JP3710919B2 - タービン式流量計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タービン式流量計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、流体の流量を計測するための計器の一種として、タービン式流量計と呼ばれるものが知られている。図6に概略的に示されるように、タービン式流量計31は、流量検知手段32と電気回路部33とを有する。図8に示されるように、流量検知手段32は円筒状であって、固定翼34、回転翼35及びストッパ36を備えている。固定翼34は円筒状のケーシング37の一部に形成されている。前記固定翼34は、放射状に分割された6つの分割流路38を持ち、流量検知手段32の最も上流側に位置している。各分割流路38は曲面状をした翼片39によって仕切られている。これらの翼片39は、分割流路38を通過してくる流体の方向を変更することで同流体に回転運動を与える。回転翼35は固定翼34の下流側に配置されている。回転翼35は、回転運動を与えられた流体の作用によって回転する。なお、流体の流速が速くなると、回転翼35の回転数は増加する。回転翼35は4枚の翼片40を有する樹脂製部材とフェライト製マグネットの2部材を一体化したものである。図示しないMRセンサは、単位時間あたりの磁力変化の回数をもって前記回転翼35の回転数を検出し、それをパルス信号として電気回路部33に出力する。電気回路部33ではそのパルス信号に基づいて流速を決定し、検出信号としてそれを外部に出力する。図7のグラフには、流体の流速と回転翼35の回転数との関係が示されている。同グラフから明らかなように、この流量計31では、一定の流速以上にならないと回転翼35が回転を開始せず、よって流量計測を実施できないという特徴がある。また、回転翼35が回転を開始したとしても一定の回転数以上にならないと、流速と回転数との間で比例関係が成立しないという特徴もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年においては、小流量での測定も可能なタービン式流量計31に対するニーズが増えつつある。このような要求に応じるために流量検知手段32を構成する部材の構成を変更するとすれば、例えば次のいくつかの案が考えられる。
【0004】
第1の案は、流量検知手段32を単純にスケールダウンすることで相似形として具体化するというものである。しかし、この案であると、流量検知手段32の小径化により全体の流路断面積を小さくすることができる反面、流路内における異物の混入に対して弱いものとなる。即ち、錆、塵、スラッジ、シールテープ等の異物が回転翼35とケーシング37等との間に噛み込んでしまう結果、回転翼35が回転不能となり、計測不能となりやすい。また、全体の流路断面積及び分割流路38の流路断面積が小さくなると異物が詰まりやすくなり、それゆえ圧力損失が増大しやすい。
【0005】
第2の案は、回転翼35の設計を変更する(例えば翼片40の太幅化)というものである。しかし、このような回転翼35の設計変更は事実上極めて困難である。また、翼片40の幅を太くすると、回転翼35の重量増による応答性の悪化が避けられない。
【0006】
第3の案は、固定翼34の設計を変更する(例えば翼片39の湾曲度の増大)というものである。しかし、翼片39の湾曲度を増大させると、圧力損失の急激な増加が避けられない。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、小流量での測定が可能であることに加え異物の混入に対して強く、しかも圧力損失が小さいタービン式流量計を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、複数の分割流路を持つ固定翼と、前記固定翼の下流側に配置された回転翼とを含む流量検知手段を備え、前記分割流路を通過することで回転運動を与えられた流体の作用により前記回転翼を回転させ、その回転数に基づき流体の流量を検出するようにしたタービン式流量計において、前記分割流路個々の断面積及び前記流量検知手段自体の流路径を減少させることなく、前記複数の分割流路のうちの一部のものを非開通状態にし、かつ残りのものを開通状態にしたことを特徴とするタービン式流量計をその要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明では、複数の分割流路を持つ固定翼と、前記固定翼の下流側に配置された回転翼とを含む流量検知手段を備え、前記分割流路を通過することで回転運動を与えられた流体の作用により前記回転翼を回転させ、その回転数に基づき流体の流量を検出するようにしたタービン式流量計において、前記分割流路個々の断面積、前記分割流路個々の最小幅及び前記流量検知手段自体の流路径を減少させることなく、前記複数の分割流路のうちの一部のものを非開通状態にし、かつ残りのものを開通状態にしたことを特徴とするタービン式流量計をその要旨する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記開通状態の分割流路は、前記流量検知手段の中心軸線を基準として略回転対称に配置されているとした。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記開通状態の分割流路の数は2つであるとした。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記固定翼は樹脂を材料とした一体成形品であるとした。
【0012】
以下、本発明の「作用」について説明する。
請求項1に記載の発明によると、複数の分割流路の全てが開通状態である場合と比べ、トータルでの流路断面積は小さくなるため、固定翼を通過する際の流体の速度が速くなる。よって、流体の流量が少ないときでも、回転翼を回転させうるだけの回転運動を与えることができる。従って、計測可能下限流量値が小さくなり、小流量での測定が可能なタービン式流量計とすることができる。
【0013】
この場合において、分割流路個々の断面積及び流量検知手段自体の流路径は減少させていないので、異物の混入に対して強くしかも圧力損失が小さいものとなる。
【0014】
請求項2に記載の発明によると、請求項1に記載の発明の作用に加え、分割流路個々の最小幅も減少させていないので、よりいっそう異物の混入に対して強くしかも圧力損失が小さいものとなる。
【0015】
請求項3,4に記載の発明によると、開通状態の分割流路を略回転対称に配置した場合とそうでない場合とを比べると、前者のほうが回転翼に対して均等に回転力が加わりやすくなる。このため、回転翼の回転ムラの発生が防止されること等によって、初期の流量特性が向上しかつ測定動作も安定化する。特に請求項4に記載の発明によると、その作用が確実に得られることが確認されている。
【0016】
請求項5に記載の発明によると、例えば既存構成の固定翼における分割流路のうちのいくつかを別体で封止したものに比べ、樹脂を材料とした一体成形品のほうが、各分割流路にばらつきが生じにくい。従って、回転翼に対して均等に回転力が加わりやすいことに加え、流体の回り込みに起因する回転力のロスも起こりにくい。そのため、回転翼の回転ムラの発生がより確実に防止されること等によって、初期の流量特性が向上しかつ測定動作も安定化する。勿論、計測可能下限流量値もさらに小さくなる。また、このような固定翼であれば、複雑な形状であっても比較的簡単にかつ封止工程を伴うことなく製造することが可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態のタービン式流量計を図面に基づき詳細に説明する。
【0018】
図1には本実施形態のタービン式流量計1が示されている。このタービン式流量計1を構成する流量検知手段収容体は、第1のブロック2、第2のブロック3及び第3のブロック4という3つのブロックによって構成されている。第2のブロック3は両端にフランジ部を有する筒状部材である。第2のブロック3の左端には、第1のブロック2が環状のパッキング5を介して嵌着されている。第2のブロック3の右端には、同じく環状のパッキング6を介して第3のブロック4が嵌着されている。第1のブロック2には、図示しない配管を接続するための流入側ポート7が形成されている。第3のブロック4には、図示しない配管を接続するための流出側ポート8が形成されている。各ブロック2,3,4を互いに接続した場合、両ポート7,8と第2のブロック3の内部空間9とが連通し、ひとつの流路を形成する。そして、第2のブロック3の内部空間9には、筒状をした流量検知手段11が移動不能に収容されている。
【0019】
第2のブロック3の上面側には、電気回路部を収容するためのカバー12が装着されている。第2のブロック3の上面かつ略中央部には、センサ取付部13が突設されている。そのセンサ取付部13には、環状のパッキング14を介して磁気感知手段としてのMRセンサ15が取り付けられている。MRセンサ15は、リード線16を介して回路基板17に電気的に接続されている。前記回路基板17には、各種電子部品(発光ダイオード18やトリマ19等)がはんだ付け等により実装されている。前記回路基板17上には、例えば積分器やf/Vフィルタ等が構成されている。MRセンサ15は、単位時間あたりの磁力変化の回数をもって後述の回転翼21の回転数を検出し、それをパルス信号として出力する。MRセンサ15からのパルス信号は、f/Vフィルタにおいて処理されることにより流量信号に変換される。そして、このような流量信号は外部にある制御機器に出力されるようになっている。
【0020】
次に、本実施形態における流量検出手段11の構成を説明する。
図1,図2に示されるように、流量検出手段11は円筒状であって、固定翼20、回転翼21及びストッパ22等を備えている。固定翼20は有底円筒状のケーシング23の一部(即ち底部)に形成されていて、流量検知手段11の最も上流側(流入側)に位置している。ストッパ22は6枚羽構造であって、ケーシング23の開口部に取り付けられている。回転翼21は、前記ストッパ22とケーシング23とがなす空間内に収容されている。本実施形態の回転翼21は、4枚の翼片24を備えた樹脂製部材とフェライト製マグネットの2部品を一体化させたものである。すなわち、回転翼21により磁気発生手段が構成されている。回転翼21の中心にある回転軸25の先端側は、固定翼20の内端側中央部に設けられた軸受26に支持されている。回転軸25の基端側は、ストッパ22の内端側中央部に設けられた軸受27に硬球28を介して支持されている。従って、固定翼20の下流側にある回転軸21は、自身の回転軸25を中心として回転することができる。
【0021】
図2,図3(b)に示されるように、本実施形態の固定翼20は、複数の分割流路Rのうちの一部のものを非開通状態にし、かつ残りのものを開通状態にしたような構成を備えている。これを説明するために、図3(a)に従来の固定翼20Aを示す。従来の固定翼20Aは6つの分割流路Rを備えるとともに、その全ての分割流路Rが開通状態になっている。これらの分割流路Rは、いずれも円形を放射状に6等分した形状であり、かついずれも同じ形状である。開通状態にあるこれらの分割流路Rは、図3において斜線の領域で表わされている。各分割流路Rは曲面状をした翼片29によって仕切られている。これらの翼片29は、分割流路Rを通過してくる水等の液体の方向を変更することで、その液体に回転運動を与える役割を果たす。翼片29によって回転運動を与えられた液体は回転翼21に回転をもたらす。
【0022】
図2,図3(b)に示される本実施形態の固定翼20は、いわば従来の固定翼20Aにおいて6つあった分割流路Rのうちの4つのものを非開通状態とし、かつ残りの2つのものを開通状態にすることにより製造されたものである。なお、ここでは、別体である封止材Mを用いて分割流路Rを完全に封止することにより、既存の分割流路Rを非開通状態の分割流路となしている。封止材Mは分割流路Rの奥のほうまで(つまり翼片29の内端に到るまで)充填している。
【0023】
一方、封止されていない開通状態の分割流路Rは、流量検知手段11の中心軸線を基準として回転対称に配置されている。即ち、開通状態の分割流路Rは、軸受26を挟んでちょうど対向した位置関係にある。
【0024】
ここで、固定翼20の端面の投影面積をS1 とし、各分割流路R(開通状態のもの)の流路断面積をS2 とし、かつ各分割流路R(開通状態のもの)の流路断面積の総和をΣS2 とすると、図3(b)の固定翼20ではΣS2 がS1 の1/3弱になっている。それに対して、図3(a)の固定翼20Aでは、ΣS2 がS1 にほぼ匹敵するほど大きなものとなっている。ただし、分割流路R個々の断面積S2 、分割流路R個々の最小幅、及び流量検知手段11自体の流路径の変更はないので、それらについては特に減少してはいない。なお「分割流路Rの最小幅」とは、分割流路Rを通過しうる最大の仮想球体の直径の大きさと定義する。
【0025】
次に、いくつかの実施例及び比較例を作製するとともに、それらについて行なった比較試験を説明する。
上述した図3(a)のような構成の固定翼20Aを有するものを比較例(従来例)と呼び、図3(b)のような構成の固定翼20を有するものを実施例1と呼ぶことにする。
【0026】
図3(c)に示される固定翼20Cは、非開通状態の分割流路を3つ備え、開通状態の分割流路Rを3つ備えている(実施例2)。開通状態の分割流路Rは、実施例1と同じく、流量検知手段11の中心軸線を基準として回転対称に配置されている。この固定翼20Cでは、ΣS2 がS1 の1/2弱になっている。
【0027】
図3(d)に示される固定翼20Dは、非開通状態の分割流路を5つ備え、開通状態の分割流路Rを1つのみ備えている(実施例3)。この固定翼20Dでは、ΣS2 がS1 の1/6弱になっている。
【0028】
図3(e)に示される固定翼20Eは、非開通状態の分割流路を4つ備え、開通状態の分割流路Rを2つ備えている(実施例4)。従って、実施例1と同じくΣS2 がS1 の1/3弱である反面、分割流路R同士が隣接した構成となっている。そのため、開通状態の分割流路Rは、流量検知手段11の中心軸線を基準として回転対称に配置されてはいない。
【0029】
図3(f)に示される固定翼20Fは、非開通状態の分割流路を2つ備え、開通状態の分割流路Rを2つ備えている(実施例5)。開通状態の分割流路Rは、実施例1と同じく、流量検知手段11の中心軸線を基準として回転対称に配置されている。この固定翼20Fでは、ΣS2 がS1 の1/2弱になっている。
【0030】
図3(g)に示される固定翼20Gは、非開通状態の分割流路を3つ備え、開通状態の分割流路Rを2つ備えている(実施例6)。開通状態の分割流路Rは、実施例1とは異なり、流量検知手段11の中心軸線を基準として完全には回転対称に配置されないが、回転対称にいくぶん近い状態となっている。この固定翼20Gでは、ΣS2 がS1 の2/5弱になっている。
【0031】
図3(h)に示される固定翼20Hは、非開通状態の分割流路を2つ備え、開通状態の分割流路Rを1つのみ備えている(実施例7)。開通状態の分割流路Rは、実施例1とは異なり、流量検知手段11の中心軸線を基準として回転対称に配置されてはいない。この固定翼20Hでは、ΣS2 がS1 の1/3弱になっている。
【0032】
なお、上記の各実施例2〜7の固定翼20C〜20Hは、実施例1と同じく、既存構成の固定翼を封止材Mで封止することにより製造されたものである。
これらのものを用いた比較試験では、流量検知手段11に供給される液体の流量を徐々に増やしていった場合に回転翼21が回転を開始するときの流量値Q1 (NL/min )、即ち計測可能下限流量値Q1 (NL/min )を測定した。
【0033】
また、これらのものについて、回転翼21における回転ムラの発生の有無を調査した。その際、MRセンサ15のパルス信号1秒分に含まれているパルス数(周波数Hz)のばらつき度合いを、1つの判断材料とした。また、流量検知手段11の発する騒音の有無も同様に判断材料とした。
【0034】
そして、Q1 値及び回転ムラという2つの観点から各々の優劣を判定した。その結果を表1に示す。
Q1 値については実施例3が最も小さく、それに次いで実施例1,4が小さかった。また、比較例のQ1 値が最も大きかった。
【0035】
回転ムラの発生は、実施例1,2,5,6及び比較例においては確認されず、実施例3,4,7において確認された。これは、開通状態の分割流路Rが略回転対称に配置されているか、非回転対称に配置されているかの差に起因するものと考えられる。
【0036】
従って、以上の事情から鑑みると、実施例1が最も優れており、かつ実施例2,5,6がそれに次いで優れているものと結論付けられた。
また、比較例及び各実施例1〜7において、圧力損失の増大はいずれのものにも認められず、回転翼21とケーシング23等との間に異物が噛み込む等の不具合も特に認められなかった。このような結果が得られたのは、分割流路R個々の断面積、分割流路R個々の最小幅及び流量検知手段11自体の流路径を減少させていないことが功を奏したものと推測された。
【0037】
【表1】
Figure 0003710919
ここで、さらなる改良例(実施例8)を図4,図5に示す。
この固定翼20Bは、既存構成の固定翼20Aにおける分割流路Rのうちのいくつかを成形後に封止することで製造される前記実施例1〜7とは異なる方法で製造されたものである。つまり、この固定翼20Bは樹脂を材料とした一体成形品であって、翼片29及び封止材Mの境目は存在していない。
【0038】
実施例8の固定翼20Bを端面側からみたときの様子は、実施例1の固定翼20を端面側からみたときの様子と殆ど変わりがないので図示を省略する。開通状態の分割流路Rは、流量検知手段11の中心軸線を基準として回転対称に配置されている。この固定翼20BのΣS2 は、S1 の1/3弱になっている。表1には、実施例8のQ1 の値が併せて示されている。それによると、実施例8のQ1 値は、最も好適であった実施例1のQ1 値をさらに下回るものとなった。つまり、実施例8の構成とすれば、実施例1よりもさらに小流量測定に好適なものとなることがわかる。
【0039】
さて、以下に本実施形態において特徴的な作用効果を列挙する。
(イ)本実施形態にて示した上記各実施例1〜8では、複数の分割流路Rの全てが開通状態である場合(比較例)と比べ、トータルでの流路断面積は小さくなる。そのため、固定翼21を通過する際の液体の速度が速くなる。よって、液体の流量が少ないときでも、回転翼21を回転させうるだけの回転運動を充分に与えることができる。従って、既に示したとおりQ1 の値が小さくなり、小流量での安定的な測定が可能なタービン式流量計1を実現することができる。この場合において、分割流路R個々の断面積、分割流路R個々の最小幅及び流量検知手段11自体の流路径は減少させていないので、異物の混入に対して強くしかも圧力損失が小さいものとすることができる。
【0040】
(ロ)本実施形態にて示した実施例1,8では、開通状態の分割流路Rを流量検知手段11の中心軸線を基準として回転対称に配置している。このようなものと回転対称に配置していない実施例4とを比べると、前者のほうが回転翼21に対して均等に回転力が加わりやすくなる。そのため、回転翼21の回転ムラの発生が防止されること等によって、初期の流量特性が向上しかつ測定動作も安定化する。実施例2,5についても回転対称配置であることから、同様のことがいえる。
【0041】
(ハ)本実施形態にて示した実施例1〜8は、基本的に固定翼20,20B〜20Hが有する各翼片29の湾曲度の増大を伴うものではない。従って、各翼片29の湾曲度の増大に起因する圧力損失の増加も確実に回避される。
【0042】
(ニ)また、前記実施例1〜8は、翼片24の太幅化などといった回転翼21の設計変更をも伴わない。従って、翼片24の太幅化に起因する回転翼21の重量増も回避され、応答性の悪化も未然に防止される。
【0043】
(ホ)本実施形態にて示した実施例8の固定翼20Bは、樹脂を材料とした一体成形品であることを特徴とする。ゆえに、他の実施例に比べて、実施例8は各分割流路Rにばらつきが生じにくい。従って、回転翼21に対して均等に回転力が加わりやすいことに加え、液体の回り込みに起因する回転力のロスも起こりにくい。これは、封止材Mによる封止を行なった場合に比べ、固定翼20Bの内端面側にさらに凹凸部分ができにくくなることによる。そのため、回転翼21の回転ムラの発生がより確実に防止されること等によって、初期の流量特性が向上しかつ測定動作も安定化する。勿論、小流量であっても回転翼21がスムーズに回り出すことができるため、Q1 値のさらなる減少を実現することができる。また、このような固定翼20Bであれば、複雑な形状であっても比較的簡単にかつ封止工程を伴うことなく製造することが可能である。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、例えば次のような別の形態に変更することが可能である。
◎ 固定翼20Aの端面にテープを貼ったり、端面に板材で蓋をする等の方法によって、複数の分割流路Rのうちの一部のものを非開通状態にし、かつ残りのものを開通状態にすることも可能である。ただし、このような構成であると、液体の固定翼29側への回り込みに起因して回転力のロスが大きくなり、Q1 値が充分に小さくならないおそれがある。
【0045】
◎ パテ或いはパテ以外の無機材料を封止材Mとして用いてもよく、さらには樹脂等の有機材料を封止材Mとして用いてもよい。樹脂を選択する場合、例えばディスペンサ等により未硬化状態の熱硬化性樹脂を充填した後、それを加熱等によって硬化させればよい。
【0046】
◎ 実施形態において例示したような3分割、4分割、5分割、6分割された固定翼を出発材料として封止を行う場合に限定されず、それ以外のもの(例えば7,8,9,10分割されたもの等)を出発材料として封止を行なっても勿論よい。
【0047】
◎ 実施形態において挙げたMRセンサ15に限定されず、それ以外の磁気感知手段を用いてもよく、さらには磁力変化に頼らない手法により回転数を検出する感知手段を用いてもよい。
【0048】
ここで、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想をその効果とともに以下に列挙する。
(1) 請求項1乃至5のいずれか1項において、前記流量検知手段の外形寸法を既存の流量検知手段自体の外形寸法と同一となるように構成したことを特徴とするタービン式流量計。この構成であると、既存の流量検知手段との部品交換が可能となる。
【0049】
(2) 請求項1乃至5、技術的思想1のいずれか1項において、検出単位時間あたりの磁力変化の回数をもって前記回転翼の回転数を検出するとともに、それをパルス信号として出力する磁気感知手段を備えることを特徴とするタービン式流量計。この構成であると、パルス数の大小に基づいて正確に回転翼の回転数を感知することができ、ひいては流量を正確に感知することができる。
【0050】
(3) 技術的思想2において、前記磁気感知手段から出力される前記パルス信号をf/V変換することにより流量に略比例する流量信号を生成する電気回路部を備えたことを特徴とするタービン式流量計。この構成であると、パルス数/流速値がほぼ一定になることから、既存のものと共通の回路構成とすることができる。
【0051】
(4) 請求項1乃至5のいずれか1項において、前記固定翼の端面の投影面積をS1 とし、前記開通状態の分割流路の流路断面積をS2 とし、かつ前記開通状態の分割流路の流路断面積の総和をΣS2 としたとき、ΣS2 がS1 の1/2以下である(好ましくは1/6以上かつ1/3以下である)ことを特徴とするタービン式流量計。この構成であると、小流量での測定が可能であることに加え異物の混入に対して強く、しかも圧力損失が小さいタービン式流量計をより確実に提供することができる。
【0052】
なお、本明細書中において使用した技術用語を次のように定義する。
「比例領域: 流速の増加に対して回転数が直線的に増加するような関係となる領域をいう。」
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、小流量での測定が可能であることに加え異物の混入に対して強く、しかも圧力損失が小さいタービン式流量計を提供することができる。
【0054】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明のタービン式流量計よりもさらに異物の混入に対して強くしかも圧力損失が小さいものとすることができる。
【0055】
請求項3に記載の発明によれば、初期の流量特性が向上することで、測定動作の安定化を図ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、初期の流量特性がよりいっそう向上することで、測定動作のさらなる安定化を図ることができる。
【0056】
請求項5に記載の発明によれば、初期の流量特性が向上することで測定動作が安定化するとともに、製造も比較的簡単なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した一実施形態のタービン式流量計を全体的に示す断面図。
【図2】図2のタービン式流量計の流量検知手段を示す一部破断斜視図。
【図3】(a)は比較例(従来例)の固定翼を示す概略図、(b)〜(h)は実施例1〜7の固定翼を示す概略図。
【図4】実施例8の流量検知手段を備えるタービン式流量計を全体的に示す断面図。
【図5】図4の流量検知手段を示す一部破断斜視図。
【図6】従来のタービン式流量計を全体的に示す断面図。
【図7】流速と回転数との関係を示すグラフ。
【図8】従来のタービン式流量計の流量検知手段を示す一部破断斜視図。
【符号の説明】
1…タービン式流量計、11…流量検知手段、20,20B〜20H…固定翼、21…回転翼、S2 …分割流路個々の断面積。R…分割流路。

Claims (5)

  1. 複数の分割流路を持つ固定翼と、前記固定翼の下流側に配置された回転翼とを含む流量検知手段を備え、前記分割流路を通過することで回転運動を与えられた流体の作用により前記回転翼を回転させ、その回転数に基づき流体の流量を検出するようにしたタービン式流量計において、
    前記分割流路個々の断面積及び前記流量検知手段自体の流路径を減少させることなく、前記複数の分割流路のうちの一部のものを非開通状態にし、かつ残りのものを開通状態にしたことを特徴とするタービン式流量計。
  2. 複数の分割流路を持つ固定翼と、前記固定翼の下流側に配置された回転翼とを含む流量検知手段を備え、前記分割流路を通過することで回転運動を与えられた流体の作用により前記回転翼を回転させ、その回転数に基づき流体の流量を検出するようにしたタービン式流量計において、
    前記分割流路個々の断面積、前記分割流路個々の最小幅及び前記流量検知手段自体の流路径を減少させることなく、前記複数の分割流路のうちの一部のものを非開通状態にし、かつ残りのものを開通状態にしたことを特徴とするタービン式流量計。
  3. 前記開通状態の分割流路は、前記流量検知手段の中心軸線を基準として略回転対称に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のタービン式流量計。
  4. 前記開通状態の分割流路の数は2つであることを特徴とする請求項3に記載のタービン式流量計。
  5. 前記固定翼は樹脂を材料とした一体成形品であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のタービン式流量計。
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