JP3708788B2 - 流体量検知装置及びインク量検知装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置等におけるインクなどの流体の量を検知する流体量検知装置及びインク量検知装置に係り、特に、インク等の流体量の変化に伴う静電容量の変化によって当該流体量を検知する流体量検知装置及びインク量検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、印刷機や複写機をはじめとする画像形成装置などでは、印刷に必要な印刷用インクを常に安定して供給するために、またインクに余剰分が生じるとインクが漏れて印刷用紙を汚す恐れなどがあるため、供給するインク量を適切に維持するためのインク量検知装置(インクセンサー)が用いられている。
【0003】
その一例として本出願人は、特開昭58−62520号に於いて、インク溜り部を挟んで対向する検出電極部材と接地電極部材との間のインク量変化に伴う当該両電極部材間の静電容量変化により、インク溜り部に於けるインク量を検出するインク量検知装置を提案している。このインク量検知装置を孔版印刷装置に組み込んだ例を図9に示す。
【0004】
図9に於いて、版胴8は印刷インクの通過を許す多孔性構造を有しており、この版胴8の外周には図示しない感熱製版された孔版原紙が巻装される。版胴8の内部には中押しロール1が配設されており、また、この中押しロール1の外周面に対し所定の間隙をおいてインク量制御要素としてドクターロール2が配置されている。インク溜り部3には、図示しないインク供給機構により供給された印刷用インクが、中押しロール1の回転によって「渦」を形成して集められるとともに、中押しロール1とドクターロール2との間の僅かな間隙(ギャップ)から中押しロール1の表面を被膜として伝わり、版胴8の内側に一定量の印刷用インクが供給される。更に、版胴8の内側に供給された印刷用インクは、中押しロール1により押圧されて版胴8を通過し、更に孔版原紙の穿孔部を通過して、図示しない印刷用紙に転移する。
【0005】
インク溜り部3のインク量は、インクセンサ4によって検知され、検知結果に基づいて、インク供給機構からのインク溜り部3へのインク供給量が制御される。つまり、印刷処理により印刷用インクが使用され、インク溜り部3のインク量が減少してインク有無センサ針5がインク溜り部3のインクから離れると、インク有無センサ針5がインク溜り部3に触れるまで、インク供給機構により印刷用インクが供給される。また、オーバーフローセンサ針6により、インク溜り部3のインク量のオーバーフローを確認し、オーバーフロー発生時にはインク供給機構はインクの供給を停止する。
【0006】
このインクセンサ4は、コイルとコンデンサを有するLCの電気的発振回路と、この発振回路が発振する周波数の変化を検知する検知回路からなる。発振回路はコイルのインダクタンスとコンデンサの静電容量とにより決まる周波数にて発振する。印刷用インクは空気より誘電率が大きいため、コンデンサの静電容量はインク溜り部3のインク量が多いほど大きく、インク量が少ないほど小さい。従って、発振する周波数は、インク量が多いほど低く、インク量が少ないほど高くなる。この発振周波数の変化を検知回路で検知し、これによりインク量の変化が電気量の変化として取り出される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の如き従来のインク量検知装置では、静電容量が低い印刷用インク(例えば、静電容量が10pF以下のインク)を検知することが非常に困難である。このような低い静電容量を検知するためには、例えば以下のような方法がある。
【0008】
第1の方法は、発振する周波数を上げることによって低い静電容量を検知できるようにする方法である。しかし、発振周波数が高くなる(例えば、数pFの静電容量の変化を検知するためには100MHz程度の周波数が必要)と、回路や基板の浮遊容量等の影響を受けて周波数が不安定になってしまうという問題がある。更に、このような高周波帯域を使用すると、周辺の回路などにも影響を及ぼす恐れもある。
【0009】
また、検知しようとする印刷用インクの静電容量値と、トランジスタなどの浮遊容量を押さえるためのコンデンサの容量値とが変わらない値になってきており、そのためこのような低い静電容量を検知することが難しいという問題もある。
【0010】
第2の方法は、検出電極、すなわち、インク有無センサ針5やオーバーフローセンサ針6を太くする、あるいは長くするという方法である。しかし、検出電極の径を太くすると、印刷用インクの渦がこわれて印刷する画像に悪影響を及ぼすという問題がある。つまり、検出電極が触れている部分の画像が薄くなったり、擦れたりする恐れがある。また、検出電極の長さを長くして検知するという方法も、印刷装置の構造上限界がある。
【0011】
従って、検出しようとする印刷用インクの静電容量が低い場合には、従来のインク量検知装置では検知することが非常に困難であった。
【0012】
本発明は、以上に述べた状況を鑑みて成されたものであり、インク等の流体量の変化に伴う静電容量の変化によって当該流体量を検知する検知装置であって、数pF以下の低い静電容量の変化を検知することができる流体量検知装置及びインク量検知装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、抵抗と基準容量とを発振時定数として、基準周波数信号を発振する基準発振手段と、前記基準発振器の抵抗と同等の抵抗と、前記基準容量に相当する容量に流体量に相当する静電容量を加算した測定容量とを発振時定数として、測定周波数信号を発振する測定発振手段とを有し、前記基準周波数信号及び前記測定周波数信号をそれぞれ2n倍分周し、2n倍分周した前記基準周波数信号と2n倍分周した前記測定周波数信号との差分を求めることでインク量に相当する静電容量を検出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第2の特徴は、外部基準周波数を発振する外部基準発振手段を有し、前記外部基準周波数を基準に前記2n倍分周した前記基準周波数信号のパルス数を基準パルス数として計数し、前記外部基準周波数を基準に前記2n倍分周した前記測定周波数信号のパルス数を測定パルス数として計数し、計数した基準パルス数と測定パルス数との差分を求めることで前記インク量に相当する静電容量を検出することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第3の特徴は、前記基準周波数信号を分周して基準電圧に変換し、前記測定周波数信号を分周して測定電圧に変換し、変換した前記基準電圧と前記測定電圧との差分を求めることで前記インク量に相当する静電容量を検出することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第4の特徴は、インクの有無を判定するインク有無判定基準値を予め設定してメモリに保持し、このインク有無判定基準値と前記差分との比較によって、インクの有無状況を検知する、及び/または、インクの過剰供給を判定するオーバーフロー判定基準値を予め設定してメモリに保持し、このオーバーフロー判定基準値と前記差分との比較によって、前記インクの過剰供給を検知することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(第1実施例)
図1は本発明に係るインク量検知装置4の一実施例を示したブロック図である。
【0019】
インク量検知装置4はCR測定発振器11、CR基準発振器12、分周器13a,13b、計数器14、メモリ16、比較器15からなる。CR測定発振器11には検出電極7が接続されている。
【0020】
ここで、CR測定発振器11とCR基準発振器12について、図2〜図4を用いて説明する。CR測定発振器11及びCR基準発振器12を発振回路を、図2に示すような遅延回路によりそれぞれ構成する。図2(a)において、入力端子Aと出力端子Yとの間に、抵抗R、及びこれと並列にコンデンサCが接続されており、コンデンサCのもう一方の端子はグランドに接続されている。入力端子にステップパルスV1を加えた時の出力端子電圧V2は、次式で表される。
【0021】
【数1】
V2=V1・(1−e−t/RC) (1)
従って、図2(b)に示すように、理想的なステップ状の入力電圧波形V1に対し、実際の出力電圧波形V2は緩やかに上下動する波形となる。このような出力電圧波形の立上り・立下りの遅延時間は、抵抗RとコンデンサCとの積による時定数τで変化するため(RCディレイ)、本発明ではこれを利用して発振周波数を可変にする。
【0022】
CR測定発振器11の具体例を図3に、CR基準発振器12の具体例を図4に示す。図3に示すように、コンデンサC2と抵抗R1とを有するCR発振回路で、インバータの入力にコンデンサC2と並列に、検出電極7としてステンレス鋼線が接続されている。また、コンデンサC1はコンデンサC2と並列に接続されているので、検出電極7に印刷用インクが付着すると、静電容量C2に印刷用インクの静電容量C1が加算され、それによって、回路の遅延時間が変化し、その結果、発振周波数が変化する。
【0023】
このCR測定発振器11の発振周波数fs(Hz)は、次式で表される。
【0024】
【数2】
fs=1/{R1・(C1+C2)} (2)
また、図4に示すように、CR基準発振器12はコンデンサC3と抵抗R2とを有するCR発振回路である。つまり、図3に示したCR測定発振器11から検出電極7とコンデンサC1を除いた回路構成となっている。
【0025】
このCR基準発振器12の発振周波数fk(Hz)は、次式で表される。
【0026】
【数3】
fk=1/(R2・C3) (3)
ここで、R1=R2となるように、すなわち、CR測定発振器11の抵抗R1とCR基準発振器12の抵抗R2が等しくなるように構成する。更に、CR基準発振器12のコンデンサC3をトリマコンデンサなどの可変コンデンサにして、検出電極7に印刷用インクが付着していない時に発振周波数fs=fkとなるように、可変コンデンサC3の容量を調整する。尚、発振周波数は回路や基板の浮遊容量等の影響などを受けないように、中低周波帯域を使用する。更に好ましくは1MHz程度とする。
【0027】
このようにCR測定発振器11とCR基準発振器12を構成することで、CR測定発振器11から発振される測定周波数fkとCR基準発振器12から発振される基準周波数fsとの差CCから印刷用インクの静電容量C1を求めることができるのである。
【0028】
図1に戻って、CR測定発振器11から発振される測定周波数信号fsとCR基準発振器12から発振される基準周波数信号fkを、それぞれ分周器13aと分周器13bで2n倍(例えば、215倍)分周することで、各周波数の測定精度を上げる。このように測定周波数信号fsと基準周波数信号fkとをそれぞれ分周することで、従来は測定することが難しかった静電容量の微細な変化も測定することができる。また、分周することで精度が上がるため、従来のような高周波を使用しなくても良い。つまり、中低周波を使用して、低い静電容量を測定することができるのである。従って、回路や基板の浮遊容量等の影響を受けて周波数が不安定になってしまうという問題も解消される。
【0029】
次に、計数器14にて、測定周波数信号fsと基準周波数信号fkのそれぞれのパルスを所定の時間カウントして、測定周波数信号fsのカウント数と基準周波数信号fkのカウント数との差CCを求める。検出電極7にインクが付着していない時には、測定誤差を除けば、この差CCの値はゼロとなり、検出電極7にインクが付着する量が増えるに従って、差CCの値も増加して行く。
【0030】
次に、比較器15にて、計数器14で求めた測定周波数信号fsのカウント数と基準周波数信号fkのカウント数との差CCと、基準となるカウント数との比較を行う。基準となるカウント数とは、例えば、インクの有無の判定基準となるカウント数KCC、インクのオーバーフローの発生基準となるカウント数YCCなどであり、予め所定の値を設定してメモリ16などに保持しておく。比較器15は表1に示すようにこれらの比較を行い、比較結果にしたがって、所定のインク有無信号、オーバーフロー信号を出力する。
【0031】
【表1】
計数器14で求めた測定パルス数と基準パルス数の差CCがインクの有無の判定基準となるカウント数KCCより小さい場合には、「インクなし」と判断し、インク有無信号として「インクなし」を示す信号(例えば、LOW信号)を出力する。逆に、差CCが基準カウント数KCCと同じかそれより大きい場合には、「インクあり」と判断し、インク有無信号として「インクあり」を示す信号(例えば、HIGH信号)を出力する。同様に、差CCと基準カウント数YCCとを比較して、表1に示すようにオーバーフロー信号を出力する。
【0032】
尚、インクの有無の判定基準となるカウント数KCC、インクのオーバーフローの発生基準となるカウント数YCCは、測定誤差を考慮して値を設定しておくと良い。このように、判定基準となる数値をメモリなどの記憶手段に記憶させて判定を行うようにすることで、数値を適宜変更すれば様々な種類のインク等に利用することができる。
【0033】
また、CR測定発振器11とCR基準発振器12を同一のデバイス(ロット)内で構成すれば、電圧の変化や温度その他の周囲条件による発振周波数への影響を受けないようにすることができ、測定誤差が低減され、更に安定した測定を行うことができる。
【0034】
また、計数器14にて測定パルス数と基準パルス数の差を求める代わりに、測定周波数fsを基準周波数fkでカウントする方法もある。具体的には、測定周波数fsと基準周波数fkとの論理積(AND)を取り、その時に得られたパルスをカウントしてカウント数CCとする。次に、比較器15にて、計数器14でカウントしたカウント数CCと基準となるカウント数との比較を行う。この場合には、CR測定発振器11の抵抗R1とCR基準発振器12の抵抗R2が等しくなるように構成したり、検出電極7に印刷用インクが付着していない時に発振周波数fs=fkとなるように可変コンデンサC3の容量を調整したりする必要は必ずしもない。
【0035】
(第2実施例)
図5は本発明に係るインク量検知装置4の第2の実施例を示したブロック図である。
【0036】
インク量検知装置4は、インクを検出する検出電極7が接続されたCR測定発振器11、CR基準発振器12、分周器13a,13b、計数器14a,14b、メモリ16、比較器15、及び外部発振器17からなる。第1実施例との違いは、測定パルス数と基準パルス数の差CCを計数器14で求める際に、外部発振器17を介在させることで、より高精度な測定を行おうとするものである。この外部発振器17は、例えば、水晶発振器のように安定度が極めて高い周波数を発振する発振器を用いると良い。
【0037】
先ず、第1実施例と同様に、CR測定発振器11から発振される測定周波数信号fsとCR基準発振器12から発振される基準周波数信号fkを、それぞれ分周器13aと分周器13bで2n倍(例えば、215倍)分周することで、各周波数信号の精度を上げる。
【0038】
次に、計数器14aにて、分周器13aで分周した測定周波数信号fsのパルスを外部発振器17から発振される外部発振器周波数信号のパルスでカウントする。具体的には、測定周波数信号fsと外部発振器周波数信号との論理積を取り、その結果得られたパルスをカウントすれば良い。同様にして、分周器13bで分周した基準周波数信号fkのパルスを外部発振器17から発振される外部発振器周波数信号のパルスでカウントする。このようにして、測定周波数fsと基準周波数fkのそれぞれのパルスを外部発振器17の周波数信号を基準にしてカウントして、測定周波数fsのカウント数と基準周波数fkのカウント数との差CCを求める。この両者の差CCを求めるにあたって、両者とも外部発振器17から発振される周波数信号を基準にして、パルス数をカウントし、カウントしたパルス数で比較を行うため、測定の精度が更に向上する。
【0039】
次に、第1実施例と同様に、比較器15にて、計数器14で求めた測定周波数fsのカウント数と基準周波数fkのカウント数との差CCと、インクの有無の判定基準となるカウント数KCC、インクのオーバーフローの発生基準となるカウント数YCCとの比較を表1に示したように行い、比較結果にしたがって、所定のインク有無信号、オーバーフロー信号を出力する。
【0040】
(第3実施例)
図6は本発明に係るインク量検知装置4の第3の実施例を示したブロック図である。
【0041】
インク量検知装置4は、インクを検出する検出電極7が接続されたCR測定発振器11、CR基準発振器12、分周器13a,13b、F/V(周波数/電圧)変換器18a,18b、メモリ16、比較器15、からなる。第1,第2実施例との違いは、計数器14で測定パルス数と基準パルス数の差CCを求める代わりに、F/V変換器18a,18bで測定周波数信号fsと基準周波数信号fkを、それぞれに比例する直流電圧に変換し、変換した各々の直流電圧を比較するということである。
【0042】
先の実施例と同様に、CR測定発振器11から発振される測定周波数信号fsとCR基準発振器12から発振される基準周波数信号fkを、それぞれ分周器13aと分周器13bにて、F/V変換器18a,18bで直流電圧に変換できる周波数まで分周する。
【0043】
次に、比較器15にて、測定周波数信号fsに対応する電圧と基準周波数信号fkに対応する電圧との電圧差XVを求める。そして、求めた電圧差XVと、基準となる電圧との比較を行う。基準となる電圧とは、例えば、インクの有無の判定基準となる基準電圧KKV、インクのオーバーフローの発生基準となる基準電圧YYVなどであり、予め所定の値を設定してメモリ16などに保持しておく。比較器15は表2に示すようにこれらの比較を行い、比較結果にしたがって、所定のインク有無信号、オーバーフロー信号を出力する。
【0044】
【表2】
測定周波数信号fsに対応する電圧と基準周波数信号fkに対応する電圧との電圧差XVが、インクの有無の判定基準となる基準電圧KKVより小さい場合には、「インクなし」と判断し、インク有無信号として「インクなし」を示す信号(例えば、LOW信号)を出力する。逆に、電圧差XVが基準カウント数KKVと同じかそれより大きい場合には、「インクあり」と判断し、インク有無信号として「インクあり」を示す信号(例えば、HIGH信号)を出力する。同様に、電圧差XVと基準カウント数YYVとを比較して、表2に示すようにオーバーフロー信号を出力する。
【0045】
以上、第1実施例〜第3実施例を用いて説明した本発明に係るインク量検知装置4を、孔版印刷装置に組み込んだ例を図7に示す。
【0046】
図7に於いて、版胴8は印刷インクの通過を許す多孔性構造を有しており、この版胴8の外周には図示しない感熱製版された孔版原紙が巻装される。版胴8の内部には中押しロール1が配設されており、また、この中押しロール1の外周面に対し所定の間隙をおいてインク量制御要素としてドクターロール2が配置されている。インク溜り部3には、図示しないインク供給機構により供給された印刷用インクが、中押しロール1の回転によって「渦」を形成して集められるとともに、中押しロール1とドクターロール2との間の僅かな間隙(ギャップ)から中押しロール1の表面を被膜として伝わり、版胴8の内側に一定量の印刷用インクが供給される。更に、版胴8の内側に供給された印刷用インクは、中押しロール1により押圧されて版胴8を通過し、更に孔版原紙の穿孔部を通過して、図示しない印刷用紙に転移する。
【0047】
インク溜り部3のインク量は、インクセンサ4によって検知され、検知結果に基づいて、インク供給機構からのインク溜り部3へのインク供給量が制御される。つまり、印刷処理により印刷用インクが使用され、インク溜り部3のインク量が減少してインクセンサ針7がインク溜り部3のインクから離れると、インクセンサ針7がインク溜り部3に触れるまで、インク供給機構により印刷用インクが供給される。また、インクセンサ針7により、インク溜り部3のインク量のオーバーフローを確認し、オーバーフロー発生時にはインク供給機構はインクの供給を停止する。
【0048】
次に、従来のインク量検知装置と本発明に係るインク量検知装置とで、実際にインクの検出を行った結果を図8に示す。
【0049】
インクの検出を行うにあたって設定した条件は、図8(c)に示すように、径φ=0.4mmで、長さL=23mmのインクセンサ針7を、中押しロール1とドクターロール2との間のインク溜り3に接触させる。各静電容量1pF〜4pFを検知するために、インクセンサ針7をどれだけインク3に接触させたか、その長さnを求めた。
【0050】
従来のインク量検知装置で行った結果を図8(a)、本発明に係るインク量検知装置で行った結果を図8(b)に示す。それぞれエマルジョン・インクと油性インクの2つのタイプのインクで実験した結果である。
【0051】
従来のインク量検知装置の場合は、例えば、静電容量1pFを検知するために、エマルジョン・インクの場合にはn=3.0mm、油性インクの場合にはn=8.0mm要したのに対して、本発明に係るインク量検知装置によれば、静電容量1pFを検出するために、エマルジョン・インクの場合にはn=0.45mm、油性インクの場合にはn=1.15mmで検知することができた。他の静電容量値でも、本発明の方が従来に比べて遥かに少ない接触度で検知していることが解る。
【0052】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は本実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更を成し得るであろう。
【0053】
例えば、本実施例では、インク量を検知する装置について例を挙げて説明したが、本発明によって検知することができるのはインクのみに限定されず、静電容量を検出することができる液体、気体、粉体またはそれらの混合体などの流体について、その有無、状態や構成の変化などを検知することができる。
【0054】
従って、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲に係わる発明特定事項によってのみ限定されるものでなければならない。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、CR測定発振器から発振される測定周波数信号とCR基準発振器から発振される基準周波数信号を、それぞれ分周器によって2n倍に分周することで、各周波数の測定精度を上げることができ、従来は測定することが難しかった静電容量の微細な変化も測定することができる。
【0056】
また、測定周波数信号と基準周波数信号のそれぞれのパルスを外部発振器の周波数信号を基準にしてカウントし、各々のカウント数の差分を求めるようにすることで、測定の精度が更に向上する。
【0057】
また、本発明によれば、低い静電容量を検知する場合でも、中低周波帯の周波数帯を使用して検出することが可能であり、回路や基板の浮遊容量等の影響を受けて周波数が不安定になってしまうという問題も解決される。
【0058】
また、判定基準となる数値をメモリなどの記憶手段に記憶させて判定を行うようにすることで、数値を適宜変更すれば様々な種類のインク等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインク量検知装置の一実施例を示したブロック図
【図2】RC発振器の基本モデルを表した説明図。
【図3】本発明に係るインク量検知装置を構成するCR測定発振器の回路図。
【図4】本発明に係るインク量検知装置を構成するCR基準発振器の回路図。
【図5】本発明に係るインク量検知装置の第2の実施例を示したブロック図
【図6】本発明に係るインク量検知装置の第3の実施例を示したブロック図
【図7】本発明に係るインク量検知装置を孔版印刷装置に組み込んだ例を示した概略構成図。
【図8】本発明に係るインク量検知装置と従来のインク量検知装置とで検知対象の静電容量を検出した結果を示した説明図。
【図9】従来のインク量検知装置を孔版印刷装置に組み込んだ例を示した概略構成図。
【符号の説明】
1....中押しロール
2....ドクターロール
3....インク溜り
4....インクセンサ
5....インク有無センサ針
6....インク有無センサ針
7....インクセンサ針
8....版胴
11....CR測定発振器
12....CR基準発振器
13a,13b....分周器
14,14a,14b....計数器
15....比較器
16....メモリ
17....外部発振器
18a,18b....F/V(周波数/電圧)変換器
Claims (8)
- 検知対象の流体量に相当する静電容量の変化を検出することで、該流体量を検知する流体検知装置であって、
抵抗と基準容量とを発振時定数として、基準周波数信号を発振する基準発振手段と、
前記基準発振器の抵抗と同等の抵抗と、前記基準容量に相当する容量に前記流体量に相当する静電容量を加算した測定容量とを発振時定数として、測定周波数信号を発振する測定発振手段とを有し、
前記基準周波数信号及び前記測定周波数信号をそれぞれ2n倍分周し、
2n倍分周した前記基準周波数信号と2n倍分周した前記測定周波数信号との差分を求めることで前記流体量に相当する静電容量を検出することを特徴とする流体量検知装置。 - 請求項1に記載の流体量検知装置であって、
外部基準周波数を発振する外部基準発振手段を有し、
前記外部基準周波数を基準に前記2n倍分周した前記基準周波数信号のパルス数を基準パルス数として計数し、
前記外部基準周波数を基準に前記2n倍分周した前記測定周波数信号のパルス数を測定パルス数として計数し、
計数した基準パルス数と測定パルス数との差分を求めることで前記流体量に相当する静電容量を検出することを特徴とする流体量検知装置。 - 請求項1に記載の流体量検知装置であって、
前記基準周波数信号を分周して基準電圧に変換し、前記測定周波数信号を分周して測定電圧に変換し、
変換した前記基準電圧と前記測定電圧との差分を求めることで前記流体量に相当する静電容量を検出することを特徴とする流体量検知装置。 - インク溜り部のインク量に相当する静電容量の変化を検出することで、該インク量を検知するインク量検知装置であって、
抵抗と基準容量とを発振時定数として、基準周波数信号を発振する基準発振手段と、
前記基準発振器の抵抗と同等の抵抗と、前記基準容量に相当する容量に前記インク量に相当する静電容量を加算した測定容量とを発振時定数として、測定周波数信号を発振する測定発振手段とを有し、
前記基準周波数信号及び前記測定周波数信号をそれぞれ2n倍分周し、
2n倍分周した前記基準周波数信号と2n倍分周した前記測定周波数信号との差分を求めることで前記インク量に相当する静電容量を検出することを特徴とするインク量検知装置。 - 請求項4に記載のインク量検知装置であって、
外部基準周波数を発振する外部基準発振手段を有し、
前記外部基準周波数を基準に前記2n倍分周した前記基準周波数信号のパルス数を基準パルス数として計数し、
前記外部基準周波数を基準に前記2n倍分周した前記測定周波数信号のパルス数を測定パルス数として計数し、
計数した基準パルス数と測定パルス数との差分を求めることで前記インク量に相当する静電容量を検出することを特徴とするインク量検知装置。 - 請求項4に記載のインク量検知装置であって、
前記基準周波数信号を分周して基準電圧に変換し、前記測定周波数信号を分周して測定電圧に変換し、
変換した前記基準電圧と前記測定電圧との差分を求めることで前記インク量に相当する静電容量を検出することを特徴とするインク量検知装置。 - 請求項4乃至請求項6に記載のインク量検知装置であって、
インクの有無を判定するインク有無判定基準値を予め設定してメモリに保持し、
このインク有無判定基準値と前記差分との比較によって、前記インクの有無状況を検知することを特徴とするインク量検知装置。 - 請求項4乃至請求項7に記載のインク量検知装置であって、
インクの過剰供給を判定するオーバーフロー判定基準値を予め設定してメモリに保持し、
このオーバーフロー判定基準値と前記差分との比較によって、前記インクの過剰供給を検知することを特徴とするインク量検知装置。
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