JP3707853B2 - プラスチック管外周切削工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック管外周切削工具に関する。詳しくは、水道管やガス管に用いられているプラスチック管の配管工事の際、継手を用いて溶融接続する場合に、予めプラスチック管表面を清浄にするためにその表面を切削するプラスチック管外周切削工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より水道管やガス管にはプラスチック管が用いられているが、その接続にはエレクトロフュージョン方式によるエレクトロフュージョン継手(以下EF継手という)が用いられている。このEF継手は、継手用プラスチック管の内周面にコイル状の電熱線が埋め込まれており、該EF継手の両端より接続すべき2本のプラスチック管の端部を挿入しておき、電熱線に電流を流して発熱させ、該EF継手の内面及びプラスチック管の外面を溶融して接続するようになっている。
【0003】
この場合、接続すべきプラスチック管の外周面に油、汚物などの異物が付着していると、それが原因となって欠陥を生じ完全な溶融接続ができない。そこで接続前に予めプラスチック管の表面を切削して清浄化しておく必要がある。このため、プラスチック管の表面を切削する工具が開発されている。
【0004】
プラスチック管の表面を切削する工具の従来例としては、特開平2−243204号公報、特開平4−35807号公報、特開平5−104301号公報、特開平5−329709号公報などがあげられる。このうちの代表例として次に特開平5−104301号公報に記載されたプラスチック管切削工具について説明する。
【0005】
これは、図8に示すように、コア1にはテーパーねじ1aが形成され、切削すべきプラスチック管2の管端部にねじ込みによって圧入されるようになっている。コア1に嵌挿される軸3には断面ラチェット歯状のねじ4が刻設され、これにコア側の爪状の歯5が係合している。これにより、軸3は回転によって前進し後退時には引き抜くことができるようになっている。
【0006】
軸3に嵌挿される取付台6は、袋ナット7のねじ込みによってカラー8との間で締着され固定される。取付台6には回転体9が着脱可能に固定され、回転体9には刃10aを有する刃取付台10がピン11により揺動可能に軸着され、ばね12によって前下りに付勢されている。
【0007】
そして、取付台6を軸3と共に回転駆動装置13により回転させることにより軸3はねじ4により取付台6と共に前進し、同時に取付台6に固定された回転体9と刃取付台10が回転し、該刃取付台10の刃10aがプラスチック管2の表面を切削しながら前進することになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のプラスチック管の表面を切削する工具では、プラスチック管の表面を切削する時、被切削プラスチック管2の外周を刃取付台10等の突出物が回転するため、該突出物で作業者を傷つけたり、ウエスなどを巻き込む等の危険を生ずるという問題があった。
【0009】
本発明は上記従来の問題点に鑑み、切削工具の表面に突出物を設けず、安全にプラスチック管の表面を切削できるプラスチック管外周切削工具を実現することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のプラスチック管外周切削工具においては、外周面が略回転放物面状を呈し、内部前方に被切削プラスチック管の外周を切削するバイトを案内する案内孔が形成され、後部中心にスピンドルを支持するボスが形成された本体と、該ボスに支持され且つばねで付勢されたラチェットを有するスピンドルと、該スピンドルに摺動自在に支持され且つ被切削プラスチック管に内挿可能な案内部及び前記ラチェットと噛み合うねじ状のラチェット溝が内面に形成されたラチェット部を有するコアと、本体に設けられた案内孔に挿入され板ばねにて押圧付勢されるバイトとを具備して成ることを特徴とする。
【0011】
また、それに加えて、前記本体は、前部の略円筒部を残し、後部にかけて平行な2面が形成されていることを特徴とする。また前記本体の後部中心に回転駆動装置の回転軸に嵌合可能な角孔が設けられていることを特徴とする。また、前記スピンドルが、本体のボスに固定されるねじ部と、スプリングで付勢されるラチェット爪と、前記コアを摺動可能に支持する軸部と、該軸部よりコアの脱出を防止するスピンドルボスとを有することを特徴とする。
【0012】
また、前記コアが、前記スピンドルのラチェット爪に係合するねじ状ラチェット溝を有する管状部と、被切削プラスチック管に挿入可能で且つその一端に被切削プラスチック管の端部に形成されたねじに螺合可能なテーパーねじ部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
この構成を採ることにより、切削工具の表面に突出物を設けず、安全にプラスチック管の表面を切削することができるプラスチック管外周切削工具が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態を示す縦断面図である。本実施の形態は、同図に示すように、本体20と、スピンドル21と、コア22と、板ばね23及びバイト24とからなる。
【0015】
そして、本体20は図2及び図3に示すように、外周面が略回転放物線面状で、前部に回転方向のすべり止め用の複数の窪み25が形成され、上部表面からばねを収容する溝26が形成され、該溝26の前部にはバイトを案内する断面略コの字形の案内孔27が形成されている。また、内部の後部中心にはスピンドルを支持するねじ孔28を有するボス29が形成され、該ボス29の後部には角孔(図は6角孔)30が形成されている。また内部中心のほぼ全長にコア22を収容する孔31が形成されている。図中32はばねを固定するためのねじ孔である。
【0016】
なお、該本体20は、図2,図3では前部の円筒部分を残し、そこから後部にかけて左右両側面を平行に形成しているが、全体が回転放物面であっても良い。
また、この本体20は金属またはプラスチックの何れで形成しても良いが、コスト的にはプラスチックを用いることが好ましい。
【0017】
前記スピンドル21は図4の分解斜視図に示すように、スピンドル本体35と、ラチェット36と、該ラチェット36を押圧付勢するコイルばね37と、スピンドルボス38とよりなる。
【0018】
そして、スピンドル本体35は本体20のボス29のねじ孔28に螺合するねじ部39に円柱形のラチエット保持部40が接続形成され、該ラチエット保持部40にコアを案内する軸部41が接続形成されている。また該軸部41の先端にはスピンドルボス38と螺合するねじ部42が形成されている。前記ラチェット保持部40には該スピンドル本体の軸に直角にラチェット保持用の孔40aが穿設されている。
【0019】
また、ラチェット36は円柱形をなし、その一方の端部に(b)図の拡大図に示すようなラチェット歯36aが形成され、他方の端部からはコイルばね37が挿入される底付き孔36bが穿設されている。そして、該ラチェット36はコイルばね37と共にスピンドル本体35のラチェット保持部40の孔40aに収容される。また、スピンドルボス38は軸部41の径よりやや大きい径を有し、ねじ部42にねじ結合してコア22の抜け出しを防止するようになっている。
【0020】
前記コア22は、図5に示すように円筒形をなし、一方の端部からは、被切削プラスチック管に挿入可能で内径は前記スピンドルボス38の外径より大きい外径を有する案内部43と、他方の端部より内面に前記ラチェット36のラチェット歯36aと噛み合うねじ状ラチェット溝45aが形成され、外周に2個のフランジ44,44′が形成されたラチェット部45と、該ラチェット部45とガイド部43との間に設けられスピンドル21の軸部41上を摺動する摺動孔部46とより構成され、前記案内部43の後端にはテーパーねじ部47が形成されている。
【0021】
前記板ばね23及びバイト24は、図6に示すように、板ばね23は(a)図の如く薄板ばね材をZ字状に折り曲げ、一端にねじ固定用の長孔23aが設けられている。またバイト24は(b)図の如く略コの字状の断面を有し、上下が点対称の形状をなしている。そして溝部24aの上下のエッジ部が刃部24bとなっている。また該刃部24bより僅かな段差Hを設けて案内部24cが形成されている。この段差Hが切削深さとなる。
【0022】
このように形成された各部材は図1の如く組み立てられる。即ちスピンドルボス38をスピンドル21より取り外しておき、かつラチェット保持部40にラチェット36及びコイルばね37を装入し、その状態で軸部41をコア22の摺動孔部46に挿入し、ねじ部42にスピンドルボス38をねじ込み固定する。次いでスピンドル31のねじ部39を本体20のボス29のねじ孔28にねじ込み固定する。なお、この時コア22の2つのフランジ44,44′間にフエルトリングを装入しておけば、ラチェット部へのゴミの侵入を防止することができる。
【0023】
次いで、本体20のバイト用案内孔27にバイト24を挿入し、該バイト24を押圧するように板ばね23をねじ48でねじ孔32に締付固定することにより組み立てられる。
【0024】
なお、スピンドル21のねじ部39にねじ孔を形成しておき、ボス29へ螺入後、6角孔部30からねじ49を挿通して締付固定すればスピンドル21の緩みを防止することができる。
【0025】
このように構成された本実施の形態の作用を図7により説明する。先ず、図7(a)に示すように、本体20よりコア22をスピンドルボス38に突き当たるまで引き出す。この場合、コア22の引出しはラチェット36及びラチェット部45の歯の角度が引出し易い方向に斜めとなっているため容易に引き出すことができる。
【0026】
次に、コア22の案内部43を被切削プラスチック管50に挿入押圧して、そのテーパーねじ部47を被切削プラスチック管50の管端に食い込ませる。次いで、本体20を被切削プラスチック管50の方へ押圧しながら回転させる。この場合、単に本体20を押圧するだけでは、ラチェットの歯の垂直部分が噛み合っているため前進させることはできないが、回転させることによりねじ状のラチェット溝45aに沿ってラチェット36が前進する。これによりバイト24は(b)図に示すように、被切削プラスチック管50の表面を切削する。
【0027】
切削が終われば、本体20を後方に引っ張ることにより容易に被切削プラスチック管50より取り外すことができる。また、本実施の形態は動力により回転させることもできる。その場合は6角ビットを電気ドリル等の駆動装置に取り付け、その6角ビットの先端を本体20の6角孔30に差し込んでおき、該駆動装置を押圧及び回転させることにより手動と同様にして被切削プラスチック管50の表面を切削することができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明に依れば、電気ドリル等の駆動装置または手動にて回転させ、ブラスチック管の表面を切削し、その表面を清浄にすることができる。その際、本体が回転しても、その表面に突出物が無いため安全である。また手動の場合、本体の平行な2面を持てって回転させれば、その回転は極めて容易である。また、本体を樹脂にて形成すれば安価となり、且つ軽量化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す図で、(a)は縦断面図、(b)は(a)図のB部拡大図である。
【図2】本発明の実施の形態における本体を示す図で、(a)は上面図、(b)は後面図、(c)は(a)図のX−X線における断面図である。
【図3】図2(a)における断面図で、(a)はa−a,(b)はb−b,(c)はc−c,(d)はd−dの各線における断面図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるスピンドルを示す図で、(a)は分解斜視図、(b)はラチェット歯の拡大断面図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるコアを示す図で、(a)は縦断面図、(b)は(a)図のB部拡大図である。
【図6】本発明の実施の形態における板ばね及びバイトを示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態の作用を説明するための図である。
【図8】従来のプラスチック管の切削工具の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
20…本体
21…スピンドル
22…コア
23…板ばね
24…バイト
25…窪み
26…溝
27…案内孔
28,32…ねじ孔
29…ボス
30…6角孔
31…コアを収容する孔
35…スピンドル本体
36…ラチェット
37…コイルばね
38…スピンドルボス
39,42…ねじ部
40…ラチェット保持部
41…軸部
43…案内部
44,44′…フランジ
45…ラチェット部
46…摺動孔部
47…テーパーねじ部
48,49…ねじ
50…被切削プラスチック管
Claims (5)
- 外周面が略回転放物面状を呈し、内部前方に被切削プラスチック管(50)の外周を切削するバイト(24)を案内する案内孔(27)が形成され、後部中心にスピンドル(21)を支持するボス(29)が形成された本体(20)と、該ボス(29)に支持され且つばねで付勢されたラチェット(36)を有するスピンドル(21)と、該スピンドル(21)に摺動自在に支持され且つ被切削プラスチック管(50)に内挿可能な案内部(43)及び前記ラチェット(36)と噛み合うねじ状のラチェット溝(45a)が内面に形成されたラチェット部(45)を有するコア(22)と、本体(20)に設けられた案内孔(27)に挿入され板ばね(23)にて押圧付勢されるバイト(24)とを具備して成ることを特徴とするプラスチック管外周切削工具。
- 前記本体(20)は、前部の略円筒部を残し、後部にかけて平行な2面が形成されていることを特徴とする請求項1記載のプラスチック管外周切削工具。
- 前記本体(20)の後部中心に回転駆動装置の回転軸に嵌合可能な角孔(30)が設けられていることを特徴とする請求項1記載のプラスチック管外周切削工具。
- 前記スピンドル(21)が、本体(20)のボス(29)に固定されるねじ部(39)と、スプリング(37)で付勢されるラチェット(36)と、前記コア(22)を摺動可能に支持する軸部(41)と、該軸部(41)よりコア(22)の脱出を防止するスピンドルボス(38)とを有することを特徴とする請求項1記載のプラスチック管外周切削工具。
- 前記コア(22)が、前記スピンドル(21)のラチェット(36)の歯(36a)に係合するねじ状ラチェット溝(45a)を有するラチェット部(45)と、被切削プラスチック管(50)に挿入可能で且つその一端に被切削プラスチック管(50)の端部に係合可能なテーパーねじ部(47)が形成されていることを特徴とする請求項1記載のプラスチック管外周切削工具。
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1996
- 1996-03-01 JP JP04468996A patent/JP3707853B2/ja not_active Expired - Fee Related
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