JP3708010B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示装置に関し、特に液晶表示装置の防湿構造に係る。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示装置は軽量、薄型、低消費電力という特徴から、携帯型情報機器の表示装置として広く用いられている。とくに最近では、明るく鮮明な画像を得るために、画素毎にスイッチング素子としてTFT(薄膜トランジスタ)を配置したアクティブマトリクス型の液晶表示装置が主流になりつつある。
【0003】
ところで、液晶表示装置の中でも、とくに室内で使用することを前提としたものについては、液晶セルの周囲を覆っている通常のシール部材で湿気をほぼ遮断することができる。このため、通常の室内環境においては、液晶表示装置がTFT駆動するのに支障を来すほどの電圧保持率の低下を招くことは少ない。
【0004】
しかし、携帯型情報機器のように、主に屋外で用いられるものについては、液晶セルを取り巻く周囲の環境は室内におけるそれよりも遥かに過酷なものである。また、近年、マリンレジャーが盛んになり、とくに小型船舶においては設置場所の自由度が高い液晶表示装置が注目を集めている。例えば、魚群探知器、レーダー、GPSなどの表示装置が多く用いられている。
【0005】
このような過酷な環境下では、従来のシール部材を使った構造では、水分などの遮断が不十分となり、液晶の抵抗値低下を生じ、TFT駆動に支障をきたすことがあった。即ち、液晶表示装置の表示性能劣化が顕著であり、寿命が短くなることが問題となっていた。
【0006】
従来の室内仕様の液晶表示装置であっても、長期にわたる使用により、液晶の表示部への水分の浸透があり、表示性能の劣化や寿命の短期化をもたらしていた。
【0007】
これに対するひとつの解決法は、従来は液晶セルの外側に防水フレームを取り付けることである。
【0008】
一方、視野角が大きいなどの利点を有するゲスト−ホスト型液晶(以下、GH型液晶)表示装置が注目されている。GH型液晶は、液晶中に二色性比が大きい色素を溶解したものである。とくに近年では、カラーディスプレイの需要が高まりつつあり、GH型のカラー液晶表示装置の開発も盛んに行われている。
【0009】
しかしながら、このGH型の液晶は、信頼性を確保することが非常に困難である。なぜならば、このGH型の液晶は、色素分子の分解、イオン性不純物の混入等の要因から電圧保持率の低下をきたすからである。
【0010】
加えて、色素のような極性化合物はガラス基板などから無機イオンを抽出する特性がある。ここに水が介在すると、液晶層に溶かし出された無機イオンの移動度が飛躍的に大きくなる。これにより、電気抵抗値は急激に低下して、電圧保持率も大幅に低下してしまう。このため、GH型の液晶セルは、水分の進入による電圧保持率の低下の度合いは他の液晶セルと比較して遥かに大きなものとなってしまう。そして、この問題に対しては未だ解決策がないため、GH型の液晶セルを用いたTFT駆動の液晶表示装置は実用化が遅れているのが現状である
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来の防水フレームは、防水機能を高めるために外形寸法が大きくかつ重いという欠点がある。また、外枠の面積に対する表示領域の割合が小さくなるために表示が見づらいという問題点がある。
【0012】
さらに、従来の防水フレームはポリマー部材で形成されるが、バルクとしての水は外枠で遮断することはできるが、気体(湿気)として挙動する水分子に対しては遮断効果が小さい。即ち、気体としての挙動を示す水分子はポリマーの網目構造をわずかながらすりぬけ、表示領域へ侵入するのである。したがって、多湿の環境下に長時間さらされた場合には、電圧保持率の低下により表示品位が劣化するおそれがあった。このような問題は、ゲスト−ホスト型の液晶表示装置においてはさらに顕著なものとなる。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液晶表示装置の軽量化、小型化を実現するとともに、多湿な環境下に長時間さらされた場合でも、優れた表示品位を維持することができる信頼性の高い液晶セルを提供する。表示品位とは、高速の映像表示や鮮明な色表示が実現できることをいう。また、信頼性のひとつの尺度は、劣化が小さいことである。
【0014】
本発明は、基板と、この基板上に形成された液晶層と、前記基板上で前記液晶層の外周を囲むシール部を具備し、前記シール部が吸湿性ポリマー粒子を含有することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0015】
この吸湿性ポリマー粒子は、ポリマー等から成る表皮内に、吸湿性を有する物質を内包したものであり、多くは微粒子である。
【0016】
ここで、前記吸湿性ポリマー微粒子がゲスト−ホスト型液晶を内包しても良い。
【0017】
また、前記液晶層がゲスト−ホスト型液晶から成るものでも良い。
【0018】
前記シール部は、樹脂シール壁と吸湿性ポリマー粒子を含有するシール部とを有しても良い。
【0019】
前記吸湿性ポリマー粒子は、ゲストーホスト型液晶の他、例えば、P2O5, Mg(ClO4)2, SiO2, CaSO4, CaCl2, CuSO4, から選ばれる化合物の少なくとも一つを含有する。また、吸湿性ポリマー粒子の中に流動性の媒体が内包され、当該媒体中に上記の化合物が分散されても良い。
【0020】
本発明においては、吸湿性化合物を内包するポリマー微粒子を使用し、このポリマー微粒子を液晶セルのシール部とする。このポリマー微粒子によるシール部により、過酷な環境にさらされても表示性能が劣化しない携帯型表示装置をうることができる。
【0021】
シール部内に浸入した水蒸気は、ポリマー粒子のポリマー壁をすり抜け、ポリマー粒子内の極性化合物である色素に吸着され、液晶液の一部となる。液体としての水分子は再びポリマー壁を通過することができず、水分子はポリマー粒子内に閉じ込められる。従って、水蒸気は表示領域内のGH型液晶まで侵入することができない。また、ポリマー粒子間に侵入する水蒸気の存在可能性はあるが、到底表示領域に達することはできない。なぜならば、表示領域に達するまで、浸入した水蒸気はポリマー粒子間を縫うように移動することになり、その移動距離はシール幅の数十倍以上に達するからである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係わる液晶セルの実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態では、基板上に形成されている電極や配線、その他の部分については図示を省略している。また、実施形態の説明において引用される材料は、例示である。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る概略図である。また、図2は、図1のa−bに沿う断面図である。図3は、図1のシール部の部分拡大図である。
【0023】
液晶層2が基板1Aと対向基板1Bに挟まれている。ここで、基板1A上には、画素を形成する画素電極や、信号線、走査線等が従来と同様にして形成される。図2には、信号線等に12という引用符号を付して表示してある.例えば、TFTを用いたアクティブマトリックス型液晶表示においては、基板1AにTFTや画素電極、他方に共通電極11が形成される。一方の対向基板1Bには共通電極11が形成される。
【0024】
液晶層2が挟持される構造であれば本発明は適用可能であり、液晶材質によらず有効である。特に、GH型液晶に対して有効である。
【0025】
基板1上には、液晶層2による表示領域3が設けられる。この表示領域3の周囲はシール部4によって形成されている。
【0026】
このシール部4の部分拡大図を図2に示す。
【0027】
シール部4は、吸湿性化合物を内包するポリマー微粒子5と、ポリマー微粒子5間を充填するバインダー部6を含んでいる。
【0028】
吸湿性化合物としては、P2O5, Mg(ClO4)2, SiO2, CaSO4, CaCl2, CuSO4がある。これらは、通常固体であるが、これを粉体とし、例えばシリコンオイル、ヌジョール等や液晶に分散させることもできる。また、液晶中に色素などの極性化合物を溶解させたものでも良い。
【0029】
吸湿性化合物を内包するポリマー微粒子5の皮膜の材料としては、例えば、ポリエチレン類、塩素化ポリエチレン類、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸・無水マレイン酸共重合体、などのエチレン共重合体、ポリブタジエン類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリプロピレン類、ポリイソブチレン類、ポリ塩化ビニル類、天然ゴム類、ポリ塩化ビニリデン類、ポリ酢酸ビニル類、ポリビニルアルコール類、ポリビニルアセタール類、ポリビニルブチラール類、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化エチレン樹脂、フッ化エチレン・プロピレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニル樹脂、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレン・エチレン共重合体などの四フッ化エチレン共重合体、含フッ素ポリベンゾオキサゾールなどのフッ素樹脂類、アクリル樹脂類、メタクリル樹脂類、フマル酸樹脂類、マレイン酸樹脂類、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体などのアクリロニトリル共重合体、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アセタール樹脂、ナイロン66などのポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリエステルカーボネート類、セルロース樹脂類、フェノール樹脂類、ユリア樹脂類、エポキシ樹脂類、不飽和ポリエステル樹脂類、アルキド樹脂類、メラミン樹脂類、ポリウレタン類、ジアリールフタレート類、ポリフェニレンオキサイド類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリスルフォン類、ポリフェニルサルフォン類、シリコーン樹脂類、ポリイミド類、ビスマレイミドトリアジン樹脂類、ポリイミドアミド類、ポリエーテルイミド類、ポリビニルカルバゾール類、ノルボルネン系非晶質ポリオレフィン、セルロース類などほとんどすべての高分子の材質を用いることができる。
【0030】
ポリマー微粒子5間に充填されるバインダー6としては、ポリエチレン類;塩素化ポリエチレン頻;エチレン・酔酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸・無水マレイン酸共重合体等のエチレン共重合体;ポリブタジエン頻;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類;ポリプロピレン類;ポリイソブチレン類;ポリ塩化ビニル類;ポリ塩化ビニリデン類;ポリ酢酸ビニル類;ポリビニルアルコール頻;ポリビニルアセタール類;ポリビニルブチラール類;四フツ化エチレン樹脂類;三フツ化塩化エチレン樹脂類;フツ化エチレン・プロピレン樹脂類;フツ化ビニリデン樹脂類;フツ化ビニル樹脂類;四フツ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、四フツ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、四フツ化エチレン・六フツ化プロピレン共重合体、四フツ化エチレン・エチレン共重合体等の四フツ化エチレン共重合体;合フツ素ポリベンゾオキサゾール等のフッ素材脂頻;アクリル樹脂類;ポリメタクリル酸メチル等のメタクリル樹脂類;ポリアクリロニトリル類;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体等のアクリロニトノル共重合体;ポリスチレン類;ハロゲン化ポリスチレン薪;ステレン・メタクリル酸共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体等のスチレン共重合体;ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム等のイオン性ポリマー;アセタール樹脂顆;ナイロン66等のポリアミド類;ゼラチン;アラビアゴム;ポリカーボネート類;ポリエステルカーボネート類;セルロース系樹脂類;フェノール樹脂類;ユリア樹脂類;エポキシ樹脂類;不飽和ポリエステル樹脂類;アルキド樹脂類;メラミン樹脂類;ポリウレタン類;ジアリールフタレート樹脂類;ポリフェニレンオキサイド類;ポリフェニレンスルフイド頻;ポリスルフォン類;ポリフェニルサルフォン類;シリコーン樹脂類;ポリイミド類;ビスマレイミドトリアジン樹脂類;ポリイミドアミド類;ポリエーテルスルフォン類;ポリメチルペンテン類;ポリエーテルエーテルケトン類;ポリエーテルイミド類;ポリビニルカルバゾール類;ノルボルネン系非晶質ポリオレフイン類等の熱可塑性樹脂を用いることができる。これらのバインダーは、水溶性であれば水に溶解してポリマー微粒子5を分散したり、また、バインダーが非水溶性であればエマルジョンにして水に分散させて、ポリマー微粒子5と混合して用いることができる。
【0031】
ポリマー微粒子5の作成方法としては、膜乳化法、相分離法、液中乾燥法、界面重合法、in situ重合法、液中硬化皮膜法、噴霧乾燥法などがある。
【0032】
ここでは、吸湿性化合物として二色性色素を液晶中に溶解させたGH型液晶に、乳化重合法を用いた例を説明する。
【0033】
ポリマー微粒子5は以下のように形成する。
【0034】
まず、正の誘電異方性を有するネマチック液晶であるメルク社製ZLI-1840を約80重量部、マゼンタ色の二色性色素である日本感光色素研究所製G-176を約1重量部、親水性のメチルメタクリレートモノマー約7重量部、疎水性のイソブチルメタクリレート約7重量部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート約1重量部、ベンゾイルパーオキサイド約0.2重量部を混合溶解した液晶組成物を形成する。
【0035】
一方、ポリビニルアルコール約3重量部、純水約300重量部と共にホモジナイザーを用いて乳化する。この乳化したポリビニルアルコールと液晶組成物を約85℃で重合する。
【0036】
約1時間重合後、約1μmのフィルターで濾過し、小さすぎるポリマー微粒子を除去し、3回純水で洗浄して透明高分子被膜で包まれた平均粒径約3μmのポリマー微粒子を得る。なお、ポリマー微粒子の粒径は、重合時の攪拌速度や乳化膜の細孔の孔径によって調整できる。
【0037】
このポリマー微粒子を純水に分散させ、例えば、旭硝子社製ルミフロンと混合して、ポリマー微粒子を含有するシール材を形成する。ここで、準備するルミフロンは、平均粒径約0.5μmであり、すべての粒子の直径が約1μm以下であるように調整したものを用いるとよい。
【0038】
以上のようにして作成したシール材をスクリーン印刷を用いてITO付き対向基板1Bに印刷する。シール材を印刷する基板は、対向基板1Bに限らず、基板1Aであっても良い。また、印刷する例を説明したが、刷毛等によりポリマー微粒子を塗布することも可能である。
【0039】
基板1Aに対向基板1Bを熱圧着させ、幅約1μmのシール部4によって表示領域3を有するセルを形成する。このシール部4の高さ、即ち、液晶層2の厚さは、例えば2−20μm程度である。
【0040】
このセルに、例えば、日本感光色素研究所製G-176を約1重量部含有するチッソ石油化学社製液晶材料LIXON5052を注入して液晶セルを完成する。
【0041】
このようにして得られた液晶セルを温度約70 ℃、湿度約80 %の環境に500時間放置して、耐候性試験を実施した。500時間放置後の液晶セルについて、測定温度80℃、保持時間500msの条件で電圧保持率を測定したところ、98%と極めて高い信頼性を実現することができた。ここで、電圧保持率は、初めに印加した電圧を100とし、その後印加をやめて保持時間経過後の電圧を測定し、その初電圧と保持時間経過後電圧の比を百分率で表記したものである。
【0042】
シール部4内に浸入した水蒸気は、ポリマー微粒子5のポリマー壁をすり抜け、ポリマー微粒子5内の極性化合物である色素に吸着され、液晶液の一部となる。液体としての水分子は再びポリマー壁を通過することができず、水分子はポリマー微粒子5内に閉じ込められる。従って、水蒸気は表示領域3内のGH型液晶まで侵入することができない。
【0043】
シール部4は、ポリマー微粒子5のみから形成することも可能である。ただし、好ましくは、ポリマー微粒子5同士の融着を助けるバインダー6を用いるのが望ましい。また、バインダー6は防湿効果に優れるポリマー部材であることがより望ましい。
【0044】
ポリマー微粒子5間に侵入する水蒸気の存在可能性はあるが、到底表示領域3に達することはできない。なぜならば、表示領域3に達するまで、浸入した水蒸気はポリマー微粒子5間を縫うように移動することになり、その移動距離はシール幅の数十倍以上に達するからである。
【0045】
本発明のシール部4により、シール幅が小さくとも十分な防湿効果が得られる。したがって、現在主流となっている狭額縁セルのシール部をさらに狭くすることが可能となる。
(比較例)
三井化学社製シール剤XN−256Aを用い、シール壁の幅1μmを有する液晶セルを作成した。ここに第1の実施形態と同一のGH型液晶を注入し、耐候性試験を実施した。測定温度80 ℃、保持時間500 msの条件で電圧保持率を測定したところ、45%であった。
【0046】
このような大幅な保持率の低下は表示領域内への水分の侵入が原因である。
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係る概略図で、表示領域端部を示したものである。
【0047】
本実施形態においては、通常のシール壁7の外縁に配置される吸湿性のポリマー微粒子を含む微粒子シール部4を設けるものである。
【0048】
第1の実施形態と同様にして、信号線や走査線等を形成した基板1Aと、共通電極11を形成した対向基板1Bを準備する。
【0049】
シール壁7として用いる樹脂材料は防湿性に優れることが望ましい。例えば、三弗化塩化エチレン樹脂、三弗化エチレン樹脂、二弗化二塩化エチレン樹脂、一弗化三塩化エチレン樹脂、四塩化エチレン樹脂などのハロゲン化エチレン樹脂を含有する樹脂材料を用いる。
【0050】
上述の樹脂材料を、例えばスクリーン印刷法により、基板1A又は対向基板1Bの一方の基板上に幅1μmのシール壁7を形成する。
【0051】
次に、シール壁7の外縁に第1の実施形態と同様にして、吸湿性のポリマー微粒子5とバインダー6を含む微粒子シール部4を形成する。このシール部4の幅は、適宜定めることができるが、例えば、シール壁7と同程度とすることができる。
【0052】
これで、シール壁7とその外縁にシール部4からなる二重の防湿構造を得る。
【0053】
この後、基板1Aと対向基板1Bを圧着して、液晶セルを形成する。第1の実施形態と同様に、GH型液晶を注入し、液晶表示装置を完成させる。
【0054】
この液晶表示装置の耐候性試験を実施した。測定温度80 ℃、保持時間500 msの条件で電圧保持率を測定したところ、98 %と極めて高い信頼性を実現することができた。
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態に係る概略図である。
【0055】
本実施形態においては、1枚の基板上に液晶層を形成し、ポリマー保護膜を形成した単基板型の液晶表示装置である。
【0056】
第1の実施形態と同様にして、信号線、走査線等12を形成した基板1Aを用いる。
【0057】
この基板1A上に液晶マイクロカプセル50を印刷し、液晶層を形成する。この液晶層が画像表示部を構成する。
【0058】
さらに、基板1Aの周縁部に吸湿性のポリマー微粒子5をやはり印刷し、防湿シールとする。
【0059】
この上に、バインダーにITOを分散させた塗布型ITOを塗り、対向電極11を形成する。この対向電極11上に、ポリマーによる保護膜51を形成し、液晶表示装置を完成する。
【0060】
このように構成することにより、液晶層を形成するのと同様の工程を用いて、シール部を形成することができる。
【0061】
なお、本発明の防湿効果は有機系太陽電池セルにおいてもその効果を発揮することができる。有機系太陽電池の部材、特にホール輸送部は有機電界質からなり、吸湿性が著しく大きい。
【0062】
しかしながらセル内に水分が浸入すると太陽電池の各部材を劣化させてしまう。本発明による吸湿性ポリマー微粒子をシール部に存在させることにより、これらの劣化を防ぐことができる。
【0063】
また太陽電池のホール輸送部である電界質は長時間の間に徐徐に揮発し、光電変換効率が低下するものである。本発明による吸湿性ポリマー微粒子は外からの湿気の浸入を防止するだけでなく、内部の揮発性部材の散逸を防止する効果を有するものである。
【0064】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、吸湿性化合物を内包するポリマー微粒子を含有するシール材を用いてシール部を形成することにより、表示領域への湿度の侵入を防止し、高信頼性の液晶表示装置を得ることができる。
【0065】
また、本発明によるシール部は、高信頼性を維持しつつ狭額縁化に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の平面図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の部分断面図
【図3】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置のシール部を示す部分拡大図
【図4】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置のシール部を示す部分拡大図
【図5】本発明の第3の実施形態に係る液晶表示装置の断面図
【符号の説明】
1…A:基板、1B:対向基板
2…液晶層
3…表示領域
4…シール部
5…ポリマー微粒子
6…バインダー
7…シール壁
Claims (7)
- 基板と、前記基板上に形成された液晶層と、前記基板上で前記液晶層の外周を囲むシール部を具備し、前記シール部が、ポリマーからなる表皮内に吸湿性を有する物質を内包した吸湿性ポリマー粒子の集合体を含有することを特徴とする液晶表示装置。
- 前記吸湿性ポリマー粒子の中に流動性の媒体が内包され、当該媒体中に前記吸湿性を有する物質が分散されていることを特徴とすることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
- 前記吸湿性ポリマー粒子は、前記吸湿性を有する物質としてP2O5, Mg(ClO4)2, SiO2, CaSO4, CaCl2, CuSO4, から選ばれる化合物の少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示装置。
- 基板と、前記基板上に形成された液晶層と、前記基板上で前記液晶層の外周を囲むシール部を具備し、前記シール部が吸湿性ポリマー粒子を含有し、当該吸湿性ポリマー粒子がゲスト−ホスト型液晶を内包することを特徴とする液晶表示装置。
- 前記液晶層がゲスト−ホスト型液晶から成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記液晶層が液晶マイクロカプセルを含み、当該液晶マイクロカプセルと前記吸湿性ポリマー粒子はともに前記基板上に印刷されてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記シール部は、樹脂シール壁と前記吸湿性ポリマー粒子を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の液晶表示装置。
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