JP3704242B2 - 車両用操舵制御装置 - Google Patents

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    • B60T2201/00Particular use of vehicle brake systems; Special systems using also the brakes; Special software modules within the brake system controller
    • B60T2201/08Lane monitoring; Lane Keeping Systems
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  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
  • Traffic Control Systems (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用操舵制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用操舵制御装置として、本出願人は、例えば特開平5−197423号および特開平9−221054号公報などにおいて、車両が目標経路に沿って走行するように操舵角度をアシストする技術を提案している。
【0003】
このように、車両の車線(レーン)逸脱を防止しつつ微小操舵を補助することによって、運転者の負担を大幅に軽減することができる。運転者の負担は、特に高速道路などを長時間走行するとき顕著となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような操舵アシスト制御においては、運転者の操舵との干渉を考慮すると、舵角よりもトルク(操舵力)を介してアシストするのが望ましい。
【0005】
ところで、このような操舵トルクアシスト制御装置においては異常(フェール)を精度良く検出し、それに応じて適切に対処できることが望ましい。
【0006】
従って、この発明の目的は操舵トルクアシスト制御装置において、異常(フェール)を精度よく検出し、それに応じて適切に対処できるようにした車両用操舵制御装置を提供することにある。
【0007】
また、車両の車線(レーン)逸脱を防止しつつ微小操舵を補助する操舵アシスト制御を行うときは、走行路についての信号の異常(フェール)を検出あるいは判定し、適切に対処することが望ましい。
【0008】
従って、この発明の第2の目的は車両の車線(レーン)逸脱を防止しつつ微小操舵を補助する操舵アシスト制御を行うときは、走行路についての信号の異常(フェール)を検出あるいは判定し、対処できるようにした車両用操舵制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、請求項1項にあっては、車両の操舵車輪を転舵するアクチュエータを備える操向手段と、人的操作によって前記アクチュエータを駆動する第1の操向制御手段と、車両進行方向道路の車線状態を検知する第1の手段と、前記車両の運動状態を検知する第2の手段と、前記第1および第2の手段の出力に基づき、前記車両進行方向道路の車線状態に対する車両の位置関係を維持するために必要な操舵力を算出する操舵力算出手段と、人的に加えられた操舵トルクを検知する検知手段と、および、前記操舵力算出手段が算出した操舵力と前記検知手段が検知した操舵トルクに基づき、前記操舵トルクを減少させるように前記第1の操向制御手段に与えるトルク指令を求める第2の操向制御手段とを備える車両用操舵制御装置において前記第2の操向制御手段によって求められる前記操向手段に加えるべきトルクが、道路設計基準に従ったカーブ走行路で取り得るトルクの範囲外であるとき、および前記第1の手段によって検知された車線状態において取り得るトルクの範囲外であるときのいずれかにある場合、前記第2の操向制御手段による操向手段の制御を中止するように構成した。これによって、異常(フェール)を精度よく検出し、それに応じて適切に対処することができ、車両の車線(レーン)逸脱を防止しつつ微小操舵を補助する操舵アシスト制御において走行路についての信号の異常(フェール)を検出あるいは判定し、適切に対処することができる。
【0010】
請求項2項にあっては、車両の操舵車輪を転舵するアクチュエータを備える操向手段と、人的操作によって前記アクチュエータを駆動する第1の操向制御手段と、車両進行方向道路の車線状態を検知する第1の手段と、前記車両の運動状態を検知する第2の手段と、前記第1および第2の手段の出力に基づき、前記車両進行方向道路の車線状態に対する車両の位置関係を維持するために必要な操舵力を算出する操舵力算出手段と、人的に加えられた操舵トルクを検知する検知手段と、および、前記操舵力算出手段が算出した操舵力と前記検知手段が検知した操舵トルクに基づき、前記操舵トルクを減少させるように前記第1の操向制御手段に与えるトルク指令を求める第2の操向制御手段とを備える車両用操舵制御装置において、前記第2の操向制御手段によって求められる前記操向手段に加えるべきトルクが、道路設計基準において取り得るトルクの範囲外であるとき、および前記第1の手段によって検知された車線状態において取り得るトルクの範囲外であるときのいずれかにある場合、前記第2の操向制御手段による操向手段の制御を中止するように構成した。また、請求項3項にあっては、車両の操舵車輪を転舵するアクチュエータを備える操向手段と、人的操作によって前記アクチュエータを駆動する第1の操向制御手段と、車両進行方向道路の車線状態を検知する第1の手段と、前記車両の運動状態を検知する第2の手段と、前記第1および第2の手段の出力に基づき、前記車両進行方向道路の車線状態に対する車両の位置関係を維持するために必要な操舵力を算出する操舵力算出手段と、人的に加えられた操舵トルクを検知する検知手段と、および、前記操舵力算出手段が算出した操舵力と前記検知手段が検知した操舵トルクに基づき、前記操舵トルクを減少させるように前記第1の操向制御手段に与えるトルク指令を求める第2の操向制御手段とを備える車両用操舵制御装置において、前記第2の操向制御手段によって求められる前記操向手段に加えるべきトルクが、少なくとも前記第1の手段によって検知された車線状態において取り得るトルクの範囲外であるとき、前記第2の操向制御手段による操向手段の制御を中止するように構成した。これによって、特に車両の車線(レーン)逸脱を防止しつつ微小操舵を補助する操舵アシスト制御において走行路についての信号の異常(フェール)を一層精度良く検出あるいは判定し、適切に対処することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に即してこの発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1はこの出願に係る車両用操舵制御装置を全体的に示す概略図であり、図2はその装置を操舵系に焦点をおいて示す同様の説明図である。
【0013】
以下、図1および図2を併せて参照して説明すると、車両10において運転席12に配置されたステアリングホイール14は、ステアリングシャフト16に連結され、ステアリングシャフト16はユニバーサルジョイント18,20を介してコネクティングシャフト22に連結される。
【0014】
コネクティングシャフト22は、ラック・ピニオン型ステアリングギア24のピニオン26に連結される。ピニオン26はラック28に噛み合っており、よってステアリングホイール14から入力された回転運動はピニオン26を介してラック28の往復運動に変換され、フロントアクスルの両端に配置されたタイロッド(ステアリングロッド)30およびキングピン(図示せず)を介して2個の前輪(操舵輪)32を所望の方向に転舵させる。
【0015】
ラック28上には同軸に電動モータ38およびボールねじ機構40が配置され、モータ出力はボールねじ機構40を介してラック28の往復運動に変換され、ステアリングホイール14を介して入力された操舵力(操舵トルク)を減少する方向にラック28を駆動する。
【0016】
ここで、ステアリングギア24の付近にはトルクセンサ42が設けられ、運転者が入力した操舵力(操舵トルク)の方向と大きさに応じた信号を出力する。また、ステアリングシャフト16の付近にはロータリエンコーダなどからなる舵角センサ44が設けられ、運転者が入力した操舵角度の方向と大きさに応じた信号を出力する。
【0017】
2個の前輪32の付近にはそれぞれ電磁ピックアップなどからなる車輪速センサ46が配置されて前輪1回転ごとに信号を出力すると共に、2個の後輪48の付近にも同種構造の車輪速センサ50がそれぞれ配置されて後輪1回転ごとに信号を出力する(図1で左側の後輪のみ示す)。尚、車両10においては内燃機関(図示せず)は前輪側に配置されており、前輪32を駆動輪、後輪48を従動輪とする。
【0018】
また、2個の前輪32および2個の後輪のサスペンション機構(図示せず)の付近には車高センサ52,54がそれぞれ設けられ、前後輪のサスペンションのストローク(変位)を通じてその部位の車両10の高さに応じた信号を出力する。
【0019】
図1に示す如く、運転席12の上部には、フロントウィンドウ60の内面にルームミラー62と組み合わされてCCDカメラ64が1基、取りつけられる。また、車両10のフロントバンパ付近の適宜位置には、複数基のミリ波レーダ66が設けられ(図1で1基のみ示す)、前方に変調波を発信する。
【0020】
CCDカメラ64は車両進行方向道路を単眼視し、撮像信号を出力する。CCDカメラ64の出力は、図2に示す如く、マイクロコンピュータからなる画像処理ECU68に送られ、道路上の道路区分線(白線)が抽出される。ミリ波レーダ66の出力は同様にマイクロコンピュータからなるレーダ出力処理ECU70に送られ、アンテナ(図示せず)を介して受信された受信波とミキシングされて車両進行方向に位置する立体物(先行車)の有無が判別される。
【0021】
この出願に係る車両用操舵制御装置は、同様にマイクロコンピュータからなる電子制御ユニット(「SAS ECU」と示す)74を備え、画像処理ECU68、レーダ出力処理ECU70および前記したトルクセンサ42の出力などはSAS ECU74に入力される。
【0022】
また、この装置は第2の電子制御ユニット(「EPS ECU」と示す)76を備える。EPS ECU76は、いわゆるパワーステアリングに基づく操舵アシスト量を算出する。前記したトルクセンサ42の出力はEPS ECU76にも入力される。
【0023】
SAS ECU74とEPS ECU76は信号線78を介して相互に通信可能に接続される。SAS ECU74は後述の如く操舵トルクのアシスト量を算出し、EPS ECU76に送出する。
【0024】
EPS ECU76は受信した操舵トルクのアシスト量から指令値(PWMによるデューティ比)を算出し、モータ駆動回路80に出力する。
【0025】
図3はそのモータ駆動回路80の構成を示す回路図であり、モータ駆動回路80は図示の如く、4個のパワーFETスイッチング素子A,B,C,Dからなるブリッジ回路から構成される。FETスイッチング素子A,Dがオンされて矢印(実線)の如くソース電流が流されると、電動モータ38は実線で示す矢印の方向に回転し、B,Cがオンされて矢印(破線)の如くソース電流が流されると、破線で示す逆方向に回転する。
【0026】
これらFETスイッチング素子をデューティ比制御することで、モータ通電電流を制御し、電動モータ38を駆動制御する。モータ駆動回路80において、電源電圧VBとブリッジ回路に間にはPWリレー80aが介挿されると共に、FETスイッチング素子Bのソース端子と電動モータ38との間にはF/Sリレー80bが介挿される。
【0027】
図1の説明に戻ると、車両10の重心位置付近にはヨーレートセンサ82が配置され、車両重心の鉛直(重力)軸回りのヨーレート(回転角速度)に応じた信号を出力する。
【0028】
また、運転席12のステアリングホイール14には感圧センサ84が適宜個数配置され、圧力、即ち、運転者のステアリングホイール操作の有無に応じた信号を出力すると共に、シート下部には第2の感圧センサ86が適宜個数配置され、圧力、即ち、運転者の着座の有無に応じた信号を出力する。
【0029】
また、ダッシュボード付近にはナビゲーション装置88が配置される。ナビゲーション装置88は、車両10が走行する地域の走行路位置情報(地図情報)を記憶した記憶装置を備える。
【0030】
さらに、運転席12の床面のブレーキペダル(図示せず)にはブレーキセンサ90が設けられ、運転者のブレーキペダルの踏み込みに応じた信号を出力すると共に、アクセルペダル(図示せず)にはアクセルセンサ92が設けられ、運転者のアクセルペダルの踏み込みに応じた信号を出力する。
【0031】
ここで、前記したSAS ECU74およびEPS ECU76の制御について概説すると、SAS ECU74にあっては、車両10が車線(道路区分線)に沿って走行するように操舵アシストトルクが算出される。
【0032】
これは図示しない別ルーチンにおいて行われるが、図4を参照して簡単に説明すると、前記したCCDカメラ64の出力を入力する画像処理ECU68で画像処理から求めた道路区分線から目標点列が求められる。次いで、目標点列から目標ヨーレートが求められ、その目標ヨーレートとなるように図5に示す如く車線中央からの変位に応じてアシストトルク量が算出され、制御される。図6はその制御を示すブロック図である。
【0033】
尚、その詳細は本出願人が提案した特願平9−268047号に詳細に述べられているので、これ以上の説明は省略する。
【0034】
また、EPS ECU76においては、パワーステアリングによる公知の操舵アシストトルク量が図5にその横軸の下方に示す如く操舵トルク(ステアトルク)に応じて算出される。尚、この装置においてはSAS ECU74の車線を保持する操舵アシストを基本とし、運転者が所定トルク以上の操舵を入力したとき、EPSECU76による操舵アシスト制御に切り換えられる。
【0035】
この発明は、SAS ECU74の異常(フェール)検出に関するので、以下それについて説明する。
【0036】
図7は、この発明に係る車両用操舵制御装置の動作、より詳しくはSAS ECU74の異常(フェール)の検出(判定)動作を示すフロー・チャートである。
【0037】
以下説明すると、S100において、CCDカメラ64に出力する撮像信号を入力して画像処理した画像処理ECU68の画像処理結果を読み込み、S102に進んで前述のように操舵指示トルクを算出する。以上がSAS ECU74内の動作である。SAS ECU74は処理結果を信号線78を介してEPS ECU76にシリアル通信する。
【0038】
EPS ECU76においては、先ずS104において受信した操舵指示トルクが制御で予想される最大値を示すトルクリミット内か否か判断し、肯定されるときはS106に進んでSAS(制御)モードとする。即ち、受信した操舵指示トルクに基づき、車線保持のための操舵アシストトルク制御を行うと共に、否定されるときは車線保持のための操舵アシストトルク制御は不適当と判断し、S108に進んで検出した操舵トルクτhに基づいてパワーステアリング制御(EPSモード)に基づく操舵あるいはトルク制御を行う。
【0039】
次いでS110に進んでトルクセンサ42の出力に異常ないか、ハーネスがオープン(断線)していないか、EPS ECU76のCPUに異常がないかチェックする。
【0040】
S110でトルクセンサ出力、ハーネス、CPUに異常(フェール)が検出されて異常ありと判断されるときはS112に進んで前記したPWリレー80aをオフにし、S114に進んでF/Sリレー80bをオフにして電動モータ38の駆動を停止し、S116に進んで前記したFETスイッチング素子A,B,C,Dのゲート素子への通電を停止する。
【0041】
尚、S110でトルクセンサ出力などに異常なしと判断されたときはS118に進み、印加すべきアシストトルクがトルクセンサ42の検出したトルクの方向と一致しているか否か判断し、不一致と判断されるときはS116に進んで前記FETスイッチング素子A,B,C,Dのゲート素子への通電を停止すると共に、一致と判断されるときはS104に戻って上記の処理を繰り返す。
【0042】
この実施の形態に係る装置は上記の如く構成したので、異常(フェール)を精度よく検出し、それに応じて適切に対処することができる。
【0043】
図8はこの発明の第2の実施の形態を示す、図7と同様のSAS ECU74の異常(フェール)の検出(判定)動作を示すフロー・チャートである。
【0044】
第1の実施の形態に係る装置においては、EPS ECU76への最終入力信号について異常判定を行っているため、異常(フェール)を具体的に判定することができなかった。また、重要な信号については、信頼性向上のため、反復して異常(フェール)を判定することが望ましい。
【0045】
従って、第2の実施の形態においては、上記した不都合を解消するようにした。
【0046】
以下説明すると、S200において画像処理ECU68の画像処理結果を読み込み、S202に進み、読み込んだ入力画像が機能範囲に存在するか、即ち、SAS ECU74による車線保持操舵アシスト制御を機能させるのに十分か否かを判断する。
【0047】
S202で否定されて機能範囲外と判断された場合にはS204に進み、ALIVE信号のビットを0とする。尚、ALIVE信号のビットが1のとき、SAS ECU74による車線保持操舵アシスト制御が行われる。
【0048】
S202で肯定されるときはS206に進み、画像処理結果などから前記の如く車線保持操舵アシスト制御に基づいて操舵指示トルクを算出し、次いでS208に進んでクロソイド範囲内にあるか否かを判断する。即ち、操舵指示トルクがクロソイド曲線(国内の高速道路設計基準に従って求められた曲率200Rから300Rの緩和曲線)から算出される値の範囲内にあるか、換言すれば予想される高速道路カーブ走行路で取り得る値の範囲内にあるか否か判断する。
【0049】
S208で肯定されるときはS210に進み、操舵指示トルクが制御で予想される最大値を示すトルクリミット内にあるか否か判断する。尚、このトルクリミットは車速、走行路曲率およびヨーレートに応じて設定される。
【0050】
他方、S208またはS210で否定されるときはS212に進み、MODE信号のビットを0とする。尚、MODE信号のビットが1のとき、SAS ECU74による車線保持操舵アシスト制御が行われる。
【0051】
SAS ECU74は、上記した処理結果をEPS ECU76にシリアル信号で送信する
【0052】
EPS ECU76においては、先ずS214で上記した操舵指示トルク信号に通信エラーがないか否か判断する。尚、通信エラーの有無の判断はサムチェックおよびパリティチェックについて行う。S214で否定されるときは操舵指示トルク信号を信頼し難いことから、S216に進んでパワーステアリングによる操舵アシスト制御を行う。
【0053】
S214で肯定されるときはS218に進み、操舵指示トルク信号のALIVE信号のビットが1であるか否か判断する。ここで否定されてALIVE信号のビットが0と判断されるときは、画像処理が不適当であったと判定され、S216に進んでパワーステアリングによる操舵アシスト制御を行う。
【0054】
S218で肯定されるときはS220に進み、MODE信号のビットが1か否か判断し、否定されて0と判断されるときは操舵指示トルクが制御上適切な値ではないと判定してS216に進む。
【0055】
S220で肯定されるときはS222に進み、操舵指示トルクが制御に要する最大値(トルクリミット)内か否か再び判断する。このトルクリミットは車速に応じて設定される。S222で否定されるときは、S216に進む。
【0056】
S222で肯定されるときはS224に進み、車線保持操舵アシスト制御を行う。次いでS226に進んでトルクセンサ42の検出トルクτhが所定値τhr、例えば35kgf・cmを超えるか否か判断し、肯定されるときはS228に進んで疑似EPSモードとする。即ち、パワーステアリングによる操舵アシスト制御を行う。ここで「疑似」というのは、本来は車線保持操舵アシスト制御を行う領域であるからである。
【0057】
次いでS230に進んでトルクセンサ出力に異常がないか、ハーネスがオープン(断線)していないか、EPS ECU76のCPUに異常がないか判断し、異常ありと判断されるときはS232に進んでPWリレー80aをオフとし、S234に進んでF/Sリレー80bをオフとし、S236に進んでFETスイッチング素子A,B,C,Dのゲート素子への通電を停止する。従って、EPS制御も含めていかなる操舵アシストも行われない。
【0058】
他方、異常なしと判断されるときはS238に進んで操舵アシストトルクの方向が検出トルクと一致するか否か判断し、不一致と判断されるときはS236に進んで前記FETスイッチング素子A,B,C,Dのゲート素子への通電を停止する。
【0059】
従って、EPS制御そのものは続行されるが、電動モータ38の駆動は停止されることから、実質的にはいかなる操舵アシストも行われない。尚、不一致の時間が長いときは、操舵アシスト制御そのものも停止する。尚、S238で一致と判断されるときはS214に戻って上記の処理を繰り返す。
【0060】
第2の実施の形態における異常(フェール)などと、それについての対応を整理すると、以下のようになる。
【0061】
(1)画像処理が適正に行われない場合
(2)SASの操舵指示トルクが異常な場合
(3)通信異常の場合
これらの場合にはSASモード(車線保持操舵アシスト制御)からEPSモード(パワーステアリング制御)に切り換え、通常の操舵アシスト制御を行う。
(4)運転者の積極的な操舵意図が推定される場合
異常ではないが、運転者の積極的な操舵意図が推定される場合、SASモード(車線保持操舵アシスト制御)から疑似EPSモード(パワーステアリング制御)に切り換え、通常の操舵アシスト制御を行う。
(5)トルクセンサ出力異常、ハーネスオープン、CPU異常の場合
この場合にはリレー80a,80bをオフとし、FETのゲートをオフにする(従って、実質的には操舵アシスト制御は行われない)。
(6)印加トルク方向の不一致
この場合にはFETのゲートをオフにすることにより、モータ駆動を停止する(従って、実質的には操舵アシスト制御は行われない)。尚、不一致の時間が長いときは操舵アシスト制御を停止するようにしても良い。
【0062】
このように、第2の実施の形態においては、異常(フェール)を精度よく検出し、それに応じて適切に対処することができ、車両の車線(レーン)逸脱を防止しつつ微小操舵を補助する操舵アシスト制御において走行路についての信号の異常(フェール)を検出あるいは判定し、適切に対処することができる。
【0063】
さらに、運転者の積極的な操舵意図も含めた異常(フェール)を内容ごとに判別するので、精度良く検出することができると共に、検出結果に応じて適切に対処することができる。また、操舵指示トルクなどの重要な信号については反復してチェックしているので、信頼性を向上させることができる。
【0064】
この実施の形態においては、上記の如く、車両の操舵車輪(前輪32)を転舵するアクチュエータ(電動モータ38)を備える操向手段(ステアリングホイール14、ステアリングギア24)と、人的操作によって前記アクチュエータを駆動する第1の操向制御手段(EPS ECU76)と、車両進行方向道路の車線状態を検知する第1の手段(CCDカメラ64、画像処理ECU68)と、前記車両の運動状態を検知する第2の手段(ヨーレートセンサ82など)と、前記第1および第2の手段の出力に基づき、前記車両進行方向道路の車線状態に対する車両の位置関係を維持するために必要な操舵力を算出する操舵力算出手段(SAS ECU74)と、人的に加えられた操舵トルクを検知する検知手段(トルクセンサ42)と、および、前記操舵力算出手段が算出した操舵力と前記検知手段が検知した操舵トルクに基づき、前記操舵トルクを減少させるように前記第1の操向制御手段に与えるトルク指令を求める第2の操向制御手段(SAS ECU74)とを備える車両用操舵制御装置であって、前記第1の手段または第2の操向制御手段の異常を検出する異常検出手段(S104,S110,S118、S202からS214,S218からS222,S226,S230,S238)を備えると共に、前記異常検出手段が異常を検出したときに前記第2の操向制御手段による操向手段の制御を中止する(S108,S112からS116,S216,S228,S232からS236)ように構成した。
【0065】
また、前記異常検出手段が検出する異常が、前記操向手段に加えるべきトルクが道路設計基準において取り得るトルクの範囲外か、あるいは前記第1の手段により求められた車線状態において取り得るトルクの範囲外のトルクを前記操向手段に加えるか否かで判断する(S104,S208,S222)ように構成した。
【0066】
また、上記した実施の形態において、操舵アシスト機構は公知のパワーステアリング機構と兼用としたが、独立に設けても良い。操舵アシスト機構は電動型としたが、油圧型であっても良い。
【0067】
また、舵角センサ44などは開示した構成以外でも良く、また配置位置も必要とする検出値が得られる限り、どこに配置しても良い。
【0068】
【発明の効果】
請求項1項にあっては、異常(フェール)を精度よく検出し、それに応じて適切に対処することができ、車両の車線(レーン)逸脱を防止しつつ微小操舵を補助する操舵アシスト制御において走行路についての信号の異常(フェール)を検出あるいは判定し、適切に対処することができる。
【0069】
請求項2項にあっては、特に車両の車線(レーン)逸脱を防止しつつ微小操舵を補助する操舵アシスト制御において走行路についての信号の異常(フェール)を一層精度良く検出あるいは判定し、適切に対処することができる。請求項3項についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明に係る車両用操舵制御装置の全体を示す概略図である。
【図2】図1の装置を操舵系に焦点をおいて示す、図1と同様の全体概略図である。
【図3】図1装置の中のモータ駆動回路の詳細を示す回路図である。
【図4】図1装置の中のSAS ECUの動作を示す説明図である。
【図5】図1装置の中のSAS ECUおよびEPS ECUの操舵アシストトルク特性を示す説明グラフである。
【図6】図1装置の中のSAS ECUおよびEPS ECUの動作を機能的に示すブロック図である。
【図7】この発明に係る装置の動作を示す、SAS ECUの異常(フェール)検出(判定)作業を示すフロー・チャートである。
【図8】この発明の第2の実施の形態に係る装置の動作を示す、SAS ECUなどの異常(フェール)検出(判定)作業を示すフロー・チャートである。
【符号の説明】
10 車両
14 ステアリングホイール(操向手段)
24 ステアリングギア(操向手段)
26 ピニオン
28 ラック
32 前輪(操舵輪)
38 電動モータ(アクチュエータ)
42 トルクセンサ
44 舵角センサ
46,50 車輪速センサ
48 後輪
64 CCDカメラ(第1の手段)
68 画像処理ECU(第1の手段)
74 電子制御ユニット(SAS ECU)(操舵力算出手段、第2の操向制御手段)
76 電子制御ユニット(EPS ECU)(第1の操向制御手段)

Claims (3)

  1. 車両の操舵車輪を転舵するアクチュエータを備える操向手段と、人的操作によって前記アクチュエータを駆動する第1の操向制御手段と、車両進行方向道路の車線状態を検知する第1の手段と、前記車両の運動状態を検知する第2の手段と、前記第1および第2の手段の出力に基づき、前記車両進行方向道路の車線状態に対する車両の位置関係を維持するために必要な操舵力を算出する操舵力算出手段と、人的に加えられた操舵トルクを検知する検知手段と、および、前記操舵力算出手段が算出した操舵力と前記検知手段が検知した操舵トルクに基づき、前記操舵トルクを減少させるように前記第1の操向制御手段に与えるトルク指令を求める第2の操向制御手段とを備える車両用操舵制御装置において前記第2の操向制御手段によって求められる前記操向手段に加えるべきトルクが、道路設計基準に従ったカーブ走行路で取り得るトルクの範囲外であるとき、および前記第1の手段によって検知された車線状態において取り得るトルクの範囲外であるときのいずれかにある場合、前記第2の操向制御手段による操向手段の制御を中止するように構成したことを特徴とする車両用操舵制御装置。
  2. 車両の操舵車輪を転舵するアクチュエータを備える操向手段と、人的操作によって前記アクチュエータを駆動する第1の操向制御手段と、車両進行方向道路の車線状態を検知する第1の手段と、前記車両の運動状態を検知する第2の手段と、前記第1および第2の手段の出力に基づき、前記車両進行方向道路の車線状態に対する車両の位置関係を維持するために必要な操舵力を算出する操舵力算出手段と、人的に加えられた操舵トルクを検知する検知手段と、および、前記操舵力算出手段が算出した操舵力と前記検知手段が検知した操舵トルクに基づき、前記操舵トルクを減少させるように前記第1の操向制御手段に与えるトルク指令を求める第2の操向制御手段とを備える車両用操舵制御装置において、前記第2の操向制御手段によって求められる前記操向手段に加えるべきトルクが、道路設計基準において取り得るトルクの範囲外であるとき、および前記第1の手段によって検知された車線状態において取り得るトルクの範囲外であるときのいずれかにある場合、前記第2の操向制御手段による操向手段の制御を中止するように構成したことを特徴とする車両用操舵制御装置。
  3. 車両の操舵車輪を転舵するアクチュエータを備える操向手段と、人的操作によって前記アクチュエータを駆動する第1の操向制御手段と、車両進行方向道路の車線状態を検知する第1の手段と、前記車両の運動状態を検知する第2の手段と、前記第1および第2の手段の出力に基づき、前記車両進行方向道路の車線状態に対する車両の位置関係を維持するために必要な操舵力を算出する操舵力算出手段と、人的に加えられた操舵トルクを検知する検知手段と、および、前記操舵力算出手段が算出した操舵力と前記検知手段が検知した操舵トルクに基づき、前記操舵トルクを減少させるように前記第1の操向制御手段に与えるトルク指令を求める第2の操向制御手段とを備える車両用操舵制御装置において、前記第2の操向制御手段によって求められる前記操向手段に加えるべきトルクが、少なくとも前記第1の手段によって検知された車線状態において取り得るトルクの範囲外であるとき、前記第2の操向制御手段による操向手段の制御を中止するように構成したことを特徴とする車両用操舵制御装置。
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