JP3705455B2 - 抵抗感圧式座標入力装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タブレットシートを押圧して、押圧位置に対応してパーソナルコンピュータのディスプレーに表示されたカーソルを移動制御する抵抗感圧式座標入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、GUI(グラフィカル ユーザー インターフェース)環境の進展に伴い、パーソナルコンピュータ(以下パソコンという)の座標入力装置にマウスが広く用いられている。
【0003】
すなわち、マウスを操作パッド上で移動させ、その移動操作量を表す相対位置データ(xn−xn-1,yn−yn-1)から相対出力データ(X´n,Y´n)を生成してパソコンへ出力する。パソコンのデバイスドライバは、マウスからI/Oポートを経て入力されたその相対出力データ(X´n,Y´n)を、それまでディスプレー上のカーソルの絶対位置を表していたカーソル制御データ(CXn-1,CYn-1)に加えて、新たなカーソル制御データ(CXn,CYn)とし、このカーソル制御データ(CXn,CYn)で表されたディスプレー上の位置にカーソルを移動制御する。そして、カーソルをディスプレーに表示させたアイコン上に移動させながら、マウスに備えられたマウススイッチを操作して、アイコンに表示された命令をパソコンへ入力するものである。
【0004】
マウスは、このように操作パッド上で移動させる必要があるため、持ち運び先で操作スペースを確保できないポータブルタイプのパソコンにあっては、図8に示すようなタブレットシート6を入力面とした薄板状の抵抗感圧式座標入力装置107がマウスの替わりに用いられている。
【0005】
この抵抗感圧式座標入力装置107は、タブレットシート6の押圧位置を公知の抵抗接触方式などタブレットにおいて用いられる位置検出手段と同じ手段によって検出するものである。そして、タブレットシート6を指、専用のペン等で押圧しながら移動させると、押圧位置を検出する毎に、タブレットシート6の押圧位置を表す押圧位置データ(xn,yn)が検出される。抵抗感圧式座標入力装置107は、この押圧位置データ(xn,yn)から押圧位置データ(xn,yn)をそのまま用いて絶対出力データ(Xn,Yn)とし、パソコン1へ出力する。図1のように、パソコン1のデバイスドライバ3は、I/Oポート4を経て入力されたその絶対出力データ(Xn,Yn)を、ディスプレー5上のカーソルの絶対位置を表わすカーソル制御データ(CXn,CYn)とし、前述のマウス2と同様にこのカーソル制御データ(CXn,CYn)で表されたディスプレー上の位置にカーソルを移動制御する。
【0006】
従って、タブレットシート6を押圧移動操作することによって、マウスと同様にカーソルを移動制御することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように従来のマウスは、マウスを操作する操作スペースが必要である。また、移動操作量を表す相対出力データ(X´n,Y´n)をパソコンへ出力するものであるため、図7のように、パソコン1のディスプレー5上でカーソルの表示位置(O)とアイコンの表示位置(A)が離れている場合には、アイコンの表示位置(A)までカーソルを移動させるのに何度も相対位置データ(xn−xn-1,yn−yn-1)を出力させる必要があり、OからA´までの相当する距離だけマウス2を移動操作する必要があった。
【0008】
また、マウス2を移動操作する間は、常に相対出力データ(X´n,Y´n)が出力されるので、カーソルの軌跡は連続し、例えば文字認識の文字入力には適さないものであった。すなわち図7のように、ディスプレー5上で文字「け」を描くためには、Aまで移動したカーソルの移動軌跡を再びBの位置から開始する必要があり、単に操作パッド上のA´からB´までマウス2を移動させると、図のように、AとBの間にもカーソルの移動軌跡が生じ、OとA間の移動軌跡と判別することができない。従って、この間の移動によるカーソルの移動軌跡を無効とする必要があり、別のスイッチ入力によりこの間の操作を他の操作と識別する必要があった。
【0009】
一方、前述の従来の抵抗感圧式座標入力装置107によれば、タブレットシート6の押圧位置(xn,yn)を絶対位置としてそのままカーソル制御データ(Xn,Yn)とするものであるため、図8のように、タブレットシート6上で、ディスプレー5のアイコンに対応する位置(C´)を押圧すれば、直ちにその押圧位置に対応する位置(C)にカーソルが移動し、押圧位置データ(xn,yn)を一度出力するだけでカーソルを離れた所定の位置まで移動制御することができる。また、上記文字入力においても、タブレットシート6の押圧を解除して、別の位置から押圧を開始することによって、互いに離れたカーソルの移動軌跡を形成することができる。
【0010】
しかしながら、この従来の抵抗感圧式座標入力装置107には、次のような問題があった。第1には、常にディスプレーのカーソル位置と対応するタブレットシート6の位置を押圧する必要があるため、例えば、図8のようにディスプレー上の(C)の位置から更に(D)までカーソルを移動させる場合には、タブレットシート6の右上隅の狭いエリアで(C´)から(D´)まで押圧移動操作を行う必要があり、タブレットシート6の操作面が狭いことと相俟って、押圧操作が煩わしいものであった。
【0011】
第2には、カーソルの移動軌跡によって例えば図形などを入力しようとする場合に、一度タブレットシート6の押圧を解除すると再び同じ位置を押圧することが困難であり、カーソルの移動軌跡によって図形を描く場合などでは、押圧移動操作の連続性が失われ、再び始めから操作をやり直さなければならないという問題があった。
【0012】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、タブレットシート6の一度の押圧でカーソルをディスプレー5上の離れた位置に移動させることができ、しかも押圧移動操作をタブレットシート6の中央で行うことができ、また、押圧を一時解除してもカーソル移動制御の連続性が損なわれることない抵抗感圧式座標入力装置を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の抵抗感圧式座標入力装置は、タブレットシートと、タブレットシートの押圧を検出するペンオン検出手段と、タブレットシートの押圧を検出した後、タブレットシートの押圧位置を表す押圧位置データ(xn,yn)を発生させる位置検出手段と、押圧位置データ(xn,yn)を少なくとも次の押圧位置データが発生されるまで記憶する記憶手段と、押圧位置データ(xn,yn)からカーソルを移動制御する絶対出力データ(Xn,Yn)を生成する出力データ生成手段と、絶対出力データ(Xn,Yn)をパーソナルコンピュータへ出力するデータ出力手段とを備え、タブレットシートの押圧操作に従ってパーソナルコンピュータのディスプレーに表示されたカーソルを移動制御する座標入力装置において、
出力データ生成手段は、押圧位置データ(xn,yn)をそのまま用いて絶対出力データ(Xn,Yn)とする絶対値出力モードと、直前に生成した絶対出力データ(Xn-1,Yn-1)にタブレットシートの押圧移動前後の相対移動量を表す相対位置データ(xn−xn-1,yn−yn-1)を加えて絶対出力データ(Xn,Yn)とする相対値出力モードを選択可能で、タブレットシートの押圧位置での接触抵抗値rPによって選択したいずれか一方のモードで、絶対出力データを生成することを特徴とする。
【0014】
タブレットシートの押圧位置での接触抵抗値rPによって、絶対値出力モードが選択されると、押圧位置データをそのまま用いて生成された絶対出力データがパーソナルコンピュータに出力される。接触抵抗値rPが、絶対値出力モードを選択したときの接触抵抗値rPと異なる値となり、相対値出力モードが選択されると、直前に生成された絶対出力データに押圧移動前後の相対移動量を表す相対位置データを加えた絶対出力データがパーソナルコンピュータに出力される。
【0015】
従って、絶対出力データの入力によってカーソルを移動するパソコンに対して、接触抵抗値rPを変えることによって、絶対値出力モードと相対値出力モードの絶対出力データを任意に出力することができる。絶対値出力モードとすると、一度の操作でカーソルをディスプレー上の離れた位置に移動させることができ、また、互いに離れた位置にカーソルの移動軌跡を形成することができる。相対値出力モードとすると、タブレットシートの任意の位置で押圧移動操作ができ、また、押圧を解除して移動した相対移動量は相対位置データとならないので、押圧移動操作中にタブレットシートの押圧を解除しても押圧移動操作の連続性が損なわることがない。
【0016】
請求項2の抵抗感圧式座標入力装置は、タブレットシートと、タブレットシートの押圧を検出するペンオン検出手段と、タブレットシートの押圧を検出した後、タブレットシートの押圧位置を表す押圧位置データ(xn,yn)を発生させる位置検出手段と、押圧位置データ(xn,yn)を少なくとも次の押圧位置データが発生されるまで記憶する記憶手段と、前後の押圧位置データを比較して相対位置データ(xn−xn-1,yn−yn-1)を算出し、相対位置データ(xn−xn-1,yn−yn-1)からカーソルを移動制御する相対出力データ(X´n,Y´n)を生成する出力データ生成手段と、相対出力データ(X´n,Y´n)をパーソナルコンピュータへ出力するデータ出力手段とを備え、タブレットシートの押圧操作に従ってパーソナルコンピュータのディスプレーに表示されたカーソルを移動制御する抵抗感圧式座標入力装置において、
タブレットシートの押圧が解除されてから再び押圧を検出したときに、出力データ生成手段は、タブレットシートの押圧を解除した位置の押圧位置データ(xn-1,yn-1)と押圧を検出した位置の押圧位置データ(xn,yn)を比較して相対位置データ(xn−xn-1,yn−yn-1)を算出し、相対位置データ(xn−xn-1,yn−yn-1)から相対出力データ(X´n,Y´n)を生成する絶対値出力モードと、タブレットシートの押圧を解除した位置の押圧位置データ(xn-1,yn-1)を無効とし、相対出力データ(X´n,Y´n)を生成しない相対値出力モードを選択可能で、タブレットシートの押圧位置での接触抵抗値rPによって選択したいずれか一方のモードで、相対出力データを生成することを特徴とする。
【0017】
タブレットシートの押圧位置での接触抵抗値rPによって、絶対値出力モードが選択されると、タブレットシートの押圧解除してから再び押圧した位置までの相対移動量を表す相対位置データから相対出力データが生成され、パーソナルコンピュータに出力される。接触抵抗値rPが、絶対値出力モードを選択したときの接触抵抗値rPと異なる値となり、相対値出力モードが選択されると、タブレットの押圧を検出したときに、相対出力データは生成されない。
【0018】
従って、相対出力データの入力によってカーソルを移動するパソコンに対して、接触抵抗値rPを変えることによって、絶対値出力モードと相対値出力モードの絶対出力データを任意に出力することができる。絶対値出力モードとすると、押圧を解除して移動したときの相対移動量から相対出力データが出力されるので、一度の操作でカーソルをディスプレー上の離れた位置に移動させることができ、また、タブレットシートを押圧を検出しているときにのみ、移動軌跡を生じるようにすれば、互いに離れた位置にカーソルの移動軌跡を形成することができる。相対値出力モードとすると、タブレットシートの押圧を検出したときには、相対出力データが生成されないので、タブレットシートの押圧を一時解除しても、カーソルの移動制御を連続させることができる。
【0019】
請求項3の抵抗感圧式座標入力装置は、ペンでの押圧による接触抵抗値r1Pと、指での押圧による接触抵抗値r2Pを判別して、出力データ生成手段のモードを選択することを特徴とする。
【0020】
ペンと指によるタブレットシートの押圧面積は異なるので、同等の押圧力でタブレットシートを押圧すると、その押圧位置での接触抵抗値rPが異なる。従って、タブレットシートの押圧をペンと指で変えることによって、絶対出力モードと相対出力モードを選択することができる。
【0021】
請求項4の抵抗感圧式座標入力装置は、タブレットシートと接触する接触部の曲率を異ならせた2種類のペンでの押圧による接触抵抗値rPの相違を判別して、出力データ生成手段のモードを選択することを特徴とする。
【0022】
接触部の曲率の異なる2種類のペンによるタブレットシートの押圧面積は異なるので、同等の押圧力でタブレットシートを押圧すると、その押圧位置での接触抵抗値rPが異なる。従って、2種類のペンを交換することによって、絶対出力モードと相対出力モードを選択することができる。
【0023】
請求項5の抵抗感圧式座標入力装置は、タブレットシートの押圧を検出したときの押圧位置での接触抵抗値rPによって、出力データ生成手段のモードを選択することを特徴とする。
【0024】
タブレットシートを押圧したときに、出力データ生成手段が絶対値出力モードである場合には、押圧を解除した位置から押圧位置に対応する位置にカーソルが移動し、相対値出力モードである場合には、タブレットシートを押圧したときにカーソルが移動することはない。従って、タブレットシートの押圧を解除した後、再びタブレットシートを押圧するときに、その押圧位置での接触抵抗値rPによってモードを選択し、押圧位置に対応する位置にカーソルを移動させるか、押圧の一時解除があってもカーソル移動制御を連続させるかを選択することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、従来と同一の構成については、同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係る抵抗感圧式座標入力装置であるタッチパッド7の斜視図であり、平面上にタブレットシート6を入力面として形成したものである。図のように、タッチパッド7の前方には、マウスのスイッチに対応させた左右一組の押釦スイッチ8、9が備えられ、また、後方には、タッチパッド7のモードを表示する2個の発光素子11、12が取り付けられている。
【0027】
このタッチパッド7は、背面に接続された接続ケーブル13によってパソコン1に接続され、絶対出力データ(Xn、Yn)をパソコン1のI/Oポート4を介してデバイスドライバ3へ出力する。
【0028】
図2は、このタッチパッド7の回路構成を示すもので、タッチパッド7に備えられたマイコン10は、A/Dコンバータ14を内蔵し、このA/Dコンバータ14は、更に3個の入力端子AD1、AD2、AD3を備え、各入力端子の電位を同時に検出できるようになっている。
【0029】
マイコン10には、5個の入出力端子RCHK、IX+、OX-、IY+、OY-が備えられ、各入出力端子の後段にこれらの端子と内部回路との接続を切り替える電子スイッチ33〜37が接続されている。各電子スイッチ33〜37は、マイコン10の後述するスイッチ制御回路15により個別に動作し、マイコン10内の内部回路との接続が切り替えられるようになっている。
【0030】
60と61は、タブレットシート6を構成する一対のX座標抵抗板とY座標抵抗板であり、互いに均一に形成された抵抗層を対向させるようにして、対向面に印刷されたドット状の印刷スペーサ(図示せず)によって、僅かな間隙を隔てて重合されている。
【0031】
図のように、X座標抵抗板60には、X方向の両端の2辺に沿って、X+側電極60aとX−側電極60bが形成され、X+側電極60aは、マイコン10のIX+端子と基準抵抗である可変抵抗RCを介してRCHK端子に接続し、X−側電極60bは、マイコン10のOX-端子に接続している。尚、この基準抵抗RCの抵抗値rCは、後述するタブレットシート6の接触抵抗値rPを算出しやすいように調整した既知の抵抗値である。
【0032】
また、Y座標抵抗板61には、Y方向の両端の2辺に沿って、Y+側電極61aとY−側電極61bが形成され、Y+側電極61aは、マイコン10のIY+端子に接続し、Y−側電極61bは、マイコン10のOY-端子に接続している。
【0033】
図4は、このタッチパッド7の構成を示すブロック図である。
【0034】
X座標抵抗板60とY座標抵抗板61からなるタブレットシート6には、ペンオン検出回路16、モード判別回路31及び押圧位置検出回路17が接続され、それぞれタッチパッド7がペンオン検出モード、接触抵抗検出モード、X、Y座標検出モードのモードとなっている間に、タブレットシート6の押圧操作状態を監視している。
【0035】
以下、これらの回路の動作を図2で説明する。
【0036】
ペンオン検出回路16は、例えばタブレットシート6の一方のX座標抵抗板60の電位を監視し、押圧若しくは押圧解除によって、他方のY座標抵抗板61に接離することにより生じる電位変動から、その押圧及び押圧解除を検出するものである。すなわち、ペンオン検出モードでは、図2のRCHK+端子をスイッチ33により電源VCCと接続し、X座標抵抗板60に基準抵抗RCを介して基準検出電圧VCCを印加するとともに、IX+端子をA/Dコンバータ14の入力端子AD1に接続させ、X座標抵抗板60の電位を検出するようにしている。また、OY-入出力端子をスイッチ37により接地端子と接続するようにして、Y座標抵抗板61をGNDレベルとしている。
【0037】
タブレットシート6の押圧が解除されている間は、抵抗板60、61間に電流が流れないので、基準抵抗RCの両端にも電位降下が生じず、IX+端子の電位は電源VCCの電位に保たれる。
【0038】
この状態で、タブレットシート6が押圧されると、X座標抵抗板60からY座標抵抗板61に電流が流れ、IX+端子の電位が降下する。従ってこの電位を所定のペンオン検出しきい値VTと比較することによって、タブレットシート6が押圧されているか否かを検出する。
【0039】
ペンオン検出モードによりタブレットシート6の押圧が検出されると、タッチパッド7は、次に接触抵抗検出モードとなり、押圧位置Pでの接触抵抗値rPを検出する。モード判別回路31は、この押圧位置Pでの接触抵抗値rPから後述する出力データ生成手段21のモードを選択する。
【0040】
接触抵抗検出モードにおいては、スイッチ制御回路15により各電子スイッチ33〜37を図2に示すように動作させ、マイコン10の各入出力端子を内部回路と接続させている。すなわち、RCHK+端子は、スイッチ33により電源VCCと接続し、X座標抵抗板60のX+側電極60aに可変抵抗RCを介して基準検出電圧VCCを印加している。また、IX+、OX-、IY+の各入出力端子は、スイッチ34、35、36によりそれぞれA/Dコンバータ14の入力端子AD1、AD2、AD3に接続し、X座標抵抗板60のX+側電極60a、X−側電極60b、Y座標抵抗板61のY+側電極61aの電位を検出するようにしている。残るOY-入出力端子は、電子スイッチ37により接地端子と接続し、Y座標抵抗板61のY−側電極61bをGNDレベルとしている。
【0041】
図3は、図2の接触抵抗検出モードの等価回路図である。同図のように、X座標抵抗板60が押圧されると、押圧位置Pにおいて、X座標抵抗板60からY座標抵抗板61に接触抵抗を通して電流itが流れる。このとき、IX+、OX-、IY+入出力端子には、それぞれA/Dコンバータ14が接続されているので、これらの方向に流れる微小電流を無視すれば、可変抵抗RCと接触抵抗rPには、等しい電流itが流れる。
【0042】
従って、その両端の電位差をそれぞれ第1電位差VA、第2電位差VB、基準抵抗である可変抵抗RCの抵抗値をrCとすれば、VA/rC=VB/rPの関係から、rP=rC*VB/VAによって、接触抵抗値rPを検出することができる。
【0043】
同図から明らかなように、この第1電位差VAは既知の基準検出電圧VCCとA/Dコンバータ14の入力端子AD1の電位V1から、第2電位差VBは、A/Dコンバータ14の入力端子AD2とAD3との電位V2、V3から求めることができるので、モード選択回路でrP=rC*VB/VAより接触抵抗値rPを算出することができる。
【0044】
この接触抵抗値rPの算出に、このモードにおいて流れる電流itは影響しない。つまり、抵抗板間の接触位置(xp、yp)が変化して抵抗板60、61に流れる電流itが変化しても、電流itと無関係に接触抵抗値rPを検出できるものであり、接触抵抗値rPを、接触位置PのX座標(xp)とY座標(yp)と全く独立のパラメータとして検出できるものである。従って、タブレットシート6のどの位置を押圧しても、同じようにタブレットシート6を押圧するかぎり接触抵抗値rPは変化せず、逆に、押圧方法を変えて接触抵抗値rPの大きさを変えることによって、出力データ生成手段21のモードを選択することができる。本実施の形態においては、ペンの押圧による接触抵抗値r1Pと指での押圧による接触抵抗値r2Pの境界値をrTPとし、モード判別回路31において、接触抵抗値rPが境界値rTPより大きいときに指での押圧による接触抵抗値r2Pとして相対値出力モードと、境界値rTP以下のときにペンの押圧による接触抵抗値r1Pとして絶対値出力モードとして、これらのモードを表すモード判別信号を中央制御回路38へ出力する。
【0045】
ペンオンが検出され、モード判別信号が出力されると、タッチパッド7は、X、Y座標検出モードに移行し、押圧位置検出回路17において、タブレットシート6の接触位置(押圧位置)を検出する。押圧位置PのX、Y座標検出は、タッチパッド7をX、Y座標検出モードとして、X座標抵抗板60とY座標抵抗板61に交互に電位勾配を形成することにより行う。
【0046】
すなわち、X座標検出モードにおいては、電子スイッチ4によりIX+入力端子を電源VCCと接続し、IX+入力端子からX座標抵抗板60のX+側電極60aに基準検出電圧VCCを印加するとともに、OX-入出力端子を電子スイッチ35により接地させて、X座標抵抗板60の他方のX−側電極60bを接地し、X座標抵抗板60に均一な傾きの電位勾配を形成する。
【0047】
また、Y座標抵抗板61は、Y−側電極61bと接続するOY-入出力端子を電子スイッチ37によりオフとし、X座標抵抗板60との接触位置からY座標抵抗板61に電流が流れないようにするとともに、IY+入出力端子を電子スイッチ36によりA/Dコンバータ14の入力端子AD3に接続し、Y座標抵抗板61のY+側電極61aから押圧位置Pの電位を検出するようにしている。
【0048】
X座標抵抗板60には、均一な傾きの電位勾配が形成されているので、この入力端子AD3で検出した電位VxPによって接触位置PのX座標(xP)をマイコン10の押圧位置検出回路17で計算して検出することができる。
【0049】
X座標を検出した後、同様の方法で、タッチパッド7をY座標検出モードとして、Y座標を検出する。すなわち、電子スイッチ36、37の動作により、Y座標抵抗板61のY+側電極61aに基準検出電圧VCCを印加するとともに、他方のY−側電極61bを接地し、Y座標抵抗板61に均一な傾きの電位勾配を形成している。また、電子スイッチ34、35の動作により、X座標抵抗板60のX−側電極60b端子をオフとし、Y座標抵抗板61との接触位置からX座標抵抗板60に電流が流れないようにするとともに、X+側電極60aと接続するIX+入出力端子をA/Dコンバータ14の入力端子AD1に接続し、X+側電極60aから接触位置Pの電位を検出するようにしている。
【0050】
そしてX座標の検出と同様に、入力端子AD1で検出した電位VyPから接触位置PのY座標(yP)を、押圧位置検出回路17で計算して検出する。
【0051】
続いて、タッチパッド7を、再びペンオン検出モードとして、ペンオフと判定されない限り、上述の接触抵抗検出モードとX、Y座標検出モードを繰り返し、後述する出力データ生成手段21のモードの判別と接触位置PのX座標(xp)とY座標(yp)検出を行う。
【0052】
図4に示すように、押圧位置検出回路17は、このようにして周期的に検出した押圧位置データ(xn,yn)を、押圧位置データ補正・発生回路18へ出力する。押圧位置データ補正・発生回路18は、ペンオン検出回路16、押圧位置検出回路17と中央制御回路38と接続し、ペンオン検出回路16でタブレットシート6の押圧を検出した後、押圧位置検出回路17から入力された複数の押圧位置データ(x,y)の互いの相関をとり、異常値の押圧位置データ(x,y)を排除して、押圧位置データ(xn,yn)とする。
【0053】
押圧位置データ補正・発生回路18の出力には、押圧位置データ記憶回路19が接続している。押圧位置データ記憶回路19は、後述する絶対出力データ生成回路21が絶対出力データ(Xn,Yn)を生成する毎に、そのときの押圧位置データ補正・発生回路18の押圧位置データ(xn,yn)を記憶する。
【0054】
相対位置データ算出回路20は、押圧位置データ補正・発生回路18から押圧位置データ(xn,yn)が直接入力される毎に、前回絶対出力データ(Xn-1,Yn-1)が生成されたときに記憶した押圧位置データ(xn-1,yn-1)を押圧位置データ記憶回路19から呼び出し、これらの差で相対位置データk(xn−xn -1,yn−yn-1)とするものである。この相対位置データ(xn−xn-1,yn−yn-1)は、押圧位置データ補正・発生回路18から新たに押圧位置データ(xn,yn)が入力される毎に算出され、絶対出力データ生成回路21へ出力される。
【0055】
タッチパッド7に備えられた左右の押釦スイッチ8、9は、それぞれスイッチ押圧検出回路22に接続し、いずれかのスイッチが押し下げられたときに、その押し下げ動作を検出できるようになっている。スイッチ押圧検出回路22は、中央制御回路38と絶対出力データ生成回路21に接続し、検出した各スイッチの動作状態を示すスイッチデータを出力している。
【0056】
押釦スイッチ8、9は、マウス2に備えられている左右のスイッチに対応するもので、これらのスイッチを操作すると、マウスの左右のスイッチを操作したときと同じ絶対出力データが生成される。ドラッグなどマウスに特有の操作は、マウスの左スイッチに対応する押釦スイッチ8を操作することによって行うことができる。
【0057】
中央制御回路38は、モード判別回路31とペンオン検出回路16とスイッチ押圧検出回路22の出力側と押圧位置データ補正・発生回路18に接続し、モード判別回路31から出力されたモード選択信号と、ペンオン検出回路16から出力されたタブレットシート6の押圧状態を表すペンオン検出信号を絶対出力データ生成回路21に出力する。
【0058】
出力データ生成手段である絶対出力データ生成回路21は、スイッチデータと押圧位置データ(xn,yn)若しくは相対位置データ(xn−xn-1,yn−yn-1)をもとに、表1のフォーマットの絶対出力データ(Xn,Yn)を生成する。表1は、1バイト10ビットの5バイトからなるデータフォーマットで、パソコン1のディスプレー5上のカーソル移動制御先を示す絶対値が、2進数の座標値X、Yで表わされている。
【0059】
【表1】
【0060】
表1において、Pはパリティビット、Fは有効領域指定ビットで、有効領域指定ビットが”0”はタブレットシート6の有効座標読取り範囲内で押圧されていることを、”1”はタブレットシート6の有効座標読取り範囲内で押圧されていないことを各々示している。すなわち、Fが”0”であるとき押圧による有効データとして扱われる。X0〜X11(12ビット)はディスプレー5の横軸座標値(X)を2進表示するビット、Y0〜Y11(12ビット)は同縦軸座標値(Y)を2進表示するビットで、数値の小さいほど下位のビットを表わし、X0,Y0が各々最下位ビットを表わしている。
【0061】
S0,S1は、左右の押釦スイッチ8、9の動作状態を表すスイッチデータのビットで、例えば、押釦スイッチ8、9が押し下げらると、対応するビットS0,S1のデータが”0”から”1”に変化する。
【0062】
絶対出力データ生成回路21は、中央制御回路38からモード選択信号を入力する毎に、絶対値出力モードと相対値出力モードとの間で、モードが切り替わる。絶対値出力モードにおいては、押圧位置データ補正・発生回路18から直接入力されたx、y各12ビットの押圧位置データ(xn,yn)をそのままX0〜X11とY0〜Y11のデータとして、絶対出力データ(Xn,Yn)を生成する。
【0063】
また、相対値出力モードにおいては、その直前に生成した絶対出力データ(Xn-1,Yn-1)に相対位置データ算出回路20から出力された相対位置データ(xn−xn-1,yn−yn-1)を加えて、新たな絶対出力データ(Xn,Yn)を生成するものである。すなわち、直前に生成した絶対出力データ(Xn-1,Yn-1)のX0〜X11で表される12ビットの座標値Xn-1に(xn−xn-1)を加えて、新たな絶対出力データ(Xn,Yn)のX0〜X11で表される座標値Xnとする。また、同様に、絶対出力データ(Xn-1,Yn-1)のY0〜Y11で表される12ビットの座標値Yn-1に(yn−yn-1)を加えて、新たな絶対出力データ(Xn,Yn)のY0〜Y11で表される座標値Ynとする。
【0064】
この相対値出力モードにおける生成のために、絶対出力データ生成回路21には絶対出力データ記憶回路23が接続され、絶対出力データ(Xn,Yn)が生成される毎に記憶している。そして、相対値出力モードで新たに絶対出力データ(Xn,Yn)を生成する際には、その前に絶対出力データ記憶回路23で記憶した絶対出力データを直前に生成した絶対出力データ(Xn-1,Yn-1)として呼び出すものである。
【0065】
尚、相対値出力モードにおいては、ペンオン検出信号を入力している間に、連続して押圧位置データ(xn,yn)を入力した場合、すなわちタブレットシート6を押圧しながら押圧位置を移動させた場合にのみ、上記絶対出力データ(Xn,Yn)を出力するものであり、押圧が解除されている間、及び押圧を検出した直後は、押圧位置データ(xn,yn)が押圧位置データ記憶回路19に記憶されるだけであり、絶対出力データ(Xn,Yn)は出力されない。従って、押圧を解除したときに出力された絶対出力データが直前に生成した絶対出力データ(Xn-1,Yn-1)となり、カーソルは、押圧を解除した位置から新たに押圧移動する方向に移動することとなる。
【0066】
絶対出力データ生成回路21で形成された絶対出力データ(Xn,Yn)は、送信データとしてデータ出力手段である入出力インターフェース24からパソコン1へ出力される。尚、図中波線内に示す各回路は、中央制御回路38とともに1チップのマイコンとして集積化されている。
【0067】
このように構成されたタッチパッド7の作用を、図4と図5で説明する。図5は、タッチパッド7の操作とディスプレー5上のカーソルの移動の関係を示した説明図である。
【0068】
図5に示すように、ディスプレー5上の「a´」に表示されたカーソルを「文字認識」と表示されたアイコンまで移動させ、パソコン1に文字認識を実行させるものとする。カーソルは、以前の操作によって「a´」の位置に対応する絶対出力データ(X0,Y0)が出力され、ディスプレー5の右上隅に表示されているものであるが、このカーソルの移動制御は、タブレットシート6のほぼ中央を「b」から「c」へ指で押圧することにより行うことができる。「b」の位置が押圧されると、タブレットシート6の押圧が検出されるとともに、その押圧の際の接触抵抗値rPが検出される。タブレットシート6は、指で押圧されているので、接触抵抗値rPは境界値をrTPより大きく、モード判別回路31により相対値出力モードと判別され、絶対出力データ生成回路21は、相対値出力モードとなる。
【0069】
一方、押圧位置検出回路17によって、「b」の押圧位置データが検出されるが、ペンオンを検出した直後であるので、この押圧位置データ(x0,y0)は押圧位置データ記憶回路19に記憶されるだけで、絶対出力データ(Xn,Yn)は出力されない。「c」の方向に押圧移動することによって、新たな押圧位置データ(x1,y1)が検出され、相対位置データ算出回路20は、直前の押圧位置データ(x0,y0)と新たに押圧位置データ補正・発生回路18から入力した押圧位置データ(x1,y1)とから、(x1−x0,y1−y0)の相対位置データを算出する。
【0070】
絶対出力データ生成回路21は、相対値出力モードとなっているので、この相対位置データ(x1−x0,y1−y0)を直前の絶対出力データ(Xn-1,Yn-1)に加えて、新たな絶対出力データ(X1,Y1)とする。この直前の絶対出力データは、「b」を押圧したときには生成されていないので、「a´」の位置に対応する絶対出力データ(X0,Y0)である。すなわち、X1は、X0+(x1−x0)と、Y1は、Y0+(y1−y0)となり、カーソルは「a´」から移動する。従って、タブレットシート6の中央で「b」から「c」の方向に押圧移動することによって、カーソルを「a´」から「文字認識」のアイコン方向へ移動制御することができる。この移動制御においては、タブレットシート6の押圧を一時解除してもカーソルの移動を連続させることができる。
【0071】
同様の操作によって、「文字認識」上にアイコンを移動させた後、押釦スイッチ8を押圧すると、パソコン1は、文字認識処理のプログラムを実行し、文字入力待機状態となる。文字入力は、タブレットシート6の入力面に所定の文字を押圧移動することによって描き、その軌跡によって入力するものであるが、この入力は、タブレットシート6をペンにより押圧することにより行う。
【0072】
例えば、「い」の文字をタブレットシート6で入力するものすると、「e」から「f」へ押圧移動を行う。「e」の位置が押圧されると、タブレットシート6の押圧が検出されるとともに、その押圧の際の接触抵抗値rPが検出される。タブレットシート6は、ペンで押圧されているので、指で押圧する場合に比べて抵抗板60、61間の接触面積が狭くなり、単位面積当たりの接触圧が増すことによって、押圧位置での接触抵抗値rPが低下し、境界値をrTP以下となる。従って、モード判別回路31により絶対値出力モードと判別され、絶対出力データ生成回路21は、絶対値出力モードとなる。
【0073】
一方、押圧位置検出回路17によって「e」の押圧位置データ(x0,y0)が検出され、絶対値出力データ生成回路21は、絶対値出力モードとなっているので、この押圧位置データ(x0,y0)をそのまま用いて絶対出力データ(X0,Y0)とする。従って、「文字認識」のアイコンにあったカーソルは、押圧位置データ(x0,y0)に対応するディスプレー5上の「e´」に表示される。同様に、「e」から「f」へ押圧移動を行うと、押圧位置の押圧位置データ(xn,yn)を含む絶対出力データ(Xn,Yn)が出力され、押圧位置に対応してカーソルが「e´」から「f´」に移動する。「f」において押圧を解除し、再び「g」を押圧すると、「g」の位置の押圧位置データ(xn,yn)を含む絶対出力データ(Xn,Yn)が出力され、カーソルは、「g」の位置に対応する「g´」に移動する。すなわち、タブレットの押圧を「f」で解除することによって、カーソルの移動が中断され、「g」の位置を押圧しても再び「f´」からカーソルが移動することがないので、互いに離れた移動軌跡からなる文字を入力する際に、特に別の操作を行うことなく、一連の入力操作で文字入力を行うことができる。
【0074】
尚、パソコン1では、「e」から「f」へ押圧移動の際には、有効領域指定ビットFが「0」であるので移動軌跡と、「f」から「g」の移動の際には、有効領域指定ビットFが「1」であるので単なるカーソルのみの移動と判別する。「g」から「h」へ押圧移動することにより、同様にカーソルは、「g´」から「h´」まで移動する。
【0075】
尚、絶対出力データ生成回路21がいずれのモードであるかを識別するために、相対値出力モードであるときには発光素子11が、絶対値出力モードであるときには発光素子12が、それぞれ点灯する。
【0076】
上記第1の実施の形態に係る抵抗感圧式座標入力装置は、タブレットなどのデバイスと同一のフォーマットで絶対出力データ(Xn,Yn)を出力するものであるが、マウスと接続するデバイスドライバは、相対出力データ(X´n,Y´n)をもとにカーソルを移動させるものであるため、マウスとコンパチブルでパソコン1へ接続することはできない。
【0077】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る抵抗感圧式座標入力装置のブロック図を示すもので、マウスと同一のフォーマットの相対出力データ(X´n,Y´n)を出力するものである。以下、この第2の実施の形態に係るタッチパッド30について、第1の実施の形態と異なる構成について説明し、上記実施の形態と同一の構成については、同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0078】
図4と比較して明らかなように、第1の実施の形態に係るタッチパッド7とほぼ同一の構成であるが、タッチパッド30には、絶対出力データ記憶回路23がなく、出力データ生成手段は、押圧位置データ補正・発生回路18の代わりに押圧位置データ記憶回路19と接続し、また出力データ生成手段が相対出力データ生成回路39となっている。
【0079】
相対出力データ生成回路39は、中央制御回路38からモード選択信号を入力する毎に、絶対値出力モードと相対値出力モードとの間で、モードが切り替わる。
【0080】
相対出力データ生成回路39が絶対値出力モードであるときには、常に連続して入力される押圧位置データ(xn,yn)の差より算出した相対位置データ(xn−xn-1,yn−yn-1)から相対出力データ(X´n,Y´n)を生成する。すなわち、タブレットシート6の押圧が一時解除されても、新たに押圧を検出したときに、押圧を解除した位置の押圧位置データ(x0,y0)と押圧を検出した位置の押圧位置データ(x1,y1)の差から算出された相対位置データ(x1−x0,y1−y0)をもとに、相対出力データ(X´1,Y´1)が生成され、パソコン1へ出力される。従って、押圧を解除しながら移動した相対移動量が、パソコン1へ伝達されるので、カーソルは、見掛け上、タブレットシート6の押圧位置に対応した位置に表示されるように移動制御される。例えば、図5において、タブレットシート6の「f」で押圧を解除し、「g」で再び押圧すると、第1の実施の形態と同様に、カーソルは、「f´」から「g´」へ移動する。
【0081】
一方、相対値出力モードであるときには、タブレットシートの押圧が解除されてから再び押圧を検出したとき、すなわち中央制御回路38から新たにペンオン検出信号を入力したときに、相対出力データ(X´1,Y´1)が生成されない。すなわち、押圧位置データ記憶回路に記憶されていた押圧位置データ(xn-1,yn-1)、つまりタブレットシート6の押圧を解除した位置の押圧位置データ(x0,y0)は、新たに押圧を検出した位置の押圧位置データ(x1,y1)に書き替えられるが、相対位置データ(x1−x0,y1−y0)をもとにした相対出力データ(X´1,Y´1)が生成されないので、押圧を解除しながら移動した相対移動量は、パソコン1へ伝達されない。押圧を検出したとき以外は、絶対値出力モードと同様の処理が行われ、更に押圧移動を行い、新たな押圧位置データ(x2,y2)が入力されると、相対位置データ(x2−x1,y2−y1)をもとにした相対出力データ(X´2,Y´2)が生成され、パソコン1へ出力される。従って、タブレットシート6の押圧を一時解除してもカーソルは、押圧を解除した位置から移動し、その移動操作の連続性が損なわれることがない。
【0082】
以上のように、上記実施の形態によれば、入力操作の内容に応じて、マウスのような相対値出力とタブレットのような絶対値出力を選択することができ、いずれか都合の良い出力形式でパソコン1へデータを出力することができる。しかも、このモード選択は、タブレットシート6の押圧をペンによるか、指によるかで選択することができるので、特に別の操作や入力手段を要しない。
【0083】
また、上記実施の形態では、タブレットシート6の押圧を指によるかペンによるかで、接触抵抗値rPを変えて出力データ生成手段のモードを選択したが、接触抵抗値rPを変えられるものであれば、これに限らず例えば、タブレットシート6と接触する接触部の曲率を互いに異ならせた2種類のペンを使用してもよく、また、指と爪先の2種類の方法でタブレットシート6を押圧してもよい。
【0084】
更に、例えば1種類のペン、指などの押圧手段で、タブレットシート6の押圧力を変えることによって、接触抵抗値rPを変えて出力データ生成手段のモードを選択するものであってもよい。
【0085】
更に、上記実施の形態では、X、Y座標を検出する毎に接触抵抗値rPを検出し、出力データ生成手段のモードを判別しているが、これに限らず、新たにタブレットシート6の押圧を検出したとき、若しくは、押圧の解除を検出したときにのみ接触抵抗値rPを検出し、出力データ生成手段のモードを変更してもよい。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、絶対値出力モードで押圧位置データ(xn,yn)をそのまま用いて絶対出力データ(Xn,Yn)とすることができるので、カーソルの移動先に対応する位置を一度押圧するだけで、カーソルを目的の位置まで移動させることができる。また、相対値出力モードで相対位置データ(xn−xn-1,yn−yn-1)を用いて絶対出力データ(Xn,Yn)とすることができるので、タブレットシートの押圧移動操作を任意のシート上で行うことができる。絶対値出力モードとするか相対値出力モードとするかは、タブレットシート6の押圧方法を変えて押圧位置の接触抵抗値rPを変えるだけで簡単に選択できる。従って、モード選択にモード選択スイッチなどを設ける必要がなく、更にモード切り換えの操作を行う必要もない。
【0087】
請求項2の発明によれば、絶対値出力モードでタブレットシート6の押圧を解除している間の相対位置を表す相対位置データ(xn−xn-1,yn−yn-1)から相対出力データ(X´n,Y´n)を生成するので、見掛け上カーソルの移動先に対応する位置を押圧するだけで、カーソルを目的の位置まで移動させることができる。また、相対値出力モードで、押圧を解除している間の相対位置を表す相対位置データ(xn−xn-1,yn−yn-1)によっては、相対出力データ(X´n,Y´n)を生成しないので、押圧を一時解除してもカーソル表示位置からカーソルの移動制御を連続させることができる。絶対値出力モードとするか相対値出力モードとするかは、タブレットシート6の押圧方法を変えて押圧位置の接触抵抗値rPを変えるだけで簡単に選択できる。従って、モード選択にモード選択スイッチなどを設ける必要がなく、更にモード切り換えの操作を行う必要もない。
【0088】
請求項3と請求項4の発明によれば、簡単に接触抵抗値rPを変えて絶対値出力モードと相対値出力モードを選択することができる。
【0089】
請求項5の発明によれば、タブレットシートの押圧を解除した後、再びタブレットシートを押圧するときに、一度その押圧位置での接触抵抗値rPによって絶対値出力モードと相対値出力モードモードを選択するだけで、押圧の解除があってもカーソルの移動を連続させるか、カーソルを直接ディスプレー上の所定位置まで移動させるかを選択することができる。
【0090】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る抵抗感圧式座標入力装置であるタッチパッド7の斜視図である。
【図2】タッチパッド7の回路図である。
【図3】タッチパッド7の等価回路図である。
【図4】タッチパッド7の構成を示すブロック図である。
【図5】タッチパッド7の操作とディスプレー5上のカーソルの移動の関係を示した説明図である。
【図6】第2の実施の形態に係るタッチパッド30のブロック図である。
【図7】従来のマウス2の操作とディスプレー5上のカーソルの移動の関係を示した説明図である。
【図8】従来のタッチパッド7の操作とディスプレー5上のカーソルの移動の関係を示した説明図である。
【符号の説明】
6 タブレットシート
7、30 抵抗感圧式座標入力装置
16 ペンオン検出手段
18 位置検出手段
19 記憶手段
21、39 出力データ生成手段
24 データ出力手段
xn,yn 押圧位置データ
Xn,Yn 絶対出力データ
X´n,Y´n 相対出力データ
rP 接触抵抗値
Claims (5)
- タブレットシート(6)と、
タブレットシート(6)の押圧を検出するペンオン検出手段(16)と、
タブレットシート(6)の押圧を検出した後、タブレットシート(6)の押圧位置を表す押圧位置データ(xn,yn)を発生させる位置検出手段(18)と、
押圧位置データ(xn,yn)を少なくとも次の押圧位置データが発生されるまで記憶する記憶手段(19)と、
押圧位置データ(xn,yn)からカーソルを移動制御する絶対出力データ(Xn,Yn)を生成する出力データ生成手段(21)と、
絶対出力データ(Xn,Yn)をパーソナルコンピュータ(1)へ出力するデータ出力手段(24)とを備え、
タブレットシート(6)の押圧操作に従ってパーソナルコンピュータ(1)のディスプレー(5)に表示されたカーソルを移動制御する座標入力装置において、
出力データ生成手段(21)は、押圧位置データ(xn,yn)をそのまま用いて絶対出力データ(Xn,Yn)とする絶対値出力モードと、直前に生成した絶対出力データ(Xn-1,Yn-1)にタブレットシート(6)の押圧移動前後の相対移動量を表す相対位置データ(xn−xn-1,yn−yn-1)を加えて絶対出力データ(Xn,Yn)とする相対値出力モードを選択可能で、
タブレットシート(6)の押圧位置での接触抵抗値rPによって選択したいずれか一方のモードで、絶対出力データを生成することを特徴とする抵抗感圧式座標入力装置。 - タブレットシート(6)と、
タブレットシート(6)の押圧を検出するペンオン検出手段(16)と、
タブレットシート(6)の押圧を検出した後、タブレットシート(6)の押圧位置を表す押圧位置データ(xn,yn)を発生させる位置検出手段(18)と、
押圧位置データ(xn,yn)を少なくとも次の押圧位置データが発生されるまで記憶する記憶手段(19)と、
前後の押圧位置データを比較して相対位置データ(xn−xn-1,yn−yn-1)を算出し、相対位置データ(xn−xn-1,yn−yn-1)からカーソルを移動制御する相対出力データ(X´n,Y´n)を生成する出力データ生成手段(39)と、
相対出力データ(X´n,Y´n)をパーソナルコンピュータ(1)へ出力するデータ出力手段(24)とを備え、
タブレットシート(6)の押圧操作に従ってパーソナルコンピュータ(1)のディスプレー(5)に表示されたカーソルを移動制御する抵抗感圧式座標入力装置において、
タブレットシート(6)の押圧が解除されてから再び押圧を検出したときに、出力データ生成手段(39)は、タブレットシート(6)のの押圧を解除した位置の押圧位置データ(xn-1,yn-1)と押圧を検出した位置の押圧位置データ(xn,yn)を比較して相対位置データ(xn−xn-1,yn−yn-1)を算出し、相対位置データ(xn−xn-1,yn−yn-1)から相対出力データ(X´n,Y´n)を生成する絶対値出力モードと、タブレットシート(6)の押圧を解除した位置の押圧位置データ(xn-1,yn-1)を無効とし、相対出力データ(X´n,Y´n)を生成しない相対値出力モードを選択可能で、
タブレットシート(6)の押圧位置での接触抵抗値rPによって選択したいずれか一方のモードで、相対出力データを生成することを特徴とする抵抗感圧式座標入力装置。 - ペンでの押圧による接触抵抗値r1Pと、指での押圧による接触抵抗値r2Pを判別して、出力データ生成手段(21)(39)のモードを選択することを特徴とする請求項1又は2記載の抵抗感圧式座標入力装置。
- タブレットシートと接触する接触部の曲率を異ならせた2種類のペンでの押圧による接触抵抗値rPの相違を判別して、出力データ生成手段(21)(39)のモードを選択することを特徴とする請求項1又は2記載の抵抗感圧式座標入力装置。
- タブレットシート(6)の押圧を検出したときの押圧位置での接触抵抗値rPによって、出力データ生成手段(21)(39)のモードを選択することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の抵抗感圧式座標入力装置。
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1997
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