JP3706455B2 - 水素燃焼タービン用水素・酸素燃焼器 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素と酸素を燃焼させ、発生した水蒸気を用いてランキンサイクルを運転して発電する水素燃焼タービンに用いる水素・酸素燃焼器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来の水素・酸素燃焼器では図２（ａ），（ｂ）に示すように、水蒸気雰囲気中に水素３及び酸素２を同軸噴流にて噴射し燃焼させている。また、図３に示すように水素３を噴射する直前の水蒸気１中に酸素２を噴射し燃焼させている。そのほかの従来の水素・酸素燃焼器として、図４に示すように燃料ノズル４に水素噴出孔６と酸素噴出孔５を交互に配し、燃焼器内筒９内の水蒸気中に両者を噴出することによって燃焼させるようにしたものがある。
【０００３】
上記のような燃焼装置では、保炎性を確保し、燃え残りの水素、酸素を極力抑えるために、水蒸気１の流量を少くし高温の燃焼領域を確保することが行われる。すなわち、図５（ｂ）に示すように、一次燃焼領域１１には高温の燃焼火炎が存在し、その下流の希釈域１２で図５（ａ）に示すように水蒸気供給孔７から水蒸気１を投入し所定の燃焼器出口温度とする構造となっている。図５において８は外筒である。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の燃焼装置における水素３、酸素２の供給方式では、燃焼は水素３、酸素２両者の混合に支配され、また両者がよく混合する前に燃焼反応が始まり、上記のような高温の一次燃焼領域１１を確保する構造としても、燃焼後にも水素３あるいは酸素２が残ってしまって燃焼効率が悪いという問題があった。
【０００５】
また、一次燃焼領域１１では、燃え残り防止と保炎性確保のための高温火炎が存在し、この一次燃焼領域１１の平均温度でさえ２０００℃を大きく上回り、燃焼器内筒９の冷却構造が複雑になったり、多くの冷却媒体が必要となるという問題があった。
【０００６】
本発明は、従来の燃焼装置に見られた上記問題点を解決し、従来のものに比べて燃え残りの水素、酸素の量を低減し、一次燃焼領域での燃焼温度を低下させ燃焼器内筒冷却構造を簡略化できる水素燃焼タービン用水素・酸素燃焼器を提供することを課題としている。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため燃焼器内筒と外筒との間の環状空間を流れる水蒸気に対して酸素を供給して予め混合した酸素を含む水蒸気を、噴射される水素に対し、前記燃焼器内筒の複数箇所から多段で供給して燃焼させるように構成した水素燃焼タービン用水素・酸素燃焼器を提供する。
【０００８】
このように構成した本発明の水素燃焼タービン用水素・酸素燃焼器によると、燃焼器内筒と外筒との間の環状空間を流れる水蒸気に酸素を供給して予め混合することによって十分に酸素が水蒸気中に拡散した状態で前記燃焼器内筒の複数箇所から多段で燃焼器に導くことが可能になり、その結果、燃え残りの水素、酸素量を低減できる。また、従来のように燃え残りの水素、酸素量を低減するために、燃焼器内に高温燃焼域を形成する必要がなくなるため、冷却構造を簡素化できる。
【０００９】
本発明による水素燃焼タービン用水素・酸素燃焼器では、燃焼器内筒と外筒との間の環状空間を流れる水蒸気に酸素を供給して予め混合した酸素を含む水蒸気を、噴射された水素に対し多段で供給するように構成しているので、上流側で水素過濃燃焼が行われ、そのあと後段で供給される酸素混合水蒸気によって後燃えを起こし、所定の燃焼器出口温度を得ることができる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による水素燃焼タービン用水素・酸素燃焼装置について図１に示した実施の一形態に基づいて具体的に説明する。なお、以下の実施の形態において、図２〜図５に示した従来の装置と同じ構成の部分には説明を簡単にするため同じ符号を付してあり、それらについての重複する説明は省略する。
【００１１】
図１において、外筒８には酸素供給管１３が設けられ、この酸素供給管１３の先端には酸素噴出孔５が形成されている。燃焼器内筒９と外筒８の環状空間を流れる水蒸気１には酸素供給配管１３を経て酸素噴出孔５から酸素が供給され、水蒸気１と予め混合される構成となっている。
【００１２】
燃料ノズル４からは水素３が、水蒸気噴出孔６からは酸素を含む水蒸気が燃焼器内筒９内へ噴出されるようになっている。その他の構成は図５に示した燃焼器とほぼ同様である。
【００１３】
このように構成された図１の水素燃焼タービン用水素・酸素燃焼器において、図示していない圧縮機で圧縮された水蒸気１は外筒８と燃焼器内筒９との間を通って供給される。この水蒸気１には、外筒８の円周上複数箇所に設置された酸素供給配管１３の先端に設けた酸素噴出孔５から酸素が供給され水蒸気中に酸素が混合される。
【００１４】
こうして酸素を含んだ水蒸気１０は、燃焼器内筒９の円周上複数個所に設置した水蒸気供給孔７より燃焼器内筒９内に入る。図１では燃焼器内筒９の軸方向に二段の水蒸気供給孔７が示されているが、場合によっては単段あるいは二段以上から供給されるように構成してもよい。
【００１５】
一方、燃料ノズル４から燃焼器内筒９内に噴射された水素３は、酸素を含んだ水蒸気１０と混合して燃焼する。しかし図１（ｂ）に示すように燃焼器上流側では、酸素不足のため酸素量に見合っただけの燃焼にとどまり、燃焼域の平均温度は燃焼器出口温度よりも若干低い程度となっている。
【００１６】
その後、更に酸素を含んだ水蒸気１０と混合し、ほぼ燃焼器出口温度に近い平均温度の燃焼域を形成する。燃焼により生成した高温の水蒸気は、図には示さないランキンサイクルを運転して発電するタービンへと導かれる。
【００１７】
以上、本発明を図示した実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明がこれらの実施形態に限定されず特許請求の範囲に示す本発明の範囲内で、その具体的構造、構成に種々の変更を加えてよいことはいうまでもない。
【００１８】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による水素燃焼タービン用水素・酸素燃焼器においては、燃焼器内筒と外筒との間の環状空間を流れる水蒸気に対して酸素を供給して予め混合し、十分に酸素が水蒸気中に拡散した状態で前記燃焼器内筒の複数箇所から多段で燃焼器に導き、その中に水素を噴射させて燃焼させるように構成したことにより、酸素が均一に混合している水蒸気中に水素が拡散するだけで燃焼するため、燃え残りの水素、酸素の量を低減できる。
【００１９】
また、燃え残りの水素、酸素の量が減少するため、従来のように燃焼器内に高温燃焼域を形成する必要がなく、燃焼器出口温度とほぼ同じ平均温度で燃焼させることができ、従来のような高温領域の複雑で、多くの冷却媒体を必要とする冷却構造を簡略化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の実施の一形態に係る水素燃焼タービン用水素・酸素燃焼器を示す説明図で、（ａ）はその概略構成を示す説明図、（ｂ）はその燃焼器内の平均温度状態を示す説明図。
【図２】 従来の水素・酸素燃焼器における水素と酸素の供給方式（同軸型）を示す説明図で、（ａ）は外側に酸素を供給するもの、（ｂ）は外側に水素を供給するものを示している。
【図３】 従来の他の水素/酸素燃焼器における水素と酸素の供給方式（直前混合型）を示す説明図。
【図４】 従来の更に他の水素・酸素燃焼器における水素と酸素の供給方式（同時噴出型）を示す説明図で（ａ）は側面図、（ｂ）は正面図。
【図５】 従来の水素.・酸素燃焼器を示す説明図で、（ａ）はその概略構成を示す説明図、（ｂ）はその燃焼器内の平均温度状態を示す説明図。
【符号の説明】
１ 水蒸気
２ 酸素
３ 水素
４ 燃料ノズル
５ 酸素噴出孔
６ 水蒸気噴出孔
７ 水蒸気供給孔
８ 外筒
９ 燃焼器内筒
１０ 酸素を含んだ水蒸気
１１ 一次燃焼領域
１２ 希釈域
１３ 酸素供給配管

Claims (1)

1. 水素と酸素を燃焼させる水素燃焼タービン用水素・酸素燃焼器であって、燃焼器内筒内に噴射される水素に対し、前記燃焼器内筒とその外側の外筒との間の環状空間を流れる水蒸気に対して酸素を供給して予め混合した酸素を含む水蒸気を前記燃焼器内筒の複数箇所から多段で供給して燃焼させるように構成したことを特徴とする水素燃焼タービン用水素・酸素燃焼器。

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