JP3704023B2 - プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプラズマ生成手段を備えたプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関し、特に半導体デバイスや液晶表示素子の微細パターン形成、及び大口径基板に均一に処理するのに好適なプラズマエッチング、微細構造薄膜の形成に好適なプラズマCVD、プラズマ重合などのプラズマ処理装置、プラズマ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマを用いた半導体素子、液晶表示素子を処理するプラズマ処理装置では処理性能を左右する活性種、処理基板に入射するイオンのエネルギ、イオンの方向性、プラズマ処理の均一性の制御、処理により半導体素子に電気的特性の変化が出ないことが必要である。
【0003】
活性種の発生制御に関しては特開平8−195379号公報には容量結合性と誘導結合性が混在したプラズマを発生させることにより、活性種発生制御性に優れたプラズマ処理を実現することが述べられている。
【0004】
イオンエネルギ制御、イオンの方向性に関しては特開昭60−158629号公報に開示されている電子サイクロトロン共鳴放電と基板支持電極に高周波バイアスを印加する方式、特開平5−206072号公報に開示されている誘導RF結合放電と基板支持電極に高周波バイアスを印加する方式により、低い圧力での高密度プラズマ発生によるイオンの方向性向上と、高周波バイアスを印加することによるイオンエネルギ制御が実現されている。
【0005】
均一性制御に関しては、特開平8−195379号公報には容量結合性と誘導結合性が混在したプラズマを発生させることにより、プラズマの密度分布制御性の優れたプラズマ処理を実現することが述べられている。
【0006】
また、プラズマ処理の均一性制御に関して、高周波電力を印加する電極を複数に分割し、各電極に印加する電力を独立に制御し、均一性の向上を図る方法が特開昭61−283127号公報に開示されている。
【0007】
また、特開平11−260596号公報に電磁波の放射分布を制御してプラズマ密度分布を制御することが述べられている。
【0008】
半導体素子基板を、プラズマを用いて処理するときの問題はプラズマ処理中の電気的な影響により半導体素子の電気的特性が変化することである。特開2000−3903公報には、プラズマ処理による電気的特性への影響を低減する方法が記されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
半導体素子、液晶表示素子の生産に必要な処理特性を満足するには、イオンエネルギ制御だけでは不十分である。処理特性に大きく影響するのが活性種であり、その一般的な制御方法は、プラズマを発生する高周波電力、処理室内の圧力等の処理条件を変える方法である。
【0010】
しかし、処理条件による活性種制御には限界があり、先の従来例にあげた電子サイクロトロン共鳴方式、誘導RF結合方式、最も一般的な平行平板電極方式等のように、放電方式が異なると、その処理性能の差は処理条件を変えるだけではカバーできない。
【0011】
そのため、平行平板電極方式では実現できる処理性能が、電子サイクロトロン共鳴方式、誘導RF結合方式等では実現できない等の問題がある。
【0012】
電子サイクロトロン共鳴方式では共鳴により電子が効率よく加速されるために電子のエネルギレベルが高く、処理ガスの分解を押さえた条件での処理が難しい。誘導RF結合方式でもアンテナから放射された電磁波により局所的に高密度のプラズマが形成され、これが基板上に拡散するため、プラズマ発生部での電子のエネルギレベルは高く、処理ガスの分解を押さえた条件での処理が困難である。
【0013】
これに対し、平行平板方式では電極表面に形成されるシースとプラズマの界面で電子が加速され、そのエネルギレベルは低いため、処理ガスの分解を押さえた条件での処理には適している。
【0014】
このように放電方式によりプラズマ中電子の加速メカニズムが異なることが、処理条件により各方式の性能差をカバーできない要因である。
【0015】
もう一つの課題は、基板全体で均一に処理する問題である。処理基板は生産性向上のためにφ150mmからφ200mmと大口径化し、今後さらにφ300mmへと大口径化する方向にある。従来技術では処理条件を変えるなどして均一性を実現してきた。
【0016】
しかし、処理条件の変更は、先に説明したように、不十分ではあるが活性種制御の重要な1手段である。従って、最適なエッチング特性、成膜特性を実現する処理条件と、処理の均一性が両立できる均一性制御手段が必要である。
【0017】
前記特開平8−195379号公報や特開昭61−283127号公報に開示された従来技術は、プラズマ処理の均一性と活性種発生制御との相互独立、均一性制御と低圧力処理の両立等の点で十分とは言えない。また特開平11−260596号公報に記載のプラズマ密度分布を制御する方法はプラズマ分布制御範囲が十分ではない、などの問題がある。
【0018】
半導体素子基板を、プラズマを用いて処理する場合、プラズマ処理中の電気的な影響により半導体素子の電気的特性が変化する問題は、処理中の基板とプラズマ間のシースに発生するセルフバイアス電位の不均一に起因する。
【0019】
イオンのエネルギを制御するために基板支持電極には高周波電力を印加する。セルフバイアス電位不均一の主な要因は、この高周波電力印加による高周波電流分布が基板上で不均一になることによる。
【0020】
前記特開2000−3903公報に開示されたセルフバイアス電位を制御する方法は、セルフバイアス電位の分布を制御することはできず、電気特性変化を低減するには、十分ではない。
【0021】
また、半導体素子の高集積化、生産用基板の大口径化に伴い下地材料との選択比、加工形状の高性能化、大口径基板の均一処理、さらに素子特性への影響低減など、従来技術よりさらに制御性に優れた技術が必要になってきている。
【0022】
プラズマ処理の均一性に関しては、処理基板の大口径化に伴い、エッチング処理やCVD処理で処理用ガスが基板中心部から外周部に流れることにより、活性種濃度分布、堆積膜の分布が顕在化し、大口径基板全面で均一な処理をすることが困難になってきている。
【0023】
そのため、これらの問題を解決するには、このような分布の均一化が不可能な要因を別のエッチング特性制御要因により打ち消すことが必要である。そのための一つの制御要因として、プラズマ発生電力や圧力などの処理条件とは独立に、プラズマの分布を凹凸に調整できることが必要である。
【0024】
活性種はプラズマ中での処理ガスと電子の衝突により生成され、プラズマによるエッチング処理、CVD処理などにおける選択比、加工形状、膜質などの処理特性を大きく左右する要因の1つである。この活性種の発生量、種類は、プラズマ中の電子のエネルギ状態により決まる。
【0025】
また、プラズマ処理による半導体素子への影響に対してはセルフバイアス電位分布を制御するために、基板を通って流れる高周波電流分布を制御することが必要である。
【0026】
本発明の目的の一つは、電子エネルギ状態の制御範囲が広く、処理条件、均一性制御とは独立に活性種発生制御できるプラズマ処理装置、処理方法を実現することにある。
【0027】
本発明の他の目的は、プラズマの均一性を活性種制御、イオンエネルギ制御、低圧高密度プラズマの発生によるイオンの方向性向上と両立し、さらにプラズマ発生電力、圧力等の処理条件とは独立に制御できる均一性制御手段を有するプラズマ処理装置、処理方法を実現することにある。
【0028】
本発明の他の目的はプラズマの均一性、活性種制御、イオンエネルギ制御性、イオンの方向性向上と両立して、基板を通り流れる高周波電流分布を制御できる手段を有するプラズマ処理装置、処理方法を実現することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では以下のように構成される。
【0030】
(1) プラズマ処理ガス供給手段と、プラズマ処理室内排気手段と、プラズマ発生手段と、発生したプラズマによりプラズマ処理する手段と、を有するプラズマ処理装置において、上記プラズマ発生手段は、変位電流による電磁波放射手段と磁場形成手段とを備える。上記電磁波放射手段は、高周波電圧を印加する上記容量結合放電手段の電極を、それぞれ絶縁された複数の導体より形成し、各導体間に流れる高周波変位電流を制御する手段を有する。
【0031】
(2) プラズマ処理ガス供給手段と、プラズマ処理室内排気手段と、プラズマ発生手段と、ステージに載置した処理基板に入射するイオンのエネルギを制御する、高周波電力を印加する手段を有するプラズマ処理装置において、上記高周波電力による高周波電流がプラズマを介して流れる対向電極が複数の絶縁された導体から構成され、これら導体と接地間のインピーダンスを可変にする手段とを備える。
【0032】
(3) プラズマ処理ガス供給手段と、プラズマ処理室内排気手段と、プラズマ発生手段と、ステージに載置した処理基板に入射するイオンのエネルギを制御する、高周波電力を印加する手段を有するプラズマ処理装置において、上記高周波電力を印加するステージと、高周波電力印加による高周波電流がプラズマを介して流れる対向電極を接地に対し浮遊状態にする手段とを備える。
【0033】
(4) 均一性に関しては、放射する電磁波電力の分布を制御すること、および高周波電力を印加する複数の導体間から容量結合でプラズマに供給される高周波電力を制御することでプラズマの分布を制御する。
【0034】
電磁波の電界からプラズマ中の電子にエネルギが与えられるメカニズムには電磁波の電力を高め、電磁波の電界で直接加速する方法(誘導RF結合)、磁場を印加し、磁場により電子が回転する運動方向と電磁波の電界方向を合わせることで電子を加速する方法(電子サイクロトロン共鳴)がある。
【0035】
磁場が無い条件では前者のメカニズムによりエネルギが供給され、磁場を印加する条件では、電磁波がプラズマ中を進行しやすくなり、後者のメカニズムでエネルギが供給される。
【0036】
磁場を印加する条件では、磁場により電子が回転する周波数と電磁波の周波数が合った条件(電子サイクロトロン共鳴条件)で電子の運動方向と電磁波の電界方向が一致するため、電子はガス分子と衝突するまで加速され、高いエネルギ状態になる。磁場条件が電子サイクロトロン共鳴条件からずれると、電子の運動方向と電磁波の電界方向は次第にずれ、電子は加速減速を繰り返す。
【0037】
磁場条件が電子サイクロトロン共鳴条件からずれるに従い、電子の達する最大エネルギは小さくなり、電子のエネルギ状態は電子サイクロトロン共鳴条件より低くなる。
【0038】
このように磁場条件を制御することで電子のエネルギ状態を自在に制御でき、処理ガスの分解により発生する活性種の発生量、種類の制御ができる。
【0039】
共鳴条件からのずれと、電子の達する最大エネルギの関係は、磁場条件が共鳴条件からずれた割合に対する、電子の最大エネルギの低下割合は電磁波の周波数に比例して増大する。通常用いられる2.45GHz条件では電子サイクロトロン条件からのずれによる電子のエネルギ低下は急激であり、実用的な制御は困難である。実用的に制御できる周波数範囲は200MHzから10MHzである。
【0040】
なお、数十MHzから300MHzの周波数での電子サイクロトロン共鳴に関してはOda,Noda,and Matsumura(東工大):Generation of Electron Cyclotron Resonance Plasma in the VHF Band:JJAP Vol.28,No 10,Octobeer,1989,pp.1860-1862、特開平6−318565号公報に開示されているが、電子エネルギ状態と磁場強度の関係については述べられていない。
【0041】
電磁波を放射する手段として、絶縁された導体間に変位電流を流し、この変位電流により電磁波を放射するようにした。導体間に、導体間に形成される容量も含めて、印加する高周波の周波数と同じ共振周波数をもつ共振回路を形成し、共振条件を制御することで変位電流を制御し、放射電磁波の電力を制御できる。
【0042】
無磁場条件では、電磁波はプラズマ中にほとんど進行しない。この無磁場条件で、共振条件に近い条件に設定し、放射電磁波の電力を高めることで、電磁波が放射された近傍で、電磁波からプラズマ中の電子にエネルギが供給される。このような条件では、電子のエネルギは電磁波が放射された近傍で部分的に高くなり、処理ガスの分解が進み、低解離状態に制御することは難し。
【0043】
磁場を印加した条件では、電磁波がプラズマ中に進行しやすくなり、電磁波からプラズマ中電子へのエネルギ供給は、プラズマ発生空間全体で行われるようになり、電子エネルギ状態の分布は均一になる。また、電子のエネルギレベルも低くなり、低解離状態に制御することができる。
【0044】
無磁場条件のように、電磁波放射部分の近傍でエネルギが供給される場合、この部分に高密度のプラズマが形成され、ここからの拡散によりプラズマが処理基板に到達する。従って、このようなメカニズムでは圧力により拡散が変化し、処理基板上のプラズマ密度や、プラズマ分布は圧力の影響を受ける。
【0045】
これに対し、磁場を印加し、プラズマ発生空間全体でエネルギ供給が行われる場合、プラズマの拡散による影響を受けないため、圧力等の処理条件がプラズマの分布に影響しにくい。このような条件は、処理条件とプラズマ分布とを独立に制御するための必要条件である。
【0046】
均一性を制御する手段として、本発明では変位電流により電磁波を放射する部分を複数設け、それらのうちの少なくとも1つの電磁波放射量を制御できるようにした。制御方法は先に説明した、共振条件を制御する方法による。電磁波を放射する部分をリング状に2重に設ければ、それぞれの放射電磁波を制御することで、プラズマ分布を凹凸に制御できる。
【0047】
さらに、磁場を印加した条件ではプラズマ発生空間全体でプラズマが発生するため、処理条件によりプラズマ分布が変化することが少なく、共振条件の制御によるプラズマの分布制御を処理条件とは独立に行うことができる。また、活性種の発生量、種類も磁場によりこれら均一性制御、処理条件とは独立に制御できる。
【0048】
電磁波を放射する導体部分をプラズマに接近して設ければ、容量結合によりプラズマに対し電力を供給することができる。従って、本発明では、磁場を印加せず、共振回路の電流を小さくした条件では平行平板電極方式と同じ容量結合で放電をさせることができ、共振回路の電流を増加させることで電磁波放射による誘導結合放電が発生し、磁場を印加することで電子サイクロトロン共鳴条件での放電を発生させることができる。
【0049】
容量結合放電、誘導結合放電、電子サイクロトロン放電はそれぞれ電子のエネルギ状況が異なり、処理ガスの分解状況も異なる。本発明は先に述べた磁場による活性種制御の他に、放電方式を制御することで活性種制御をすることもできる。
【0050】
ステージに載置した処理基板に入射するイオンの、イオンエネルギは高周波電力の印加により制御する。この高周波電力による高周波電流は、プラズマを介して対向電極に流れる。
【0051】
プラズマ処理中の電気的な影響により半導体素子の電気的特性が変化する問題に関しては、この対向電極を複数の絶縁された導体から構成し、これら導体と接地間のインピーダンスを適正化して、ステージに載置した処理基板を流れる高周波電流を均一化した。これにより処理基板上のセルフバイアス電位分布を均一化し、プラズマ処理中の電気的な影響による半導体素子の電気的特性変化を低減する。
【0052】
また、ステージと、高周波電流がプラズマを介して流れる対向電極をアースに対し浮遊状態にしている。これにより、高周波電力印加により、ステージから、プラズマ中を流れる高周波電流は、対向電極以外のアースに接地された導体に流れる割合は大幅に低減する。
【0053】
これにより、ほとんどの高周波電流はステージと対向電極間を流れる。さらに、対向電極をステージと平行に設けることで、ステージ上の高周波電流を均一にすることができ、プラズマ処理中の電気的な影響による半導体素子の電気的特性変化を低減できる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施形態を添付図面を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構成図である。
【0055】
処理室1は内壁面1aと内壁面1bからなり、両内壁面は絶縁材4で絶縁され、その中には対向電極2a、2bと、ステージ電極3対向して設置されている。対向電極2bとは絶縁材4aで絶縁され、ステージ電極3とは図示しない絶縁材により、絶縁されいる。対向電極2a、2bは絶縁材4bにより相互に絶縁されている。
【0056】
処理室1の内壁面、電極、絶縁材の接合部は真空シール構造となっている。対向電極内には冷媒流路5a、5b及びプロセスガス供給路6a、6bが設けられている。冷媒流路5a,5bには図示しないサーキュレータに接続され、対向電極の温度を設定温度に保持できるようになっている。
【0057】
プロセスガス供給路6a,6bは、プロセスガス供給源27に接続され、設定流量のプロセス処理ガスを供給するようになっている。対向電極表面にはカバー8a,8b,8c、8dが取り付けられており、各カバーは0.2mmの間隙を設けて設置されている。
【0058】
プロセスガスはプロセスガス供給路6a,6bより、ガス供給孔7a,7bを経てカバー8a,8b,8cの裏面に供給され、各カバー間の0.2mmの間隙を通り処理室1に供給される。
【0059】
内壁面1aには高周波電源18、マッチングボックス19が接続される。また、高周波電源9の周波数に合わせたハイパスフィルタ20も接続され、高周波電源9からの高周波電流がアースに流れるように接続されている。
【0060】
対向電極2aには高周波電源9が、マッチングボックス10、可変コンデンサ11を介して接続され、対向電極2bには、高周波電源9が、マッチングボックス10、インダクタンス12a,12bを介して接続されている。
【0061】
また、対向電極2a,2bにはバイアス電源17の周波数に合わせたローパスフィルタ13a,13bが接続され、ステージ電極3に印加されるバイアス電源17からの高周波電流が対向電極2a,2bを通り、トランス29に流れるようになっている。
【0062】
処理室1の外周にはコイル14が設けられ、処理室内に対向電極2a,2bに直交する磁場を形成するようになっている。
【0063】
ステージ電極3には処理基板15が裁置できる構造になっており、図示しない静電吸着機構によりステージ電極3の表面に固定するとともに、図示しない温度制御機構にサーキュレータ16から冷媒を供給し、プラズマ処理中の処理基板15の温度を制御できるようになっている。
【0064】
また、ステージ電極3にはプラズマ処理中に処理基板に入射するイオンのエネルギを制御するため、バイアス電源(2MHz)17がトランス29を介して接続されている。トランス29はアースに対し浮遊状態になっており、アースとの間の容量成分も小さくなるようにしてある。ステージ電極3の外周部分はアースに接地された部材で構成されている。
【0065】
処理室1内は排気制御機構24により、真空に排気されるようになっており、排気能力を調整し、設定圧力に調整できる構成となっている。また、処理室1内には、プラズマ処理の進行状況をモニタするためのモニタ装置25が接続されている。
【0066】
また、可変コンデンサ11は、分布制御部28により制御される駆動モータ26によりその容量値が制御される。
【0067】
次に本発明の第1の実施形態例によるエッチング処理での動作例を説明する。ステージ電極3に処理基板10を搬入し、載置する。エッチングガス供給源27より設定流量のエッチングガス(弗化炭素系ガス)を供給し、処理室内の圧力が1Paになるよう排気を制御する。
【0068】
エッチングガスはプロセスガス供給路6a、6bより、ガス供給孔7a,7bを経てカバー8a,8b,8cの裏面に供給され、各カバー間の0.2mmの間隙を通り処理室1に供給されるため、カバー裏面の圧力を高め、各カバーは対向電極2a、2bにより冷却される。
【0069】
処理基板には半導体デバイスの絶縁膜である酸化シリコン膜、シリコン膜が形成されている。この処理基板をステージ電極3に静電的に吸着させるとともに、図示しないヘリウムガス供給源より基板とステージ電極3の間にHeガスを供給して、基板からステージ電極3への熱抵抗を低減し、エッチング処理中の処理基板の温度上昇を防止する。
【0070】
高周波電源9より100MHz、2000Wの高周波電力を対向電極2a,2bに投入し、容量結合放電によりプラズマを形成される。
【0071】
まず、外周の絶縁材4a部分からの電磁波の放射原理について説明する。
【0072】
対向電極に高周波電力を供給すると、対向電極:2bに高周波電位が発生し、内壁面1aはハイパスフィルタによりアースに接地されているため、対向電極2bと内壁面1aの間には高周波変位電流が流れる。この変位電流は絶縁材4a通して流れるために、この高周波変位電流により電磁波が放射され、カバー8cと8dの間の間隙を通って処理室1内に電磁波が放射される。
【0073】
次に、内周部分の絶縁材4b部分からの電磁波の放射について説明する。
【0074】
対向電極2a、2b間の絶縁材4bはコンデンサでモデル化される。このコンデンサ4cと可変コンデンサ11、インダクタンス12a、12bにより図2に示す共振回路が形成される。
【0075】
可変コンデンサ11の容量が、共振条件に近づくと、この回路に流れる高周波電流は増加し、可変コンデンサ11の容量が共振条件からずれた条件では、この回路に流れる高周波電流は低下する。
【0076】
このように絶縁材4bに流れる変位電流は可変コンデンサ11制御でき、絶縁材4bに流れる高周波変位電流に比例し、電磁波が放射され、さらにカバー8bと8cの間の間隙を通って処理室1内に電磁波が放射される。可変コンデンサ11の容量により共振回路に流れる高周波変位電流を制御することで、この電磁波の放射電力を制御できる。
【0077】
外周の絶縁材4a部分から放射される、電磁波により発生するプラズマの密度分布は、図3に示すプラズマ分布51のように外周部分が高い凹分布となる。内周の絶縁材4b部分から放射される電磁波により発生するプラズマの密度分布は、図3に示すプラズマ分布52のように中心部分が高い凸分布となる。
【0078】
全体のプラズマ分布はこの外周部分から放射された電磁波によるプラズマ分布と、内周部分から放射された電磁波によるプラズマ分布を重ね合わせた分布となる。内周部分から放射される電磁波の電力を調整することで、φ300mmの範囲での処理基板15近傍のプラズマ密度分布はプラズマ密度分布53のように±5%以内の均一なプラズマを形成できる。
【0079】
内周部分から放射される電磁波の電力を低くすると、内周部分から放射された電磁波によるプラズマ密度分布は、図4に示すプラズマ密度分布54のようにプラズマ密度が低下し、全体のプラズマ密度分布はプラズマ密度分布55に示すように、凹分布となる。
【0080】
内周部分から放射される電磁波の電力を高くすると、内周部分から放射された電磁波によるプラズマ密度分布は、図5に示すプラズマ密度分布56のようにプラズマ密度が増加し、全体のプラズマ密度分布はプラズマ密度分布57に示すように、凸分布となる。
【0081】
可変コンデンサ11の容量とプラズマ密度均一性の関係を図6に示す。コンデンサ容量を増加させると、プラズマ密度分布は凸分布から平坦な分布になり、さらに凹分布に変化し、可変コンデンサ11の容量によりプラズマ密度分布が制御できることが分かる。
【0082】
可変コンデンサ11の容量は、分布制御部28からの制御、および駆動モータ26により制御される。これらの制御はエッチング処理中にも可能である。
【0083】
磁場が形成されない条件では、発生したプラズマにより電磁波は反射され、プラズマに与える影響は小さい。この場合、放電はほとんど容量結合放電であるため、プラズマの電子エネルギ分布はマクスウェル・ボルツマン分布に近い。
【0084】
磁場を形成する条件は、コイル14に電流を流し、磁場を形成する。この磁場は、上記電磁波の放射方向にほぼ合わせて形成され、磁場強度が、放射される電磁波の周波数に対し、電子サイクロトロン共鳴を起こす条件(35G(35×10-4T))の近傍では、プラズマ中の電子に電磁波電界より効率よくエネルギが供給され、電子のエネルギを高めるごとができる。
【0085】
この発明の第1の実施形態のように、100MHzでの電子サイクロトロン共鳴では、従来の2.45GHzのマイクロ波による電子サイクロトロン共鳴に比べ、電子の回転角速度は電磁波の周波数に比例して低下するが、電子を加速する電磁波の電界は、周波数によらず電力密度が同じであれば変わらず、電子に同じエネルギを与えることができる。
【0086】
周波数が低い場合、角速度が低下することにより、磁場によるサイクロトロン周波数と、電磁波の周波数がずれたことによる、エネルギ授受の許容度が増加する。例えば、100MHzの場合であれば、磁場強度が10G(10×10-4T)から70G(70×10-4T)近傍までの広い磁場範囲で,イオン化、活性種発生に必要なレベルに、電子を加速することができる。
【0087】
この時、電子サイクロトロン条件よりずれるに従い、加速される電子の最大エネルギは低くなり、磁場強度により電子のエネルギ状態を制御することができる。すなわち、磁場強度を変えることにより、活性種を生成するのに適したレベルからイオン化レベル以上まで電子のエネルギを制御できる。
【0088】
本発明の第1の実施形態では磁場強度を電子サイクロトロン条件より高い50G(50×10-4T)に設定し、電子の最大エネルギを下げた条件に設定している。
【0089】
このような効果が測定されるのは、電磁波の周波数が200MHzから10MHzの範囲であり、特に100MHzから50MHzが使いやすく、効果も大きい領域である。電磁波の周波数が200MHzの場合、磁場強度により電子のエネルギ状態を制御する効果が表れる範囲は、周波数に反比例して狭くなるため100G(100×10-4T)程度までである。10MHzの条件では磁場による効果が測定されるのは磁場強度が2G(2×10-4T)程度からである。
【0090】
バイアス電源17より2MHzの高周波電力をステージ電極3に、1000W投入すると700Vppの電圧が発生し、プラズマからのイオンはこの電圧で加速され処理基板15に入射し、処理基板15の表面ではイオンのアシストにより、プラズマにより分解されたエッチングガス(弗化炭素系ガス)と酸化シリコン膜、シリコン膜が反応しエッチングが進行する。
【0091】
電子のエネルギレベルが高いと、弗化炭素系ガスの分解が進み、弗素系活性種量が増え、シリコン膜のエッチング速度が向上する。また、このようなガス分解が進んだ条件ではエッチング断面形状も垂直に近くなり、分解が進まない条件では順テーパ形状になりやすい。
【0092】
半導体デバイスの製造では絶縁膜である酸化シリコン膜のエッチング速度に対するシリコン膜のエッチング速度を出来るだけ小さくし、エッチング断面形状も出来るだけ垂直に近づけることが必要である。そのためには弗化炭素系ガスの分解状況を適切に制御し、両者を両立させる条件を見つけることが必要である。
【0093】
電磁波を放射しない条件(磁場:0T)ではエッチングガスの分解が進まず、順テーパ状のエッチング形状になる。磁場強度を高めることによりガス分解が進み、形状は垂直に近づくとともに、エッチング速度が増加するためエッチング速度比は逆に増加し、さらに分解が進む条件にすると急激に低下する。
【0094】
このように、本発明では磁場強度を変えることで、この弗化炭素系ガスの分解状況を制御でき、酸化シリコン膜とシリコン膜のエッチング速度比、エッチング形状などのエッチング特性の最適化を図ることができる。
【0095】
また、このエッチング特性の最適化は、圧力やエッチングガス流量、高周波電力等のプロセス条件とは独立に磁場により制御できるため、プロセス条件は微細加工性、処理速度等から決めることができ、プロセスマージンが広くできる。
【0096】
バイアス電源17からトランス29を介してステージ電極3に高周波電力が印加され、高周波電流が処理基板15、プラズマを通り、対向電極2a、2bに流れる。トランス:29はアースに対し浮遊状態であるため、ステージ電極3から流れる高周波電流はほとんどが対向電極2a、2bに流れ、その他の部分には流れない。
【0097】
この処理基板15に入射するイオンのエネルギを制御する、高周波バイアス電流経路について通常の経路を図7にモデル化して示し、本実施形態の経路を図8に示し、その差について説明する。
【0098】
通常の構成では図7に示すように、ステージ電極3に接続されるバイアス電源17は出力の一方がアースに接地され、高周波電圧出力端がステージ電極3に接続される。高周波電流は処理基板15を通り、プラズマを介して、対向電極2a、2bおよび、処理室内壁1aに流れ、アースを経由してバイアス電源17に戻る。
【0099】
ステージ電極3の外周部分では、高周波電流が対向電極2b、処理室内壁1aの両方に流れることができるために、電流経路のインピーダンスが低くなり、高周波電流が流れ易くなる。このために、処理基板15を流れる高周波電流密度は外周部分が高く、中心部分が低い分布を持つ。これが半導体素子基板を処理したとき、電気特性が変化する一つの大きな要因である。
【0100】
本実施形態では図8に示すように、バイアス電源17の出力はトランス29を介して、アースからは浮遊させてステージ電極3に接続される。対向電極2a、2bからはローパスフィルタ13a、13bを介してトランスに戻る電流回路を設けている。
【0101】
トランスに戻る電流回路とアース間の容量成分を小さくなるように構成することで、ステージ電極3から処理室内壁1aに流れ、トランスに戻る経路のインピーダンスは高くなり、この経路を流れる高周波電流は大幅に低下する。従って、ステージ電極3から流れる高周波電流はほとんどが対向電極2a、2bに流れる。
【0102】
そのため、ステージ電極3と対向電極2a、2bを平行に設けることで、高周波電流分布はほぼ均一になり、プラズマ処理中の電気的な影響により半導体素子の電気的特性が変化する問題は大幅に低減できる。
【0103】
ローパスフィルタ13a、13bの特性をバイアス電源17の周波数に対し、ずらすことでバイアス電源17の周波数に対するインピーダンスを可変にすることができる。
【0104】
ローパスフィルタ13aをインピーダンスが最小になるように設定し、ローパスフィルタ13bのインピーダンスをそれより高く設定すると、処理基板15を通り流れる高周波電流は、中心部分の電流密度が高く、外周部分の電流密度が低い分布なる。ローパスフィルタのインピーダンス設定を逆にすれば外周部分の電流密度が高く、中心部分の電流分布が低い分布となる。
【0105】
このように、ローパスフィルタ13a、13bのインピーダンスを最適化することで、処理基板15上に発生するセルフバイアス電位分布をさらに均一に制御でき、プラズマ処理による半導体素子の電気的特性変化の発生をさらに低減することができる。
【0106】
また、ローパスフィルタ13a、13bを可変コンデンサ11と同様に駆動モータ、分布制御により制御すれば、処理条件の変更、処理中の状態変化に対し、半導体素子の電気的特性変化が起きない最適状態に制御することができる。
【0107】
エッチング処理を続けると、処理室1の内壁面には堆積膜が形成され、それらが剥がれ、塵埃のもととなる。対向電極2a、2bでは印加する高周波電力により、プラズマからのイオンが加速されて入射するため、電極表面には堆積膜が着かず、塵埃の発生も無い。
内壁面1aに高周波電源18より400KHzの高周波電力を供給することで、高周波電流はプラズマを介して、アースに接地された内壁面1b、ステージ電極3の外周部分に流れ、これら内壁に入射するイオンを加速することで、これらの内壁面への堆積膜の付着を防止することができる。
【0108】
カバー8a〜8dはシリコン製であり、シリコンの抵抗値により効果が異なる。以上説明した実施形態では抵抗の高いシリコンを用いた場合について説明した。
【0109】
抵抗の低いシリコンを用いた場合、カバー8a〜8dの間隔が0.2mmと狭いために、対向電極2a、2b間を流れる変位電流は絶縁材4bを流れず、主にカバー8bとカバー8c間を流れ、対向電極2bと処理室1a間を流れる高周波変位電流は、主にカバー8cとカバー8d間を流れる。
【0110】
図中に示すように、カバーとカバーの間隔が磁場に対し傾けて設定されている場合、変位電流はこの傾いた面に直角に流れ、電磁波は間隔の傾き方向に放射される。
【0111】
プラズマが発生した状態では、カバーとプラズマ間にはシースか形成されており、磁場に対し傾いて放射された電磁波はプラズマ中を磁場にそって進む成分と、シース部分を進行する成分に分かれる。
【0112】
シース部分を進む電磁波は少しずつ磁場方向に進行するようになるため、電磁波を磁場と平行方向に放射する場合に比べ、電磁波の分布がより平坦になる。この様な方法を用いれば、電磁波放射部分が1重リング状の電極構成でも均一なプラズマを形成することができるが、プラズマ分布を電気制御により制御することはできない。
【0113】
しかし、電磁波放射部分が2重リング状の電極構成の場合でも、内周の電磁波放射部分からの電磁波によるプラズマ分布、外周の電磁波放射部分からの電磁波によるプラズマ分布が、共に平坦になるために、分布制御性が向上する効果がある。
【0114】
また、本実施形態ではカバー8a〜8dは分割された部品であるが、これに限定されるものではない。図9には別の実施形態のカバー構造を示す。このカバー30では、シリコンリング31a〜31cの間に石英リング32a、32bが埋め込まれている。
【0115】
このカバー30は1枚の円板として取り扱うことができ、交換等の作業性を向上することができる。
【0116】
次にプラズマCVDの場合について説明する。
プロセスガスとしてはフッ素を含む有機シラン系のガスと酸素ガスを混合して供給する。プロセスガスは処理室内でプラズマにより分解され、処理基板上に酸化シリコン膜を形成する。
【0117】
酸化シリコン膜は処理基板15上のみならず、対向電極表面のカバー8a〜8d、内壁面1a等にも付着する。しかし、対向電極表面のカバー8a〜8d、内壁面1aには先に説明したように、高周波電力の印加によりこれらの表面にイオンが加速して入射し、このイオンアシスト効果と、有機シランガスに含まれたフッ素から発生したフッ素ラジカルにより、酸化シリコン膜は除去され膜は形成されない。
【0118】
以上のように、本発明の第1の実施形態によれば、電子エネルギ状態の制御範囲が広く、処理条件、均一性制御とは独立に活性種の発生を制御することができるプラズマ処理装置および処理方法を実現することができる。
【0119】
また、プラズマの均一性を活性種制御、イオンエネルギ制御、低圧力高密度プラズマ発生によるイオンの方向性向上と両立し、さらにプラズマ発生電力、圧力等の処理条件とは独立に制御することができる均一性制御手段を有するプラズマ処理装置および処理方法を実現することができる。
【0120】
また、プラズマ処理中の電気的な影響による、半導体素子の電気的特性が変化が発生する現象の低減を、プラズマの均一性制御、活性種制御、イオンエネルギ制御、低圧力高密度プラズマ発生によるイオンの方向性向上と両立し、さらにプラズマ発生電力、圧力等の処理条件とは独立に制御することができる、プラズマ処理中の電気的な影響による半導体素子の電気的特性変化低減手段を有するプラズマ処理装置および処理方法を実現することができる。
【0121】
図10は本発明の第2の実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構成図である。
なお、この第2の実施形態では、上述した第1の実施形態と共通部分に関しては省略し、相違点を中心に説明する。
【0122】
この第2の実施形態と第1の実施形態との相違点は、対向電極2a、2bの外周にリングブロック21が設けられている点である。リングブロック21は絶縁材4dにより対向電極2b、処理室1c、カバー8dと絶縁されている。
【0123】
インダクタンス12a、12bとリングブロック21の間は可変コンデンサ22a、22bを介して接続され、リングブロック21と処理室1cの間はコンデンサ23a、23bを介して接続されている。
【0124】
次に、この第2の実施形態におけるプロセス処理について説明する。
絶縁材4bからの電磁波放射とその制御は、第1の実施形態で説明したのと同様である。リングブロック21と対向電極2bとの間からの電磁波の放射はインダクタンス12aと可変コンデンサ22a、で形成される共振回路、インダクタンス12bと可変コンデンサ22bで形成される共振回路の共振状態を可変コンデンサ22a、22bで制御することで、対向電極:2bとリングブロック21との間の高周波変位電流と、その円周方向の分布を制御し、この高周波変位電流に比例して電磁波が放射される。
【0125】
この第2の実施形態では、処理室1cの内周と外周の電磁波の放射を独立に制御でき、かつ円周方向の分布制御も可能なため、より最適なプラズマ分布を得ることができる。
【0126】
さきに説明した図3から図5において、プラズマ分布を制御したのは中心部分から放射された電磁波によるプラズマ密度分布52、54、56であった。本実施形態では、外周から放射される電磁波によるプラズマ密度分布51、に関しても制御できるように成り、かつ単に軸対称条件だけではなく、円周方向の分布に関しても制御することができるようになった。
【0127】
次に、この第2の実施形態における、配線膜のエッチング処理の例を以下に説明する。
酸化シリコン膜を形成した上にアルミ膜を形成した処理基板15をステージ電極3に設置する。続いて、処理室1c内に塩素系のエッチングガスを供給し、1Paの圧力に設定した後、1000Wの高周波電力を対向電極2a、2bに供給し、プラズマを発生させる。ステージ電極3に100ての高周波電力を印加し、プラズマから処理基板15に入射するイオンをこの高周波バイアスで加速する。
【0128】
処理基板15の表面ではパターニングしたレジストマスク等がプラズマにより分解され、この分解ガス等により、堆積膜が形成される。イオン入射によりこの堆積膜が除去され、露出したアルミ膜がプラズマ中で発生した塩素系活性種と反応してエッチングが進行する。
【0129】
処理基板15の表面に形成される堆積膜は均一には形成されず、中心部分の堆積量が多くなるため、均一にエッチングするためには中心部のイオン量を多くする必要がある。
【0130】
一方、アルミのエッチングが完了し、下地の酸化シリコン膜が露出すると、酸化シリコン膜はイオン量に比例してエッチングが進行するため、アルミ膜のエッチング条件と同じ条件では、中心部分の酸化シリコン膜が多くエッチングされる。
【0131】
従って、アルミ膜のエッチング中と、下地膜である酸化シリコン膜のエッチング中では、プラズマの分布をそれぞれの状態に合わせ、適切にインプロセスで制御することが必要である。
【0132】
この第2の実施形態では可変コンデンサ11、22a、22bを駆動モータ26、分布制御部28、これと同様な駆動機構および制御機構により可変できるようにした。これにより、プラズマ処理装置の制御機構により、圧力、電力等のプロセス条件と同様にプラズマ分布を制御できる。
【0133】
エッチング処理装置ではその制御部内にいくつかの処理条件が設定されている。1つの設定条件では処理圧力、投入する高周波電力、処理室に流すエッチングガスの種類、流す量などが記憶されている。この設定条件をいくつか組み合わせ、エッチング処理は行われる。この組み合わせも、制御部内に記憶され、設定条件、組み合わせ(通常レシピという)を指示することでエッチング装置は処理を実行する。
【0134】
本実施形態では、この設定条件の中に、圧力、電力と同じようにプラズマ均一性を入れられる制御プログラムとし、この指示により可変コンデンサ容量を制御するようにした。
【0135】
この条件設定にプラズマ均一性を組み込んで、エッチング処理する場合の処理手順を、先に説明したアルミ膜エッチング例に説明する。図11では、このエッチング処理手順における、プラズマ均一性制御と時間経過の関係を示す。
【0136】
プラズマ分布の制御はモニタ25によるエッチングの終点モニタの結果に基づき、アルミ膜エッチングから酸化シリコン膜エッチングに変わった時点を検出し、制御するようにした。
【0137】
アルミ膜エッチング中、プラズマ密度分布は凸分布に設定されており、モニタ25によりエッチング処理の終点が検出されると、駆動モータにより可変コンデンサ11の容量を大きくし、均一なプラズマ分布になるよう制御し、エッチング完了までその状態を維持する。
【0138】
アルミ膜は均一に形成されているわけではなく、膜厚に分布を持っている。微細なパターンを精度良く形成するには、エッチングが完了した後のオーバエッチング時間等を精度良く制御する必要があり、処理基板15全面で同時にアルミ膜のエッチングが終了する必要がある。
【0139】
本発明の実施形態では、図示しない膜厚測定手段により、被エッチング膜の膜厚を測定し、その膜厚分布測定結果から逆算し、基板全面で同時にエッチングが終了するようにプラズマ分布を処理基板毎に制御するようにした。
【0140】
この制御は、エッチング処置制御部に入力された被エッチング膜のデータから、処理基板全面で同時に被エッチング膜のエッチングが完了するエッチング処理速度分布を算出し、そのエッチング処理速度に必要なプラズマ密度分布を作成する。図6に示したコンデンサ容量とプラズマ分布の関係から、可変コンデンサ11,22a、22bの容量を算出し、分布制御部28、駆動モータ26によりプラズマ分布を制御してエッチング処理する。
【0141】
この第2の実施形態では電子エネルギ制御という観点から、磁場を印加しない容量結合放電条件から、磁場の印加による電子サイクロトロン共鳴条件まで電子のエネルギ状態を制御する放電によるプラズマ処理を中心に説明しているが、磁場を用いない条件での放電によるプラズマ分布制御、ガス分解制御も可能である。
【0142】
図10に示す第2の実施形態において、可変コンデンサ11とインダクタンス12a、12bで形成される共振回路に流れる変位電流を増やすと、処理室1cの中心部分に放射される電磁波電力が増加し、誘導結合と同様にプラズマに対し、電磁波の電力が供給されるようになる。しかし、プラズマからの反射が多く、磁場を用いる条件に比べ、高周波変位電流を多く流すことが必要である。
【0143】
可変コンデンサ22a、22bとインダクタンス12a、12bで形成される共振回路に流れる変位電流を増やすことで、外周部分から放射される電磁波電力を、先に説明した中心部分と同様に制御できる。
【0144】
これにより、処理室1c内に、誘導結合による中心部分と外周部分の2重のリング状のプラズマが形成でき、大口径な処理基板15上に均一なプラズマを形成することができる。また、中心部分の変位電流と外周部分の高周波変位電流をそれぞれ制御することで、プラズマ分布が凹分布から、凸分布まで制御できる。
【0145】
この磁場を用いない条件では、電磁波が放射される近傍で集中的にプラズマにエネルギが供給されるため、電子のエネルギ状態が高いレベルになり、処理ガスの分解が進みやすい。
【0146】
従って、1)高周波変位電流を少なくし、ほとんど容量結合条件で放電する条件、2)高周波変位電流を多くし、局所的に強いプラズマを形成して処理ガスの分解を進める条件、3)磁場を形成することで電磁波がプラズマ中に進行しやすくし、処理室内全体で電磁波からプラズマへエネルギを供給することで、処理ガスの分解を緩やかに進める条件まで、この実施形態に示した、可変コンデンサ11.22a、22b、およびコイル14により形成される磁場により制御することができる。
【0147】
つまり、本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、電子エネルギ状態の制御範囲が広く、処理条件、均一性制御とは独立に活性種の発生を制御することができるプラズマ処理装置および処理方法をい実現することができる。
【0148】
なお、以上説明した本発明の実施形態ではエッチング処理、プラズマCVD処理を中心に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、プラズマ重合、スパッタ、のようにプラズマを用いたプロセスであれば同様に適用できることは明らかである。
【0149】
また、プラズマ発生用高周波電源の周波数に関しては、上述した本発明の実施形態においては、周波数が100MHzの場合について説明してきたが、これは第1の実施形態の中で述べたように、200MHzから10MHzの範囲で同様な効果が得られる。
【0150】
また、上述したプラズマ処理の分布を制御する処理手順を記憶手段に記憶させ、記憶した処理手順に従って、プラズマの分布を制御手段により制御して、プラズマ処理することも可能である。
【0151】
【発明の効果】
本発明により、プラズマ処理装置において、電子のエネルギ状態が独立に制御できるようになり、これにより活性種の発生を制御し、高選択エッチングと高精度、高速エッチングあるいは膜質と成膜速度など、従来技術では両立が難しい特性の両立を図ることができる。
【0152】
また、プラズマの密度分布を、ハード構成を変えずに制御でき、大口径基板全面で微細なパターンの高精度なエッチング、均一な成膜ができる。
【0153】
また、プラズマ分布をプロセス条件等とは独立に、プラズマ処理中に制御できるようになり、プラズマ処理状態の進行に合わせてプラズマ分布を制御することで、より高精度なエッチング、均一な成膜ができる。
【0154】
本発明では高周波変位電流の制御で電磁波を放射しているが、この方式では実施形態に述べたように電磁波の放射する隙間を0.2mm程度と、非常に狭くできる。誘導RF結合方式では、電磁波を放射するという点では同じであるが、電磁波の放射部分をこのように狭くはできない。これにより、本発明では電磁波放射部分に付着する堆積膜の影響を受けず、従来比べ、安定な処理ができる効果がある。
【0155】
本発明では、プラズマ処理による半導体素子の電気的特性変化の発生をさらに低減することができ、半導体素子生産における歩留まりを向上できる効果がある。
【0156】
これらにより、半導体素子や液晶表示素子などの処理の高性能化がはかれ、より高性能なデバイスの生産が可能になる効果がある。つまり、本発明によれば、処理条件、均一性制御、活性種発生制御、電気的特性変化防止をそれぞれ独立に適正化できるプラズマ処理装置、および処理方法を実現することができる。
【0157】
また、圧力、電力等の処理条件が均一性、電気的特性変化防止などの点から制約されることが無く、広範囲な処理条件が使える効果がある。
【0158】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施形態におけるプラズマ処理装置の概略構成図である。
【図2】本発明による第1の実施形態における共振回路モデルを示す図である。
【図3】本発明による第1の実施形態におけるプラズマ密度分布制御を示す図である。
【図4】本発明による第1の実施形態におけるプラズマ密度分布制御を示す図である。
【図5】本発明による第1の実施形態におけるプラズマ密度分布制御を示す図である。
【図6】本発明による第1の実施形態における可変コンデンサ容量とプラズマ密度分布均一性の関係を示す図である。
【図7】従来の高周波バイアス印加による高周波電流経路モデルを示す図である。
【図8】本発明による第1の実施形態における高周波バイアス印加による高周波電流経路モデルを示す図である。
【図9】本発明による第1の実施形態におけるカバー部材構成を示す図である。
【図10】本発明による第2の実施形態におけるプラズマ処理装置の概略構成図である。
【図11】本発明による第2の実施形態におけるエッチング処理経過を示す図である。
【符号の説明】
1、1c…処理室
1a、1b…内壁面
2a、2b…対向電極、
3…ステージ電極
4a、4b、4e…絶縁材
5a、5b…冷媒流路
6a、6b…プロセスガス供給路
7a、7b…ガス供給口
8a〜8d…カバー
9、18…高周波電源
10、19…マッチングボックス
11、22a、22b…可変コンデンサ
12a、12b…インダクタンス
13a、13b…ローパスフィルタ
14…コイル
15…処理基板
16…サーキュレータ
17…バイアス電源
20…ハイパスフィルタ
21…リングブロック
23a、23b…コンデンサ
24…ガス排気装置
25…モニタ装置
26…駆動モータ
27…ガス供給源
28…分布制御部

Claims (5)

  1. プラズマ処理室内に処理ガスを供給するプラズマ処理ガス供給手段、前記プラズマ処理室内を排気するプラズマ処理室内排気手段、前記プラズマ処理室内のステージ電極に対向配置された導体と前記プラズマ処理室外に設けられ前記導体に接続された高周波電源及び前記プラズマ処理室外に設けられた磁場形成手段を含み該プラズマ処理室内にて前記処理ガスをプラズマ化するプラズマ発生手段を備え、前記プラズマにより前記ステージ電極に載置された基板をプラズマ処理するプラズマ処理装置において、
    前記プラズマ発生手段が、複数の絶縁体を介して相互に絶縁された複数の前記導体を含み該複数の導体と前記ステージ電極の間で放電を発生させて前記プラズマを生成する容量結合形放電手段、及び、前記複数の導体間の絶縁体を流れる高周波変位電流により前記プラズマ処理室内に電磁波を放射して前記磁場形成手段で形成される磁場との間で電子サイクロトロン共鳴を起こして前記プラズマを生成する電磁波放射手段有し、
    前記電磁波放射手段は、前記高周波電源と前記複数の導体間に接続されLC共振回路を構成するインダクタンスとコンデンサを含み前記高周波変位電流制御する放射電磁波電力制御手段を有し、
    前記放射電磁波電力制御手段の前記LC共振回路は、該LC共振回路の共振状態を制御することにより前記絶縁体を流れる前記高周波変位電流の大きさを制御する分布制御部を有し、
    前記分布制御部により、前記高周波変位電流を制御することにより、前記各絶縁体部分から放射される前記電磁波を制御し前記基板面上のプラズマ密度の分布を制御することを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. プラズマ処理室内に処理ガスを供給するプラズマ処理ガス供給手段、前記プラズマ処理室内を排気するプラズマ処理室内排気手段、前記プラズマ処理室内のステージ電極に対向配置された導体と前記プラズマ処理室外に設けられ前記導体に接続された高周波電源及び磁場形成手段を含み該プラズマ処理室内にて前記処理ガスをプラズマ化するプラズマ発生手段を備え、前記プラズマにより前記ステージ電極に載置された基板をプラズマ処理するプラズマ処理装置において、
    前記プラズマ発生手段が、複数の絶縁体を介して相互に絶縁された複数の前記導体を含み該複数の導体と前記ステージ電極の間で放電を発生させて前記プラズマを生成する容量結合形放電手段、及び、前記複数の導体間の絶縁体を流れる高周波変位電流により前記プラズマ処理室内に電磁波を放射して前記プラズマを生成する電磁波放射手段を有し、
    前記電磁波放射手段は、前記高周波電源と前記複数の導体間に接続されLC共振回路を構成するインダクタンスとコンデンサを含み前記高周波変位電流制御する放射電磁波電力制御手段を有し、
    前記放射電磁波電力制御手段の前記LC共振回路は、該LC共振回路の共振状態を制御することにより前記絶縁体を流れる前記高周波変位電流の大きさを制御する分布制御部を有し、
    前記分布制御部により、前記高周波変位電流を制御することにより、前記各絶縁体部分から放射される前記電磁波を制御し前記基板面上のプラズマ密度の分布を制御することを特徴とするプラズマ処理装置。
  3. 請求項1または2に記載のプラズマ処理装置において、プラズマ処理中にプラズマ分布を制御する処理手順を記憶し、この記憶手段に記憶された処理手順に従って前記分布制御部により前記プラズマ分布を制御することを特徴とするプラズマ処理装置。
  4. プラズマ処理ガスをプラズマ処理装置のプラズマ処理室内に供給し、前記プラズマ処理室内を設定圧力にし、容量結合放電および高周波変位電流による電磁波放射および磁場の形成によりプラズマを発生させ、前記プラズマ処理室内のステージ電極に載置された処理対象基板を処理するプラズマ処理方法であって、前記プラズマ処理装置が、プラズマ処理室内に処理ガスを供給するプラズマ処理ガス供給手段、前記プラズマ処理室内を排気するプラズマ処理室内排気手段、前記プラズマ処理室内のステージ電極に対向配置された導体と前記プラズマ処理室外に設けられ前記導体に接続された高周波電源及び前記プラズマ処理室外に設けられた磁場形成手段を含み該プラズマ処理室内にて前記処理ガスをプラズマ化するプラズマ発生手段を備え、前記プラズマにより前記ステージ電極に載置された基板をプラズマ処理するものにおいて、
    前記プラズマ発生手段が、複数の絶縁体を介して相互に絶縁された複数の前記導体を含み該複数の導体と前記ステージ電極の間で放電を発生させて前記プラズマを生成する容量結合形放電手段、及び、前記複数の導体間の絶縁体を流れる高周波変位電流により前記プラズマ処理室内に電磁波を放射して前記磁場形成手段で形成される磁場との間で電子サイクロトロン共鳴を起こして前記プラズマを生成する電磁波放射手段有し、
    前記電磁波放射手段は、前記高周波電源と前記複数の導体間に接続されLC共振回路を構成するインダクタンスとコンデンサを含み前記高周波変位電流制御する放射電磁波電力制御手段を有し、
    前記放射電磁波電力制御手段の前記LC共振回路は、該LC共振回路の共振状態を制御することにより前記絶縁体を流れる前記高周波変位電流の大きさを制御する分布制御部を有しており、
    前記分布制御部により、前記高周波変位電流を制御することにより、前記各絶縁体部分から放射される前記電磁波を制御し前記基板面上のプラズマ密度の分布を制御しながら前記基板を処理することを特徴とするプラズマ処理方法。
  5. プラズマ処理ガスをプラズマ処理装置のプラズマ処理室内に供給し、前記プラズマ処理室内を設定圧力にし、容量結合放電および高周波変位電流による電磁波放射および磁場の形成によりプラズマを発生させ、前記プラズマ処理室内のステージ電極に載置された処理対象基板を処理するプラズマ処理方法であって、前記プラズマ処理装置が、プラズマ処理室内に処理ガスを供給するプラズマ処理ガス供給手段、前記プラズマ処理室内を排気するプラズマ処理室内排気手段、前記プラズマ処理室内のステージ電極に対向配置された導体と前記プラズマ処理室外に設けられ前記導体に接続された高周波電源及び前記プラズマ処理室外に設けられた磁場形成手段を含み該プラズマ処理室内にて前記処理ガスをプラズマ化するプラズマ発生手段を備え、前記プラズマにより前記ステージ電極に載置された基板をプラズマ処理するものにおいて、
    前記プラズマ発生手段が、複数の絶縁体を介して相互に絶縁された複数の前記導体を含み該複数の導体と前記ステージ電極の間で放電を発生させて前記プラズマを生成する容量結合形放電手段、及び、前記複数の導体間の絶縁体を流れる高周波変位電流により前記プラズマ処理室内に電磁波を放射して前記磁場形成手段で形成される磁場との間で電子サイクロトロン共鳴を起こして前記プラズマを生成する電磁波放射手段有し、
    前記電磁波放射手段は、前記高周波電源と前記複数の導体間に接続されLC共振回路を構成するインダクタンスとコンデンサを含み前記高周波変位電流制御する放射電磁波電力制御手段を有し、
    前記放射電磁波電力制御手段の前記LC共振回路は、該LC共振回路の共振状態を制御することにより前記絶縁体を流れる前記高周波変位電流の大きさを制御する分布制御部を有しており、
    変位電流周波数が10MHzから200MHzの範囲の周波数であり、
    前記高周波変位電流を制御することにより、各絶縁体部分から放射される前記電磁波を制御することにより、前記プラズマの分布をプラズマ処理中に制御し、
    2×10-4Tから100×10-4Tの範囲の磁場強度で前記基板を処理することを特徴とするプラズマ処理方法。
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