JP3703296B2 - ポリマーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、4ないし10員環の環状モノマーの開環重合によるポリマーの製造方法に関する。そのようなポリマーは樹脂材料や繊維などに用いられる重要なポリマーである。
【0002】
【従来の技術】
開環重合性の環状モノマーを開環重合させる一つの方法としてアニオン重合(または求核的重合)の方法がよく知られているが、その重合の開始剤としてはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の金属またはそれらの化合物、その他の金属化合物またはアミン類が一般的に用いられている(三枝武夫著、「開環重合 (I)」、化学同人発行1971年、2 3 3章および高分子学会編、「高分子機能材料シリーズ(2)・高分子の合成と反応(2)」、共立出版社、1991年、1.2章)。しかしながらこれらの金属を含む開始剤で得られるポリマーの諸物性や熱安定性は、残留する金属成分によって著しい影響を蒙る場合がある。したがってこれらのポリマーの製造にあたってはこれらの金属成分を充分に除去する特別の方法や煩雑な工程が必要となっている。一方金属を含まないアミン類を開始剤とする場合は、重合活性が充分でないうえアミン系の臭気が残留するなどの問題を抱えている。
【0003】
また非金属系のホスファゼン化合物の存在下に、ラクタムや環状シロキサンを重合させた例が知られている(USP5,399,662、マクロモレキュラーラピド コムニケーション(Macromol.Rapid Commun.)16巻449〜453頁 1995年、およびマクロモレキュラー シンポジウム(Macromol. Symp.)107巻331〜340頁 1996年)。しかしながらこれらの方法におけるホスファゼン化合物は強い塩基性を有する有効な開始剤ではあるが、そのようなホスファゼン化合物を合成するには、複雑な工程を経る必要があるし、そのうえ強い塩基性を持たせるために例えばナトリウムアミドなどの更に強い塩基性化合物を使用せねばならず、工業的には決して有利なものではない。またその強い塩基性のため、空気中の炭酸ガスで変質し易いなど取り扱い上にも問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、4ないし10員環の開環重合性環状モノマーを開環重合させてポリマーを製造する際に、製造上や取り扱い上特に問題なく、金属成分を全く含まず臭気を残留させない開始剤を用いてポリマーを効率的に製造する方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を続けた結果、活性水素化合物のホスファゼニウム塩の存在下に、または活性水素化合物のホスファゼニウム塩および活性水素化合物の存在下に、4ないし10員環の開環重合性環状モノマーを開環重合させると極めて効果的であることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は、化学式(1)
【0006】
【化2】
(式中、nは1ないし8の整数であってホスファゼニウムカチオンの数を表し、Zn-は最大8個の活性水素原子を有する活性水素化合物からn個のプロトンが離脱して導かれる形のn価の活性水素化合物のアニオンである。a、b、cおよびdはそれぞれ3以下の正の整数または0であるが、全てが同時に0ではない。Rは同種または異種の炭素数1ないし10個の炭化水素基であり、同一窒素原子上の2個のRが互いに結合して環構造を形成する場合もある。)で表される活性水素化合物のホスファゼニウム塩の存在下、または活性水素化合物のホスファゼニウム塩および活性水素化合物の存在下に、少なくとも4ないし10員環の開環重合性環状モノマーを開環重合させることを特徴とするポリマーの製造方法である。
【0007】
本発明における化学式(1)で表される活性水素化合物のホスファゼニウム塩のホスファゼニウムカチオンはその電荷が中心のりん原子上に局在する極限構造式で代表しているが、これ以外に無数の極限構造式が描かれ実際にはその電荷は全体に非局在化している。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の方法における4ないし10員環の開環重合性環状モノマーとは、4ないし10員環の、ラクトン類、ラクタム類、ラクチド類(α−ヒドロキシカルボン酸の環状2量体)、環状カーボネート類、α−アミノ酸−N−カルボン酸無水物類、環状りん酸エステル類、環状ホスホン酸エステル類および環状シロキサン類などである。また開環重合する環が4ないし10員環であればそれ以外に別の環を持つ多環化合物でも構わない。
【0009】
具体的には、例えばβ−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、ε−カプロラクトン、6,8−ジオキキサビシクロ[3.2.1]オクタン−7−オンまたは2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オンなどのラクトン類であり、例えばβ−プロピオラクタム、γ−ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オンまたは8−オキサ−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−7−オンなどのラクタム類であり、例えばグリコリドまたはラクチドなどのラクチド類であり、例えばエチレンカーボネートまたは5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オンなどの環状カーボネート類であり、例えばL−アラニン−N−カルボン酸無水物、DL−2−アミノステアリン酸−N−カルボン酸無水物またはL−グルタミン酸−γ−ベンジル−N−カルボン酸無水物などのα−アミノ酸−N−カルボン酸無水物類であり、例えば2−エトキシ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホランまたは2−メトキシ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホリナンなどの環状りん酸エステル類であり、例えば2−メチル−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホランまたは2−エチル−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホリナンなどの環状ホスホン酸エステル類であり、例えばヘキサメチルシクロトリシロキサンまたはオクタメチルシクロテトラシロキサンなどの環状シロキサン類などである。この他、本願発明の方法で開環重合できる4ないし10員環の環状化合物なら何れでも構わない。
【0010】
これらのうち、例えばβ−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、ε−カプロラクトン、6,8−ジオキキサビシクロ[3.2.1]オクタン−7−オンまたは2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オンなどのラクトン類、例えばβ−プロピオラクタム、γ−ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オンまたは8−オキサ−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−7−オンなどのラクタム類、例えばグリコリドまたはラクチドなどのラクチド類、例えばエチレンカーボネートまたは5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オンなどの環状カーボネート類、例えばL−アラニン−N−カルボン酸無水物、DL−2−アミノステアリン酸−N−カルボン酸無水物またはL−グルタミン酸−γ−ベンジル−N−カルボン酸無水物などのα−アミノ酸−N−カルボン酸無水物類および例えばヘキサメチルシクロトリシロキサンまたはオクタメチルシクロテトラシロキサンなどの環状シロキサン類が好ましい。さらには、これらのうちラクトン類およびラクチド類がより好ましい。
【0011】
これらの4ないし10員環の開環重合性環状モノマーは2種以上を併用してもよいし、またこれらの4ないし10員環の開環重合性環状モノマーとアルキレンオキシド化合物を併用することもできる。このようにして、複数のモノマーの共重合体を製造することができる。
【0012】
併用する場合のアルキレンオキシド化合物としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルまたはフェニルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物が挙げられる。これらのうち、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシドおよびスチレンオキシドが好ましく、プロピレンオキシドまたはエチレンオキシドがより好ましい。プロピレンオキシドが更に好ましい。
【0013】
併用する場合には、複数の4ないし10員環の開環重合性環状モノマーを、または単独もしくは複数の4ないし10員環の開環重合性環状モノマーと単独もしくは複数のアルキレンオキシド化合物を、同時に併用する方法、順次に使用する方法または順次を繰り返して行なう方法などがとり得る。
【0014】
複数のモノマーを同時に併用して重合させると、それらの化合物の反応性の差にもよるが、比較的ランダム性の高い共重合体が得られ、2種以上のモノマーを順次に重合させると、2種以上のブロックを含むブロック共重合体が得られる。そのような順次併用を繰り返せばさらに複雑な共重合体が得られる。
【0015】
なかでも、4ないし10員環の開環重合性環状モノマーとアルキレンオキシド化合物を順次に併用して、それらの複数のモノマーからなるブロック共重合体を製造することは好ましい。その際のアルキレンオキシド化合物がプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドであることがより好ましく、プロピレンオキシドであることが更に好ましい。
【0016】
本発明における化学式(1)で表される活性水素化合物のホスファゼニウム塩の中のa、b、cおよびdは、それぞれ3以下の正の整数または0であるが、全てが同時に0ではない。好ましくは2以下の正の整数または0である。より好ましくはa、b、cおよびdの順序に関わらず、(2、1、1、1)、(1、1、1、1)、(0、1、1、1)、(0、0、1、1)または(0、0、0、1)の組み合わせの中の数である。更に好ましくは、(1、1、1、1)、(0、1、1、1)または(0、0、1、1)の組み合わせの中の数である。
【0017】
本発明における化学式(1)で表される活性水素化合物のホスファゼニウム塩の中のRは同種または異種の炭素数1ないし10個の脂肪族または芳香族の炭化水素基であり、具体的には、このRは、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、アリル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−ブテニル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、イソペンチル、tert−ペンチル、3−メチル−2−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、4−メチル−2−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ヘプチル、3−ヘプチル、1−オクチル、2−オクチル、2−エチル−1−ヘキシル、1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル(通称、tert−オクチル)、ノニル、デシル、フェニル、4−トルイル、ベンジル、1−フェニルエチルまたは2−フェニルエチル等の脂肪族または芳香族の炭化水素基から選ばれる。これらのうち、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、tert−ペンチルまたは1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル等の炭素数1ないし10個の脂肪族炭化水素基が好ましい。メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル等の炭素数1ないし3個の脂肪族炭化水素基がより好ましい。メチル基またはエチル基が更に好ましい。
【0018】
また化学式(1)で表される活性化合物のホスファゼニウム塩中の同一窒素原子上の2個のRが互いに結合して窒素原子をも含んで環構造を形成する場合の環状アミノ基は、環に4ないし6個の炭素原子を含む環状二級アミノ基であり、−NR2は窒素原子を含んだ5ないし7員環の環状二級アミノ基となる。それらの環状二級アミノ基としては、例えばピロリジン−1−イル基、ピペリジン−1−イル基またはモルホリン−4−イル基等であり、さらにはそれらにメチルまたはエチル等のアルキル基が置換したものである。好ましくは、無置換のピロリジン−1−イル基、ピペリジン−1−イル基またはモルホリン−4−イル基である。化学式(1)で表される活性水素化合物のホスファゼニウム塩中の、可能な全ての窒素原子についてこのような環構造をとっていても構わないし、一部であってもよい。
【0019】
本発明における化学式(1)で表される活性水素化合物のホスファゼニウム塩中のZn-(即ち、n価の活性水素化合物のアニオン)を与える活性水素化合物、または活性水素化合物のホスファゼニウム塩および活性水素化合物の存在下に開環重合させる場合に存在させる活性水素化合物とは、最大8個の活性水素を有する有機化合物であり、酸素原子上に活性水素原子を有する活性水素化合物または窒素原子上に活性水素原子を有する活性水素化合物が挙げられる。
【0020】
酸素原子上に活性水素原子を有する活性水素化合物としては、水であり、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、フェニル酢酸、ジヒドロ桂皮酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、パラメチル安息香酸または2−カルボキシナフタレン等の炭素数1ないし20個のカルボン酸であり、例えば蓚酸、マロン酸、こはく酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、イタコン酸、ブタンテトラカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸またはピロメリット酸等の炭素数2ないし20個の2ないし6個のカルボキシル基を有する多価カルボン酸類であり、例えばN,N−ジエチルカルバミン酸、N−カルボキシピロリドン、N−カルボキシアニリンまたはN,N’−ジカルボキシ−2,4−トルエンジアミン等のカルバミン酸類であり、例えばメタノール、エタノール、ノルマル−プロパノール、イソプロパノール、ノルマル−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、ノルマル−オクチルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、アリルアルコール、クロチルアルコール、メチルビニルカルビノール、ベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、トリフェニルカルビノールまたはシンナミルアルコール等の炭素数1ないし20個のアルコール類であり、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトール等の炭素数2ないし20個の2ないし8個の水酸基を有する多価アルコール類であり、例えばグルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトースまたはシュクロース等の糖類またはその誘導体であり、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、アニソール、2−ナフトール、2,6−ジヒドロキシナフタレンまたはビスフェノールA等の炭素数6ないし20個の1ないし3個の水酸基を有する芳香族化合物類等である。
【0021】
窒素原子上に活性水素原子を有する活性水素化合物としては、例えばメチルアミン、エチルアミン、ノルマル−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ノルマル−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、β-フェニルエチルアミン、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジンまたはp−トルイジン等の炭素数1ないし20個の脂肪族または芳香族一級アミン類であり、例えばジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、ジ−ノルマル−プロピルアミン、エチル−ノルマル−ブチルアミン、メチル−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルアニリンまたはジフェニルアミン等の炭素数2ないし20個の脂肪族または芳香族二級アミン類であり、例えばエチレンジアミン、ジ(2−アミノエチル)アミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、トリ(2−アミノエチル)アミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミンまたはジ(2−メチルアミノエチル)アミン等の炭素数2ないし20個の2ないし3個の一級もしくは二級アミノ基を有する多価アミン類であり、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリンまたは1,2,3,4−テトラヒドロキノリン等の炭素数4ないし20個の飽和環状二級アミン類であり、3−ピロリン、ピロール、インドール、カルバゾール、イミダゾール、ピラゾールまたはプリン等の炭素数4ないし20個の不飽和環状二級アミン類であり、例えばピペラジン、ピラジンまたは1,4,7−トリアザシクロノナン等の炭素数4ないし20個の2ないし3個の二級アミノ基を含む環状の多価アミン類であり、例えばアセトアミド、プロピオンアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチル安息香酸アミドまたはN−エチルステアリン酸アミド等の炭素数2ないし20個の無置換またはN−一置換の酸アミド類であり、例えばβ−プロピオラクタム、2−ピロリドン、δ−バレロラクタムまたはε−カプロラクタム等の4ないし7員環の環状アミド類であり、例えばこはく酸イミド、マレイン酸イミドまたはフタルイミド等の炭素数4ないし10個のジカルボン酸のイミド類である。
【0022】
活性水素化合物としては、さらには、例えばポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシドなどであって末端に活性水素を有するポリアルキレンオキシド類であり、例えばラクトン類、ラクタム類、ラクチド類、環状カーボネート類、α−アミノ酸−N−カルボン酸無水物類、環状りん酸エステル類、環状ホスホン酸エステル類および環状シロキサン類の開環重合やその他の方法で得られるような、そして末端に活性水素を有するポリエステル類、ポリアミド類、ポリラクチド類、ポリカーボネート類、ポリペプチド類、ポリりん酸エステル類、ポリホスホン酸エステル類およびポリシロキサン類などのポリマーであり、またそれらのコポリマー等である。
【0023】
上述の活性水素化合物には複数個の活性水素を有する化合物が含まれる。それら活性水素の全てが解離してアニオンに導かれホスファゼニウム塩を作る場合もあるが、その一部だけがアニオンとなり他の部分は活性水素が解離していない場合もある。しかしながら早い平衡のため、アニオンとならずホスファゼニウム塩を作っていない部分や、共存させる場合の全く該塩を作ってない活性水素化合物からでも、重合は全ての活性水素が解離しうる部位から開始している。
化学式(1)で表される活性化合物のホスファゼニウム塩中のnは1ないし8の整数である。好ましくは、1ないし3の整数である。
【0024】
本発明においては、化学式(1)で表される活性化合物のホスファゼニウム塩中のZn-(即ち、n価の活性水素化合物のアニオン)を与える活性水素化合物と、活性水素化合物のホスファゼニウム塩および活性水素化合物の存在下に開環重合させる場合に存在させる活性水素化合物とが、同一であっても異なっていても構わない。また活性水素化合物は単独で用いられても複数個同時に用いられても構わない。
【0025】
これらの活性水素化合物のうち、好ましくは、水であり、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸またはカプロン酸などの炭素数1ないし6個のカルボン酸であり、例えばメタノール、エタノール、ノルマル−プロパノール、イソプロパノール、ノルマル−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコールまたはノルマル−オクチルアルコールなどの炭素数1ないし10個のアルコール類であり、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリンまたはペンタエリスリトール等の炭素数2ないし10個の2ないし4個の水酸基を有する多価アルコール類であり、例えばフェノール、クレゾール、キシレノールまたはアニソール等の炭素数6ないし8個の芳香族ヒドロキシ化合物類であり、例えばN,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミンまたはジ(2−メチルアミノエチル)アミン等の炭素数2ないし10個の2ないし3個の二級アミノ基を有する多価アミン類であり、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリンまたは1,2,3,4−テトラヒドロキノリン等の炭素数4ないし10個の飽和環状二級アミン類であり、例えばピペラジン、ピラジンまたは1,4,7−トリアザシクロノナン等の炭素数4ないし10個の2ないし3個の二級アミノ基を含む環状の多価アミン類であり、例えばβ−プロピオラクタム、2−ピロリドン、δ−バレロラクタムまたはε−カプロラクタム等の4ないし7員環の環状アミド類であり、さらには末端に活性水素を有する、ポリアルキレンオキシド類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリラクチド類、ポリペプチド類、ポリシロキサン類などのポリマーであり、またそれらのコポリマー等である。
【0026】
本発明の化学式(1)で表される活性水素化合物のホスファゼニウム塩の合成法については、例えば次のような方法が挙げられる。
▲1▼.五塩化りんと3当量の二置換アミン(R2NH)を反応させ、さらに1当量のアンモニアを反応させた後、これを塩基で処理して、化学式(2)
【0027】
【化3】
で表される2,2,2−トリス(二置換アミノ)−2λ5−ホスファゼンを合成する。
▲2▼.このホスファゼン化合物(化学式(2))とビス(二置換アミノ)ホスフォロクロリデート{(R2N)2P(O)Cl}を反応させて得られるビス(二置換アミノ)トリス(二置換アミノ)ホスフォラニリデンアミノホスフィンオキシドをオキシ塩化りんでクロル化し、次いでこれをアンモニアと反応させた後、塩基で処理して、化学式(3)
【0028】
【化4】
で表される2,2,4,4,4−ペンタキス(二置換アミノ)−2λ5,4λ5−ホスファゼンを得る。
▲3▼.このホスファゼン化合物(化学式(3))を▲2▼で用いたホスファゼン化合物(化学式(2))の代わりに用い、▲2▼と同様に反応させることにより、化学式(4)
【0029】
【化5】
(式中、qは0および1ないし3の整数を示す。qが、0の場合は二置換アミン、1の場合は化学式(2)の化合物、2の場合は化学式(3)の化合物そして3の場合は▲3▼で得られたオリゴホスファゼンを示す。)で表される化合物のうちのqが3であるオリゴホスファゼンを得る。
【0030】
▲4▼.異なるqおよび/またはRの化学式(4)の化合物を順次に、または同一のqおよびRの化学式(4)の化合物を同時に、五塩化りんと4当量反応させることにより、化学式(1)でn=1で、Zn-=Cl-にあたるホスファゼニウムクロリドが得られる。
【0031】
▲5▼.このホスファゼニウムクロリドの塩素アニオンを所望の活性水素化合物のアニオンに置き換えるには、例えば対応する活性水素化合物のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩で処理する方法、または活性水素化合物が水である(即ちn=1で、Zn-=OH-である)場合には水酸基型イオン交換樹脂を利用する方法等が用いられる。このようにして化学式(1)で表される一般的な活性水素化合物のホスファゼニウム塩が得られる。
【0032】
さらには、例えばホスファゼニウムヒドロキシドやホスファゼニウムメトキシドなどのような活性水素化合物のホスファゼニウム塩に他種の活性水素化合物を作用させることによっても、他種の活性水素化合物のホスファゼニウム塩が得られる場合もある。
【0033】
本発明においては上述の化学式(1)で表される活性水素化合物のホスファゼニウム塩の存在下または該活性水素化合物のホスファゼニウム塩および活性水素化合物の存在下に4ないし10員環の開環重合性環状モノマーを開環重合させるが、その際における活性水素化合物のホスファゼニウム塩の使用量は、該環状モノマー1モルに対して、通常1×10-10ないし3×10-1モルであり、好ましくは1×10-7ないし1×10-1モルの範囲である。
また活性水素化合物のホスファゼニウム塩および活性水素化合物の存在下に開環重合させる場合に、存在させる活性水素化合物の量は、活性水素化合物のホスファゼニウム塩1モルに対して、通常、0を超え1×106モル以下であり、好ましくは、1×101ないし1×104モルの範囲である。
【0034】
本発明の方法における開環重合反応の形式は特に制限されものではない。4ないし10員環の開環重合性環状モノマーおよび活性水素化合物のホスファゼニウム塩を、または4ないし10員環の開環重合性環状モノマー、活性水素化合物のホスファゼニウム塩および用いる場合の活性水素化合物および併用する場合のアルキレンオキシド化合物を、有効に接触させうる方法ならいかなる方法でも構わない。それらを使用する場合の溶媒と共に、一括して仕込む回分法でも、該モノマーを間欠または連続的に供給する方法などでも実施できる。 開環重合反応の温度は、モノマーの種類、活性水素化合物のホスファゼニウム塩および存在させる場合の活性水素化合物の種類と量等によって一様ではないが、通常、0ないし300℃であり、好ましくは20ないし250℃の範囲である。開環重合反応の圧力は、通常、3.0MPa(メガパスカルで表す絶対圧、以降同様)以下であり、好ましくは0.01〜1.5MPa、より好ましくは0.1ないし1.0MPaである。
開環重合反応の反応時間は、モノマーの種類、活性水素化合物のホスファゼニウム塩および存在させる場合の活性水素化合物の種類と量および反応温度などによって異なるが、通常100時間以内であり、好ましくは0.1ないし50時間である。
【0035】
本発明の方法における開環重合反応はモノマーの溶融状態で実施することもできるが、必要ならば適宜な溶媒を用いることもできる。
このように開環重合させて得られたポリマーは、溶媒を用いた場合にはそれを除くだけで、そのまま応用の素材として使用し得る場合もあるが、場合によっては酸で処理してポリマー末端に残存するホスファゼニウムカチオンをプロトンに置き換え、生成するホスファゼニウムの塩を吸着その他の方法で除去することもできる。必要であれば、更に適宜な溶媒によって洗浄するなどの常用の精製を行うこともできる。
【0036】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳しく説明するが、これらは限定的でなく単に説明のためと解されるべきである。
実施例1
ε−カプロラクトン17.1g(150ミリモル)と活性水素化合物のホスファゼニウム塩であるテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムメトキシド{[(Me2N)3P=N]4P+,MeO-}301mg(0.390ミリモル)とを100mlの反応器に秤取した。窒素雰囲気下で撹拌しながら180℃に加熱し、10時間重合させた。粘性の高い液が得られた。室温まで温度降げると固体となった。ガスクロマトグラフィーによる分析では、ε−カプロラクトンは完全に消費されていることが判った。重合物17.4gが得られた。ポリエチレンオキシドを標準としたゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる数平均分子量(以降、同様)は9700であった。
【0037】
比較例1
テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムメトキシド{[(Me2N)3P=N]4P+,MeO-}を用いなかった以外は実施例1と同様にした。ガスクロマトグラフィーによる分析ではε−カプロラクトンがほぼ定量的に回収されており、重合は起こっていなかった。
【0038】
実施例2〜4
実施例1で用いたモノマーおよび活性水素化合物のホスファゼニウム塩とそれぞれ同モル量の、表1に示すモノマーおよび活性水素化合物のホスファゼニウム塩を用い、反応時間を表1に示す時間に変えた以外は、実施例1と全く同様にした。結果を実施例1の結果とともに、表1に示す。
【0039】
実施例5
真空ラインに繋いだ反応器に、オクタメチルシクロテトラシロキサン44.5g(150ミリモル)をトルエンに溶解して100mlの溶液を用意した。10℃に冷却していたこの溶液にテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムメトキシド{[(Me2N)3P=N]4P+,MeO-}301mg(0.390ミリモル)を加え、数分間撹拌した。少量のクロロトリメチルシランを加えた後、若干濃縮した反応液を300mlのメタノールに注ぎ、沈澱を析出させた。濾過後固体を減圧乾燥した。25.3gの重合物が得られた。数平均分子量は98300であった。
【0040】
実施例6
1,3−ジオキサン−2−オン15.3g(150ミリモル)およびテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムメトキシド{[(Me2N)3P=N]4P+,MeO-}300mg(0.389ミリモル)とを100mlの反応器に秤取した。窒素気流下で撹拌しながら160℃に加熱し、10時間重合させた。反応中発泡が認められた。13.1gの重合物が得られた。数平均分子量は3510であった。
【0041】
実施例7
アラニン−N−カルボン酸無水物17.3g(150ミリモル)およびテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムイソプロポキシド{[(Me2N)3P=N]4P+,(CH3)2CHO-}312mg(0.391ミリモル)とを100mlの反応器に秤取した。窒素気流下で撹拌しながら160℃に加熱し、10時間重合させた。反応中発泡が認められた。10.1gの重合物が得られた。数平均分子量は3720であった。
【0042】
実施例8
エチレングリコールとテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド{[(Me2N)3P=N]4P+,OH-}とを1:0.008モル比で加熱脱水し開始剤として用いて、プロピレンオキシドを重合させ、分子量783(OH価:143mgKOH/gポリマー)のものを製造した。触媒除去などの後処理を加えず、そのポリプロピレンオキシドを7.83g(10.0ミリモル)秤取した。このポリマーの末端〜OH基のうち0.08ミリモルは〜O-(ホスファゼニウム)+となっている。
【0043】
これにラクチド14.4g(100ミリモル)を加え、180℃で10時間重合させた。段々に粘度が高まって行った。室温では流動性をかろうじて残す高粘度物となった。ラクチドは全て消費されており、数平均分子量は2185であった。ポリ(ラクチド)・ポリ(プロピレンオキシド)・ポリ(ラクチド)型のブロック共重合体が得られた。
【0044】
実施例9
真空ラインに繋いだ反応器にテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムクロリド{[(Me2N)3P=N]4P+,Cl-}7.05g(9.11ミリモル)を100gのテトラヒドロフラン(以降、THFと略称)に溶解しておいた。同じく真空ラインに繋いだもう一つの反応器にε−カプロラクタム1.03g(9.10ミリモル)をTHF30mlに溶解した溶液を作った。氷水で冷却しながら、これに注射器で1.0Nのn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液を10ml加えた。撹拌を30分続けた。その後このラクタムのリチウム塩を注射器で全量先のホスファゼニウムクロリド溶液に加えた。1時間室温で撹拌した後、減圧下に溶媒が約30ml程度になるまで濃縮した。これに30mlのn−ヘプタン約30mlを加え撹拌した。塩化リチウムの白色沈澱が生じた。予めガラスフィルターで繋いだ別の容器にこの沈澱を濾過で除去しながら濾液を移した。減圧下に濾液全量が50mlになるように整えた。このようにしてε−カプロラクタムのホスファゼニウム塩を調整した。
【0045】
一方、ε−カプロラクタム11.3g(100ミリモル)を秤取った反応器を窒素気流下に保ち、これに先に準備したε−カプロラクタムのホスファゼニウム塩溶液を5.0ml(0.91ミリモル)加えた。除々に昇温しながら溶媒を留去し、最終的には180℃にして5時間重合させた。室温では固体である重合体が得られた。数平均分子量は9526であった。
【0046】
実施例10
ジエチレングリコールのジカリウム塩0.912g(5.00ミリモル)をジエチレングリコールジメチルエーテル50gに加えた。これに、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムクロリド{[(Me2N)3P=N]4P+,Cl-}を7.91g(10.2ミリモル)を加え、80℃で3時間加熱撹拌した。その後減圧で濃縮乾固した。この固体に30mlのTHFを加え、60℃で2時間撹拌し、その後不溶物を濾別し、濾液を減圧下に濃縮乾固した。こうしてジエチレングリコールのジホスファゼニウム塩(化学式(1)においてn=2)である、ジエチレングリコールのビス{テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウム}塩の固体7.70gを得た。
【0047】
この塩を0.317g(0.200ミリモル)を17.1g(150ミリモル)のε−カプロラクトンに加え、窒素雰囲気下に180℃で5時間重合させた。室温では固体である重合体が得られた。数平均分子量は10500であった。
【0048】
実施例11
ε−カプロラクトン22.8g(200ミリモル)、活性水素化合物のホスファゼニウム塩であるテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド{[(Me2N)3P=N]4P+,OH-}295mg(0.390ミリモル)および活性水素化合物としての水70.2mg(3.90ミリモル)とを100mlの反応器に秤取した。窒素雰囲気下で撹拌しながら180℃に加熱し、5時間重合させた。粘性の高い液が得られた。、室温まで温度降げると固体となった。ガスクロマトグラフィーによる分析では、ε−カプロラクトンは完全に消費されていることが判った。重合物23.1gが得られた。ポリエチレンオキシドを標準としたゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる数平均分子量(以降、同様)は5200であった。
【0049】
実施例12〜19
実施例11で用いた活性水素化合物のホスファゼニウム塩および活性水素化合物とそれぞれ同モル量の、表2に示す活性水素化合物のホスファゼニウム塩および活性水素化合物を用いた以外は、実施例11と全く同様にした。結果を実施例11の結果とともに、表2に示す。
なお、本実施例で得られたいずれのポリマーにも、格別の臭気は感じられなかった。
【0050】
実施例20
300mlの加圧容器に、エチレングリコール3.11g(50.1ミリモル)とテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド{[(Me2N)3P=N]4P+,OH-}151mg(0.200ミリモル)をとり、窒素を送りながら120℃に加熱して脱水した。冷却後115g(1.01モル)のε−カプロラクトンを加え、窒素雰囲気下で180℃に昇温し、この温度で20時間重合させた(一段目)。冷却後、極少量の一部を取り出した。ガスクロマトグラフィーによる分析からは、ε−カプロラクトンは完全に消費していた。ポリ(エチレングリコール)を標準とした(以下同様)ゲル・パーミエーションクロマトグラフィーによると数平均分子量が2320のポリ(ε−カプロラクトン)であった。
【0051】
この反応器内容物に、更にラクチド72.1g(500ミリモル)を加え、再び180℃に昇温し、この温度で12時間重合させた。冷却後反応器を開放し187gのポリマーを得た(二段目)。ゲル・パーミエーションクロマトグラフィーによると3520の数平均分子量である。ポリ(ラクチド)・ポリ(ε−カプロラクトン)・ポリ(ラクチド)型のブロック共重合体が得られた。
【0052】
実施例21
実施例20の一段目と全く同様にしてポリ(ε−カプロラクトン)を得た。実施例20の二段目のラクチドの代わりに、プロピレンオキシド58.1g(1.00モル)を加え、徐々に加熱しながら80℃に昇温し、この温度で10時間重合させた。反応時圧は最高0.4MPa(絶対圧)であった。窒素を送り残圧を開放し、冷却後173gのポリマーを得た。ゲル・パーミエーションクロマトグラフィーによる数平均分子量3410のポリ(プロピレンオキシド)・ポリ(ε−カプロラクトン)・ポリ(プロピレンオキシド)型のブロック共重合体を得た。
【0053】
実施例22
実施例20の一段目のε−カプロラクトンの代わりに、58.1g(1.00モル)のプロピレンオキシドを仕込み、80℃で10時間重合させた以外は実施例20の一段目と同様にした。反応時圧は最高0.4MPaであった。冷却後、この反応器内容物に114.1(1.00モル)のε−カプロラクトンを加え、180℃で20時間重合させ、170gのポリマーがを得られた。ゲル・パーミエーションクロマトグラフィーによる数平均分子量3480のポリ(ε−カプロラクトン)・ポリ(プロピレンオキシド)・ポリ(ε−カプロラクトン)型のブロック共重合体を得た。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、製造上や取り扱い上特に問題なく、金属成分を全く含まず臭気を残留させない開始剤を用いて、4ないし10員環の開環重合性環状モノマーを開環重合させてポリマーを製造することができる。
Claims (15)
- 化学式(1)
- 化学式(1)で表される活性水素化合物のホスファゼニウム塩中のnが1ないし3の整数である請求項1に記載の方法。
- 化学式(1)で表される活性水素化合物のホスファゼニウム塩中のa、b、cおよびdがそれぞれ2以下の正の整数または0である請求項1または2に記載の方法。
- 化学式(1)で表される活性水素化合物のホスファゼニウム塩中のa、b、cおよびdが、a、b、cおよびdの順序に関わらず、(1、1、1、1)、(0、1、1、1)または(0、0、1、1)から選ばれる組み合わせの中の数である請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
- 化学式(1)で表される活性水素化合物のホスファゼニウム塩中のRが同種または異種の、炭素数1ないし10個の脂肪族炭化水素基である請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
- 化学式(1)で表される活性水素化合物のホスファゼニウム塩中のRが同種または異種の、炭素数1ないし3個の脂肪族炭化水素基である請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
- 化学式(1)で表される活性水素化合物のホスファゼニウム塩中の同一窒素原子上の2個のRが互いに結合して窒素原子をも含んで環構造を形成する場合の環状アミノ基が、環に4ないし6個の炭素原子を含む環状二級アミノ基である請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
- 化学式(1)で表される活性水素化合物のホスファゼニウム塩中の同一窒素原子上の2個のRが互いに結合して窒素原子をも含んで環構造を形成する場合の環状アミノ基が、ピロリジン−1−イル基、ピペリジン−1−イル基またはモルホリン−4−イル基である請求項1ないし7記載の方法。
- 化学式(1)で表される活性水素化合物のホスファゼニウム塩中のZn-を与える活性水素化合物、または活性水素化合物のホスファゼニウム塩および活性水素化合物の存在下に開環重合させる場合に存在させる活性水素化合物が、水、炭素数1ないし6個のカルボン酸、炭素数1ないし10個のアルコール類、炭素数2ないし10個の2ないし4個の水酸基を有する多価アルコール類、炭素数6ないし8個の芳香族ヒドロキシ化合物類、炭素数2ないし10個の2ないし3個の二級アミノ基を有する多価アミン類、炭素数4ないし10個の飽和環状二級アミン類、炭素数4ないし10個の2ないし3個の二級アミノ基を含む環状の多価アミン類、4ないし7員環の環状アミド類、末端に活性水素を有するポリアルキレンオキシド類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリラクチド類、ポリペプチド類、ポリシロキサン類のポリマーおよびそれらのコポリマーよりなる群から選ばれる活性水素化合物である請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
- 2種以上の4ないし10員環の開環重合性環状モノマーを併用し、共重合体を製造する請求項1ないし9のいずれかに記載の方法。
- 4ないし10員環の開環重合性環状モノマーとアルキレンオキシド化合物を併用し、共重合体を製造する請求項1ないし9のいずれかに記載の方法。
- 4ないし10員環の開環重合性環状モノマーとプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドを併用し、共重合体を製造する請求項1ないし9のいずれかに記載の方法。
- 4ないし10員環の開環重合性環状モノマーとアルキレンオキシド化合物を順次に併用し、ブロック共重合体を製造する請求項1ないし9のいずれかに記載の方法。
- 活性水素化合物のホスファゼニウム塩の使用量が4ないし10員環の開環重合性環状モノマーの1モルに対して1×10-7ないし1×10-1モルである請求項1ないし13のいずれかに記載の方法。
- 活性水素化合物のホスファゼニウム塩および活性水素化合物の存在下に開環重合させる場合の、活性水素化合物の使用量が活性水素化合物のホスファゼニウム塩1モルに対して1×101ないし1×104モルである請求項1ないし14のいずれかに記載の方法。
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