JP3711061B2 - ブラシレスモータの制御装置及びこれを具えた自動洗濯機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラシレスモータに交流の電力を供給するインバータと、該インバータを制御するPWM制御回路とを具えたブラシレスモータの制御装置、並びに該制御装置を具えた自動洗濯機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動洗濯機においては、パルスエータ駆動用のモータとしてブラシレスモータが採用されている。
図5は、従来の自動洗濯機に搭載されているブラシレスモータ制御装置の構成例を表わしている。商用電源(4)からの交流電力が、整流回路(5)によって一旦、直流電力に変換された後、インバータ(6)によって交流電力に変換され、該交流電力がブラシレスモータ(2)に供給されて、モータの駆動が行なわれる。
ブラシレスモータ(2)には、その回転軸を中心とする円周上に、ホール素子からなる位置センサー(3)が120度の位相差で3箇所に配備されており、これら3つの位置センサー(3)(3)(3)から得られる3つの位置信号(Hu、Hv、Hw)がPWM制御回路(7)に供給され、該PWM制御回路(7)によってインバータ(6)が制御されている。
【0003】
図6は、上記PWM制御回路(7)の構成を表わしている。
前記位置センサーから得られる3つの位置信号(Hu、Hv、Hw)は、位置演算回路(75)に供給されると共に、回転数検出回路(74)に供給される。回転数検出回路(74)では、3つの位置信号(Hu、Hv、Hw)に基づいてモータの回転数ωが検出され、その結果が電圧指令制御回路(72)を構成する位相進め角導出回路(72a)、及び位置演算回路(75)に供給される。
位置演算回路(75)では、3つの位置信号(Hu、Hv、Hw)と前記回転数ωとに基づいてモータの回転角度θが算出され、算出された回転角度θは、電圧指令制御回路(72)を構成する電圧指令信号生成回路(72b)に供給される。
位相進め角導出回路(72a)では、下記数1に基づいて、前記回転数ωから後述の位相進め角ψが算出される。
【0004】
【数1】
ψ=K・ω
K:定数
【0005】
位相進め角導出回路(72a)にて算出された位相進め角ψは、前記電圧指令信号生成回路(72b)に供給される。
回転数検出回路(74)から得られる回転数ωは、回転数制御回路(71)に供給され、該回路(71)にて、モータ回転数の目標値ω*との偏差に基づいて電圧振幅指令Vaが作成される。
電圧振幅指令Vaは前記電圧指令信号生成回路(72b)に供給され、該回路(72b)においては、回転数制御回路(71)から得られる電圧振幅指令Va、位相進め角導出回路(72a)から得られる位相進め角ψ、及び位置演算回路(75)から得られる回転角度θに基づいて、下記数2から、ブラシレスモータのU相についての電圧指令信号Vu*が算出される。
【0006】
【数2】
Vu*=Va・cos(θ+ψ)
【0007】
上記U相の電圧指令信号Vu*に対して120°、240°の位相差を与えることによりV相の電圧指令信号Vv*及びW相の電圧指令信号Vw*が作成され、これら3相の電圧指令信号(Vu*、Vv*、Vw*)は、PWM信号生成回路(73)に供給されて、U相、V相、W相についてのPWM信号が作成される。
【0008】
この様にして作成されたU相、V相、W相のPWM信号は、図5に示すインバータ(6)に供給されて、インバータ(6)がPWM制御される。この結果、ブラシレスモータ(2)が駆動されることになる。
上記PWM制御回路(7)においては、上述の如く、電圧指令信号の位相を前記位相進め角ψだけ進ませて、巻線に流れる電流の位相を該巻線に発生する誘起電圧の位相と一致させることにより、モータ効率の向上が図られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記PWM制御回路(7)を具えた従来の自動洗濯機においては、充分に高いモータ効率が得られない問題があった。
本発明の目的は、従来よりも高いモータ効率を得ることが出来るモータ制御装置及びこれを具えた自動洗濯機を提供することである。
【0010】
【課題を解決する為の手段】
そこで、出願人は、従来の自動洗濯機において充分に高いモータ効率が得られない原因を次のように究明した。
自動洗濯機の洗い動作時においては、ブラシレスモータは正逆に繰り返し回転駆動される。
図7は、洗い動作時におけるブラシレスモータの回転速度の変化を表わしており、ブラシレスモータは、図示の如く、正の方向に加速されて所定の回転速度で一定時間だけ回転した後、減速され、続いて負の方向に加速されて所定の回転速度で一定時間だけ回転した後、減速される。
この様に、ブラシレスモータは、洗い動作時において、加速回転状態→定速回転状態→減速回転状態→加速回転状態・・・と変化する。
【0011】
ブラシレスモータの加速回転時、定速回転時及び減速回転時においては、モータの回転数ωが同一であっても、その時点でモータに発生させるべきトルクの大きさはそれぞれ異なる。即ち、加速回転時には、定速回転時よりも大きなトルクをモータに発生させる必要があり、減速回転時には、定速回転時よりも小さなトルクをモータに発生させる必要がある。
ここで、巻線に流れる電流の位相を該巻線に発生する誘起電圧の位相と一致させるために電圧指令信号に与えるべき位相進め角は、ブラシレスモータに発生させるべきトルクの大きさによって異なる。
図11は、ブラシレスモータの永久磁石から発生する磁束の方向をd軸、該磁束方向とは直交する方向をq軸として、電圧指令信号に与えるべき位相進め角ψを表わしている。同図(a)はモータに発生させるべきトルクの大きさが最も小さいときの位相進め角ψ、同図(c)はモータに発生させるべきトルクの大きさが最も大きいときの位相進め角ψを表わしている。
【0012】
モータに電圧Vが印加されると、巻線に電流Iが流れて、鎖交磁束φによる誘起電圧(ω・φ)、巻線の抵抗Rによる電圧(R・I)、及び巻線のインダクタンスLによる電圧(ω・L・I)が巻線に生じる。
モータに発生させるべきトルクの大きさが増大するにつれて、同図(a)(b)(c)に示す如く、トルクの発生に寄与するq軸方向の電流成分を増大させる必要があり、該電流成分が増大すると、巻線のインダクタンスLによる電圧(ω・L・I)が上昇する。従って、巻線に流れる電流Iの位相を誘起電圧(ω・φ)の位相と一致させるためには、位相進め角ψを増大させる必要がある。
この様に、電圧指令信号に与えるべき位相進め角ψは、モータに発生させるべきトルクの大きさが増大するにつれて増大する。
【0013】
ブラシレスモータの回転速度が殆ど変化しない定速回転時においては、モータの回転数ωと電圧指令信号に与えるべき位相進め角ψとの間には一定の比例関係が成立する。そこで、従来の位相進め角導出回路(72a)の内蔵メモリには、上記数1によって表わされる関数式が格納されており、位相進め角ψの算出の際には、該関数式が常に用いられる。従って、ブラシレスモータの回転数ωが同一であれば、常に同一の位相進め角が算出される。
しかし、ブラシレスモータの回転数ωが同一であっても、電圧指令信号に与えるべき位相進め角ψは、上述の如く、モータに発生させるべきトルクの大きさが増大するにつれて増大する。従って、ブラシレスモータの定速回転時には、モータに発生させるべきトルクの大きさに応じた適切な位相進め角が得られるが、定速回転時よりも発生させるべきトルクの大きい加速回転時には、該トルクの大きさに応じた位相進め角よりも小さな位相進め角が得られることになる。一方、定速回転時よりも発生させるべきトルクの小さい減速回転時には、該トルクの大きさに応じた位相進め角よりも大きな位相進め角が得られることになる。
【0014】
図8乃至図10は夫々、従来のPWM制御回路(7)によって、ブラシレスモータの定速回転時、加速回転時及び減速回転時にモータに印加される電圧V及び巻線に流れる電流Iの位相を表わしている。図8乃至図10は、モータの回転数ωが同一であるときの印加電圧V及び電流Iの位相を表わしており、従来のPWM制御回路(7)によれば、上述の如く、定速回転時、加速回転時及び減速回転時の何れにおいても同一の位相進め角ψが与えられる。
ブラシレスモータの定速回転時においては、モータに発生させるべきトルクの大きさに応じた適切な位相進め角ψが与えられるため、図8に示す如く、巻線に流れる電流Iの位相が誘起電圧(ω・φ)の位相と一致して、トルクの発生に寄与しないd軸方向の電流成分は発生しない。
これに対し、ブラシレスモータの加速回転時においては、モータに発生させるべきトルクの大きさに応じた適切な位相進め角よりも小さな位相進め角ψが与えられるため、図9に示す如く、巻線に流れる電流Iの位相が誘起電圧(ω・φ)よりも遅れて、トルクの発生に寄与しないd軸方向の電流成分が発生する。
又、ブラシレスモータの減速回転時においては、モータに発生させるべきトルクの大きさに応じた適切な位相進め角よりも大きな位相進め角ψが与えられるため、図10に示す如く、巻線に流れる電流Iの位相が誘起電圧(ω・φ)よりも進んで、トルクの発生に寄与しないd軸方向の電流成分が発生する。
【0015】
上述の如く、ブラシレスモータは、洗い動作時において頻繁に加速回転状態及び減速回転状態となる。従来のPWM制御回路(7)においては、かかる加速回転時及び減速回転時に、モータに発生させるべきトルクの大きさに応じた適切な位相進め角ψが得られないためにトルクの発生に寄与しない電流成分が生じて、充分に高いモータ効率が得られないのである。
【0016】
本発明に係るブラシレスモータの制御装置は、ブラシレスモータに交流の電力を供給するインバータと、該インバータを制御するPWM制御回路とを具えている。ここで、前記PWM制御回路は、
ブラシレスモータの回転速度を検出する速度検出手段と、
ブラシレスモータの回転角度を検出する角度検出手段と、
前記速度検出手段によって検出された回転速度と目標回転速度との偏差に基づいて電圧振幅指令値を導出する速度制御手段と、
ブラシレスモータの回転角度と電圧位相進め角と電圧振幅指令値とを変数として電圧指令信号の変化を表わす関数に基づいて電圧指令信号を作成する演算処理手段と、
前記作成された電圧指令信号に基づいてPWM信号を作成し、該PWM信号をインバータに供給する信号処理手段
とを具え、前記演算処理手段は、
前記速度制御手段によって導出された電圧振幅指令値とブラシレスモータが前記検出された回転速度で定速回転しているときの電圧振幅指令値との差を加味した電圧位相進め角を導出する位相進め角導出手段と、
前記関数に基づいて、前記角度検出手段によって検出された回転角度と前記位相進め角導出手段によって導出された電圧位相進め角と前記導出された電圧振幅指令値とから電圧指令信号を作成する信号作成手段
とを具えている。
【0017】
上述の如く、ブラシレスモータの定速回転時、加速回転時及び減速回転時においては、回転速度が同一であっても、モータに発生させるべきトルクの大きさは異なる。即ち、ブラシレスモータの回転速度が同一であっても、該回転速度の変動状態の相違によって、モータに発生させるべきトルクの大きさは異なる。又、上述の如く、モータに発生させるべきトルクの大きさが増大するにつれて、電圧指令信号に与えるべき電圧位相進め角は増大する。
そこで、本発明に係るブラシレスモータの制御装置においては、電圧位相進め角の導出の際、ブラシレスモータの回転速度の変動状態を表わす状態量が加味されて、加速回転時には、定速回転時よりも大きな電圧位相進め角が導出される。一方、減速回転時には、定速回転時よりも小さな電圧位相進め角が導出される。
【0018】
ここで、ブラシレスモータの定速回転時、加速回転時及び減速回転時においては、回転速度が同一であっても、速度制御手段により導出される電圧振幅指令値は異なる。即ち、加速回転時には、定速回転時よりも大きな電圧振幅指令値が導出され、減速回転時には、定速回転時よりも小さな電圧振幅指令値が導出される。又、加速回転時或いは減速回転時の電圧振幅指令値と定速回転時の電圧振幅指令値との差が増大するにつれて、モータの回転速度の変動は大きくなる。従って、速度制御手段により導出された電圧振幅指令値と、ブラシレスモータがその導出時点での回転速度で定速回転しているときの電圧振幅指令値との差によって、モータの回転速度の変動状態を表わすことが出来る。そこで、上記の状態量として前記差を加味した電圧位相進め角が導出される。
本発明に係るブラシレスモータの制御装置によれば、ブラシレスモータの定速回転時、加速回転時及び減速回転時の何れにおいても電圧指令信号の位相 ( 電圧位相 ) をモータに発生させるべきトルクの大きさに応じた適切な電圧位相進め角だけ進ませることが可能である。従って、巻線に流れる電流の位相を該巻線に発生する誘起電圧の位相に一致させて、トルクの発生に寄与しない電流成分の発生を防止することが可能であり、これによって、従来よりも高いモータ効率を得ることが出来る。
【0019】
第1の具体的構成において、前記位相進め角導出手段には、電圧位相進め角をψ、ブラシレスモータの回転速度をω、電圧振幅指令値をVa、2つの定数をそれぞれK2、K4として、下記数式で表わされる関数が規定されており、該位相進め角導出手段は、該関数に基づき、前記検出された回転速度と前記導出された電圧振幅指令値とから電圧位相進め角を導出する。
ψ=K2・ ( Va+K4・ω )
【0020】
第2の具体的構成において、前記位相進め角導出手段には、電圧位相進め角をψ、ブラシレスモータの回転速度をω、電圧振幅指令値をVa、3つの定数をそれぞれK1、K2、K3として、下記数式で表わされる関数が規定されており、該位相進め角導出手段は、該関数に基づき、前記検出された回転速度と前記導出された電圧振幅指令値とから電圧位相進め角を導出する。
ψ=K1・ω+K2・ ( Va−K3・ω )
【0021】
第3の具体的構成において、前記位相進め角導出手段には、電圧位相進め角をψ、ブラシレスモータの回転速度をω、前記速度制御手段によって導出される電圧振幅指令値をVa、定速回転時の電圧振幅指令値をVao、2つの定数をそれぞれK1、K2として、下記数式で表わされる関数が規定されており、該位相進め角導出手段は、該関数に基づき、前記検出された回転速度と前記導出された電圧振幅指令値と定速回転時の電圧振幅指令値とから電圧位相進め角を導出する。
ψ=K1・ω+K2・ ( Va−Vao )
【0033】
本発明に係る自動洗濯機は、パルスエータを正逆に回転駆動するブラシレスモータと、該ブラシレスモータを制御する制御装置とを具え、該制御装置は、ブラシレスモータに交流の電力を供給するインバータと、該インバータを制御するPWM制御回路とを具えている。ここで、前記PWM制御回路は、
ブラシレスモータの回転速度を検出する速度検出手段と、
ブラシレスモータの回転角度を検出する角度検出手段と、
前記速度検出手段によって検出された回転速度と目標回転速度との偏差に基づいて電圧振幅指令値を導出する速度制御手段と、
ブラシレスモータの回転角度と電圧位相進め角と電圧振幅指令値とを変数として電圧指令信号の変化を表わす関数に基づいて電圧指令信号を作成する演算処理手段と、
前記作成された電圧指令信号に基づいてPWM信号を作成し、該PWM信号をインバータに供給する信号処理手段
とを具え、前記演算処理手段は、
前記速度制御手段によって導出された電圧振幅指令値とブラシレスモータが前記検出された回転速度で定速回転しているときの電圧振幅指令値との差を加味した電圧位相進め角を導出する位相進め角導出手段と、
前記関数に基づいて、前記角度検出手段によって検出された回転角度と前記位相進め角導出手段によって導出された電圧位相進め角と前記導出された電圧振幅指令値とから電圧指令信号を作成する信号作成手段
とを具えている。
【0034】
自動洗濯機の洗い動作時において、ブラシレスモータは、上述の如く加速回転状態→定速回転状態→減速回転状態→加速回転状態・・・と変化する。
本発明に係る自動洗濯機においては、ブラシレスモータを制御するために、上記本発明のモータ制御装置が構成されており、かかるモータ制御装置によれば、上述の如く、ブラシレスモータの定速回転時、加速回転時及び減速回転時の何れにおいても、モータに発生させるべきトルクの大きさに応じた適切な電圧位相進め角を得ることが出来る。従って、ブラシレスモータの電圧指令信号の位相(電圧位相)を適切な電圧位相進め角だけ進ませることにより、巻線に流れる電流の位相を該巻線に発生する誘起電圧の位相と一致させて、トルクの発生に寄与しない電流成分の発生を防止することが出来る。これによって、従来よりも高いモータ効率を得ることが可能であり、その結果、消費電力が低減する。
【0035】
【発明の効果】
本発明に係るブラシレスモータの制御装置及びこれを具えた自動洗濯機によれば、従来よりも高いモータ効率を得ることが出来る。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、2つの実施例に基づいて具体的に説明する。
第1実施例
本実施例に係る自動洗濯機は、パルスエータ駆動用のブラシレスモータと、該ブラシレスモータを制御するモータ制御装置とを具えている。
該モータ制御装置の全体構成は、PWM制御回路を除いて、図5に示す従来の制御装置と同一であって、ブラシレスモータの円周上に配備された3つの位置センサー(3)(3)(3)から得られる3つの位置信号(Hu、Hv、Hw)がPWM制御回路に供給され、該PWM制御回路によってインバータ(6)が制御されている。
【0037】
図2(a)は、ブラシレスモータの3相巻線に鎖交磁束φにより誘起される電圧(Eu、Ev、Ew)の波形を表わしており、各電圧波形は、360度を1周期として正弦波状に変化し、3つの電圧波形は互いに120度の位相差を有している。
又、同図(b)は、3つの位置センサーから得られる3つの位置信号(Hu、Hv、Hw)の波形を表わしている。各位置信号は、360度を1周期として、ハイとローに切り替わる矩形波であって、3つの位置信号は互いに120度の位相差を有している。
【0038】
図1は、上記PWM制御回路(1)の構成を表わしている。
前記位置センサーから得られる3つの位置信号(Hu、Hv、Hw)は、位置演算回路(15)に供給されると共に、回転数検出回路(14)に供給される。回転数検出回路(14)では、3つの位置信号(Hu、Hv、Hw)に基づいてモータの回転数ωが検出され、その結果が電圧指令制御回路(12)を構成する位相進め角導出回路(12a)、及び位置演算回路(15)に供給される。
位置演算回路(15)では、3つの位置信号(Hu、Hv、Hw)と前記回転数ωとに基づいてモータの回転角度θが算出され、算出された回転角度θは、電圧指令制御回路(12)を構成する電圧指令信号生成回路(12b)に供給される。
【0039】
回転数検出回路(14)から得られる回転数ωは、回転数制御回路(11)に供給され、該回路(11)にて、モータ回転数の目標値ω*との偏差に基づいて電圧振幅指令Vaが作成される。回転数制御回路(11)は伝達関数C(s)を有しており、電圧振幅指令Vaは、該伝達関数C(s)を用いて、下記数3から算出される。
【0040】
【数3】
Va=C(s)・(ω*−ω)
【0041】
ここで、伝達関数C(s)は、例えば下記数4によって表わされ、電圧振幅指令VaはPI制御される。
【0042】
【数4】
C(s)=Kp+Ki/s
Kp、Ki:定数
【0043】
上述の如く作成された電圧振幅指令Vaは、位相進め角導出回路(12a)に供給される。
位相進め角導出回路(12a)では、回転数検出回路(14)から得られる回転数ωと、回転数制御回路(11)から得られる電圧振幅指令Vaの変化量、即ち前回の演算周期にて回転数制御回路(11)から得られた電圧振幅指令との偏差ΔVaとに基づいて、下記数5から、位相進め角ψが算出される。
【0044】
【数5】
ψ=K1・ω+K2・ΔVa
K1、K2:正の定数
【0045】
ブラシレスモータの回転数ωが殆ど変化しない定速回転時においては、モータの回転数ωと電圧指令信号に与えるべき位相進め角ψとの間には一定の比例関係が成立し、かかる比例関係に基づいて、ブラシレスモータの回転数ωから位相進め角ψを算出することが出来る。上記数5の第1項(K1・ω)は、かかる比例関係を表わしている。ここで、定数K1は、予め実験的或いは理論的に求められる。
【0046】
ブラシレスモータの回転数ωが殆ど変化しない定速回転時、回転数ωが増大する加速回転時、及び回転数ωが減小する減速回転時においては、回転数ωが同一であっても、モータに発生させるべきトルクの大きさはそれぞれ異なる。即ち、加速回転時には、定速回転時よりも大きなトルクをモータに発生させる必要があり、減速回転時には、定速回転時よりも小さなトルクをモータに発生させる必要がある。この様に、モータの回転数ωが同一であっても、回転数ωの変動状態の相違によって、モータに発生させるべきトルクの大きさは異なる。
又、モータに発生させるべきトルクの大きさが増大するにつれて、電圧指令信号に与えるべき位相進め角ψは増大する。
【0047】
ブラシレスモータの加速回転時においては、モータに発生するトルクの大きさが増大するにつれて、一定時間当りの回転数ωの増大量は増大する。又、上述の如く、モータに発生させるべきトルクの大きさが増大するにつれて、電圧指令信号に与えるべき位相進め角ψは増大する。従って、回転数ωの増大量が増大するにつれて、電圧指令信号に与えるべき位相進め角ψは増大することになる。ここで、定速回転時にて与えるべき位相進め角ψに対して増大させるべき角度は、回転数ωの増大量に比例する。
一方、ブラシレスモータの減速回転時においては、モータに発生するトルクの大きさが減小するにつれて、一定時間当りの回転数ωの減小量は増大する。又、モータに発生させるべきトルクの大きさが減小するにつれて、電圧指令信号に与えるべき位相進め角は減小する。従って、回転数ωの減小量が増大するにつれて、電圧位相進め角に与えるべき位相進め角は減小することになる。ここで、定速回転時にて与えるべき位相進め角に対して減小させるべき角度は、回転数ωの減小量に比例する。
【0048】
ブラシレスモータの加速回転時には、電圧振幅指令Vaが増大することによってモータの回転速度が上昇し、減速回転時には、電圧振幅指令Vaが減小することによってモータの回転速度が低下する。ここで、一定時間当りの電圧振幅指令Vaの増大量が増大すると回転数ωの上昇量が増大し、電圧振幅指令Vaの減小量が増大すると回転数ωの低下量が増大する。従って、定速回転時にて与えるべき位相進め角に対して増大或いは減小させるべき角度は、電圧振幅指令Vaの増大量或いは減小量にも比例することになる。
この様に、定速回転時にて与えるべき位相進め角に対して増大或いは減小させるべき角度と電圧振幅指令Vaの変化量との間には一定の比例関係が成立し、かかる比例関係に基づいて、電圧振幅指令Vaの変化量から前記増大或いは減小させるべき角度を算出することが出来る。上記数5の第2項(K2・ΔVa)は、かかる比例関係を表わしている。ここで、定数K2は、予め実験的或いは理論的に求められる。
【0049】
ブラシレスモータの定速回転時においては、回転数制御回路(11)にて作成される電圧振幅指令Vaは略一定の値となる。従って、電圧振幅指令Vaの変化量、即ち偏差ΔVaは、略ゼロとなり、位相進め角ψとして、上記数5の第1項(K1・ω)の演算によって得られる値が算出される。
この様にして、ブラシレスモータの定速回転時には、モータに発生させるべきトルクの大きさに応じた位相進め角ψが得られる。
【0050】
又、ブラシレスモータの加速回転時においては、回転数制御回路(11)にて作成される電圧振幅指令Vaは増大する。従って、電圧振幅指令Vaの偏差ΔVaは正の値となり、位相進め角ψとして、上記数5の第1項(K1・ω)の演算によって得られる値に第2項(K2・ΔVa)の演算によって得られる値を加算した値が算出される。
この様にして、ブラシレスモータの加速回転時には、加速回転時に発生させるべきトルクと定速回転時のトルクとの差に応じた角度だけ、定速回転時のトルクの大きさに応じた位相進め角よりも大きな位相進め角ψが得られる。
【0051】
又、ブラシレスモータの減速回転時においては、回転数制御回路(11)にて作成される電圧振幅指令Vaは減小する。従って、電圧振幅指令Vaの偏差ΔVaは負の値となり、位相進め角ψとして、上記数5の第1項(K1・ω)の演算によって得られる値から第2項(K2・ΔVa)の演算によって得られる値を減算した値が算出される。
この様にして、ブラシレスモータの減速回転時には、定速回転時に発生させるべきトルクと減速回転時に発生させるべきトルクとの差に応じた角度だけ、定速回転時のトルクの大きさに応じた位相進め角よりも小さな位相進め角ψが得られる。
上記位相進め角導出回路(12a)では、上述の如く、ブラシレスモータの定速回転時、加速回転時及び減速回転時の何れにおいても、モータに発生させるべきトルクの大きさに応じた適切な位相進め角ψが算出される。
【0052】
位相進め角導出回路(12a)から得られる位相進め角ψは、電圧指令信号生成回路(12b)に供給される。
又、上述の如く回転数制御回路(11)から得られる電圧振幅指令Vaは、電圧指令信号生成回路(12b)に供給される。
電圧指令信号生成回路(12b)においては、前記電圧振幅指令Va、位置演算回路(15)から供給される回転角度θ、及び前記位相進め角ψに基づいて、上記数2から、ブラシレスモータのU相についての電圧指令信号Vu*が算出される。
【0053】
上記U相の電圧指令信号Vu*に対して120°、240°の位相差を与えることによりV相の電圧指令信号Vv*及びW相の電圧指令信号Vw*が作成され、これら3相の電圧指令信号(Vu*、Vv*、Vw*)は、PWM信号生成回路(13)に供給される。PWM信号生成回路(13)では、図2(c)に示す如く、U相の電圧指令信号Vu*と所定の搬送波(三角波)とが比較され、該比較結果に基づいて、同図(d)に示すU相の駆動信号(PWM信号)が作成される。同様にして、V相の電圧指令信号Vv*と所定の搬送波とが比較されて、V相の駆動信号が作成され、W相の電圧指令信号Vw*と所定の搬送波とが比較されて、W相の駆動信号が作成される。
【0054】
この様にして作成されたU相、V相、W相のPWM信号は、図5に示すインバータ(6)に供給されて、インバータ(6)がPWM制御される。この結果、ブラシレスモータ(2)が駆動されることになる。
【0055】
本実施例の自動洗濯機においては、上述の如く、ブラシレスモータの定速回転時、加速回転時及び減速回転時の何れにおいても、位相進め角ψとして、モータに発生させるべきトルクに応じた適切な値が算出される。従って、巻線に流れる電流の位相を該巻線に発生する誘起電圧の位相に一致させて、トルクの発生に寄与しない電流成分の発生を防止することが出来る。これによって、従来よりも高いモータ効率を得ることが可能であり、その結果、消費電力が低減する。
又、ブラシレスモータの定速回転時、加速回転時及び減速回転時の何れにおいても、上記数5で表わされる関数式を用いて適切な位相進め角ψを算出することが出来る。
【0056】
第2実施例
本実施例のPWM制御回路の構成は、位相進め角導出回路を除いて、図1に示す第1実施例のPWM制御回路(1)と同一である。
本実施例の位相進め角導出回路は、回転数検出回路(14)から得られる回転数ωと、回転数制御回路(11)から得られる電圧振幅指令Vaに基づいて、下記数6から位相進め角ψを算出する。
【0057】
【数6】
ψ=K2・(Va+K4・ω)
K2:正の定数、K4:負の定数
【0058】
ブラシレスモータの定速回転時、加速回転時及び減速回転時においては、回転数ωが同一であっても、回転数制御回路(11)によって算出される電圧振幅指令Vaは異なる。即ち、加速回転時には、定速回転時よりも大きな電圧振幅指令Vaが算出され、減速回転時には、定速回転時よりも小さな電圧振幅指令Vaが算出される。又、加速回転時或いは減速回転時の電圧振幅指令値と定速回転時の電圧振幅指令値との差が増大するにつれて、モータの回転数ωの変動が大きくなる。
従って、回転数制御回路(11)によって算出された電圧振幅指令Vaからブラシレスモータがその算出時点での回転数で定速回転しているときの電圧振幅指令(以下、基準電圧振幅指令という)Vaoを減算した値によって、モータの回転数ωの変動状態を表わすことが可能であり、位相進め角ψは下記数7によって表わすことが出来る。
【0059】
【数7】
ψ=K1・ω+K2・(Va−Vao)
K1、K2:正の定数
【0060】
上記数7の第1項(K1・ω)は、第1実施例で用いられる上記数5の第1項と同様に、定速回転時におけるモータの回転数ωと電圧指令信号に与えるべき位相進め角ψとの間の比例関係を表わしている。
【0061】
ブラシレスモータの加速回転時においては、上述の如く、定速回転時にて与えるべき位相進め角ψに対して増大させるべき角度は、回転数ωの増大量に比例する。一方、ブラシレスモータの減速回転時においては、定速回転時にて与えるべき位相進め角に対して減小させるべき角度は、回転数ωの減小量に比例する。
上述の如く、加速回転時或いは減速回転時の電圧振幅指令値と定速回転時の電圧振幅指令値との差が増大するにつれて、モータの回転数ωの変動は大きくなる。従って、定速回転時にて与えるべき位相進め角に対して増大或いは減小させるべき角度は、加速回転時或いは減速回転時にて回転数制御回路(11)によって算出された電圧振幅指令Vaからブラシレスモータがその算出時点での回転数で定速回転しているときの基準電圧振幅指令Vaoを減算した値(Va−Vao)に比例することになる。
この様に、定速回転時にて与えるべき位相進め角に対して増大或いは減小させるべき角度と上記減算値(Va−Vao)との間には一定の比例関係が成立し、かかる比例関係に基づいて、前記減算値(Va−Vao)から前記増大或いは減小させるべき角度を算出することが出来る。上記数7の第2項[K2・(Va−Vao)]は、かかる比例関係を表わしている。ここで、定数K2は、予め実験的或いは理論的に求められる。
【0062】
上記基準電圧振幅指令Vaoは、巻線に流れる電流Iのq軸方向成分の大きさをIq、巻線のインダクタンスをL、巻線の抵抗をR、巻線の鎖交磁束数をφとすると、下記数8によって表わされる。
【0063】
【数8】
Vao=√{(ω・L・Iq)2+(ω・φ+R・Iq)2}
【0064】
ブラシレスモータの高速回転時、即ち回転数ωが大きいとき、ω・φはR・Iqに比べて大幅に大きな値となり、R・Iqをゼロとして基準電圧振幅指令Vaoを算出することが出来る。従って、基準電圧振幅指令Vaoは、近似的に下記数9によって表わされる。
【0065】
【数9】
Vao≒K3・ω
K3:正の定数
【0066】
上記数9を上記数7に代入すると、位相進め角ψは下記数10によって表わされる。
【数10】
ψ=K1・ω+K2・(Va−K3・ω)
=K2・{Va+(K1/K2−K3)・ω}
【0067】
上記数10において、(K1/K2−K3)をK4に置き換えると、上記数6が得られることになる。
本実施例の位相進め角導出回路では、上記数6から位相進め角ψが算出され、位相進め角ψは、電圧指令信号生成回路(12b)に供給される。電圧指令信号生成回路(12b)では、上述の如く、電圧振幅指令Vaと回転角度θと位相進め角ψとに基づいて電圧指令信号Vu*が算出される。
【0068】
本実施例の自動洗濯機においては、ブラシレスモータの定速回転時、加速回転時及び減速回転時の何れにおいても、上記数6によってモータに発生させるべきトルクに応じた適切な位相進め角ψを算出することが出来る。
【0069】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、第1実施例においては、上記数5から位相進め角ψを算出する構成を採用しているが、これに限らず、回転数検出回路(14)から得られる回転数ωと、回転数ωの変化量、即ち前回の演算周期にて回転数検出回路(14)から得られた回転数ωとの偏差Δωとに基づいて、下記数11から位相進め角ψを算出する構成を採用することも可能である。
【0070】
【数11】
ψ=K1・ω+K2・Δω
K1、K2:正の定数
【0071】
又、第2実施例においては、上記数6のK4を負の定数に設定する構成を採用しているが、位相進め角導出回路の内蔵メモリに回転数ωとK4との関係を表わすテーブルを格納しておき、K4の値を回転数ωに応じて設定する構成を採用することも可能である。例えば、図3に示す如く、回転数ωが所定の回転数以上である高速回転時には上記数6のK4・ωが一定値となる様にK4を設定して、K4を負の定数に設定する構成よりも電圧指令信号の位相を進ませることが可能である。
【0072】
又、図4に示す如く、回転数ωが所定の回転数以下である低速回転時には回転数ωとK4・ωとの関係を表わす直線の傾きが高速回転時における該関係を表わす直線の傾きよりも緩やかとなる様にK4を設定して、K4を負の定数に設定する構成よりも電圧指令信号の位相を遅らせることが可能である。この様に、低速回転時にK4を負の定数に設定する構成よりも電圧指令信号の位相を遅らせる理由は、仮にK4を負の定数に設定した場合、低速回転時に上記数8のR・Iqをゼロとして近似的に上記数9により基準電圧振幅指令Vaoを算出するため、低速回転時にはかかる基準電圧振幅指令Vaoは真の値よりも大幅に小さな値となって、上記数6を用いて算出された位相進め角ψは、電圧指令信号に与えるべき真の位相進め角よりも大幅に大きな値となり、巻線に発生する誘起電圧の位相が該巻線に流れる電流の位相よりも進むことになるからである。かかる構成によれば、低速回転時においても、巻線に流れる電流の位相を該巻線に発生する誘起電圧の位相に一致させて、トルクの発生に寄与しない電流成分の発生を防止することが出来る。これによって、更に高いモータ効率を得ることが出来、その結果、消費電力が更に低減する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るブラシレスモータの制御装置を構成するPWM制御回路の構成を表わすブロック図である。
【図2】PWM制御回路において作成される各種信号の波形図である。
【図3】他の実施例における回転数ωとK4・ωとの関係を表わすグラフである。
【図4】上記実施例以外の他の実施例における回転数ωとK4・ωとの関係を表わすグラフである。
【図5】ブラシレスモータの制御装置の全体構成を表わすブロック図である。
【図6】従来のブラシレスモータの制御装置を構成するPWM制御回路の構成を表わすブロック図である。
【図7】自動洗濯機の洗い動作時におけるブラシレスモータの回転速度の変化を表わすグラフである。
【図8】ブラシレスモータの定速回転時にモータに印加される電圧と巻線に流れる電流の位相を表わす図である。
【図9】ブラシレスモータの加速回転時にモータに印加される電圧と巻線に流れる電流の位相を表わす図である。
【図10】ブラシレスモータの減速回転時にモータに印加される電圧と巻線に流れる電流の位相を表わす図である。
【図11】ブラシレスモータに発生させるべきトルクの大きさと電圧指令信号に与えるべき位相進め角との関係を表わす図である。
【符号の説明】
(1) PWM制御回路
(2) ブラシレスモータ
(3) 位置センサー
(4) 商用電源
(5) 整流回路
(6) インバータ
(11) 回転数制御回路
(12) 電圧指令制御回路
(12a) 位相進め角導出回路
(12b) 電圧指令信号生成回路
(13) PWM信号生成回路
(14) 回転数検出回路
(15) 位置演算回路
Claims (5)
- ブラシレスモータに交流の電力を供給するインバータと、該インバータを制御するPWM制御回路とを具えたブラシレスモータの制御装置において、前記PWM制御回路は、
ブラシレスモータの回転速度を検出する速度検出手段と、
ブラシレスモータの回転角度を検出する角度検出手段と、
前記速度検出手段によって検出された回転速度と目標回転速度との偏差に基づいて電圧振幅指令値を導出する速度制御手段と、
ブラシレスモータの回転角度と電圧位相進め角と電圧振幅指令値とを変数として電圧指令信号の変化を表わす関数に基づいて電圧指令信号を作成する演算処理手段と、
前記作成された電圧指令信号に基づいてPWM信号を作成し、該PWM信号をインバータに供給する信号処理手段
とを具え、前記演算処理手段は、
前記速度制御手段によって導出された電圧振幅指令値とブラシレスモータが前記検出された回転速度で定速回転しているときの電圧振幅指令値との差を加味した電圧位相進め角を導出する位相進め角導出手段と、
前記関数に基づいて、前記角度検出手段によって検出された回転角度と前記位相進め角導出手段によって導出された電圧位相進め角と前記導出された電圧振幅指令値とから電圧指令信号を作成する信号作成手段
とを具えていることを特徴とするブラシレスモータの制御装置。 - 前記位相進め角導出手段には、電圧位相進め角をψ、ブラシレスモータの回転速度をω、電圧振幅指令値をVa、2つの定数をそれぞれK2、K4として、下記数式で表わされる関数が規定されており、該位相進め角導出手段は、該関数に基づき、前記検出された回転速度と前記導出された電圧振幅指令値とから電圧位相進め角を導出する請求項1に記載の制御装置。
ψ=K2・ ( Va+K4・ω ) - 前記位相進め角導出手段には、電圧位相進め角をψ、ブラシレスモータの回転速度をω、電圧振幅指令値をVa、3つの定数をそれぞれK1、K2、K3として、下記数式で表わされる関数が規定されており、該位相進め角導出手段は、該関数に基づき、前記検出された回転速度と前記導出された電圧振幅指令値とから電圧位相進め角を導出する請求項1に記載の制御装置。
ψ=K1・ω+K2・ ( Va−K3・ω ) - 前記位相進め角導出手段には、電圧位相進め角をψ、ブラシレスモータの回転速度をω、前記速度制御手段によって導出される電圧振幅指令値をVa、定速回転時の電圧振幅指令値をVao、2つの定数をそれぞれK1、K2として、下記数式で表わされる関数が規定されており、該位相進め角導出手段は、該関数に基づき、前記検出された回転速度と前記導出された電圧振幅指令値と定速回転時の電圧振幅指令値とから電圧位相進め角を導出する請求項1に記載の制御装置。
ψ=K1・ω+K2・ ( Va−Vao ) - パルスエータを正逆に回転駆動するブラシレスモータと、該ブラシレスモータを制御する制御装置とを具え、該制御装置は、ブラシレスモータに交流の電力を供給するインバータと、該インバータを制御するPWM制御回路とを具えている自動洗濯機において、前記PWM制御回路は、
ブラシレスモータの回転速度を検出する速度検出手段と、
ブラシレスモータの回転角度を検出する角度検出手段と、
前記速度検出手段によって検出された回転速度と目標回転速度との偏差に基づいて電圧振幅指令値を導出する速度制御手段と、
ブラシレスモータの回転角度と電圧位相進め角と電圧振幅指令値とを変数として電圧指令信号の変化を表わす関数に基づいて電圧指令信号を作成する演算処理手段と、
前記作成された電圧指令信号に基づいてPWM信号を作成し、該PWM信号をインバー タに供給する信号処理手段
とを具え、前記演算処理手段は、
前記速度制御手段によって導出された電圧振幅指令値とブラシレスモータが前記検出された回転速度で定速回転しているときの電圧振幅指令値との差を加味した電圧位相進め角を導出する位相進め角導出手段と、
前記関数に基づいて、前記角度検出手段によって検出された回転角度と前記位相進め角導出手段によって導出された電圧位相進め角と前記導出された電圧振幅指令値とから電圧指令信号を作成する信号作成手段
とを具えていることを特徴とする自動洗濯機。
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