JP3704211B2 - オレフィン重合用触媒およびオレフィンの重合方法 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明はオレフィン重合用触媒および該オレフィン重合用触媒を用いたオレフィンの重合方法に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】
オレフィン重合用の均一触媒系としては、いわゆるカミンスキー触媒がよく知られている。この触媒は、非常に重合活性が高く、分子量分布が狭い重合体が得られるという特徴がある。
【0003】
このカミンスキー触媒に用いられる遷移金属化合物触媒成分のうちアイソタクチックポリオレフィンを製造する触媒成分としては、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドやエチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド(特開昭61−130314号公報)が知られている。
しかし、このような触媒成分を用いて製造したポリオレフィンは、通常、立体規則性が低く、分子量が小さい。また低温で製造すると、高立体規則性体、高分子量体が得られるが、重合活性が低いなどの問題がある。
【0004】
また、遷移金属化合物触媒成分としてジルコニウム化合物の替わりにハフニウム化合物を使用すると、高分子量体の製造が可能であることが知られているが(Journal of Molecular Catalysis,56(1989)p.237〜247 )、この方法には重合活性が低いという問題点がある。さらに、ジメチルシリルビス置換シクロペンタジエニルジルコニウムジクロリドなどが特開平1−301704号公報、Polymer Preprints,Japan vol.39,No.6 p.1614〜1616(1990)などで公知であるが、高重合活性と高立体規則性、高位置規則性、高分子量を同時には満足しないという問題があった。
【0005】
また、特開平4−268307号公報には、下記式で示されるメタロセン化合物と、アルミノキサンとからなるオレフィン重合用触媒が記載されている。
【0006】
【化2】
【0007】
さらにEP 0 530 648 A1 には、下記式で示されるメタロセン化合物と、アルミノキサンとからなるオレフィン重合用触媒が記載されている。
【0008】
【化3】
【0009】
しかし、これらの触媒によって得られるポリオレフィンでもまだ、立体規則性、位置規則性、分子量などが必ずしも満足するものではなかった。
また、前記「化3」に示されるメタロセン化合物において、Aがフェニル基またはナフチル基である触媒成分は、40 YEARS ZIEGLER CATALYSTS IN HONOR OF KARL ZIEGER AND WORKSHOP(SEP.1〜3,1993) にてヘキスト社より公開されている。しかし、これらの触媒により得られるポリオレフィンは、立体規則性、位置規則性が低いという問題がある。
【0010】
本発明者らは、このような従来技術に鑑み鋭意検討した結果、前記「化2」、「化3」に示されるような遷移金属化合物からなる触媒成分は、インデニル基に置換する置換基の種類により重合活性、および得られるポリオレフィンの分子量などが大きく異なることを見出して本発明を完成するに至った。
【0011】
【発明の目的】
本発明は優れたオレフィンの重合活性を有し、かつ分子量の大きなポリオレフィンが得られるようなオレフィン重合用触媒を提供すること、およびこのオレフィン重合用触媒を用いたオレフィンの重合方法を提供することを目的としている。
【0012】
【発明の概要】
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、
(A)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、
(B)(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物、および/または
(B-2) 前記遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物とからなることを特徴としている;
【0013】
【化4】
【0014】
(式中、Mは周期表第4族の遷移金属原子を示し、
R1 およびR2 は、互いに異なる炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、
R3 およびR4 は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が10〜16のアリール基を示し、このアリール基は、炭素原子数が1〜20の炭化水素基で置換されていてもよく、
R5 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、
X1 およびX2 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素原子数が1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数が1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2 −、−NR6 −、−P(R6 )−、−P(O)(R6 )−、−BR6 −または−AlR6 −[ただし、R6 は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す。)
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記成分(A)および成分(B)に加えて有機アルミニウム化合物(C)を含んでいてもよい。また、上記成分(A)および成分(B)が微粒子状担体に担持された固体状触媒であってもよく、前記成分(A)および成分(B)と予備重合により生成するオレフィン重合体とからなる予備重合触媒であってもよい。
【0015】
本発明に係るオレフィンの重合方法は、前記オレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを重合または共重合することを特徴としている。
【0016】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るオレフィン重合用触媒および該オレフィン重合用触媒を用いたオレフィンの重合方法について具体的に説明する。
【0017】
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、
(A)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、
(B)(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物、および/または
(B-2) 前記遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物とから形成されている。
【0018】
まず、本発明のオレフィン重合用触媒を形成する各成分について説明する。
本発明のオレフィン重合用触媒を形成する遷移金属化合物は、下記一般式(I)で表される遷移金属化合物である。
【0019】
【化5】
【0020】
式中、Mは周期表4〜6の遷移金属原子を示し、具体的には、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンまたはタングステンであり、好ましくはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムであり、特に好ましくはジルコニウムである。
【0021】
R1 およびR2 は、互いに異なる炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、tert-ブチルなどが挙げられる。
【0022】
R3 およびR4 は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が10〜16のアリール基を示し、具体的には、
α-ナフチル、β-ナフチル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル、アセアントリレニル、テトラヒドロナフチル、インダニルなどである。これらのうちナフチル、フェナントリルであることが好ましい。
【0023】
これらのアリール基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などの炭素原子数が1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい。
【0024】
また、アリール基に置換する炭化水素基は、5員環、6員環などの環を形成していてもよい。
R5 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、具体的には、前記と同様の炭素原子数が1〜4のアルキル基が挙げられる。これらのうちでは水素原子であることが好ましい。
【0025】
X1 およびX2 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、具体的には、
ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基としては前記と同様の原子および基を例示することができる。また、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基としては、前記炭素原子数が1〜20の炭化水素基にハロゲン原子が置換した基を例示することができる。
【0026】
酸素含有基としては、ヒドロオキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリロキシ基;フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などが挙げられる。
【0027】
イオウ含有基としては、前記含酸素化合物の酸素がイオウに置換した置換基、およびメチルスルホネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基;メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンゼンスルフィネート、p-トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基が挙げられる。
【0028】
これらのうちではハロゲン原子または炭素原子数が1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
Yは、炭素原子数が1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数が1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2 −、−NR6 −、−P(R6 )−、−P(O)(R6 )−、−BR6 −または−AlR6 −[ただし、R6 は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示し、具体的には、
メチレン、ジメチルメチレン、1,2-エチレン、ジメチル-1,2- エチレン、1,3-トリメチレン、1,4-テトラメチレン、1,2-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレンなどのアルキレン基;ジフェニルメチレン、ジフェニル-1,2- エチレンなどのアリールアルキレン基などの炭素原子数が1〜20の2価の炭化水素基;
クロロメチレンなどの上記炭素原子数が1〜20の2価の炭化水素基をハロゲン化したハロゲン化炭化水素基;
メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ(i-プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p-トリル)シリレン、ジ(p-クロロフェニル)シリレンなどのアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレン基;テトラメチル-1,2-ジシリレン、テトラフェニル-1,2- ジシリレンなどのアルキルジシリレン、アルキルアリールジシリレン、アリールジシリレン基などの2価のケイ素含有基;
上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した2価のゲルマニウム含有基などであり、
R6 は、前記と同様のハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
【0029】
このうち2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレンであることがより好ましい。
【0030】
以下に上記一般式(I)で表される遷移金属化合物の代表的な具体例として、下記に示すようなMがジルコニウムであり、R5 が水素原子であり、X1 およびX2 が塩素原子であり、Yがジメチルシリレン基である化合物の例を下記表1に示す。
【0031】
【化6】
【0032】
【表1】
【0033】
本発明では、上記のような化合物においてジルコニウム金属をチタニウム金属、ハフニウム金属、バナジウム金属、ニオブ金属、タンタル金属、クロム金属、モリブデン金属またはタングステン金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
【0034】
このような遷移金属化合物は、たとえば下記のようにして製造することができる。下記製造工程は、前記一般式(I)においてMがジルコニウムであり、R5 が水素原子であり、X1 およびX2 が塩素原子である遷移金属化合物を製造する場合を示している。
【0035】
【化7】
【0036】
(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0037】
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水や氷や水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0038】
なお、アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒あるいは未反応の有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解あるいはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
【0039】
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリ tert-ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのジアルキルアルミニウムアリーロキシドなどが挙げられる。
【0040】
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
また、アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として、下記一般式(II)で表されるイソプレニルアルミニウムを用いることもできる。
【0041】
(i-C4H9)x Aly (C5 H10)z … (II)
(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)
上記のような有機アルミニウム化合物は、単独であるいは組合せて用いられる。たとえば、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムを組み合わせて用いられる。
【0042】
アルミノキサンを調製する際に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ガソリン、灯油、軽油などの石油留分あるいは上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物(たとえば塩素化物、臭素化物)などの炭化水素溶媒が挙げられる。その他、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
【0043】
上記のような有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
(B-2) 前記遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物としては、特表平1−501950号公報、特表平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物およびカルボラン化合物を挙げることができる。以下、(B-2) 前記遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物を「イオン化イオン性化合物」ということがある。
【0044】
ルイス酸としては、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、MgCl2、Al2O3、SiO2-Al2O3 などが例示できる。
【0045】
イオン性化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリn-ブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが例示できる。
【0046】
カルボラン化合物としては、ドデカボラン、1-カルバウンデカボラン、ビスn-ブチルアンモニウム(1-カルベドデカ)ボレート、トリn-ブチルアンモニウム(7,8-ジカルバウンデカ)ボレート、トリn-ブチルアンモニウム(トリデカハイドライド-7-カルバウンデカ)ボレートなどが例示できる。
【0047】
上記のような前記遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-2) は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、前記遷移金属化合物(A)と、前記有機アルミニウムオキシ化合物(B-1) および/または遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-2) とから形成されるが、必要に応じて有機アルミニウム化合物(C)を含んでいてもよい。
【0048】
必要に応じて用いられる(C)有機アルミニウム化合物としては、例えば下記一般式(III)で表される有機アルミニウム化合物を例示することができる。
Ra nAlX3-n … (III)
(式中、Ra は炭素原子数が1〜12の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子または水素原子であり、nは1〜3である。)
上記一般式(III)において、Ra は炭素原子数が1〜12の炭化水素基、たとえばアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるが、具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基;フェニル、トリルなどのアリール基などである。
【0049】
このような有機アルミニウム化合物(C)としては、具体的には以下のような化合物が挙げられる。
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ(2-エチルヘキシル)アルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなど。
【0050】
また有機アルミニウム化合物(C)として、下記一般式(IV)で表される化合物を用いることもできる。
Ra nAlL3-n … (IV)
(式中、Ra は上記と同様であり、Lは−ORb 基、−OSiRc 3 基、−OAlRd 2 基、−NRe 2 基、−SiRf 3 基または−N(Rg )AlRh 2 基であり、nは1〜2であり、Rb 、Rc 、Rd およびRh はメチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、シクロヘキシル、フェニルなどであり、Re は水素原子、メチル、エチル、イソプロピル、フェニル、トリメチルシリルなどであり、Rf およびRg はメチル、エチルなどである。)
このような有機アルミニウム化合物のなかでは、
Ra nAl(OAlRd 2)3-n で表される化合物、たとえば
Et2 AlOAlEt2 、(iso-Bu)2AlOAl(iso-Bu)2 などが好ましい。
【0051】
上記一般式(III)または(IV)で表される有機アルミニウム化合物の中では、一般式Ra 3Alで表される化合物が好ましく、特にRa がイソアルキル基である化合物が好ましい。
【0052】
本発明に係るオレフィン重合用触媒としては、たとえば
(A)前記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、
(B)(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物および/または(B-2) 前記遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物と、
必要に応じて
(C)有機アルミニウム化合物とから形成される触媒が挙げられる。
【0053】
図1に、本発明に係るオレフィン重合用触媒の調製工程を示す。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、(A)遷移金属化合物、(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物(または(B-2) イオン化イオン性化合物)および必要に応じて(C)有機アルミニウム化合物を不活性炭化水素溶媒中またはオレフィン溶媒中で混合することにより調製することができる。この際の各成分の混合順序は任意であるが、(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物を使用する際は、(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物と(C)有機アルミニウム化合物とを混合し、次いで(A)遷移金属化合物を混合することが好ましい。
【0054】
(B-2)イオン化イオン性化合物を使用する際は、(C)有機アルミニウム化合物と(A)遷移金属化合物とを混合し、次いで(B-2)イオン化イオン性化合物を混合することが好ましい。
【0055】
上記各成分を混合するに際して、(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子と、(A)遷移金属化合物中の遷移金属原子との原子比(Al/遷移金属)は、通常10〜10000、好ましくは20〜5000であり、(A)遷移金属化合物の濃度は、約10-8〜10-1モル/リットル(溶媒)、好ましくは10-7〜5×10-2モル/リットル(溶媒)の範囲である。
【0056】
(B-2) イオン化イオン性化合物を用いる場合、(A)遷移金属化合物と(B-2) イオン化イオン性化合物とのモル比〔(A)/(B-2) 〕は、通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5の範囲であり、(A)遷移金属化合物の濃度は、約10-8〜10-1モル/リットル(溶媒)、好ましくは10-7〜5×10-2モル/リットル(溶媒)の範囲である。
【0057】
また、必要に応じて用いられる(C)有機アルミニウム化合物中のアルミニウム原子(AlC)と(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子(AlB-1)との原子比(AlC/AlB-1)は、通常0.02〜20、好ましくは0.2〜10の範囲である。
【0058】
上記各触媒成分は、重合器中で混合してもよいし、予め混合したものを重合器に添加してもよい。
予め混合する際の混合温度は、通常−50〜150℃、好ましくは−20〜120℃であり、接触時間は1〜1000分間、好ましくは5〜600分間である。また、混合接触時には混合温度を変化させてもよい。
【0059】
オレフィン重合用触媒の調製に用いられる不活性炭化水素溶媒として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物などを挙げることができる。
【0060】
本発明に係るオレフィン重合用触媒としては、前記触媒以外に(A)遷移金属化合物、(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物、(B-2) イオン化イオン性化合物および(C)有機アルミニウム化合物のうち少なくとも1種の成分が微粒子状担体に担持されてなる担持型触媒を挙げることができる。
【0061】
このような触媒として具体的には、
微粒子状担体に、
(A)上記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、
(B)(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物および/または(B-2) イオン化イオン性化合物とが
担持されてなる固体状触媒、および
微粒子状担体に、
(A)上記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、
(B)(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物および/または(B-2) イオン化イオン性化合物とが
担持されてなる固体状触媒成分と、
(C)有機アルミニウム化合物と
からなる触媒が挙げられる。
【0062】
このような担持型触媒に用いられる微粒子状担体は、無機あるいは有機の化合物であって、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmの顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
【0063】
このうち無機担体としては、多孔質酸化物が好ましく、たとえばSiO2、Al2O3 などを例示することができる。
有機化合物の顆粒状ないしは微粒子状固体としては、エチレン、プロピレン、1-ブテンなどのα-オレフィン、もしくはスチレンを主成分として生成される重合体または共重合体を例示することができる。
【0064】
固体状触媒(成分)は、上記微粒子状担体、(A)遷移金属化合物および(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物(または(B-2) イオン化イオン性化合物)を不活性炭化水素溶媒中またはオレフィン媒体中で混合接触させることにより調製することができる。また各成分を混合接触させるに際して、さらに(C)有機アルミニウム化合物を添加することもできる。
【0065】
この際の混合順序は任意に選ばれるが、好ましくは
微粒子状担体と(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物(または(B-2) イオン化イオン性化合物)とを混合接触させ、次いで(A)遷移金属化合物を混合接触させるか、または
(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物(または(B-2) イオン化イオン性化合物)と(A)遷移金属化合物との混合物と、微粒子状担体とを混合接触させることが選ばれる。
【0066】
上記各成分を混合するに際して、(A)遷移金属化合物は、該(A)遷移金属化合物中の遷移金属原子に換算して微粒子状担体1gあたり、通常10-6〜5×10-3モル、好ましくは3×10-6〜10-3モルの量で用いられ、(A)遷移金属化合物の濃度は、該(A)遷移金属化合物中の遷移金属原子に換算して約5×10-6〜2×10-2モル/リットル(溶媒)、好ましくは10-5〜10-2モル/リットル(溶媒)の範囲である。(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニウムと、(A)遷移金属化合物中の遷移金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常10〜3000、好ましくは20〜2000である。(B-2) イオン化イオン性化合物を用いる場合、(A)遷移金属化合物と(B-2) イオン化イオン性化合物とのモル比〔(A)/(B-2) 〕は、通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5の範囲である。
【0067】
上記各成分を混合する際の混合温度は、通常−50〜150℃、好ましくは−20〜120℃であり、接触時間は1〜1000分間、好ましくは5〜600分間である。また、混合接触時には混合温度を変化させてもよい。
【0068】
前記固体状触媒(成分)を用いる場合には、(C)有機アルミニウム化合物を併用することが好ましい。(C)有機アルミニウム化合物は、(A)遷移金属化合物中の遷移金属原子1グラム原子当たり500モル以下、好ましくは5〜200モルの量で用いられることが望ましい。
【0069】
本発明に係るオレフィン重合用触媒としては、前記触媒以外にさらに、前記(A)遷移金属化合物と、(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物および/または(B-2) イオン化イオン性化合物との存在下、必要に応じて(C)有機アルミニウム化合物の共存下にオレフィンを予備重合させてなる予備重合触媒を挙げることができる。
【0070】
このような触媒としては、
微粒子状担体と、
(A)上記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、
(B)(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物および/または(B-2) 前記遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物と、
予備重合により生成するオレフィン重合体と
から形成される触媒、および、
微粒子状担体と、
(A)上記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、
(B)(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物および/または(B-2) 前記遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物と、
(C)有機アルミニウム化合物と、
予備重合により生成するオレフィン重合体と
から形成される触媒などが挙げられる。
【0071】
このような予備重合触媒は、微粒子状担体、(A)遷移金属化合物、(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物(または(B-2) イオン化イオン性化合物)および所望により(C)有機アルミニウム化合物の存在下に少量のオレフィンを予備重合させることにより調製することができるが、上記の固体状触媒(成分)に、少量のオレフィンを予備重合することにより調製することが望ましい。この場合、固体状触媒(成分)とともに、(C)有機アルミニウム化合物を用いることもできる。
【0072】
予備重合に際しては、固体状触媒(成分)は、該固体状触媒(成分)に含まれる(A)遷移金属化合物中の遷移金属に換算して、通常10-5〜2×10-2モル/リットル(溶媒)、好ましくは5×10-5〜10-2モル/リットル(溶媒)の量で用いられ、予備重合温度は−20〜80℃、好ましくは0〜50℃であり、予備重合時間は0.5〜100時間、好ましくは1〜50時間程度である。
【0073】
予備重合に用いられるオレフィンとしては、重合に用いられるオレフィンの中から選ばれるが、好ましくは重合に用いられるものと同じモノマーまたは重合に用いられるものと同じモノマーとα−オレフィンの混合物である。
【0074】
上記のようにして得られたオレフィン重合用触媒は、微粒子状担体1g当たり約10-6〜10-3グラム原子、好ましくは2×10-6〜3×10-4グラム原子の遷移金属原子が担持され、約10-3〜10-1グラム原子、好ましくは2×10-3〜5×10-2グラム原子のアルミニウム原子が担持されていることが望ましい。また(B-2) イオン化イオン性化合物は、(B-2) イオン化イオン性化合物中のホウ素原子として10-7〜0.1グラム原子、好ましくは2×10-7〜3×10-2グラム原子の量で担持されていることが望ましい。
【0075】
さらに予備重合によって生成する重合体量は、微粒子状担体1g当たり約0.1〜500g、好ましくは0.3〜300g、特に好ましくは1〜100gの範囲であることが望ましい。
【0076】
前記予備重合触媒(成分)を用いる場合には、(C)有機アルミニウム化合物を併用することが好ましい。(C)有機アルミニウム化合物は、(A)遷移金属化合物中の遷移金属原子1グラム原子あたり500モル以下、好ましくは5〜200モルの量で用いることが望ましい。
【0077】
なお、オレフィン重合用触媒は、上記のような各成分以外にもオレフィン重合に有用な他の成分を含むことができる。
このようなオレフィン重合用触媒は、重合活性が高く、得られるポリオレフィンは、分子量分布および組成分布が狭く、分子量が高い。
【0078】
また炭素原子数が3以上のオレフィンを重合した場合に立体規則性に優れたポリオレフィンが得られる。
次に、オレフィンの重合方法について説明する。
【0079】
上記のオレフィン重合用触媒の存在下におけるオレフィンの重合は、懸濁重合などの液相重合法あるいは気相重合法いずれにおいても実施できる。
液相重合法では上述した触媒調製の際に用いた不活性炭化水素溶媒と同じものを用いることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
【0080】
上記オレフィン重合用触媒を用いてオレフィンの重合を行うに際して上記のような触媒は、重合系内の(A)遷移金属化合物中の遷移金属原子の濃度として、通常10-8〜10-3グラム原子/リットル(溶媒)、好ましくは10-7〜10-4グラム原子/リットル(溶媒)の量で用いられることが望ましい。
【0081】
担持型触媒または予備重合触媒を用いる場合には、所望により担体に担持されていないアルミノキサン(有機アルミニウムオキシ化合物)を反応のいずれの段階においても用いることができる。
【0082】
オレフィンの重合温度は、スラリー重合法を実施する際には、通常−100〜100℃、好ましくは−50〜90℃の範囲であることが望ましく、液相重合法を実施する際には、通常−100〜250℃、好ましくは−50〜200℃の範囲であることが望ましい。また、気相重合法を実施する際には、重合温度は通常−47〜120℃、好ましくは−40〜100℃の範囲であることが望ましい。
重合圧力は、通常、常圧〜100kg/cm2 、好ましくは常圧〜50kg/cm2 の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
【0083】
得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、あるいは重合温度を変化させることによって調節することができる。
上記オレフィン重合用触媒により重合することができるオレフィンとしては、炭素原子数が2〜20のα−オレフィン、たとえばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン;炭素原子数が3〜20の環状オレフィン、たとえばシクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2-メチル1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレンなどを挙げることができる。さらにスチレン、ビニルシクロヘキサン、ジエンなどを用いることもできる。
【0084】
上記オレフィン重合用触媒は、プロピレンの単独重合、またはプロピレンと、エチレンおよび炭素原子数が4〜20α−オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとの共重合に特に好適に用いられる。
【0085】
【発明の効果】
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、高活性であり、分子量分布および組成分布が狭く、かつ分子量が高いポリオレフィンを製造することができる。また炭素原子数が3以上のオレフィンを重合して得られるポリオレフィンは、立体規則性が高く、耐熱性や剛性に優れる。
【0086】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0087】
なお、本実施例において、極限粘度[η]は、135℃デカリン中で測定し、dl/gで示した。
【0088】
【合成例1】
ジメチルシランジイル( 2- エチル -4- ( 9- フェナントリル)インデニル)( 2- メチル -4- ( 9- フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロライド(メタロセンA)の合成
[(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジメチルシランの合成]
30mlシュレンクに2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデン1.0g(3.13ミリモル)、無水エーテル20mlを加え、窒素雰囲気で氷バスで冷却しながら1.64M濃度のn-ブチルリチウムのヘキサン溶液2.1ml(3.44ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、氷バスを外し室温に昇温し、さらに18時間反応させ、黄色の反応スラリーを得た。次にこの反応混合物を氷冷したジメチルジクロロシラン3.79ml(31.3ミリモル)を含む無水エーテル溶液20mlにゆっくり滴下した。滴下終了後同温でさらに5時間反応させた。反応混合物をG4フィルターで濾過した後、得られた濾液を減圧下で濃縮し未反応のジメチルジクロロシランと溶媒を留去した。 得られた乾固物にCuSCN、40mg(0.31ミリモル)および無水エーテル20mlを加えた後、氷バスで冷却しながら、予め調製した2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデン0.96g(3.13ミリモル)、無水エーテル19mlに1.64M濃度のn-ブチルリチウムのヘキサン溶液2.1ml(3.44ミリモル)を上記と同様の方法で反応させた黄色スラリーをゆっくり滴下した。滴下終了後、氷バスを外し室温に昇温し、さらに8時間反応させた。
【0089】
反応混合物をセライトで濾過し、濾液を飽和重曹水、飽和食塩水の順に洗浄し、有機相を無水Na2SO4 で乾燥した。溶媒を減圧下で留去することにより、発泡性のある黄橙色粉末の目的物を2.22g得た。 得られた粗生成物はこれ以上精製を加えず、次の反応に用いた。得られた生成物の物性を下記に示す。
【0090】
[ジメチルシランジイル(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロライドの合成]
30mlシュレンクに(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジメチルシラン1.0g(1.41ミリモル)と無水エーテル15mlを加え、窒素雰囲気で氷バスで冷却しながら1.64M濃度のn-ブチルリチウムのヘキサン溶液1.83ml(3.0ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下後、氷バスを外し室温に戻し、さらに8.5時間反応させた。得られた赤橙色の反応混合物を氷バスで冷却し、ZrCl4 、0.34g(1.47ミリモル)の粉末を徐々に添加した。添加終了後、氷バスを外し室温に戻し、さらに15時間反応させた。得られた橙黄色の反応スラリーを濾過し、濾物を無水エーテル4mlで洗浄後、さらに塩化メチレンとエーテルの1:1混合液で数回洗浄を繰り返した。次に濾物に塩化メチレン10mlを加えた後、不溶物を濾過し、濾液を濃縮乾固した。乾固物に無水エーテル2mlと塩化メチレン0.5mlを加えてリスラリー後、乾燥し、下記式で示される目的物を黄橙色粉末として25mg得た(収率2%)。
【0091】
【化8】
【0092】
得られた生成物の物性を下記に示す。
【0093】
【合成例2】
ジメチルシランジイル( 2- メチル -4- ( 9- フェナントリル)インデニル)( 2- プロピル -4- ( 9- フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロライド(メタロセンB)の合成
[(2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジメチルシランの合成]
50mlシュレンクに2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデン1.39g(4.54ミリモル)、無水エーテル28mlを加え、窒素雰囲気で氷バスで冷却しながら1.62M濃度のn-ブチルリチウムのヘキサン溶液3.1ml(4.99ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、氷バスを外し室温に昇温し、さらに18時間反応させ、黄色の反応スラリーを得た。次にこの反応混合物を氷冷したジメチルジクロロシラン5.5ml(45.4ミリモル)を含む無水エーテル溶液28mlにゆっくり滴下した。滴下終了後同温でさらに6時間反応させた。反応混合物をG4フィルターで濾過した後、得られた濾液を減圧下で濃縮し未反応のジメチルジクロロシランと溶媒を留去した。 得られた乾固物にCuSCN、60mg(0.45ミリモル)および無水エーテル20mlを加えた後、氷バスで冷却しながら、予め調製した2-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデン1.52g(4.54ミリモル)、無水エーテル30.3mlに1.62M濃度のn-ブチルリチウムのヘキサン溶液3.1ml(4.99ミリモル)を上記と同様の方法で反応させた黄色スラリーをゆっくり滴下した。滴下終了後、氷バスを外し室温に昇温し、さらに7時間反応させた。反応混合物をセライトで濾過し、濾液を飽和NH4Cl水、飽和食塩水の順に洗浄し、有機相を無水Na2SO4 で乾燥した。溶媒を減圧下で留去することにより、発泡性のある薄茶色粉末の目的物3.31gを得た。 この粗生成物はこれ以上の精製を行わず次の反応に使用した。得られた生成物の物性を下記に示す。
【0094】
[ジメチルシランジイル(2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロライドの合成]
50mlシュレンクに(2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジメチルシラン2.0g(2.87ミリモル)と無水エーテル30mlを加え、窒素雰囲気で氷バスで冷却しながら1.62M濃度のn-ブチルリチウムのヘキサン溶液3.64ml(5.89ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下後、氷バスを外し室温に戻し、さらに17時間反応させた。得られた暗赤色の反応混合物を氷バスで冷却し、ZrCl4 、0.67g(2.87ミリモル)の粉末を徐々に添加した。添加終了後、氷バスを外し室温に戻し、さらに24時間反応させた。得られた黄色の反応スラリーを濾過し、濾物を無水エーテル10mlで2回洗浄後、塩化メチレンとエーテルの3:2混合液10mlで4回洗浄を繰り返した。さらに塩化メチレン20mlで洗浄した。次に濾物に塩化メチレン200mlを加えた後、不溶物を濾過した。得られた濾液を濃縮乾固し、無水エーテル10mlと塩化メチレン20mlを加えてリスラリー後、乾燥し、下記式で示される目的物を黄色粉末として0.21g得た(収率8.5%)。得られた生成物の物性を下記に示す。
【0095】
【化9】
【0096】
【0097】
【合成例3】
ジメチルシランジイル( 2- エチル -4- ( 9- フェナントリル)インデニル)( 2- プロピル -4- ( 9- フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロライド(メタロセンC)の合成
[(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジメチルシランの合成]
100mlシュレンクに2-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデン2.0g(5.99ミリモル)、無水エーテル40mlを加え、窒素雰囲気で氷バスで冷却しながら1.67M濃度のn-ブチルリチウムのヘキサン溶液3.94ml(6.59ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、氷バスを外し室温に昇温し、さらに18時間反応させ、黄色の反応スラリーを得た。次にこの反応混合物を氷冷したジメチルジクロロシラン7.26ml(59.9ミリモル)を含む無水エーテル溶液40mlにゆっくり滴下した。滴下終了後同温でさらに5時間反応させた。反応混合物をG4フィルターで濾過した後、得られた濾液を減圧下で濃縮し未反応のジメチルジクロロシランと溶媒を留去した。 得られた乾固物にCuSCN、77mg(0.60ミリモル)および無水エーテル30mlを加えた後、氷バスで冷却しながら、予め調製した2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデン1.92g(5.99ミリモル)、無水エーテル19mlに1.64M濃度のn-ブチルリチウムのヘキサン溶液3.94ml(6.59ミリモル)を上記と同様の方法で反応させた黄色スラリーをゆっくり滴下した。滴下終了後、氷バスを外し室温に昇温し、さらに20時間反応させた。反応混合物をセライトで濾過し、濾液を飽和重曹水、飽和食塩水の順に洗浄し、有機相を無水Na2SO4 で乾燥した。溶媒を減圧下で留去することにより、発泡性のある淡黄橙色固形物4.64gを得た。次にエタノールを加えてリスラリー後、乾燥しうすいベージュ色粉末の目的物を4.03g得た(収率95%)。得られた生成物の物性を下記に示す。
【0098】
[ジメチルシランジイル(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロライドの合成]
30mlシュレンクに(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジメチルシラン1.0g(1.41ミリモル)と無水エーテル15mlを加え、窒素雰囲気で氷バスで冷却しながら1.67M濃度のn-ブチルリチウムのヘキサン溶液1.73ml(2.89ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下後、氷バスを外し室温に戻し、さらに6.5時間反応させた。得られた赤色の反応液を氷バスで冷却し、ZrCl4 、0.31g(1.34ミリモル)の粉末を徐々に添加した。添加終了後、氷バスを外し室温に戻し、さらに18時間反応させた。得られた橙色の反応スラリーを濾過し、濾物を無水エーテル2mlで3回洗浄後、さらに塩化メチレンとエーテルの2:1混合液3mlで数回洗浄を繰り返した。次に濾物に塩化メチレン25mlを加えた後、不溶物を濾過し、濾液を濃縮乾固した。乾固物に無水エーテル4mlと塩化メチレン1mlを加えてリスラリー後、乾燥し、下記式で示される目的物を黄橙色粉末として82mg得た(収率7%)。得られた生成物の物性を下記に示す。
【0099】
【化10】
【0100】
【0101】
【実施例1】
充分に窒素置換した内容積1リットルのガラスフラスコに精製したトルエン400mlを入れ、プロピレンを100リットル/hrで流通させながら50℃で15分間保った。次いでトリイソブチルアルミニウムを0.36ミリモルを加え、攪拌しながらメチルアルミノキサン(シェリング社製メチルアルミノキサンを乾固し、トルエンに再溶解したもの)をアルミニウム原子換算で0.7ミリグラム原子と、合成例1で得られたジメチルシランジイル(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロライドをジルコニウム原子換算で0.002ミリグラム原子とを室温で予めよく混合しておいた溶液をフラスコに加え、重合を開始した。50℃にて6分間重合を行った後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合懸濁液を3リットルのメタノールに加えて充分に攪拌し、グラスフィルターで濾過した。ポリマーを大量のメタノールで洗浄し、80℃で10hr減圧乾燥した。得られたポリマーは4.16gであり、重合活性は20.8kg/mmol−Zr・hrに相当する。極限粘度[η]は4.74dl/g、融点は159.1℃であった。
【0102】
【実施例2】
充分に窒素置換した内容積1リットルのガラスフラスコに精製したトルエン400mlを入れ、プロピレンを100リットル/hrで流通させながら50℃で15分間保った。次いでトリイソブチルアルミニウムを0.36ミリモルを加え、攪拌しながら合成例1で得られたジメチルシランジイル(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロライドをジルコニウム原子換算で0.002ミリグラム原子加えた。さらにトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.004ミリモルを加え、重合を開始した。50℃にて6分間重合を行った後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合懸濁液を3リットルのメタノールに加えて充分に攪拌し、グラスフィルターで濾過した。ポリマーを大量のメタノールで洗浄し、80℃で10hr減圧乾燥した。得られたポリマーは7.89gであり、重合活性は39.5kg/mmol−Zr・hrに相当する。極限粘度[η]は3.50dl/g、融点は160.7℃であった。
【0103】
【実施例3】
充分に窒素置換した内容積1リットルのガラスフラスコに精製したトルエン400mlを入れ、プロピレンを100リットル/hrで流通させながら50℃で15分間保った。次いでトリイソブチルアルミニウムを2.00ミリモルを加え、攪拌しながら合成例1で得られたジメチルシランジイル(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロライドをジルコニウム原子換算で0.002ミリグラム原子加えた。さらにN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.002ミリモルを加え、重合を開始した。50℃にて15分間重合を行った後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合懸濁液を少量の塩酸を加えた3リットルのメタノールに加えて充分に攪拌し、グラスフィルターで濾過した。ポリマーを大量のメタノールで洗浄し、80℃で10hr減圧乾燥した。得られたポリマーは4.68gであり、重合活性は9.4kg/mmol−Zr・hrに相当する。極限粘度[η]は4.65dl/g、融点は159.6℃であった。
【0104】
【実施例4】
充分に窒素置換した内容積1リットルのガラスフラスコに精製したトルエン400mlを入れ、エチレンを100リットル/hrで流通させながら75℃で15分間保った。次いでメチルアルミノキサン(シェリング社製メチルアルミノキサンを乾固し、トルエンに再溶解したもの)をアルミニウム原子換算で0.52ミリグラム原子と、合成例1で得られたジメチルシランジイル(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロライドをジルコニウム原子換算で0.0008ミリグラム原子とを室温で予めよく混合しておいた溶液をフラスコに加え、重合を開始した。75℃にて4分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合懸濁液を3リットルのメタノールに加えて充分に攪拌し、グラスフィルターで濾過した。ポリマーを大量のメタノールで洗浄し、80℃で10hr減圧乾燥した。得られたポリマーは3.11gであり、重合活性は58.3kg/mmol−Zr・hrに相当する。極限粘度[η]は8.44dl/gであった。
【0105】
【実施例5】
充分に窒素置換した内容積1リットルのガラスフラスコに精製したトルエン400mlを入れ、プロピレンを100リットル/hrで流通させながら50℃で15分間保った。次いでトリイソブチルアルミニウムを0.36ミリモルを加え、攪拌しながらメチルアルミノキサン(シェリング社製メチルアルミノキサンを乾固し、トルエンに再溶解したもの)をアルミニウム原子換算で0.7ミリグラム原子と、合成例2で得られたジメチルシランジイル(2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロライドをジルコニウム原子換算で0.002ミリグラム原子とを室温で予めよく混合しておいた溶液をフラスコに加え、重合を開始した。50℃にて6分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合懸濁液を3リットルのメタノールに加えて充分に攪拌し、グラスフィルターで濾過した。ポリマーを大量のメタノールで洗浄し、80℃で10hr減圧乾燥した。得られたポリマーは5.47gであり、重合活性は27.4kg/mmol−Zr・hrに相当する。極限粘度[η]は4.00dl/g、融点は159.1℃であった。
【0106】
【実施例6】
充分に窒素置換した内容積1リットルのガラスフラスコに精製したトルエン400mlを入れ、プロピレンを100リットル/hrで流通させながら50℃で15分間保った。次いでトリイソブチルアルミニウムを0.144ミリモルを加え、攪拌しながら合成例2で得られたジメチルシランジイル(2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロライドをジルコニウム原子換算で0.0008ミリグラム原子加えた。さらにトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.0016ミリモルを加え、重合を開始した。50℃にて6分間重合を行った後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合懸濁液を3リットルのメタノールに加えて充分に攪拌し、グラスフィルターで濾過した。ポリマーを大量のメタノールで洗浄し、80℃で10hr減圧乾燥した。得られたポリマーは5.57gであり、重合活性は69.6kg/mmol−Zr・hrに相当する。極限粘度[η]は4.11dl/g、融点は159.0℃であった。
【0107】
【実施例7】
充分に窒素置換した内容積1リットルのガラスフラスコに精製したトルエン400mlを入れ、プロピレンを100リットル/hrで流通させながら50℃で15分間保った。次いでトリイソブチルアルミニウムを2.00ミリモルを加え、攪拌しながら合成例2で得られたジメチルシランジイル(2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロライドをジルコニウム原子換算で0.002ミリグラム原子を加えた。さらにN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.002ミリモルを加え、重合を開始した。50℃にて10分間重合を行った後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合懸濁液を少量の塩酸を加えた3リットルのメタノールに加えて充分に攪拌し、グラスフィルターで濾過した。ポリマーを大量のメタノールで洗浄し、80℃で10hr減圧乾燥した。得られたポリマーは2.29gであり、重合活性は6.9kg/mmol−Zr・hrに相当する。極限粘度[η]は4.59dl/g、融点は158.9℃であった。
【0108】
【実施例8】
充分に窒素置換した内容積1リットルのガラスフラスコに精製したトルエン400mlを入れ、エチレンを100リットル/hrで流通させながら75℃で15分間保った。次いでメチルアルミノキサン(シェリング社製メチルアルミノキサンを乾固し、トルエンに再溶解したもの)をアルミニウム原子換算で0.52ミリグラム原子と、合成例2で得られたジメチルシランジイル(2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロライドをジルコニウム原子換算で0.0008ミリグラム原子とを室温で予めよく混合しておいた溶液をフラスコに加え、重合を開始した。75℃にて3分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合懸濁液を3リットルのメタノールに加えて充分に攪拌し、グラスフィルターで濾過した。ポリマーを大量のメタノールで洗浄し、80℃で10hr減圧乾燥した。得られたポリマーは3.70gであり、重合活性は92.5kg/mmol−Zr・hrに相当する。極限粘度[η]は8.36dl/gであった。
【0109】
【実施例9】
充分に窒素置換した内容積1リットルのガラスフラスコに精製したトルエン400mlを入れ、プロピレンを100リットル/hrで流通させながら50℃で15分間保った。次いでトリイソブチルアルミニウムを0.36ミリモルを加え、攪拌しながらメチルアルミノキサン(シェリング社製メチルアルミノキサンを乾固し、トルエンに再溶解したもの)をアルミニウム原子換算で0.7ミリグラム原子と、合成例3で得られたジメチルシランジイル(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロライドをジルコニウム原子換算で0.002ミリグラム原子とを室温で予めよく混合しておいた溶液をフラスコに加え、重合を開始した。50℃にて6分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合懸濁液を3リットルのメタノールに加えて充分に攪拌し、グラスフィルターで濾過した。ポリマーを大量のメタノールで洗浄し、80℃で10hr減圧乾燥した。得られたポリマーは6.85gであり、重合活性は34.3kg/mmol−Zr・hrに相当する。極限粘度[η]は3.15dl/g、融点は160.1℃であった。
【0110】
【実施例10】
充分に窒素置換した内容積1リットルのガラスフラスコに精製したトルエン400mlを入れ、プロピレンを100リットル/hrで流通させながら50℃で15分間保った。次いでトリイソブチルアルミニウムを0.36ミリモルを加え、攪拌しながら合成例3で得られたジメチルシランジイル(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロライドをジルコニウム原子換算で0.002ミリグラム原子加えた。さらにトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.004ミリモルを加え、重合を開始した。50℃にて6分間重合を行った後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合懸濁液を3リットルのメタノールに加えて充分に攪拌し、グラスフィルターで濾過した。ポリマーを大量のメタノールで洗浄し、80℃で10hr減圧乾燥した。得られたポリマーは12.64gであり、重合活性は63.2kg/mmol−Zr・hrに相当する。極限粘度[η]は2.80dl/g、融点は160.2℃であった。
【0111】
【実施例11】
充分に窒素置換した内容積1リットルのガラスフラスコに精製したトルエン400mlを入れ、プロピレンを100リットル/hrで流通させながら50℃で15分間保った。次いでトリイソブチルアルミニウムを2.00ミリモルを加え、攪拌しながら合成例3で得られたジメチルシランジイル(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロライドをジルコニウム原子換算で0.002ミリグラム原子を加えた。さらにN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.002ミリモルを加え、重合を開始した。50℃にて10分間重合を行った後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合懸濁液を少量の塩酸を加えた3リットルのメタノールに加えて充分に攪拌し、グラスフィルターで濾過した。ポリマーを大量のメタノールで洗浄し、80℃で10hr減圧乾燥した。得られたポリマーは4.56gであり、重合活性は13.7kg/mmol−Zr・hrに相当する。極限粘度[η]は3.70dl/g、融点は159.8℃であった。
【0112】
【実施例12】
充分に窒素置換した内容積1リットルのガラスフラスコに精製したトルエン400mlを入れ、エチレンを100リットル/hrで流通させながら75℃で15分間保った。次いでメチルアルミノキサン(シェリング社製メチルアルミノキサンを乾固し、トルエンに再溶解したもの)をアルミニウム原子換算で1.30ミリグラム原子と、合成例3で得られたジメチルシランジイル(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)(2-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロライドをジルコニウム原子換算で0.002ミリグラム原子とを室温で予めよく混合しておいた溶液をフラスコに加え、重合を開始した。75℃にて4分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合懸濁液を3リットルのメタノールに加えて充分に攪拌し、グラスフィルターで濾過した。ポリマーを大量のメタノールで洗浄し、80℃で10hr減圧乾燥した。得られたポリマーは4.63gであり、重合活性は34.7kg/mmol−Zr・hrに相当する。極限粘度[η]は7.76dl/gであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るオレフィン重合触媒の調製工程を示す説明図である。
Claims (2)
- (A)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、
(B)(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物、および/または
(B-2) 前記遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物と
からなることを特徴とするオレフィン重合用触媒;
R1 およびR2 は、互いに異なる炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、
R3 およびR4 は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が10〜16のアリール基を示し、このアリール基は、炭素原子数が1〜20の炭化水素基で置換されていてもよく、
R5 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、
X1 およびX2 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素原子数が1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数が1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2 −、−NR6 −、−P(R6 )−、−P(O)(R6 )−、−BR6 −または−AlR6 −[ただし、R6 は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す。) - 請求項1に記載のオレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを重合または共重合することを特徴とするオレフィンの重合方法。
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