JP3710619B2 - 監視制御システムの試験装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、監視制御システムの動作試験を実施する試験者の負担を軽減する監視制御システムの試験装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図16は電力系統の監視制御システムを示す構成図であり、図において、1は電力系統を構成する設備(例えば、変圧器、母線、送電線等),開閉器(例えば、遮断器や断路器)及び計測器(例えば、電流計や電圧計)等の電力系統の機器、2は開閉器の開閉状態を示す情報や計測器の計測値等を収集する一方、ホストコンピュータ3から出力された制御信号にしたがって開閉器等を制御する遠方監視制御装置、3は遠方監視制御装置2により収集された開閉器の開閉状態を示す情報や計測器の計測値等から電力系統の変化を記録するとともに、電力系統の状態等をマンマシンI/F4に表示し、また、マンマシンI/F4から開閉器等の制御要求を受信すると、その制御信号を遠方監視制御装置2の出力するホストコンピュータ、4は電力系統の状態等を表示するとともに、開閉器等の制御を受け付けるマンマシンI/Fである。
【0003】
図17は従来の監視制御システムの試験装置を示す構成図であり、図において、5は電力系統の模擬データ(試験データ)を生成して、その模擬データをホストコンピュータ3に送信する試験装置、6は監視制御システムの試験を実施する試験者が模擬データを作成する模擬データ作成部、7は模擬データ作成部6により作成された模擬データを蓄積するデータベース、8はデータベース7に蓄積された模擬データをホストコンピュータ3に送信する模擬データ発生部、9は試験装置5から送信された模擬データを格納するホストコンピュータ3のメモリ、10はメモリ9により格納された模擬データを入力条件として、各種のプログラムを実行し、その実行結果をマンマシンI/F4に出力するホストコンピュータ3の処理部である。
【0004】
次に動作について説明する。
監視制御システムのホストコンピュータ3は、遠方監視制御装置2が開閉器の開閉状態を示す情報を収集すると、例えば、状変処理プログラムや機器状態変化記録プログラムを実行して、電力系統の変化を記録するとともに、その記録結果をマンマシンI/F4に表示する等の処理を実行する。
また、遠方監視制御装置2が計測器の計測値等を収集すると、例えば、電気量計算プログラムや電気量集計プログラムを実行して、電気量の変化を記録するとともに、その記録結果をマンマシンI/F4に表示する等の処理を実行する。
【0005】
また、監視制御システムのホストコンピュータ3は、マンマシンI/F4から開閉器等の制御要求を受信すると、その制御信号を遠方監視制御装置2に出力して、遠方監視制御装置2に開閉器等の制御を依頼する処理を実行する。
以上から明らかなように、監視制御システムのホストコンピュータ3は電力系統の監視及び制御を担う装置であるが、電力系統の信頼性を担保する必要から実際に運用する前に、監視制御システム全体が正常に動作することを確認する必要がある。
【0006】
そこで、従来は、監視制御システムを実際に運用する前に(電力系統の構成に変更が生じた場合も含む)、監視制御システムの試験を実施する試験者が試験装置5の模擬データ作成部6を用いて模擬データを作成する。
具体的には、例えば、開閉器が100台設置されていれば、100台分の開閉器の開閉状態を示す情報(入状態又は切状態)を模擬データとして作成し、また、電流計や電圧計等の計測器が50台設置されていれば、50台分の計測器の計測値を模擬データとして作成する。
【0007】
そして、試験者が模擬データ作成部6を用いて模擬データを作成すると、その模擬データは一旦データベース7に蓄積されたのち、模擬データ発生部8を介してホストコンピュータ3のメモリ9に転送され、ホストコンピュータ3が実際の運用時と同様に、その模擬データにしたがって各種の処理を実行する。
そして、ホストコンピュータ3の処理が完了したのち、マンマシンI/F4を操作すると、ホストコンピュータ3の処理結果が表示されるので、試験者は、その処理結果が適正なものであるか否かを判断し、監視制御システムの良否を判定する。
【0008】
なお、この従来例に類似する技術が特開平7−99741号公報に開示されているが、この公報に開示されている技術は、電力系統を構成する全機器の状態変化を監視制御システムに自動的に入力できるようにするため、試験者が模擬データ作成部を用いて設定した情報を登録順に、ホストコンピュータに入力するようにしたものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の監視制御システムの試験装置は以上のように構成されているので、試験者が手動で模擬データを設定すれば、監視制御システムの処理結果の正当性をある程度は確認できるが、あくまでも個々の開閉器の開閉状態や個々の計測器の計測結果を正確に監視できるか否かの確認に止まり、電力系統の実際の運用形態に即する試験を実施することができないため、監視制御システムの処理結果の正当性を正確に確認することができないという課題があった(例えば、事故の発生に伴って多くの状変が発生する場合に、監視制御システムの処理時間や処理容量の保証等を確認することができない)。
また、電力系統における事故発生時の試験や開閉器の模擬操作に伴う応動試験を実施することができないという課題もあった。
【0010】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、電力系統の実際の運用形態に即する試験の実施を可能にして、監視制御システムの処理結果の正当性を正確に確認することができる監視制御システムの試験装置を得ることを目的とする。
また、この発明は、電力系統における事故発生時の試験を実施することができる監視制御システムの試験装置を得ることを目的とする。
また、開閉器の模擬操作に伴う応動試験を実施することができる監視制御システムの試験装置を得ることを目的とする。
さらに、監視制御システムの良否を自動的に判定することができる監視制御システムの試験装置を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る監視制御システムの試験装置は、電力系統を構成する開閉器が遮断器である場合には、その開閉器の開閉状態を入状態に設定する一方、電力系統を構成する開閉器が断路器である場合には、その断路器の所属設備,接続母線及び接続位置を考慮して開閉状態を設定するようにしたものである。
【0020】
この発明に係る監視制御システムの試験装置は、格納手段に各処理の制限時間が格納されている場合には、監視制御システムが制限時間内に各処理の実施を完了したか否かを監視し、その監視結果を考慮して監視制御システムの良否を判定するようにしたものである。
【0021】
この発明に係る監視制御システムの試験装置は、格納手段に複数の判定基準が格納されている場合には、回収手段により回収された監視制御システムの処理結果に基づいて判定基準を格納手段から検索するようにしたものである。
【0022】
この発明に係る監視制御システムの試験装置は、設定手段により設定されたスケジュールにしたがって事故設備に係る模擬情報を設定し、監視制御システムの処理結果を回収手段に出力するようにしたものである。
【0023】
この発明に係る監視制御システムの試験装置は、設定手段により設定されたスケジュールにしたがって制御対象の開閉器に係る模擬情報を変更し、監視制御システムの処理結果を回収手段に出力するようにしたものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による監視制御システムの試験装置を示す構成図であり、図において、11は機器状態設定部、12は電気量設定部、13は電力系統を構成する各機器(例えば、遮断器、断路器、変圧器、母線、送電線、計測器等)の設備情報(例えば、機器種別,所属設備,接続母線及び接続位置)を格納する設備データベース(格納手段)、14は設備データベース13により格納された各機器の設備情報を参照して、電力系統の接続形態が運用形態に一致するように各開閉器の開閉状態(模擬データ)を設定するデフォルト状態設定部(設定手段)、15はデフォルト状態設定部14により設定された各開閉器の開閉状態を一時的に格納するメモリ、16はデフォルト状態設定部14により設定された各開閉器の開閉状態を修正する状態修正部(修正手段)である。
【0030】
また、17は潮流計算実施用のパラメータ(例えば、発電量、負荷量、リアクタンス等)を設定するパラメータ設定部、18はパラメータ設定部17により設定されたパラメータを格納するパラメータデータベース、19はデフォルト状態設定部14により設定された各開閉器の開閉状態を条件とする潮流計算を実行して、電力系統の電気量(模擬データ)を演算するする潮流計算部(演算手段)、20は模擬データを格納する模擬データ格納部である。
なお、図2はこの発明の実施の形態1による監視制御システムの試験方法を示すフローチャートである。
【0031】
次に動作について説明する。
監視制御システムを試験する際に使用する模擬データは、下記に示す手順で作成するが、その模擬データを作成する際に使用する各機器(例えば、遮断器、断路器、変圧器、母線、送電線等)の設備情報は、予め設備データベース13に登録され、潮流計算実施用のパラメータ(例えば、発電量、負荷量、リアクタンス等)は、パラメータデータベース18に登録されている。
【0032】
なお、各機器の設備情報は機器種別,所属設備,接続母線及び接続位置を示す情報であるが、図4には、電力系統を構成する各機器のうち、機器A1,S線1号及び500KV甲母線の設備情報が示されている。
例えば、断路器A1の設備情報に着目すると、機器A1は“断路器”であって、“S線1号”の設備に属し、また、機器A1は接続母線が“500KV甲母線”であって、接続位置が“母線側”であることを示している。
【0033】
次に、模擬データの作成を具体的に説明するが、電力系統の形態が二重母線の場合、図3に示すような接続形態が、電力系統の信頼性において優れているため、標準的な運用形態として採用されている。
そこで、この実施の形態1では、電力系統の接続形態が図3に示すような接続形態と一致するように、各開閉器の開閉状態を設定する。
【0034】
まず、デフォルト状態設定部14は、各機器の設備情報を参照して、遮断器を検索し、遮断器の開閉状態を“入状態”に設定する(ステップST1)。
具体的には、A3,B3,C3,D3及びE3の機器を検索し、A3,B3,C3,D3及びE3の機器の開閉状態を“入状態”に設定する。
【0035】
そして、デフォルト状態設定部14は、すべての遮断器の開閉状態を“入状態”に設定すると、各機器の設備情報を参照して、状態未設定の断路器を検索し、その断路器の所属設備が送電線又は変圧器であって、接続位置が母線側に位置するか否かを判定する(ステップST2〜ST5)。
なお、図3の例では、機器A1,A2,B1,B2,C1,C2,D1,D2は、所属設備が送電線又は変圧器であって、接続位置が母線側の断路器である。
しかし、機器A4,B4は、所属設備が送電線又は変圧器であるが、接続位置が送電線側の断路器である。
【0036】
そして、デフォルト状態設定部14は、状態未設定の断路器のうち、接続位置が母線側に位置しない断路器(機器A4,B4)の開閉状態を“入状態”に設定する一方(ステップST8)、接続位置が母線側に位置する断路器(機器A1,B1,C1等)の所属設備(上位設備の設備番号)と接続母線を判断して、接続位置が母線側に位置する断路器の開閉状態を設定する(ステップST6〜ST8)。
【0037】
具体的には、上位設備(図3の例では、送電線又は変圧器)の設備番号が奇数の断路器(機器A1,A2,C1,C2)のうち、接続母線が甲母線に接続される断路器(機器A1,C1)の開閉状態を“入状態”に設定し、接続母線が乙母線に接続される断路器(機器A2,C2)の開閉状態を“切状態”に設定する。
また、上位設備の設備番号が偶数の断路器(機器B1,B2,D1,D2)のうち、接続母線が乙母線に接続される断路器(機器B2,D2)の開閉状態を“入状態”に設定し、接続母線が甲母線に接続される断路器(機器B1,D1)の開閉状態を“切状態”に設定する。
なお、断路器(機器E1,E2)は、接続位置が母線側に位置するが、所属設備が送電線又は変圧器の何れでもなく、ステップST4の条件を具備しないので、開閉状態を“入状態”に設定する。
【0038】
このようにして、デフォルト状態設定部14が、すべての開閉器の開閉状態を設定すると、すべての開閉器の開閉状態(模擬データ)が模擬データ格納部20に格納される一方、電気量設定部12の潮流計算部19に出力される。
そして、潮流計算部19は、機器状態設定部11から各開閉器の開閉状態(模擬データ)を受信すると、潮流計算実施用のパラメータ(例えば、発電量、負荷量、リアクタンス等)と、各開閉器の開閉状態を条件とする潮流計算を実行して、電力系統の電気量(模擬データ)を演算する。
例えば、AC潮流計算法やDC潮流計算法等を用いて、送電線等に流れる電流,電圧及び位相等を演算する。
【0039】
このようにして、潮流計算部19が電力系統の電気量(模擬データ)を演算すると、電力系統の電気量(模擬データ)が模擬データ格納部20に格納されるが、試験装置は、図5に示すように、模擬データ格納部20に格納された各開閉器の開閉状態(模擬データ)と電力系統の電気量(模擬データ)を監視制御システムのホストコンピュータ3に送信するので、監視制御システムのホストコンピュータ3は、実際の運用時と同様に、その模擬データにしたがって各種の処理を実行する。
【0040】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、各機器の設備情報を参照して、電力系統の接続形態が運用形態に一致するように各開閉器の開閉状態を設定するとともに、各開閉器の開閉状態を条件とする潮流計算を実行して、電力系統の電気量を演算するように構成したので、電力系統の実際の運用形態に即する試験の実施が可能になり、その結果、監視制御システムの処理結果の正当性を正確に確認することができる効果を奏する。
【0041】
実施の形態2.
図6はこの発明の実施の形態2による監視制御システムの試験装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
21は電力系統の事故設備,事故種別及び事故発生時刻を設定する事故状態設定部(指定手段)、22は事故状態設定部21により設定された事故設備,事故種別及び事故発生時刻を格納する事故情報格納部、23は電力系統に設置された各保護リレーの保護設備を記憶するとともに、各保護リレーがトリップする遮断器を記憶するリレー情報格納部(記憶手段)、24は事故状態設定部21により設定された事故設備を保護する保護リレーをリレー情報格納部23から検索するリレー抽出部(特定手段)、25はリレー抽出部24により複数の保護リレーが検索された場合、何れかの保護リレーを選択するリレー選択部、26はリレー選択部25により選択された保護リレーがトリップする遮断器を特定するとともに、その遮断器のうち、その事故設備と電気的に接続関係のある遮断器の開閉状態を切状態に変更する状態変更部(特定手段、変更手段)、27は各開閉器(遮断器、断路器)の開閉状態を条件とする潮流計算を実行して、電力系統の電気量を演算する潮流計算部(演算手段)、28は事故前後の各開閉器の開閉状態及び電力系統の電気量等を模擬データとして登録する事故シナリオデータベースである。
なお、図7はこの発明の実施の形態2による監視制御システムの試験方法を示すフローチャートである。
【0042】
次に動作について説明する。
上記実施の形態1と同様にして、模擬データが模擬データ格納部20に格納されると、その模擬データが監視制御システムのホストコンピュータ3に送信され、監視制御システムのホストコンピュータ3が、実際の運用時と同様に、その模擬データにしたがって各種の処理を実行するが、事故発生時の試験を実施する必要がある場合、まず、試験者が事故の発生を模擬する電力系統の初期系統を選択する(ステップST11〜ST13)。
この実施の形態2では、電力系統の初期系統として図8に示す系統を選択したものとして説明する。
【0043】
そして、試験者が初期系統を選択すると、図示せぬCRTに図8の電力系統が画面表示されるので、試験者が事故状態設定部21を用いて、電力系統の事故設備,事故種別(例えば、断線事故、短絡事故等)及び事故発生時刻を設定する(ステップST14)。
図8の例では、500KV甲母線を事故設備として選択している。
そして、試験者が電力系統の事故設備等を設定すると、潮流計算部27が、各開閉器の開閉状態や事故種別等を条件とする潮流計算を実行して、事故発生直後の電気量を演算する。
【0044】
そして、リレー抽出部24は、試験者が電力系統の事故設備等を設定すると、事故設備を保護する保護リレーをリレー情報格納部23から検索し、図示せぬCRTに一覧表示する(ステップST16)。
そして、試験者がリレー選択部25を用いて、何れかの保護リレーを選択すると(ステップST17)、状態変更部26が、リレー情報格納部23に格納された情報を参照して、その保護リレーがトリップする遮断器を特定する。
図9の例では、保護リレーAがトリップする遮断器は、機器A3,B3,C3,D3,E3であることを示す情報がリレー情報格納部23に格納されている。
【0045】
そして、状態変更部26は、保護リレーがトリップする遮断器を特定すると、その遮断器のうち、その事故設備と電気的に接続関係のある遮断器を選択する(ステップST18)。
例えば、保護リレーAが選択された場合、保護リレーAがトリップする遮断器は、機器A3,B3,C3,D3,E3であるが、機器B3,D3の遮断器は、既に切状態にあるB1,D1を事故設備との間に挟んでいるため、機器B3,D3の遮断器の開閉状態を改めて切状態に変更する必要がない。従って、事故設備である500KV甲母線と電気的に接続されているA3,C3,E3の遮断器を選択する。
そして、状態変更部26は、事故設備と電気的な接続関係がある遮断器を選択すると、事故設備を電力系統から切り離すため、その遮断器の開閉状態を“切状態”に変更する(ステップST19)。
【0046】
このようにして、状態変更部26が遮断器の開閉状態を“切状態”に変更すると、潮流計算部27が、各開閉器(遮断器、断路器)の開閉状態等を条件とする潮流計算を実行して、事故除去後の電力系統の電気量を演算する(ステップST20)。
これにより、事故前後の各開閉器の開閉状態及び電力系統の電気量等が事故シナリオデータベース28に模擬データとして登録されるので(ステップST21)、監視制御システムのホストコンピュータ3は、実際の運用時と同様に、その模擬データにしたがって事故発生時の処理を実行することができる。
【0047】
なお、図10は事故発生時の模擬データを示す状態変化リストであるが、この状態変化リストは、保護リレーや遮断器の動作時間や動作条件が考慮されているので、事故発生後、実際に遮断器が切状態に遷移するまでの時間が、実際の運用形態に即する時間に設定されている。
因みに、状態変化リストは、図示せぬCRTに表示されるので、試験者は状態変化リストを確認することができ、また、変更することもできる。
【0048】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、事故設備を保護する保護リレーをリレー情報格納部23から検索して、その保護リレーがトリップする開閉器を特定する一方、その特定された開閉器のうち、その事故設備と電気的に接続関係のある開閉器の開閉状態を切状態に変更するように構成したので、電力系統における事故発生時の試験を実施することができる効果を奏する。
【0049】
実施の形態3.
図11はこの発明の実施の形態3による監視制御システムの試験装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
31は監視制御システムのホストコンピュータ3から開閉器(遮断器、断路器)の制御信号DOを受信すると、その制御信号DOにしたがって当該開閉器の開閉状態を変更する制御信号受信部(変更手段)、32は制御信号受信部31が開閉器の開閉状態を変更すると、各開閉器の開閉状態等を条件とする潮流計算を実行して、電力系統の電気量AIを演算する潮流計算部(演算手段)、33は制御信号受信部31により開閉状態が変更された開閉器の開閉状態を示す機器状変DIを監視制御システムのホストコンピュータ3に送信するとともに、潮流計算部32により演算された電力系統の電気量AIを監視制御システムのホストコンピュータ3に送信する模擬データ送信部(送信手段)である。
【0050】
次に動作について説明する。
上記実施の形態2では、事故発生時の模擬データを生成するものについて示したが、この実施の形態3では、開閉器の模擬操作に伴う応動試験を実施できるようにするため、制御信号受信部31が、監視制御システムのホストコンピュータ3から開閉器の制御信号DOを受信すると、その制御信号DOにしたがって当該開閉器の開閉状態を変更する。
例えば、機器A3の遮断器の開閉状態を“入状態”から“切状態”に変更する旨を示す制御信号を監視制御システムのホストコンピュータ3から受信すると、模擬データ格納部20に格納された機器A3の遮断器の開閉状態(模擬データ)を“入状態”から“切状態”に変更する。
【0051】
そして、潮流計算部32は、制御信号受信部31が開閉器の開閉状態を変更すると、各開閉器の開閉状態等を条件とする潮流計算を実行して、電力系統の電気量AIを演算する。
そして、模擬データ送信部33は、潮流計算部32が電力系統の電気量AIを演算すると、開閉状態が変更された開閉器の開閉状態を示す機器状変DI(模擬データ)と、電力系統の電気量AI(模擬データ)を監視制御システムのホストコンピュータ3に送信する。
これにより、監視制御システムのホストコンピュータ3は、実際の運用時と同様に、その模擬データにしたがって開閉器の模擬操作に伴う応動試験を実施することができる。
【0052】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、監視制御システムのホストコンピュータ3から開閉器の制御信号を受信すると、その制御信号にしたがって当該開閉器の開閉状態を変更するように構成したので、開閉器の模擬操作に伴う応動試験を実施することができる効果を奏する。
【0053】
実施の形態4.
図12はこの発明の実施の形態4による監視制御システムの試験装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
34は電力系統を構成する各開閉器のうち、制御対象の開閉器を抽出する制御対象機器抽出部(変更手段)、35は制御対象機器抽出部34により抽出された開閉器の開閉状態を変更する制御信号生成部(変更手段)、36は制御信号生成部35により変更された開閉器の開閉状態を示す情報(模擬データ)を一時的に格納するメモリ、37はメモリ36により格納された開閉器の開閉状態を示す情報(模擬データ)を監視制御システムのホストコンピュータ3に送信する模擬データ送信部(送信手段)である。
【0054】
次に動作について説明する。
上記実施の形態3では、監視制御システムのホストコンピュータ3から開閉器の制御信号を受信すると、その制御信号にしたがって当該開閉器の開閉状態を変更するものについて示したが、例えば、制御対象機器抽出部34が、設備データベース13に登録された開閉器の登録順に開閉器を抽出し、制御信号生成部35が、その開閉器の開閉状態を変更するようにしてもよい。
例えば、機器A1の断路器が“入状態”であれば、“切状態”に変更する。
【0055】
そして、制御信号生成部35が開閉器の開閉状態を変更するごとに、模擬データ送信部37が、その開閉器の開閉状態を示す情報(模擬データ)を適当な時間間隔で監視制御システムのホストコンピュータ3に送信する。
これにより、従来、試験者がマンマシンI/F4を用いて行っていた試験のための操作を自動的に行うことができる効果を奏する。
【0056】
実施の形態5.
図13はこの発明の実施の形態5による監視制御システムの試験装置を示す構成図であり、図において、38は監視制御システムにおけるホストコンピュータ3の処理結果を回収する処理結果回収部(回収手段)、39は処理結果回収部38により回収されたホストコンピュータ3の処理結果を格納する処理結果格納部、40はホストコンピュータ3の正常時の処理内容を示す判定基準を格納する判定基準格納部(格納手段)、41はホストコンピュータ3の処理結果に基づいて判定基準を検索するとともに、そのホストコンピュータ3の処理結果と判定基準を比較して、監視制御システムの良否を判定する判定部(検索手段、判定手段)、42は判定部41の判定結果を格納する判定結果格納部である。
【0057】
次に動作について説明する。
まず、判定基準格納部40には、図14に示すように、ホストコンピュータ3の正常時の処理内容を示す判定基準が格納され、図14の例では、遠方監視制御装置2が、遮断器の状態が“入状態”から“切状態”に変化したことを示す情報を受信した場合には、マンマシンI/F4の遮断器の画面表示が、その情報の受信後50mS以内に赤色から緑色に変化することを示している。
【0058】
そして、処理結果回収部38が、実際にホストコンピュータ3の処理結果を回収すると、判定部41が、ホストコンピュータ3の処理結果に基づいて判定基準を検索する。
具体的には、遮断器の開閉状態が“入状態”から“切状態”に変化した場合の判定基準や、遮断器の開閉状態が“切状態”から“入状態”に変化した場合の判定基準等が判定基準格納部40に用意されているので、ホストコンピュータ3の処理結果に対応する判定基準を検索する。
【0059】
そして、判定部41は、判定基準を検索すると、ホストコンピュータ3の処理結果と判定基準を比較して、監視制御システムの良否を判定する。
例えば、ホストコンピュータ3が、状変処理プログラムや機器状態変化記録プログラムを実行して、遮断器A3の開閉状態を“入状態”から“切状態”に記録する処理を実施した場合、遠方監視制御装置2が、遮断器A3の開閉状態の変化を示す情報を受信後、50mS以内に、マンマシンI/F4の遮断器A3の画面表示が赤色から緑色に変化したか否かを判定する。
【0060】
そして、判定部41は、50mS以内に、遮断器A3の画面表示が赤色から緑色に変化していれば、監視制御システムの動作は正常であると判定するが、図14に示すように、遮断器A3の画面表示が赤色から緑色に変化するまでに、55mS要している場合には、監視制御システムの動作は不正常であると判定する。
【0061】
以上で明らかなように、この実施の形態5によれば、処理結果回収部38により回収されたホストコンピュータ3の処理結果と判定基準格納部40により格納された判定基準を比較して、監視制御システムの良否を判定するように構成したので、監視制御システムの良否を自動的に判定することができる効果を奏する。
【0062】
実施の形態6.
上記実施の形態2では、事故発生時の試験を実施する際に、試験者がその都度、事故設備等を設定して、試験を開始するものについて示したが、予め、電力系統の事故設備に係る模擬情報をスケジューリングする設定手段を設けるとともに、そのスケジュールにしたがって事故設備に係る模擬情報を逐次設定し、ホストコンピュータ3の処理結果を図13の処理結果回収部38に出力するようにしてもよい。
これにより、試験者が事故発生時の試験を実施するごとに、事故設備に係る模擬情報を設定する手間が省けるとともに、監視制御システムの良否を自動的に判定することができる効果を奏する。
なお、その設定手段の設定内容としては、例えば、10時00分“500KV甲母線”に断線事故発生、10時32分“送電線1号”に短絡事故発生のように設定する。
【0063】
実施の形態7.
上記実施の形態4では、制御対象の開閉器を適宜選択して、その開閉器の開閉状態を変更するものについて示したが、制御対象の開閉器に係る模擬情報をスケジューリングする設定手段を設けるとともに、そのスケジュールにしたがって制御対象の開閉器に係る模擬情報を逐次選択し、ホストコンピュータ3の処理結果を図13の処理結果回収部38に出力するようにしてもよい。
これにより、監視制御システムの良否を自動的に判定することができる効果を奏する。
【0064】
実施の形態8.
実施の形態1から実施の形態4の試験装置と、実施の形態5から実施の形態7の試験装置を適宜組み合わて使用するようにしてもよく(図15を参照)、上記実施の形態1から実施の形態7と同様の効果を奏することができる。
【0067】
【発明の効果】
この発明によれば、電力系統を構成する開閉器が遮断器である場合には、その開閉器の開閉状態を入状態に設定する一方、電力系統を構成する開閉器が断路器である場合には、その断路器の所属設備,接続母線及び接続位置を考慮して開閉状態を設定するように構成したので、電力系統の開閉状態を、信頼性が優れている標準的な運用形態に一致させることができる効果がある。
【0074】
この発明によれば、格納手段に各処理の制限時間が格納されている場合には、監視制御システムが制限時間内に各処理の実施を完了したか否かを監視し、その監視結果を考慮して監視制御システムの良否を判定するように構成したので、実際の運用に対応する試験を実施することができる効果がある。
【0075】
この発明によれば、格納手段に複数の判定基準が格納されている場合には、回収手段により回収された監視制御システムの処理結果に基づいて判定基準を格納手段から検索するように構成したので、監視制御システムの処理結果に適する判定基準が得られる効果がある。
【0076】
この発明によれば、設定手段により設定されたスケジュールにしたがって事故設備に係る模擬情報を設定し、監視制御システムの処理結果を回収手段に出力するように構成したので、試験者が事故発生時の試験を実施するごとに、事故設備に係る模擬情報を設定する手間が省けるとともに、監視制御システムの良否を自動的に判定することができる効果がある。
【0077】
この発明によれば、設定手段により設定されたスケジュールにしたがって制御対象の開閉器に係る模擬情報を変更し、監視制御システムの処理結果を回収手段に出力するように構成したので、監視制御システムの良否を自動的に判定することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による監視制御システムの試験装置を示す構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態1による監視制御システムの試験方法を示すフローチャートである。
【図3】 電力系統の開閉状態を説明する系統図である。
【図4】 各機器の設備情報を説明する説明図である。
【図5】 試験装置とホストコンピュータ間の信号の取り合いを説明する説明図である。
【図6】 この発明の実施の形態2による監視制御システムの試験装置を示す構成図である。
【図7】 この発明の実施の形態2による監視制御システムの試験方法を示すフローチャートである。
【図8】 電力系統の事故設備を説明する系統図である。
【図9】 保護リレーがトリップする遮断器を示す情報を説明する説明図である。
【図10】 初期系統状態と状態変化リストを示すリスト図である。
【図11】 この発明の実施の形態3による監視制御システムの試験装置を示す構成図である。
【図12】 この発明の実施の形態4による監視制御システムの試験装置を示す構成図である。
【図13】 この発明の実施の形態5による監視制御システムの試験装置を示す構成図である。
【図14】 監視制御システムの処理結果と判定基準を説明する説明図である。
【図15】 この発明の実施の形態8による監視制御システムの試験装置を示す構成図である。
【図16】 電力系統の監視制御システムを示す構成図である。
【図17】 従来の監視制御システムの試験装置を示す構成図である。
【符号の説明】
13 設備データベース(格納手段)、14 デフォルト状態設定部(設定手段)、16 状態修正部(修正手段)、19,27,32 潮流計算部(演算手段)、21 事故状態設定部(指定手段)、23 リレー情報格納部(記憶手段)、24 リレー抽出部(特定手段)、26 状態変更部(特定手段、変更手段)、31 制御信号受信部(変更手段)、33,37 模擬データ送信部(送信手段)、34 制御対象機器抽出部(変更手段)、35 制御信号生成部(変更手段)、38 処理結果回収部(回収手段)、40 判定基準格納部(格納手段)、41 判定部(検索手段、判定手段)。

Claims (5)

  1. 電力系統を構成する各機器の設備情報を格納する格納手段と、上記格納手段により格納された各機器の設備情報を参照して、電力系統の接続形態が運用形態に一致するように各開閉器の開閉状態を設定する設定手段と、上記設定手段により設定された各開閉器の開閉状態を条件とする潮流計算を実行して、電力系統の電気量を演算する演算手段とを備えた監視制御システムの試験装置において、上記設定手段は、電力系統を構成する開閉器が遮断器である場合には、その開閉器の開閉状態を入状態に設定する一方、電力系統を構成する開閉器が断路器である場合には、その断路器の所属設備、接続母線及び接続位置を考慮して開閉状態を設定することを特徴とする監視制御システムの試験装置。
  2. 監視制御システムの処理結果を回収する回収手段と、監視制御システムの正常時の処理内容を示す判定基準を格納する格納手段と、上記回収手段により回収された監視制御システムの処理結果と上記格納手段により格納された判定基準を比較して、監視制御システムの良否を判定する判定手段とを備えた監視制御システムの試験装置において、上記判定手段は、上記格納手段に各処理の制限時間が格納されている場合には、監視制御システムが制限時間内に各処理の実施を完了したか否かを監視し、その監視結果を考慮して監視制御システムの良否を判定することを特徴とする監視制御システムの試験装置。
  3. 監視制御システムの処理結果を回収する回収手段と、監視制御システムの正常時の処理内容を示す判定基準を格納する格納手段と、上記回収手段により回収された監視制御システムの処理結果と上記格納手段により格納された判定基準を比較して、監視制御システムの良否を判定する判定手段とを備えた監視制御システムの試験装置において、上記格納手段に複数の判定基準が格納されている場合には、上記回収手段により回収された監視制御システムの処理結果に基づいて判定基準を上記格納手段から検索する検索手段を設けたことを特徴とする監視制御システムの試験装置。
  4. 電力系統を構成する各開閉器の開閉状態を格納する格納手段と、電力系統の事故設備を指定する指定手段と、電力系統に設置された各保護リレーの保護設備を記憶するとともに、各保護リレーがトリップする開閉器を記憶する記憶手段と、上記指定手段により指定された事故設備を保護する保護リレーを上記記憶手段から検索し、その保護リレーがトリップする開閉器を特定する特定手段と、上記特定手段により特定された開閉器のうち、その事故設備と電気的に接続関係のある開閉器の開閉状態を切状態に変更する変更手段と、各開閉器の開閉状態を条件とする潮流計算を実行して、電力系統の電気量を演算する演算手段とを備えた監視制御システムの試験装置において、電力系統の事故設備に係る模擬情報をスケジューリングする設定手段と、上記設定手段により設定されたスケジュールにしたがって事故設備に係る模擬情報を上記特定手段に出力する管理手段と、監視制御システムの処理結果を回収する回収手段と、監視制御システムの正常時の処理内容を示す判定基準を格納する格納手段と、上記回収手段により回収された監視制御システムの処理結果と上記格納手段により格納された判定基準を比較して、監視制御システムの良否を判定する判定手段とを備えたことを特徴とする監視制御システムの試験装置。
  5. 電力系統を構成する各開閉器の開閉状態を格納する格納手段と、制御対象の開閉器を選択し、その開閉器の開閉状態を変更する変更手段と、上記更新手段により開閉状態が変更された開閉器の開閉状態を示す情報を監視制御システムに送信する送信手段とを備えた監視制御システムの試験装置において、制御対象の開閉器に係る模擬情報をスケジューリングする設定手段と、上記設定手段により設定されたスケジュールにしたがって制御対象の開閉器に係る模擬情報を上記変更手段に出力する管理手段と、監視制御システムの処理結果を回収する回収手段と、監視制御システムの正常時の処理内容を示す判定基準を格納する格納手段と、上記回収手段により回収された監視制御システムの処理結果と上記格納手 段により格納された判定基準を比較して、監視制御システムの良否を判定する判定手段とを備えたことを特徴とする監視制御システムの試験装置。
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