JP3707817B2 - ヒノキ花粉アレルゲン - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ヒノキ(Chamaecyparis obtusa)花粉症の診断、予防若しくは予防に有用な、ヒノキ花粉アレルゲン(International Union of Immunological Societiesの命名法に従って、以下Cha o I及びCha o IIという)、並びにこれらをコードするDNAに関する。
【0002】
【従来の技術】
花粉症は、空中に飛散している花粉を吸入することにより発症し、眼のかゆみや痛み等のアレルギー性結膜炎、鼻炎、皮膚の炎症或いは喘息などの症状を呈するアレルギー疾患である。
【0003】
1950年代までは、日本には花粉症は存在しないか、存在するとしても問題にならないほど稀であると考えられていた。ところが、1960年代に入ってからスギ花粉症の存在が報告され、その後1970年代になるとスギ花粉症が激増し、新聞等で話題になりはじめた(北村、「なぜ花粉症は激増するのか」扶桑社、1994年)。そして、現在では全国民の10%弱に当たる約一千万人がスギ花粉症に苦しめられている。
【0004】
スギ花粉症が激増した主な原因の一つは、日本の林業政策にあると言われている。つまり、第二次大戦以前には人工スギ林はおろか、天然スギ林もほとんど存在しなかったが、1958年以降には天然林を伐採して人工造林するという拡大造林政策のもとで、スギという単一樹種が短期間に一斉に植えられ、その結果、花粉産生の適齢期である林齢16-35年になった1970年代以降に花粉症が激増したものと考えられている(斉藤、井手、「花粉症の科学」化学同人、1994年)。
【0005】
ヒノキ花粉症は、まだスギ花粉症ほどには一般の話題にはなっていないが、スギ花粉症の激増した原因と同じ理由によって、今後増大して行くと予想されている。
【0006】
すなわち、建築用材としての付加価値の高さから、スギが伐採された後にヒノキが植えられるようになり、日本の針葉樹の人工林の植樹面積のうち、スギ45%に対して、ヒノキは23%に達している(1986年林野庁の調査)。その結果、1993年2月から4月の鳥取市における飛散花粉中のヒノキ花粉数とスギ花粉数の比は1.83:1に達しており、ヒノキ花粉がスギ花粉よりも多くなっている(岡野、西岡、永野、太田、増田、「アレルギ−」43(9)、1179-1184、1994年)。同様に静岡市でも、ヒノキ花粉数を測定し始めた1991年から年々増加し、1993年にはスギとヒノキの花粉数の比が5.6:4.4に達しているとの報告がなされている(荒木、後藤、後藤、矢島、日本鼻科学会会誌、74、1994年)。
【0007】
また、ヒノキ花粉がスギ花粉と共通の抗原性を持つことが報告されており(榎本、芦田、井手、「アレルギ−の臨床」11(14)、(1093)73、1991年)、スギとヒノキのそれぞれの主アレルゲンでの免疫学的な反応性の比較検討も行われた(井手、芦田、「アレルギ−の臨床」11(3)、174-178、1991年)。さらに最近では、春期花粉症患者のアレルゲン特異的IgE抗体陽性率を検討したところ、スギ花粉に陽性の患者が83.5%、ヒノキ花粉に陽性の患者が80.0%であり、76.4%の患者がスギとヒノキの両者に陽性であった、との報告もなされている(岡野、西岡、永野、太田、増田、「アレルギ−」43(9)、1179-1184、1994年)。これらの報告が示すように、スギ花粉症の患者はヒノキ花粉でも症状を発現し、逆もまた成り立つことが一般的な認識となっている。
【0008】
このように、ヒノキ花粉の飛散量がスギ花粉の飛散量とほぼ同量あるいは上回るようになりつつあり、しかも、ヒノキ花粉がスギ花粉と共通の抗原性を有しているため、今後10年以内にはヒノキ花粉症の患者数がスギ花粉症の患者数を上回る可能性がある。従って、ヒノキ花粉症の治療薬及び予防薬を開発する意義は非常に大きいものと考えられる。
【0009】
アレルギー性疾患を形成するアレルギー反応は、R. G. H. GellとR. R. A. CoombsによりI型〜IV型の4種に分類されており、ヒノキ花粉症はI型に属する。
【0010】
I型アレルギーの発症機序は以下の通りである。
【0011】
アレルギー反応を引き起こす分子をアレルゲン(本明細書では抗原ともいう)というが、花粉の場合このアレルゲンがタンパク質抗原である。これらの外来タンパク質抗原が体内に侵入すると、抗原提示細胞(マクロファージ)に取込まれ、タンパク分解酵素によって分解されてペプチド断片になり、主要組織適合抗原複合体(Major Histocompatibility Complex: MHC)クラスII分子(ヒトではHLAクラスII分子)と結合した状態で、細胞膜上に提示される。HLAクラスII分子は多型性を示すが、CD4+T細胞のレセプターは、HLAクラスII分子と結合した抗原ペプチドを、そのHLAクラスII分子の多型性を示す部分と共に認識し、抗原特異的に活性化される。活性化されたCD4+T細胞は、Th0細胞、Th1/Th2細胞に分化し、種々のサイトカインを産生する。その際、それぞれの細胞のサイトカイン産生パターンは異なっており、Th1はIL-2、IFNγを、Th2はIL-4、IL-5、IL-10等を、Th0は両者のサイトカインを産生する。
【0012】
一方、B細胞は細胞表面にIgMあるいはIgDを表現しており、抗原を細胞内に取込むことによって活性化される。その際、Th2から産生されるサイトカインの作用によって、活性化されたB細胞は抗体産生細胞にまで分化増殖し、抗原特異的な免疫グロブリンE(IgE)を産生する。このようにして産生されたIgEは、気道あるいは鼻粘膜組織中のマスト(肥満)細胞や血液中の好塩基球にIgEレセプターを介して強固に結合し、感作が成立した状態になる。
【0013】
再び、アレルゲンが体内に侵入すると、1分子のアレルゲンは、直ちにマスト細胞や好塩基球上の2分子のIgEと結合し、架橋構造を形成する。その結果、IgE分子と結合しているレセプター同士が会合し、これが引き金となって、細胞膜内の幾種類もの酵素が活性化され、ヒスタミンやプロスタグランジン、ロイコトリエンといった種々の化学伝達物質が細胞から放出される。これらの化学伝達物質が鼻粘膜や気道などの局所に作用して、色々なアレルギー症状を引き起こす。
【0014】
なお、T細胞によって認識されるエピトープをT細胞エピトープ、B細胞及び抗体によって認識されるエピトープをB細胞エピトープという。
【0015】
アレルゲンのエピトープは、I型アレルギーの発症及び増悪に直接関与していると考えられるので、アレルゲンのエピトープを同定することは、I型アレルギーの診断、予防及び治療に有用である。
【0016】
スギ花粉については、その主要アレルゲンであるCry j I(分子量45〜50kDa)とCry j II(分子量45kDa)のそれぞれをコードするcDNAが既にクローニングされており、推定全アミノ酸配列も明らかにされている(Cry j I:WO94/01560、"ALLERGENIC PROTEINS AND PEPTIDES FROM JAPANESE CEDAR POLLEN"、Cry j II:Komiyama, N., Sone, T., Shimizu, K., Morikubo, K., and Kino, K., Biochem. Biophys. Res. Commun. 201, 1021-1028 (1994))。しかしながら、ヒノキ花粉アレルゲンのcDNAのクローニング及び推定アミノ酸配列については、まだ報告がない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ヒノキ花粉アレルゲンCha o Iを単離精製し、かつ、遺伝子工学的な手法を用いて、Cha o Iの全一次構造配列を明らかにすることである。すなわち本発明は、Cha o Iについて、それをコードするDNA配列及び当該DNA配列から推定されるアミノ酸配列を提供することを目的とする。
【0018】
さらに本発明は、もう一つのヒノキ花粉アレルゲンと考えられるCha o IIについて、Cry j IIの一次構造配列の情報をもとにして、Cha o IIをコ−ドするDNA配列を明らかにし、該DNA配列から推定されるCha o IIのアミノ酸配列を提供することを目的とする。
【0019】
本発明の他の目的は、Cha o I及びCha o IIのアミノ酸配列に基づき、Cha o I及びCha o IIのT細胞エピトープ及びB細胞エピトープを同定し、これらのエピトープを含むペプチドを用いて、抗原特異的なヒノキ花粉症治療・予防薬を開発することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題のうち、ヒノキ花粉アレルゲンのDNA配列及び該配列がコードするアミノ酸配列を決定するためには、
(1)ヒノキ花粉アレルゲンの単離精製
(2)ヒノキ花粉症患者血清IgEとの反応性の確認
(3)cDNA配列の決定と該配列に基づく全アミノ酸配列(一次構造)の解明を行う。T細胞エピトープを同定するには、更に、
(4)ヒノキ花粉アレルゲンの全アミノ酸配列をカバーするオーバーラップペプチドの作製
(5)ヒノキ花粉アレルゲンを特異的に認識するT細胞ラインを個人別に樹立
(6)抗原提示細胞(B細胞株)の樹立
(7)T細胞エピトープを含むオーバーラップペプチドの同定
の各ステップを経る必要がある。
【0021】
B細胞エピトープを同定するには、上記(4)に続いて、
(5)'酵素抗体法による一次スクリーニング
(6)'競争阻害試験
(7)'ヒスタミン遊離阻害試験
の各ステップを経る必要がある。これらのステップを以下詳細に説明する。
【0022】
(1)ヒノキ花粉アレルゲンの分離と精製及び同定
▲1▼ヒノキ花粉アレルゲンの分離・精製
ヒノキ花粉を有機溶媒で脱脂し風乾する。乾燥した花粉に抽出緩衝液(10 mM Tris緩衝液、pH 7.8)を加え、ホモジェナイザ−でホモジェナイズし、遠心してその上清を得る。pHを再度pH 7.8に調整した後、抽出緩衝液で平衡化したイオン交換カラムに懸け、非吸着分画を集める。これを10 mM 酢酸緩衝液、pH 5.0で透析し、さらに同じ緩衝液で平衡化させたイオン交換カラムに吸着させ、0.5 M NaCl、10 mM Tris緩衝液、pH 7.8で溶出させる。さらに、C4逆相カラムを用いた液体クロマトグラフィ−(HPLC)で最終精製を行う。
【0023】
精製されたヒノキ花粉アレルゲンの一つであるCha o Iを、還元条件下のSDS-ポリアクリルアミドゲル(8%)電気泳動(SDS-PAGE)にかけた結果を、模式的に図1に示す。Cha o Iは、約49KDa及び約52KDaの位置にバンドが現れる。これは、タンパク主鎖が同一で糖鎖構造の違いにより、2本のバンドとして認められるものと考えられる。
【0024】
▲2▼精製ヒノキ花粉アレルゲンの部分一次構造解析
精製したヒノキ花粉アレルゲンのN末端からの一次構造配列の解析は、エドマン分解法、DABITC法、DNS-Cl法(ダンシル法)、アミノペプチダーゼ法等の周知の方法を用いることができる。エドマン分解法による自動分析装置(プロテインシークエンサー)を用いて、Cha o IのN末端から23残基解析した結果を図2に示す。なお、比較のために、Cry j IのN末端の一次構造(Taniai M., et al., FEBS Lett., 239, 329-332, 1988;Sone T., et al., Biochem. Biophys. Comm. 199, 619-625, 1994)と並べて示す。
【0025】
(2)ヒノキ花粉症患者血清IgEとの反応性の確認
上記の方法でスギ花粉より単離精製されたタンパク質が、ヒノキ花粉アレルゲンであることを確認するために、ヒノキ花粉症患者血清IgEとの反応性を測定する。精製タンパク質を96穴プレートにコーティングし、ヒノキ花粉症患者血清を加えて反応させる(陰性対照として健常人の血清を用いる)。反応終了後プレートの各穴をよく洗浄した後、標識抗IgE抗体と反応させる。反応終了後、プレートの各穴をよく洗浄し、発色物質を加えて反応させる。反応を停止させ、発色の度合を測定する。Cha o Iについての結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
Figure 0003707817
ヒノキ花粉症患者血清IgEのCha o Iに対する反応性は、健常人血清IgEのCha o Iに対する反応性の2〜60倍に達することから、Cha o Iはヒノキ花粉アレルゲンの一つであると考えられる。
【0027】
(3)cDNA配列の決定と該配列に基づく全アミノ酸配列(一次構造)の解明
▲1▼cDNAのクローニング
a. RNAの抽出
RNAを抽出する際、初期段階で蛋白質を除去する必要がある。このため一般的な方法として、フェノール抽出方法、グアニジウム塩、界面活性剤、尿素などの蛋白質変性剤などを用いる方法がある。
【0028】
ヒノキ花粉からのRNA抽出は、Breitenederら(Int. Arch. Allergy Appl. Immunol. 87: 19-24, 1988)の方法に改良を加えて行うことが出来る。
【0029】
ヒノキ花粉を、10〜20倍量の抽出緩衝液(100mM LiCl、10mM Na2EDTA、1%SDS、20%メルカプトエタノール、100mM Tris-HCl pH 9.0)に懸濁し、これに等量のフェノールとクロロホルムの混液(フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール=24 : 24 : 1)を加えホモジェナイズする。次いで遠心(10,000g、10〜15分)し、フェノール・クロロホルム層と、水層の二層に分離する。このとき変性した蛋白質はフェノール・クロロホルム層に、核酸は水層に移行する。水層にフェノール・クロロホルム混液を加え、振盪し水層に残存している蛋白質などの不純物をフェノール・クロロホルム層に移行させ除去する。このような操作を2回繰り返す。
【0030】
得られた水層からRNAを抽出するには、高濃度のLiCl(2〜4M)またはCH3COONa(3M)が存在すると、DNA及び蛋白質は上清に残り、tRNA以外のRNAは沈殿する性質を利用する。すなわち、水層に同量の2〜4MのLiClを添加し、RNAを沈殿させる。次いでこの水層を水に溶解し、2.5〜3容の冷エタノール(-20℃)を加え、RNAを沈殿させる(エタノール沈殿)。次いで遠心(10,000g、30分)して沈殿を回収し、水に溶解して全RNA分画を得る。
【0031】
b. mRNAの調製とcDNAライブラリーの作製
Cha o I及びCha o IIのmRNAは、3'末端にポリ(A)鎖を持つので、これと相補するリガンドである、12〜18塩基のデオキシチミジン(dT)を結合したオリゴdTセルロースカラム(Clonetech Laboratories Inc.社製、米国カリフォルニア州)に吸着される。そこで、ヒノキ花粉RNAに緩衝液(3M NaCl、1mM EDTA、10mM Tris-HCl、pH7.4)を加えてmRNAをカラムに吸着させる。次いで、ベッド体積の2〜3倍量のNaClを含まない緩衝液(1mM EDTA、10mM Tris-HCl、pH7.4)でmRNAを溶出する。得られたmRNAからのcDNAライブラリーの作製は、ファージをベクターとして用いるcDNAライブラリー作製キット、例えばcDNA Synthesis Kit(Pharmacia P-L Biochemicals Inc.社製)により行うことが出来る。
【0032】
c. cDNAのスクリーニング
ヒノキ花粉より抽出されたmRNAをNorthern Blotし、Cry j I cDNAあるいはCry j II cDNAをプローブとしてハイブリダイゼーションを行うと、Cry j I、Cry j IIともに、スギ花粉mRNAと同程度にヒノキ花粉mRNAともハイブリダイズする。このため、Cha o IはCry j Iと、Cha o IIはCry j IIとそれぞれ相同性が高いと予想される。そこでCha o I cDNAのクローニングのためのプローブとしてはCry j I cDNAを、Cha o II cDNAのクローニングのためのプローブとしてはCry j II cDNAを用いる。
【0033】
すなわち、全長のCry j I cDNA及びCry j II cDNAを[α-32P]dCTPを用い、マルチプライムDNAラベリングシステム(Amersham International plc.社製、英国Buckinghamshare)によって標識し、プラークハイブリダイゼーション法により、上記b.で作製したcDNAライブラリーから、陽性クローンをスクリーニングする。得られた陽性クローンよりファージDNAを調製し、挿入cDNA断片を分離して、pUC18等のプラスミドにサブクローンする。必要に応じてオリゴヌクレオチドプライマーを合成し、Sanger法により塩基配列を決定してクローンを同定する。
【0034】
本発明者らが単離したCha o I cDNAの全長の塩基配列を配列番号5に、Cha o II cDNAの全長の塩基配列を配列番号8に示す。
【0035】
Cha o IをコードするcDNAは全体で1260bpからなり、翻訳開始と想定されるコドン(50〜52位のヌクレオチドATG)から終止コドン(1175〜1177位のヌクレオチドTGA)に至るオープンリーディングフレームを含み、375アミノ酸をコードしている。オープンリーディングフレーム部分の塩基配列を配列番号4に示し、該塩基配列がコードするアミノ酸配列を配列番号2に示す。配列番号4で示される塩基配列には、個体間での対立遺伝子変異による多型性(polymorphism)及びその結果としてのアミノ酸配列の変異が考えられるが、そのような変異を有するCha o Iの塩基配列及びアミノ酸配列も本発明に包含される。また、配列番号5の113〜142位のDNA配列がコードするアミノ酸配列は、Asp、Asn、Pro、Ile、Asp、Ser、Cys、Trp、Arg、Glyであり、精製Cha o IのN末端の一次構造配列(図2)と一致する。N末端の21アミノ酸は、シグナルペプチドに特徴的な疎水性アミノ酸に富み、また精製Cha o Iには含まれていないことから、シグナルペプチドと考えられる。
【0036】
113位から終止コドン1175〜1177位までのDNA配列がコードするCha o I(配列番号1)は、N末端のAspからC末端のSerまで354個のアミノ酸残基からなり、成熟型Cha o Iと考えられる。該成熟型Cha o Iに対応する塩基配列を配列番号3に、該塩基配列がコードするアミノ酸配列を配列番号1に示す。
【0037】
配列番号1に示すアミノ酸配列からなるCha o Iの理論上の分子量は38,082Daである。一方、精製Cha o Iは、還元条件下のSDS-PAGEで約49KDa及び約52KDaの位置にバンドが現れる。また、成熟型Cha o Iのアミノ酸配列の中には、N-グリコシド結合の可能性のあるAsn-X-Ser/Thrが存在する。このことから、Cha o Iは糖鎖を有していると考えられる。
【0038】
Cha o IIをコードするDNAは、全体で1772bp(配列番号8)からなり、翻訳開始と想定されるコドン(32〜34位のヌクレオチドATG)から終止コドン(1574〜1576位のヌクレオチドTAA)に至るオープンリーディングフレームを含み、514アミノ酸をコードしている。オープンリーディングフレーム部分の塩基配列を配列番号7に示し、該塩基配列がコードするアミノ酸配列を配列番号6に示す。配列番号7で示される塩基配列には、個体間での対立遺伝子変異による多型性(polymorphism)及びその結果としてのアミノ酸配列の変異が考えられるが、そのような変異を有するCha o IIの塩基配列及びアミノ酸配列も本発明に包含される。
【0039】
Cha o I及びCha o IIをコードするDNAの全長またはその一部を含むDNAは、螢光標識、放射性標識或いは酵素標識によって標識することにより、生化学検査または関連タンパク質若しくは類似の配列を含むタンパク質をコードするDNAのスクリーニング等のためのプローブやプライマーとして使用できる。また発現ベクターに接続して、Cha o IあるいはCha o IIを発現させることができる。
【0040】
▲2▼組換えヒノキ花粉アレルゲンのcDNAの発現
組換えCha o Iまたは組換えCha o IIは、それぞれをコードするcDNAを発現ベクターに組込み、大腸菌、昆虫細胞、酵母あるいは哺乳動物細胞などに導入し、これらの細胞を培養することにより得ることができる。しかし、大腸菌などの原核細胞を使う発現系は、適切な糖鎖の付加(glycosylation)が行われないために、Cha o IまたはCha o IIの発現には酵母などの真核細胞を使用することが好ましい場合がある。
【0041】
Cha o IまたはCha o IIのいくつかの発現システムの例を以下に示す。
【0042】
a. 大腸菌での発現T7ファージのプロモーターとRNAポリメラーゼを用いる系(F. W. Studier, A.H. Rosenberg, J. J. Dunn, J. W. Dubendonff, "Methods in Enzymology", ed. by D. D. V. Goeddel, vol. 185, p. 60, Academic Press, New York, 1990)は、極めて発現の成功率が高いので、本発明に使用できる。この系は、T7ファージのRNAポリメラーゼ遺伝子を持つ大腸菌宿主BL21(DE3)に、T7ファージプロモーターの下流のマルチクローニングサイトに目的の遺伝子(本発明ではCha o I cDNAまたはCha o II cDNA)を挿入した組換えプラスミドを導入して、IPTG存在下で、目的の遺伝子を発現させるシステムである。例えば発現ベクターとしてpGEMEX-1(Promega社製)などが使用できる。
【0043】
また、目的の蛋白質を、大量発現可能な蛋白質と融合させて発現させる系が市販されており、これらの系は精製にアフィニティーカラムが使え、精製効率がよく、本発明に好適に使用できる。例えば、融合蛋白質にβ-ガラクトシダーゼを有する発現ベクターpUEX(Amersham社製)を用いると、組換えCha o Iまたは組換えCha o IIはβ-ガラクトシダーゼとの融合蛋白質として得られ、アフィニティカラムで効率よく精製することができる。また、グルタチオンS-トランスフェラーゼを有するpGEX(Pharmacia社製)や、マルトース結合蛋白質を用いたpMAL(New England Biolabs社製、米国マサチューセッツ州Berverly)などは、その融合部位に血液凝固因子Xaの切断部位が導入されており、Cha o IやCha o IIを分離することができる。
【0044】
b. 酵母での発現
酵母を宿主とする系は発現産物のglycosylationが可能であり、このことは糖蛋白質であるCha o I及びCha o IIの発現に好都合である。例えば酵母による異種蛋白質の発現系としては、ピキア酵母を宿主として用いる方法が知られており(特開昭61-108383、特開昭61-173781、特開昭63-44899、特開平1-128790等)、本発明に好適に使用できる。その他の酵母宿主−ベクター系については、D. Emr Scott, "Methods in Enzymology", ed. by D. V. Goeddel, vol. 185, p.231, Academic Press, New York (1990)に詳述されており、本発明で使用できる。
【0045】
a. 昆虫細胞での発現昆虫細胞を宿主とする系は発現産物のglycosylationが可能である。バキュロウイルスを用いた外来遺伝子発現システムは市販されており(PharMingen社製、米国カリフォルニア州San Diego)、本発明に使用できる。このシステムについては、Luckow, V. A.らのTrends in the Development of Baculovirus Expression Vector, Bio/Technology(1987年9月11日)に記載されている。
【0046】
d. 哺乳動物細胞での発現
本発明のCha o I及びCha o IIのcDNAは、哺乳類プロモーター(例えばメタロチオネインプロモーター)、ウイルスプロモーター(例えばSV40初期プロモーター)等を持つ発現ベクターに組み込み、哺乳動物細胞に導入することにより高発現させることができる。
【0047】
(4)オーバーラップペプチドの合成
ヒノキ花粉症患者のT細胞あるいはB細胞が認識する、Cha o IあるいはCha o IIのT細胞エピトープあるいはB細胞エピトープを、分子レベルで余すところなく解明するために、Cha o I cDNAあるいはCha o II cDNAのコードする推定アミノ酸配列に基づき、オーバーラップペプチドを作製する。これらのオーバーラップペプチドは、市販されているペプチド自動合成装置により容易に合成することができる。これらのオーバーラップペプチドの中から、少なくとも一つのT細胞エピトープを含むペプチドあるいは一価のB細胞エピトープを含むペプチドを同定する。
【0048】
<T細胞エピトープの同定>
(5)T細胞ラインの樹立
T細胞エピトープを同定するためには、ヒノキ花粉症患者の末梢血リンパ球から、Cha o IあるいはCha o IIを特異的に認識し、増殖応答するT細胞ラインを患者毎に樹立する必要がある。一般に、患者毎に反応するT細胞エピトープが異なるので、患者毎にT細胞ラインを樹立することが好ましい。Cha o IあるいはCha o II抗原特異的なT細胞ラインを樹立するには、通常患者の末梢血リンパ球をCha o IあるいはCha o II抗原の存在下、7日間程度培養して抗原刺激によりT細胞を活性化し、さらに、活性化T細胞を、抗原と抗原提示細胞と共に7日間培養することを数回繰り返して抗原刺激することにより、抗原特異的T細胞ラインを作製することができる。しかしながら、T細胞が増殖因子のIL-2の存在下でよく増殖している場合は、抗原刺激は最初だけにすることが望ましい。T細胞ラインを数度抗原刺激すると、増殖率の高いT細胞が選択的に取れ、T細胞エピトープを含むペプチドを同定する場合において、エピトープによっては十分な増殖応答を示さない場合が生じる。
【0049】
使用する抗原としては、天然のCha o I抗原あるいはCha o II抗原が最も望ましいが、極微量しかヒノキ花粉から抽出できないことから、組換えCha o I、組換えCha o II、あるいはオーバーラップペプチドの混合物も好適に使用できる。組換えCha o Iや組換えCha o IIは、大腸菌で発現させ精製したものが利用できる。
【0050】
(6)抗原提示細胞(B細胞株)の樹立
抗原提示細胞としては、T細胞ラインと同一人の末梢血リンパ球を、マイトマイシンC処理あるいは放射線照射して増殖能力を失わせたものが望ましいが、採血回数が多くなるため好ましくない。そこで、Epstein-Barr virus(EBV)を自己のBリンパ球に感染させ、トランスフォーメーションを起こさせたものは、in vitroで増殖し続けリンパ芽球様細胞株(B細胞株)となるので、このB細胞株を抗原提示細胞として用いてもよい。B細胞株の樹立方法は既に確立されている[組織培養の技術第二版、187-191頁、日本組織学会編(1988.8.10)]。
【0051】
(7)T細胞エピトープを含むオーバーラップペプチドの同定
それぞれの患者固有のT細胞ラインが認識する、T細胞エピトープを含むペプチドは以下のようにして同定される。ここで”認識する”という意味は、T細胞レセプターが抗原エピトープ(MHC分子を含めて)と特異的に結合し、その結果、T細胞が活性化されることを意味し、活性化の状態は、リンホカインの産生や、DNAの合成を[3H]チミジンの取込み量を指標として測定することにより観察される。すなわち、T細胞ラインとマイトマイシンC処理した同一人のB細胞株とを、96穴平底プレートに播種し、オーバーラップペプチドと共に混合培養し、[3H]チミジンの取込み量(cpm)を液体シンチレーションカウンターで測定する。その際、[3H]チミジンの取込みは、個々の培養系で異なるため、個々のペプチドに対するT細胞ラインの[3H]チミジン取込み量(cpm)を、抗原を添加していないコントロールの[3H]チミジン取込み量(cpm)で除した値(stimulation index: SI)が一定値以上(例えば2)をT細胞エピトープを含むペプチドと同定する。
【0052】
このようにして同定されるCha o IあるいはCha o IIの少なくとも一つのT細胞エピトープを含むペプチドについては、以下のことが考えられる。
【0053】
HLAクラスII分子と結合して抗原提示されるペプチドの長さは、ペプチドの解析結果(Chicz, R. M. et al.: J. Exp. Med., 178: 27-47, 1993)から、およそ10〜34のアミノ酸残基からなるものと考えられるので、少なくとも一つのT細胞エピトープを含むペプチドは、このような長さのペプチドも含まれる。また、これらのペプチドに、アミノ酸置換、欠失あるいは付加などの修飾を行い、これらの修飾ペプチドに対する患者毎のT細胞ラインの増殖応答を測定することによって、Cha o IあるいはCha o IIの少なくも一つのT細胞エピトープを含むペプチドと免疫学的に同機能を有する修飾ペプチドを容易に作製することも可能である。
【0054】
現在、減感作療法で使用されている減感作剤は花粉から抽出された粗抗原であり、多量の多糖類を含んでいる。ロット差がかなりあり、一旦減感作療法を開始した後、ロットを変えるとアナフィラキシーを起こすことが稀にある。また、減感作の治療効果も、減感作治療が開始されて以来余り改善されておらず、減感作療法で著効と診断されるのは約30%の患者である。
【0055】
T細胞のエピトープを含むペプチドのうち、ヒノキ花粉症患者の半分以上のT細胞ラインと反応する各々のペプチドは、これらの各ペプチドを単独もしくはいくつかを混合したペプチドを用いて減感作療法を行った場合には、治療した患者の半分以上で減感作が行える可能性がある。また、使用するペプチドは、化学的に合成されたペプチドであるため、アナフィラキシーのような副作用を生じる可能性は低くなると考えられる。
【0056】
また、T細胞エピトープを含むペプチドを経口投与して、経口免疫寛容を行うことも可能と考えられる。経口免疫寛容(経口減感作)は現在開発中の治療法であるが、可能性を示唆する結果が報告され始めている。例えば、Myelin Basic ProteinのT細胞エピトープ(ペプチド配列21-40、71-90)をマウスに経口投与すると、Experimental Autoimmune Encephalomyelitis(略してEAE)発症を抑制したことが報告されている[上野川修一、久恒辰博、八村敏志、経口免疫寛容の分子生物学、蛋白質核酸酵素、39、2090-2101(記載頁2098右、9-24行)1994年]。これらの例から、ヒノキ花粉症においても、同定したT細胞エピトープを含むペプチドをそのまま経口投与するか、あるいは胃で消化されないように何らかのカプセルに封入する等の工夫を行って経口投与すれば、免疫寛容状態になる可能性がある。ヒノキ花粉飛散時期の前、具体的には12〜1月期に経口的にT細胞エピトープを含むペプチドを投与し、免疫寛容状態を誘導しておく。この状態だとヒノキ花粉が飛散して鼻粘膜に花粉が付着しても、症状が出ないか、あるいは症状が軽くなることが期待される。
【0057】
さらにまた、T細胞のエピトープを含むペプチドにアミノ酸置換を入れたアナログペプチドを合成し、HLAクラスII分子には結合するが、T細胞には情報が伝わらないアナログペプチドを同定する。これらのペプチドは、例えば点鼻薬として患者に使用すれば、天然のT細胞エピトープを競合的に阻害するので、発症予防が期待される。
【0058】
<B細胞エピトープの同定>
Cha o I及びCha o IIには、IgE抗体が特異的に結合する独立したB細胞エピトープが複数(多価エピトープ)存在する。これらの独立したそれぞれの一価のB細胞エピトープを含む1分子の部分ペプチドは、Cha o IあるいはCha o IIで感作された肥満細胞及び好塩基球上の、対応する1分子のIgE抗体とのみ結合すると考えられる。従ってこのような部分ペプチドを合成し投与すれば、Cha o IあるいはCha o IIとIgE抗体との結合を抗原特異的に阻害し、I型アレルギー発症のために必要不可欠な架橋構造形成を抑制することが可能であると考えられる。この場合2分子のIgE抗体が結合するCha o I分子上あるいはCha o II分子上のエピトープの構造は互いに異なっているので、その一方のエピトープのみを含む部分合成ペプチドでも架橋構造の形成を抑制することが可能である。
【0059】
このような一価のB細胞エピトープを含むペプチドを合成するためには、Cha o IあるいはCha o IIのB細胞エピトープを同定する必要がある。
【0060】
Cha o Iの全一次構造については、本発明者らにより明らかにされたので、一価のB細胞エピトープを含むペプチドは次の方法を用いて同定することができる。Cha o Iの全一次構造をカバーする4〜10残基のアミノ酸残基からなる部分ペプチドを、ペプチドシンセサイザーにより化学合成する。この場合、B細胞エピトープ部分の破壊を防ぐために、ペプチド間でのオーバーラップ部分を3〜8残基程度とする必要がある。
【0061】
Cha o IIについても、その一次構造が解明されれば、上記と同様の方法を用いて、一価のB細胞エピトープを含むペプチドを用いて同定することができる。
【0062】
このようなオーバーラップペプチドの中から目的の一価のB細胞エピトープのみを含むペプチドをスクリーニングするには、抗原抗体反応に基づいた以下の方法が用いられる。
【0063】
(5)'酵素抗体法による一次スクリーニング
オーバーラップペプチドと、RAST値4以上のヒノキ花粉症患者血清IgE抗体とを、96穴プレート中で室温で反応させた後、緩衝液(pH7.5)で洗浄し患者血清を除く。次いで酵素標識抗ヒトIgE抗体を加えて室温で一晩反応させた後、前記と同じ緩衝液で洗浄する。4-メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトピラノシド溶液を96穴プレートに加えて発色させ、96穴プレート用の螢光分光光度計で各ウェルの吸光度を測定する。
【0064】
(6)'結合阻害試験
一次スクリーニングで患者血清中のIgE抗体と結合する領域を含むいくつかのペプチドが得られるが、これらのペプチドが患者IgE抗体とCha o IあるいはCha o IIとの結合を阻害するかどうかを、前記と同様の酵素抗体法で調べる。
【0065】
Cha o IあるいはCha o IIを96穴プレートにコーティングし、ブロッキングを行った後、患者プール血清と所定濃度のペプチドを加えて、37℃で4時間、または室温で一晩反応させる。プレートを洗浄後、酵素標識IgE抗体を加えて一晩反応させ、再度プレートを洗浄する。基質溶液を加え37℃2時間反応させた後反応停止液を加え、螢光分光光度計で各ウェルの吸光度を測定する。
【0066】
(7)'ヒスタミン遊離阻害試験
患者IgE抗体と、Cha o IあるいはCha o IIとの結合を阻害するペプチドが、ヒノキ花粉症発症に必要不可欠な架橋形成を抑制するかどうかを、患者好塩基球からのヒスタミン遊離阻害試験により調べる。ヒノキ花粉症患者の好塩基球には、すでにCha o IあるいはCha o IIに特異的な患者IgE抗体が結合して存在しており、これらのIgE抗体に対応する一価のエピトープを有するペプチドは、IgE抗体と結合することにより、Cha o IあるいはCha o IIによる架橋形成を阻止し、感作好塩基球からのヒスタミン遊離を阻止すると考えられる。この阻害試験は次のようにして実施することができる。ヒノキ花粉症患者から得られたヘパリン化末梢血とペプチドとを反応させる。次いでCha o IあるいはCha o IIを加えて反応させた後、遠心分離しその上清中の遊離ヒスタミン量を栄研化学(株)のヒスタミンキット"栄研"を用いて測定する。
【0067】
目的のヒノキ花粉症患者の新鮮血が入手できない場合は、受身のヒスタミン遊離阻害試験の実験系を用いる。アロタイプのヒノキ花粉症患者からヘパリン採血した血液の白血球を酸性下で処理し、同患者の好塩基球に結合しているIgE抗体を脱離させた後、目的のヒノキ花粉症患者の血清を加えて反応させ、患者血清のIgE抗体を好塩基球上のIgEレセプターに結合させ、人為的にヒノキ花粉症患者血清IgEで受身感作された好塩基球を作り出す。この好塩基球を用いてヒスタミン遊離阻害試験を行うことが可能である。
【0068】
以上のようにして得られた一価のB細胞エピトープを含むペプチドは、そのままで抗アレルギー剤としての利用が期待できるが、生体内酵素により分解を受ける部位を有している場合には、一価のエピトープ部位はそのままで、酵素に感受性のある部位を他のアミノ酸或いは他の化学構造に置換して用いることもできる。あるいは、構成L体アミノ酸の一部をD体に変換したものも用いることができる。
【0069】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0070】
<ヒノキ花粉の採取>ヒノキ花粉は愛知県内で4月に伐採されたヒノキの枝に着花した雄花から採取した。抗原精製用のヒノキ花粉は-70℃で保存し、RNA調製用のヒノキ花粉は液体窒素中で急速凍結した後、-70℃で保存した。
【0071】
<Cha o Iの分離と精製>ヒノキ花粉2.4gをエ−テル30mlで3回脱脂した後、これを一晩室温で風乾した。乾燥した花粉に50mlの10 mM Tris緩衝液、pH 7.8を加え、テフロンホモジェナイザ−でホモジェナイズし、12,000×g、20分遠心してその上清を得た。pHを再度pH 7.8に調整した後、10 mM Tris緩衝液、pH 7.8で平衡化したDE-52イオン交換カラム(Whatman社製)に添加し、非吸着分画を集めた。これを10 mM 酢酸緩衝液、pH 5.0で透析し、さらに同じ緩衝液で平衡化させたCM-52イオン交換カラム(Whatman社製)に吸着させ、0.5 M NaCl、10 mM Tris緩衝液、pH 7.8でCha o Iを溶出させた。さらにC4逆相カラム(Vydec社製)を用いたHPLCで最終精製を行った。
【0072】
精製Cha o Iを、比較のために精製Cry j Iと同時に、還元条件下のSDS-PAGEにかけた。得られた泳動バンドを模式的に表したものを図1に示す。
【0073】
左端のレーンは分子量マーカーであり、上から順に、フォスフォリラーゼb(94KDa)、ウシ血清アルブミン(67KDa)、オボアルブミン(43KDa)及びカルボニックアンヒドラーゼ(30KDa)である。Cha o Iは、右端のレーンに2本のバンドとして認められ、中央のレーンのCry j Iの2本のバンド(約47KDa及び約44KDa)よりわずかに大きく、それぞれ約49kDa、及び約52KDaであった。
【0074】
Cha o Iで認められる2本のバンドは、Cry j Iでも同じように認められ、タンパク主鎖は共通であるが糖鎖構造の違いによって2本のバンドとして認められることが報告されている(Taniai M. et al., FEBS Lett. 239, 329-332, 1988)。従って、Cha o IもCry j Iと同様に、糖鎖の違いによって2本のバンドとして認められたものと考えられる。
【0075】
<精製Cha o Iの部分一次構造解析>
精製したCha o IのN末端から23残基の一次構造配列を、470A Protein Sequenator(Applied Biosystems社製)によって解析した。その結果を図2に示す。なお、比較のために、Cry j IのN末端の一次構造(Taniai M.,et al., FEBS Lett., 239, 329-332, 1988;Sone T., et al., Biochem. Biophys. Comm. 199, 619-625, 1994)と並べて記した。
【0076】
<精製Chao Iに対するヒノキアレルギ−患者血清IgEの反応性>
アレルギ−診断薬AlaSTAT(日本DPCコーポレーション/三光純薬社製)により、ヒノキアレルギ−陽性と診断された患者5名と、陰性と診断された健常人5名の、計10名の静脈血を、ヘパリン存在下に採血して血漿を得た。精製Cha o Iを15μg/mlに調製し、96穴ブラックプレ−ト(大日本製薬社製)に100μl/wellずつ入れ、4℃一晩放置してCha o Iをコ−ティングした。4倍希釈ブロックエ−ス(大日本製薬社製)でブロッキングした後、10名のそれぞれの血漿を10倍希釈ブロックエ−スで4倍に希釈して、各穴に100μlずつ入れ、37℃で4時間反応させた。各穴を洗浄液(0.01% Tween、0.15M NaCl、10mM Tris緩衝液、pH 7.5)で5回洗浄した後、ガラクトシダ−ゼ標識抗IgE抗体(Pharmacia社製)を加えて室温で一晩放置した。各穴を洗浄液で5回洗浄した後、4-メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトピラノシドを基質として37℃、2時間反応させた。反応停止液(0.2M Glycin-NaOH、pH 10.3)を等量加えて、反応を停止し、蛍光プレ−トリ−ダ−(Titertek Fluoroskan II;Flow社製)で測定した。その結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
ヒノキ花粉症患者のCha o Iに対する反応性は、健常人の測定値の2〜60倍に達した。従って、本実験でヒノキ花粉から精製したCha o Iがアレルゲン物質であることが明らかとなった。
【0078】
<RNAの抽出>
Breitenederら(Int. Arch. Allergy Appl. Immunol. 87:19-24 1988)の方法を基にして改良を加えることによりヒノキ花粉からRNAを抽出した。
【0079】
凍結保存したヒノキ花粉1gを氷冷した15mlの抽出緩衝液(100mM LiCl、10mM Na2EDTA、1%SDS、20% 2-メルカプトエタノール、100mM Tris-HCl、pH 9.0)に懸濁し、さらに、15mlのフェノール:クロロフォルム:イソアミルアルコール(24: 24 : 1)を添加した。この懸濁液をテフロンホモジェナイザーに移し、テフロンペステルをモーターで最高回転で回しながら、20〜30ストロークホモジェナイズした。この後、遠心操作(10,000g、15分)で水層と有機層に分離して水層を得た。水層に同量のフェノール:クロロフォルム:イソアミルアルコールを加え、5分間振蕩の後、遠心分離(10,000g、15分)で水層を得た。同様の操作を2回繰り返し、さらに15mlのクロロフォルム:イソアミルアルコール(24 : 1)を用いて1回行った。得られた水層に同量の4M LiClを添加して-20℃で一晩放置した。凍結した溶液を室温で溶解し、遠心操作(20,000g、30分)で沈澱を得た。この沈澱を少量の滅菌蒸留水に溶解し、0.3容の3M CH3COONa(pH 5.2)と2.5容のエタノールを加え、-20℃で60分間放置した。遠心操作(10,000g、30分)により回収した沈渣を滅菌蒸留水に再溶解して全RNA分画とした。
【0080】
<ヒノキ花粉mRNAの調製とcDNAの合成>
ヒノキ花粉全RNA1mgを出発材料として同量の結合緩衝液(3M NaCl、1mM EDTA、10mM Tris-HCl、pH 7.4)を添加した後、オリゴdTセルロースを事前にパックしたスパンカラム(Clonetech Laboratories Inc.社製)に吸着させ、溶出緩衝液(1mM EDTA、10mM Tris-HCl、pH 7.4)で溶出することにより約10μgのmRNAを精製した(スパンカラムに添付のプロトコールに従った)。続いて、精製mRNA 5μgからcDNA Synthesis Kit(Pharmacia P-L Biochemicals, Inc.社製)を使用し、添付されているプロトコールに従ってcDNA約4μgを合成した。
【0081】
<cDNAのクローニング>cDNAライブラリーの作製はcDNAクローニングシステムλgt10(Amersham International plc.社製)を使用し、添付されているプロトコールに従って行った。上述のcDNA1μgをλgt10に組み込み、ヒノキcDNAライブラリーを作製した。約10万のライブラリーのうち、Cha o I cDNA及びCha o II cDNAスクリーニング用としてそれぞれ約3万のクローンを、直径150mmのプレート3枚ずつにまいた。スクリーニングのためのプローブは、Cry j I cDNA及びCrya j II cDNAを、[α-32P]dCTP(3,000Ci/mmol;ICN Biochemicals, Inc.社製)で標識して用いた。ファージDNAを固定化したニトロセルロースフィルターを、4×SSC(1×SSC:0.18M NaCl、15mMクエン酸ナトリウム)、5×FBP(1×FBP:0.02% Ficoll、0.02%牛血清アルブミン、0.02%ポリビニルピロリドン)及び100μg/ml tRNAを含む溶液に、65℃1時間以上浸すことによりプレハイブリダイズした。この後、ニトロセルロースフィルターを新たに調製した同溶液に浸し、32Pラベルしたプローブを加えて、65℃で一晩ハイブリダイゼイションを行った。この後フィルターを0.1×SSCと0.1%SDSとを含む溶液で室温で30分、次いで65℃で30分洗浄した後、オートラジオグラフィーを行った。
【0082】
Cry j I cDNAプローブでは、4個の強いシグナルが検出され、そのうちの1つのファージDNAを抽出し、制限酵素EcoRIで切断したところ、約1.2kbpのDNA断片が挿入されていた。この挿入断片をpUC118にサブクローニングした。
【0083】
Cry j II cDNAプローブでは、25個の強いシグナルが検出され、そのうちの1つのファージDNAを抽出し、制限酵素Not Iで切断したところ、約1.7kbpのDNA断片が挿入されていた。この挿入断片をpBluescript IIにサブクローニングした。
【0084】
Cha o I cDNA及びCha o II cDNAをサブクローニングしたプラスミドを、キロシークエンスデレーションキット(宝酒造社製)を用いてデレーションミュータントを作製し、全塩基配列の決定に用いた。塩基配列は、合成プライマーと[α-32P]dCTPを用いSanger法によって決定した。結果をCha o Iについては配列番号5に、Cha o IIについては配列番号8に示す。また、オープンリーディングフレームのみの塩基配列を、Cha o Iについては配列番号4に(該塩基配列がコードするアミノ酸配列を配列番号2に)、Cha o IIについては配列番号7(該塩基配列がコードするアミノ酸配列を配列番号6)に示す。さらに、成熟Cha o Iをコードする塩基配列を3に(該塩基配列がコードするアミノ酸配列を配列番号1に)示す。
【0085】
【発明の効果】
本発明により、ヒノキ花粉アレルゲンCha o I及びCha o IIをコードするDNA配列及び当該DNA配列から推定されるアミノ酸配列が明らかになったので、そのアミノ酸配列に基づき、ヒノキ花粉アレルゲンCha o I及びCha o IIのT細胞エピトープ及びB細胞エピトープの同定が可能となり、抗原特異的なヒノキ花粉症治療・予防薬の開発が可能となった。
【0086】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】精製Cha o Iを還元条件下でSDS-ポリアクリルアミドゲル(8%)電気泳動にかけた結果、現れた泳動バンドを模式的に表したものである。左端のレーンは、分子量マーカー(フォスフォリラーゼb=94KDa、ウシ血清アルブミン=67KDa、オボアルブミン=43KDa及びカルボニックアンヒドラーゼ=30KDa)であり、中央のレーンはCry j Iを、右端のレーンはCha o Iを、各々表す。
【図2】精製Cha o IのN末端から23残基の一次構造配列である。比較のために、Cry j IのN末端からの一次構造配列と並べて記す。図中?は、プロテインシーケンサーで解析できなかった箇所を表す。

Claims (18)

  1. 配列番号2のアミノ酸配列からなるヒノキ花粉アレルゲンタンパク質Cha o I。
  2. 配列番号1のアミノ酸配列からなるヒノキ花粉アレルゲンタンパク質Cha o I。
  3. 配列番号6のアミノ酸配列からなるヒノキ花粉アレルゲンタンパク質Cha o II。
  4. 配列番号2のアミノ酸配列をコードする核酸分子。
  5. DNAである請求項4記載の核酸分子。
  6. cDNAである請求項4記載の核酸分子。
  7. RNAである請求項4記載の核酸分子。
  8. 配列番号4で示される請求項6記載の核酸分子。
  9. 配列番号1のアミノ酸配列をコードする核酸分子。
  10. DNAである請求項9記載の核酸分子。
  11. cDNAである請求項9記載の核酸分子。
  12. RNAである請求項9記載の核酸分子。
  13. 配列番号3で示される請求項11記載の核酸分子。
  14. 配列番号6のアミノ酸配列をコードする核酸分子。
  15. DNAである請求項14記載の核酸分子。
  16. cDNAである請求項14記載の核酸分子。
  17. RNAである請求項14記載の核酸分子。
  18. 配列番号7で示される請求項16記載の核酸分子。
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