JP3562781B2 - 抗菌性低刺激化粧料 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、優れた抗菌性を有し、細菌,カビなどの微生物により汚染されることのない、安定で且つ皮膚に対する刺激性の低い化粧料に関する。さらに詳しくは、多価アルコール及び多価アルコールのアルキルエーテルより選んだ1種又は2種以上と、銀杏内種皮の抽出物又は粉砕物を併用してなる抗菌性の高い低刺激化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、化粧水,乳液,クリーム等、水を含有する化粧料においては、製造時及び使用時における細菌,かび等の微生物の混入による変質を防止するため、種々の防腐防黴剤が使用されてきた。かかる防腐剤としては、イソプロピルメチルフェノール,パラオキシ安息香酸エステル,フェノキシエタノール,ヒノキチオール等のフェノール類、安息香酸及びその塩,サリチル酸及びその塩,デヒドロ酢酸及びその塩,ソルビン酸及びその塩などの酸類、塩化ベンザルコニウム,塩化ベンゼトニウム,塩化アルキルトリメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム類、塩酸アルキルアミノエチルグリシン,塩化ステアリルヒドロキシエチルベタインナトリウム等の両性界面活性剤、感光素などが用いられている。
【0003】
しかし、上記の防腐防黴剤には皮膚に対する一次刺激性,感作性或いは光感作性の報告されているものが多く、安全性の面から化粧品原料基準において配合量が規制されており、実際に有効な抗菌活性を示す量を配合できないことが多い。さらに、皮膚に対して発赤,発疹,浮腫といった刺激或いは感作反応を示さなくても、化粧料を使用する際に、刺すような痛みやヒリヒリする感じ又はチクチクする感じといった不快感を与えることも知られている。また、化粧料の基剤や他の配合成分との相互作用により、充分な抗菌活性を示さない場合もある。
【0004】
例えば、イソプロピルメチルフェノール,パラオキシ安息香酸エステル,ソルビン酸等の油溶性防腐防黴剤は、高分子増粘剤や粉体を含む化粧料に配合した場合、吸着等により抗菌活性が低下する。また、界面活性剤を含有する化粧料においては、界面活性剤ミセルへの取り込みによりやはり抗菌活性の低下が見られる。かといって、充分な抗菌活性を期待して多量に配合すると、低温での結晶析出等、製品の安定性上の問題が生じる。
【0005】
また、安息香酸塩,サリチル酸塩,デヒドロ酢酸塩等の水溶性防腐剤は、化粧料のpHが弱酸性でないと有効ではなく、酸性下にて使用する場合であっても、酸性が強くなるに従い水に対する溶解度が低下し、結晶の析出をきたすことがある。
【0006】
さらに、第4級アンモニウム類や両性界面活性剤については、皮膚刺激性,眼粘膜刺激性が認められたり、発泡しやすい,酸性側で抗菌活性が低下する,陰イオン性物質との相互作用などの実使用上の問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明においては、化粧料基剤や他の配合成分により抗菌活性が低下することなく有効な抗菌作用を示し、且つ可能な限り防腐防黴剤の配合量を少なくして、皮膚に対し一次刺激性や感作性を示さないだけではなく、化粧料使用時の刺すような痛みやヒリヒリ感,チクチク感といった不快感をも与えない化粧料を得ることを目的とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、安定性が高く、皮膚に対する刺激性の低い防腐防黴系を検討した結果、多価アルコール及び多価アルコールのアルキルエーテルより選んだ1種又は2種以上と、銀杏内種皮の抽出物又は粉砕物を併用して配合することにより、相乗的に抗菌活性が向上するばかりか、皮膚に対する刺激性や不快感が著しく低減することを見出だし、本発明を完成するに至った。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明においては、通常化粧料原料として使用される多価アルコールであれば用い得るが、特に分子内に4個以下の水酸基を有するものが、相乗的な抗菌活性を得る上で好ましい。例えば、エチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,1,3−ブチレングリコール,3−メチル−1,3−ブタンジオール(イソプロピレングリコール),ヘキシレングリコール,グリセリン,ジグリセリンなどが例示され、これらより、1種又は2種以上を選択して用いる。
【0010】
また、本発明において用いる多価アルコールのアルキルエーテルとしては、グリコール類又はグリセリンのアルキルエーテルが好適に使用でき、とくに、エチレングリコールモノメチルエーテル,エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルエセロソルブ),エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ),エチレングリコールジメチルエーテル,ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトール),ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール),ジエチレングリコールモノブチルエーテル,ジエチレングリコールジメチルエーテル,ジエチレングリコールジエチルエーテル,プロピレングリコールモノメチルエーテル,プロピレングリコールモノエチルエーテル,プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル,ジプロピレングリコールモノメチルエーテル,ジプロピレングリコールモノエチルエーテル,グリセリルモノパルミチルエーテル(キミルアルコール),グリセリルモノステアリルエーテル(バチルアルコール),グリセリルモノオレイルエーテル(セラキルアルコール)等が好ましいものとして例示され、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。
【0011】
これら多価アルコール又は多価アルコールのアルキルエーテルは、単独では5.0重量%以上で抗菌活性を示すが、化粧料のような複雑な系に添加した場合には、十分な抗菌作用が認められないことが多い。しかし、本発明においては相乗的な抗菌活性の増強が認められ、5.0〜10.0重量%程度の配合で十分な抗菌作用を示す。
【0012】
本発明において、多価アルコール又は多価アルコールのアルキルエーテルと併用する銀杏内種皮は、イチョウ(Ginkgo biloba L.)の種子である銀杏の白く硬い殻の部分であり、イチョウの食用部位である胚乳(白果)をとった後は廃棄されてしまう部分である。
【0013】
銀杏内種皮は、乾燥物又は加熱処理したものを粉砕して用いる。銀杏内種皮の抽出物を得る際の溶媒は、特に限定されないが、水,エタノール,1,3−ブチレングリコール,プロピレングリコール,グリセリン,ジグリセリンから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、さらにはエタノール及び含水エタノール抽出物が抗菌作用の点から最も好ましい。抽出の際の銀杏内種皮と溶媒との比率は特に限定されるものではないが、銀杏内種皮1に対して溶媒2〜1000重量倍、特に抽出操作、効率の点で5〜100重量倍が好ましい。
【0014】
なお抽出条件は特に限定されるものではないが、抽出温度は室温−常圧下で、溶剤の沸点以下とするのが好ましい。抽出時間は抽出温度などによって異なるが、2時間〜2週間の範囲とするのが好ましい。
【0015】
また、このようにして得られた銀杏内種皮抽出物は、抽出物をそのまま用いることもでき、また防腐防黴作用を失わない範囲内で脱臭,精製等の操作を加えてから配合することもでき、さらにはカラムクロマトグラフィー等を用いて分画物としてもよい。さらに、これらの抽出物や脱臭,精製物、分画物は、これらから溶媒を除去することによって乾燥物とすることもでき、さらにアルコールなどの溶媒に可溶化した形態、或いは乳剤の形態で提供することができる。化粧料への配合量は、0.01〜10重量%程度の低濃度で充分である。
【0016】
本発明にかかる化粧料としては、クリーム,軟膏,ローション,乳液,固形状,散剤など任意の剤型とすることができ、化粧水,乳液,美容液,保湿クリーム等の基礎化粧料、日焼け止めクリーム,日焼け止めローション,日焼けオイル,カーマインローション等のサンケア商品、ファンデーション,アイライナー,マスカラ,アイカラー,チークカラー,口紅などのメイクアップ化粧料、洗顔料,ボディーシャンプー,ヘアシャンプー等の洗浄料、リンス,トリートメント,ヘアクリーム,ヘアオイル,整髪剤などの毛髪用化粧料、香水、防臭制汗剤等の形態で提供することができる。
【0017】
その際、本発明の効果を損なわない範囲内で、化粧料に一般的に用いられる各種成分、例えば、アボカド油,パーム油,ピーナッツ油,コメヌカ油,ホホバ油,オレンジラフィー油,マカデミアナッツ油,スクワラン,月見草油,セサミ油,サンフラワー油,サフラワー油,キャローラ油,カルナウバワックス,パラフィンワックス,ラノリン,リンゴ酸ジイソステアリル,イソステアリルアルコール,流動パラフィン等の油分、コラーゲン,ヒアルロン酸等の保湿剤、ビタミンA油,レチノール,酢酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン,酪酸リボフラビン等のビタミンB2類、塩酸ピリドキシン等のビタミンB6類、L−アスコルビン酸,L−アスコルビルリン酸マグネシウム,L−アスコルビン酸ナトリウム等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム,D−パントテニルアルコール,パントテニルエチルエーテル,アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール,コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸,ニコチン酸アミド,ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、α−トコフェロール,酢酸トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等のビタミン類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン,2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸,2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム等のベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸,パラアミノ安息香酸エチル,パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等のパラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシ桂皮酸−2−エチルヘキシル,ジパラメトキシ桂皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等のメトキシ桂皮酸誘導体類、サリチル酸オクチル,サリチル酸ミリスチル等のサリチル酸誘導体、ウロカニン酸、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤、グアガム,ローカストビーンガム,カラギーナン,クインスシード,ペクチン,マンナン等の植物系天然多糖類、キサンタンガム,デキストラン,カードラン,ヒアルロン酸等の微生物系天然多糖類、ゼラチン,カゼイン,アルブミン,コラーゲン等の動物系高分子、メチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,カルボキシメチルセルロース等のセルロース系半合成高分子、可溶性デンプン,カルボキシメチルデンプン,メチルデンプン等のデンプン系半合成高分子、アルギン酸プロピレングリコールエステル,アルギン酸塩等のアルギン酸系半合成高分子、ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,カルボキシビニルポリマー,ポリアクリル酸ナトリウム,ポリエチレンオキサイド等の合成高分子、ベントナイト,ラポナイト,コロイダルアルミナ等の無機物系高分子等の水溶性高分子、ジブチルヒドロキシトルエン,ブチルヒドロキシアニソール,没食子酸エステル等の酸化防止剤、高級脂肪酸石鹸,アルキル硫酸エステル塩,ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩,アシルメチルタウリン塩,アルキルエーテルリン酸エステル塩,アシルアミノ酸塩等のアニオン界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム,塩化ジアルキルジメチルアンモニウム,塩化ベンザルコニウム等のカチオン界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン,アルキルアミドジメチルアミノ酢酸ベタイン,2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリンエステル,ポリオキシエチレンソルビタンエステル,ソルビット系オリゴマー型テトラエステル,ソルビット系オリゴマー型ヘキサエステル,ポリエチレングリコールエステル,グリセリン脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル,ショ糖脂肪酸エステル,アルキロールアミド,脂肪酸アミド等のノニオン界面活性剤等の界面活性剤、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩,ポリリン酸ナトリウム,クエン酸,メタリン酸ナトリウム,コハク酸,グルコン酸等の金属イオン封鎖剤、胎盤抽出物,ソウハクヒエキス,グルタチオン,コウジ酸及びその誘導体類,ハイドロキノン配糖体等のハイドロキノン及びその誘導体類等の美白剤、グリチルリチン酸,グリチルレチン酸,アラントイン,アズレン,ヒドロコルチゾン,ε−アミノカプロン酸等の抗炎症剤、アラントインヒドロキシアルミニウム,塩化アルミニウム,タンニン酸,クエン酸,乳酸等の収れん剤、メントール,カンフル等の清涼化剤、塩酸ジフェンヒドラミン,マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン剤、エストラジオール,エストロン,エチニルエストラジオール等の皮脂抑制剤、サリチル酸,レゾルシン等の角質剥離・溶解剤、α−ヒドロキシ酸類等が配合できる。
【0018】
【実施例】
さらに本発明の特徴について、実施例により詳細に説明する。まず、本発明で使用する銀杏内種皮抽出物の製造方法を製造例1〜3に示す。
【0019】
[製造例1]銀杏内種皮抽出物1
乾燥して粉砕した銀杏内種皮30gと98重量%エタノール300mlを混合し、1時間環流する。フィルターで濾過して銀杏内種皮を除去した後、溶媒を留去し、乾固物とする。得られた銀杏種皮抽出物は、20重量%エタノール水溶液300mlに溶解し、銀杏内種皮抽出物1とする。
【0020】
[製造例2]銀杏内種皮抽出物2
加熱処理後粉砕した銀杏内種皮30gを1,3−ブチレングリコール300mlに浸漬する。室温で24時間静置後濾過して、銀杏内種皮抽出物2とする。
【0021】
[製造例3]銀杏内種皮抽出物3
製造例1で調製した銀杏内種皮抽出物1を活性白土を用いて脱色処理し、濾過後溶媒を留去した乾固物を、銀杏内種皮抽出物3とする。
【0022】
[実施例1]化粧水
製法:(1)〜(6)の各成分を順次(7)に添加し、均一に混合して調製する。
【0023】
[実施例2]乳液
製法:まず、(1)〜(6)の油相を混合し、加熱融解して75℃に保つ。一方(7)〜(10)の水相を混合し、加熱溶解して75℃とし、これに前記油相を攪拌しながら添加して乳化する。冷却後40℃にて(11),(12)を添加,混合する。
【0024】
[実施例3]クリーム
製法:(1)〜(7)の油相成分を混合,加熱して75℃とする。一方、(8)〜(10)の水相成分を混合,加熱して75℃とし、これに前記油相を添加して乳化し、冷却後40℃にて(11),(12)を添加する。
【0025】
[実施例4]メイクアップベースクリーム
製法:(10)〜(12)を(4)で混練し、これを(5)〜(7)の水相に添加,混合し、70℃に加熱する。一方、(1)〜(3)の油相成分を混合,加熱して70℃とし、これを前記水相に攪拌しながら添加して乳化する。乳化後冷却して40℃にて(8),(9)を添加する。
【0026】
[実施例5]乳液状ファンデーション
製法:(15)〜(19)の顔料を混合後、粉砕機により粉砕する。(12)を70℃に加熱し、(9)を加えてよく膨潤させ、これにあらかじめ(8)を(10)に分散させたものを加え、さらに(11)を添加し、溶解させる。(1)〜(7)の油相は混合し、加熱融解して80℃とする。前記顔料を水相に攪拌しながら加え、コロイドミルを通して75℃とし、前記油相を攪拌しながら加えて乳化し、冷却後40℃にて(13),(14)を添加する。
【0027】
[実施例6]クリーム状ファンデーション
製法:(13)〜(19)の顔料を混合後、粉砕機により粉砕する。(7)〜(10)を混合,溶解させ、加熱する。(1)〜(6)の油相は混合し、加熱溶解して80℃とする。前記顔料を水相に攪拌しながら加え、コロイドミルを通して75℃とし、前記油相を攪拌しながら加えて乳化し、冷却後40℃にて(11),(12)を添加する。
【0028】
[実施例7]乳化型アイカラー
製法:(5)〜(8)の水相を混合,溶解して加熱し、これにあらかじめ混合,粉砕した(11)及び(12)を添加,分散し、75℃に加熱する。これにあらかじめ混合,加熱して均一とした(1)〜(4)を攪拌しながら添加して乳化し、冷却後(9)及び(10)を添加,混合する。
【0029】
[実施例8]乳化型チークカラー
製法:(11)〜(13)の水相を混合,溶解して加熱し、これにあらかじめ混合,粉砕した(16),(17)を添加,分散し、75℃に加熱する。これにあらかじめ混合,加熱して均一とした(1)〜(10)を攪拌しながら添加して乳化し、冷却後(14),(15)を添加,混合する。
【0030】
[実施例9]乳化型アイライナー
製法:(1)〜(4)の油相成分を混合・加熱して溶解させる。これに(5)〜(8)の水相を混合,加熱し、攪拌しながら加えて乳化する。次いで、この乳化物に(11)〜(13)を加え、コロイドミルを通して分散させた後冷却し、40℃にて(9),(10)を加える。
【0031】
[実施例10]水性懸濁型マスカラ
製法;(9)に(2)〜(5)を添加して溶解させ、次いで(6)〜(8)を添加し、コロイドミルを通して分散させる。これに(1)を加え、均一に分散させる。
【0032】
[実施例11]クレンジングジェル
製法;(3),(7)を(11)に添加し均一とした後、(1)及び(2)に(4)〜(6)を溶解させて加え、70℃に加熱して均一に溶解させる。次いで冷却して40℃にて(9),(10)を添加し、最後に(8)を加えて中和する。
【0033】
[実施例12]ヘアリンス
製法;(9)と(5)を70℃に加熱する。一方(1)〜(4)を混合,溶解し、70℃に加熱する。この油相を攪拌しながら先に調製した水相に徐々に加えて予備乳化し、ホモミキサーを加えて均一とした後冷却し、40℃にて(6)〜(8)を添加する。
【0034】
[実施例13]ヘアトリートメント
製法:(1)〜(7)の油相成分を混合,加熱して80℃とする。一方、(8)〜(10)の水相成分を混合,加熱して85℃とし、これに前記油相を添加して乳化し、冷却後40℃にて(11)及び(12)を添加する。
【0035】
[実施例14]洗顔料
製法:(1)〜(6)の油相及び(7)〜(9)の水相をそれぞれ75℃に混合加熱溶解した後、油相に水相を加えてケン化する。冷却後40℃で(10)及び(11)を添加して混合する。
【0036】
[実施例15]ボディシャンプー
製法:(1)〜(3)の油相及び(4)〜(6)の水相をそれぞれ75℃に混合加熱溶解した後、油相に水相を加えてケン化する。冷却後40℃で(7)及び(8)を添加して混合する。
【0037】
次に、上記の実施例1〜15について、抗菌活性,皮膚刺激性及び使用時の不快感について評価を行った。同時に表1に示す比較例についても同様に抗菌活性の評価を行った。
【0038】
【表1】
【0039】
(1)抗菌活性の評価 細菌として大腸菌(Escherichia coli),黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus),緑濃菌(Pseudomonas aeruginosa),及びアクネ菌(Propionibacterium acnes)を、真菌としてカンジダ(Candida albicans),黒カビ(Aspergillus niger),及びフケ菌(Pityrosporum ovale)を用い、試料1g当たり細菌は106個,真菌は105個を植菌し、37℃及び25℃でそれぞれ培養して、2週間後の生菌数を測定した。なお、抗菌活性は2週間後に、細菌については死滅した場合、真菌については生菌数が1/1000以下となった場合に合格であると判断した。なお抗菌力試験結果は、表2及び表3において合格したものを「○」、不合格のものを「×」として示した。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
表2において明らかなように、本発明の実施例においては、いずれも細菌及び真菌の双方に対して十分な抗菌活性が認められていた。これに対し表3に示した通り、銀杏内種皮抽出物のみを含有する比較例2,5,7,9,11,13及び15においては、ほとんどの試験菌に対して抗菌活性が認められていなかった。また、多価アルコール及び多価アルコールのアルキルエーテルを相当量含有する比較例1,3,4,6,8,10,12及び14においても、一部の試験菌に対し合格基準を満たしていなかった。
【0043】
(2)皮膚刺激性の評価 各実施例について、男性パネラー30名を用いて、48時間閉塞貼付試験を行い、表4に示す判定基準により評価し、30名の皮膚刺激指数の平均値を求めた。なお、実施例11から実施例15については、1.0重量%水溶液を試験に用いた。
【0044】
【表4】
【0045】
(3)使用時の不快感の評価 女性パネラー20名を1群とし、各群に各実施例をそれぞれ使用させ、塗布後30秒から1分間の間に感じる刺すような痛み,ヒリヒリ感,チクチク感といった不快感について評価させた。評価結果は、「非常に強く感じる;5点」,「やや強く感じる;4点」,「感じる;3点」,「少し感じる;2点」,「微妙に感じる;1点」,「感じない;0点」として評価し、20名の平均値にて示した。この際にも、実施例11から実施例15については、1.0重量%水溶液を試験に用いた。以上の結果を表5にまとめて示した。
【0046】
【表5】
【0047】
表5において、本発明の実施例については、いずれにおいても皮膚刺激性は認められておらず、使用時の不快感も微妙に感じられる程度である。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明により、抗菌作用が相乗的に強化され、しかも皮膚刺激性のみならず、使用時の刺すような痛み,ヒリヒリ感,チクチク感といった不快感もほとんど感じられない抗菌性化粧料を得ることができた。
【発明の属する技術分野】
この発明は、優れた抗菌性を有し、細菌,カビなどの微生物により汚染されることのない、安定で且つ皮膚に対する刺激性の低い化粧料に関する。さらに詳しくは、多価アルコール及び多価アルコールのアルキルエーテルより選んだ1種又は2種以上と、銀杏内種皮の抽出物又は粉砕物を併用してなる抗菌性の高い低刺激化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、化粧水,乳液,クリーム等、水を含有する化粧料においては、製造時及び使用時における細菌,かび等の微生物の混入による変質を防止するため、種々の防腐防黴剤が使用されてきた。かかる防腐剤としては、イソプロピルメチルフェノール,パラオキシ安息香酸エステル,フェノキシエタノール,ヒノキチオール等のフェノール類、安息香酸及びその塩,サリチル酸及びその塩,デヒドロ酢酸及びその塩,ソルビン酸及びその塩などの酸類、塩化ベンザルコニウム,塩化ベンゼトニウム,塩化アルキルトリメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム類、塩酸アルキルアミノエチルグリシン,塩化ステアリルヒドロキシエチルベタインナトリウム等の両性界面活性剤、感光素などが用いられている。
【0003】
しかし、上記の防腐防黴剤には皮膚に対する一次刺激性,感作性或いは光感作性の報告されているものが多く、安全性の面から化粧品原料基準において配合量が規制されており、実際に有効な抗菌活性を示す量を配合できないことが多い。さらに、皮膚に対して発赤,発疹,浮腫といった刺激或いは感作反応を示さなくても、化粧料を使用する際に、刺すような痛みやヒリヒリする感じ又はチクチクする感じといった不快感を与えることも知られている。また、化粧料の基剤や他の配合成分との相互作用により、充分な抗菌活性を示さない場合もある。
【0004】
例えば、イソプロピルメチルフェノール,パラオキシ安息香酸エステル,ソルビン酸等の油溶性防腐防黴剤は、高分子増粘剤や粉体を含む化粧料に配合した場合、吸着等により抗菌活性が低下する。また、界面活性剤を含有する化粧料においては、界面活性剤ミセルへの取り込みによりやはり抗菌活性の低下が見られる。かといって、充分な抗菌活性を期待して多量に配合すると、低温での結晶析出等、製品の安定性上の問題が生じる。
【0005】
また、安息香酸塩,サリチル酸塩,デヒドロ酢酸塩等の水溶性防腐剤は、化粧料のpHが弱酸性でないと有効ではなく、酸性下にて使用する場合であっても、酸性が強くなるに従い水に対する溶解度が低下し、結晶の析出をきたすことがある。
【0006】
さらに、第4級アンモニウム類や両性界面活性剤については、皮膚刺激性,眼粘膜刺激性が認められたり、発泡しやすい,酸性側で抗菌活性が低下する,陰イオン性物質との相互作用などの実使用上の問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明においては、化粧料基剤や他の配合成分により抗菌活性が低下することなく有効な抗菌作用を示し、且つ可能な限り防腐防黴剤の配合量を少なくして、皮膚に対し一次刺激性や感作性を示さないだけではなく、化粧料使用時の刺すような痛みやヒリヒリ感,チクチク感といった不快感をも与えない化粧料を得ることを目的とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、安定性が高く、皮膚に対する刺激性の低い防腐防黴系を検討した結果、多価アルコール及び多価アルコールのアルキルエーテルより選んだ1種又は2種以上と、銀杏内種皮の抽出物又は粉砕物を併用して配合することにより、相乗的に抗菌活性が向上するばかりか、皮膚に対する刺激性や不快感が著しく低減することを見出だし、本発明を完成するに至った。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明においては、通常化粧料原料として使用される多価アルコールであれば用い得るが、特に分子内に4個以下の水酸基を有するものが、相乗的な抗菌活性を得る上で好ましい。例えば、エチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,1,3−ブチレングリコール,3−メチル−1,3−ブタンジオール(イソプロピレングリコール),ヘキシレングリコール,グリセリン,ジグリセリンなどが例示され、これらより、1種又は2種以上を選択して用いる。
【0010】
また、本発明において用いる多価アルコールのアルキルエーテルとしては、グリコール類又はグリセリンのアルキルエーテルが好適に使用でき、とくに、エチレングリコールモノメチルエーテル,エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルエセロソルブ),エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ),エチレングリコールジメチルエーテル,ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトール),ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール),ジエチレングリコールモノブチルエーテル,ジエチレングリコールジメチルエーテル,ジエチレングリコールジエチルエーテル,プロピレングリコールモノメチルエーテル,プロピレングリコールモノエチルエーテル,プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル,ジプロピレングリコールモノメチルエーテル,ジプロピレングリコールモノエチルエーテル,グリセリルモノパルミチルエーテル(キミルアルコール),グリセリルモノステアリルエーテル(バチルアルコール),グリセリルモノオレイルエーテル(セラキルアルコール)等が好ましいものとして例示され、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。
【0011】
これら多価アルコール又は多価アルコールのアルキルエーテルは、単独では5.0重量%以上で抗菌活性を示すが、化粧料のような複雑な系に添加した場合には、十分な抗菌作用が認められないことが多い。しかし、本発明においては相乗的な抗菌活性の増強が認められ、5.0〜10.0重量%程度の配合で十分な抗菌作用を示す。
【0012】
本発明において、多価アルコール又は多価アルコールのアルキルエーテルと併用する銀杏内種皮は、イチョウ(Ginkgo biloba L.)の種子である銀杏の白く硬い殻の部分であり、イチョウの食用部位である胚乳(白果)をとった後は廃棄されてしまう部分である。
【0013】
銀杏内種皮は、乾燥物又は加熱処理したものを粉砕して用いる。銀杏内種皮の抽出物を得る際の溶媒は、特に限定されないが、水,エタノール,1,3−ブチレングリコール,プロピレングリコール,グリセリン,ジグリセリンから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、さらにはエタノール及び含水エタノール抽出物が抗菌作用の点から最も好ましい。抽出の際の銀杏内種皮と溶媒との比率は特に限定されるものではないが、銀杏内種皮1に対して溶媒2〜1000重量倍、特に抽出操作、効率の点で5〜100重量倍が好ましい。
【0014】
なお抽出条件は特に限定されるものではないが、抽出温度は室温−常圧下で、溶剤の沸点以下とするのが好ましい。抽出時間は抽出温度などによって異なるが、2時間〜2週間の範囲とするのが好ましい。
【0015】
また、このようにして得られた銀杏内種皮抽出物は、抽出物をそのまま用いることもでき、また防腐防黴作用を失わない範囲内で脱臭,精製等の操作を加えてから配合することもでき、さらにはカラムクロマトグラフィー等を用いて分画物としてもよい。さらに、これらの抽出物や脱臭,精製物、分画物は、これらから溶媒を除去することによって乾燥物とすることもでき、さらにアルコールなどの溶媒に可溶化した形態、或いは乳剤の形態で提供することができる。化粧料への配合量は、0.01〜10重量%程度の低濃度で充分である。
【0016】
本発明にかかる化粧料としては、クリーム,軟膏,ローション,乳液,固形状,散剤など任意の剤型とすることができ、化粧水,乳液,美容液,保湿クリーム等の基礎化粧料、日焼け止めクリーム,日焼け止めローション,日焼けオイル,カーマインローション等のサンケア商品、ファンデーション,アイライナー,マスカラ,アイカラー,チークカラー,口紅などのメイクアップ化粧料、洗顔料,ボディーシャンプー,ヘアシャンプー等の洗浄料、リンス,トリートメント,ヘアクリーム,ヘアオイル,整髪剤などの毛髪用化粧料、香水、防臭制汗剤等の形態で提供することができる。
【0017】
その際、本発明の効果を損なわない範囲内で、化粧料に一般的に用いられる各種成分、例えば、アボカド油,パーム油,ピーナッツ油,コメヌカ油,ホホバ油,オレンジラフィー油,マカデミアナッツ油,スクワラン,月見草油,セサミ油,サンフラワー油,サフラワー油,キャローラ油,カルナウバワックス,パラフィンワックス,ラノリン,リンゴ酸ジイソステアリル,イソステアリルアルコール,流動パラフィン等の油分、コラーゲン,ヒアルロン酸等の保湿剤、ビタミンA油,レチノール,酢酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン,酪酸リボフラビン等のビタミンB2類、塩酸ピリドキシン等のビタミンB6類、L−アスコルビン酸,L−アスコルビルリン酸マグネシウム,L−アスコルビン酸ナトリウム等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム,D−パントテニルアルコール,パントテニルエチルエーテル,アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール,コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸,ニコチン酸アミド,ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、α−トコフェロール,酢酸トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等のビタミン類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン,2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸,2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム等のベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸,パラアミノ安息香酸エチル,パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等のパラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシ桂皮酸−2−エチルヘキシル,ジパラメトキシ桂皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等のメトキシ桂皮酸誘導体類、サリチル酸オクチル,サリチル酸ミリスチル等のサリチル酸誘導体、ウロカニン酸、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤、グアガム,ローカストビーンガム,カラギーナン,クインスシード,ペクチン,マンナン等の植物系天然多糖類、キサンタンガム,デキストラン,カードラン,ヒアルロン酸等の微生物系天然多糖類、ゼラチン,カゼイン,アルブミン,コラーゲン等の動物系高分子、メチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,カルボキシメチルセルロース等のセルロース系半合成高分子、可溶性デンプン,カルボキシメチルデンプン,メチルデンプン等のデンプン系半合成高分子、アルギン酸プロピレングリコールエステル,アルギン酸塩等のアルギン酸系半合成高分子、ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,カルボキシビニルポリマー,ポリアクリル酸ナトリウム,ポリエチレンオキサイド等の合成高分子、ベントナイト,ラポナイト,コロイダルアルミナ等の無機物系高分子等の水溶性高分子、ジブチルヒドロキシトルエン,ブチルヒドロキシアニソール,没食子酸エステル等の酸化防止剤、高級脂肪酸石鹸,アルキル硫酸エステル塩,ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩,アシルメチルタウリン塩,アルキルエーテルリン酸エステル塩,アシルアミノ酸塩等のアニオン界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム,塩化ジアルキルジメチルアンモニウム,塩化ベンザルコニウム等のカチオン界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン,アルキルアミドジメチルアミノ酢酸ベタイン,2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリンエステル,ポリオキシエチレンソルビタンエステル,ソルビット系オリゴマー型テトラエステル,ソルビット系オリゴマー型ヘキサエステル,ポリエチレングリコールエステル,グリセリン脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル,ショ糖脂肪酸エステル,アルキロールアミド,脂肪酸アミド等のノニオン界面活性剤等の界面活性剤、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩,ポリリン酸ナトリウム,クエン酸,メタリン酸ナトリウム,コハク酸,グルコン酸等の金属イオン封鎖剤、胎盤抽出物,ソウハクヒエキス,グルタチオン,コウジ酸及びその誘導体類,ハイドロキノン配糖体等のハイドロキノン及びその誘導体類等の美白剤、グリチルリチン酸,グリチルレチン酸,アラントイン,アズレン,ヒドロコルチゾン,ε−アミノカプロン酸等の抗炎症剤、アラントインヒドロキシアルミニウム,塩化アルミニウム,タンニン酸,クエン酸,乳酸等の収れん剤、メントール,カンフル等の清涼化剤、塩酸ジフェンヒドラミン,マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン剤、エストラジオール,エストロン,エチニルエストラジオール等の皮脂抑制剤、サリチル酸,レゾルシン等の角質剥離・溶解剤、α−ヒドロキシ酸類等が配合できる。
【0018】
【実施例】
さらに本発明の特徴について、実施例により詳細に説明する。まず、本発明で使用する銀杏内種皮抽出物の製造方法を製造例1〜3に示す。
【0019】
[製造例1]銀杏内種皮抽出物1
乾燥して粉砕した銀杏内種皮30gと98重量%エタノール300mlを混合し、1時間環流する。フィルターで濾過して銀杏内種皮を除去した後、溶媒を留去し、乾固物とする。得られた銀杏種皮抽出物は、20重量%エタノール水溶液300mlに溶解し、銀杏内種皮抽出物1とする。
【0020】
[製造例2]銀杏内種皮抽出物2
加熱処理後粉砕した銀杏内種皮30gを1,3−ブチレングリコール300mlに浸漬する。室温で24時間静置後濾過して、銀杏内種皮抽出物2とする。
【0021】
[製造例3]銀杏内種皮抽出物3
製造例1で調製した銀杏内種皮抽出物1を活性白土を用いて脱色処理し、濾過後溶媒を留去した乾固物を、銀杏内種皮抽出物3とする。
【0022】
[実施例1]化粧水
製法:(1)〜(6)の各成分を順次(7)に添加し、均一に混合して調製する。
【0023】
[実施例2]乳液
製法:まず、(1)〜(6)の油相を混合し、加熱融解して75℃に保つ。一方(7)〜(10)の水相を混合し、加熱溶解して75℃とし、これに前記油相を攪拌しながら添加して乳化する。冷却後40℃にて(11),(12)を添加,混合する。
【0024】
[実施例3]クリーム
製法:(1)〜(7)の油相成分を混合,加熱して75℃とする。一方、(8)〜(10)の水相成分を混合,加熱して75℃とし、これに前記油相を添加して乳化し、冷却後40℃にて(11),(12)を添加する。
【0025】
[実施例4]メイクアップベースクリーム
製法:(10)〜(12)を(4)で混練し、これを(5)〜(7)の水相に添加,混合し、70℃に加熱する。一方、(1)〜(3)の油相成分を混合,加熱して70℃とし、これを前記水相に攪拌しながら添加して乳化する。乳化後冷却して40℃にて(8),(9)を添加する。
【0026】
[実施例5]乳液状ファンデーション
製法:(15)〜(19)の顔料を混合後、粉砕機により粉砕する。(12)を70℃に加熱し、(9)を加えてよく膨潤させ、これにあらかじめ(8)を(10)に分散させたものを加え、さらに(11)を添加し、溶解させる。(1)〜(7)の油相は混合し、加熱融解して80℃とする。前記顔料を水相に攪拌しながら加え、コロイドミルを通して75℃とし、前記油相を攪拌しながら加えて乳化し、冷却後40℃にて(13),(14)を添加する。
【0027】
[実施例6]クリーム状ファンデーション
製法:(13)〜(19)の顔料を混合後、粉砕機により粉砕する。(7)〜(10)を混合,溶解させ、加熱する。(1)〜(6)の油相は混合し、加熱溶解して80℃とする。前記顔料を水相に攪拌しながら加え、コロイドミルを通して75℃とし、前記油相を攪拌しながら加えて乳化し、冷却後40℃にて(11),(12)を添加する。
【0028】
[実施例7]乳化型アイカラー
製法:(5)〜(8)の水相を混合,溶解して加熱し、これにあらかじめ混合,粉砕した(11)及び(12)を添加,分散し、75℃に加熱する。これにあらかじめ混合,加熱して均一とした(1)〜(4)を攪拌しながら添加して乳化し、冷却後(9)及び(10)を添加,混合する。
【0029】
[実施例8]乳化型チークカラー
製法:(11)〜(13)の水相を混合,溶解して加熱し、これにあらかじめ混合,粉砕した(16),(17)を添加,分散し、75℃に加熱する。これにあらかじめ混合,加熱して均一とした(1)〜(10)を攪拌しながら添加して乳化し、冷却後(14),(15)を添加,混合する。
【0030】
[実施例9]乳化型アイライナー
製法:(1)〜(4)の油相成分を混合・加熱して溶解させる。これに(5)〜(8)の水相を混合,加熱し、攪拌しながら加えて乳化する。次いで、この乳化物に(11)〜(13)を加え、コロイドミルを通して分散させた後冷却し、40℃にて(9),(10)を加える。
【0031】
[実施例10]水性懸濁型マスカラ
製法;(9)に(2)〜(5)を添加して溶解させ、次いで(6)〜(8)を添加し、コロイドミルを通して分散させる。これに(1)を加え、均一に分散させる。
【0032】
[実施例11]クレンジングジェル
製法;(3),(7)を(11)に添加し均一とした後、(1)及び(2)に(4)〜(6)を溶解させて加え、70℃に加熱して均一に溶解させる。次いで冷却して40℃にて(9),(10)を添加し、最後に(8)を加えて中和する。
【0033】
[実施例12]ヘアリンス
製法;(9)と(5)を70℃に加熱する。一方(1)〜(4)を混合,溶解し、70℃に加熱する。この油相を攪拌しながら先に調製した水相に徐々に加えて予備乳化し、ホモミキサーを加えて均一とした後冷却し、40℃にて(6)〜(8)を添加する。
【0034】
[実施例13]ヘアトリートメント
製法:(1)〜(7)の油相成分を混合,加熱して80℃とする。一方、(8)〜(10)の水相成分を混合,加熱して85℃とし、これに前記油相を添加して乳化し、冷却後40℃にて(11)及び(12)を添加する。
【0035】
[実施例14]洗顔料
製法:(1)〜(6)の油相及び(7)〜(9)の水相をそれぞれ75℃に混合加熱溶解した後、油相に水相を加えてケン化する。冷却後40℃で(10)及び(11)を添加して混合する。
【0036】
[実施例15]ボディシャンプー
製法:(1)〜(3)の油相及び(4)〜(6)の水相をそれぞれ75℃に混合加熱溶解した後、油相に水相を加えてケン化する。冷却後40℃で(7)及び(8)を添加して混合する。
【0037】
次に、上記の実施例1〜15について、抗菌活性,皮膚刺激性及び使用時の不快感について評価を行った。同時に表1に示す比較例についても同様に抗菌活性の評価を行った。
【0038】
【表1】
【0039】
(1)抗菌活性の評価 細菌として大腸菌(Escherichia coli),黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus),緑濃菌(Pseudomonas aeruginosa),及びアクネ菌(Propionibacterium acnes)を、真菌としてカンジダ(Candida albicans),黒カビ(Aspergillus niger),及びフケ菌(Pityrosporum ovale)を用い、試料1g当たり細菌は106個,真菌は105個を植菌し、37℃及び25℃でそれぞれ培養して、2週間後の生菌数を測定した。なお、抗菌活性は2週間後に、細菌については死滅した場合、真菌については生菌数が1/1000以下となった場合に合格であると判断した。なお抗菌力試験結果は、表2及び表3において合格したものを「○」、不合格のものを「×」として示した。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
表2において明らかなように、本発明の実施例においては、いずれも細菌及び真菌の双方に対して十分な抗菌活性が認められていた。これに対し表3に示した通り、銀杏内種皮抽出物のみを含有する比較例2,5,7,9,11,13及び15においては、ほとんどの試験菌に対して抗菌活性が認められていなかった。また、多価アルコール及び多価アルコールのアルキルエーテルを相当量含有する比較例1,3,4,6,8,10,12及び14においても、一部の試験菌に対し合格基準を満たしていなかった。
【0043】
(2)皮膚刺激性の評価 各実施例について、男性パネラー30名を用いて、48時間閉塞貼付試験を行い、表4に示す判定基準により評価し、30名の皮膚刺激指数の平均値を求めた。なお、実施例11から実施例15については、1.0重量%水溶液を試験に用いた。
【0044】
【表4】
【0045】
(3)使用時の不快感の評価 女性パネラー20名を1群とし、各群に各実施例をそれぞれ使用させ、塗布後30秒から1分間の間に感じる刺すような痛み,ヒリヒリ感,チクチク感といった不快感について評価させた。評価結果は、「非常に強く感じる;5点」,「やや強く感じる;4点」,「感じる;3点」,「少し感じる;2点」,「微妙に感じる;1点」,「感じない;0点」として評価し、20名の平均値にて示した。この際にも、実施例11から実施例15については、1.0重量%水溶液を試験に用いた。以上の結果を表5にまとめて示した。
【0046】
【表5】
【0047】
表5において、本発明の実施例については、いずれにおいても皮膚刺激性は認められておらず、使用時の不快感も微妙に感じられる程度である。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明により、抗菌作用が相乗的に強化され、しかも皮膚刺激性のみならず、使用時の刺すような痛み,ヒリヒリ感,チクチク感といった不快感もほとんど感じられない抗菌性化粧料を得ることができた。
Claims (5)
- 多価アルコール及び多価アルコールのアルキルエーテルより選ばれる1種又は2種以上と、銀杏内種皮の抽出物又は粉砕物を併用することを特徴とする、抗菌性低刺激化粧料。
- 多価アルコールの1種又は2種以上が、分子内に4個以下の水酸基を有するものから選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の抗菌性低刺激化粧料。
- 多価アルコールのアルキルエーテルの1種又は2種以上が、エチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコールのモノ及びジアルキルエーテル、プロピレングリコール,ジプロピレングリコールのモノ及びジアルキルエーテル、グリセリンのモノ,ジ及びトリアルキルエーテルより選ばれることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の抗菌性低刺激化粧料。
- 銀杏内種皮の抽出物が極性溶媒抽出物であることを特徴とする、請求項1〜請求項3の1項に記載の抗菌性低刺激化粧料。
- 銀杏内種皮の抽出物がエタノール抽出物であることを特徴とする、請求項1〜請求項4の1項に記載の抗菌性低刺激化粧料。
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