JP3710363B2 - コア/シェル状有機−無機複合体とその製造方法、及びコア/シェル状有機−無機複合体含有組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒子表面に特定の無機物を有する無機粒子がコアとなり、有機重合体がシェルとなるコア/シェル状有機−無機複合体及びその製造方法並びに該複合体を含有した組成物に関する。
本発明の新規なコア/シェル状有機−無機複合体は、合成樹脂フィルム用ブロッキング防止剤、塗料用顔料、シーラントやゴム等の用途において広汎に使用され、特に、耐酸性、耐衝撃性、樹脂との親和性、耐スクラッチ性(軟質性)、分散性などを必要とする各種分野に有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来より工業用材料の填剤として無機粒子が広く使用されており、中でも炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等は安価な白色顔料として一般的である。また、それら形状も、球状、板状、立方状、針状、棒状、紡錘状、柱状、花弁状、コロイド状など、多岐に渡っている。
しかしながら、例えば炭酸カルシウムを合成樹脂に添加した際、親和性、耐酸性、軟質性、相溶性等で問題となる場合がある。この問題を改善するための方法の一つとして、無機粒子表面に有機重合体を複合化し、無機粒子の表面改質を施した有機−無機複合体の研究が盛んである。
【0003】
このような有機−無機複合体としては、例えば、特開昭59−71316号公報、特開平4−236266号公報、特開平9−194208号公報などのコロイダルシリカまたはゾル−ゲル法等で調製したシリカ等の金属酸化物の有機−無機複合体が挙げられる。しかし、該複合体は表面自由エネルギーが高いシリカ等の金属酸化物を使用することが必須であり、例えば炭酸カルシウム等の表面自由エネルギーが低い無機粒子を使用するには適していない。
【0004】
金属酸化物以外では、例えば、特開平3−281565号公報の粒子表面にリン酸カルシウムが含有された炭酸カルシウムと予め調製した特定の有機重合体の複合体が挙げられる。しかしながら、該複合体は、表面改質の点で一定の効果を有しているが、コア/シェル状構造となるのは困難であり、耐酸性、耐衝撃性、軟質性などの化学的、物理的強度の点で不十分である。また、該複合体を製造するためには、有機重合体を製造する工程と製造した有機重合体と無機粒子を複合化する工程とが必要であり、工程が煩雑となり生産性の面でも問題がある。
【0005】
また、特開昭63−3004号公報では、ガラス転移温度の低い有機重合体と無機充填剤を複合化させ、更にその上にガラス転移温度の高い有機重合体を複合化させている。しかし、該系では表面自由エネルギーが低い無機充填剤を使用しているため、コア/シェル状有機−無機複合体としての安定性や均一な複合化の点で問題が多い。
【0006】
一方、特開平7−223813号公報では、立方状又は棒状(ウィスカー状)などの炭酸カルシウムにリン酸処理を施すことにより、形状による効果や炭酸カルシウムの物性を保持したまま、樹脂との親和性、増粘性、徐放性等の機能を付与した無機系複合体が提案されている。しかしながら、該無機系複合体は耐酸性、耐折性、軟質性、クラック防止性などが必ずしも十分ではなく、特に合成樹脂用途において、該物性の改善が熱望されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、無機粒子に有機重合体を均一に且つ強固に結合させたコア/シェル状有機−無機複合体及びその製造方法並びに該複合体を含有してなる組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、無機粒子がコアとなり、有機重合体がシェルとなる複合化を施し、その無機粒子の諸物性が保持されたまま優れた機能物性を得るべく鋭意研究した結果、粒子の表面に特定の無機物を有する無機粒子と特定の重合性単量体とを反応させて得られるコア/シェル状有機−無機複合体が、優れた機能性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の第一は、粒子(a)の表面に、リン酸カルシウム、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、シリカ、酸化チタン及びアルミナからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機物(b)を有する無機粒子(A)が、重合性単量体と反応してなり、前記(A)がコアとなり、前記重合性単量体の反応生成物である有機重合体(B)がシェルとなるコア/シェル状有機−無機複合体において、前記有機重合体(B)がエチレン系不飽和化合物からなる有機重合体であり、その構成成分としてアクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルから選ばれる水酸基を有する重合性単量体(D)を含有することを特徴とするコア/シェル状有機−無機複合体を内容とするものである(請求項1)。
【0010】
好ましい態様として、(b)が、リン酸カルシウム、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ホウ酸アルミニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機物である請求項1記載のコア/シェル状有機−無機複合体である(請求項2)。
【0011】
好ましい態様として、(b)が、リン酸カルシウムである請求項1記載のコア/シェル状有機−無機複合体である(請求項3)。
【0012】
好ましい態様として、(A)及び/又は(B)が、オルガノアルコキシシラン(C)を含有してなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のコア/シェル状有機−無機複合体である(請求項4)。
【0013】
好ましい態様として、(A)の量が、(B)100重量部に対し1〜100000重量部である請求項1〜4のいずれか1項に記載のコア/シェル状有機−無機複合体である(請求項5)。
【0014】
好ましい態様として、(C)の量が、(B)100重量部に対し0.1〜100重量部である請求項4記載のコア/シェル状有機−無機複合体である(請求項6)。
【0015】
好ましい態様として、(D)の量が、(B)100重量部に対し0.1〜100重量部である請求項1〜6のいずれか1項に記載のコア/シェル状有機−無機複合体である(請求項7)。
【0016】
好ましい態様として、(a)が、カルシウム系化合物である請求項1〜7のいずれか1項に記載のコア/シェル状有機−無機複合体である(請求項8)。
【0017】
好ましい態様として、カルシウム系化合物が、炭酸カルシウムである請求項8記載のコア/シェル状有機−無機複合体である(請求項9)。
【0019】
好ましい態様として、エチレン系不飽和化合物が、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及びアルケニルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項9に記載のコア/シェル状有機−無機複合体である(請求項10)。
【0020】
好ましい態様として、コア/シェル状有機−無機複合体が下記の式(α)、(β)を満足する請求項1〜10のいずれか1項に記載のコア/シェル状有機−無機複合体である(請求項11)。
(α):0.1≦dw1≦1000
(β):0.1≦Sw1≦300
dw1:走査型電子顕微鏡(SEM)写真により測定したコア/シェル状有機− 無機複合体の平均粒径(μm)
Sw1:窒素吸着法によるコア/シェル状有機−無機複合体のBET比表面積( m2 /g)
【0021】
好ましい態様として、コア/シェル状有機−無機複合体が下記の式(γ)、(δ)、(ε)を満足する棒状である請求項1〜11のいずれか1項に記載のコア/シェル状有機−無機複合体である(請求項12)。
(γ):0.1≦dw2≦1000
(δ):0.01≦dw3≦50
(ε):7≦dw2/dw3≦100
dw2:走査型電子顕微鏡(SEM)写真により測定したコア/シェル状有機− 無機複合体の平均長径(μm)
dw3:走査型電子顕微鏡(SEM)写真により測定したコア/シェル状有機− 無機複合体の平均短径(μm)
dw2/dw3:アスペクト比
【0022】
本発明の第二は、粒子(a)の表面に、リン酸カルシウム、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、シリカ、酸化チタン及びアルミナからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機物(b)を有する無機粒子(A)の存在下で、有機重合体(B)を形成する重合性単量体を重合させることにより、無機粒子(A)がコアとなり、有機重合体(B)がシェルとなるコア/シェル状有機−無機複合体を製造するに際し、前記有機重合体(B)を形成するエチレン系不飽和化合物からなる重合性単量体がアクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルから選ばれる水酸基を有する重合性単量体(D)を含有することを特徴とするコア/シェル状有機−無機複合体の製造方法を内容とするものである(請求項13)。
【0023】
好ましい態様としては、(A)及び/又は(B)が、オルガノアルコキシシラン(C)を含有する請求項13記載のコア/シェル状有機−無機複合体の製造方法である(請求項14)。
【0024】
好ましい態様としては、有機重合体(B)を形成する重合性単量体を乳化重合させる請求項13又は14記載のコア/シェル状有機−無機複合体の製造方法である(請求項15)。
【0025】
好ましい態様としては、乳化剤が陰イオン性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤である請求項15に記載のコア/シェル状有機−無機複合体の製造方法である(請求項16)。
【0026】
本発明の第三は、請求項1〜12のいずれか1項に記載のコア/シェル状有機−無機複合体を配合してなる組成物を内容とするものである(請求項17)。
【0027】
好ましい態様として、請求項1〜12のいずれか1項に記載のコア/シェル状有機−無機複合体を配合してなる樹脂組成物である(請求項18)。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる無機粒子(A)は、粒子(a)の表面にリン酸カルシウム、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、シリカ、酸化チタン及びアルミナからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機物(b)を有する無機粒子である。中でも無機物(b)の凝集性、価格を考慮すれば、無機物(b)はリン酸カルシウム、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ホウ酸アルミニウムが好ましく、特にリン酸カルシウムは無機粒子(A)を製造する際の作業性、工業性も良いので最も好ましい。図1に無機粒子(A)の概略図を示す。
【0029】
リン酸カルシウムの結晶形態としては特に限定されず、非晶質リン酸カルシウム(略号ACP、化学式Ca3 (PO4 )2 ・nH2 O)、フッ素アパタイト(略号FAP、化学式Ca10(PO4 )6 F2 )、塩素アパタイト(略号CAP、化学式Ca10(PO4 )6 Cl2 )、ヒドロキシアパタイト(略号HAP、化学式Ca10(PO4 )6 (OH)2 )、リン酸八カルシウム(略号OCP、化学式Ca8 H2 (PO4 )6 ・5H2 O)、リン酸三カルシウム(略号TCP、化学式Ca3 (PO4 )2 )、リン酸水素カルシウム(略号DCP、化学式CaHPO4 )、リン酸水素カルシウム二水和物(略号DCPD、化学式CaHPO4 ・2H2 O)等を例示することができ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。中でも組成の安定性が高いという観点からヒドロキシアパタイト、リン酸八カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸水素カルシウムが好ましく、ヒドロキシアパタイトが最も好ましい。
【0030】
前記に示す無機物(b)を含有せしめる粒子(a)は特に限定されないが、無機粒子を使用することが好ましく、例えば上記した無機物(b)の他に、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、カオリン、タルク等が例示できるが、前記の様に粒子(a)の表面にリン酸カルシウムを含有させる場合には(リン)酸に溶解する無機粒子が好都合であり、例えば、炭酸カルシウム等のカルシウム系化合物が例示できる。
【0031】
粒子(a)の表面への無機物(b)の含有量は特に限定されないが、通常、粒子(a)100重量部に対し、0.1〜1000重量部が好適である。0.1未満の場合、無機物(b)の含有効果が得られ難くなるので十分なコア/シェル状構造の有機−無機複合体を得るのが難しくなり、一方、1000重量部を越えると、粒子(a)の諸物性が保持され難くなる。
【0032】
以上の如くして得られる無機粒子(A)は、無機物(b)が粒子(a)の表面に物理的及び/又は化学的に吸着されている場合、無機物(b)が粒子(a)の表面全体に均一に又は局所的に吸着されている場合を包含する。また、無機粒子(A)の形状は特に限定されず、球状、板状、立方状、針状、棒状、紡錘状、柱状、花弁状、コロイド状、不定形状等、あらゆる形状のものが使用でき、それぞれの形状による効果も発揮することができる。具体的には、例えばリン酸カルシウム被覆アラゴナイト型炭酸カルシウムウィスカー(商品名:ウィスカルBS−P、丸尾カルシウム株式会社製)、特許第3072759号記載の分散性が良好なリン酸カルシウム系複合物などが例示できる。
【0033】
本発明のコア/シェル状有機−無機複合体のシェルとなる有機重合体(B)は、例えば重合性単量体を重合させることによって形成することができる。重合性単量体としては、エチレン系不飽和化合物が例示でき、無機粒子に付与される機能性により、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、アルケニルベンゼン系単量体、ニトリル系単量体、ビニルエステル系単量体、エチレン基を2個以上有する架橋性単量体、その他不飽和カルボン酸エステル系単量体等を例示することができ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0034】
本発明で好適に使用できる具体的な重合性単量体を例示すれば、下記の如くである。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体:(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso −ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等。
アルケニルベンゼン系単量体:スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等。
ニトリル系単量体:(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル等。
ビニルエステル系単量体:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリル酸ビニル等。
【0035】
架橋性単量体:エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等のジメタクリル酸エステル類、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート等のジアクリル酸エステル類、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート等。
その他の不飽和カルボン酸エステル系単量体:マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、フマル酸エステル、クロトン酸エステル等。
【0036】
前記の中でも、(メタ)アクリル酸エステル単量体、アルケニルベンゼン系単量体が好ましく用いることができ、(メタ)アクリル酸エステル単量体の中でも、(メタ)アクリル酸と、炭素数が1〜18となるアルカノールとのエステルが作業性、工業性の観点から特に好ましい。
また、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性有機重合体、アセチレン、ベンゼン、アニリン、ピロール、チオフェン及びこれらの置換体などからなる導電性有機重合体を単独で及び/又は2種以上組み合わせて、前記した重合性単量体からなる有機重合体と共に用いることもできる。
【0037】
本発明のコア/シェル状有機−無機複合体の無機粒子(A)と有機重合体(B)の組成比は特に制限されないが、有機重合体(B)100重量部に対し、無機粒子(A)は通常、1〜100000重量部、好ましくは10〜10000重量部、さらに好ましくは、100〜1000重量部である。1重量部未満の場合、有機重合体同士が凝集したコア/シェル状有機−無機複合体が得られ易くなるので無機粒子(A)の諸物性が保持され難くなり、一方、100000重量部を越えると、十分なコア/シェル状構造の有機−無機複合体が得られ難くなる。
【0038】
本発明の目的であるコア/シェル状構造を有する有機−無機複合体は、前記の無機粒子(A)と有機重合体(B)をより一層強固に結合させたコア/シェル状有機−無機複合体を得るために、結合剤としてアクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルから選ばれる水酸基を有する重合性単量体(D)を、更に好ましくは該重合性単量体(D)とオルガノアルコキシシラン(C)を使用するのがよい。
【0039】
本発明で用いられるオルガノアルコキシシラン(C)は、無機粒子(A)と有機重合体(B)を一層強固に結合せしめるのに有用であり、無機粒子(A)、有機重合体(B)のどちらに含有していても構わない。本発明で使用されるオルガノアルコキシシランとしては特に限定されず、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシエチルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が例示でき、これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。これらの中で、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性を持つオルガノアルコキシシランは、重合性単量体の無機粒子表面での重合効率を高くし、無機粒子(A)と重合性単量体からなる有機重合体(B)が結合されやすくなるという点で好ましい。
【0040】
上記(C)の量は特に限定されないが、有機重合体(B)100重量部に対して、通常0.1〜100重量部、好ましくは1〜10重量部である。0.1重量部未満では添加効果が十分でなく、一方、100重量部を越えると、(乳化)重合時の安定性及び得られるコア/シェル状有機−無機複合体の分散安定性を損ない易く、またコストの面でも問題が生じる。
【0041】
本発明で使用される水酸基を有する重合性単量体(D)としては、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等が例示でき、これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等の水酸基を有する重合性単量体は、反応系のpHに影響を与えず無機粒子と反応して無機粒子と有機重合体を結合させることができるという点、またオルガノアルコキシシランと共に使用された場合はオルガノアルコキシシランとも反応して有機重合体を架橋構造とし、有機−無機複合体のコア/シェル状構造を強固にすることができるという点で好ましく用いられる。
【0042】
上記(D)の量は特に限定されないが、有機重合体(B)100重量部に対し、通常0.1〜100重量部、好ましくは1〜10重量部である。0.1重量部未満では添加効果が十分でなく、一方、100重量部を越えると(乳化)重合時の安定性を損ない易い。
【0043】
本発明のコア/シェル状有機−無機複合体の製造方法は特に限定されず、例えば乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられるが、作業性、重合反応コントロールの点より乳化重合が好ましい。例えば、攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた容器に分散媒、無機粒子及び乳化剤などを添加し、これに有機重合体を形成する重合性単量体及び重合開始剤などを滴下して重合を行う方法が例示できる。重合開始剤、重合性単量体の滴下は、連続的に滴下する方法、また一部の量を一括して添加し、残りの量を連続的に滴下する方法などを用いることができる。また、重合性単量体をそのままの状態で滴下するより、水と乳化剤とで別途混合した乳化液(以下、プレエマルジョンと記す)の状態で滴下する方がコア/シェル状構造の有機−無機複合体を形成し易いので好ましい。
【0044】
具体的には、攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた容器に分散媒として水、無機粒子(A)及び乳化剤を添加して所定の温度で攪拌した後、重合開始剤の一部の量を一括添加し、更に有機重合体(B)を形成する重合性単量体、オルガノアルコキシシラン(C)と水酸基を有する重合性単量体(D)、又は、水酸基を有する重合性単量体(D)、水、及び乳化剤とで調製したプレエマルジョンと重合開始剤の残りの量を共に連続的に滴下し、所定の温度で所定時間攪拌を続けて重合を完結させることによって無機粒子(A)と重合性単量体からなる有機重合体(B)がより強固に結合したコア/シェル状有機−無機複合体を生成することができる。
【0045】
尚、コア/シェル状有機−無機複合体の好ましい調製条件を例示すると、下記の通りである。
(A)無機粒子 :1〜100000重量部
重合性単量体 :100重量部
(C)オルガノアルコキシシランの含有量 :0.1〜100重量部
(D)水酸基を有する重合性単量体の含有量:0.1〜100重量部
乳化剤の添加量 :0.1〜100重量部
重合開始剤の添加量 :0.01〜10重量部
【0046】
<重合反応条件>
反応温度 :20〜150(℃)
供給滴下時間:1〜1000(分)
pH :4以上
攪拌羽根周速:0.1〜50(m/秒)
<熟成>
熟成時間 :1〜1000(分)
【0047】
本発明で用いられる乳化剤は特に限定されず、一般に既知のものを使用することができるが、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が重合安定性の点より好ましい。例えば、陰イオン性界面活性剤としては、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸のアルカリ金属塩類(石鹸)、ラウリル硫酸エステルナトリウム塩、セチル硫酸エステルナトリウム塩などの高級アルコール硫酸エステルナトリウム塩類、ラウリルアルコ−ルエチレンオキサイド付加物硫酸エステル塩などの高級アルキルエーテル硫酸エステル塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩類等が例示でき、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニフェニルエーテル等が例示できる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0048】
乳化剤の量は特に限定されないが、有機重合体(B)を形成する重合性単量体100重量部に対し、通常0.1〜100重量部、好ましくは1〜10重量部である。0.1重量部未満の場合、該重合性単量体の分散(乳化)状態が安定しにくく、一方、100重量部を越えると媒体中にミセルが多く形成し易く、無機粒子表面外で重合を起こし、単独のポリマー粒子が存在し易くなる。
【0049】
本発明で用いられる重合開始剤は特に限定されず、所定の温度においてラジカルを発生させる水溶性、又は油溶性化合物を使用することができる。水溶性の重合開始剤としては、例えば過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩類、過酸化水素などの過酸化物類などが例示できる。油溶性の重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、第三ブチルパーオキサイド、第三ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物などが例示できる。また、これらは還元剤と組み合わせて、いわゆるレドックス系の重合開始剤として使用しても何ら差し支えない。
【0050】
重合開始剤の量は特に限定されないが、有機重合体(B)を形成する重合性単量体100重量部に対し、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部である。0.01重量部未満の場合、形成される有機重合体の分子量が大きくなり、凝集・斑の原因になり易く、一方、10重量部を越えると形成される有機重合体の分子量が小さくなるので強固なコア/シェル状構造ができなくなる。
【0051】
本発明の具体的な反応条件としては、(1)反応温度、(2)滴下時間、(3)pH、(4)攪拌羽根周速が挙げられる。
(1)の反応温度に関しては、重合開始剤の種類によって異なるため特に限定されないが、通常20〜150℃、好ましくは40〜99℃、さらに好ましくは50〜95℃である。20℃未満の場合、形成される有機重合体の分子量が大きくなり、凝集・斑の原因になり易い。一方、150℃を越えると、重合開始剤が分解し易く、また、重合収率も低下し易い。
【0052】
(2)の滴下時間に関しては特に限定されないが、通常1〜1000分、好ましくは10〜500分である。1分未満の場合、急激な反応熱により重合温度の制御が難しく、一方、1000分を越えると重合開始剤の寄与効果が劣り易く、また、重合収率も低下し易い。
【0053】
(3)のpHに関しては、使用する重合開始剤やプレエマルジョンのpHによって左右され、特に限定されないが、コアに使用した酸溶解性無機粒子が溶解せず、安定した重合を行うためにはpH4以上が好ましい。
【0054】
(4)の攪拌羽根周速に関しては、反応系全体が均一に攪拌できる程度の攪拌力であれば特に限定されないが、通常、攪拌羽根の周速が0.1〜50m /秒、好ましくは0.5〜30m/秒である。0.1未満の場合、均一な混合が難しく、一方、50m/秒を越えると、重合反応装置を大型化するのに支障をきたすため、工業化において生産性が著しく低下する傾向にある。
【0055】
反応終了後、コア/シェル状構造の反応を完結させるために熟成を行うのが好ましい。熟成条件は特に制限されないが、通常、温度20〜150℃、熟成時間は1〜1000分、攪拌羽根周速は0.1〜50m/秒程度が好ましい。熟成終了後、必要に応じて、ろ過・水洗することにより懸濁液中に残存している乳化剤等を取り除くのが好ましい。
【0056】
以上の如くして本発明のコア/シェル状有機−無機複合体が得られる。尚、本発明のコア/シェル状構造とはコアとなる無機粒子(A)の表面全体を重合性単量体からなる有機重合体(B)で覆った構造を指し、シェルとなる有機重合体(B)がコアとなる無機粒子(A)に物理的及び化学的に吸着されている場合、シェルとなる有機重合体(B)がコアとなる無機粒子(A)の表面全体を均一に又は不均一に覆っている場合を包含する。図2にコア/シェル状有機−無機複合体の概略図を示す。
【0057】
本発明のコア/シェル状有機−無機複合体の粒子径(dw1)は特に限定されず、通常0.1≦dw1≦1000(μm)であり、好ましくは0.3≦dw1≦100(μm)、更に好ましくは0.5≦dw1≦10(μm)である。0.1μm未満の場合、分散したコア/シェル状有機−無機複合体が得られ難くなり、一方、1000μmを越えると、無機粒子(A)に有機重合体(B)が局所的に複合化され、複合体としての効果が得られ難くなる。
【0058】
本発明のコア/シェル状有機−無機複合体の窒素吸着法によるBET比表面積(Sw1)は特に限定されず、通常0.1≦Sw1≦300(m2 /g)であり、好ましくは1≦Sw1≦100(m2 /g)、更に好ましくは5≦Sw1≦50(m2 /g)である。0.1m2 /g未満の場合、無機粒子(A)に有機重合体(B)が局所的に複合化され、複合体としての効果が得られ難くなり、一方300m2 /gを越えると無機粒子(A)の内部に有機重合体(B)が入り込んだ複合体となり易くなるので、複合体としての効果が得られ難くなる。
【0059】
本発明のコア/シェル状有機−無機複合体の形状が棒状である場合、粒子径は特に限定されず、平均長径(dw2)は、通常0.1≦dw2≦1000(μm)であり、好ましくは1≦dw2≦100(μm)、更に好ましくは10≦dw2≦50(μm)である。0.1μm未満の場合、該複合体の形状による効果が発現され難くなり、一方、1000μmを越えると機械的衝撃性が弱くなって折れやすくなる。
平均短径(dw3)は、通常0.01≦dw3≦50(μm)であり、好ましくは0.1≦dw3≦10(μm)、更に好ましくは0.3≦dw3≦5(μm)である。0.01μm未満の場合、機械的衝撃性が弱くなって折れやすくなり、一方、50μmを越えると該複合体の形状による効果が発現され難くなる。
アスペクト比(dw2/dw3)は特に限定されず、通常7≦dw2/dw3≦100であり、好ましくは10≦dw2/dw3≦80、更に好ましくは15≦dw2/dw3≦50である。7未満の場合、該複合体の形状による効果が発現され難くなり、一方、100を越えると、機械的衝撃性が弱くなって折れやすくなる。
【0060】
本発明のコア/シェル状有機−無機複合体は、必要に応じて他の填剤、例えば酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、カオリン、タルク等を併用しても何ら差し支えない。
【0061】
本発明のコア/シェル状有機−無機複合体は、物性改良剤として様々な材料に配合することができるが、特に摩耗性改良剤、衝撃改良剤等として合成樹脂やコーティング材料への配合が有用である。
合成樹脂としては特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂では、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸アミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等又はこれらの共重合体物等が例示でき、熱硬化性樹脂ではフェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、珪素樹脂等が例示できる。また、フィルム、繊維に関しては、特にポリオレフィンや飽和ポリエステル、ポリエチレンが好適である。合成樹脂製品としては、具体的には、プラスチック成型品、塗料、シ−ラント、インク、製紙、ゴム等に使用が可能である。
【0062】
本発明のコア/シェル状有機−無機複合体は、従来のコアと比較し、コアの諸物性を保持したまま、耐酸性、耐衝撃性、樹脂との親和性など向上することが可能であり、且つ製造コストも安価なため、合成樹脂フィルム用ブロッキング防止剤、塗料用顔料、シーラント、ゴム、製紙、その他各種フィラーや体質顔料等の用途において、耐酸性、耐衝撃性、樹脂との親和性、スクラッチ性(軟質性)、分散性などを必要とする各種分野に広く使用可能である。
【0063】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
尚、以下の記載において、部または%は特に断らない限り重量基準である。
【0064】
実施例1
10%の炭酸カルシウム水懸濁液を50℃で撹拌させながらCa/ p=2.0 になるように10%のリン酸水溶液を滴下混合し、熟成することによって多孔質リン酸カルシウム無機粒子を調製した。次に、70℃に調整した5 %の該多孔質リン酸カルシウム水懸濁液に、10%の炭酸カルシウム水懸濁液及び20%リン酸塩水溶液を別々に滴下混合し、熟成することによってコアとなるリン酸カルシウム粒子表面にリン酸カルシウムが含有されている無機粒子(A)を調製した。図3にリン酸カルシウム粒子表面にリン酸カルシウムが含有されている無機粒子(A)のSEM写真(2万倍)を示す。
【0065】
次に、撹拌機、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、無機粒子(A)100 部、水1000部を添加して十分に攪拌した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.25部を添加し、撹拌しながら83〜86℃に加温した。次に全体量0.25部のうち10%の過硫酸ソーダ水溶液を添加した後、水25部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.25部、メタクリル酸メチル48.5部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 1.5 部で調製したプレエマルジョンを全体の80%の過硫酸ソーダ水溶液と共に同時滴下した。滴下終了後、全体の10%の過硫酸ソーダ水溶液を更に添加して83〜86℃で1時間熟成した。その後、反応液を冷却し、洗浄濾過し、乾燥することによってコア/シェル状有機−無機複合体粒子を得た。
【0066】
使用した無機粒子(A)、有機重合体(B)を形成する重合性単量体、オルガノアルコキシシラン(C)、水酸基を有する重合性単量体(D)、有機重合体の被覆状態、並びに生成物粒子の粒子径、BET比表面積を表1に、反応条件を表2に示す。
【0067】
なお、有機重合体の被覆状態は、走査型電子顕微鏡(SEM)で確認することによって下記の基準により評価し、生成物粒子の粒子径は走査型電子顕微鏡(SEM)を、BET比表面積はNOVA2000(ユアサアイオニクス株式会社製)を使用して測定した。
A 有機重合体(B)が無機粒子(A)を完全に被覆している。
B 有機重合体(B)が無機粒子(A)を略完全に被覆している。
C 有機重合体(B)が無機粒子(A)を概ね被覆している。
D 有機重合体(B)が無機粒子(A)を被覆していない。
【0068】
実施例2
表1に示す重合性単量体、水酸基を有する重合性単量体等を使用し、表2に示す反応条件とした以外は実施例1と同様に行った。図4に実施例2のコア/シェル状有機−無機複合体のSEM写真(2万倍)を示す。
【0069】
実施例3〜4
表1に示す重合性単量体、水酸基を有する重合性単量体等を使用し、コアとして、棒状(ウィスカー状)炭酸カルシウムの粒子表面にリン酸カルシウムが含有されている無機粒子(A)(商品名:ウィスカルBS−P 丸尾カルシウム株式会社製)を使用し、表2に示す反応条件とした以外は実施例1と同様に行った。図5にウィスカルBS−PのSEM写真(1万倍)、図6に実施例4のコア/シェル状有機−無機複合体のSEM写真(1万倍)を示す。
【0070】
比較例1
表1に示す重合性単量体、水酸基を有する重合性単量体等を使用し、コアとして、立方状炭酸カルシウム(A’)(商品名:CUBE−13 丸尾カルシウム株式会社製)を使用し、表2に示す反応条件とした以外は実施例1と同様に行った。
【0071】
比較例2
表1に示す重合性単量体、水酸基を有する重合性単量体等を使用し、コアとして、硫酸バリウム(商品名:沈降性硫酸バリウムB−54 堺化学工業株式会社製)の粒子表面に炭酸カルシウム(一次粒子径0.04μmのコロイド状炭酸カルシウム 丸尾カルシウム株式会社製)が含有されている無機粒子(A’)を使用し、表2に示す反応条件とした以外は実施例1と同様に行った。
【0072】
比較例3
表1に示す重合性単量体、水酸基を有する重合性単量体等を使用し、コアとして、棒状(ウィスカー状)炭酸カルシウム(A’)(商品名:ウィスカルA 丸尾カルシウム株式会社製)を使用し、表2に示す反応条件とした以外は実施例1と同様に行った。
【0073】
比較例4
アクリル酸/アクリル酸メチル共重合体(共重合比7/3 、分子量30000 )をウィスカルBS−Pの10%エチレングリコール溶液に添加し、常温で2時間撹拌して生成した。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
実施例5〜6、比較例5〜7
実施例5〜6は実施例1〜2の生成物であるコア/シェル状有機−無機複合体粒子を、比較例5〜6は比較例1〜2の生成物粒子を、比較例7は粒子を添加しないブランクとして、下記の要領でポリプロピレン組成物を調製し、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得、その品質を評価した。結果を表3に示す。
【0077】
ポリオレフィンフィルムの製造:
メルトフローレートが1.9g/10分であるポリプロピレン樹脂100部に酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール 0.10部、イルガノックス1010(チバガイギー社の登録商標)0.02部、塩酸キャッチ剤としてステアリン酸カルシウム0.05部、及び上記各粒子を添加し、スーパーミキサーで混合後押し出し機でペレット化した。このペレットを押し出し機を用いてシート状フィルムにし、縦方向に5倍、横方向に10倍延伸して最終的に厚さ30μm の延伸フィルムを得た。延伸フィルムの一面には、コロナ放電処理を施した。
【0078】
これらの二軸延伸フィルムについて、透明性、ブロッキング性及び耐スクラッチ性を測定した。
フィルム透明性はASTM−D−1003に準拠して、フィルムを4枚重ねて測定した。
フィルムのブロッキング性は、2枚のフィルムの接触面積が10cm2 となるように重ねて2枚のガラス板の間におき、4.9kPa(50g/cm2 )の荷重をかけて40℃の雰囲気中に7日間放置後、ショッパー型試験機を用いて、引っ張り速度500mm/分にて引き剥して、その最大荷重を読みとって評価した。
耐スクラッチ性は、ガラス板上に二軸延伸フィルムの1枚を固定し、他方のフィルムを接触面積が50cm2 なる箱型状物に固定し、加重を4kg掛けて6回擦り、擦る前後の透明性(ヘーズ差)で評価した。この値が小さいほどスクラッチ性が良好となる。
【0079】
【表3】
【0080】
実施例7〜8、比較例8〜9
実施例7〜8は実施例1〜2の生成物であるコア/シェル状有機−無機複合体粒子の、比較例8〜9は比較例1〜2の生成物粒子の各エチレングリコールスラリーをポリエステル化反応前に添加してポリエステル化反応を行い、上記各粒子を0.1部(ポリエチレンテレフタレート100部に対し)含有した極限粘度数(オルソクロロフェノール,35℃)62ml/g(0.62dl/g)のポリエチレンテレフタレートを調製した。該ポリエチレンテレフタレートを160℃で乾燥した後290℃で溶融押し出し、40℃に保持したキャスティングドラム上に急冷固化せしめて未延伸フィルムを得た。引き続き、該未延伸フィルムを加熱ローラーで70℃に予熱した後、赤外線ヒーターで加熱しながら縦方向に3.6倍延伸した。続いて90℃の温度で横方向に4.0倍に延伸した後200℃で熱処理を行い、厚さ15μmの二軸配向フィルムを得た。このようにして得られたフィルムの品質を、以下に示す方法で評価し、その結果を表4に示す。
【0081】
摩耗性評価方法:
図7に示した装置を用いて下記のように摩耗性を評価する。図7中、1は巻だしリール、2はテンションコントローラー、3,5,6,8,9及び11はフリーローラー、4はテンション検出機(入口)、7はステンレス製の固定ピン(直径5mm)、10はテンション検出機(出口)、12はガイドローラー、13は巻き取りリールをそれぞれ示す。
温度20℃、湿度60%の環境で、1.27cm幅(1/2インチ幅)のフィルム表面を7のステンレス製固定ピン(表面粗さ0.58)に角度150゜で接触させ、毎分2mの速さで約15cm程度往復移動,摩擦させる。(この時、入口テンションT1を60gとする)。
この操作を往復40回繰り返した後、摩擦面に生じたスクラッチの程度を目視判定し、下記の基準により3段階評価する。
A:スクラッチの発生が認められない。
B:スクラッチの発生がわずかに認められる。
C:スクラッチの発生が全面に多数認められる。
【0082】
【表4】
【0083】
実施例9〜10、比較例10〜12
実施例9〜10は実施例1〜2の生成物であるコア/シェル状有機−無機複合体粒子を、比較例10〜11は比較例1〜2の生成物粒子を、比較例12は粒子を添加していないブランクとして、下記の要領でポリアミドフィルムを得、その品質を評価した。結果を表5に示す。
【0084】
ポリアミドフィルムの製造:
ポリアミド系樹脂として、ε−カプロラクタムを主原料とするナイロン−6と、ポリアミド樹脂100部に対して上記各粒子0.5部をスーパーミキサーで混合後、260℃で溶融させた後、Tダイよりシート状に吐出させ、冷却ドラムにてキャストした。得られたフィルムを50℃に加熱して長手方向に3.2倍、120℃に加熱して横方向に4倍延伸して、厚み15μmのナイロン−6フィルムを得た。得られたフィルムは、製膜工程でコロナ放電処理を施した。これらのポリアミドフィルムについて、透明性、ブロッキング性及び耐スクラッチ性を上記と同じ方法で測定した。
【0085】
【表5】
【0086】
表3、4、5に示すように、本発明のコア/シェル状有機−無機複合体を合成樹脂フィルムに配合することにより、ブロッキング防止機能や透明性を保持したまま良好な耐スクラッチ性を有する合成樹脂フィルムが得られることがわかる。
【0087】
実施例11〜12、比較例13〜15
実施例11〜12は実施例3〜4の生成物であるコア/シェル状有機−無機複合体粒子を、比較例13〜14では比較例3〜4の生成物粒子を、比較例15ではウィスカルAを使用して下記の要領でポリプロピレンに配合し、強度物性を測定した。結果を表6に示す。
【0088】
強度物性測定方法
ポリプロピレン樹脂(商品名:MA−3 三菱油化製)100部と上記各粒子30部を混練してペレット化した後、射出成型して試験片を作り、JIS K 7171に準拠して曲げ強さ、曲げ弾性率を、またJIS K 7110に準拠してアイゾット衝撃強度を測定した。
【0089】
【表6】
【0090】
上記表6より本発明のコア/シェル状有機−無機複合体を合成樹脂に配合することにより、曲げ強さ、曲げ弾性率、衝撃強度を向上させることがわかる。
【0091】
【発明の効果】
叙上のとおり、本発明のコア/シェル状有機−無機複合体は、例えば合成樹脂フィルムに配合した場合には、ブロッキング防止機能や透明性を保持したまま優れた耐スクラッチ性を付与し、また、合成樹脂成型品に配合した場合には、機械的強度を向上させることができる。また、本発明の製造方法によれば、有機重合体の生成と無機粒子の複合化とが一段階で行うことができるので生産性が高く、更に、複合化する有機重合体に様々な機能性基を導入することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 無機粒子(A)の概略図である。
【図2】 コア/シェル状有機−無機複合体の概略図である。
【図3】 実施例1〜2で使用した粒子表面にリン酸カルシウムを含有した無機粒子(A)のSEM写真(2万倍)である。
【図4】 実施例2のコア/シェル状有機−無機複合体のSEM写真(2万倍)である。
【図5】 実施例3〜4で使用したウィスカルBS−PのSEM写真(1万倍)である。
【図6】 実施例4のコア/シェル状有機−無機複合体のSEM写真(1万倍)である。
【図7】 フィルムの摩耗性を測定するための装置の概略図である。
【符号の説明】
1 巻きだしリール
2 テンションコントローラー
3、5、6、8、9、11 フリーローラー
4 テンション検出器(入口)
7 ステンレス製固定ピン
10 テンション検出器(出口)
12 ガイドローラー
13 巻き取りリール
Claims (18)
- 粒子(a)の表面に、リン酸カルシウム、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、シリカ、酸化チタン及びアルミナからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機物(b)を有する無機粒子(A)が、重合性単量体と反応してなり、前記(A)がコアとなり、前記重合性単量体の反応生成物である有機重合体(B)がシェルとなるコア/シェル状有機−無機複合体において、前記有機重合体(B)がエチレン系不飽和化合物からなる有機重合体であり、その構成成分としてアクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルから選ばれる水酸基を有する重合性単量体(D)を含有することを特徴とするコア/シェル状有機−無機複合体。
- (b)が、リン酸カルシウム、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ホウ酸アルミニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機物である請求項1記載のコア/シェル状有機−無機複合体。
- (b)が、リン酸カルシウムである請求項1記載のコア/シェル状有機−無機複合体。
- (A)及び/又は(B)が、オルガノアルコキシシラン(C)を含有してなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のコア/シェル状有機−無機複合体。
- (A)の量が、(B)100重量部に対し1〜100000重量部である請求項1〜4のいずれか1項に記載のコア/シェル状有機−無機複合体。
- (C)の量が、(B)100重量部に対し0.1〜100重量部である請求項4記載のコア/シェル状有機−無機複合体。
- (D)の量が、(B)100重量部に対し0.1〜100重量部である請求項1〜6のいずれか1項に記載のコア/シェル状有機−無機複合体。
- (a)が、カルシウム系化合物である請求項1〜7のいずれか1項に記載のコア/シェル状有機−無機複合体。
- カルシウム系化合物が、炭酸カルシウムである請求項8記載のコア/シェル状有機−無機複合体。
- エチレン系不飽和化合物が、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及びアルケニルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項9に記載のコア/シェル状有機−無機複合体。
- コア/シェル状有機−無機複合体が下記の式(α)、(β)を満足する請求項1〜10のいずれか1項に記載のコア/シェル状有機−無機複合体。
(α):0.1≦dw1≦1000
(β):0.1≦Sw1≦300
dw1:走査型電子顕微鏡(SEM)写真により測定したコア/シェル状有機− 無機複合体の平均粒径(μm)
Sw1:窒素吸着法によるコア/シェル状有機−無機複合体のBET比表面積( m2 /g) - コア/シェル状有機−無機複合体が下記の式(γ)、(δ)、(ε)を満足する棒状である請求項1〜11のいずれか1項に記載のコア/シェル状有機−無機複合体。
(γ):0.1≦dw2≦1000
(δ):0.01≦dw3≦50
(ε):7≦dw2/dw3≦100
dw2:走査型電子顕微鏡(SEM)写真により測定したコア/シェル状有機− 無機複合体の平均長径(μm)
dw3:走査型電子顕微鏡(SEM)写真により測定したコア/シェル状有機− 無機複合体の平均短径(μm)
dw2/dw3:アスペクト比 - 粒子(a)の表面に、リン酸カルシウム、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、シリカ、酸化チタン及びアルミナからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機物(b)を有する無機粒子(A)の存在下で、有機重合体(B)を形成する重合性単量体を重合させることにより、無機粒子(A)がコアとなり、有機重合体(B)がシェルとなるコア/シェル状有機−無機複合体を製造するに際し、前記有機重合体(B)を形成するエチレン系不飽和化合物からなる重合性単量体がアクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルから選ばれる水酸基を有する重合性単量体(D)を含有することを特徴とするコア/シェル状有機−無機複合体の製造方法。
- (A)及び/又は(B)が、オルガノアルコキシシラン(C)を含有する請求項13記載のコア/シェル状有機−無機複合体の製造方法。
- 有機重合体(B)を形成する重合性単量体を乳化重合させる請求項13又は14記載のコア/シェル状有機−無機複合体の製造方法。
- 乳化剤が陰イオン性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤である請求項15に記載のコア/シェル状有機−無機複合体の製造方法。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載のコア/シェル状有機−無機複合体を配合してなる組成物。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載のコア/シェル状有機−無機複合体を配合してなる樹脂組成物。
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