JP3704517B2 - 光学接続部品およびその作製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光素子、光回路パッケージ、光回路装置等の光通信、光情報処理に用いられる光素子、部品、装置間を相互に接続するための光学接続部品(光配線板)およびその作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
【特許文献1】
特許第2574611号公報。
【特許文献2】
米国特許第5292390号明細書。
【特許文献3】
特開平10−68853号公報。
【0004】
光回路パッケージ内の複数の光素子の接続や、複数の光回路パッケージ相互間、或いは光回路パッケージを搭載する光回路装置の光学接続では、一般的に光素子や光回路パッケージ、光回路装置等の端部に光コネクタを配置して、光ファイバによって相互に接続している。その場合、光ファイバは余長を持って配置する必要があるために、例えば、光回路パッケージ上や光回路装置の内部および/または背面では、光ファイバによる複雑な配線が鳥の巣状に、または輻輳して張り巡らされ、そのために大きな空間を占めているのが現状である。このような複雑な配線のために多大な場所と接続の労力を必要とする光学接続方法に対して、光ファイバを二次元平面上に任意に配線することにより、これらの問題を解決する簡便な方法が提案されている。例えば、特許第2574611号公報に開示されているように、粘着剤の塗布してあるシートまたは基板を用い、それによって光ファイバを固定する光学接続部品が提案されている。
【0005】
ところで、特許第2574611号公報に記載の光学接続部品は、その作製に際して、25〜200μm厚の可撓性のあるマイラー(Mylar)またはカプトン(Kapton)からなるポリマーフィルム基材(ベース層)上またはファイバジャケット上の粘着剤により光ファイバを敷設して配線パターンを形成し、その上を、基材で用いた材料と同様な材料を用いて被覆し、光学接続部品を得ている。しかしながら、この方法で作製された光学接続部品では、光ファイバと粘着剤からなる数100μm〜数mm厚の層の上下に可撓性はあるものの、伸びの小さなポリマー基材が設けられ、これらのポリマー基材が表層に露出しているために、光学接続部品が必要とする可撓性は低くなるという問題があった。特許第2574611号公報に記載の光学接続部品では、このような剛直性による光接続作業の困難性を回避するために、光学接続部分に長く伸びるタブを設けているが、このようなタブが長く伸びることにより、接続部分の場所が大きくなり、また、光学接続部品の製造も複雑化する結果となる。
【0006】
また、米国特許第5292390号明細書には、光ファイバの固定、保護の目的で、熱可塑性ポリウレタンで敷設した光ファイバ配線の層を充填する方法が示されている。しかしながら、この方法においても、可塑性はあるものの、伸びの小さなカプトンフィルムを光ファイバを固定する接着剤層の基材や熱可塑性ポリウレタン層の基材に用いており、光学接続部品作製後も、光ファイバ配線層はこれらのフィルムに挟まれており、かつ、カプトンフィルムが表層に露出しているために、可撓性が低くなるという問題は解決されていない。
また、特開平10ー68853号公報には、フィルム基材と接着剤層に圧縮性を有する層を設けたラミネート上に光ファイバを敷設して、光ファイバ配線層を該ラミネートで挟み込むことによって光学接続部品を作製することが示されている。しかしながら、その発明における圧縮性を有する層は、光学接続部品作製時に光ファイバにかかる圧力を緩和する目的で設けられており、光ファイバ配線を挟み込む両側のラミネートの表層にはフィルム基材が存在しており、光学接続部品の可撓性が低くなるという問題は解決されていない。
【0007】
以上述べたように、従来の可撓性の基材を用いた光ファイバを敷設、配線した光学接続部品では、二次元に配線した光ファイバ層の両側に、マイラーまたはカプトン等のフィルム基材が設けられている。したがって、数100μm〜数mmの厚さの光ファイバ配線層の両側に、このようなフィルム基材が設けられ、それが表層に露出しているために、光学接続部品の可撓性は著しく減少し、光学接続のためには、細長いタブを長く設ける必要がある。また、光回路パッケージ上の光素子相互の接続や光回路パッケージ相互の接続において、光学接続部品を設置するスペースが狭い場合には、可撓性、たわみ性が不足するために用いることができない。
【0008】
一方、限られた空間に多数の光ファイバを接続、収容しようとするときは、光配線板のような光学接続部品は有効かつ不可欠な部品となるが、さらに光ファイバの配線数が増加した場合には、基材の一平面上に全ての光ファイバを敷線収容することが困難になる。その理由は、基材の一平面上に、より多数の光ファイバを敷線収容しようとすると、敷線した光ファイバが輻輳して光ファイバ同士の重なり部分が多くなり、その重なり部分では光ファイバを敷線固定する粘着剤との接触面積が減少して、位置精度のよい敷線ができなくなることによる。また、一平面上に、より多数の光ファイバを敷線収容すると、端部に光学接続するために設ける終端部分の密度が高くなり、コネクタ接続等に要する空間が物理的に確保できないという問題が生じる。このような問題を解消するには、光ファイバを配線した基材を積層することが有効であるが、積層すると可撓性がなくなるので、光配線板として必要な可撓性を持ち、かつ、多層化した光配線板は未だ得られていないのが実情である。前記特開平10−68853号公報には、圧縮性を有する層を設けたラミネートの両面に、光ファイバを敷線した例が記載されているが、これは光配線板の製造において、光ファイバにかかる圧力を緩和する目的で設けられたものであって、より多数の光ファイバを敷線収容することを目的としたものではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記のような問題点を解決することを目的としてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、上記のように光素子、光回路パッケージ、光回路装置等の光学部品を容易に接続することが可能であり、多数の光ファイバを敷線収容できる可撓性の高い光学接続部品およびその作製方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学接続部品は、表裏両面に樹脂保護層が設けられ、マイラーやカプトン等のフィルム状基材を露出させずに樹脂保護層に挟まれた状態で存在するものである。すなわち、本発明の光学接続部品は、二次元平面を有する可撓性のフィルム状基材と、該フィルム状基材の両側に設けられた可撓性を有する複数の樹脂保護層とを有し、該フィルム状基材上に、端部に光学接続するための終端部分を有する複数の光ファイバが配線され、樹脂保護層によって固定されていることを特徴とする。本発明の光学接続部品において、可撓性のフィルム状基材は複数存在していてもよい。その場合には、各フィルム状基材が樹脂保護層に挟まれて積層体を形成している。
【0011】
本発明において、フィルム状基材が1つ存在する光学接続部品は、二次元平面を有する可撓性のフィルム状基材の一面に、光ファイバ端部に光学接続するための終端部分を有するように複数の光ファイバを配線し、配線された光ファイバが固定されるように可撓性を有する第1の樹脂保護層を形成し、次いで、フィルム状基材の他面に、前記樹脂保護層と同一または異なる樹脂材料よりなる可撓性を有する第2の樹脂保護層を形成することよりなる方法、または上記のようにして第1の樹脂保護層を形成した後、フィルム状基材の他面に、光ファイバ端部に光学接続するための終端部分を有するように複数の光ファイバを配線し、配線された光ファイバが固定されるように、前記樹脂保護層と同一または異なる樹脂材料よりなる可撓性を有する第2の樹脂保護層を形成することよりなる方法によって作製することができる。
【0012】
また、本発明において、フィルム状基材が2つ存在する光学接続部品は、上記のようにして作製された光学接続部品の一方の樹脂保護層上に、二次元平面を有する可撓性のフィルム状基材を接着等によって積層し、そのフィルム状基材上に、光ファイバ端部に光学接続するための終端部分を有するように複数の光ファイバを配線し、配線された光ファイバが固定されるように、可撓性を有する第3の樹脂保護層を形成して積層体を形成する方法によって作製することができる。この第3の樹脂保護層を形成する工程を繰り返し実施することによって、複数のフィルム状基材および光ファイバを固定した複数の樹脂保護層よりなる積層構造を形成し、光ファイバが配線された多数のフィルム状基材が存在する光学接続部品を作製することができる。
【0013】
また、フィルム状基材が複数存在する光学接続部品は、上記のようにして作成されたフィルム状基材が1つ存在する光学接続部品を、その樹脂保護層同士を貼着することによって積層体を形成することによっても作製することができる。 また、本発明の樹脂保護層は、フィルム状基材上の周縁または周縁近傍に堰状物を設け、形成された堰状物の内側部分に樹脂材料を満たして、固化して作製することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の光学接続部品の一例の一部破砕した平面図であり、図2はその断面図であってフィルム状基材が1つの場合を示し、図3はフィルム状基材が1つの場合の他の一例の断面図である。図1および2において、二次元平面を有する可撓性のフィルム状基材1の一面に接着剤層3を介して複数の光ファイバ4が配線されており、これら光ファイバ4は、可撓性を有する第1の樹脂保護層2によって固定されている。フィルム状基材1の他面には、第1の樹脂保護層2の樹脂材料と同一または異なる材質よりなる可撓性を有する第2の樹脂保護層8が設けられている。光ファイバ4の端部は光学接続するための終端部分5になっていて、光学部品6、例えば光コネクタが接続されている。なお、終端部分5と光学部品6とは一体になっていてもよい。7は、樹脂保護層を形成するために設けた堰状物である。
【0015】
図3においては、フィルム状基材1の両面に接着剤層3を介して複数の光ファイバ4が配線されていて、それぞれ可撓性を有する第1の樹脂保護層2および第2の樹脂保護層8によって固定されている。
【0016】
図4〜図6は、それぞれフィルム状基材が複数存在する本発明の光学接続部品の一例の断面図である。図4においては、図2で示される光学接続部品の第2の樹脂保護層8の表面に、接着剤層3を介して第2のフィルム状基材1aが積層され、その上に複数の光ファイバ4が配線されていて、可撓性を有する第3の樹脂保護層9によって固定されている。図5は、図2で示される2つの光学接続部品A、Bが積層されて積層体を形成している場合であって、接着剤層3を介してそれぞれの第2の樹脂保護層8、8が貼着されている。図6は、図3で示される2つの光学接続部品A、Bが積層されて積層体を形成している場合であって、接着剤層3を介して一方の光学接続部品の第1の樹脂保護層2と、他方の光学接続部品の第2の樹脂保護層8とが貼着されている。
【0017】
また、図7は、フィルム状基材が3個存在する場合を示すものであって、図4の光学部品の第3の樹脂保護層9の表面に接着剤層3を介して第3のフィルム状基材1bが積層され、その上に複数の光ファイバ4が配線されていて、可撓性を有する第4の樹脂保護層10によって固定されている。
【0018】
本発明の光学接続部品において、配線された光ファイバを支持するための二次元平面を有する可撓性のフィルム状基材は、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス−エポキシ樹脂複合基板、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、シリコーンまたはウレタンゴムまたはフォーム等、ある程度の可撓性を有するものであって、通常の電子部品、電気部品で使用される基材であれば如何なるものでも使用することが可能である。
【0019】
本発明で配線される光ファイバは、光学接続部品の適用目的に応じて適宜選択して使用され、例えば、石英またはプラスチック製のシングルモード光ファイバ、マルチモード光ファイバ等が好ましく使用される。また、光ファイバは、カーボンコート光ファイバであるのが好ましい。一般に光ファイバの寿命を決める大きな要因としては、雰囲気の水、水素の侵入があげられるが、カーボンコート光ファイバは、水および水素の侵入が抑えられるため、高い信頼性と寿命が得られるからである。また、本発明の光学接続部品では、通常の光ケーブルのごとき耐環境性能を付与するケーブル外皮を設けないため、信頼性の高いカーボンコート光ファイバを用いるのがより有効である。
【0020】
本発明における光ファイバ配線方法としては、フィルム状基材上に接着剤層を設けて配線する方法が最も簡便であるが、光ファイバ配線方法は、適用目的に応じて適宜選択して行えばよく、端部に光学接続するための終端部分を有するように光ファイバを配線すればよい。例えば、フィルム状基材上に突起物や凹型形状物等を設けて光ファイバを配線したり、光ファイバの外皮に接着剤層を設けて配線することも可能である。
【0021】
光ファイバを配線するための接着剤層を構成する接着剤としては、配線される光ファイバの曲げで生じる張力に対応して光ファイバの形状を維持する接着力を有するものであれば、如何なるものでも使用でき、例えば、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系、ナイロン系、フェノール系、ポリイミド系、ビニル系、シリコーン系、ゴム系、フッ素化エポキシ系、フッ素化アクリル系等各種の感圧接着剤(粘着剤)、熱可塑性接着剤、熱硬化性接着剤を使用することができる。光ファイバの配線の容易さからは、感圧接着剤および熱可塑性接着剤が好ましく使用される。
【0022】
本発明の光学接続部品における可撓性を有する樹脂保護層を構成する樹脂としては、特に限定されるものではないが、ゲル状またはゴム状の有機材料、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂で可撓性を有するもの、可撓性を有する熱可塑性樹脂等が使用される。より具体的には、ゲル状の有機材料としては、シリコーン系ゲル、アクリル系樹脂ゲル、フッ素樹脂系ゲル等があげられ、ゴム状の有機材料としては、シリコーン系ゴム、ウレタン系ゴム、フッ素系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン−アクリル系ゴム、SBR、BR、NBR、クロロプレン系ゴム等があげられる。可撓性のある硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、紫外線硬化性接着剤、シリコーン樹脂等があげられる。可撓性を有する熱可塑性樹脂としては、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂等のホットメルト型接着剤を構成する樹脂があげられる。
【0023】
なお、必要に応じて、光学接続部品の表面となる樹脂保護層の上に、光学接続部品の使用に必要な可撓性を損なわない限り、保護層を設けてもよい。保護層としては、例えばシリコーン系ハードコート材料が用いられる。
【0024】
本発明の光学接続部品においては、通常、光コネクタとの接続のために、光学接続部品端面の所望の位置(ポート)から光ファイバが伸びて終端部分を形成しており、そこに光コネクタが接続されるか、または光コネクタに接続された光ファイバと融着接続される。本発明の光学接続部品に接続される光コネクタは特に限定されないが、好適には単心または多心の小型光コネクタが選択される。例えば、MPO光コネクタ、MT光コネクタ、MU光コネクタ、FPC光コネクタ(NTT R&D、Vol.45 No.6、589頁)、或いは光学接続に用いられるV溝部品等が挙げられる。なお、光コネクタ接続の方法は何等限定されず、終端部分と光コネクタが一体となっていてもよい。
【0025】
本発明において、フィルム状基材が1つ存在する光学接続部品は、次のようにして作製される。例えば、まず、二次元平面を有する可撓性のフィルム状基材の一面に前記の接着剤を用いて光ファイバを所望のパターンに配線する。その際、光ファイバの端部は、光コネクタ等と光学接続するための終端部分となるように、フィルム状基材から引き出された状態にする。なお、接着剤層を設ける方法としては、フィルム状基材上に、接着剤を直接または溶剤に溶解して塗布液とした状態で、ロールコーティング、バーコーティング、ブレードコーティング、キャスティング、ディスペンサーコーティング、スプレーコーティング、スクリーン印刷等の方法で塗布し、接着剤層を設ける方法、および、予め剥離性フィルム上に、接着剤層が形成されている接着シートを上記フィルム状基材に貼着し、その後、剥離性フィルムを除去する方法が採用される。接着剤層の膜厚は、配線する光ファイバの径により適宜選択して使用すればよいが、通常1μm〜1mm、好ましくは5〜500μm、さらに好ましくは10〜300μmの範囲に設定される。
【0026】
上記のようにして配線された光ファイバの上に、可撓性を有する樹脂保護層形成用の樹脂材料を用い、第1の樹脂保護層を形成した後、次いで、フィルム状基材の他面に、前記樹脂保護層と同一または異なる樹脂材料を用いて可撓性を有する第2の樹脂保護層を形成する。または上記のようにして第1の樹脂保護層を形成した後、フィルム状基材の他面に、光ファイバ端部に光学接続するための終端部分を有するように複数の光ファイバを配線し、配線された光ファイバが埋没した状態で固定されるように、前記樹脂保護層と同一または異なる樹脂材料を用いて可撓性を有する第2の樹脂保護層を形成する。
【0027】
ここで、光ファイバが配線された場合の樹脂保護層の厚みは、配線される光ファイバの径とその重なりの本数によって適宜選択して、光ファイバが保護、固定されるようにすればよい。通常は、(光ファイバの径)×(重なり本数)以上の厚みが必要となる。また、光ファイバが配線されない場合の樹脂保護層の厚みは、光学接続部品を使用する目的に応じて、フィルム状基材の剛直性を緩和させる程度の膜厚で適宜選択して使用すればよいが、通常は1μm〜数cm程度、好ましくは10μm〜10mm、さらに好ましくは30μm〜1mmの範囲に設定される。
【0028】
フィルム状基材上に樹脂保護層を設ける最も簡単な方法としては、上記フィルム状基材の周縁または周縁近傍に堰状物を設け、形成された堰状物の内側部分に樹脂材料を満たし、固化すればよい。例えば、樹脂材料を適当な溶剤に溶解して塗布液とし、それを滴下し、乾燥させる方法、液体状態の熱硬化性樹脂を滴下し、加熱硬化させる方法、液体状態の湿気硬化性樹脂または嫌気性硬化樹脂を滴下し、常温において湿気を与えるかまたは気体を遮断することによって硬化させる方法、加熱により溶融した熱可塑性樹脂を滴下し、冷却により固化させる方法、固体状態の樹脂材料を堰状物の内側部分に充填し、加熱溶融した後、固化させる方法等によって樹脂保護層を形成することができる。
【0029】
堰状物は、通常はフィルム状基材の周縁または周縁近傍にその全周にわたって設ければよい。しかしながら、フィルム状基材の周縁近傍に光コネクタ、光モジュール、光デバイス等の光学部品を載置する場合において、それら光学部品が堰状物としての役割を果たす時は、その光学部品が載置された部分には堰状物を設けなくてもよい。
【0030】
堰状物を構成する材料としては、特に限定されるものではなく、好適には、光学接続部品の適用目的に応じて適宜選択すればよいが、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等の有機繊維よりなる不織布、ガラス繊維の不織布、およびシリコーン系、エポキシ系、ウレタン系またはアクリル系樹脂よりなるシーリング剤(充填剤)等が好適に使用される。堰状物は、その内側に満たされる樹脂材料が外側に流れ出ないようにする限り、そのサイズおよび形状は限定されるものではない。
【0031】
また、本発明において、フィルム状基材が2つ存在する光学接続部品は次のようにして作製することができる。すなわち、上記のようにして作製された光学接続部品の一方の樹脂保護層上に、接着剤層を設けて、第2のフィルム状基材を貼着したあと、その第2のフィルム状基材の露出面に、接着剤層を設け、その上に所望のパターンに光ファイバを配線する。次いで、上記第1または第2の樹脂保護層に用いた樹脂材料と同一または異なる樹脂材料を用いて、配線された光ファイバを固定するように可撓性を有する第3の樹脂保護層を形成する。それによって、2つのフィルム状基材と3つの樹脂保護層よりなる積層体を形成することができる。また、この第3の樹脂保護層を形成する工程を繰り返し実施することによって、光ファイバが配線された多数のフィルム状基材が存在する光学接続部品を作製することができる。
【0032】
また、予めフィルム状基材の両面に接着剤層を設けたものを用いてもよく、それを樹脂保護層に貼着することにより、多層構造の光学接続可能な光ファイバー層を有する光学接続部品を作製することも可能である。
【0033】
さらに、予め前記の方法によってフィルム状基材が可撓性を有する樹脂保護層に挟まれた形態の光学接続部品を複数個作製し、それら複数個の光学接続部品の樹脂保護層同士を貼着することによって積層体を形成することも可能である。例えば、その一つの光学接続部品の樹脂保護層の表面に接着剤層を直接設けるか、または予め接着剤層を設けた接着シートを用いて樹脂保護層表面に接着剤層を転写することにより、接着剤層を設け、その上に他の光学接続部品を載置して貼着することによっても多層構造の光学接続可能な光ファイバ層をもつ光学接続部品を作製することができる。上記の操作を繰り返すことによって、さらに多層構造の積層体よりなる光学接続部品を作製することも可能である。
【0034】
上記のようにして作製された本発明の光学接続部品において、引き出された光ファイバの終端部分には、光コネクタまたは光モジュール等の光学部品を接合させる。例えば、光コネクタと接続させるために端面処理された光ファイバの終端部を光コネクタに接続するか、或いは光コネクタに固定された光ファイバ端面と、光ファイバ配線部材から引き出された各光ファイバの端面とを融着接続させる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
厚さ125μmのポリイミドフィルムの一面にアクリル系粘着剤を厚さ100μmになるように塗工したフィルム状基材(サイズ210mm×297mm)を用意した。これに、光ファイバ心線(古河電工社製、カーボンコート光ファイバ、250μm径)をポート(光学接続部材からの光ファイバ取り出し部分)当り次のように配線した。すなわち、光ファイバ16本を300μmピッチで並列し、ポリイミドフィルムの短辺の両側に各8ポート(各ポートは光ファイバ16本で構成)を25mmピッチで作製した。各光ファイバはポリイミドフィルムの一方の短辺から他方の短辺に配線し、両側の各ポートへの配線は、設計により各光ファイバ毎に所望のフリーアクセス配線(128本)とし、光ファイバの配線を調整して最大の重なり数が3本となるようにした。
【0036】
その後、光ファイバを配線したポリイミドフィルムの周縁部に、ポリプロピレン繊維よりなる不織布(東燃タピルス社製、P100SW−00X)を用いて幅5mm、厚さ1mmの堰状物を形成した。次いで、その内側にシリコーンゲル塗布液(東レ・ダウコーニング社製、SE−1880)を滴下し、120℃で1時間の条件下でシリコーンゲルを硬化させて第1の樹脂保護層を形成し、光ファイバをその樹脂保護層によって固定した。次いで、ポリイミドフィルムの裏面に第2の樹脂保護層を形成した。すなわち、ポリプロピレン繊維よりなる不織布(東燃タピルス社製、PO40SW−00X)を用いて幅5mm、厚さ0.45mmの堰状物を形成し、その内側にシリコーンゲル塗布液(東レ・ダウコーニング社製、SE−1880)を滴下し、120℃で1時間の条件下にシリコーンゲルを硬化させて第2の樹脂保護層を形成し、厚さ1.7mmの光配線板を作製した。その後、引き出された光ファイバの端部にMUコネクタを接続して最終製品の光配線板を得た。
【0037】
この光配線板は、ポリイミドフィルムがシリコーンゲルより形成された可撓性の樹脂保護層によって挟まれているため、ポリイミドフィルムの剛直性が緩和され、しなやかで可撓性があり、かつカール等の問題がなく平坦であった。したがって、光コネクタに接続させるために端面処理して、被覆を除去した大変もろい光ファイバをMUコネクタに接続する場合においても、被覆が除去された光ファイバを損傷することなくMUコネクタに接続することができた。
【0038】
また、この光配線板を、非常に限られたスペースにおけるラック内のボード間の接続に用いたところ、光配線板が可撓性があり、しなやかであるために、光配線板に取り付けられた光コネクタとボード内の配線から引き出された光コネクタとの接続を容易に実施することができた。さらに、作製した上記光配線板を半径15mmの曲率で180°折り曲げたところ、光配線板が破壊されることなく容易に曲げることができ、光ファイバにも損傷が残らなかった。
【0039】
なお、接続した全ての光ファイバの損失を測定したところ、光コネクタの接続損失も含めて、0.7dB以下であった。また、作製した光配線板について、75℃、90%RHで5000時間放置の高温多湿試験、および−40℃から75℃、500回の温度サイクル試験を行ったところ、光損失の変化、変動ともに0.2dB以下であり、光学接続部品として十分使用可能なことが分かった。
【0040】
実施例2
実施例1において、各ポートが8本の光ファイバで構成され、MUコネクタの代わりにMTコネクタ(8心光コネクタ)を用い、かつ光ファイバを配線する前に片側のみMTコネクタを接続したものを用い、ポリプロピレンの不織布の代わりに幅5mm、厚さ500μmのナイロンの不織布(東燃タピルス社製、NO50SS−00X)を用い、樹脂保護層材料として、エポキシ樹脂(共栄油脂社製、エポライト400E)およびそのエポキシ樹脂と当量の硬化剤(油化シェル社製、エポメートB002)よりなるエポキシ樹脂塗液を用い、150℃で1時間硬化させ、光ファイバの配線条件を、全光ファイバの総数が64本であり、かつ光ファイバの最大の重なりが2本とした以外は、実施例1と同様にして、厚さ1.2mmの光配線板を作製した。
【0041】
その後、引き出された光ファイバの端部にMTコネクタを接続して最終製品の光配線板を作製した。この光配線板は、ポリイミドフィルムが可塑性のあるエポキシ樹脂保護層によって挟まれているため、ポリイミドフィルムの剛直性が緩和され、しなやかで可撓性があり、かつカール等の問題がなく平坦であった。したがって、光コネクタに接続させるために端面処理して、被覆を除去した大変もろい光ファイバをMTコネクタに8心同時に接続する場合においても、被覆が除去された光ファイバを損傷することなくMTコネクタに接続することができた。
【0042】
また、この光配線板は可撓性があり、しなやかであるために、これを非常に限られたスペースにおけるラック内のボード間の接続に用いたところ、光配線板に取り付けられた光コネクタとボード内の配線から引き出された光コネクタとの接続を容易に実施することができた。さらに、作製した上記光配線板を半径20mmの曲率で180°折り曲げたところ、光配線板、光ファイバに損傷は残らなかった。
【0043】
なお、接続した全ての光ファイバの損失を測定したところ、光コネクタの接続損失も含めて、0.6dB以下であった。また、作製した光配線板について、75℃、90%RHで5000時間放置の高温多湿試験、および−40℃から75℃、500回の温度サイクル試験を行ったところ、光損失の変化、変動ともに0.3dB以下であり、光学接続部品として十分使用可能なことが分かった。
【0044】
実施例3
厚さ125μmのポリイミドフィルムの両面に、アクリル系粘着剤を厚さ100μmになるように塗工し、片面に剥離フィルムを貼着したフィルム状基材(サイズ210mm×297mm)を用意した。このポリイミドフィルムの片面に、実施例1と同様にして光ファイバを配線し、次いでポリプロピレン不織布の代わりに、シリコーン系の充填剤(コニシ社製、バスボンド)を用いて、ポリイミドフィルムの周縁に幅1.5mm、高さ1mmの堰状物を作製し、その内側にシリコーンゴム塗布液(東芝シリコーン社製、YE−5822)を滴下し、100℃で1時間硬化させて第1の樹脂保護層を形成し、光ファイバを埋没した状態で固定した。
【0045】
その後、ポリイミドフィルムの裏面にある剥離フィルムを除去し、粘着剤層上に、光ファイバの総数が64本であり、かつ光ファイバの最大の重なりが2本になるように64本のフリーアクセスの配線を行った。その後、光ファイバを配線したポリイミドフィルムの周縁部にシリコーン系の充填剤(コニシ社製、バスボンド)を用いて、幅0.8mm、高さ500μmの堰状物を形成した。次いで、その内側にシリコーンゴム塗布液(東芝シリコーン社製、YE−5822)を滴下し、100℃で1時間硬化させて第2の樹脂保護層を形成し、光ファイバを埋没した状態で固定して、厚さ1.8mmの光配線板を作製した。
【0046】
その後、引き出された光ファイバの端部にMUコネクタを接続して最終製品の光配線板を作製した。この光配線板は、ポリイミドフィルムが可塑性のあるシリコーンゴムよりなる樹脂保護層によって挟まれているため、ポリイミドフィルムの剛直性が緩和され、しなやかで可撓性があり、かつカール等の問題がなく平坦であった。したがって、光コネクタに接続させるために端面処理して、被覆を除去した大変もろい光ファイバをMUコネクタに接続する場合においても、被覆が除去された光ファイバを損傷することなくMUコネクタに接続することができた。
【0047】
また、この光配線板は可撓性があり、しなやかで平坦であるために、これを非常に限られたスペースにおけるラック内のボード間の接続に用いたところ、光配線板に取り付けられた光コネクタとボード内の配線から引き出された光コネクタとの接続を容易に実施することができた。さらに、作製した上記光配線板を半径20mmの曲率で180°折り曲げたところ、光配線板、光ファイバに損傷は残らなかった。
【0048】
なお、接続した全ての光ファイバの損失を測定したところ、光コネクタの接続損失も含めて、0.8dB以下であった。また、作製した光配線板について、75℃、90%RHで5000時間放置の高温多湿試験、および−40℃から75℃、500回の温度サイクル試験を行ったところ、光損失の変化、変動ともに0.4dB以下であり、光学接続部品として十分使用可能なことが分かった。
【0049】
実施例4
実施例1において、シリコーンゲル塗布液の代わりに、シリコーンゴム塗布液(東芝シリコーン社製、YE−5822)を用いて、100℃で1時間硬化させた以外は、実施例1と同様にして光学接続部品を作製した。
【0050】
次いで、厚さ125μmの第2ポリイミドフィルムを用意し、その両面にシリコーン系粘着剤塗布液(東レ・ダウコーニング社製、SD4590/BY24−741/SRX212/トルエン=100/1.0/0.9/50(重量部))を用いて、ワイヤーバーコーティング法により塗布し、100℃で3分間乾燥させた後、厚さ50μmの接着剤層を形成して、片面に剥離フィルムを貼着したフィルム状基材(サイズ210mm×297mm)を作製した。この第2のポリイミドフィルムを、上記のようにして作製された光学接続部品の一面に貼着させた後、第2のポリイミドフィルムの裏面にある剥離フィルムを除去した。露出したポリイミドフィルムの表面に、光ファイバ心線(古河電工社製、カーボンコート光ファイバ、250μm径)をポート(光学接続部材からの光ファイバ取り出し部分)当り次のように配線した。すなわち、光ファイバ16本を300μmピッチで並列し、ポリイミドフィルムの短辺の両側に各8ポート(各ポートは光ファイバ16本で構成)を25mmピッチで作製した。各光ファイバはポリイミドフィルムの一方の短辺から他方の短辺に配線し、両側の各ポートへの配線は、設計により各光ファイバ毎に所望のフリーアクセス配線(128本)とし、光ファイバの配線を調整して最大の重なり数が3本となるようにした。
【0051】
その後、光ファイバを配線した第2のポリイミドフィルムの周縁部に、ポリプロピレン繊維よりなる不織布(東燃タピルス社製、P100SW−00X)を用いて幅5mm、厚さ1mmの堰状物を形成した。次いで、その内側にシリコーンゴム塗布液(東芝シリコーン社製、TSE399)を滴下し、25℃で24時間の条件下でシリコーンゴムを硬化させて第3の樹脂保護層を形成し、光ファイバをその樹脂保護層に埋没した状態で固定して、厚さ3mmの光学接続部品を作製した。その後、引き出された光ファイバの端部にMUコネクタを接続して最終製品の光配線板を得た。
【0052】
この光配線板は、ポリイミドフィルムがシリコーンゴムよりなる可撓性を有する樹脂保護層によって挟まれているため、ポリイミドフィルムの剛直性が緩和され、しなやかで可撓性があり、かつカール等の問題がなく平坦であった。したがって、光コネクタに接続させるために端面処理して、被覆を除去した大変もろい光ファイバをMUコネクタに接続する場合においても、被覆が除去された光ファイバを損傷することなくMUコネクタに接続することができた。
【0053】
また、この光配線板を、非常に限られたスペースにおけるラック内のボード間の接続に用いたところ、光配線板が可撓性があり、しなやかであるために、光配線板に取り付けられた光コネクタとボード内の配線から引き出された光コネクタとの接続を容易に実施することができた。さらに、作製した上記光配線板を半径30mmの曲率で180°折り曲げたところ、光配線板が破壊されることなく容易に曲げることができ、光ファイバにも損傷が残らなかった。
【0054】
なお、作製した光配線板について、光損失を測定したところ、光コネクタの接続損失も含めて、0.5dB以下であった。また、作製した光配線板について、75℃、90%RHで5000時間放置の高温多湿試験、および−40℃から75℃、500回の温度サイクル試験を行ったところ、光損失の変化、変動ともに0.2dB以下であり、光学接続部品として十分使用可能なことが分かった。
【0055】
実施例5
実施例1において、シリコーンゲル塗布液の代わりに、シリコーンゴム塗布液(東芝シリコーン社製、TSE399)を用いて、25℃、24時間の条件で硬化させた以外は、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルムが第1および第2の樹脂保護層に挟持された構造の光学接続部品を2個作製した。
【0056】
次いで、一方の光学接続部品の第2の樹脂保護層に、シリコーン系粘着剤塗布液(東レ・ダウコーニング社製、SD4590/BY24−741/SRX212/トルエン=100/1.0/0.9/50(重量部))を用いて、ディスペンサーコーティング法により塗布し、100℃で3分間乾燥させた後、厚さ100μmの接着剤層を形成した。その上に、他の光学接続部品を重ねて貼着し、厚さ3.5mmの積層体よりなる光学接続部品を作製した。その後、引き出された光ファイバの端部にMUコネクタを接続して最終製品の光配線板を作製した。
【0057】
この光配線板は、ポリイミドフィルムがシリコーンゴムよりなる可撓性を有する樹脂保護層によって挟まれているため、ポリイミドフィルムの剛直性が緩和され、しなやかで可撓性があり、かつカール等の問題がなく平坦であった。したがって、光コネクタに接続させるために端面処理して、被覆を除去した大変もろい光ファイバをMUコネクタに接続する場合においても、被覆が除去された光ファイバを損傷することなくMUコネクタに接続することができた。
【0058】
また、この光配線板は可撓性があり、しなやかで、平坦であるため、これを非常に限られたスペースにおけるラック内のボード間の接続に用いたところ、光配線板に取り付けられた光コネクタとボード内の配線から引き出された光コネクタとの接続を容易に実施することができた。さらに、作製した上記光配線板を半径35mmの曲率で180°折り曲げたところ、光配線板、光ファイバに損傷は残らなかった。
【0059】
なお、作製した光配線板について、光損失を測定したところ、光コネクタの接続損失も含めて、0.8dB以下であった。また、作製した光配線板について、75℃、90%RHで5000時間放置の高温多湿試験、および−40℃から75℃、500回の温度サイクル試験を行ったところ、光損失の変化、変動ともに0.5dB以下であり、光学接続部品として十分使用可能なことが分かった。
【0060】
実施例6
実施例3と同様にして、ポリイミドフィルムが第1および第2の樹脂保護層に挟持されていて、ポリイミドフィルムの両側に光ファイバ配線がある光学接続部品を2個作製した。
【0061】
次いで、一方の光学接続部品の第2の樹脂保護層に、シリコーン系粘着剤塗布液(東レ・ダウコーニング社製、SD4590/BY24−741/SRX212/トルエン=100/1.0/0.9/50(重量部))を用いて、ディスペンサーコーティング法により塗布し、100℃で3分間乾燥させた後、厚さ100μmの接着剤層を形成した。その上に、他の光学接続部品を重ねて貼着し、厚さ3.7mmの積層体よりなる光学接続部品を作製した。その後、引き出された光ファイバの端部にMUコネクタを接続して最終製品の光配線板を作製した。
【0062】
この光配線板は、ポリイミドフィルムがシリコーンゴムよりなる可撓性を有する樹脂保護層によって挟まれているため、ポリイミドフィルムの剛直性が緩和され、しなやかで可撓性があり、かつカール等の問題がなく平坦であった。したがって、光コネクタに接続させるために端面処理して、被覆を除去した大変もろい光ファイバをMUコネクタに接続する場合においても、被覆が除去された光ファイバを損傷することなくMUコネクタに接続することができた。
【0063】
また、この光配線板は可撓性があり、しなやかで、平坦であるため、これを非常に限られたスペースにおけるラック内のボード間の接続に用いたところ、光配線板に取り付けられた光コネクタとボード内の配線から引き出された光コネクタとの接続を容易に実施することができた。さらに、作製した上記光配線板を半径35mmの曲率で180°折り曲げたところ、光配線板、光ファイバに損傷は残らなかった。
【0064】
なお、作製した光配線板について、光損失を測定したところ、光コネクタの接続損失も含めて、0.6dB以下であった。また、作製した光配線板について、75℃、90%RHで5000時間放置の高温多湿試験、および−40℃から75℃、500回の温度サイクル試験を行ったところ、光損失の変化、変動ともに0.4dB以下であり、光学接続部品として十分使用可能なことが分かった。
【0065】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明の光学接続部品においては、ある程度剛直なフィルム状基材を用いても、それが可撓性の樹脂保護層に挟まれ、表層に露出していないために、フィルム状基材の剛直性が緩和され、しなやかで可撓性を有したものになる。すなわち、本発明の光学接続部品は、可撓性はあるが伸びのないマイラーやカプトンのごときフィルム基材を用いた場合でも、それが表面に露出せずに可撓性のある樹脂保護層によって挟まれているので、可撓性もあり、かつ伸びやすい樹脂保護層が表面に存在することにより、フィルム状基材の剛直性が緩和され、光学接続部品自体の可撓性が非常に高められたものとなる。したがって、本発明の光学接続部品から引き出され、光学部品との接続のために端面処理して被覆を除去した光ファイバの端部を、光コネクタ等の光学部品に接続する場合においても、被覆が除去されている大変もろい光ファイバを損傷することなく、容易に光コネクタ等の光学部品と接続することができ、光学接続部品の作製における歩留まりが、従来技術と比較して、著しく向上する。
【0066】
さらに本発明の光学接続部品においては、両面に樹脂保護層が存在しているため、そして特に樹脂保護層が同一の樹脂材料で構成されている場合には、作製に際して加熱硬化しても樹脂材料の線膨張率の差によって発生するカール等の問題がなく、平坦性が維持される。したがって、得られた光学接続部品から引き出された光ファイバを光コネクタ等の光学部品に接続しても、光コネクタ等の光学部品に余分な応力がかからずに、接続による光損失等が非常に小さくなる。
【0067】
また、非常に限られたスペースにおける例えばラック内のボード間の接続においても、そのしなやかさと平坦性により、この光学接続部品に取り付けられた光コネクタ等の光学部品とボード内の配線から引き出された光コネクタ等の光学部品との接続も容易に実施することができ、著しく作業性が向上する。さらに、接続を容易にするための長いタブを作製しておく必要もなく、部品の製造が容易であり、かつ取り付けにおいても大きな場所を占めることがない。さらに、容易に多層化して多数の光ファイバを敷線収容することができるため、高密度光配線板として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光学接続部品の一例の一部破砕した平面図である。
【図2】 図1の光学接続部品の断面図である。
【図3】 本発明の光学接続部品の他の一例の断面図である。
【図4】 本発明の光学接続部品の他の一例の断面図である。
【図5】 本発明の光学接続部品の他の一例の断面図である。
【図6】 本発明の光学接続部品の他の一例の断面図である。
【図7】 本発明の光学接続部品の他の一例の断面図である。
【符号の説明】
1,1a,1b…フィルム状基材、2…第1の樹脂保護層、3…接着剤層、4…光ファイバ、5…終端部分、6…光コネクタおよび光モジュール等の光学部品、7…堰状物、8…第2の樹脂保護層、9…第3の樹脂保護層、10…第4の樹脂保護層。

Claims (7)

  1. 二次元平面を有する可撓性のフィルム状基材と、該フィルム状基材の両面に設けられた可撓性を有する複数の樹脂保護層とを有し、該フィルム状基材の少なくとも一面に、端部に光学接続するための終端部分を有する複数の光ファイバが配線され、樹脂保護層によって固定されていることを特徴とする光学接続部品。
  2. 二次元平面を有する2つ以上の可撓性のフィルム状基材と、フィルム状基材上およびフィルム状基材間に設けられた可撓性を有する複数の樹脂保護層とを有し、各フィルム状基材の少なくとも一面に、端部に光学接続するための終端部分を有する複数の光ファイバが配線され、樹脂保護層によって固定されており、各フィルム状基材が樹脂保護層に挟まれて積層体を形成していることを特徴とする光学接続部品。
  3. 樹脂保護層がゲル状またはゴム状有機材料より形成されたものである請求項1または請求項2に記載の光学接続部品。
  4. 樹脂保護層が可撓性を有する硬化性樹脂より形成されたものである請求項1または請求項2に記載の光学接続部品。
  5. 樹脂保護層が可撓性を有する熱可塑性樹脂より形成されたものである請求項1または請求項2に記載の光学接続部品。
  6. 二次元平面を有する可撓性のフィルム状基材の一面に、光ファイバ端部に光学接続するための終端部分を有するように複数の光ファイバを配線し、配線された光ファイバが固定されるように可撓性を有する第1の樹脂保護層を形成し、次いで、フィルム状基材の他面に、前記樹脂保護層と同一または異なる樹脂材料よりなる可撓性を有する第2の樹脂保護層を形成することを特徴とする光学接続部品の作製方法。
  7. 二次元平面を有する可撓性のフィルム状基材の一面に、光ファイバ端部に光学接続するための終端部分を有するように複数の光ファイバを配線し、配線された光ファイバが固定されるように可撓性を有する第1の樹脂保護層を形成し、次いで、フィルム状基材の他面に、光ファイバ端部に光学接続するための終端部分を有するように複数の光ファイバを配線し、配線された光ファイバが固定されるように、前記樹脂保護層と同一または異なる樹脂材料よりなる可撓性を有する第2の樹脂保護層を形成することを特徴とする光学接続部品の作製方法。
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