JP3705635B2 - プラスチックフィルムの圧延装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプラスチックフィルムの圧延装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックフィルムの圧延は、例えば実開昭52─135465号公報に記載されているように、プラスチックフィルムを一対の圧延ロールの間に通し、これらの圧延ロールに圧下力をかけてプラスチックフィルムの厚さを減少させることである。圧延は一対の圧延ロールが互いに接触する部位である圧延変形点(圧延ロールの長さ方向に延びている)において実質的に生じる。
【0003】
上記公報は、一対の圧延ロールの周速度に差をつけ、プラスチックフィルムを低速の圧延ロールを抱くように供給すると、圧延変形点における圧延が確実に行われ、圧延倍率を増大したり、プラスチックフィルムにしわや波うちが発生するのを防止することができる等の改善を図ることができることを開示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の圧延装置で圧延倍率の高い圧延を行うためには、圧延ロールに高い圧下力をかけることが必要であり、そのために下記のような問題点があった。すなわち、高い圧下力のために被圧延材料であるプラスチックフィルムが断裂しやすくなること、プラスチックフィルムの変形抵抗による圧延ロールのたわみが生じること、プラスチックフィルムの変形点への進入が困難になるためのしわや折り込みの発生等の問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、生産性が高く、且つ品質の優れたプラスチックフィルムを得ることのできるプラスチックフィルムの圧延装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によるプラスチックフィルムの圧延装置は、プラスチックフィルムの搬送路に沿って少なくとも3つの圧延ロールが配置され、該少なくとも3つの圧延ロールのうちの2つの圧延ロールはそれら間に1つの圧延変形点を形成し、且つ該少なくとも3つの圧延ロールがプラスチックフィルムを段階的に圧延するように複数の圧延変形点を形成することを特徴とする。
【0007】
上記したような問題点は圧延を1ケ所の圧延変形点において高い圧延倍率で行うことから生じている。本発明では、プラスチックフィルムの搬送路に沿って複数の圧延変形点において圧延を行うようにしたので、各圧延変形点における圧延倍率は小さく、且つ全体の圧延変形点における合計の圧下率を大きくすることができる。従って、生産性よく、且つしわ等の発生なく、プラスチックフィルムの圧延を行うことができる。
【0008】
上記特徴において、該少なくとも3つの圧延ロールを駆動する駆動手段を有し、各圧延変形点を規定する2つの圧延ロールが異なった周速度で駆動され、一つの圧延変形点においてプラスチックフィルムの一方の表面に周速度の大きい圧延ロールを作用させ、次の圧延変形点においてプラスチックフィルムの他方の表面に周速度の大きい圧延ロールを作用させる構成とするのが好ましい。これによって、プラスチックフィルムの一方の表面及び他方の表面が交互に引っ張り作用を受け、従来の1ケ所の圧延変形点における圧延の場合に生じたプラスチックフィルムのカールを防止することができるようになった。
【0009】
上記特徴において、該少なくとも3つの圧延ロールは、順次圧延変形点を形成するように配置されている構成とするのが好ましい。これによって、好ましい形態として、わずか3つの圧延ロールによって2つの圧延変形点を設けることができる。
特に、該少なくとも3つの圧延ロールのうち、2つの圧延ロールは駆動圧延ロールであり、残りの圧延ロールは該2つの駆動圧延ロール間に配置され且つ該2つの駆動圧延ロールにより従動される従動圧延ロールである構成とするのが好ましい。これによって、2つの圧延ロールのみを駆動すればよく、残りの圧延ロールは駆動圧延ロールとの接触により駆動される。
【0010】
上記特徴において、該2つの駆動圧延ロールの一方を他方に向かって押圧し圧延圧力を加えるための圧力付与手段を含む構成、あるいは、該従動圧延ロールを該2つの駆動圧延ロールに向かって押圧し圧延圧下力を加えるための圧下力付与手段を含む構成とすることもできる。これによって、2つの圧延ロールのみを駆動すればよいだけでなく、圧下力付与手段も簡単になる。
【0011】
また、上記特徴において、該少なくとも3つの圧延ロールは、それぞれ対をなして配置された偶数個の圧延ロールからなる構成とすることもできる。この場合、各対の圧延ロールの一方を他方に向かって押圧し圧延圧下力を加えるための圧下力付与手段を含む。
【0012】
さらに、本発明は、上流側駆動圧延ロールと、この上流側駆動圧延ロールの周速度より大きい周速度で駆動される下流側駆動圧延ロールと、上記上流側駆動圧延ロールとの間にプラスチックフィルムに圧延を施す上流側圧延変形点を形成するとともに上記下流側駆動圧延ロールとの間に上記上流側圧延変形点で圧延を施されたプラスチックフィルムにさらに圧延を施す下流側圧延変形点を形成する従動圧延ロールとを具備したことを特徴とするプラスチックフィルムの圧延装置を提供するものである。
【0013】
さらに、本発明は、上流側駆動圧延ロールと、この上流側駆動圧延ロールの周速度より大きい周速度で駆動される下流側駆動圧延ロールと、上記上流側駆動圧延ロールとの間にプラスチックフィルムに圧延を施す上流側圧延変形点を形成する上流側従動圧延ロールと、この上流側従動圧延ロールとの間に上記上流側圧延変形点で圧延を施されたプラスチックフィルムにさらに圧延を施す中央側圧延変形点を形成するとともに上記下流側駆動圧延ロールとの間に上記中央側圧延変形点で圧延を施されたプラスチックフィルムにさらに圧延を施す下流側圧延変形点を形成する下流側従動圧延ロールとを具備したことを特徴とするプラスチックフィルムの圧延装置を提供するものである。
【0014】
さらに、本発明は、プラスチックフィルムに圧延を施す一対の上流側圧延ロールと、この上流側圧延ロールで圧延を施されたプラスチックフィルムにさらに圧延を施す一対の下流側圧延ロールと、該プラスチックフィルムの一面側の上流側圧延ロールの周速度が他面側の上流側圧延ロールの周速度より大きくなるように上記一対の上流側圧延ロールを駆動するとともに該プラスチックフィルムの上記他面側の下流側圧延ロールの周速度が上記一面側の下流側圧延ロールの周速度より大きくなるように上記一対の下流側圧延ロールを駆動する駆動手段とを具備したことを特徴とするプラスチックフィルムの圧延装置を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施例によるプラスチックフィルムの圧延装置を示し、図2は図1の圧延装置の一部を示す拡大図である。
【0016】
図1において、圧延装置10は、フレーム12と、予熱ユニット14と、圧延ユニット16とを備える。予熱ユニット14は、駆動用モータ17と、予熱ロール18、19、20、21、22とを有する。予熱ロール18、19、20、21、22は、プーリ及びベルト装置24を介してモータ17により駆動される。また、予熱ロール18、19、20、21、22の内部に図示しない加熱流体が供給され、プラスチックフィルム26を予熱する。プラスチックフィルム26は、最後の予熱ロール21、22によってニップされて圧延ユニット16へ供給される。
【0017】
図1及び図2に示されるように、圧延ユニット16は、垂直方向に連続的に配置された3個の圧延ロール28、30、32を含む。また、ニップロール34、36がそれぞれ圧延ロール28、32に対して設けられる。
上側に位置する圧延ロール28が低周速駆動の圧延ロールであり、下側に位置する圧延ロール32が高周速駆動の圧延ロールである。中間の圧延ロール30は自由回転できるように設けられた従動圧延ロールであり、駆動圧延ロール28、32との接触の回転によりプラスチックフィルム26を介して従動される。また、この中間の従動圧延ロール30はこれらの駆動圧延ロール28、32よりも小径である。
【0018】
低周速駆動の圧延ロール28は、モータ38によってプーリ及びベルト機構40を介して駆動される。この場合、プーリ及びベルト機構40は変速用多段プーリや変速機を含むものとすることができる。高周速駆動の圧延ロール32も同様に例えば別個のモータによってプーリ及びベルト機構(図示せず)を介して駆動される。低周速駆動の圧延ロール28及び高周速駆動の圧延ロール32の内部に図示しない加熱流体が供給され、プラスチックフィルム26を加熱しつつ圧延を行う。
【0019】
圧延ユニット16の端部フレーム16aには垂直なスライドガイド42が設けられる。下方圧下ブロック44、中間圧下ブロック46、及び上方圧下ブロック48がこのスライドガイド42に摺動可能に係合する。圧下ハンドル50が送りねじ機構52を介して上方圧下ブロック48に連結される。下方圧下ブロック44は通常は垂直方向で下方の固定位置に維持され、中間圧下ブロック46及び上方圧下ブロック48は下方圧下ブロック44に向って上下することができる。
【0020】
図2で下側に位置する高周速駆動の圧延ロール32のシャフト32aは下方圧下ブロック44に軸受を介して取り付けられ、中間の従動圧延ロール30のシャフト30aは中間圧下ブロック46に軸受を介して取り付けられ、そして、上側に位置する低周速駆動の圧延ロール28のシャフト28aは上方圧下ブロック48に軸受を介して取り付けられる。よって、従動圧延ロール30及び低周速駆動の圧延ロール28は関連するブロックとともに昇降可能である。従って、圧下ハンドル50を操作することにより、低周速駆動の圧延ロール28を従動圧延ロール30及び高周速駆動圧延ロール32に対して圧下し、所望の圧延圧下力を与える。なお、圧延圧下力を油圧機構等を利用して付与することができることは明らかであろう。
【0021】
また、ニップロール34、36は例えばエアシリンダを含む支持機構により支持され、低周速及び高周速駆動の圧延ロール28、32に対して適当なエア圧力で押しつけられる。従って、ニップロール34、36は低周速及び高周速駆動の圧延ロール28、32と同じ周速度で回転する。
【0022】
図3は、低周速駆動の圧延ロール28、従動圧延ロール30、及び高周速駆動圧延ロール32の関係を説明する図である。低周速駆動の圧延ロール28と従動圧延ロール30との間に第1の圧延変形点(ロールの軸線方向に長く延びる)Xが形成され、従動圧延ロール30と高周速駆動圧延ロール32との間に第2の圧延変形点Yが形成される。
【0023】
低周速駆動の圧延ロール28は矢印Aの方向に周速度V1 で駆動され、高周速駆動の圧延ロール32は矢印Cの方向に周速度V3 で駆動される。従動圧延ロール30は、駆動圧延ロール28、32との回転によりプラスチックフィルム26を介して従動され、矢印Bの方向に周速度V2 で回転する。従動圧延ロール30の周速度V2 は、V1 <V2 <V3 の関係がある。
【0024】
このような構成の本発明の圧延装置と、従来の圧延装置による比較試験を行い、下記の結果が得られた。下記表1は原反として高密度ポリエチレン(HDPE、厚さ60μm)を使用した場合の結果を示す。また、表2はポリプロピレン(PP、厚さ60μm)を使用した場合、表3はポリプロピレン(PP、厚さ100μm)を使用した場合の結果を示す。
【0025】
これらの表において、比較例は圧延変形点が1ケ所にある従来技術に関し、参考例1は後で説明する本願の図7の2対の圧延ロールを用いた構成に関し、参考例2は本願の図8の3個の連続した圧延ロールを用いた構成に関するものである。なお、Vは予熱ロール21、22の周速度である。
【0026】
表1(HDPE 厚さ60μm)
比較例 参考例参考例
2m/分 2m/分 2m/分
6m/分 3m/分 2m/分
6m/分 4m/分 2.7m/分
6m/分 6m/分
5m/分
評価 表面性○ 表面性○ 表面性○
幅減少× 幅減少△ 幅減少○
【0027】
表1の結果では、参考例1において、第1の圧延変形点Xにおいては3/4の周速度差、第2の圧延変形点Yにおいては5/6の周速度差がある条件下で、2段階の圧延が行われる。参考例2においては、第1の圧延変形点Xにおいては2/2.7の周速度差、第2の圧延変形点Yにおいては2.7/6の周速度差がある条件下で、2段階の圧延が行われる。
【0028】
表2(PP 厚さ60μm)
比較例 参考例参考例
2m/分 2m/分 2m/分
6m/分 3m/分 2m/分
6m/分 4m/分 3.7m/分
6m/分 6m/分
5m/分
評価 表面性△ 表面性○ 表面性○
幅減少× 幅減少△ 幅減少○
【0029】
表3(PP 厚さ100μm)
比較例 参考例参考例
2m/分 2m/分 2m/分
10m/分 2m/分 2m/分
10m/分 3.8m/分 5.4m/分
6.4m/分 10m/分
10m/分
評価 成形不能 表面性△ 表面性×
断裂あり 幅減少○ 幅減少○
【0030】
表2では、表1と同様の駆動周速度であるが、参考例2において、中間の従動圧延ロール30の周速度Vは3.7m/分であった。
表3では、参考例1において、第1の圧延変形点Xにおいては2/3.8の周速度差、第2の圧延変形点Yにおいては6.4/10の周速度差がある条件下で、2段階の圧延が行われる。参考例2においては、駆動圧延ローラの周速度はそれぞれ2m/分、10/分に対して、中間の従動圧延ロール30の周速度Vは5.4m/分であった。従って、第1の圧延変形点Xにおいては2/5.4の周速度差、第2の圧延変形点Yにおいては5.4/10の周速度差がある条件下で、2段階の圧延が行われる。
【0031】
従動圧延ロール30は、周速度の異なる低周速及び高周速駆動の圧延ロール28、32に挟まれて回転することができないように見えるけれども、実際にプラスチックフィルム26を圧延する場合には、従動圧延ロール30は、V1 <V2 <V3 の関係にある周速度V2 で安定的に回転する。周速度V2 は、圧延すべきプラスチックフィルム26の種類が変われば変化する。しかし、不思議なことに、(加工条件等が一定であるとすれば)特定のプラスチックフィルム26については、従動圧延ロール30は、一定の周速度V2 で安定的に回転することが分かった。
【0032】
以上の結果から、本願の発明によれば、圧延倍率を上げても、圧延後のプラスチックフィルム26の表面性(しわや透明度の変化)及び幅の減少等に対する品質が改善されることができる。そして、各段階の圧延圧力を従来の単段階圧延と比べて小さくでき、その結果、各圧延ロールにかかる負荷が小さくなって圧延ロールのたわみが小さくなる。
【0033】
それによって各圧延ロールの直径を小さくでき、各圧延ロールの長さを大きくでき、ロールの素材に硬度の低いものを採用でき、広い幅のプラスチックフィルムの圧延を行うことができるようになる。これは各圧延ロールの材料の選択の可能性を広げ、且つ生産性の改善に寄与する。また、各圧延ロールのたわみが小さくなり、圧延ロールのぶれに基づく圧延品質の低下が小さくなる。ロール径を小さくとれることにより、装置規模(特に重量)を小さくすることができ、ロールの曲率が大きいために圧延変形作用が大きくなる。すなわち、連続したフィルムの成形では、圧延成形と言えども変形点での圧延変形のみならずロール間の速度差によって張力による延伸変形が一部発生してくるが、ロールの曲率が大きくなると、圧延変形の比率が高まってくるのである。特に図1に示した構成では、1組の圧力付与機構で、多段階の圧延を行うことができるので、多段階圧延を行っても大幅な設備コストの増加とはならない。
【0034】
さらに、圧延ロールの材料は被圧延材料の圧延変形抵抗に負けないことが制約になり、一般に硬度の大きい材料を選択する。一方、プラスチックフィルムの圧延においては、ロール表面とフィルム表面の相互作用、摩擦係数、密着性、すべり性などが圧延の安定性に大きな影響を及ぼす。こうした物性に適合した材料を選択したいという要望があるが、従来は硬度について過度の制約があるので、希望の材料を選択できないことが多い。
【0035】
中間の従動圧延ロール30が自由回転するようになっていることは、成形の安定性にとって重要である。同一の圧下力を付与するという条件の下でプラスチックフィルムに2段階の圧延を行う場合、第1の圧延変形点Xにおける圧延倍率と、第2の圧延変形点Yにおける圧延倍率とは、同一にはならないだけでなく、比もまた様々なプラスチックフィルムや圧延条件において一定とはならない。
【0036】
すなわち、第2の圧延変形点Yに入るプラスチックフィルムは、第1の圧延変形点Xに入る時点と、圧延変形に対する変形抵抗が異なっている。最も大きな変化として、第1の圧延変形点Xで既に変形したことにより、結晶間を結んだタイ分子が長さ方向に緊張し、それ以上の長さ方向の変形に対して抵抗を示す。また、第1の圧延変形点Xでの変形により、結晶が崩されたり、再整列したりして、結晶化度が変化したり、その高次構造が別のものに移行したりすることがあり、これも圧延に対する変形抵抗を変化させる。また、フィルムの厚みが薄くなることによって、結晶サイズももしくはその高次構造が比較的に大きい場合には、こうした高次構造の変形が厚みにより規制され、それ以上フィルムを薄くするような変形に対する抵抗が増す場合もある。
【0037】
従って、2つの圧延変形点における圧延に対するバランスにより、同一の圧下力をかけている場合に第1の圧延変形点で起こる圧延の倍率と第2の圧延変形点で起こる圧延の倍率の比もまた変化する。中間の圧延ロール30がもし一定の周速度で回転する駆動ロールであれば、その圧延ロールの速度を計算して制御しなければ良好な製品を安定して得ることができない。これは非常に面倒であり、適切な速度でない場合にはフィルムが断裂したり、中間の圧延ロール上でたるんでしまい変形点に巻き込まれたりすることになる。
【0038】
図3の実施例では、中間の従動圧延ロール30の周速度V2 は、圧延すべきプラスチックフィルム26の種類や圧延条件に応じて変化し、特定のプラスチックフィルム26の特定の圧延条件に対しては安定な一定の速度となる。つまり、第1の圧延変形点Xにおける圧延倍率と、第2の圧延変形点Yにおける圧延倍率との比は、圧延すべきプラスチックフィルムの種類と圧延条件に応じて適合するように自動的に調節されている。従って、中間の従動圧延ロール30を駆動する際に好適な周速度について面倒な計算を行う必要はなく、むしろ自由に従動させることが望ましいのである。
【0039】
さらに、図3において、プラスチックフィルム26は、一方の表面Pと、他方の表面Qとを有する。第1の圧延変形点Xにおいては、低周速駆動の圧延ロール28よりも周速度の大きい方の中間の従動圧延ロール30がプラスチックフィル26の一方の表面Pに作用する。第2の圧延変形点Yにおいては、中間の従動圧延ロール30よりも周速度の大きい方の高周速駆動の圧延ロール32がプラスチックフィル26の他方の表面Qに作用する。従って、プラスチックフィルム26の一方の表面P及び他方の表面Qが交互に引っ張り作用を受け、従来の1ケ所の圧延変形点における圧延の場合に生じたプラスチックフィルムのカールを防止することができる
【0040】
図4は図3の圧延装置の第1変形例を示す図である。この圧延装置は、図3のものと同様に、周速度V1 で駆動される低周速駆動の圧延ロール28と、周速度V3 で駆動される高周速駆動の圧延ロール32と、これらの駆動圧延ロール28、32との接触により周速度V2 で駆動される従動圧延ロール30とを含む。低周速駆動の圧延ロール28及び高周速駆動の圧延ロール32はそれぞれほぼ固定の位置で回転可能に支持されているのに対して、従動圧延ロール30はこれらの駆動圧延ロール28、32に対して近づきあるいは遠ざかるように例えば矢印Dで示される方向に移動可能な支持手段60に回転可能に支持されている。従って、この支持手段60が圧延圧下力を付与する。従動圧延ロール30は駆動圧延ロール28、32よりも小さくてよいので、駆動圧延ロール28、32を可動に支持し且つこれらの駆動圧延ロール28、32から圧延圧下力を付与する構成よりも、全体的に簡単な構成にすることができる。
【0041】
図5は図3の圧延装置の第2変形例を示す図である。この圧延装置は、図3のものと同様に、周速度V1 で駆動される低周速駆動の圧延ロール28と、周速度V3 で駆動される高周速駆動の圧延ロール32とを有する。これらの駆動圧延ロール28、32の間には、2つの従動圧延ロール30b、30cが配置される。2つの従動圧延ロール30b、30cはそれぞれ駆動圧延ロール28、32によって駆動され、また相手方の従動圧延ロール30b、30cによって駆動される。その結果、従動圧延ロール30b、30cの周速度V21、V22は互いに異なっている。従って、この圧延装置では、3つの圧延変形点X、Y、Zが形成され、各段の圧延倍率及び圧延圧力を小さくすることができる。
【0042】
図6は図3の圧延装置の第3変形例を示す図である。この圧延装置は、低周速駆動の圧延ロール28と、従動圧延ロール30と、高周速駆動の圧延ロール32とともに、これに直列に配置された、低周速駆動の圧延ロール28hと、従動圧延ロール30hと、高周速駆動の圧延ロール32hとを有する。この圧延装置では、6つの圧延変形点が形成され、各段の圧延倍率及び圧延圧力を小さくすることができる。
【0043】
図7及び図8は、それぞれ対をなして配置された偶数個の圧延ロールからなることを特徴とするプラスチックフィルムの圧延装置を示す図である。図7及び図8においては、全ての圧延ロールが駆動圧延ロールである。
【0044】
図7においては、プラスチックフィルム26の搬送路に沿って2対の圧延ロール70、72、74、76が配置されている。第1の一対の圧延ロール70、72は第1の圧延変形点Xを形成し、図示しない圧力付与手段が矢印Gで示されるように一方の圧延ロール70を他方の圧延ロール72に向かって押圧する。一方(上側の)の圧延ロール70の周速度V1 は他方(下側の)の圧延ロール72の周速度V2 よりも小さい。同様に、第2の一対の圧延ロール74、76は第2の圧延変形点Yを形成し、図示しない圧力付与手段が矢印Hで示されるように一方の圧延ロール74を他方の圧延ロール74に向かって押圧する。一方(上側の)の圧延ロール74の周速度V3 は他方(下側の)の圧延ロール76の周速度V4 よりも大きい。
【0045】
プラスチックフィル26は、一方の表面Pと、他方の表面Qとを有する。この場合にも、第1の圧延変形点Xにおいては、周速度の大きい方の下側の圧延ロール72がプラスチックフィル26の一方の表面Qに作用する。第2の圧延変形点Yにおいては、周速度の大きい方の上側の圧延ロール74がプラスチックフィル26の他方の表面Pに作用する。従って、プラスチックフィルム26の一方の表面P及び他方の表面Qが交互に引っ張り作用を受け、従来の1ケ所の圧延変形点における圧延の場合に生じたプラスチックフィルムのカールを防止することができる。
【0046】
図8においては、プラスチックフィルム26の搬送路に沿って3対の圧延ロール70、72、74、76、78、80が配置されている。各対の圧延ロール70、72、74、76、78、80には、図示しない圧下力付与手段から矢印G、H、Iで示されるように圧延圧下力が付与される。この例のその他の特徴は図7のものと同様である。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、生産性よく、幅の減少がなく、しわのない品質の優れたプラスチックフィルムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例のプラスチックフィルムの圧延装置を示す図である。
【図2】 図1の圧延ユニットの部分を示す拡大図である。
【図3】 図1の圧延ロールの部分の拡大図である。
【図4】 図3の圧延装置の第1変形例(参考例)を示す図である。
【図5】 図3の圧延装置の第2変形例を示す図である。
【図6】 図3の圧延装置の第3変形例を示す図である。
【図7】 本発明の他の参考例のプラスチックフィルムの圧延装置を示す図である。
【図8】 図7の圧延装置の変形例(参考例)を示す図である。
【符号の説明】
28、32…駆動圧延ロール
30…従動圧延ロール
44、46、48…圧下ブロック
70〜80…圧延ロール

Claims (4)

  1. プラスチックフィルムの搬送路に沿って少なくとも3つの圧延ロールが回転軸を直線上に有するように配置され、該少なくとも3つの圧延ロールのうち、2つの圧延ロールは駆動圧延ロールであり、残りの圧延ロールは該2つの駆動圧延ロール間に配置され且つ該2つの駆動圧延ロールに従動される従動圧延ロールであり、隣接する2つの圧延ロールはそれら間に1つの圧延変形点を形成し、且つ該少なくとも3つの圧延ロールがプラスチックフィルムを段階的に圧延するように複数の圧延変形点を形成することを特徴とするプラスチックフィルムの圧延装置。
  2. 該2つの駆動圧延ロールの一方を他方に向かって押圧し圧延圧下力を加えるための圧下力付与手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラスチックフィルムの圧延装置。
  3. プラスチックフィルムの搬送路に沿って3つの圧延ロールが回転軸を直線上に有するように配置され、上流側駆動圧延ロールと、この上流側駆動圧延ロールの周速度より大きい周速度で駆動される下流側駆動圧延ロールと、上記上流側駆動圧延ロールとの間にプラスチックフィルムに圧延を施す上流側圧延変形点を形成するとともに上記下流側駆動圧延ロールとの間に上記上流側圧延変形点で圧延を施されたプラスチックフィルムにさらに圧延を施す下流側圧延変形点を形成する従動圧延ロールとを具備したことを特徴とするプラスチックフィルムの圧延装置。
  4. プラスチックフィルムの搬送路に沿って4つの圧延ロールが回転軸を直線上に有するように配置され、上流側駆動圧延ロールと、この上流側駆動圧延ロールの周速度より大きい周速度で駆動される下流側駆動圧延ロールと、上記上流側駆動圧延ロールとの間にプラスチックフィルムに圧延を施す上流側圧延変形点を形成する上流側従動圧延ロールと、この上流側従動圧延ロールとの間に上記上流側圧延変形点で圧延を施されたプラスチックフィルムにさらに圧延を施す中央側圧延変形点を形成するとともに上記下流側駆動圧延ロールとの間に上記中央側圧延変形点で圧延を施されたプラスチックフィルムにさらに圧延を施す下流側圧延変形点を形成する下流側従動圧延ロールとを具備したことを特徴とするプラスチックフィルムの圧延装置。
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