JP3705627B2 - 鋳物砂の再生方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空混練槽を用いて回収鋳物砂を再生する鋳物砂の再生方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、鋳造用の生型を造型する生型造型ラインでは、鋳物砂を混練して型の造型を行ない、この型を用いて鋳込みが行なわれた後、使用済みの型をばらして鋳物砂を回収し、この回収された鋳物砂(以下、単に「回収砂」と呼ぶ)を用いて、あるいは必要に応じて新砂を加えて再度混練を行ない、次サイクルの造型が行なわれる。鋳物砂はこのような一連の循環サイクルを通じて、何度も再生して使用される。
【0003】
上記回収砂を再生して使用する場合、鋳込みを終えた型をばらして得られた回収砂は、回収時点ではかなりの高温に保たれており、これをそのまま混練すると、得られた再生砂の温度は過度に高いものとなる。
【0004】
そこで、従来は、回収砂の温度に比例した水分を添加して所定温度(一般に40℃程度以下)に冷却するとともに、回収砂の性状を安定化させている(実開平3−9245号)。
【0005】
ところで、近年では、生型造型ラインに用いられる混練槽として、槽内を所定の真空度(74HPa程度)に維持した状態で混練を行ない得る真空混練槽が一部で導入されて使用に供されつつある。
【0006】
この真空混練槽を用いることにより、40℃を超える高温(例えば40〜70℃程度)の回収砂を混練槽内で急速に40℃以下の設定温度にまで冷却することが可能になる。
【0007】
すなわち、鋳物砂を混練して生型を造型する場合、通常、高温の回収砂を(必要に応じて新砂を加えて)混練槽内に投入し、これに砂粒の粘結剤としてのベントナイトおよび所定量の水を添加して槽内で混練が行なわれるが、真空混練槽を用いた場合には、槽内を減圧して水の沸騰点を低下させることにより、添加した水の一部(以下にのべる冷却水)を蒸発させ、このとき槽内周囲の砂から気化潜熱を奪うことによって槽内の砂を一気に設定温度まで冷却することができる。
【0008】
なお、この真空混練槽を用いる場合、槽内への水の添加量は、基本的に、混練後の鋳物砂の含水量を所定値に保つための混練用(保湿水)と、混練時に高温の回収砂を冷却するための冷却用(冷却水)との総和として決定される。このうち、混練時に槽内で蒸発するのは、冷却水に相当する分である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような真空混練を行なう場合、混練槽内への水の添加量は、混練後の砂(再生砂)の品質を確保し、目標の砂強度、すなわち、再生砂で造型した生型の抗圧力が得られるように制御される。一般に砂の素性が一定であれば砂の含水量と抗圧力との間には一定の相関関係があることが知られており、従来では、回収砂の含水量を測定した上で、この相関関係に基づいて、混練後の再生砂の含水量が一定になるように添加水量を制御するようにしている。
【0010】
ところで、混練後の鋳物砂(再生砂)に含まれる水分は、砂粒表面に単に付着した付着水と、ベントナイトの結晶層に浸透した吸着水とに分けることができる。このうち、ベントナイト結晶層に浸透した吸着水は蒸発しにくく、鋳物砂の保水性を向上させる。また、この吸着水は、ベントナイトを活性化して砂強度、すなわち、生型の抗圧力の立上がりを早くし、かつ、生型の強度そのものを高める作用をするものと考えられる。
【0011】
図7は、回収砂の温度をパラメータとして、混練後の再生砂の含水量と生型の抗圧力との関係を調べた結果を示すグラフであり、直線Aが回収砂の温度65℃の場合を、また直線Bが回収砂の温度25℃の場合をそれぞれ表している。なお、この直線Aと、直線Bとでは、ベントナイトの添加量や混練時の真空度等、他の試験条件は全て同一に設定されている。図7のグラフから明らかなように、真空混練した場合には、再生砂の含水量が同じでも、回収砂の温度が高くなる程生型の抗圧力が高くなっている。これは、回収砂の温度が高くなる程添加すべき冷却水量が多くなるので、真空混練槽での水蒸気発生量が増加し、ベントナイト結晶層に浸透する吸着水量が多くなり、ベントナイトの活性化が進むためであると考えられる。
【0012】
換言すれば、真空混練中の水蒸気発生量が多い程、再生砂の強度が増大すると言うことができ、このことに着目すれば、再生砂の強度が所定以上の値に保たれる限り、粘結剤としてのベントナイトの配合率を減少させることも可能なはずである。そして、真空混練中の水蒸気発生量は、真空混練槽内の真空度を高める程増大すること明らかである。
【0013】
そこで、本発明は、真空混練槽内の真空度と再生砂の強度との相関関係に着目することにより、より安定した品質の再生砂を得るとともに、再生砂の強度を所定以上の値に維持しつつ粘結剤の使用量を抑制して、生型造型コストの低減を図ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係わる発明は、真空混練槽内に回収砂を投入し、水および粘結剤を添加して混練することにより上記回収砂を再生する鋳物砂の再生方法において、再生砂の砂強度の目標値を予め設定し、該目標値に対し、少なくとも真空混練前の槽内の鋳物砂の温度に基づいて、槽内の真空度を調整することを特徴とするものである。
【0015】
なお、混練時に新砂を加えない場合には、上記「真空混練前の槽内の鋳物砂」は「回収砂」を指すことになる(以下同様)。
【0016】
また、本願の請求項2に係わる発明は、請求項1に係わる発明において、少なくとも真空混練前の槽内の鋳物砂の温度に基づいて、水の添加量を調整することを特徴とするものである。
【0017】
さらに、本願の請求項3に係わる発明は、請求項1または2に係わる発明において、少なくとも真空混練前の槽内の鋳物砂の温度に基づいて、粘結剤の添加量を調整することを特徴とするものである。
【0018】
さらに、本願の請求項4に係わる発明は、請求項3に係わる発明において、上記粘結剤の添加量が、上記槽内の真空度が高い程、減量されることを特徴とするものである。
【0019】
本願の請求項5に係わる発明は、鋳物砂の再生装置であって、真空混練槽と、該真空混練槽に対し、回収砂、水および粘結剤をそれぞれ供給する各供給手段と、真空混練前の槽内の鋳物砂の温度を検出する温度検出手段とを備えるとともに、真空混練中の水蒸気発生量と再生砂の強度との関係データ、槽内の真空度をパラメータとする回収砂の温度と冷却水添加量との関係データおよび槽内の真空度をパラメータとする回収砂の温度と真空混練中の水蒸気発生量との関係データに基づいて、槽内の真空度を制御する制御手段とを備えてなることを特徴とするものである。
【0020】
また、本願の請求項6に係わる発明は、請求項5に係わる発明において、上記制御手段が、槽内の真空度をパラメータとする回収砂の温度と冷却水添加量との関係データに基づいて、冷却水添加量を制御することを特徴とするものである。
【0021】
さらに、本願の請求項7に係わる発明は、請求項5または6に係わる発明において、上記制御手段が、再生砂の砂強度の目標値に対する真空混練中の水蒸気発生量と粘結剤の添加量との関係データに基づいて、上記粘結剤の添加量を制御することを特徴とするものである。
【0022】
【発明の効果】
前述のように、真空混練中の水蒸気の発生量が多い程、粘結剤(ベントナイト)が活性化して再生砂の強度、すなわち真空混練後造型される生型の抗圧力が増大することが判明しており、また真空混練中の水蒸気発生量は、真空混練槽内の真空度を高める程増大すること明らかである。
【0023】
本願の請求項1および5に係わる発明によれば、再生砂の砂強度の目標値を設定し、この目標値に対し、少なくとも真空混練前の真空混練槽内の鋳物砂の温度に基づいて、槽内の真空度を調整するようにしているので、槽内の真空度を一定(例えば74HPa)にしていた従来に比べて、真空混練槽内の真空度をより高めて(気圧をより低くして)水の蒸発量を増大させることができる。
【0024】
したがって、再生砂の強度が増大する分、粘結剤の必要添加量を減量してもよいことになるから、再生砂の強度を所定以上の値に維持しつつ粘結剤の使用量を抑制して、生型造型コストの低減を図ることができる。
【0025】
また、本願の請求項2および6に係わる発明によれば、真空混練前の真空混練槽内の鋳物砂の温度に基づいて、さらに水の添加量を調整するようにしているので、再生砂の含水量と砂強度との関係に基づいて添加水量を決定していた従来に比べて、再生砂の品質をより安定したものとすることができる。この結果、生型の抗圧力をより均一に維持することができ、鋳造時の欠陥の減少および鋳造品の寸法精度の向上に寄与することができる。
【0026】
さらに、本願の請求項3および7に係わる発明によれば、真空混練前の槽内の鋳物砂の温度に基づいて、粘結剤の添加量を調整するようにしているので、真空混練中の槽内の真空度との関連で粘結剤の添加量を減量する場合の制御が容易になる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0028】
図1は、本発明に係わる鋳物砂の再生装置の一実施の形態を概略的に示す説明図である。この鋳物砂の再生装置は、真空ミキサー1と、この真空ミキサー1に所定量の回収砂および添加剤としての粘結剤(例えばベントナイト)、さらに必要に応じて新砂を投入するための計量ホッパー2と、真空ミキサー1に所定量の水を供給する水供給装置10とを備えている。
【0029】
計量ホッパー2は、図示は省略するが、鋳込み終了後に使用済みの型をばらして鋳物砂を回収する回収ステーション、添加剤としてのベントナイト(粘結剤)を供給するベントナイト供給装置および新砂を供給するための新砂供給ステーションに、例えばコンベア装置やフィーダー装置等の搬送手段を介して接続されている。
【0030】
水供給装置10は、真空ミキサー1内に供給すべき水の量を計る水計量器11と、供給すべき水をコンデンサ13側から供給ラインLsを通じて真空ミキサー1側に圧送する供給ポンプ12と、リターンラインLrを通じてコンデンサ13内に戻された水を、クーリングタワー16に接続された熱交換器15を通過させた上でコンデンサ13内に還流させる循環ポンプ14とを備えており、ほぼ一定温度に保たれた水を真空ミキサー1内に供給することができる。
【0031】
水計量器11の下流側には一次および二次の注水制御弁18,19が設けられている。一次注水制御弁18は、混練後の鋳物砂(再生砂)の含水量を所定値に保つための混練用の保温水を一次注水として真空ミキサー1内に注水するためのもので、一方、二次注水制御弁19は、混練時に高温の回収砂を冷却するための冷却水を二次注水として真空ミキサー1内に注水するためのものであり、真空ミキサー1内への注水量は、これら一次および二次の注水制御弁18,19によって制御される。
【0032】
真空ミキサー1には、途中に真空遮断弁22が介設された真空ダクト21が接続され、この真空ダクト21は、コンデンサ13を介して真空ポンプ23に接続されている。また、コンデンサ13と真空ポンプ23との間の配管には圧力スイッチ24が介設され、さらに、真空ポンプ23と並列に圧力調整弁25が接続されている。この圧力調整弁25は、図2に示すように、再生装置の作動を制御する演算コントローラ30に電気的に接続され、演算コントローラ30真空遮断弁22を開いた状態で真空ポンプ23を駆動することにより、真空ミキサー1内が真空ダクト21を介して真空引きされるとともに、上記演算コントローラ30により、真空ミキサー1内の真空度が圧力調整弁25を介して調整されるように構成されている。
【0033】
さらに、真空ミキサー1には、この真空ミキサー1内に大気を導入する大気解放弁26が接続され、この大気解放弁26を開くことにより、真空ミキサー1内の真空状態をほぼ瞬時に解除することができるようになっている。
【0034】
さらに、真空ミキサー1には、この真空ミキサー1内に投入された砂(主として回収砂)の温度と含水量と検出するFKセンサ5が挿入されており、このFKセンサ5は、図2に示すように、上記演算コントローラ30に電気的に接続され、この演算コントローラ30に対し検出信号を出力するようになっている。
【0035】
演算コントローラ30は、例えばマイクロコンピュータを主要部として構成され、上記圧力調整弁25およびFKセンサ5の他に、水計量器11内のロードセル11aおよび注水制御弁18,19が信号授受可能に接続されており、上記ロードセル11aの検出信号が演算コントローラ30に入力されるとともに、一次および二次の注水制御弁18,19には、演算コントローラ30から制御信号が出力されるようになっている。
【0036】
また、演算コントローラ30には、圧力スイッチ24からの真空度検出信号が入力され、演算コントローラ30は、この真空度検出信号に基づいて圧力調整弁25の開閉度を制御して、真空ミキサー1内の真空度を調整するようになっている。すなわち、圧力調整弁25を完全に閉じると、外気が遮断されて真空度が高まり(気圧は低下する)、圧力調整弁25を開いて行くと、外気が導入されて真空度が低下して(気圧は高まる)行くようになっている。。
【0037】
さらに、図示しないベントナイト供給装置が備えているベントナイト計量器31から、計量ホッパー2に供給される粘結剤としてのベントナイトの切出し量を表す信号が演算コントローラ30に入力され、演算コントローラ30からは、ベントナイト供給装置が備えているベントナイト切出し用のスクリューコンベアの駆動モータ32に対する制御信号が出力されるようになっている。
【0038】
なお、具体的には図示しないが、演算コントローラ30には、上記以外にも、例えば、計量ホッパー2のロードセルからの検出信号、水供給装置10の供給ラインLsの水温の検出信号等、種々の信号が入力され、また、例えば、真空遮断弁22や大気解放弁26等のバルブ類、あるいは供給ポンプ12や真空ポンプ23等のポンプ類に対して、種々の制御信号がそれぞれ出力されるようになっている。
【0039】
以上のような構成を備えた鋳物砂再生装置の作動について、図3のタイムチャートを参照しながら説明する。
【0040】
先ず、演算コントローラ30からの制御信号に基づいて、図示しない鋳物砂回収ステーション側から所定量の高温の回収砂が計量ホッパー2に搬送・投入される。また、必要に応じて、図示しない新砂が新砂供給ステーションから搬送・投入される。そして、これらが真空ミキサー1内で大気圧下で予備混練される。
【0041】
この予備混合が終了すると、FKセンサ5が真空ミキサー1内の砂(主として回収砂)の温度と含水量を測定して、その検出信号を演算コントローラ30に入力する。
【0042】
演算コントローラ30には、再生砂の砂強度の目標値と、図4、図5および図6に示す特性マップが予め入力されている。
【0043】
図4の特性マップにおける直線Aは、真空混練中の水蒸気量に対する再生砂の強度の関係を表し、再生砂の強度は、真空混練中の水蒸気量に比例して増大する。直線Bは、再生砂の強度の目標値を表す。また、直線Cは、真空混練中の水蒸気量に対し砂強度を目標値に保つ場合のベントナイト添加量を表し、ベントナイト添加量は真空混練中の水蒸気量に反比例して減量させてよいことを示している。
【0044】
また、図5の特性マップは、回収砂の温度に対する冷却水添加量の関係を表し、また、図6の特性マップは、回収砂の温度に対する真空混練中の水蒸気量を表している。図5および図6における直線Aは、混練後の砂の温度を40℃に設定して、水の沸騰点が40℃となる真空度(74HPa)の場合であり、直線Bは、混練後の砂の温度を30℃に設定して、水の沸騰点が30℃となる真空度(34HPa)の場合である。図5および図6の特性マップは、真空度を高めると、回収砂の温度が同じでも冷却水添加量および水蒸気量が増大することを示しており、混練後の砂の温度を例えば20℃に設定した場合は、さらに冷却水添加量および水蒸気量が増大することになる。
【0045】
したがって、真空ミキサー1内の真空度を上げる程、また、回収砂の温度が高い程、ベントナイトの添加量を減量することができる。
【0046】
演算コントローラ30では、予め設定された再生砂の砂強度の目標値およびFKセンサ5で検出された真空混練前の鋳物砂の温度に応じた上記図4〜図6の特性値を用いて、真空ミキサー1内の真空度の設定およびベントナイトの添加量の設定が行なわれる。
【0047】
また、演算コントローラ30では、予め設定された再生砂の砂強度の目標値および再生砂の温度(再生砂の温度が低い程、抜型抵抗が低下して、鋳型成形時の不良が少なくなる)に対して、FKセンサ5で検出された真空混練前の真空ミキサー1内の鋳物砂の温度に基づいて再生砂の含水量を設定し、この設定された目標含水量とFKセンサ5で検出された真空混練前の鋳物砂の含水量とに基づいて、添加すべき水分量を演算し、さらに、この水分量を混練用の一次水と冷却用の二次水とに振り分ける演算が行なわれる。
【0048】
そして、この演算値に基づいて一次水量が定められ、一次注水制御弁18に制御信号が出力されて弁18が開かれ、真空ミキサー1内に所定量の一次水が投入されるとともに、演算コントローラ30からの信号で、ベントナイト切出し用のスクリューコンベアの駆動モータ32が駆動されて、ベントナイトがベントナイト計量器31に送られ、ベントナイト切出し量が測定される。ベントナイト切出し量が前記設定値に達すると、演算コントローラ30からの制御信号に基づいて、上記駆動モータ32が停止されるとともに、ベントナイト計量器31内のベントナイトが空気圧送により計量ホッパー2を経て真空ミキサー1内に投入される。
【0049】
真空ミキサー1内に対する砂、一次水およびベントナイトの投入が終了すると、真空ミキサー1内に通じる各経路に設けられたゲートバルブ等が閉じられた上で、真空遮断弁22が開かれ、かつ圧力制御弁25が閉じられるとともに真空ポンプ23が駆動され、これにより、真空ミキサー1内が真空引きされる。圧力スイッチ24からの真空ミキサー1内の真空度を表す信号は演算コントローラ30に入力され、真空ミキサー1内の真空度が前記決定値(74HPa以下)に達すると、演算コントローラ30からの制御信号に基づいて、真空ポンプ23を作動させた状態で圧力制御弁25の開度が調整され、真空ミキサー1内の真空度が前記設定値に保たれるともに、真空混練が開始される。なお、真空度74HPaにおける水の沸騰点は40℃となり、34HPaにおける水の沸騰点は30℃となる。
【0050】
そして、この真空混練中の途中(好ましくは、真空混練工程の前半)に、冷却用の二次水の投入が行なわれる。すなわち、演算コントローラ30からの制御信号に基づいて、二次注水制御弁19が所定時間だけ開かれ、真空ミキサー1内に所定量の二次水が投入される。前述したように、この二次水が蒸発することにより、真空ミキサー1内の砂が設定温度にまで急速に冷却される。
【0051】
上記真空混練工程が終了すると、真空遮断弁22が閉じられるとともに大気解放弁26が開かれて、真空ミキサー1内が大気圧状態となる。そして、真空遮断弁22が開かれる前に閉じられた各ゲートバルブが開かれ、大気圧下で所定時間だけ混練が行なわれる。この大気圧混練が終了すると、真空ミキサー1の排出口1aから、予め設定された量の水分を含む、したがって、予め設定された砂強度を有する再生砂が排出され、再び鋳型の造型に供される。
【0052】
このようにして、1サイクル(本実施の形態では180秒)の再生処理が行なわれるようになっている。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態によれば、再生砂の砂強度の目標値および図4〜図6の特性マップを予め演算コントローラ30に入力しておき、演算コントローラ30が、FKセンサ5で検出した真空混練前の真空ミキサー1内の鋳物砂の温度に基づいて、再生砂の砂強度が目標値となるように、水供給装置10による真空ミキサー1内への二次水の供給量、真空ミキサー1内の真空度およびベントナイトの切出し量を制御しているので、真空ミキサー1内の真空度を一定にした状態で、再生砂の含水量と砂強度との関係に基づいて添加水量を決定していた従来に比べて、真空混練槽内の真空度をより高めて(気圧をより低くして)水の蒸発量を増大させることができる。
【0054】
したがって、再生砂の強度が増大する分、粘結剤の必要添加量を減量してもよいことになるから、再生砂の強度を所定以上の値に維持しつつ粘結剤の使用量を抑制して、生型造型コストの低減を図ることができる。また、再生砂の品質をより安定したものとすることができるため、生型の抗圧力をより均一に維持することができ、鋳造時の欠陥の減少および鋳造品の寸法精度の向上に寄与することができる。
【0055】
なお、上述した本実施の形態においては、演算コントローラ30が圧力制御弁25の開度を制御することによって、真空ミキサー1内の真空度を調整しているが、圧力制御弁25に代えて、真空ポンプ23にインバータを取り付け、このインバータの周波数を演算コントローラ30が制御することによって、真空ポンプ23自体の出力を制御し、これにより真空ミキサー1内の真空度を調整するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わる鋳物砂再生装置の全体構成を概略的に示す説明図
【図2】図1の鋳物砂再生装置における水および粘結剤の供給制御系ならびに真空ミキサー内の真空度の制御系とを示す説明図
【図3】図1の鋳物砂再生装置の動作の説明に供するタイムチャート
【図4】真空混練中の水蒸気量に対する再生砂の強度およびベントナイト添加量の関係を表す特性マップ
【図5】真空ミキサー内の真空度をパラメータとする回収砂の温度と冷却水添加量との関係を表す特性マップ
【図6】真空ミキサー内の真空度をパラメータとする回収砂の温度に対する真空混練中の水蒸気量を表す特性マップ
【図7】再生砂の含水量と生型の抗圧力との関係を表すグラフ
【符号の説明】
1 真空ミキサー
5 FKセンサ
10 水供給装置
18 一次注水制御弁
19 二次注水制御弁
23 真空ポンプ
24 圧力スイッチ
25 圧力制御弁
30 演算コントローラ
31 ベントナイト計量器
Claims (7)
- 真空混練槽内に回収砂を投入し、水および粘結剤を添加して混練することにより上記回収砂を再生する鋳物砂の再生方法において、
再生砂の砂強度の目標値を予め設定し、該目標値に対し、少なくとも真空混練前の槽内の鋳物砂の温度に基づいて、槽内の真空度を調整することを特徴とする鋳物砂の再生方法。 - 少なくとも真空混練前の槽内の鋳物砂の温度に基づいて、水の添加量を調整することを特徴とする請求項1記載の鋳物砂の再生方法。
- 少なくとも真空混練前の槽内の鋳物砂の温度に基づいて、粘結剤の添加量を調整することを特徴とする請求項1または2記載の鋳物砂の再生方法。
- 上記粘結剤の添加量は、上記槽内の真空度が高い程、減量されることを特徴とする請求項3記載の鋳物砂の再生方法。
- 真空混練槽と、該真空混練槽に対し、回収砂、水および粘結剤をそれぞれ供給する各供給手段と、真空混練前の槽内の鋳物砂の温度を検出する温度検出手段とを備えるとともに、真空混練中の水蒸気発生量と再生砂の強度との関係データ、槽内の真空度をパラメータとする回収砂の温度と冷却水添加量との関係データおよび槽内の真空度をパラメータとする回収砂の温度と真空混練中の水蒸気発生量との関係データに基づいて、槽内の真空度を制御する制御手段とを備えてなることを特徴とする鋳物砂の再生装置。
- 上記制御手段は、槽内の真空度をパラメータとする回収砂の温度と冷却水添加量との関係データに基づいて、冷却水添加量を制御することを特徴とする請求項5記載の鋳物砂の再生装置。
- 上記制御手段は、再生砂の砂強度の目標値に対する真空混練中の水蒸気発生量と粘結剤の添加量との関係データに基づいて、上記粘結剤の添加量を制御することを特徴とする請求項5または6記載の鋳物砂の再生装置。
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