JP3707307B2 - 摩擦ダンパー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、相対変位する2物体間の変位エネルギーを摩擦力により吸収する摩擦ダンパーに関する。
【0002】
【従来の技術】
地震等に対する免振構造は建物や精密機器室の床等に多く採用されるが、これ以外にも博物館等の陳列台に免振構造を採用して、貴重な展示物が振動により倒れて破損するのを防止するようになっている。ところで、一般の免振構造としては積層ゴム支承や転がり支承を介して免振対象物を基礎側に支持し、更にこれにコイルばね等の弾性支承や摩擦ダンパーを併用するもの等がある。
【0003】
従来の摩擦ダンパー1は図10に示すように免振対象物2と基礎側3との間に滑り材4および滑り板5を介装し、更には加圧ばね6(または免振対象物2の荷重)によって滑り材4を滑り板5に圧接することにより構成される。そして、免振対象物2と基礎側3とが相対変位する際には、滑り材4と滑り板5との間に作用する加圧力Pと摩擦係数μとの積で表される降伏せん断抵抗力(摩擦抵抗力)Qyが発生し、この降伏せん断抵抗力Qyによって免振対象物2と基礎側3との間の相対変位時のエネルギーを吸収できるようになっている。
【0004】
このときの降伏せん断抵抗力Qyと変位δとの関係は図11に示すヒステリシスループとなるQ−δ特性として示され、このQ−δ特性において強震入力に対する初期応答(図11中A部)は、図12に示すようにQyを大きくすると加速度が大きく、かつ変位が小さくなり、Qyを小さくすると加速度が小さく、かつ変位が大きくなる。従って、Qyの設定の仕方により図13に示す応答加速度と応答変位の関係が得られる。ところで、免振構造としては強震時に上記応答加速度および応答変位を共に小さくすることが望ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、応答加速度と応答変位の両者を最適にするためには、変位初期でQyを小さく、かつ変位が大きくなるに伴ってQyを大きくすることが必要であるが、従来の摩擦ダンパーでは加圧力Pおよび摩擦係数μとが一定であるため、理想とする減衰性能を得ることができない。このため、理想的な減衰性能を得るためには降伏せん断抵抗力Qyが明瞭でない粘性系ダンパー等が用いられることになる。
【0006】
ところが、博物館等の陳列台を免振構造化して免振台として構成する場合、大地震により免振構造自体が破壊された場合にも展示物を汚損せず、かつメンテナンスフリーとするためには、上記粘性系ダンパー等の湿式ダンパーの使用を避ける必要がある。このため、免振台としての要求を満たすためには乾式の摩擦ダンパーを用いることになる。
【0007】
このため、応答加速度と応答変位を共に満足できない従来の摩擦ダンパーは、図13に示したように両者を折衷した点Rを該摩擦ダンパーの最適値として加圧力Pおよび摩擦係数μを決定するようになっている。このため、どうしても応答加速度と応答変位の下限値に限界があり、また、乾式の摩擦ダンパーでは変位外力が消失した後でどうしても変位が残留して中立位置には戻らない。更に、乾式ダンパーの他の例として、鋼材の塑性歪領域をエネルギー吸収に利用する弾塑性ダンパーがあるが、この場合にあっても図11とほぼ類似した図14に示すQ−δ特性となり、上記摩擦ダンパーと同様の不具合があるという課題があった。
【0008】
そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、加速度応答と変位応答との両者をより最適に調整できるとともに変位の残留がない、変位比例型の減衰性能を備えた摩擦ダンパーを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために本発明の請求項1に示す摩擦ダンパーは、互いに並行に相対変位される第1,第2物体の一方に設けられる滑動面と、上記第1,第2物体の他方に、上記滑動面に対向して回動自在に設けられ、中立位置で該滑動面に非圧接状態になり、回動状態で該滑動面に圧接する摩擦体と、該摩擦体と上記第1,第2物体の一方との間に設けられ、該摩擦体の中立位置を維持するとともに、該第1,第2物体の互いに並行な相対変位に伴って該摩擦体を回動させて、上記滑動面に対する加圧力を該第1,第2物体の相対変位量に比例して増加させる弾性部材とを備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、相対変位がない状態では摩擦体は中立位置となり、この中立位置は弾性部材によって維持される。一方、第1,第2物体が互いに相対変位すると、弾性部材によって摩擦体は回動されて滑動面に圧接する。このときの加圧力は第1,第2物体の相対変位量に比例して増加されるため、入力外力が大きくて相対変位が大きい程、摩擦体と滑動面との間に発生する摩擦抵抗力が大きくなり、その減衰力が大きくなる。このため、応答加速度と応答変位とを共に満足して変位に比例した減衰力を得ることができる。また、相対変位を生じさせる入力外力が消失した時には摩擦体は弾性部材によって中立位置に復帰されるが、この復帰過程から中立位置に達する間では摩擦抵抗力は順次小さくなって変位が残留することはなく、第1,第2物体を元の位置に復元することができる。従って、このように乾式である摩擦ダンパーによって変位比例型の減衰力を得ることができる。この摩擦ダンパーを、展示物を載置する免振台に用いると、メンテナンスフリーで展示物を汚損するおそれのない免振性能に優れた陳列台を得ることができる。
【0011】
また、本発明の請求項2に示す摩擦ダンパーは、上記弾性部材が、上記第1,第2物体の相対変位方向であって上記摩擦体の回動中心から偏心した作用線上に、該回動中心を挟んで両側に一対設けられていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、第1,第2物体が相対変位すると、弾性部材による引張力が摩擦体の回動中心から偏心した作用線上に作用するため、該摩擦体が回動されて傾斜され、滑動面に対して加圧力を発生させる。このとき、第1,第2物体の相対変位量に比例して弾性部材の引張力が増大するため、これに伴って摩擦体に作用する回転モーメントが増大して上記加圧力を増加し、延いては滑動面との間に発生する摩擦抵抗力を増大する。
【0013】
更に、本発明の請求項3に示す摩擦ダンパーは、上記弾性部材が、上記第1,第2物体の相対変位方向に対し角度をなして互いに交差させて配置されて、上記摩擦体に対しその回動中心を挟んで両側に一対設けられていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、第1,第2物体の相対変位によって弾性部材に引張力変化が生ずると、摩擦体の両側に設けた弾性部材の引張力差により該摩擦体が回動され、滑動面に対して加圧力を発生する。このとき、上記弾性部材は第1,第2物体の相対変位方向に対し角度をなして互いに交差させて配置してあるため、弾性部材の引張力差は、摩擦体の変位していく側とは反対側を滑動面に圧接し、この加圧力は相対変位量に比例して増大される。また、上記弾性部材を、第1,第2物体の相対変位方向に対し角度をなして配置してあるため、相対移動量を増幅して弾性部材に伝達することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。図1〜図5は本発明の摩擦ダンパーの一実施形態を示し、図1は摩擦ダンパーの正面図、図2は摩擦ダンパーの作動状態を示す正面図、図3は摩擦ダンパーの加圧力の作用方向を示す説明図、図4はヒステリシスを示すグラフ、図5は弾性部材の配置状態を示す平面図である。
【0016】
本発明の摩擦ダンパー10の基本的な構造は、相対変位される第1,第2構造体12,14の一方に設けられる滑動面16と、上記第1,第2構造体12,14の他方に、上記滑動面16に対向して回動自在に設けられ、中立位置で上記滑動面16に非圧接状態になり、回動状態で該滑動面16に圧接する摩擦体18と、該摩擦体18と上記第1,第2構造体12,14の一方との間に、摩擦体18の中立位置を維持するように取り付けられるとともに、第1,第2構造体12,14の相対変位に伴って該摩擦体18を回動させ、その時の滑動面16に対する加圧力を第1,第2構造体12,14の相対変位量に比例して増加させる弾性部材26,26とを備えて構成する。
【0017】
即ち、本実施形態の摩擦ダンパー10は、図1に示すように第1構造体としての床12と、第2構造体としての免振対象物14との間に配置される。該免振対象物14は図外の積層ゴムやばね等の弾性支承を介して一定間隔Hを保つように床12に支持され、かつ、該弾性支承のせん断変形を伴って床12と免振対象物14とは水平方向の相対変位が許容される。ここで、便宜上図中左右方向を相対変位方向Vとする。上記床12の免振対象物14に対向する上面12aには、滑動面となる滑り板16が取り付けられ、この滑り板16上に摩擦体18が配置される。該摩擦体18はブロック体18aと、該ブロック体18a下面の上記相対移動方向V両端部に一体に設けられる滑り材18bとによって構成される。
【0018】
上記免振対象物14の下面には支持ブラケット20が垂設され、該支持ブラケット20に上記ブロック体18a上端部の上記相対変位方向Vの中央部がピン22を介して回動自在に支持される。また、上記床12の上面12aには、上記摩擦体18を中心として上記相対変位方向Vに所定距離を隔てて対称に支持ポール24,24が立設される。これら支持ポール24,24と上記ブロック体18a下端部の上記相対移動方向Vの両端部との間に、弾性部材としての引張りコイルばね26,26が水平に張架される。従って、これらコイルばね26,26の取り付け位置は、摩擦体18の回動中心となる上記ピン22より下方に偏心した作用線s上となる。また、上記双方のコイルばね26,26は等しいばね定数および長さのものが用いられ、図示する中立位置で摩擦体18に作用する引張力はそれぞれ等しくなる。
【0019】
このように構成された摩擦ダンパー10は、図示する中立位置では摩擦体18の滑り材18bは滑り板16に非圧接状態で接触し、若しくは僅かの隙間を設けてブロック体18aが支持ブラケット20に吊り下げられた状態にある。そして、地震等の加振力が入力されて床12と免振対象物14とが相対変位すると、摩擦体18は免振対象物14とともに移動し、変位方向のコイルばね26を短縮しつつ反対側のコイルばね26を引っ張る。すると、これら両コイルばね26,26の引張力差により摩擦体18はピン22を中心として図中時計回り方向に回動して傾斜し、変位方向の滑り材18bが滑り板16に圧接され、このときの加圧力によるせん断摩擦抵抗により減衰力が発生する。この減衰力は、上記相対変位量の増大に伴って前後のコイルばね26,26の引張力差が大きくなることによって増大し、変位に比例した減衰力が発生されることになる。
【0020】
図2は上記摩擦ダンパー10の作動原理を示す説明図で、床12と免振対象物14との間に相対変位量δが発生したときの加圧(圧接)力ΣPの発生状況を示す。このときの加圧力はΣP=P+ΔPとして得られ、かつ、せん断摩擦抵抗力はQ=μ・ΣPとなる。
【0021】
(イ)Pについて
コイルばね26,26は中立状態で長さL0であり、免振対象物14側に相対変位δが生じた時、変位方向とは反対方向のコイルばね26は伸び、変位方向のコイルばね26は縮んでそれぞれの引張力T1,T2に引張力差Tが生ずる。
つまり、T1=(L0+δ)・K
T2=(L0−δ)・K
T=T1−T2
【0022】
この引張力差Tは、ピン支持された摩擦体18を回動させる力となり、このときのモーメントの釣合いは、
モーメントM=e1・T=e3・Pであるため、
P=(e1/e3)・T=2K(e1/e3)・δとなる。
尚、e1、e2、e3は、回動中心となるピン22とコイルばね26,26の作用線sとの間の垂直方向の偏心距離、ピン22と滑り板16との間の垂直方向の偏心距離、ピン22と加圧点までの水平方向の偏心距離である。ここで、Kはコイルばね26,26のばね定数である。
【0023】
(ロ)ΔPについて
ΔPは図3(a),(b)に示すように、変位量δ位置で変位Δδが更に増加する方向の場合と、減少する場合とに発生する加圧力で、増加する場合には正の摩擦抵抗力が発生し、減少する場合には負の摩擦抵抗力が発生する。
【0024】
(a)に示す変位が増加する場合は、摩擦抵抗力μPがピン22周りに時計回り方向のモーメントMとして作用している。勿論、ΔPは上記の加圧力に因る摩擦抵抗力μPを越える力で変位が進行している過程で発生され、このときの釣り合いにより加圧力ΔPが発生する。
つまり、M=e2・μP=e3・ΔPが導かれ、
故に、ΔP=(e2/e3)・μPとなる。
【0025】
(b)に示す変位が減少する場合は、摩擦抵抗力μPが逆向きとなり、この摩擦抵抗力がピン22周りに反時計回り方向のモーメントMが発生して、負の加圧力ΔPが発生することになる。
つまり、M=e2・(−μP)=e3・ΔPが導かれ、
故に、ΔP=−(e2/e3)・μPとなる。
【0026】
次に、変位量δとせん断摩擦抵抗力Qとの関係を示すと、摩擦体18が滑り板16に及ぼす全体の加圧力はΣP=P±ΔPとなり、また、摩擦抵抗力Qは摩擦係数μと加圧力ΣPとの積として得られる。
つまり、Q=μ・(P±ΔP)
=μ・{1±(e2/e3)・μ}・(e1/e3)・K・2δとなる。
【0027】
上式で導かれたQ−δのヒステリシスを図4に示す。図中、点線の履歴がばねの引張力差(T1−T2)に因る抵抗力で、実線が変動加圧±ΔPを考慮した履歴特性である。即ち、この復元力特性は、変位増加時の第1象限で摩擦抵抗が大きく、変位減少時の第4象限で摩擦抵抗が小さくなり、また、第3象限の逆方向への変位増加時に摩擦抵抗が大きく、変位減少時の第2象限で摩擦抵抗が小さくなる。
【0028】
従って、本実施形態の摩擦ダンパー10では、床12と免振対象物14とが相対変位された際に、この相対変位量が増大されるに従って摩擦抵抗力が増大して大きな減衰力を得ることができ、応答加速度と応答変位の両方を効果的に低減できる。また、相対変位を生じさせる入力外力が消失したときには摩擦体18はコイルばね26,26のばね力によって中立位置に復帰されるが、この復帰過程から中立位置に達する間では摩擦抵抗力は順次小さくなって変位が残留することはなく、免振対象物14を元の中立状態に自動的にかつ確実に復帰させることができる。
【0029】
従って、このように乾式である摩擦ダンパー10によって変位比例型の減衰ダンパーを構成することができる。この摩擦ダンパー10を、例えば展示物を載置する免振台に用いた場合には、メンテナンスフリーで展示物を汚損するおそれのない免振性能に優れた陳列台を得ることができる。
【0030】
また、本実施形態では上記滑り板16を床12の上面に設けたので、摩擦体18は該滑り板16に沿ってあらゆる方向の相対変位が許容されるため、図5に示すようにコイルばね26を放射状に配置しておくことにより、床12と免振対象物14とのあらゆる方向の水平変位に対応させることができる。
【0031】
図6,図7は他の実施形態を示し、上記実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。図6は摩擦ダンパーの正面図、図7はヒステリシスを示すグラフである。
【0032】
即ち、この実施形態の摩擦ダンパー10aは、摩擦体18の下端部をピン22を介して回動自在に支持するとともに、コイルばね26を該ピン22位置より上方位置に取り付けてある。この場合、該コイルばね26は支持ポール24を高くすることにより水平配置されるとともに、摩擦体18の回動中心から上方に偏心した作用線s上に配置される。
【0033】
従って、この実施形態の摩擦ダンパー10aは床12と免振対象物14とが相対移動した際に、コイルばね26,26の引張力差の作用方向が上記実施形態とは逆となり、摩擦体18の進行方向に対して後方側の滑り材18bが滑り板16に圧接されることになる。従って、変位が増加する場合に加圧力ΔPは負の値となり、変位が減少する場合に加圧力ΔPは正の値をとることになる。
【0034】
このため、上記実施形態の摩擦ダンパー10と同様の機能を発揮することができるのであるが、このときのヒステリシスは図7に示すようになり、変位増加時に摩擦抵抗が小さく、変位減少時に摩擦抵抗が大きくなる。
【0035】
このことは特に、当該構成の変位比例型の摩擦ダンパー10aにあっては、変位が増加する時の減衰剛性が小さいので、別途免振作用を得るべく設けられる免振ばねの剛性に寄与せず、その長周期を保つことができる。そして、当該摩擦ダンパー10aの減衰力は変位が減少する時に大きく作用する。従って、長周期性を保ちながら十分な減衰性能を得ることができる。
【0036】
ところで、上記図1および図6の実施形態に示した摩擦ダンパー10,10aは、滑り板16を床12側に設けた場合を開示したが、これに限ることなく免振対象物14側に設けることもできる。勿論、この場合は摩擦体18は床12側に支持され、コイルばね26は免振対象物14側に支持されることになる。
【0037】
図8,図9は他の実施形態を示し、上記実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。図8は摩擦ダンパーの要部を示す底面図、図9は正面図である。
【0038】
即ち、この実施形態の摩擦ダンパー10bはリニアベアリング支承の免振構造に適用されたもので、図8,図9に示すように免振対象物14の下面にレール30が取り付けられ、該レール30の両側面が1対の滑動面32,32となっている。そして、これら1対の滑動面32,32に対向してそれぞれ摩擦体34,34が配置される。
【0039】
各摩擦体34,34は矩形板状に形成されて水平配置され、それぞれの中央部が床12上面に固定された支持台36にピン38を介して回動自在に支持される。そして、レール30の相対変位方向Vに沿う各摩擦体34,34の両端部と、免振対象物14の下面との間に弾性部材としての1対のコイルばね40,40がそれぞれ取り付けられるが、これら1対のコイルばね40,40は互いに交差されて、レール30の相対変位方向Vに対し角度をなして配置される。
【0040】
従って、この実施形態の摩擦ダンパー10bの作動原理を上記図8,図9を用いて説明すると、床12と免振対象物14とが相対変位される時には、各コイルばね40,40は回転角θ1,θ2なる変化を伴いつつ、それぞれの引張力T1,T2が変化される。
【0041】
このとき、T1,T2のX,Y方向の分力は
T1x=T1・cosθ1, T1y=T1・sinθ1
T2x=T2・cosθ2, T2y=T2・sinθ2となる。
これらの分力T1x,T1yおよびT2x,T2yの差は、ピン38周りに回転モーメントMを与えて、摩擦体34の端部に加圧力Pを発生する。このとき、
P=M/e3={e1(T1x+T2x)+e4(T1y+T2y)}/e3となる。
【0042】
この加圧力Pによりせん断摩擦抵抗力Q=μPが発生し、このせん断摩擦抵抗力Qについては、変位増加中と変位減少中とで、ピン38周りに発生するモーメントΔM=e3・μ・Pの向きが異なることになる。従って、このときの加圧力の増減分ΔPは、
ΔP=±ΔM/e3=±e2・μ・P/e3となる。
よって、実際に発生されるせん断摩擦抵抗力Qは、
Q=μ・(P±ΔP)となる。
【0043】
ここで、ΔPの+値は変位が増加される場合で、−値は変位が減少される場合である。また、μは摩擦係数、e1,e2,e3,e4は図8中に示した各偏心距離である。e1は、摩擦体34の非回動時は0である。
【0044】
従って、この実施形態にあっても変位比例型の摩擦ダンパー10bを構成することができ、上記実施形態と同様の機能を備えるのは勿論のこと、上記滑動面32,32はレール30の両側面に設け、かつ、これら1対の滑動面32,32にそれぞれ摩擦体34を配置したので、各摩擦体34はレール30を挟んで両側から滑動面32,32に加圧力Pを作用させるため、これら両側の加圧力Pは相殺されてレール30が偏るのを防止することができる。また、摩擦体34の回動方向が床12と免振対象物14の対向方向に対して直角、つまり本実施形態では水平方向となるため、これら床12と免振対象物14との間のスペースを狭くすることができる。
【0045】
ところで、この実施形態では各摩擦体34に設けられる1対のコイルばね40,40を交差させた場合を開示したが、これらコイルばね40,40を交差させない場合にあっても、変位に対する摩擦体34の回動方向が逆になるけれども、同様に変位に比例した摩擦抵抗力を発生させることができる。また、レール30は免振対象物14側に設けることなく床12側に設けることもでき、この場合は摩擦体34を免振対象物14側に支持し、コイルばね40を床12側に支持することになる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1に示す摩擦ダンパーにあっては、第1,第2物体が相対変位すると、弾性部材によって摩擦体は回動されて滑動面に圧接し、このときの加圧力は第1,第2物体の相対変位量に比例して増加されるため、加速度応答と変位応答との両方を満足する変位比例型の摩擦ダンパーを構成することができる。また、相対変位を生じさせる入力外力が消失したときには摩擦体は弾性部材によって中立位置に復帰されるが、この復帰過程から中立位置に達する間では摩擦抵抗力が順次小さくなって変位が残留することを防止でき、確実に元の位置に復元させることができる。従って、このように乾式である摩擦ダンパーによって変位比例型の減衰力を得ることができる。
【0047】
また、本発明の請求項2に示す摩擦ダンパーは、第1,第2物体が相対変位すると、弾性部材による引張力が摩擦体の回動中心から偏心した作用線上に作用するため、該摩擦体が回動されて傾斜され、滑動面に対して加圧力を発生させることができるとともに、第1,第2物体の相対変位量に比例して弾性部材の引張力が増大するため、これに伴って摩擦体に作用する回転モーメントが増大して上記加圧力を増加し、延いては滑動面との間に発生する摩擦抵抗力を増大させることができる。
【0048】
更に、本発明の請求項3に示す摩擦ダンパーは、第1,第2物体の相対変位によって弾性部材に引張力変化が生ずると、摩擦体の両側に設けた弾性部材の引張力差により該摩擦体が回動され、滑動面に対して加圧力を発生することとなり、この際、上記弾性部材を、第1,第2物体の相対変位方向に対し角度をなして互いに交差させて配置してあるため、弾性部材の引張力差は、摩擦体の変位していく側とは反対側を滑動面に圧接し、この加圧力を相対変位量に比例して増大させることができる。また、上記弾性部材を、第1,第2物体の相対変位方向に対し角度をなして配置してあるため、相対移動量を増幅して弾性部材に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す摩擦ダンパーの正面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す摩擦ダンパーの作動状態の正面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示す摩擦ダンパーの加圧力の作用方向の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態を示す摩擦ダンパーのヒステリシスのグラフである。
【図5】本発明の一実施形態を示す摩擦ダンパーの弾性部材の配置状態の平面図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示す摩擦ダンパーの正面図である。
【図7】本発明の他の実施形態を示す摩擦ダンパーのヒステリシスのグラフである。
【図8】本発明の他の実施形態を示す摩擦ダンパーの要部の底面図である。
【図9】本発明の他の実施形態を示す摩擦ダンパーの正面図である。
【図10】従来の摩擦ダンパーの正面図である。
【図11】従来の摩擦ダンパーの復元力特性図である。
【図12】図11中のA部を取り出して示す復元力特性図である。
【図13】従来の摩擦ダンパーの弾性ばねと摩擦ダンパー免振構造の応答性状を示す特性図である。
【図14】従来の鋼材ダンパーの復元力特性図である。
【符号の説明】
10,10a,10b 摩擦ダンパー
12 床(第1構造体)
14 免振対象物(第2構造体)
16 滑り板(滑動面)
18,34 摩擦体
22,38 ピン(回動中心)
26,40 コイルばね(弾性部材)
30 レール
32 滑動面

Claims (3)

  1. 互いに平行に相対変位される第1,第2物体の一方に設けられる滑動面と、
    上記第1,第2物体の他方に、上記滑動面に対向して回動自在に設けられ、中立位置で該滑動面に非圧接状態になり、回動状態で該滑動面に圧接する摩擦体と、
    該摩擦体と上記第1,第2物体の一方との間に設けられ、該摩擦体の中立位置を維持するとともに、該第1,第2物体の互いに平行な相対変位に伴って該摩擦体を回動させて、上記滑動面に対する加圧力を該第1,第2物体の相対変位量に比例して増加させる弾性部材とを備えたことを特徴とする摩擦ダンパー。
  2. 上記弾性部材が、上記第1,第2物体の相対変位方向であって上記摩擦体の回動中心から偏心した作用線上に、該回動中心を挟んで両側に一対設けられていることを特徴とする請求項1に記載の摩擦ダンパー。
  3. 上記弾性部材が、上記第1,第2物体の相対変位方向に対し角度をなして互いに交差させて配置されて、上記摩擦体に対しその回動中心を挟んで両側に一対設けられていることを特徴とする請求項1に記載の摩擦ダンパー。
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