JP3706427B2 - 版曲げ機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷機用刷版の両端を版胴周面へ装着する前に所定角度で曲げる版曲げ機に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷機の版胴などに印刷用の刷版(以下版と言う)を装着する場合には、別に設けた版曲げ機の定盤上に版を載置してそのくわえ側と尻側とを押さえ機構で押さえ、押さえたくわえ側と尻側とを曲げ機構で所定の角度で曲げるという作業が行なわれる。そして、曲げた版は版胴の周面に巻き付けられて両方の曲げ端を版胴周切欠内の版クランプ装置で保持させて版胴に装着される。
【0003】
この版曲げ機として従来、実公平5−36687公報等で手動で版曲げを行なうものや実開平5−51646号公報等でエアシリンダを用いて自動で版曲げを行なうものが開示されている。
これらによって曲げられた版は、図7の(b)に示すように、2段曲げの版尻曲げ形状を有する版100Bとなり、図8に示すようなベース(アンビル)101と曲げレバー102の両方を版尻曲げ形状と同一にした版曲げ機により1回の曲げ動作で成形されていた。
【0004】
そして、このように成形された版100Bは、図6の(b)に示すように、版胴103の周面に巻き付けられて両方の曲げ端を版胴周面に形成した切欠104内の巻棒105に保持させて締め付けられる。即ち、版100Bの切欠104の傾斜面に密着されたくわえ側と巻棒105の切溝106内に挿入された尻側とが共に、巻棒105の版張り方向への回動により、前記切欠104の傾斜面と巻棒105周面とで挾圧保持されるのである(特開平5−69531号公報に記載された従来技術としての版取付構造参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した図6の(b)に示すような版取付構造にあっては、版の装着時には切欠の開口部を通して巻棒の切溝内に版の尻側を差し込まなければならず、この作業には慎重さを要すると共に時間も掛かる。また、装着時点で版の尻側が大きく塑性変形を起こしているため、版の分離(取外し)時には巻棒を版緩み方向へ回動させても版の尻側は切溝内で板ばねのように作用して容易に取り出せない。また、版の装着時及び分離時において巻棒を回転させる角度が比較的大きいため、その作業スペースを確保することが困難である。等種々の問題点があった。
【0006】
そこで、本出願人は、先の特開平5−69531号公報で図6の(a)に示すような版取付構造を提案した。しかも、ここでは、図7の(a)に示すように、版尻の2段曲げ形状を直角にしかも曲げの半径を小さく短い長さで曲げた版100Aを採用している。
【0007】
これは、巻棒105の切溝106内に弾性体製の略Vの字形状のリテーナ107を挿入し、その一端で切欠104の傾斜面との間で版100Aのくわえ側を挾圧する一方、他端で当該版100Aの尻側を版張り方向に係止するようにして、簡易な構成を採りながら、版胴103への版100Aの取付が容易且つ迅速に行なえるようにしたものである。
【0008】
これにより、刷版自動交換機構にも十分対応できるのであるが、その際には上記版100Aの版尻の2段曲げ精度が、強いクランプ力を得る上で重要である。ところが、上述した従来の版曲げ機では、図7の(a)に示すような形状を有した版を精度良く成形するには下記の理由により困難である。
▲1▼ 短い長さに曲げの半径を小さく、直角に曲げるには高荷重が必要であり、労力負担が大になる。
▲2▼ 1段階動作で2段曲げ角度を直角程度に成形するのは、動作の軌跡上ベースとの干渉を防ぐ上から不可能である。
▲3▼ 曲げ角度の精度のバラツキが、版尻自動挿入に大きく影響するため版曲げ角度の精度が必要となる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、確実な動作手順で高精度な2段曲げ加工が行える版曲げ機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明に係る版曲げ機は、版の端部に1段曲げ加工を施す1段曲げ手段と、2段曲げ加工を施す2段曲げ手段と、前記1段曲げ手段と係合し前記2段曲げ手段を構成する流体圧シリンダへの流体圧供給通路を開くメカニカルバルブとを備え、前記メカニカルバルブは前記1段曲げ手段の曲げ動作が完了した位置において前記流体圧シリンダへの流体圧供給通路を開くことを特徴とする。
また、前記2段曲げ手段は前記1段曲げ手段が版を押えているときに2段曲げ加工を行うことを特徴とする。
また、機台に設けられたアンビル上に版を押える版押え機構をさらに備え、前記1段曲げ手段は回転可能に支持され前記版押え機構により前記アンビル上に押えられた版を前記アンビルの加工部の形状に沿って曲げることにより1段曲げを行い、前記2段曲げ手段は前記1段曲げ手段により前記アンビル上に押えられた版を前記アンビルの別の加工部の形状に沿って曲げることにより2段曲げを行うことを特徴とする。
【0011】
[作用]
前記構成によれば、2段曲げは、1段曲げの曲げ動作が完了していることが条件で、曲げ動作が開始可能となることから、誤って2段曲げを先に動作させることによる版曲げ不良等が未然に回避される。
また、前記メカニカルバルブを用いると、電気を一切使用せずに版曲げ制御が可能となる。
また、前記レバーがカバー部を具備すると、2段曲げ手段の加工部への異物や塵芥の侵入を防げる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る版曲げ機を実施例に基づいて詳細に説明する。
[実施例]
図1は版曲げ機の正面図、図2は同じく平面図、図3は同じく側面図、図4は同じく2段曲げ手段の側面図、図5は図4の要部拡大図である。
【0013】
図示のように、フロアに設置された機台1上に版曲げベース2が固設され、この版曲げベース2の上面前部に左右方向に延びるアンビル(金敷)3が固定されると共に、このアンビル3の左,右両端部側方に位置した版曲げベース2上に版押え機構4の下部固定筒4aがそれぞれ立設され、これら下部固定筒4a間に版押え機構4の上部昇降体4bが上下動可能に架設される。図中4cは上下方向に調整可能な押え板である。
【0014】
前記上部昇降体4bの左,右両部にはブラケット5が付設され、これらブラケット5間にハンドル6付きの1段曲げレバー7がピン8を介してハンドル6操作で前後方向に回転可能に取り付けられる。この1段曲げレバー7は、前記アンビル3上に版押え機構4を介して押さえられた版100A(図6及び図7参照)の尻側を略直角に1段曲げするものである。
【0015】
前記1段曲げレバー7は板状に形成され、1段曲げの動作完了時には、その大半部(カバー部)7aが前後方向に所定の幅を持った水平カバーとなり、その下方部位を覆うようになっている。
【0016】
前記右方ブラケット5側に支持されたピン8の外端には検出レバー9が固設され、前記1段曲げレバー7と一体回転し、1段曲げの動作完了時には曲げ動作検出手段としてのメカニカルバルブ10と係合するようになっている。
【0017】
前記メカニカルバルブ10は、前記検出レバー9と係合することで、2段曲げ手段を構成する複数個(図示例では3個)のエアシリンダ11a〜11cへの加圧エア供給通路12を開き、2段曲げ手段の曲げ動作を開始可能とするものである。尚、図中13は手動の操作バルブであり、これの切替操作でエアシリンダ11a〜11cに対する加圧エアの給,排が行われて伸縮作動するようになっている。
【0018】
前記エアシリンダ11a〜11cは、左右方向へ所定間隔離間して配設され、そのヘッド部が前記アンビル3の背面にアングル(L字金具)14を介して取り付けられた支持ブラケット15に揺動自在に支持されると共に、ピストンロッド先端がナックル16を介してベルクランク状の曲げレバー17の下端に連結される。
【0019】
前記曲げレバー17は、その中間部においてシャフト18に取り付けられ、このシャフト18は前記アンビル3の前面下部に左右方向に所定間隔離間して複数個(図示例では6個)固設されたブロック19に回動自在に通されている。そして、これら3個の曲げレバー17に跨がってその上端部には2段曲げバー20が固定されている。
【0020】
このように構成されるため、1段曲げレバー7が垂直状態にあると共に、エアシリンダ11a〜11cが収縮して2段曲げバー20が後退した位置にある状態で、アンビル3上に版押え機構4により版100Aを固定した後、先ず、ハンドル6を操作して1段曲げレバー7を前方へ回転させると(図4の実線から鎖線状態参照)、アンビル3の加工部の形状に沿って版100Aの版尻に1段曲げ加工が施される。
【0021】
この1段曲げの動作完了時には、検出レバー9がメカニカルバルブ10と係合し、2段曲げ手段を構成するエアシリンダ11a〜11cへの加圧エア供給通路12を開き、2段曲げ手段の曲げ動作を開始可能とする。
【0022】
次に、1段曲げレバー7をそのままにした状態で、操作バルブ13を操作してエアシリンダ11a〜11cを伸長させ、曲げレバー17を回転させて(図4の鎖線から実線状態参照)、2段曲げバー20をアンビル3に対し前進させると、同じくアンビル3の加工部の形状に沿って版100Aの版尻に2段曲げ加工が施される。この2段曲げの際、1段曲げレバー7が版押えとして機能するので、2段曲げの角度の精度が向上する。
【0023】
この後、2段曲げバー20及び1段曲げレバー7が復帰して版曲げ加工が終了し、アンビル3上から版100Aを取り出せば、該版100Aの版尻は図7の(a)に示した2段曲げ形状に加工されている。
【0024】
このようにして本実施例では、1段曲げレバー7を回転させて1段曲げの動作を完了した後でなければ、メカニカルバルブ10が切り替わらず、2段曲げの動作を開始することができないため、誤って2段曲げを先に動作させることによる版曲げ不良等が未然に回避される。
【0025】
また、前記メカニカルバルブ10を用いると、電気を一切使用せずに版曲げ制御が可能となり、低コスト及び無電源の版曲げ機が実現する。
【0026】
また、前記1段曲げレバー7のカバー部7aによって、2段曲げの動作時に加工部が遮蔽されるので、当該加工部への異物や塵芥の侵入が防げる。
【0027】
また、曲げレバー17のレバー比の設定で、小容量のエアシリンダ11a〜11cで高い曲げ荷重が容易に得られる。
【0028】
また、エアシリンダ11a〜11c等を版曲げベース2下方にコンパクトに収納できるので、省スペース化が図れる。
【0029】
[他の実施例]
先の実施例におけるメカニカルバルブ10の代わりにリミットスイッチを取り付け、これからの電気信号によって操作バルブ13を作動可能にしても、安全は確保され、正確な版曲げも可能となる。
【0030】
また、先の実施例におけるメカニカルバルブ10の代わりにリミットスイッチを取り付け、また操作バルブ13の代わりに電磁弁を設けることで、電気信号によって、シーケンサを使用せずに連続した曲げ動作をさせることができる。
【0031】
また、1段曲げレバー7もエアシリンダで駆動する等して全自動化も図れる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、版の端部に1段曲げ加工を施す1段曲げ手段と、2段曲げ加工を施す2段曲げ手段と、前記1段曲げ手段の曲げ動作完了を検出して2段曲げ手段の曲げ動作を開始可能とする曲げ動作検出手段と、を設けたので、確実な動作手順で高精度な2段曲げ加工が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す版曲げ機の正面図である。
【図2】同じく平面図である。
【図3】同じく側面図である。
【図4】同じく2段曲げ手段の側面図である。
【図5】図4の要部拡大図
【図6】版取付構造の比較説明図である。
【図7】版尻の2段曲げ形状の比較説明図である。
【図8】従来の版曲げ機の側面図である。
【符号の説明】
1 機台
2 版曲げベース
3 アンビル
4 版押え機構
5 ブラケット
6 ハンドル
7 1段曲げレバー
8 ピン
9 検出レバー
10 メカニカルバルブ
11a〜11c エアシリンダ
12 加圧エア供給通路
13 操作バルブ
14 アングル
15 ブラケット
17 曲げレバー
18 シャフト
19 ブロック
20 2段曲げバー
100A 版
Claims (3)
- 版の端部に1段曲げ加工を施す1段曲げ手段と、2段曲げ加工を施す2段曲げ手段と、前記1段曲げ手段と係合し前記2段曲げ手段を構成する流体圧シリンダへの流体圧供給通路を開くメカニカルバルブとを備え、前記メカニカルバルブは前記1段曲げ手段の曲げ動作が完了した位置において前記流体圧シリンダへの流体圧供給通路を開くことを特徴とする版曲げ機。
- 前記2段曲げ手段は前記1段曲げ手段が版を押えているときに2段曲げ加工を行うことを特徴とする請求項1記載の版曲げ機。
- 機台に設けられたアンビル上に版を押える版押え機構をさらに備え、
前記1段曲げ手段は回転可能に支持され前記版押え機構により前記アンビル上に押えられた版を前記アンビルの加工部の形状に沿って曲げることにより1段曲げを行い、
前記2段曲げ手段は前記1段曲げ手段により前記アンビル上に押えられた版を前記アンビルの別の加工部の形状に沿って曲げることにより2段曲げを行うことを特徴とする請求項2記載の版曲げ機。
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JP05883396A JP3706427B2 (ja) | 1996-03-15 | 1996-03-15 | 版曲げ機 |
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1996
- 1996-03-15 JP JP05883396A patent/JP3706427B2/ja not_active Expired - Fee Related
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