JP3708480B2 - 内視鏡用鉗子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、経内視鏡的に体腔内に挿入されて患部組織を処置する内視鏡用鉗子に関する。
【0002】
【従来の技術】
経内視鏡的に体腔内に挿入されて患部組織を処置する内視鏡用鉗子は、例えばUSP5342391号に開示されているように、固定ハンドルと可動ハンドルとからなる操作部と、操作部に連結され且つ経内視鏡的に体腔内に挿入可能な挿入部と、挿入部の先端側に設けられた処置部と、挿入部内に進退可能に挿通され且つ操作部と処置部とを連結する操作棒とを備えている。操作棒は、その基端に形成された係合部が可動ハンドルと係合することにより操作部に連結され、可動ハンドルの動作に応じて挿入部内を進退して処置部を動作させる。
【0003】
操作棒の基端に形成された前記係合部は、その外径が操作棒の外径と略同一に設定(操作棒を球部とともに挿入部内に挿通して組み立てるため、球部は挿入部内に挿通できるよう操作棒の外径と略同一に設定される必要がある)された球部と、球部を操作棒に接続する首部とからなる。そして、係合部は、可動ハンドルに形成されたスロットに首部が引掛けられることによって球部が可動ハンドル内のブラインド孔内に係合されると、可動ハンドルに対して連結される。また、可動ハンドルの移動範囲は板バネとフックとの係合によって制限されており、これによって、操作棒が使用時に操作部から外れてしまうことが防止される。なお、操作棒を操作部から取り外す場合には、板バネとフックの係合を解除して可動ハンドルの移動範囲を拡大し、係合部と可動ハンドルとの係合状態を解除する。
【0004】
また、EP0484671 B1に開示された内視鏡用鉗子では、操作棒の基端に角型の溝が形成され、この溝に引掛けられる引掛部が形成された2つの円盤によって操作棒が両側から挟持される。そして、可動ハンドルの側面に形成された円形孔に前記円盤が嵌合される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、USP5342391号に開示された内視鏡用鉗子では、係合部の球部の外径を挿入部の内径以上に大きくすることができない。したがって、ハンドルから伝達可能な操作力が制約を受ける(球部の外径が大きければ大きいほど、大きな操作力が処置部に伝達される)。一方、大きな伝達力を得るために球部の外径を大きくすると、挿入部の内径を大きくしなければならない。したがって、挿入部の肉厚が薄くなり、挿入部の強度が低下してしまう。また、首部の径が球部の径に比べて小さいため、伝達可能な操作力が制約を受ける(球部の径に対する首部の径の比の値が一定の値以下でなければ、力を上手く伝えられない)。
【0006】
また、EP0484671 B1では、可動ハンドルの傾斜の変化が係合部と可動ハンドルとの係合に影響を与えないための機構が必要になる。したがって、機構が複雑となる。
【0007】
本発明は前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、挿入部の強度を低下させることなく操作力の伝達効率を向上させることができる構造が簡単な内視鏡用鉗子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するために、本発明に係る内視鏡用鉗子は、生体内に挿入される挿入部と、前記挿入部の先端部に配設された開閉可能な一対のジョーと、前記挿入部の基端部に連結された操作部と、前記挿入部内に進退可能に挿通され且つ前記操作部によって進退動作し、前記ジョーに前記操作部からの力を伝達するための操作軸と、前記一対のジョーを回動自在に支持する共通の枢支軸と、前記枢支軸の先端側および基端側であって前記一対のジョーの部位にそれぞれ設けられた、前記操作部の操作に伴う前記操作軸の進退動作に応じて作動して前記一対のジョーを開閉動作させるカム機構とを有することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1〜図25は本発明の第1の実施形態を示している。図1に示すように、本実施形態に係る内視鏡用鉗子1は、その機能上、挿入部2(経内視鏡的に体内に挿入可能)と操作部3の2つに分けられる。挿入部2の先端側には先端作用部(鉗子部)4が位置されている。また、内視鏡用鉗子1は、図2に示されるジョーユニット5と、図3に示されるシースユニット6と、図4に示されるハンドルユニット7とにそれぞれ分解可能となっている。
【0011】
図2に示されるように、ジョーユニット5は、作用部材としての一対のジョー21,22を有する先端作用部4と、ジョー21,22を保持する保持部9と、操作部3からの力をジョー21,22に伝達する軸部10と、操作部3に係合される係合部11とからなる。
【0012】
図3に示されるように、シースユニット6は、体腔内に挿入されるシース部12と、先端作用部4の向きを変えるために指で操作されるノブ部13と、シースユニット6内でのジョーユニット5の回転を規制する回転係止部材14とからなる。
【0013】
図4に示されるように、ハンドルユニット7は、シースユニット6に連結される固定ハンドル15と、ジョーユニット5の係合部11が連結される可動ハンドル17とからなる。可動ハンドル17は、枢支軸18を介して固定ハンドル15に回動可能に取り付けられている。固定ハンドル15の上端部には、シースユニット6に着脱自在に接続される接続部材16と、高周波通電用のコードが取り付けられる電気接続プラグ19と、シースユニット6とハンドルユニット7との間の気密を保つシールキャップ20とが設けられている。この場合、図8に詳しく示されるように、接続部材16は、電気接続プラグ19によって、固定ハンドル15に固定されている。
【0014】
図5は内視鏡用鉗子1の先端側の断面を示している。図示のように、ジョーユニット5において、保持部材24は先端側に延びる一対のアーム部24a,24aを有している。また、一対のジョー21,22は、枢支軸23を介して保持部材24のアーム部24a,24aに回動自在に取り付けられている。この場合、枢支軸23は、アーム部24a,24aに形成された軸孔24bに固定されている。また、保持部材24の基端部には、雄側バヨネットを形成する係合突起24cが設けられている。
【0015】
保持部材24内には駆動部材25が挿通配置されている。駆動部材25は、保持部材24内を通って基端側へ延在する円筒状の接続部25aを有している。接続部25aの基端には操作棒26が接続されている。操作棒26は、シースユニット6の内部を通ってハンドルユニット7に接続される。
【0016】
図5および図7に示すように、シースユニット6のシース部12は、主管27と、主管27の先端側に嵌着された補強管28と、主管27および補強管28の外周に被覆された電気絶縁性のチューブ29とからなる。なお、チューブ29は例えばテフロンによって形成される。また、補強管28の先端部には、チューブ29の先端面に対して前方側から当接するフランジ部28aが形成されている。このフランジ部28aは、シース部12の先端を補強して落下や衝突に対して対抗するとともに、チューブ29の先端の位置決め部材として機能する。
【0017】
図7に詳しく示すように、主管27の先端側には、外径縮径部27fと内径拡径部27gとが形成されている。内径拡径部27gの内面には、雌側バヨネットを形成するL字型の一対の係合溝27a,27aが設けられている。これらの係合溝27a,27aは、軸方向に延びて主管27の先端面27dで開放される縦溝27bと周方向に延びる横溝27cとからなり、図5、図6(図5のA−A線に沿う断面図)、図16に示すように、保持部材24の係合突起24cが係合できるように形成されている。なお、組み立てられた図5(図17)の状態では、図21(図17のD−D線に沿う断面図)に示されるように、係合突起24cは、時計回りに回動されて横溝27cの終端に突き当てられている。また、主管27の先端面27dには、係合部突起24cを係合溝27a内に案内するガイド面27eが形成されている(図16参照)。
【0018】
図8に示されるように、主管27の基端部には回転係止部材14が接続固定されている。主管27と回転係止部材14との接続方法としては、溶接、ロウ付け、半田付け、接着等を挙げることができる。回転係止部材14の基端部は二股状に延びており、その二股に延びる各部の端部は、互いに平行に対向する板バネ状の平面(以下、回転係止部14aという)を形成している。なお、回転係止部材14には、主管27に嵌合される嵌合孔14cと、その内径が嵌合孔14cの内径よりも小さく設定された通孔14dと、固定ハンドル15に固定された接続部材16に突き当てられるフランジ部14bとが設けられている。また、回転係止部材14には、フランジ部14bに隣接してシールリング32が被嵌されている。
【0019】
主管27の基端部および回転係止部材14の外周には略筒状のノブ30が取り付けられている。ノブ30には、その径方向に沿ってガイド孔30aが穿設されている。ガイド孔30aにはL字型の連結部材33が挿入して取り付けられている。ノブ30の内側に位置する連結部材33の一端部は、略フック状に折り曲げられた係合部33aを形成している。ノブ30の外側に突出する連結部材33の他端部には取付け片34が取り付けられており、この取付け片34にはラバースプリング35が被着されている。
【0020】
操作棒26の基端には係合部材36が取り付けられている。係合部材36の外面には、互いに平行に対向する一対の平面36a,36aが切削形成されている。これらの平面36a,36aに回転係止部材14の回転係止部14aが係合することにより、シースユニット6内でのジョーユニット5の回転が規制される。また、係合部材36の基端には略球状の係合部36bが形成されている。この係合部36bは、操作棒26と同軸で且つ同径の円筒状の側面部36cと、側面部36cの両側に位置する球面部36g,36gとを有している。
【0021】
なお、図8に示す組立状態でシースユニット6から外部に突出する係合部材36の部位には、電気絶縁性のチューブ37が被覆されている。
【0022】
固定ハンドル15に電気接続プラグ19を介して固定された接続部材16の先端部には、連結部材33の係合部33aと係合する接続部16aが形成されている。接続部16aには、係合部33aを収容する収容溝16bと、係合部33aと係合する係合部16cとが形成されている。また、接続部材16には、回転係止部14aを有する回転係止部材14の二股状の部分と嵌合する第1の内孔16dと、係合部材36と嵌合する第2の内孔16eとが形成されている。
【0023】
可動ハンドル17の上端部には係合部材38が固定されている。この係合部材38にはガイド溝38bを有する係合孔38aが設けられており、この係合孔38aには係合部材36の係合部36bが係合し得るようになっている。
【0024】
図9には、主管27と補強管28との取り付け構造が示されている。図示のように、主管27の先端には、多点溶接(スポット溶接、プロジェクション溶接、レーザ溶接、シーム溶接等)によって補強管28が接続固定されている。具体的には、係合溝27aの周囲に沿うように補強管28の外面に所定の間隔で点溶接70が施され、補強管28の基端の全周にわたって重ね打ち溶接71が施される。補強管28は、係合溝27aの存在によって強度が低下した主管27の先端側を補強するために設けられている。係合溝27aの周囲に沿って点々とスポット状に溶接を行なうことにより、主管27の先端部が径方向内側に倒れ込むことが防止される。なお、点溶接70は、主管27の先端においても周方向に連続して施されている。
【0025】
また、強度維持のためだけであれば、図9のように間隔をあけたスポット溶接でも構わないが、2つの管27,28間の隙間への液体の侵入を阻止する必要がある場合には、間隔をあけることなく連続的に溶接しても良い。
【0026】
また、図9に示される溶接は、重ねた板の一方側から熱流を貫通させることにより重ねた板同士を順次に溶融させる方法である。補強管28の基端部においては、管状部材の端面同士を突き合わせた状態で両者を同時に溶融させることができるため、より確実な溶接が可能であるが、抵抗溶接である通常のスポット溶接法は使えず、レーザービームを使った溶接やTIGやMIG等のアーク溶接が適している。
【0027】
図10には、主管27と回転係止部材14との取り付け構造が示されている。図示のように、主管27の基端には、多点溶接(スポット溶接、プロジェクション溶接、レーザ溶接、シーム溶接等)によって回転係止部材14が接続固定されている。具体的には、気密性確保のため、回転係止部材14の先端の全周にわたって連続的に重ね打ち溶接71が施される。なお、溶接部以外の嵌合部にシール部材を配設すれば、間隔をあけたスポット溶接でも良い。
【0028】
図11には、駆動部材25と操作棒26との取付け構造が示されている。図示のように、保持部材24の基端から突出する駆動部材25の部位すなわち接続部25aには、ネジ穴25bと嵌合穴25cと当接端面25dとが形成されている。一方、図12にも示されるように、操作棒26の先端部には、ネジ部26aと嵌合部26bと当接端面26cとが形成されている。駆動部材25と操作棒26とを取り付ける場合には、ネジ部26aをネジ穴25bに捩じ込むとともに、嵌合部26bを嵌合穴25cに嵌合させて当接端面25d,26c同士を当接させる。ネジ部26aをネジ穴25bに捩じ込むことによって両者25,26が仮固定されるとともに操作時の荷重負担が軽減される。また、嵌合部26bを嵌合穴25cに嵌合させることによって、駆動部材25の中心軸に対して操作棒26の中心軸がずれてしまうことを防止できる。また、当接端面25d,26c同士を当接させることによって駆動部材25と操作棒26とを直線的に接続することができる。この取付け状態で、最終的に、両者25,26の接続部(当接端面25d,26c同士の突き当て部)の全周にわたって重ね打ちの突き合わせ溶接72が施される。
【0029】
なお、駆動部材25は機械加工品であるため、ネジ穴(雌ネジ)25bを加工することが容易である。機能上、熱処理が必要であるが、これはネジ加工後に容易に行なえる。また、操作棒26は、その長さに起因して、熱処理不要な硬質材を使用することが経済上適切である。したがって、例えばバネ用鋼材が使用されるが、難加工材であるため、操作棒26には雌ネジよりも加工が容易な雄ネジが形成される。
【0030】
図13には、操作棒26と係合部材36との取り付け構造が示されている。図示のように、係合部材36の先端部には、嵌合穴36dとネジ穴36eと支持穴36fとが形成されている。一方、図14にも示されるように、操作棒26の基端部には、嵌合部26dとネジ部26eと支持部26fとが形成されている。係合部材36と操作棒26とを取り付ける場合には、ネジ部26eをネジ穴36eに捩じ込むことによって、支持穴36fに支持部26fを嵌入するとともに嵌合部26dを嵌合穴36dに嵌合させる。ネジ部26eをネジ穴36eに捩じ込むことによって両者26,36が仮固定されるとともに操作時の荷重負担が軽減される。また、嵌合部26dを嵌合穴36dに嵌合させることによって、係合部材36の中心軸に対して操作棒26の中心軸がずれてしまうことを防止できる。また、支持穴36fに支持部26fを嵌入することによって、係合部材36と操作棒26とを直線的に接続することができる。この取付け状態で、最終的に、両者26,36の接続部(具体的には、嵌合部26dと嵌合される係合部材36の先端部)の全周にわたって重ね打ちの貫通溶接73が施される。
【0031】
なお、操作棒26と係合部材36との固定においては、平行平面である回転係止部36aを周方向(回転方向)で位置合わせする必要があるため、駆動部材25と操作棒26との間の固定のように端面突き合わせ構造を採用することができず、嵌合固定が採用される。嵌合固定では、径方向の隙間が不可避不可欠であるため、2つの部材26,36が傾いた状態で固定されてしまう虞がある。したがって、このような事態を避けるため、本実施形態では、支持部26fによって可能な限り大きなスパンで心出しを行なえるようにしている。なお、支持部26fは、ダイス加工によって難加工材に雄ネジを形成する際に、ダイスを適切にガイドしてネジそのものの傾きを防止する機能を果たす。また、係合部材36は機械加工品であるため、ネジ穴(雌ネジ)36eを加工することが容易である。
【0032】
図15および図17には、ジョーユニット5の先端部の構成が詳細に示されている。各ジョー21,22にはそれぞれ、段差部21d,22dを介して基端側に延在する薄肉のアーム部21c,22cが形成されている。各アーム部21c,22cの端部には、内側に向かって突出するカムピン21e,22eが設けられている。図17に詳しく示されるように、カムピン21e,22eの断面は、真円の円弧を2個所で切り欠いた樽型形状を成している。すなわち、カムピン21e,22eは、円弧状の曲面21g,22gと互いに対向する一対の緩曲面21h,22hとを有している。
【0033】
また、各ジョー21,22には、カム溝としての長円形の孔21a,22aが形成されている。また、これらの孔21a,22aには、ジョー21,22を保持部材24に回動可能に連結する枢支軸(カムピン)23が挿通されている。なお、図17に詳しく示されるように、ジョー22に形成された孔22aは、その先端側の終端から基端側の終端に向かって上方に延びている。また、ジョー21に形成された孔21aは、その先端側の終端から基端側の終端に向かって下方に延びている。
【0034】
また、ジョー21には穴部21bが形成されるとともに、ジョー22には突起22b(枢支軸)が形成されている。そして、ジョー22は、その突起22bがジョー21の穴部21bに嵌合されることにより、ジョー21に対して回動可能に連結されている。これにより、2つのジョー21,22は食い違うことなく完全に閉じることができる。
【0035】
なお、図19(図17のB―B線に沿う断面図)に示されるよう、各ジョー21,22にはそれぞれ、面取りによって形成された傾斜面21f,22fが設けられている。これらの傾斜面21f,22fは、垂直面に対して60度の傾斜角に設定されているが、45度もしくはそれ以外の傾斜角に設定されていても良い。
【0036】
図15および図22〜図25に示されるように、保持部材24の一対のアーム部24a,24a間には第1のスロット24dが形成されており、この第1のスロット24d内には各ジョー21,22のアーム部21c,22cが嵌入されている。また、保持部材24には、第1のスロット24dよりも基端側に、第1のスロット24dに接続する第2のスロット24eが形成されている。さらに、保持部材24には、駆動部材25の接続部25aが嵌入される嵌合孔24f(図20(図17のC−C線に沿う断面図)参照)と、シースユニット6の主管27の先端面27dと当接する段差状の当接部24gと、当接部24gから基端側に延び且つ基端に係合突起24cを有する小径部24hとが設けられている。なお、図22および図23に詳しく示されるように、係合突起24cは、保持部材24の基端部の幅を円弧状に徐々に狭くするとともに径方向外側に張り出した部分の末端を円弧状に丸めることによって形成されている。
【0037】
駆動部材25の先端部は、各ジョー21,22のアーム部21c,22c間に位置されてこれらアーム部21c,22cによって挟持されている。また、駆動部材25は、アーム部21c,22cに突設されたカムピン21e,22eと係合する一対のカム溝25f,25fを有している。この場合、カムピン21e,22eは、その緩曲面21h,22hで、カム溝25f,25fと係合している(図17参照)。
【0038】
図15および図20に示されるように、駆動部材25は、先端側に形成された2つの段差部25e,25eと、これらの段差部25e,25eから先端側に延びる板状の先端部25g とを有している。板状の先端部25g は保持部材24の第2のスロット24e内に嵌入されており、これにより、駆動部材25はその進退動作(摺動)がガイドされるとともに回転が規制される。すなわち、ジョー21,22の開閉動作時、駆動部材25は2つのカムピン21e,22eからの反力によって回転しようとするため、この回転を阻止すべく第2のスロット24e内に先端部25gが嵌入されている。
【0039】
次に、上記構成の内視鏡用鉗子を組み立てる場合について説明する。
【0040】
図2〜図4に示されるようにジョーユニット5とシースユニット6とハンドルユニット7とが分解されている状態で、まず、ジョーユニット5をシースユニット6に組み付ける。この場合、ジョーユニット5の係合部11をシースユニット6のシース部12の先端から挿入し、係合突起24cを係合溝27aの縦溝27bに係合させる。この時、係合突起24cは、その円弧形状の端部が主管27のガイド面27aに沿って移動することにより、縦溝27b内に容易に導かれる。縦溝27bに係合突起24cが係合した状態でさらにジョーユニット5をシースユニット6内に押し込むと、係合突起24cが縦溝27bの奥側終端に当接する。この状態で、ジョーユニット5をシースユニット6に対して回転させると、係合突起24cが横溝27cに係合されて横溝27cの終端に突き当てられ(図21の状態)、ジョーユニット5の軸方向の移動が規制される。この時、係合部材36の外面に形成された一対の平面36a,36aが回転係止部材14の回転係止部14aに係合し、シースユニット6内でのジョーユニット5の回転も規制される。
【0041】
なお、このような組立時、横溝27cの奥側終端は係合突起24cの先端側形状と合致する矩形状に形成されているため、横溝27cの終端に隙間なく係合突起24cを当接させることができる。したがって、無駄がなく、主管27の強度の低下を最小限に抑えることができる。また、縦溝27bと横溝27cとの接続部分は、係合突起24cの円弧形状の端部と対応する円弧状に屈曲されているため、係合突起24cが縦溝27bから横溝27cに侵入する際に突起24cと溝27aとが干渉することがない。
【0042】
このようにしてシースユニット6に対するジョーユニット5の組み付けが完了したら、今度はシースユニット6とジョーユニット5とをハンドルユニット7に組み付ける。この場合、固定ハンドル15に固定された接続部材16の接続部16aとノブ30に取り付けられた連結部材33の係合部33aとを係合させるとともに、可動ハンドル17の係合部材38の係合孔38a内にガイド溝38bを通じて係合部材36の係合部36bを係合させる。この場合、連結部材33を上方に付勢するラバースプリング35によって、係合部33aと接続部16a(係合部16c)との係合状態が保持される。
【0043】
次に、組み立てられた内視鏡用鉗子の動作について説明する。
【0044】
図17に示されるようにジョー21,22が完全に閉じられた状態では、枢支軸23が孔21a,22aの先端側終端に位置している。この状態から、可動ハンドル17を反時計回りに回動させると、枢支軸23に対してジョー21,22および駆動部材25が一体となって前進する。したがって、各孔21a,22aの基端側終端が枢支軸23に当接するとともに、カムピン21e,22eがカム溝25f,25fに沿って移動し、図18に示すように、ジョー21,22が突起22bと溝部21bとの嵌合部を支点として回動する。すなわち、駆動部材25の進退によって、突起22bと溝部21bとの嵌合部の前後に位置する2つのカム機構が同時に作用して、ジョー21,22が開閉する。なお、可動ハンドル17の動きは、係合孔38aと係合部36bとの係合によって操作棒26に伝達されるが、この時、係合部36bの円筒状の側面部36cは、その延在方向が操作棒26の進退方向と平行であるため、力の伝達には寄与しない。したがって、側面部36cが力の伝達に悪影響を及ぼすことがない。
【0045】
以上のような動作をもって高周波電流による焼灼処置を行なう場合には、電気接続プラグ19に高周波電源から延びるコードを接続すれば良い。また、挿入部2を体腔内に挿入した場合において、シース部12の先端側からの体腔内のガスの漏洩はシールキャップ20によって防止される。また、傾斜面21f,22fの存在により、直角に近い鋭利な角部がなくなるため、ジョー21,22が生体組織や縫合糸と接触してこれらを傷付けてしまうことがない。また、ジョー21,22を回転させる大きな力が加わった場合には、係合突起24cの側面と横溝27cの側面とが接触してこれに対抗するため、強度的にも格段に優れている。
【0046】
なお、内視鏡用鉗子を洗浄する場合には、ジョーユニット5とシースユニット6とハンドルユニット7とに分解される。分解時は、まず、ラバースプリング35による付勢力に抗して連結部材33を下側に押し下げて、接続部材16の接続部16aと連結部材33の係合部33aとの係合状態を解除し、ジョーユニット5およびシースユニット6をハンドルユニット7から取り外す。次に、シースユニット6に対してジョーユニット5を回転させることにより、回転係止部材14を押し広げつつ平面36a,36aと回転係止部14aとの係合を解除するとともに係合突起24cと横溝27cとの係合を解除する。この状態で、ジョーユニット5をシースユニット6から引き抜けば、ジョーユニット5をシースユニット6から分離することができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の内視鏡用鉗子は、係合部36bである球の一部を円筒形状に形成している。すなわち、係合部36bは、従来のように完全な球ではなく、操作棒26と同軸で且つ同径の円筒状の側面部36cと、側面部36cの両側に位置する球面部36g,36gとを有している。したがって、ハンドル15,17からの力の伝達性を低下させることなく、係合部36bの外径を小さくできる(側面部36cを設けることによって、力の伝達に大きく寄与する球面部36g,36gの外径をある程度大きく維持しつつ(したがって、相対的に首部の外径も大きくなる)、係合部36bの外径を小さくできる)。その結果、シース部12の主管27の内径を小さくして主管27の肉厚を増大させ、シース部12の強度・剛性をアップさせることができる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の内視鏡鉗子によれば、挿入部の強度を低下させることなく操作力の伝達効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る内視鏡用鉗子の側面図である。
【図2】図1の内視鏡用鉗子を構成するジョーユニットの側面図である。
【図3】図1の内視鏡用鉗子を構成するシースユニットの側面図である。
【図4】図1の内視鏡用鉗子を構成するハンドルユニットの側面図である。
【図5】図1の内視鏡用鉗子の先端側の側断面図である。
【図6】図5のA−A線に沿う断面図である。
【図7】シースユニットのシース部の側断面図である。
【図8】図1の内視鏡の操作部側の側断面図である。
【図9】主管と補助管との取り付け構造を示す断面図である。
【図10】主管と回転係止部材との取り付け構造を示す断面図である。
【図11】操作棒と駆動部材との取り付け構造を示す断面図である。
【図12】操作棒の先端部の側面図である。
【図13】操作棒と係合部材との取り付け構造を示す断面図である。
【図14】操作棒の基端部の側面図である。
【図15】ジョーユニットの先端部の一部断面を付した平面図である。
【図16】シースユニットの先端部の断面図である。
【図17】図1の内視鏡用鉗子の先端部の断面図(ジョー全閉時)である。
【図18】図1の内視鏡用鉗子の先端部の断面図(ジョー全開時)である。
【図19】図17のB−B線に沿う断面図である。
【図20】図17のC−C線に沿う断面図である。
【図21】図17のD−D線に沿う断面図である。
【図22】保持部材の一部断面を付した平面図である
【図23】保持部材の一部断面を付した側面図である。
【図24】保持部材の先端側正面図である
【図25】保持部材の基端側正面図である。
【符号の説明】
1…内視鏡用鉗子
2…挿入部
3…操作部
4…先端作用部(鉗子部)
15…固定ハンドル
17…可動ハンドル
21,22…ジョー
21a,22a…孔(カム溝)
21e,22e…カムピン
22b…突起(枢支軸)
23…枢支軸(カムピン)
24…保持部材
25f…カム溝
26,41,46,50,59,66…操作棒(操作軸)
36,39…係合部材(操作軸)

Claims (5)

  1. 生体内に挿入される挿入部と、
    前記挿入部の先端部に配設された開閉可能な一対のジョーと、
    前記挿入部の基端部に連結された操作部と、
    前記挿入部内に進退可能に挿通され且つ前記操作部によって進退動作し、前記ジョーに前記操作部からの力を伝達するための操作軸と、
    前記一対のジョーを回動自在に支持する共通の枢支軸と、
    前記枢支軸の先端側および基端側であって前記一対のジョーの部位にそれぞれ設けられた、前記操作部の操作に伴う前記操作軸の進退動作に応じて作動して前記一対のジョーを開閉動作させるカム機構と
    を有することを特徴とする内視鏡用鉗子。
  2. 前記枢支軸の先端側に位置するカム機構の構成要素の1つが前記挿入部の保持部材に設けられ、
    前記枢支軸は、前記保持部材に固定されることなく、一対のジョーを枢支することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用鉗子。
  3. 前記各カム機構が設けられた各ジョーの部位は、前記ジョーの開閉動作の全体にわたって、前記挿入部内に収まっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内視鏡用鉗子。
  4. 前記各ジョーは前記挿入部の保持部材によって保持され、
    前記枢支軸の先端側に位置するカム機構は、各ジョーに設けられた長円形状のカム溝と、前記カム溝と係合し且つ各ジョーを前記保持部材に保持するカムピンとから成ることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の内視鏡用鉗子。
  5. 前記枢支軸の基端側に位置するカム機構は、各ジョーに突設されたカムピンと、前記操作軸の先端側に設けられ且つ前記カムピンと係合するカム溝とから成る請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の内視鏡用鉗子。
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