるペンタッチ位置のサンプリング手順に伴なうスイッチON/OFF状態を示すテーブル。
【図6】前記ペン入力型携帯情報機器のRAMにおけるレジスタの構成を示す図。
【図7】前記ペン入力型携帯情報機器におけるペンサンプルデータ取得処理を示すフローチャート。
【図8】前記ペン入力型携帯情報機器においてXサンプル誤差許容値(XB )及びYサンプル誤差許容値(YB )を設定するためのペン入力設定画面の表示状態を示す図。
【図9】前記ペン入力型携帯情報機器においてXサンプル誤差許容値(XB )及びYサンプル誤差許容値(YB )を設定するためのペン入力設定処理を示すフローチャート。
【図10】前記ペン入力型携帯情報機器においてペン入力に伴なうサンプル誤差許容値(XB ,YB )を自動的に補正設定する場合のRAMにおけるレジスタの構成を示す図。
【図11】前記ペン入力型携帯情報機器におけるペンサンプル誤差許容値(XB ,YB )の自動補正処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 …ペン入力型携帯情報機器本体、
2 …タッチパネル液晶表示部、
3 …メニュー画面、
11 …MPU(超小型演算処理装置)、
12 …ROM、
13 …RAM、
13a…ペン入力位置検出用データレジスタ、
13b…ワークエリア、
13c…手帳データレジスタ、
14 …タッチパネル、
15 …液晶表示部、
16 …セグメントドライバ、
17 …コモンドライバ、
18 …タッチパネルコントローラ、
19 …A/Dコンバータ、
20 …アドレスバス、
21 …データバス、
31 …“hard”アイコン、
32 …“soft”アイコン、
33 …スライダ、
34 …“設定終了”アイコン。

Claims (2)

  1. タッチパネルと、
    前記タッチパネルのX軸、Y軸方向それぞれについて、正方向及び逆方向の電圧を印加し、タッチされた位置の正方向及び逆方向の電圧印加による2種の位置データを検出する入力位置検出手段と、
    前記入力位置検出手段により検出された2種の位置データの差の誤差許容値を記憶する誤差許容値記憶手段と、
    前記入力位置検出手段により検出された2種の位置データの差が前記誤差許容値記憶手段に記憶された誤差許容値の範囲内であるか否かにより、検出された位置データの有効/無効を判断する有効/無効判断手段と、
    前記有効/無効判断手段により前記検出された位置データが有効と判断された回数及び無効と判断された回数をそれぞれ計数する有効/無効回数計数手段と、
    この有効/無効回数計数手段により計数される検出値有効回数と検出値無効回数との割合に応じて、前記誤差許容値記憶手段に記憶された誤差許容値を増加又は減少させて変更する誤差許容値変更手段と
    を具備したことを特徴とするタッチパネル制御装置。
  2. 前記誤差許容値変更手段は、前記有効/無効回数計数手段により計数される検出値有効回数の割合が検出値無効回数の割合より多い場合には前記誤差許容値を減少させ、また、検出値無効回数の割合が検出値有効回数の割合よりも多い場合には前記誤差許容値を増加させて変更する誤差許容値変更手段であることを特徴とする請求項記載のタッチパネル制御装置。
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