JP3708250B2 - 加熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は冷凍食品の解凍等、マイクロ波を用いた食品大量加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロ波を用いた食品加熱は効率の高さおよび出来上がり品質の高さから、従来の一般家庭用電子レンジだけでなく産業用も開発されている。そして産業用に使用される場合には、一般家庭で問題にならなかった簡単な操作が問題となり、加熱モード設定およびスタートキーを押す僅か2〜3秒の時間や、扉を開ける僅かの時間の削減も重要となる。前者の最も簡便な例としては機械式タイマーを用い、スタート釦を省略した安価な単機能商品がある。これはタイマーを回す操作のみで動作開始し、予めタイマーを回しておけば扉を閉じると同時に動作を開始する。しかし動作中にタイマーは0に戻るので続けて2度3度と動作させるにはその都度タイマーを回す必要があった。高価で複雑な機能を有する機器の例では加熱パターンまたは加熱モードを選択するキーがスタート釦を兼用し、選択キーを押すと同時に機器が動作開始するものが市場に出ているが、これとても動作の都度選択キーは押さなければならない。
【0003】
後者の解決策としての自動的に扉が開く電子レンジは古くから提案されており、また最近では自動販売機に組み込まれた例も出現し始めているが、何れにしろ複雑な構成となり信頼性および価格の点から改善が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
電子レンジが複雑になる最大の理由は電子レンジに必要な二重の発振停止装置にある。扉が開かれた時にはマイクロ波の発振が停止する二重の構成であり、その一つが機能停止した場合にはそれをモニターし、回復するまでは動作せず、しかも扉を開けた状態で外部から操作出来ない構造が要求されている。一般にはマイクロスイッチを用いた機械的構成が採用され、扉の開閉に2〜5kg程度の力を要し、自動的に開閉するにはこれ以上の力が必要となる為に大形化、複雑化するのである。5kg程度以上の力で扉が開けられればその力は各部に加わるから、業務用電子レンジに義務付けられた20万回の扉開閉試験を行うと摩滅の為に隙間が生じ、電波漏洩増大につながるので設計上最も苦労する部分の一つである。これを自動的、機械的に行うにはその装置も5kg以上20万回以上に耐え得る機構が要求される。従って弱い力で開閉できる発振停止装置の開発が自動扉の簡素化には必須の要件となる。
【0005】
前者には二つの要素が含まれている。一つは安全の為の最終意思確認である。つまり操作者の意思に反して機器が動作を開始すると負荷が無い場合には空焼きとなり機器を傷める可能性があり、逆に加熱室に可燃食品が入った状態で長時間動作すると引火する危険がある。動作開始に際しては操作する人間がこれらの危険性を排除または認識した上でスタートさせるものである。
【0006】
二つ目は加熱モードの選択である。冷凍食品の解凍にはその食品の形状、重量、冷凍温度等の関数としての最適加熱パターンで加熱しなければならないから最適モード選択が必須である。単機能電子レンジに於いても加熱時間の長さを設定せずに動作させれば負荷の引火等の危険も招来しかねないし、最適加熱は及びもつかない。前述した如くこれら二つの機能を一つに集約した例はあるが省略した例は見あたらない。危険を回避しつつ操作を簡略化する事が求められているのである。
【0007】
本発明はこれら二つの課題、すなわち僅かな力で開閉する発振停止装置の実現と、特定の加熱モード選択および動作開始操作の簡略化を同時にあるいは各々単独に解決し、高品質高効率のマイクロ波加熱を食品工業へ導入しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次の手段を取るものである。
【0009】
また、加熱室と、回動自在に設けられた扉と、マグネトロン等の高周波源と、前記高周波源の動作を制御する制御器と、扉に設けられた複数の磁石と、前記複数の磁石と対向する位置の加熱室側に設けられた磁気検出手段および電磁石と、加熱パターン特定手段を有し、前記加熱パターン特定手段により食品の形状、重量、冷却温度の関数としての加熱パターンを特定した状態であるLOCK状態で継続している場合には、前記制御器は扉を閉じる度に前記加熱パターンで高周波源を動作させ、電磁石には加熱終了時に対向する磁石に反発する方向の磁界を生じる電流を流す構成としたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態は、加熱室と、回動自在に設けられた扉と、マグネトロン等の高周波源と、前記高周波源の動作を制御する制御器と、扉に設けられた複数の磁石と、前記複数の磁石と対向する位置の加熱室側に設けられた磁気検出手段および電磁石と、加熱パターン特定手段とを有し、前記加熱パターン特定手段により食品の形状、重量、冷却温度の関数としての加熱パターンを特定した状態であるLOCK状態で継続している場合には、前記制御器は扉を閉じる度に前記加熱パターンで高周波源を動作させ、磁気検出手段が磁気を検出開始後に前記加熱パターンで高周波源を動作させ、電磁石には加熱終了時に対向する磁石に反発する方向の磁界を生じる電流を流す為に、扉は言わゆる横開き式を採用し、複数の磁石として扉の回動先端付近の上下に、半分をN−S、残り半分をS−Nと、互いに相反する極性に着磁された小さなフェライト磁石を固定し、対向する位置の磁気検出素子として一対のホール素子をN極を検出する方向およびS極を検出する方向とに互いに相反する方向に向け、固定し、扉の回動先端付近中央には大きめの同様なフェライト磁石を固定し、U字型をした電磁石の先端は各々SおよびN極と対向させ、これらホール素子や電磁石をマイクロプロセッサーで構成された制御器に接続することにより実現できるものである。
【0011】
(実施例)
以下本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明の加熱装置の正面図である。正面中央に扉1が設けられ、左側をヒンジ(図示せず)で回動自在に本体に取付け、右側に固定された把手2を持って手前に引けば扉1が開く構造である。扉の下側には吸気用フィルター3が設けられ、扉の上側には操作部4が設けられる。操作部4は左端に蛍光表示管で構成された表示部5があり、加熱パターン特定状態を示す小さな丸に続いてICカードの番地が表示されている。本実施例では153番地に特定された例を描いた。その右にはメモリーキー6、取消キー7、出力切換キー8、LOCKキー9、数字の1キー10、2キー11、3キー12、4キー13、5キー14、6キー15、7キー16、8キー17、9キー18、0キー19およびスタートキー20が右端となる。LOCKキー9と小丸に続く153以外は従来市販されているマイクロ波解凍器と外観は全く同一であり、機能も全て搭載されているものとする。
【0013】
図2の(a)は右側面図であり、扉1が若干開かれた状態を示し、内部構造部品の一部を説明の都合上破線で描いたものである。金属製の外箱21の上部にICカード出し入れ用の蓋22および固定用ネジ22aが設けられる。略直方体の加熱室23も破線で示した。扉1には上下二つの二極着磁フェライト磁石24、25が固定され、ポリプロピレン等の樹脂で被われるが詳細は略す。二極着磁フェライト磁石24、25は図2の(b)にその斜視図を示した如くほぼ直方体であり、正確には極性を間違って取り付けられないよう一つの角が切りとられ薄い五角柱の形状を持つ。その厚み方向に上半分はS−N方向、下半分はN−S方向に着磁される。
【0014】
加熱室23側は磁石に吸引されない材質の金属、例えばステンレス鋼SUS304の薄板で構成され、その下に一対のホール素子26、27を臨ませる。磁石のS極に対向するホール素子はS極に反応する向きに、N極に対向するホール素子はN極に反応する向きに固定する事は当然である。図2の(b)はこの関係を表す斜視図を示す。
【0015】
扉の中央部には少し大きめのフェライト磁石28、29を固定し、28はS極を、29はN極を外に向ける。両者に対向する位置にU字型の先端を向けた電磁石30を前記ホール素子26、27と同一面に固定する。
【0016】
図3は本加熱装置の電気回路図である。左端の電源に最も近い部分にコイル31とコンデンサー32とから成るノイズフィルターがあり、次いでフューズ33を介してまずマグネトロン用ヒータートランス34およびそのリレー35の接点、次にAC100V用ファンモーター36二つとそのリレー37の接点、オーブン(加熱室)ランプ38とそのリレー39の接点が並列に接続され、これら3つの制御用リレー40の接点が直列に接続される。次にAC200Vの両端各々にリレー41、42および43、44の接点が接続される。リレー41の後ろにはAC100V用スタラーモーター45二つが前記リレー40の接点との間に接続される。また200Vを短絡する位置に短絡リレー46、47の接点を設ける。なお全てのリレーのコイルは後述する制御器に接続されているものとする。
【0017】
次に高圧トランス48、49に接続され、その二次側は進相コンデンサー50、51、ダイオード52、53を介しマグネトロン54、55に接続される。本実施例ではこの二つのマグネトロンを加熱室の上面および底面に配置し、食品の上下から高周波照射する方式を採用している。
【0018】
図4は本加熱装置の制御器56の回路図の一部分である。前述した如く本加熱装置にはICカードが搭載されており、この為の接続は当然必要であり、図3に示した多数のリレー用駆動回路、さらにはクロック発振回路、電源リップル取り込み回路等必須回路が多数あるが、それらは公知であり、全てを描くと煩雑になるので省略し、本発明の為に追加した部分および既存であっても本発明の重要な役割を担う部分のみを描いた。
【0019】
マイクロプロセッサー57には整流平滑回路58で作られた+V1電圧の直流がVCC端子から供給され、+V2電圧はダイオード59を介し、+V3電圧はダイオード60を介して2回路2接点リレーである扉開リレー61の別々の回路の、一方は常閉接点に、他方は常開接点に各々接続される。扉開リレー61の二つの共通接点間には前記電磁石30のコイルが接続され、残る二つの接点はマイクロプロセッサー57のO6出力端子にインバーター62を介して接続される。図は通電されない状態を示しているからリレースイッチは常閉接点側に接続されており、電磁石コイルは図の上側が+V2に、下側がインバーター62の出力に接続され、O6出力がHiになれば図の上下方向の電流が流れる。逆にO7出力端子からHi出力がでると扉開リレー61のコイルが通電され2回路共に常開接点が閉じ、今度は+V3電圧が図の下から上の方向に流れる。電磁石30のコイルと並列にサージ吸収用のコンデンサーおよび二つの互いに逆方向のダイオードを接続しておく。なおV3はV2より高い電圧とし、また+V3に電磁石30のコイルが接続された状態に於いて、U字形状の電磁石は上がS極に、下がN極になるようにする。
【0020】
O1からO5までの五つの出力端子とI1からI4までの四つの入力端子とで構成されるマトリックスの交点に前述操作部4の各種キー、メモリーキー6からスタートキー20までの15個が設けられる。表示部5を構成する蛍光表示管の六つのグリッドには六本のO出力端子が、九つのアノードには九本のO出力端子が接続される。
【0021】
一対のホール素子26は同一の二つのIC化された素子から成り、ICの中にはオペアンプとシュミットトリガーとを有する。マイクロプロセッサー57の入力端子I5およびI6に接続され、両端子共にHiの時のみマイクロプロセッサーは扉が閉じられたと判定するものとする。図4に於いて上に描いた素子26aは図2(b)でも上側に位置せしめ、左側をS極検出面とし、下側の26bは左側をN極面とする。
【0022】
図4の下部には以上述べたマイクロプロセッサー57を含む回路とは全く独立した回路を描いた。整流平滑回路63で作られる+V4電圧は前述のリレー42および44のコイルを介しスイッチングトランジスター64および65に加えられ、その各々のベースにはアンド回路66の出力が接続され、その二つの入力には前述の一対のホール素子27の出力が接続される。一対のホール素子27と磁石25との関係は同じホール素子26、磁石24と同じとする。ホール素子27には+V5電圧が供給される。
【0023】
図5はマイクロプロセッサー57に納められたプログラムの一部のフローチャートであり、本発明の本質部分のみを抜きだしたものである。ひし形の判定箇所に於いて真ならば下に抜け、偽ならば左右どちらかの横に抜けるものとする。マイクロプロセッサー57に電源が供給されるとプログラムがスタートする。全ての出力、全てのフラッグのOFFを含む初期処理が済むとキーイン判定67に進み、キーが押されない間は右に進み、下がってLE=1つまりLOCKに関する5番目のフラッグであってLOCK状態で調理に入っている事を表すフラッグの判定68に進む。最初は当然1ではないから右へ進み、表示を含む各種処理69を行い、時間計測70を経て、設定時間の終了判定71を右に進み、扉開判定72を右に進み前述の短絡リレー46、47をOFFし、LD=1のフラッグ判定73を右に進み上に上がってキーイン67に戻り、これをループ状に何度もくりかえす。
【0024】
キーが押されるとキーイン67は下に抜け、LE=1判定74に進む。最初は前述した如くフラッグはOFFつまり0であるから左、押されたキーがLOCKか否かの判定75に進む。LOCKでない場合は数字キーか否かの判定76に進み、数字であればその下のLA=1つまりLOCKに関する1番目のフラッグでありLOCKキーが最初に押された状態か否かの判定77へと進む。まだフラッグはOFFのままであるから右に進み適当なキー処理を受け、下のLE=1フラッグ判定68へと進み、後は前述と同様である。
【0025】
判定75に於いて押されたキーがLOCKであれば下のLB=1判定78に進み、最初は0であるから左に進み、LA=1の判定79でさらに左へと進み、LAフラッグを1にして下へと抜ける。後は前述と同様である。次に数字キーが押されると判定76の下、LA=1判定77で今度は下に抜け、数字は順に三つまでRAMに収納される。数字3桁が収納されたか否かの判定80に於いて未収納ならば左、収納完了すれば下に抜け、LOCKに関するフラッグの2番目3桁の数字収納完了を表すフラッグLBを1にし、先のLAフラッグを0に戻して下に抜ける。
【0026】
次に再びLOCKキーが押されると判定75を下に進みLB=1判定78に於いて今度は真であるから下に抜け、ICカードにアクセスし、前述のRAMに収納された3桁の数字に対応するICカードの番地から調理用データを取り出し、それを調理用RAMに収納し、LOCKキーに関する3番目のフラッグLCつまり調理用データ取り出し完了を表すフラッグを1とし、先のLBフラッグを0に戻して下に抜ける。各種処理に於いて調理データを取りだしたICカードの番地、例えば153およびLOCK状態を示す小さい丸を表示管に表示する処理も行われる。LC=1の間はこの表示を持続する。
【0027】
この状態で先に述べたキーイン判定67、LE=1判定68、各種処理69、時間計測70から71、72、73そしてキーイン判定67へと戻るループを回る間に扉が開けられると判定72が真となり下へ抜ける。全ての出力はOFFとなり、LOCK状態で扉が開かれた事を表す4番目のフラッグLDを1にする。遅延フラッグLF=1判定81に進み、当初はLF=0であるから右に抜け、LFを1にした後に67に戻る。次に判定81に到達すると今度はLF=1であるから下に進み、LFを0にした後に短絡リレー46、47をONし、続いて扉開OFFつまり出力端子O6、O7ともにOFFしてキーイン判定67に戻る。
【0028】
この状態でループを回る間に扉が閉じられると扉開判定72で右に進み、LD=1判定73が今度は真であるから下に抜け、すぐにLDは0に戻され、LC=1のフラッグ判定82に進み、先ほど1になった直後であるからここを下に抜け、LEフラッグが1となる。これはLOCK完了後扉が閉じられた事により調理が始まる状態を示す。
【0029】
ループを回る間にLEフラッグ判定68に到達すると今度は真であるから下に進み調理用RAMに収納されたデータで調理を行う。実際にはマグネトロン54、55に通電する為のリレー41、43をONする等の動作が行われる訳であるが既知であり、省略する。この状態でループを回る間にデータ中の調理時間に等しい時間が経過すると終了判定71が真つまり1となり下に抜ける。出力は全てOFFされ、終了音が鳴らされ、また記載していないが終了判定はすぐに0に戻される。LEフラッグ判定83を経て扉開リレー61用の出力O7がONとなり、電磁石30は扉に固定された磁石28、29と反発する極性になり、扉1はその力で開く。LEフラッグは0に戻され、ループに戻る。扉が開けば扉開判定72で下に抜け、出力をOFFした後LDフラッグを1に戻し、前述した如く遅延フラッグLF=1判定81により一度目は右に抜け、二度目にようやく下に進み短絡リレー46、47をONし、扉開リレーをOFFした後ループに戻る。
【0030】
LD=1の状態でループを回る間に再び扉が閉じられると扉開判定72の右LD=1判定73の下と進み、LC=1判定82も下に抜け、再度LEは1となり、調理が始まる。LOCK調理状態に於いて取消キー7が押されるとキーイン判定67、LE=1フラッグ判定74に続き取消キーか否かの判定84を下に抜け、オールOFF、つまり出力、フラッグ、調理用RAMデータ等がOFFとなりLOCK状態も解除される。LCフラッグは取消キーを押すか、電源を切る事でのみOFFとなる。LOCK状態以外の場合でも取消キー7が押されればオールOFFとなる。
【0031】
その他注釈を加えるとフロー下部のLE=1判定83によりLOCK状態以外の場合は扉開リレー61はONされない。また扉の開閉によりLDフラッグは1と0とに変化するがLC=1判定82によりLOCK状態でない場合は右に抜け、調理開始にはならない。また調理中であるか否かに関わらず扉が開けられた時はLF判定81によりループを一回りした後でなければ短絡リレーはONしない。
【0032】
以上図5のフローのまとめとして本発明全体の作用を説明する。LOCKキー9を押した後に3桁の数字キーを入力し、その後再びLOCKキーが押される事によりLOCK状態となり、3桁の数字に対応したICカードの番地に収納された調理情報がRAMに記録され、図1に示す如く表示部にその番地が表示される。扉が開閉すると一対のホール素子26、27に対応した2極着磁フェライトの磁石24、25が離れたり近づいたりする結果一対の素子はOFF、ONに変化する。いたずら等で外部から磁石が近づけられても一対の素子の一方のみがONするだけであり、他方はOFFのままであるから誤動作は発生しない。通常電磁石には扉中央部に固定された磁石28、29と吸引する方向の電流が流れているので扉が閉じられると吸引し、閉じた状態を保持する。
【0033】
扉が開から閉へと転じると表示された3桁の番地のICカード情報に基づいて調理が開始し、終了すると電磁石は逆方向の電流が流され、それによって発生する磁界が磁石28、29に反発する極性なので扉が開く。以降取消キー7が押されるまでLOCK状態が継続し、扉を閉じる度に表示番地の調理ソフトで動作し、自動的に扉が開くのである。なおLOCK状態でない通常の場合にはモード選択および調理スタートの二つの操作が必要であり、扉も手動で開けるものとする。
【0034】
二重の発振停止装置の要求は一対のホール素子26、マイクロプロセッサー57およびリレー41、43の組み合わせと、ホール素子27、アンド回路66およびリレー42、44の組み合わせとの二組を設ける事で満たされ、モニター要求は短絡リレー46、47およびフューズ33とで満足される。短絡リレーはLF判定81によりソフト的に遅延されているので故障でないのにフューズが飛ぶ事故を防止する。さらに外部から操作できない構成の要求は先に述べた如く磁石を近づけても素子26aまたは素子26bの一方のみしかONしない事で満足している。
【0035】
多数のマイクロスイッチを用いる従来方式とは異なり扉の開閉が軽く、電磁石30に+V3電圧が加えられた時には扉開成を妨げる要素は皆無、強いて言えばヒンジ部の摩擦のみであるから簡単に扉は開き、可動部がないため耐久性、信頼性が大幅に向上する。
【0036】
加熱モード選択および動作開始操作の簡略化は加熱パターン特定手段としてLOCKキー9を設ける事および特定解除手段として解除機能を取消キー7に持たせる事により実現できた。従来例で述べた如く、扉を閉じれば動作開始する例は以前にも存在したがあまり普及しなかった。主な理由は3種類の危険性が挙げられる。一つは空焼による機器への損傷の可能性、二つ目は被加熱物の発火の危険性であり、三つ目は修理や組立調整時の感電の危険性である。特に三つ目の感電は扉が閉じられ、タイマーが回された状態であれば電源コードをコンセントに差し込んだだけでマグネトロンに高電圧が発生するので感電の可能性が高く、最も危険であるが、本発明によれば電源を投入しただけではLOCK状態になり得ないので安全である。また取消キー7を押せば直ちに特定状態を解除できるのでこれも安全性向上に寄与する。
【0037】
以上述べた如く本発明によれば扉を閉じるだけでICカードに収納された多数の調理情報(ソフト)の中から任意の一つを自動的に実行し、しかも調理終了後に自動的に扉が開き、操作する作業者は食品の出し入れと扉を閉じるだけの簡単、単純な動作のみであるから加熱器が5台、10台と増えても一人で操作可能である。
【0038】
本発明は従来のICカード搭載のマイクロ波加熱器にLOCK機能および扉自動開成機能の二つを設け、この二つの効果により高性能ではあるが容量の小さな加熱器を多数並べ、一人で操作可能とし、大容量加熱器に変身せしめ、マイクロ波を食品工業へ応用する道を開いたものである。加熱パターン特定手段として専用のLOCKキー9を設け、他の機能との兼用キーである数字キー10から19の3つの組み合わせの前後にこの専用キー9を押す事により3つの組み合わせに対応した番地のICカードの調理ソフト、調理情報を引き出し、その状態で特定した。
【0039】
扉自動開成機構は従来からも存在したが本発明は発振停止装置として互いに反対磁界に反応する一対のホール素子採用により無接点化を図り、開扉力を大幅削減し、電磁石と永久磁石との反発力による扉開成を実現したものである。
【0040】
これら両者の相乗効果により作業がより簡単になるが、各々単独であっても少なくとも半分の効果は存在する。つまり扉自動開成機能がなくとも扉を閉じるだけで加熱器が自動的に動作開始すれば便利であり、また逆にLOCK機能が無くとも調理終了後に自動的に扉が開けば便利である。
【0041】
なお加熱パターン特定手段として必ずしも専用キーを設ける必要はない。例えば3桁の数字キーを押した後にプログラムキー6と最も離れた位置にあるスタートキー20とを同時に押す事により加熱パターンを特定させる事もできる。そして専用キーを設ける方が操作は容易であり誤操作を妨げると共に一種の危険状態に入る事の意識付けの効果は大きい。
【0042】
またLOCKキーを用いた特定状態は一種の危険状態であるから容易に解除できる事が望ましい。取消キーを兼用で解除機能を持たせる事によりキーの増加を防げ、また全ての取消操作が同一キーで行えるので操作の単純化が図られ、誤操作も防止できる。
【0043】
磁石はフェライトを用いたが保磁力が大きい磁石つまり周囲に金属や他の磁石が近づけられてもその磁力を失わない性質が強ければ良いので、ストロンチウムやセリウムの希土類磁石も使用可能である。
【0044】
実施例では扉が閉じられている間、電磁石30には磁石28、29を吸引する方向の電流を流しているが、これは必ずしも必要ではない。電磁石30のU字型の磁心は鉄等の磁石に吸引される材質で構成されるから電流が流れなくとも磁石28、29に吸引され、扉1は閉じた状態で保持される。
【0045】
特定状態で調理が終了すれば磁石28、29に反発する方向の電流を流すが、扉が十分開かない間に電流を停止すると磁石28、29の吸引力で再び扉が閉じてしまう危険性があり、またノイズ等による誤信号も考えられるので扉開成検出後、1回ループを回った後に再び扉開成が確認された時点で電流停止するものであり、安定した動作が確保できる。
【0046】
また請求項1の実施例は本実施例からLOCKキーを削除し、図5のフローの一部を削除すれば良い。
【0047】
【発明の効果】
以上述べた様に本発明によれば小容量高性能な汎用加熱器の操作を軽減する事により多数並べ、一人で操作可能とし、特殊用途専用大容量装置に変身せしめ得る。従って高効率、高品質なマイクロ波加熱が食品工業で利用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の加熱装置の正面図
【図2】 (a)同右側面図
(b)同実施例における磁石と磁気検出手段との相互関係を示す斜視図
【図3】 同電気回路図
【図4】 同要部電子回路図
【図5】 同プログラムフロチャート
【符号の説明】
1 扉
7 取消キー(加熱パターン解消手段)
9 LOCKキー(加熱パターン特定手段)
23 加熱室
24、25、28、29 磁石
26、27 ホール素子(磁気検出手段)
30 電磁石
54、55 マグネトロン
56 制御器
57 マイクロプロセッサー
59、60 ダイオード
61 扉開リレー
66 アンド回路
67 キーイン判定
70 時間判定
71 終了判定
72 扉開判定

Claims (4)

  1. 加熱室と、回動自在に設けられた扉と、マグネトロン等の高周波源と、前記高周波源の動作を制御する制御器と、扉に設けられた複数の磁石と、前記複数の磁石と対向する位置の加熱室側に設けられた磁気検出手段および電磁石と、加熱パターン特定手段を有し、前記加熱パターン特定手段により食品の形状、重量、冷却温度の関数としての加熱パターンを特定した状態であるLOCK状態で継続している場合には、前記制御器は扉を閉じる度に前記加熱パターンで高周波源を動作させ、電磁石には加熱終了時に対向する磁石に反発する方向の磁界を生じる電流を流す事を特徴とする加熱装置。
  2. 加熱パターン特定手段として専用キーを設け、所定の加熱パターンに対応したキー操作の前後に押す事により加熱パターンを特定する事を特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
  3. 磁気検出手段として互いに反対磁界に反応する一対のホール素子を用い、これと対向する磁石はホール素子が反応する磁界と等しい極性に着磁されたフェライト磁石または希土類磁石とした事を特徴とする請求項1または2に記載の加熱装置。
  4. 電磁石に流す電流は、扉が開かれた事を検出した後の一定時間経過後に停止する事を特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の加熱装置。
JP26809896A 1996-10-09 1996-10-09 加熱装置 Expired - Fee Related JP3708250B2 (ja)

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