JP3708485B2 - 外用組成物 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、魚類由来のコラーゲンを配合した外用組成物の安定性や異臭防止についての手段を提供する発明である。
【０００２】
【従来の技術】
従来、コラーゲンは優れた保湿効果を持つことから化粧剤等の外用組成物に配合されており、また、抗シワ、タルミへの効果もあると言われ、その有効性から外用組成物に応用されている。そして、そのコラーゲンの由来は牛、豚や鶏由来のものが主であった。近年においては、水産加工工程で発生する大量の魚皮よりコラーゲンを抽出する技術の進歩や狂牛病問題などの発生により、魚類由来のコラーゲンの配合が注目されている。一方、化粧剤に代表される外用組成物は製剤の保湿性・抗菌性を保つため、多価アルコールが配合される。１，２−ペンタンジオールや１，３−ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールは優れた保湿性・抗菌性を与え、外用組成物の保湿性や抗菌性に大きく関わっている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コラーゲンは水やアルコールなどの極性溶媒に溶解しようとすると溶解性が低く、白濁・沈殿が起こるためにあまり大量のコラーゲンを配合することができなかった。また、抽出精製の段階で魚油が微量混入し、温度の影響で異臭が発生することもあった。したがって外用組成物内にコラーゲンを配合することは不向きであるという問題があった。そのため、コラーゲンを安定に配合し、異臭などの影響も少ない外用組成物が求められてきた。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記事項に鑑み、鋭意検討した結果、１，２−ペンタンジオール又はへキシレングリコールと、様々な生物のコラーゲンの中で魚類由来のコラーゲンとは相性が優れ、外用組成物において沈殿や白濁が見られず、組成物全体の保湿力や抗菌力が向上され、異臭も防止する安定な外用組成物が得られることを発見し、本発明を完成させるに至った。
【０００５】
すなわち、本発明は、１，２−ペンタンジオール又はへキシレングリコール並びに魚類由来のアテロ化コラーゲンを含有する外用組成物（以下、本発明外用組成物という）を提供する発明である。なお、本発明において、「外用組成物」とは、広く外皮に適用可能な組成物のことを意味するものであり、具体的な製品の化粧料、医薬品、医薬部外品等の薬事法上等の区別を問うものではない。
【０００６】
以下、本発明の構成について詳述する。
【０００７】
本発明で魚類由来のコラーゲンと共に配合する１，２−ペンタンジオールやへキシレングリコールは通常は保湿成分として配合されるとともに、抗菌・防腐成分としても応用されている。公知の方法で製造されたものを本発明外用組成物に配合することができ、また市販のものを用いることができる。
【０００８】
本発明に係わる魚類由来のコラーゲンとは、例えば、以下に示すものが挙げられる。魚類としては、例えば、鮭、金目鯛、平目、鱈、鮪、鮫等の皮または浮袋等を洗浄、脱脂、酸濾過、酵素処理、塩析、透析、熱処理等の手段を経て、水溶性コラーゲン成分を抽出した後、得られるものが挙げられる。これら魚類由来コラーゲンの配合量は特に限定されないが、好ましくは、固形成分として０．００００１％以上、特に０．００１％〜１０％とすると、十分な保湿、シワ改善効果が得られ、保存安定性等に好ましい。０．００００１％未満では十分な効果は望みにくい場合があり、１０％を超えて配合した場合、効果の増強は認められにくく、不経済である。また、１，２−ペンタンジオール又はヘキシレングリコールの配合量も特に限定されないが、好ましくは０．１％〜１０％とすると、十分な保存安定性や防臭効果が得られる。
【０００９】
本発明の外用組成物は上記必須成分の他に、通常の化粧料、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種成分、例えば油性成分、乳化剤、保湿剤、増粘剤、薬効成分、防腐剤、顔料、粉体、ｐＨ調整剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、香料等を適宜配合することができる。
【００１０】
本発明外用組成物の採り得る剤型は特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、たとえば、水溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水、油、粉末等を組み合わせた多層系等、外用組成物全般にわたって本発明を適用することが可能である。
【００１１】
【発明の効果】
本発明は、１，２−ペンタンジオール又はヘキシレングリコールと魚類由来のコラーゲン、好ましくはアテロ化コラーゲンを配合することにより、コラーゲンの溶解性が維持され、異臭が防御された安定な外用組成物である。
【００１２】
【実施例】
表１に示す魚類由来のコラーゲンを様々な割合で配合した製剤を調製し、それらを室温にて保存し、経時的変化を観察した。また、表２には様々な割合で１，２−ペンタンジオールを配合した製剤を調製し、同様に観察を行った。さらに表３と表４には様々な多価アルコールや比較物を添加する。それらを室温にて保存・観察した。また臭いについては上記同様に調製したものを４０℃恒温室にて２週間保存したもので確認した。
なお、溶解安定性の評価には下記の４段階の指標を用いた。
評価点Ａ 評価項目
４：まったく混ざり合っておらず、ニ相に分離している。
３：多くの凝集物が析出し、沈殿している。
２：量は少ないが、凝集物の析出・沈殿が見られる。
１：凝集物の析出は見られず、透明である。
また、異臭防止の評価には下記の４段階の指標を用いた。
評価点Ｂ 評価項目
４：異臭がかなり強く確認される。
３：異臭がはっきり確認される。
２：異臭がわずかにする。
１：異臭はほとんどしない。
なお、各比較試料は、実際に市販、常使されている原料である。
【００１３】
【表１】
調製した製剤

【００１４】
【表２】
調製した製剤

【００１５】
【表３】

【００１６】
【表４】

【００１７】
表１〜表４の結果より、魚類由来コラーゲンに１，２−ペンタンジオールやヘキシレングリコールを配合することにより、外用組成物が安定化でき、異臭を防御できると判断できる。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を、詳細に説明するため実施例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【００１９】
実施例１ 化粧水
配合成分 配合量（重量％）
（１） １，２−ペンタンジオール ５．０
（２） ポリエチレングリコール４００ ２．０
（３） エタノール ５．０
（４） 鮭由来アテロ化コラーゲン（固形成分１％） １０．０
（５） 硬化ヒマシ油ＥＯ（５０）モル付加物 ０．５
（６） 香料 適 量
（７） 防腐剤 適 量
（８） キレート剤 適 量
（９） 精製水 残 余
【００２０】
〔製法〕精製水の一部を取りキレート剤を溶解し、ここに１，２−ペンタンジオールを加え、また、エタノールに防腐剤、界面活性剤、香料を加え、前述の水相に添加し、可溶化した。最後に魚類由来アテロ化コラーゲンを添加混合し、ろ過して、所望する化粧水を得た。
【００２１】
実施例２ ジェル
配合成分 配合量（重量％）
（１） １，２−ペンタンジオール ５．０
（２） カルボキシビニルポリマー ０．３
（３） エタノール ２０．０
（４） 鮭由来アテロ化コラーゲン（固形成分２％） １．０
（５） アミノメチルプロパンジオール ０．１５
（６） 硬化ヒマシ油ＥＯ（４０）モル付加物 ０．５
（７） 香料 適 量
（８） ｐＨ調製剤 適 量
（９） 防腐剤 適 量
（１０）キレート剤 適 量
（１１）精製水 残 余
【００２２】
〔製法〕精製水の一部を取りキレート剤を溶解し、これにカルボキシビニルポリマーを加え撹拌溶解した。さらに１，２−ペンタンジオールを加えた後、また、エタノールに防腐剤、界面活性剤、香料を加え、前述の水相に添加し、可溶化した。さらに、精製水の一部にｐＨ調製剤を溶解し、水相に添加した。残部の精製水に水酸化カリウムを溶解し、中和した。最後に魚類由来アテロ化コラーゲンを添加混合し、所望するジェルを得た。
【００２３】
実施例３ 保湿クリーム
配合成分 配合量（重量％）
（１） スクワラン １０．０
（２） 吸着精製ラノリン ４．５
（３） ワセリン ４．５
（４） ステアリルアルコール ２．５
（５） セタノール ２．５
（６） モノステアリン酸ソルビタン ２．２
（７） ＰＯＥ（２０）セチルエーテル ２．０
（８） 香料 １．０
（９） 鮭由来アテロ化コラーゲン（固形成分１％） ３０．０
（１０）１，２−ペンタンジオール ８．０
（１１）ヒアルロン酸ナトリウム ０．１
（１２）防腐剤 適 量
（１３）ｐＨ調整剤 適 量
（１４）精製水 残 余
【００２４】
〔製法〕（１）〜（８）の油相部の原料および（１０）〜（１２）の水相部の原料をそれぞれ７５℃に加熱し完全溶解した後、油相部を水相部へ混合し乳化、冷却する。４５℃で（９）を添加し、室温まで冷却する。
【００２５】
実施例４ 乳液
配合成分 配合量（重量％）
（１） モノパルミチン酸ソルビタン １．６
（２） ＰＯＥ（２０）モノパルミチン酸ソルビタン １．０
（３） パルミチン酸イソステアリル ５．０
（４） ミリスチン酸イソプロピル ３．０
（５） ラノリン １．５
（６） セタノール １．０
（７） ステアリン酸 １．５
（８） ミツロウ ２．０
（９） パラフィンワックス ２．０
（１０）香料 適 量
（１１）鮭由来アテロ化コラーゲン（固形成分１％） １５．０
（１２）カルボキシビニルポリマー ０．２
（１３）防腐剤 適 量
（１４）ヘキシレングリコール １．０
（１５）アミノメチルプロパンジオール ０．１
（１６）防腐剤 適 量
（１７）ｐＨ調整剤 適 量
（１８）精製水 残 余
【００２６】
〔製法〕（１）〜（１０）の油相部の原料および（１２）〜（１８）の水相部の原料をそれぞれ７５℃に加熱し完全溶解した後、油相部を水相部へ混合し乳化、冷却する。４５℃で（１１）を添加し、室温まで冷却する。
【００２７】
実施例１〜４で調製した本発明品は、１，２−ペンタンジオールやヘキシレングリコールと同時に魚類由来のコラーゲンを配合し、魚由来の異臭が軽減され、安定性が維持される外用組成物であった。

Claims (4)

1. １,２−ペンタンジオール又はヘキシレングリコールと魚類由来のアテロ化コラーゲンを含有することを特徴とする外用組成物
2. アテロ化コラーゲンが鮭由来であることを特徴とする請求項１に記載の外用組成物
3. 魚類由来のアテロ化コラーゲンが固形成分として０．００１％〜１０％配合されることを特徴とする請求項１または２に記載の外用組成物
4. １,２−ペンタンジオール又はヘキシレングリコールが０．１％〜１０％配合されることを特徴とする請求項１乃至３に記載の外用組成物