JP3706677B2 - 硬岩層掘削方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬岩層に大径の杭孔を掘削する硬岩層掘削方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、硬岩層において大径の杭孔を掘削する方法として、掘削箇所にやぐら等を組み、ライナープレート等により孔壁の土留めをしながら、ダイナマイト発破により岩盤を破砕し、人力により掘削すると共に、掘削した土砂をやぐらに取り付けたウインチのバケットで外部に排出する深礎工法が知られている。また、チゼルによる衝撃で岩盤を破砕し、破砕した岩片をハンマグラブにより掴んで排土する機械掘削方法も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした従来の深礎工法では、地下水の影響による落盤、孔壁崩壊による落下物などの危険を伴い、人力に頼らざるを得ないことから、掘削効率の向上にも限界があるという問題があった。また、機械掘削方法では、チゼルによる振動公害を招き、チゼルによる破砕では大径の杭孔を掘削するには効率が悪いという問題があった。
【0004】
本発明の課題は、硬岩層で効率よく大径の杭孔を掘削できる硬岩層掘削方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を達成すべく、本発明は課題を解決するため次の方法を取った。即ち、
先端に掘削ビットが取り付けられた大径ケーシングチューブをチュービング装置により把持して回転させながら押し込み、内部の土砂を排出しながら硬岩層まで掘削して大径孔を形成し、
その後、前記チュービング装置から前記大径ケーシングチューブを取り外し、先端に掘削ビットが取り付けられた小径ケーシングチューブを前記チュービング装置により把持し大径孔内に挿入して回転させながら押し込み、前記硬岩層を掘削して小径孔を形成し、
小径ケーシングチューブの先端に取り付けた硬岩用カッタにより前記大径孔を掘り下げると共に、破砕岩片を前記小径孔に落下させ、
前記小径孔内の前記破砕岩片を前記小径ケーシングチューブ内を通して排出しながら杭孔を掘削することを特徴とする硬岩層掘削方法がそれである。
【0006】
また、前記硬岩用カッタにより前記大径孔の底を前記小径孔側に傾斜させながら掘り下げてもよく、あるいは、前記小径孔内の前記破砕岩片をハンマグラブにより掴み前記ケーシングチューブを通して排出してもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、1はチュービング装置で、チュービング装置1は施工箇所を間にして敷かれた一対の鉄板2,4上に載置されている。また、チュービング装置1はウエイト6,8により浮き上がり防止が図られると共に、地中に打ち込まれた図示しないスパイクにより回転防止が図られている。
【0008】
チュービング装置1は、大径ケーシングチューブ10(本実施例では直径3000mm)の外周を把持し、大径ケーシングチューブ10を回転させながら押し込むことができると共に、小径ケーシングチューブ12(本実施例では直径2000mm)の外周を把持し、小径ケーシングチューブ12を回転させながら押し込むこともできるものである。
【0009】
まず、図2(イ)に示すように、チュービング装置1に大径ケーシングチューブ10を挿入し、回転させながら押し込んで、大径ケーシングチューブ10の先端に取り付けられた掘削ビット10aにより、粘土、シルト、砂れき等からなる一般土質層14を掘削する。
【0010】
大径ケーシングチューブ10内の土砂は、図1に示すように、クレーン16により吊下げた大径用のハンマグラブ18を大径ケーシングチューブ10内に落下させる。そして、ハンマグラブ18により土砂を掴み、ハンマグラブ18を吊り上げで外部に土砂を排出する。
【0011】
これを、大径ケーシングチューブ10が硬岩層20に達するまで繰り返し、大径ケーシングチューブ10により一般土質層14に大径孔15を掘削する。これにより、一般土質層14は、大径ケーシングチューブ10により効率よく掘削される。
【0012】
次に、図2(ロ)に示すように、大径ケーシングチューブ10を地中に残したまま、チュービング装置1が小径ケーシングチューブ12の外周を把持するのに邪魔になる大径ケーシングチューブ10上端を取り外す。そして、チュービング装置1に小径ケーシングチューブ12を挿入し、その外周を把持して、硬岩層20に達するまで吊り降ろす。そして、硬岩層20に達してからは、小径ケーシングチューブ12を回転させながら押し込み、先端の掘削ビット12aにより掘削する。
【0013】
小径ケーシングチューブ12内部に残る岩は図示しないチゼルにより破砕し、クレーン16で吊り上げた小径用のハンマグラブ22を小径ケーシングチューブ12内に落下させる。ハンマグラブ22により破砕した岩片を掴み、クレーン16で吊り上げて外部に排出する。これを施工する杭孔の深さに達するまで繰り返し、小径孔24を掘削する。
【0014】
大径ケーシングチューブ10を回転できる大きな駆動力を有するチュービング装置1により、小径ケーシングチューブ12を用いて小径孔24を掘削するので、硬岩層20であっても小径ケーシングチューブ12により容易に掘削できる。また、チゼルやハンマグラブ22で掘削する小径孔24は、その直径が小さいので、騒音や振動の発生は少ない。
【0015】
次に、図2(ハ)に示すように、チュービング装置1により小径ケーシングチューブ12を引き上げ、小径ケーシングチューブ12の先端に掘削ビット12aに代えて硬岩用カッタ26を取り付ける。硬岩用カッタ26は、図4、図5に示すように、その底面側に複数のディスクカッタ28が設けられている。
【0016】
複数のディスクカッタ28は、大径孔15と小径孔24との間に対応して設けられており、放射状に設けられると共に、径方向には一定間隔となるように配置されている。また、各ディスクカッタ28が硬岩層20を掘削すると、小径孔24側に向かって下る傾斜面30が形成されるように、ディスクカッタ28が配置されている。
【0017】
傾斜面30の傾斜は、破砕した岩片がこの傾斜面30に沿って小径孔24に落下する程度に、例えば、35度〜45度程度が好ましい。尚、ディスクカッタ28に代えて掘削ビットを取り付けてもよく、あるいは、ローラカッタを取り付けても実施可能である。
【0018】
チュービング装置1により小径ケーシングチューブ12を回転させながら押し込み、硬岩用カッタ26を硬岩層20に押し付ける。ディスクカッタ28が硬岩層20に押し付けられると、硬岩層20が破砕されて大径孔15が掘り下げられ、破砕岩片32は傾斜面30に沿って転がり落ち、小径孔24内に落下する。
【0019】
そして、図3(ニ)に示すように、小径ケーシングチューブ12内にクレーン16で吊り上げたハンマグラブ22を落下させ、小径孔24内に落下した破砕岩片32を、ハンマグラブ22により掴み、ハンマグラブ22を吊り上げて外部に排出する。
【0020】
このように、硬岩用カッタ26を用いて掘削することにより、振動や騒音の発生を招くことなく、しかも、効率よく大径孔15を掘削することができる。傾斜面30を形成しながら掘削することにより、破砕岩片32は傾斜面30に沿って転がり、小径孔24に落下する。これを、ハンマグラブ22により掴んで、小径ケーシングチューブ12内を通して排出するので、硬岩用カッタ26による掘削を中断することなく、連続的に排出できるので掘削効率が向上する。
【0021】
尚、本実施例では、大径孔15を掘り下げる際に、傾斜面30を形成するようにしたが、これに限らず、平坦面とした場合には、水等を小径孔24に向かって噴射する、又は水流を発生させ、小径孔24に破砕岩片32を落下させるようにしても実施可能である。また、傾斜面30の形成と、水の噴射又は水流を併用するようにしてもよい。
【0022】
こうして、大径孔15を硬岩用カッタ26により掘り下げ、小径孔24に落下した破砕岩片32をハンマグラブ22により排出する。これを繰り返して、図3(ホ)に示すように、小径孔24の深さまで大径孔15を掘り下げた後、小径ケーシングチューブ12を引き上げて、チュービング装置1から取り外す。そして、大径用のハンマグラブ18により底さらいを行い、スライム処理を行う。
【0023】
次に、図3(ヘ)に示すように、鉄筋かご34を大径孔15内に挿入し、大径孔15に挿入したトレミー管36を介してコンクリートを打設する。そして、大径ケーシングチューブ10を引き抜いて回収する。
以上本発明はこの様な実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【0024】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明の硬岩層掘削方法は、一般土質層を大径ケーシングチューブにより効率よく掘削できる。また、硬岩層を小径ケーシングチューブにより掘削して小径孔を形成し、硬岩用カッタによる破砕岩片を小径孔に落下させるので、硬岩用カッタによる掘削を中断することなく連続的に排出でき、掘削効率が向上する。
【0025】
更に、傾斜面を形成することにより、破砕岩片を効率よく小径孔に落下させることができ、小径ケーシングチューブ内を通してハンマグラブにより破砕岩片を排出するので、効率よく排出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての硬岩層掘削方法による掘削の全体斜視図である。
【図2】本実施例の硬岩層掘削方法による掘削の前半部を示す説明図である。
【図3】本実施例の硬岩層掘削方法による掘削の後半部を示す説明図である。
【図4】本実施例の硬岩層掘削方法に用いた硬岩用カッタの拡大底面図である。
【図5】本実施例の硬岩層掘削方法による傾斜面の拡大断面図である。
【符号の説明】
1…チュービング装置 10…大径ケーシングチューブ
12…小径ケーシングチューブ
14…一般土質層 15…大径孔
16…クレーン 20…硬岩層
24…小径孔 26…硬岩用カッタ
30…傾斜面

Claims (3)

  1. 先端に掘削ビットが取り付けられた大径ケーシングチューブをチュービング装置により把持して回転させながら押し込み、内部の土砂を排出しながら硬岩層まで掘削して大径孔を形成し、
    その後、前記チュービング装置から前記大径ケーシングチューブを取り外し、先端に掘削ビットが取り付けられた小径ケーシングチューブを前記チュービング装置により把持し大径孔内に挿入して回転させながら押し込み、前記硬岩層を掘削して小径孔を形成し、
    小径ケーシングチューブの先端に取り付けた硬岩用カッタにより前記大径孔を掘り下げると共に、破砕岩片を前記小径孔に落下させ、
    前記小径孔内の前記破砕岩片を前記小径ケーシングチューブ内を通して排出しながら杭孔を掘削することを特徴とする硬岩層掘削方法。
  2. 前記硬岩用カッタにより前記大径孔の底を前記小径孔側に傾斜させながら掘り下げることを特徴とする請求項1記載の硬岩層掘削方法。
  3. 前記小径孔内の前記破砕岩片をハンマグラブにより掴み前記ケーシングチューブを通して排出することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の硬岩層掘削方法。
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