JP3710088B2 - 線香用消臭剤およびこれを配合した低臭気線香 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、消臭剤、特に線香用消臭剤、並びにこの消臭剤を配合した低臭気線香に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、臭気よりも強い香を有する香料を配合することによって、臭気がマスキングされることがあった。しかしながら、香料でマスキングすると、本来の臭いが感知されなくなってしまう。また、香料の香を嫌う人もいる。
そこで、臭気をマスキングするのではなく、本来の臭いを残しつつ、臭いの強度を緩和することが求められている。
【0003】
例えば線香は強い焦げ臭を発するが、この焦げ臭を香料でマスキングすると、線香らしさがなくなってしまう。また、例えば、特開平7−285806や特開平8−81347では、少煙無香の線香が開示されている。しかしながら、少煙無香の線香は燃焼しているか否かに気づき難いので、火災の危険もある。
そこで、線香においても、焦げ臭をマスキングするのではなく、焦げ臭を吸収(中和・緩和)し、本来の香が僅かに残る微香性線香が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、臭気をマスキングするのではなく、臭気を吸収(中和・緩和)することができる消臭剤を提供することを課題とする。
また、本発明は、線香の焦げ臭を吸収(中和・緩和)できる消臭剤、およびこれを配合した線香を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願発明者は上記の課題を解決すべく種々検討を重ねた結果、α‐テルピネオールを5〜25重量%、フェニルエチルアルコールを4〜24重量%、リモネンを4〜20重量%、ベンズアルデヒドを3〜15重量%、ゲラニオールを1〜20重量%およびサリチル酸メチルを3〜15重量%含むことを特徴とする消臭剤とすることによって解決できることを見出した。
この消臭剤を使用することによって、微香性の線香を作製することができる
以下に本発明を詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】
〔消臭剤〕
本発明の消臭剤は、有効成分として、α‐テルピネオール、フェニルエチルアルコール、リモネン、ベンズアルデヒド、ゲラニオールおよびサリチル酸メチルを含んでいる。本発明の消臭剤中の各有効成分の含有量を以下に示す。
【0007】
消臭剤中のα‐テルピネオールは、5〜25重量%、更には10〜20重量%、最適には15〜18重量%配合されている。
また、消臭剤中のフェニルエチルアルコールは、4〜24重量%、更には9〜19重量%、最適には12〜15重量%配合されている。
また、消臭剤中のリモネンは、4〜20重量%、更には7〜17重量%、最適には10〜17重量%配合されている。
また、消臭剤中のベンズアルデヒドは、3〜15重量%、更には5〜15重量%、最適には9〜14重量%配合されている。
また、消臭剤中のゲラニオールは、1〜20重量%、更には3〜18重量%、最適には5〜15重量%配合されている。
また、消臭剤中のサリチル酸メチルは、3〜15重量%、更には5〜15重量%、最適には8〜15重量%配合されている。
【0008】
さらに、本発明の消臭剤は、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、ベンジルベンゾエートおよびジプロピルグリコール等の保留剤を含んでいてもよい。保留剤は、本発明の消臭剤中に、3〜40重量%、更には7〜38重量%、最適には12〜35重量%配合されている。本発明の消臭剤は、前記有効成分と保留剤を含み、全体が100重量%となる。
なお、本発明は、上記した有効成分以外の不純物を含んでいてもよい。
【0009】
上記のような有効成分を含む消臭剤の調製方法は特に限定されない。例えば、本発明の消臭剤は、植物精油を用いて調製されてもよい。本発明の消臭剤を調製するための植物精油としては、例えば、オレンジ油、パイン油、チュベローズ花精油、ビターアーモンド油、ローズ油、アカシア油(カシー油)、シトロネラ油およびジャスミン油が挙げられる。本発明の消臭剤は、これら植物精油の1種又は2種以上と、α‐テルピネオール、フェニルエチルアルコール、リモネン、ベンズアルデヒド、ゲラニオールおよびサリチル酸メチルから選択される 1 種又は2種以上の合成薬品とを混合することによって調製されてもよい。
【0011】
このような1種又は2種以上の植物精油と1種または2種以上の合成薬品との配合による本発明の消臭剤の調製例を以下に示す。
(1)天然精油であるオレンジ油100重量部に対して、合成薬品であるα‐テルピネオールを132〜158重量部、フェニルエチルアルコールを118〜140重量部、ベンズアルデヒドを76〜84重量部、ゲラニオールを49〜57重量部、サリチル酸メチルを67〜73重量部、および保留剤を240〜360重量部配合する。
(2)天然精油であるオレンジ油を100重量部およびパイン油を100重量部の混合物に対して、合成薬品であるフェニルエチルアルコールを68〜84重量部、ベンズアルデヒドを75〜85重量部、ゲラニオールを80〜96重量部、サリチル酸メチルを83〜93重量部および保留剤を60〜90重量部配合する。
【0012】
さらに、本発明は、天然の植物精油を使用せずに、合成薬品であるα‐テルピネオール、フェニルエチルアルコール、リモネン、ベンズアルデヒド、ゲラニオール、サリチル酸メチルおよびフタル酸ジエチルを、上記本発明の所定の有効成分含有量を有するように配合して、本発明の消臭剤を得てもよい。
【0013】
このようにして調製された本発明の消臭剤は、臭気を吸収(中和・緩和)するために、種々の組成物に配合することができる。
例えば、本発明の消臭剤を線香に配合すると、燃焼時に発生する強い焦げ臭を吸収できる微香性の線香を得ることができる。
【0014】
本発明の消臭剤を線香に配合する場合、消臭剤の配合量は特に限定されないが、好ましくは、本発明の消臭剤は、線香中に0.01〜1重量%の範囲で配合されている。
【0015】
なお、一般に、線香は、木炭、活性炭およびカーボンブラックなどの炭化物、ケイソウ土、ラジオライトおよび炭酸カルシウムなどの無機充填剤、のりやデンプンなどのバインダー、および溶媒などを混練して成型加工した後に乾燥することによって作製される。
【0016】
実施例
表1に示す本発明に従う消臭剤1および消臭剤2、並びに比較例としての消臭剤13を用意した。
【0017】
なお、消臭剤1は、市販の合成薬品を使用して調製した。使用したα‐テルピネオール、フェニルエチルアルコール、リモネン、ベンズアルデヒド、ゲラニオール、サリチル酸メチルおよびフタル酸ジエチルは、いずれも精製しないでそのまま使用した。
【0018】
一方、消臭剤2は、市販の天然精油および合成薬品を使用して調製した。オレンジ油100重量部、パイン油100重量部、フェニルエチルアルコール76重量部、ベンズアルデヒド80重量部、ゲラニオール88重量部、サリチル酸メチル88重量部、およびフタル酸ジエチル75重量部を配合して調製した。
【0019】
比較例としての消臭剤13は、市販の合成薬品を使用して調製した。
【0020】
【表1】
Figure 0003710088
【0021】
上記のようにして調製された本発明による消臭剤1および消臭剤2、並びに比較例としての消臭剤13を、タブ粉、炭粉、無機塩、粘結剤および溶媒とともに混練して成型加工した後に乾燥して線香1、線香2および線香13を得た。得られた線香の組成を表2に示す。
また、ブランクとして消臭剤を含まない線香11、およびフェニルエチルアルコール(バラの香の香料)を配合した線香12も、同様にして作製した。
【0022】
【表2】
Figure 0003710088
【0023】
図1は、本発明の線香の臭いを評価するために用いた試験器を示している。この試験器は、図1に示すように、燃焼する2本の線香を包囲する円筒部と、円筒部の上端部を覆うロートと、ロートの管部に接続された10リットルのテトラバックとからなる。ロートとテトラバックとはチューブを介して接続されており、それらの間にはハンドポンプが設けられていて、円筒部内において発生した臭気がテトラバックに採取されるようになっている。
【0024】
このようにして採取された臭気を、官能評価に供した。官能評価は、TアンドTオルファクトメーターで合格したパネル10名によって臭気強度が測定された。なお、サンプルの調製、測定およびデータ解析は臭気判定士によって総括して実施された。
【0025】
官能評価では、臭気強度を以下のように評価した。
0:無臭
1:やっと感知できる臭い
2:何の臭いかが分かる程度の弱い臭い
3:楽に感知できる臭い
4:強い臭い
5:強烈な臭い
【0026】
10名のパネルによって官能評価された臭気強度の平均値を表3に示す。
【0027】
【表3】
Figure 0003710088
【0028】
表3の結果より、本発明の消臭剤を配合してなる線香1および2の煙は、臭気強度が「3」であり、楽に感知できる程度の微香性であることが実証された。
一方、消臭剤を含まない線香11や、フェニルエチルアルコールを含む線香12では、強烈な焦げ臭が感知された。また、本発明の範囲から外れる消臭剤13を配合してなる線香13では、線香11や線香12よりも若干臭いが緩和されているものの、本発明による線香1や線香2よりも強い焦げ臭が感知された。
【0029】
以上の実施例の結果より、本発明の消臭剤を使用することによって、焦げ臭を吸収(中和・緩和)して、微香を楽しむことができる線香が得られることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による線香の臭いを評価するために用いた装置の概略図である。

Claims (5)

  1. 有効成分として、α‐テルピネオールを5〜25重量%、フェニルエチルアルコールを4〜24重量%、リモネンを4〜20重量%、ベンズアルデヒドを3〜15重量%、ゲラニオールを1〜20重量%およびサリチル酸メチルを3〜15重量%含んでいることを特徴とする線香用消臭剤。
  2. 更に、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、ベンジルベンゾエートおよびジプロピルグリコールから選ばれる保留剤を含む請求項1に記載の線香用消臭剤
  3. 上記保留剤の含有量が3〜40重量%であることを特徴とする請求項2に記載の線香用消臭剤。
  4. 炭化物と、無機充填剤と、バインダーとからなる線香であって、請求項1〜のいずれか1項に記載の消臭剤が配合されていることを特徴とする低臭気線香。
  5. 線香中に、前記消臭剤が0.01〜1重量%の割合で配合されていることを特徴とする請求項4に記載の低臭気線香
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