JP3709692B2 - 車両用駆動力制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動輪の空転を防いで車両の安定性及び運転性を確保する駆動力制御装置に関し、特にトルクコンバータを備えた車両の駆動力制御装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
加速時等に駆動輪が空転して、加速性能が低下するのを防止する駆動力制御装置(あるいはTCS=トラクションコントロールシステム)としては、特開平1−223064号公報、特開平4−36030号公報、特開平4−36031号公報、特開平4−121232号公報等が知られている。
【0003】
上記特開平1−223064号公報では、車両の発進時に駆動輪の空転が検出されると、路面摩擦係数μによらす一定の目標値まで駆動力を低下させるものであり、この場合、高μ路に合わせて駆動力低下量を設定すると、低μ路でトルク過大となって駆動輪の空転を収束できず、逆に、低μ路に合わせて駆動力低下量を設定すると、高μ路でトルク過小となって失速を招いてしまう。
【0004】
そこで、特開平4−36030号公報、特開平4−36031号公報では、駆動トルク検出手段と、荷重検出手段から路面摩擦係数μを推定して、駆動力抑制の目標値を決定するものが開示されている。
【0005】
また、特開平4−121232号公報のように、駆動輪加速度を用いて余剰トルクを演算し、駆動輪と路面間の伝達可能トルクを推定して制御量を決定するものが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平4−36030号公報、特開平4−36031号公報のように、駆動トルクを検出するセンサや、荷重を検出するセンサを用いる場合では、これらセンサを付加することによって、製造コストが大幅に増大するという問題があり、また、上記特開平4−121232号公報のように、駆動輪加速を用いるものでは、発進直後の極低速時では、車輪速センサの分解能が荒いため、正確に加速度を検出することができず、路面摩擦係数μの精度が低下して確実な制御を行うことができないという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、製造コストを抑制しながら、路面摩擦に応じた駆動力制御を正確に行うことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、駆動輪の路面に対するスリップが所定値を超えたときに駆動輪の空転を判定する駆動力制御開始判定手段と、前記駆動力制御開始判定手段が駆動輪の空転を判定したときに駆動輪の駆動力を低減する駆動力抑制手段とを備えた車両用駆動力制御装置において、エンジンと駆動輪の間の動力伝達経路に介装されたトルクコンバータと、駆動輪速とエンジン回転数に基づいてトルクコンバータのスリップ比を検出し、前記スリップ比とトルクコンバータへの入力トルクに基づいてトルクコンバータの出力軸トルクを検出するトルコン出力軸トルク検出手段を備え、前記駆動力制御開始判定手段が駆動輪の空転を判定したときのトルクコンバータ出力軸トルクに基づいて、前記駆動力の低減値を設定する駆動力低減値設定手段とを備えたことを特徴とする車両用駆動力制御装置。
【0009】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記駆動力低減値設定手段は、駆動輪の空転を判定したときのトルクコンバータ出力軸トルクが所定値を超える場合には、高μ路と判定して駆動輪の空転を判定したときのトルクコンバータ出力軸トルクの大きさに応じて前記駆動力の低減値を変更する。
【0010】
また、第3の発明は、前記第1の発明において、前記トルコン出力軸トルク検出手段は、トルクコンバータのスリップ比から求めた容量係数に基づいて、トルクコンバータ出力軸トルクを演算する。
【0011】
また、第4の発明は、前記第3の発明において、前記トルコン出力軸トルク検出手段は、予め設定した高次関数に基づいて、前記容量係数を演算する。
【0012】
また、第5の発明は、前記第3の発明において、前記容量係数の演算は、スリップ比の変化量に対する容量係数の変化量が所定値以下の領域で行う。
【0013】
また、第6の発明は、前記第1の発明において、前記駆動力抑制手段は、駆動輪の目標駆動トルクを低減する。
【0014】
また、第7の発明は、前記第1の発明において、前記駆動力抑制手段は、エンジンの目標駆動トルクを低減する。
【0015】
また、第8の発明は、前記第1の発明において、前記駆動力抑制手段は、駆動輪の目標駆動トルクに応じて制動力を制御する。
【0016】
【発明の効果】
したがって、第1の発明は、駆動輪が空転して駆動力制御が開始されると、空転を開始した瞬間のトルクコンバータ出力軸トルクを、その路面状態で伝達可能な駆動トルクの最大値として、駆動力の低減値を設定することができ、前記従来例のように、特別なセンサを用いることなく、発進直後の極低速時から路面摩擦係数に応じた駆動力制御を高精度で行うことが可能となって、前記従来例に示したように、一定の駆動力抑制値で駆動力制御を行う場合のように、駆動力の過大な低減による失速感を運転者へ与えることがなくなって、製造コストの低減と高精度な駆動力制御を両立させて、路面摩擦係数μに応じた最大の駆動トルクによって、車両の発進、加速を迅速に行うことで、駆動力制御装置の性能を大幅に向上することができる。
【0017】
また、第2の発明は、駆動力制御が開始された瞬間のトルクコンバータ出力軸トルクが所定値を超える場合には、高μ路と判定し、路面摩擦係数μに応じたトルクコンバータ出力軸トルクに基づいて、駆動力の低減値が可変制御されるため、駆動力の過大な低減による失速感を運転者へ与えることがなくなるとともに、路面摩擦係数μに応じた最大の駆動トルクによって、車両の発進、加速を迅速に行うことができ、運転性を大幅に向上させることが可能となる。
【0018】
また、第3の発明は、トルクコンバータのスリップ比から求めた容量係数に基づいて、トルクコンバータ出力軸トルクを演算するため、前記従来例のような特別なセンサを付加する必要がないため、製造コストの低減を図ることができる。
【0019】
また、第4の発明は、容量係数の演算は、予め設定した高次関数によって行うため、トルクコンバータのスリップ比の変化に対して、容量係数τの変化が過大となって誤差が拡大する可能性ある領域の変化量を緩やかに近似させて、容量係数の過大な変動を抑制して誤差が拡大するのを防ぐことで、トルコン出力軸トルクの過大な変動を防ぎ、ハンチング等を防止して制御の安定性を向上させることができる。
【0020】
また、第5の発明は、容量係数の演算を、スリップ比の変化量に対する容量係数の変化量が所定値以下の領域で行うため、容量係数の過大な変動を抑制して誤差が拡大するのを防止でき、トルコン出力軸トルクの過大な変動を防ぎ、ハンチング等を防止して制御の安定性を向上させることができる。
【0021】
また、第6の発明は、駆動輪の目標駆動トルクを路面摩擦係数μに応じた値に設定することができ、駆動輪の空転からの回復を迅速に行いながらも、伝達可能な最大の駆動トルクで車両の発進、加速を行うことができる。
【0022】
また、第7の発明は、エンジンの目標駆動トルクを路面摩擦係数μに応じた値に設定することができ、例えば、燃料噴射カットや吸入空気量の制御によって、駆動輪の空転からの回復を迅速に行いながらも、伝達可能な最大の駆動トルクで車両の発進、加速を行うことができる。
【0023】
また、第8の発明は、駆動輪の目標駆動トルクに応じて制動力を制御することで、路面摩擦係数μに応じた駆動力低減値へ迅速に設定することができ、駆動輪の空転からの回復を迅速に行いながらも、伝達可能な最大の駆動トルクで車両の発進、加速を行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0025】
図1において、駆動力制御装置はマイクロコンピュータ等から構成されたTCSコントローラ1と、車輪速制動力を制御するABSコントローラ20と、車両の運転状態に応じてエンジン4の空燃比制御や点火時期制御を行うエンジンコントローラ2と、同じく車両の運転状態に応じて、自動変速機6の変速制御を行うATコントローラ3から構成され、駆動輪の空転を検出すると、エンジンコントローラ2やABSコントローラ20へ駆動力制御要求を送出し、駆動輪が発生するトルクを抑制するものである。
【0026】
エンジン4はトルクコンバータ5、変速機6及び差動装置13を介して後輪RR、RLと連結されるFR式を構成しており、以下、左右後輪RL、RRを駆動輪とし、左右前輪FL、FRを従動輪とする。
【0027】
TCSコントローラ1には、各車輪または車軸の回転速度を検出する車輪速センサ12FR、12FL、12RR、12RLの検出信号がそれぞれ入力され、TCSコントローラ1は、これら各車輪速VWFR、VWFL、VWRR、VWRLに基づいて、従動輪平均速Vwf(=車体速VSP)と駆動輪平均速Vwrを演算して、駆動輪平均速Vwrが従動輪平均速Vwfに応じて変化するしきい値Vwsを超えてときには駆動輪RR、RLの空転を検出し、駆動力制御の開始を示す制御フラグFTCSをOFFからONにして駆動力を抑制する制御が開始される。
【0028】
なお、駆動輪の空転を検出するとともに、駆動力制御の目標値となる駆動輪速のしきい値Vwsは、現在の車体速を代表する従動輪平均速Vwfに所定値αを加算して求めたもので、
Vws=Vwf+α
で表される。
【0029】
そして、駆動力制御は、例えば、アクチュエータ9を駆動して第2スロットル10の開度を変更することで、目標とするエンジントルクに応じて吸入空気量Qaを抑制してエンジン4の出力を抑制したり、エンジンコントローラ2またはABSコントローラ20へ駆動力制御要求信号(=制御フラグFTCS)を送出して、エンジンコントローラ2は、燃料噴射カット量FCによってエンジン4の出力を目標とするエンジントルクに低減したり、また、ABSコントローラ20は、目標とする駆動輪トルクに応じて、駆動輪RR、RLのブレーキアクチュエータ21RR、21RLへの液圧を制御し、駆動輪RR、RLが伝達するトルクを抑制することなどで行われる。この場合、ABSコントローラ20は、図示しないマスターシリンダ圧の発生がない場合でも、制御液圧を発生可能なように、液圧源を含むものである。
【0030】
なお、TCSコントローラ1には、エンジンコントローラ2を介して図示しないクランク角センサからのエンジン回転数Neが、自動変速機6を制御するATコントローラ3から変速比GEAR(または変速比)が入力される。
【0031】
ここで、TCSコントローラ1で行われる駆動力制御の一例を図2、図3のフローチャートに示し、以下、これらフローチャートを参照しながら駆動力制御について詳述する。
【0032】
なお、これらフローチャートに基づく制御は、上記のように、駆動輪RR、RLの空転が検出されている駆動力制御期間中、すなわち、制御フラグFTCSがONの間に、所定時間毎、例えば、10msec毎等で実行されるものである。
【0033】
図2は、駆動力制御の全体を示すメインフローチャートで、図3は、トルクコンバータ5の出力軸トルク(以下、トルコン出力軸トルクとする)TRQOUTの演算を行うサブルーチンを示し、全体の制御の流れについて説明した後、トルコン出力軸トルクTRQOUTの演算について詳述する。
【0034】
まず、ステップS1では、TCSコントローラ1が車輪速センサ12RR、12RLの出力の基づいて算出した駆動輪平均速Vwrとエンジン回転数Neより、後述するようにトルコン出力軸トルクTRQOUTを求める。
【0035】
次に、ステップS2では、駆動力制御(以下、TCS制御という)が開始された第1回目のループであるか否かを判定し、制御フラグFTCSが、OFFからONへ変化した直後の第1回目のループであれば、ステップS3へ進む一方、第2回目以降のループであればステップS13へ進む。
【0036】
第1回目のループと判定された場合のステップS3では、トルコン出力軸トルクTRQOUTが所定値TTR#(例えば、27kgm)を超えているか否かを判定して、超えている場合にはステップS4へ進む一方、TTR#以下の場合には、低μ路であると判定してステップS11へ進む。
【0037】
ステップS4では、図4に示すように、TCS制御が開始された時点のトルコン出力軸トルクTRQOUTを、TSC制御中のトルクコンバータ5の出力軸トルクの目標値であるトルクリミッタTLMinに設定する。ただし、トルクリミッタTLMinは、トルコン出力軸トルクTRQOUTがTTR#を超えると、所定の最小値TminからTRQOUTの増大に比例して所定の最大値Tmaxまで増大するものである。
【0038】
ステップS5では、ATコントローラ3から読み込んだ自動変速機6の変速段GEAR(または変速比)が、一定値であるか否か、すなわち、変速過渡状態でないかを判定し、所定の変速段、例えば、1速に固定されている場合にはステップS6へ進む一方、変速過渡状態であれば、ステップS11へ進む。
【0039】
ステップS6では、後述するように演算される、トルクコンバータ5のポンプ5pとタービン5tのスリップ比TCSLPが、所定値未満であるかを判定する。この所定値は、例えば、0.8に設定され、ステップS1で行われるトルコン出力軸トルクTRQOUTの演算精度が低下する領域にあるか、すなわち、ロックアップ状態ないしロックアップに近い状態でであるかを判定するもので、ロックアップ近傍の状態であれば、ステップS11へ進む一方、そうでない場合には、ステップS7へ進む。
【0040】
ステップS7は、トルコン出力軸トルクTRQOUTが所定値TTQ#(例えば、18kgm)よりも大きいか否かを判定し、TTQ#よりも大きい場合には、現在の路面状態が高μ路であると判定してステップS8へ進む一方、トルコン出力軸トルクTRQOUTが所定値TTQ#(kgm)以下の場合には、上記低μ路の判定後と同様にしてステップS11へ進む。
【0041】
ステップS8では、路面の状態を示すフラグFMUNTに1をセットして、高μ路で駆動力制御を開始したことを設定してから、ステップS9へ進む。
【0042】
ステップS9では、上記ステップS4で設定されたトルクリミッタTLMinに基づいて、トルコン出力軸トルクTRQOUTの目標値を、駆動力制御が開始された瞬間のトルコン出力軸トルクTRQOUTに設定する。
【0043】
そして、ステップS10では、このトルクリミッタTLMinを超えないように、上記したように、駆動力抑制手段としての第2スロットル10、エンジン4の燃料噴射カット、ブレーキアクチュエータ21RR、21RLの液圧制御を行って、駆動輪RR、RLの空転を抑制する。
【0044】
一方、ステップS3の判定で、トルコン出力軸トルクTRQOUTが、所定値TTR#以下となった場合は、ステップS11へ進み、路面の状態を示すフラグFMUNTに0をセットして、低μ路で駆動力制御を開始したことを設定してから、ステップS12へ進む。
【0045】
ステップS12では、予め設定した低μ路面用の目標駆動軸トルクTTQ#(例えば、18Kgm)となるように、発進に必要な加速抵抗トルク、空気抵抗トルク、転がり抵抗トルク及び勾配抵抗トルクの和にフィルタ処理を施したものを、目標駆動トルクとして演算した後、ステップS10へ進んで、トルコン出力軸トルクTRQOUTがこの目標駆動トルクとなるよう、上記と同じく、駆動力抑制手段としての第2スロットル10や、エンジン4の燃料噴射カットあるいはブレーキアクチュエータ21RR、21RLの液圧制御を行って、駆動輪RR、RLの空転を抑制する。
【0046】
また、ステップS2の判定で、第2回目以降のループであると判定されたステップS13では、TCS制御中か否かを制御フラグFTCSの状態に基づいて、判定し、TCS制御中であれば再びステップS5以降の処理へ戻る一方、TCS制御が終了した場合には、ステップS14へ進んで、路面状態を示すフラグFMUNTを0にリセットして駆動力制御処理を終了する。
【0047】
次に、ステップS1で行われるトルコン出力軸トルクTRQOUTの演算処理について、図3のサブルーチンを参照しながら詳述する。
【0048】
まず、ステップS20では、現在の変速段GEARに基づいて、駆動系の定数INVGを次式により算出する。
【0049】
INVG=(2×π×Ra×60×10-3)/(Nt×Nf)………(1)
ただし、Ra:駆動輪RR、RLの回転半径
Nt:現在の変速段GEARに応じた変速比
Nf:差動装置13の減速比
である。
【0050】
次に、ステップS21では、トルクコンバータ5のポンプ5p側の回転数に相当する駆動輪速相当値VPOMPを、エンジンコントローラ2から読み込んだエンジン回転数Ne [ rpm ]に 、上記ステップS20で求めた定数INVGを乗じて演算する。なお、駆動輪速相当値VPOMPは、トルクコンバータ5をロックアップした状態の駆動輪速Vwrに相当する。
【0051】
ステップS22では、駆動輪平均速Vwrと、上記駆動輪速相当値VPOMPの比からトルクコンバータスリップ比(以下、トルコンスリップ比)TCSLPを、
TCSLP=Vwr/VPOMP ………(2)
より求める。
【0052】
ステップS23では、トルコンスリップ比TCSLPが1未満、すなわち、アンロックアップ状態であるか否かを判定し、1未満であればそのままステップS25へ進む一方、1以上であれば、ステップS24で、トルコンスリップ比TCSLP=1、すなわち、ロックアップ状態にリミットをかける。
【0053】
ステップS25では、トルコンスリップ比TCSLPの変化に対してフィルタリングを施して、変化を平滑化した後、ステップS26で、トルコンスリップ比TCSLPに基づいてトルクコンバータ5のトルク比MYを次式より演算する。
【0054】
MY=C1−(C2×TCSLP) ………(3)
ただし、C1、C2は、トルクコンバータ5の特性に応じて予め設定された値で、例えば、C1=2、C2=1.3に設定される。なお、このトルク比MYの演算は、関数限定されることはなく、図示はしないが、トルコンスリップ比TCSLPに応じたマップなどから求めてもよい。
【0055】
次に、ステップS27では、トルク比MYが1よりも大きいか否かを判定し、1を超えていればそのままステップS29へ進む一方、1未満であれば、ステップS28で、トルク比MY=1、すなわち、ロックアップ状態にリミットをかける。そして、ステップS29では、トルク比MYの変化に対してフィルタリングを施して、変化を平滑化した後、ステップS30で、トルコンスリップ比TCSLPに基づいてトルクコンバータ5の容量係数τを次式より演算する。
【0056】
τ=K1×(1−TCSLP7) ………(4)
ただし、K1は、トルクコンバータ5の特性に応じて予め設定された値で、例えば、K1=4.9に設定される。この、トルクコンバータ5の容量係数τは、図5に示すように、実際には図中実線で示すように変化するが、トルコンスリップ比TCSLPが所定値、例えば、0.8を超えると、トルコンスリップ比TCSLPの微小な変化に対して、容量係数τの変化が過大となって、誤差が拡大する恐れがある。そこで、図中波線に示すように、容量係数τの特性曲線を上記(4)式のように高次関数、例えば、7次など3次以上の関数で、近似させることで、容量係数τの変化を抑制して誤差が拡大するのを防ぎ、後述するトルコン出力軸トルクTRQOUTの過大な変動を防ぐことで、ハンチング等を防止して制御の安定性を向上させているのである。
【0057】
さらに、容量係数τの特性をマップとして、TCSコントローラ1に記憶させてもよいが、この場合、ROM等の記憶容量を増大させる必要があり、製造コストの低減のためには、上記(4)式のような、高次関数で近似させるのが望ましい。
【0058】
次の、ステップS31では、こうして求めた容量係数τとエンジン回転数Neに基づいて、トルクコンバータ5の入力トルクTRQIN(ポンプトルク)を、
TRQIN=τ×Ne2 ………(5)
より演算する。
【0059】
そして、ステップS32では、この入力トルクTRQINに、ステップS29で求めたトルク比MYを乗じたものを、トルコン出力軸トルクTRQOUTとして演算する。
【0060】
TRQOUT=TRQIN×MY ………(6)
上記のようにして、トルコン出力軸トルクTRQOUTを求めた後に、図2のメインルーチンへ復帰するのである。
【0061】
ここで、路面の摩擦係数μとトルコン出力軸トルクTRQOUTの関係について、車両の並進運動と車輪の回転運動に基づいて説明する。
【0062】
いま、角速度Vωで回転する半径Rの駆動輪に、荷重Wが加わっている車両が、摩擦係数μの路面上を加速度αxで走行している場合を考える。駆動力をTDとすると、
IVω=TD−μWrR ………(7)
一方、並進運動の拘束条件より、
W/g・αx=μWr ………(8)
で表され、駆動輪がグリップしている場合には、
αx=RVω ………(9)
一方、駆動輪がスリップしている場合には、
αx<RVω ………(10)
で表現される。
【0063】
上記(7)式より、
【0064】
【数1】
Figure 0003709692
【0065】
となる。
【0066】
この(11)式を満たす駆動力TDが、駆動輪をグリップしながら伝達できる値となる。
【0067】
ところで、上記(11)式中のI・g/r2は、エンジン4、自動変速機6などの駆動系及び駆動輪RR、RLの車軸系の慣性モーメントを、駆動輪の動半径上の重量に換算した回転部分慣性重量のことであり、これをΔWとすると、
ΔW=I・g/R2 ………(12)
となる。
【0068】
上記(11)式及び(12)式から
【0069】
【数2】
Figure 0003709692
【0070】
で表され、路面に伝達可能なトルクは、あくまでもμWrRであるが、回転部分を加速させるのに要するトルクμWrR・ΔW/Wが必要なので、スリップしない最大のエンジントルクは、TD相当値になることを示している。
【0071】
上記トルコン出力軸トルクTRQOUTは、駆動輪が空転した後では、必ずしも、路面摩擦係数μを代表するものではないが、駆動輪のグリップ限界を超える瞬間のトルコン出力軸トルクTRQOUTでみると、上記(13)式のように路面摩擦係数μに比例した関数となる。
【0072】
すなわち、TCS制御が開始された瞬間の駆動力TDが、上記(13)式で表されるので、トルコン出力軸トルクTRQOUTは路面摩擦係数μの関数となり、上記ステップS4で設定したトルクリミッタTLMinは、そのときの路面状態において伝達可能な駆動力の最大値に設定されるのである。
【0073】
以上のステップS1〜ステップS32の処理を所定時間毎に行うことにより、図6に示すように、駆動輪RR又はRLが空転を開始して、時間t1で駆動輪平均速Vwrがしきい値Vwsを超えるスリップ状態になると、制御フラグFTCSがOFFからONに変化してTCS制御が開始される。
【0074】
そして、TCS制御の第1回目のループでは、ステップS1で求めたトルコン出力軸トルクTRQOUTが、所定値TTR#を超えていれば、高μ路であると判定して(ステップS3)、空転を開始した瞬間のトルコン出力軸トルクTRQOUTを、その路面状態で伝達可能な駆動トルクの最大値として、トルクリミッタTLMinにセットする(ステップS4)。そして、変速段または変速比が一定の定常状態で、かつ、トルコンスリップ比TCSLPがロックアップ条件未満のときには(ステップS5、S6)、ステップS4で設定したトルクリミッタTLMinを超えないように、上記駆動力抑制手段としての第2スロットル10や、エンジン4の燃料噴射カットあるいはブレーキアクチュエータ21RR、21RLの液圧制御を行うことで、高μ路では空転を開始したときのトルコン出力軸トルクTRQOUTによって、路面摩擦係数μに応じてリミッタ値TLMinがTminからTmaxの間で連続的に変更されて駆動力の抑制制御が行われるため、一定の駆動力抑制値で駆動力制御を行う場合のように、駆動力の過大な低減による失速感を運転者へ与えることがなくなるとともに、路面摩擦係数μに応じた最大の駆動トルクによって、車両の発進、加速を迅速に行うことができるのである。
【0075】
一方、空転を開始した瞬間のトルコン出力軸トルクTRQOUTが、所定値TTR#以下であれば、低μ路と判定して、ステップS12において、所定の低μ路用目標値TTQ#によって駆動力制御を行うため、高μ路での失速感を抑制しながらも、低μ路でのグリップを確実に確保することが可能となり、路面状態にかかわらず、車両の安定性を確保しながら、最大の加速状態を得ることが可能となって、車両の運転性を大幅に向上させることが可能となるのである。そして、車輪速センサ12FL〜12RR及びトルクコンバータ5を備えた車両であればよいため、前記従来例のように、特別なセンサを必要とせず、製造コストの上昇を確実に抑制することができるのである。
【0076】
このようにして、駆動輪の空転がしきい値Vws以下になる時間t2まで駆動力制御が行われる。
【0077】
なお、上記実施形態において、駆動力制御手段として、第2スロットル10の制御、ブレーキアクチュエータ21RR、21RLの制御及び燃料噴射カット制御のいずれか一つを行うものであってもよい。
【0078】
また、ステップS5において、1速による発進を想定したが、スノーモードなど、2速あるいは3速等で発進する場合には、発進に用いる変速段を設定すればよい。
【0079】
また、自動変速機6に無段変速機を採用した場合、上記ステップS20の演算において、変速比Ntに無段変速機の変速比を与えればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す駆動力制御装置の概略構成図。
【図2】同じくTCSコントローラで行われる制御の一例を示すフローチャートのメインルーチン。
【図3】同じくTCSコントローラで行われる制御の一例を示すフローチャートで、トルコン出力軸トルク演算部のサブルーチン。
【図4】駆動力制御開始時のトルコン出力軸トルクTRQOUTに対応したトルクリミッタTLMinのマップ。
【図5】トルクコンバータスリップ比とトルコン容量係数τの関係を示すグラフ。
【図6】発進時に駆動輪が空転した場合の、車輪速と制御フラグ及びトルクリミッタTLMin、トルコン出力軸トルクTRQOUTと時間の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 TCSコントローラ
2 エンジンコントローラ
4 エンジン
5 トルクコンバータ
6 自動変速機
10 第2スロットル
12FR、12FL、12RR、12RL 車輪速センサ
13 差動装置
20 ABSコントローラ

Claims (8)

  1. 駆動輪の路面に対するスリップが所定値を超えたときに駆動輪の空転を判定する駆動力制御開始判定手段と、
    前記駆動力制御開始判定手段が駆動輪の空転を判定したときに駆動輪の駆動力を低減する駆動力抑制手段とを備えた車両用駆動力制御装置において、
    エンジンと駆動輪の間の動力伝達経路に介装されたトルクコンバータと、
    駆動輪速とエンジン回転数に基づいてトルクコンバータのスリップ比を検出し、前記スリップ比とトルクコンバータへの入力トルクに基づいてトルクコンバータの出力軸トルクを検出するトルコン出力軸トルク検出手段を備え、
    前記駆動力制御開始判定手段が駆動輪の空転を判定したときのトルクコンバータ出力軸トルクに基づいて、前記駆動力の低減値を設定する駆動力低減値設定手段とを備えたことを特徴とする車両用駆動力制御装置。
  2. 前記駆動力低減値設定手段は、駆動輪の空転を判定したときのトルクコンバータ出力軸トルクが所定値を超える場合には、高μ路と判定して駆動輪の空転を判定したときのトルクコンバータ出力軸トルクの大きさに応じて前記駆動力の低減値を変更することを特徴とする請求項1に記載の車両用駆動力制御装置。
  3. 前記トルコン出力軸トルク検出手段は、トルクコンバータのスリップ比から求めた容量係数に基づいて、トルクコンバータ出力軸トルクを演算することを特徴とする請求項1に記載の車両用駆動力制御装置。
  4. 前記トルコン出力軸トルク検出手段は、予め設定した高次関数に基づいて、前記容量係数を演算することを特徴とする請求項3に記載の車両用駆動力制御装置。
  5. 前記容量係数の演算は、スリップ比の変化量に対する容量係数の変化量が所定値以下の領域で行うことを特徴とする請求項3に記載の車両用駆動力制御装置。
  6. 前記駆動力抑制手段は、駆動輪の目標駆動トルクを低減することを特徴とする請求項1に記載の車両用駆動力制御装置。
  7. 前記駆動力抑制手段は、エンジンの目標駆動トルクを低減することを特徴とする請求項1に記載の車両用駆動力制御装置。
  8. 前記駆動力抑制手段は、駆動輪の目標駆動トルクに応じて制動力を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用駆動力制御装置。
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