JP3703235B2 - ビデオカメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、動画と静止画の記録が可能なビデオカメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、動画の記録だけではなく静止画も記録可能なビデオカメラが増えてきている。こうしたビデオカメラによる静止画記録については、パソコンの普及に伴ってパソコンへの画像入力のための手段としての需要が急速に高まり、静止画は益々高解像度化と高画質化が要求されている。
【0003】
ビデオカメラでの静止画の記録は、あくまでも従来の動画記録の延長上のものであり、単に一時的に画像(例えば、1フィールド分の画像)をメモリに取り込み、その記憶画像を出力するだけのものであった。それでも、高解像度化については映像の入力部である撮像素子(CCD)の高画素化、あるいは映像信号記録のデジタル化(デジタルVTR)により着実に進化は遂げている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例においては、ビデオカメラのレンズから入力した被写体像がCCDを通して映像信号が生成される過程においては、特に動画記録時と静止画記録時で差別化は図られていないために、静止画記録時に動画記録時と同じ信号処理を行うと、動画では問題とならなかった現象が静止画では問題とされてしまうケースが発生する。
【0005】
そういった現象の1つにホワイトバランスのずれという問題がある。最近のビデオカメラにはホワイトバランスの制御を自動で行うオート・ホワイトバランス機能(AWB)が備えられていて、特に一般家庭向けの普及型ビデオカメラではホワイトバランス制御がAWBのみというものが多く見られる。
【0006】
AWBの制御は被写体に照射している光源の色温度を検出する必要があるが、その方法にビデオカメラ本体外部に設けた色温度センサによるもの(外測式)と、レンズからの入力信号を利用するもの(内測式)とがある。そしてこれら外測式及び内測式のAWBには、それぞれホワイトバランスを正常に制御できなくなる苦手のシーン又は被写体というものが存在する。例えば、外測式では室内から室外の被写体を撮影する場合であり、内測式では夕焼け空や/背景に青空の多いシーンや/人物の顔のアップ等のシーンを撮影する場合で、このような撮影が連続撮影中に一部存在すると、その撮影時のみ被写体を照射している光源の色温度を誤って検出してしまい、適正なホワイトバランスから一時的にずれてしまうことがある。
【0007】
この場合動画記録なら連続して画像が記録される中でホワイトバランスの変化が段階的であるために余り目立たないが、静止画記録の場合は記録される画像が瞬間瞬間であるために、適正にホワイトバランスが制御されている画像と、ホワイトバランスが最もはずれた画像とが連続して記録されてしまった時には、記録画像の再生時に非常に目立ち違和感を感じさせるという問題がある。
【0008】
依って、請求項1又は2に記載の発明の目的は、静止画記録スイッチをオンすることで静止画撮影が可能になる方式のカメラで、連続して静止画を撮影するような場合にAWBが苦手とするシーンまたは被写体を撮影してしまってホワイトバランスが適正な状態からずれた時でも、ずれ量を少なくすることにより撮影した静止画像の再生時に違和感を与えないビデオカメラを提供することにある。
【0009】
更に、請求項3又は4に記載の発明の目的は、静止画スタンバイスイッチと静止画記録スイッチを操作する方式のカメラで、連続して静止画を撮影するような場合にAWBが苦手とするシーンまたは被写体を撮影してしまってホワイトバランスが適正な状態からずれた時でも、ずれ量を少なくすることにより撮影した静止画像の再生時に違和感を与えないビデオカメラを提供することにある。
【0010】
更に、請求項5に記載の発明の目的は、静止画記録スイッチをオンすることで静止画撮影が可能になる方式のカメラおよび静止画スタンバイスイッチと静止画記録スイッチを操作する方式の両方式のカメラで、連続して静止画を撮影するような場合にAWBが苦手とするシーンまたは被写体を撮影しても、ホワイトバランスが適正な状態からずれた時でも、ずれ量を少なくすることにより撮影した静止画像の再生時に違和感を与えないビデオカメラを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本出願に係る発明の目的を実現する構成は、請求項1に記載のように、少なくとも動画と静止画の記録が可能なビデオカメラであって、レンズを介して入力した信号から得られる色情報または色温度センサから入力した情報をもとに被写体を照射する光源の色温度を判定し自動的にホワイトバランスを制御するホワイトバランス制御手段と、静止画を記録するための静止画記録スイッチと、前記静止画記録スイッチのオン/オフの状態を検出すると共に前記静止画記録スイッチのオン/オフの状態およびオン/オフの状態の変化を表す情報を生成し該情報にもとづいてビデオカメラ各部を制御する第1のシステム制御手段とを備え、前記第1のシステム制御手段は前記情報を前記ホワイトバランス制御手段へ出力し、前記ホワイトバランス制御手段は、前記第1のシステム制御手段からの情報により前記静止画記録スイッチのオフからオンへの変化が所定の時間内に少なくとも1回以上繰り返されていると判断された場合は、判断されない場合よりもホワイトバランスの制御範囲を狭くすることを特徴とするビデオカメラにある。
【0012】
この構成によれば、静止画の連続記録と判断されるような場合は、同じ環境下の撮影であり光源の色温度変化は小さいものとして、ホワイトバランスの制御範囲を通常の場合よりも狭くとって、RWB,BWB制御データの制御幅を狭くすることによりホワイトバランスを適正な状態に維持することができる。
【0019】
本出願に係る発明の目的を実現する他の具体的な構成は、請求項2に記載のように、少なくとも動画と静止画の記録が可能なビデオカメラであって、レンズを介して入力した信号から得られる色情報または色温度センサから入力した情報をもとに被写体を照射する光源の色温度を判定し自動的にホワイトバランスを制御するホワイトバランス制御手段と、静止画を記録するための静止画記録スイッチと、前記静止画記録スイッチのオン/オフの状態を検出すると共に前記静止画記録スイッチのオン/オフの状態およびオン/オフの状態の変化を表す情報を生成し該情報にもとづいてビデオカメラ各部を制御する第1のシステム制御手段とを備え、前記第1のシステム制御手段は前記情報を前記ホワイトバランス制御手段へ出力し、前記ホワイトバランス制御手段は、前記第1のシステム制御手段からの情報により前記静止画記録スイッチのオフからオンへの変化が所定の時間内に1回以上繰り返されていると判断された場合は、判断されない場合よりもホワイトバランスの制御時に制御方向および制御量を算出するために利用する画像情報量を少なくすることを特徴とするビデオカメラにある。
【0020】
この構成によれば、静止画の連続記録と判断されるような場合は、同じ環境下の撮影で光源の色温度変化は小さいものとして、ホワイトバランスの制御方向および制御量を算出するための画像情報量となる分割画面の数を通常の制御の場合よりも減らして、ホワイトバランスを適正な状態に維持することができる。
【0021】
本出願に係る発明の目的を実現する他の構成は、請求項3に記載のように、少なくとも動画と静止画の記録が可能なビデオカメラであって、レンズを介して入力した信号から得られる色情報または色温度センサから入力した情報をもとに被写体に照射する光源の色温度を判定し自動的にホワイトバランスを制御するホワイトバランス制御手段と、静止画の記録のために前記ビデオカメラを静止画記録可能な状態にするための静止画記録スタンバイスイッチと、前記静止画記録スタンバイスイッチおよび前記静止画記録スイッチのオン/オフの状態を検出するとともに前記静止画記録スタンバイスイッチおよび前記静止画記録スイッチのオン/オフの状態の変化を表す情報を生成し該情報にもとづいてビデオカメラ各部を制御する第2のシステム制御手段とを備え、前記第2のシステム制御手段は前記情報を前記ホワイトバランス制御手段に出力し、前記ホワイトバランス制御手段は、前記第2のシステム制御手段からの情報により前記静止画記録スタンバイスイッチのオフからオンへの変化が所定の時間内に少なくとも1回以上繰り返されていると判断された場合は、判断されない場合よりもホワイトバランスの制御範囲を狭くすることを特徴とするビデオカメラにある。
【0022】
この構成によれば、第2のシステム制御手段からの情報より静止画の連続記録と判断されるような場合は、同じ環境下の撮影であり光源の色温度変化は小さいものとして、ホワイトバランスの制御範囲を通常の場合よりも狭くとって、RWB,BWB制御データの制御幅を狭くすることによりホワイトバランスを適正な状態に維持することができる。
【0029】
本出願に係る発明の目的を実現する他の具体的な構成は、請求項4に記載のように、少なくとも動画と静止画の記録が可能なビデオカメラであって、レンズを介して入力した信号から得られる色情報または色温度センサから入力した情報をもとに被写体に照射する光源の色温度を判定し自動的にホワイトバランスを制御するホワイトバランス制御手段と、静止画の記録のために前記ビデオカメラを静止画記録可能な状態にするための静止画記録スタンバイスイッチと、前記静止画記録スタンバイスイッチおよび前記静止画記録スイッチのオン/オフの状態を検出するとともに前記静止画記録スタンバイスイッチおよび前記静止画記録スイッチのオン/オフの状態の変化を表す情報を生成し該情報にもとづいてビデオカメラ各部を制御する第2のシステム制御手段とを備え、前記第2のシステム制御手段は前記情報を前記ホワイトバランス制御手段に出力し、前記ホワイトバランス制御手段は、前記第2のシステム制御手段からの情報により前記静止画記録スタンバイスイッチのオフからオンへの変化が所定時間内に少なくとも1回以上繰り返されていると判断された場合は、判断されない場合よりもホワイトバランス制御時に制御方向および制御量を算出するために利用する画像情報量を少なくすることを特徴とするビデオカメラにある。
【0030】
この構成によれば、第2のシステム制御手段からの情報より静止画の連続記録と判断されるような場合は、同じ環境下の撮影であり光源の色温度変化は小さいものとして、ホワイトバランスの制御方向と制御量を算出するために利用する画像情報量となる分割画面の数を通常の制御の場合よりも減らして、ホワイトバランスを適正な状態に維持することができる。
【0033】
本出願に係る発明の目的を実現する他の具体的な構成は、請求項5に記載のように、前記画像情報量は、ホワイトバランス制御に用いる分割画面の中の白と判断する分割画面の数であることを特徴とする請求項2又は4記載のビデオカメラにある。
【0034】
この構成によれば、ホワイトバランスにおいて白の低温度側または高温度側へのずれの度合いを判別するデータとなる分割画面数を減らすことによって、制御を通常の場合より抑制、制限されたものとすることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るビデオカメラのブロック図である。
図2は図1に示すSW1,SW2の状態を示す図である。
図3は図1に示すビデオカメラのホワイトバランス制御動作のフローチャートである。
図4は図3に示すR制御データ制限処理のサブルーチンである。
図5は図3に示すホワイトバランス制御の白の判定領域を示す図である。
図6は図3に示すホワイトバランス制御の制御データを示す図である。
【0036】
図1において、101は被写体を結像させるレンズ、102は光量を調節する絞り、103は入力した光を電気信号に変換する撮像素子、104はサンプル・ホールドを行うサンプル・ホールド部、105は自動的に利得を制御するAGC部、106はアナログ−デジタル変換(以降A/D変換と略す)するA/D変換部、107は信号を処理して映像信号を生成するカメラ信号処理部、108は磁気テープ上への映像信号の記録及び磁気テープ上から映像信号を再生するために信号を処理するレコーダ信号処理部、109は磁気テープ上に信号を記録及び磁気テープ上から信号を再生する磁気ヘッド、110はカメラ部を制御するカメラ制御部、111は特殊効果を出すデジタル効果部、112は1フィールド分の画像データを記憶するフィールドメモリ、113はビデオカメラ全体を制御するシステム制御部、114はスイッチ1(以降SW1と呼ぶ)、115はスイッチ2(以降SW2と呼ぶ)、116はスイッチをオンさせるボタンである。
【0037】
レンズ101より受光した被写体からの光は、絞り102により光量を調整され撮像素子103面上に結像する。ここで電気信号に変換された後、サンプル・ホールド部104とAGC部105を介して、A/D変換部106でA/D変換されカメラ信号処理部107に入力する。
【0038】
カメラ信号処理部107では入力信号を輝度成分と色成分に分離し、それぞれカメラ制御部110の制御に従って所定の処理を施した後、カメラ信号処理部107から一度デジタル効果部111へ出力される。デジタル効果部111ではカメラ制御部110の制御に従って特殊効果の処理を施すとともに、必要に応じてフィールドメモリ112へ画像データを記憶させ、又はフィールドメモリ112に記憶している画像データを読み出し、カメラ信号処理部107に信号を戻す。カメラ信号処理部107では映像信号を生成してレコーダ信号処理部108に出力する。
【0039】
レコーダ信号処理部108では、システム制御部113の制御に従って磁気ヘッド109を介し、磁気テープ上に映像信号を記録又は磁気テープ上から映像信号を再生する。また、システム制御部113はボタン116によりオン/オフするSW1,SW2の状態を検出し、SW1,SW2の状態及び状態の変化を表す情報をホワイトバランスを行うカメラ制御部110に出力する。なお、請求項の記述上で区別した第1のシステム制御手段と第2のシステム制御手段は、システム制御部113による同一構成であるが、第1のシステム制御手段はSW2のオン/オフの状態を検出し、第2のシステム制御手段はスタンバイスイッチSW1を含む、SW1,SW2のオン/オフを検出するという、スイッチの検出方式によって区別している。本実施の形態は第2のシステム制御手段の場合である。
【0040】
また、本実施の形態のビデオカメラは動画と静止画の記録が可能であるが、システム制御部113に付随する記録モード選択スイッチ(図示していない)によって、動画を記録する動画記録モードと静止画を記録する静止画記録モードが選択できるようになっていて、システム制御部113はこの記録モード選択スイッチ(図示していない)の状態にもとづいて、動画と静止画を区別して制御する。
【0041】
但し、ビデオカメラの電源立ち上げ時には動画記録モードであっても静止画記録モードであっても、ビデオカメラは動画記録待機状態である。この動画及び静止画記録待機状態とは、カメラ信号処理部107から映像信号は出力されているが、磁気ヘッド109による磁気テープ上への記録はされていない状態である。
【0042】
ホワイトバランスの制御はカメラ制御部110で行われる。カメラ制御部110はカメラ信号処理部107内の色成分の処理の過程で生成される色差信号(R−Y),(B−Y)のそれぞれの信号についてその信号レベルを表すデータを、1画面を64ケの画面に分割した各分割画面ごとにカメラ信号処理部107から読み出す。カメラ制御部110は読み出したデータからホワイトバランスの赤方向のゲインを制御するデータ(以降RWB制御データ、図3にはR制御データと表している)と、青方向のゲインを制御するデータ(以降BWB制御データ、図3のB制御データ)を算出し、この算出したデータでカメラ信号処理部107で生成される映像信号のホワイトバランスを制御する。
【0043】
図2は図1に示すSW1,SW2とボタン116の動作を説明するために構造を簡略化して示した図である。
【0044】
SW1,SW2はボタン116を押すことによってオンされ、押した時のストロークによりSW1,SW2のオン/オフは、図2(a)の第1の状態、図2(b)の第2の状態、図2(c)の第3の状態、に分けられる。図2(a)の第1の状態はボタン116が第1のボタン位置(押されていない状態)にあって、SW1,SW2ともにオフである。図2(b)の第2の状態はボタン116が第2のボタン位置まで押された状態(半押しの状態)でSW1はオン、SW2はオフの状態である。図2(c)の第3の状態はボタン116が第3のボタン位置まで押された状態(完全に押された状態)で、SW1,SW2ともにオンの状態である。
【0045】
動画記録モードの動画記録待機状態時、システム制御部113は図2(a)では動画記録待機、図2(a)から図2(b)への変化で動画記録開始、図2(b)から図2(c)への変化では動画記録継続となる。ここで指を離し図2(b)から図2(a)と変化しても、動画記録継続となるように各部を制御する。
【0046】
こうした動画記録モードの動画記録継続状態時に、システム制御部113は図2(a)では動画記録継続、図2(a)から図2(b)への変化で動画記録を停止して動画記録待機へ、図2(b)から図2(c)への変化、及び図2(b)から図2(a)へと変化しても動画記録待機となるように各部を制御する。この時図2(a),(b),(c)の各状態において、デジタル効果部111ではカメラ制御部110の制御により、カメラ信号処理部107からの入力信号をそのままカメラ信号処理部107に出力する。つまり、カメラ信号処理部107からは動画像が出力される。ここで他の特殊効果を施すデジタル効果部111の処理については省略する。
【0047】
次に、静止画記録モードでは常に、システム制御部113(第2のシステム制御手段に相当)は、図2(a)では動画記録モードと同様の動画記録待機、図2(b)で静止画記録待機、図2(c)では図2(b)から図2(c)へ変化した時のみ静止画記録開始となり、所定の時間だけ記録を継続した後、静止画記録待機となるように各部を制御する。この時、テジタル効果部111では図2(a)の状態においては、カメラ制御部110の制御によりカメラ信号処理部107からの入力信号をそのままカメラ信号処理部107へ出力する。つまり、カメラ信号処理部107からは動画像が出力される。
【0048】
図2(b)の状態においては、カメラ制御部110の制御によりカメラ信号処理部107からの入力信号を、図2(a)から図2(b)に変化した瞬間に1フィールド分フィールドメモリ112に記憶し、その後図2(a)の状態に戻るまでフィールドメモリ112から読み出した画像をカメラ信号処理部107に出力する。つまり、カメラ信号処理部107からは静止画像が出力される。また、図2(c)の状態においては、フィールドメモリ112から読み出した画像をカメラ信号処理部107に出力する。つまり、カメラ信号処理部107からは静止画像が出力される。
【0049】
システム制御部113がカメラ制御部110に出力するSW1,SW2の状態及び状態の変化を表す情報とは、SW1,SW2のオン/オフの情報と、静止画記録モード時にSW1がオフからオンに変化した時に、所定の時間内に所定の回数以上オフからオンへの変化を繰り返しているかどうか判断し、繰り返していれば静止画連続モードとして静止画連続モードをオンし、そうでなけれは静止画連続モードをオフとする情報である。ここでSW1のオフの状態が一定時間継続した場合、動画記録モードに移行した場合は静止画連続モードはオフとなる。
【0050】
図5はホワイトバランス制御において、1画面を64ケに分割した各分割画面が白であるかどうかの判断を説明するグラフであり、縦軸は色差信号(R−Y)のレベル、横軸は色差信号(B−Y)のレベルである。これが図5中の領域A,B,Cにあれば白と判断され、領域Aは白が低温度側にずれている状態、領域Cは白が高温度側にずれている状態、領域Bは白が最適な位置にある状態である。従って、ホワイトバランスは図5内の領域A,Cの白を領域B内に移動させるように制御することになる。
【0051】
図6はホワイトバランス制御のために算出されるRWB制御データ,BWB制御データの関係を説明するグラフであり、縦軸に青方向のBWB制御データの値を、横軸に赤方向のRWB制御データの値をとっている。RWB制御データはRL1からRH1まで変化し、それに対するBWB制御データは図6のグラフに相当する計算式により算出される。ここで白が図5の領域Cにある時はRWB制御データをRH1方向へ増加させ、逆に白が領域Aにある時はRWB制御データをRL1方向へ減少させると、白は図5の領域Bの方向へ移動する。このように通常の場合のホワイトバランスの制御幅はRL1〜RH1=R・W1であるが、静止画連続モードの時には制御幅をR・W2に制限するようにする。
【0052】
つぎに図3,図4のフローチャートを参照してホワイトバランスの制御動作について説明する。
【0053】
図3において、ホワイトバランスの制御に必要なデータの初期化を行いRWB制御データ,BWB制御データを出力する(S301)。この時のRWB制御データは図6のX点に対応するR1、BWB制御データはB1である。
【0054】
ホワイトバランス制御を時間的に管理するための制御タイマをリセットしてスタートさせる。この制御タイマは所定の時間をカウントすると停止する(S302)。次に画面全体(64ケの分割画面)の色データを読み込む(S303)。読み込んだ色データから各分割画面が白であるか(図5の領域A,B,C内にあるか否か)を判別する(S304)。
【0055】
64ケの分割画面の中に白の分割画面があったかどうかを判断する(S305)。NOならばRWB制御データは固定にする(S306)。S305の判断がYESの場合は、白と判定した分割画面の色データの平均値を算出する(S307)。算出した平均値が領域Cにあるかどうかを判断する(S308)。YESならば現在のRWB制御データに所定量加算する(S311)。S308の判断がNOの場合は、S307で算出した平均値が領域Aにあるかどうか判断する(S309)。YESの場合は、現在のRWB制御データから所定量減算する(S310)。S309の判断がNOの場合はS306へ進む。
【0056】
続いて、S306,S310,S311で算出したRWB制御データを、本発明にもとづいて設定する範囲内に制限する(S312)。なお、S312の詳細な制御動作は図4のサブルーチンにもとづいて後述する。
【0057】
S312で決定したRWB制御データからBWB制御データを算出する(S313)。これらRWB制御データ,BWB制御データを出力する(S314)。S314で出力した制御データを格納する(S315)。
【0058】
次に、S302でカウントをスタートさせた制御タイマがカウントを終了して停止したかどうかを判断し、NOなら再度判断を繰り返し、YESならばS302に戻る(S316)。この制御タイマによってホワイトバランスの制御周期は一定に保たれる。
【0059】
続いて、S312で行ったホワイトバランス制御の制限処理の詳細について、図4のサブルーチンにより説明する。
【0060】
先ず、静止画記録モードかどうかを判断する(S317)。NOならば、RWB制御データの上限値、下限値(図6のRH1,RL1に相当する)でS306,S310,S311で算出したRWB制御データを制限する(S318)。S317での判断がYESの場合は、SW1がオンかどうか判断する(S319)。YESならば、前回出力したRWB制御データ(S315で格納するRWB制御データ)を今回の算出RWB制御データとする(S325)。つまり、静止画記録モードでSW1がオンの時は静止画撮影中であるから、ホワイトバランス制御は停止させている。
【0061】
一方、S319の判断がNOでSW1がオフの場合は、静止画連続モードがオンかどうかの判断を行い、NOならばS318へ分岐する(S320)。YESの場合は前回の静止画連続モードがオンかどうかを判断する(S321)。NOならば、前回出力したRWB制御データ(S315で格納するRWB制御データR2相当)から、RWB制御データの上限値、下限値(図6のRH2,RL2に相当)を算出する(S322)。算出した上限値、下限値を格納する(S323)。S323で格納した上限値、下限値でS306,S310,S311で算出したRWB制御データを制限する(S324)。つまり、R・W2の制御範囲に制限する。現在の静止画連続モードを格納する(S326)。
【0062】
なお以上の処理中で、S318における所定のRWB制御データの上限値は図6に示すRH1であり、下限値はRL1であり、S306,S310,S311で算出したRWB制御データは、図6に示す範囲R・W1内に、これに対応してBWB制御データは範囲B・W1内に収められることになる。
【0063】
また、S322において前回出力したRWB制御データ(S315で格納するRWB制御データ)をR2(図6のY点でBWB制御データはB2に相当)とすると、これから算出されるRWB制御データの上限値はRH2であり、下限値はRL2である。RH2,RL2はR・W1の範囲内でR2から所定量を加算、減算されて、制限範囲R・W2を決める上限値、下限値として算出される。これによって、S324においては、S306,S310,S311で算出したRWB制御データは、R・W2の範囲内に制限され、これに対応するBWB制御データはB・W2の範囲内に制限される。
【0064】
なお、ホワイトバランス制御の制限については、以上のように制御範囲R・W2を狭くする以外にも、S310及びS311での制御データの加算減算量を小さくする方式、S302のホワイトバランス制御タイマの設定間隔を長くとる方式によっても制御を制限できる。
【0065】
あるいは、S304の処理で図5に示した領域A,B,Cを小さくする、すなわち画面を64ケに分割した分割画面のうち白と判別する分割画面の数、つまりS307,S310,S311で使用する画像情報量を少なくする方式によっても制御を制限することが可能であり、これはS307で算出する白と判別した分割画面の色データ平均値と、図5の(R−Y)軸、(B−Y)軸の交点との差分(最も適正な位置とされる白からのずれ量)に応じて、S310,S311での加算量、減算量を変えることであり、白の判定領域が小さくなって差分が小さくなると、結果として加算量、減算量が小さくなることによって、ホワイトバランス制御の制限効果を上げることができる。
【0066】
このように、本実施の形態によれば、静止画記録の連続モードの場合のホワイトバランス制御を、通常の制御に対していわば微調あるいは補正に近いような制御に制限することによって、色温度の誤検出が発生しやすい撮影環境や被写体の撮影で起きる不都合な事態を回避することができる。
【0067】
(請求項と実施の形態との対応)
本実施の形態として説明したビデオカメラは、請求項3に記載の、静止画記録スタンバイスイッチSW1を備え、制御範囲R・W2を狭くして制御を制限するものである。従って、請求項1に記載のビデオカメラは本実施の形態のビデオカメラよりSW1を省いた構成となるが、ホワイトバランス制御の制限動作については同一である。第1のシステム制御手段はSW1の状態は検出せず、SW2の状態を検出する請求項1の場合のシステム制御部113の制御に相当し、第2のシステム制御手段はSW1の状態から検出する請求項3の場合のシステム制御部113の制御に相当する。
【0068】
また、請求項1及び請求項3は図6に示す制御範囲R・W2を狭くする制御方式、請求項2及び請求項4は分割画面数を削減する制御方式である。
【0069】
(他の実施の形態)
ここまでは、動画と静止画の記録が可能なビデオカメラの静止画連続モードにおける、ホワイトバランスの制限制御について述べたが、ビデオカメラに限らずデジタルカメラにも応用可能なことは勿論である。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1又は2に記載の発明によれば、第1のシステム制御手段は、静止画記録スイッチのオン/オフの状態を検出しオン/オフの状態およびオン/オフの状態の変化を表す情報を生成してホワイトバランス制御手段へ出力し、静止画を連続記録するような場合に、ホワイトバランス制御手段は制御範囲を狭くする等のホワイトバランス制御の制限処理を行うように構成したので、静止画記録スイッチをオンして静止画撮影を行う型のビデオカメラで連続して静止画を撮影するような場合に、AWBが苦手とするシーンまたは被写体を撮影してしまってホワイトバランスが適正な状態からずれてしまう危険がある場合でも、記録画像の再生時に違和感を与えないように撮影することができる。
【0071】
また、請求項3又は4に記載の発明によれば、第2のシステム制御手段は、静止画記録スタンバイスイッチと静止画記録スイッチのオン/オフの状態を検出しオン/オフの状態およびオン/オフの状態の変化を表す情報を生成してホワイトバランス制御手段へ出力し、静止画を連続記録するような場合に、ホワイトバランス制御手段は制御範囲を狭くする等のホワイトバランス制御の制限処理を行うように構成したので、静止画記録スタンバイスイッチと静止画記録スイッチを操作する型のビデオカメラで連続して静止画を撮影するような場合に、AWBが苦手とするシーン又は被写体を撮影してしまってホワイトバランスが適正な状態からずれてしまう危険がある場合でも、撮影した静止画像の再生時に違和感を与えないように撮影することができる。
【0072】
また、請求項5に記載の発明によれば、ホワイトバランス制御の制御量を制限する場合は、制御データの加算量、減算量を制限し、ホワイトバランス制御を画像情報量を減らして制限する場合には、分割画面の中の白と判断する分割画面の数を減らして制限するように構成したので、連続して静止画を撮影するような場合に、AWBが苦手とするシーン又は被写体を撮影してしまってホワイトバランスが適正な状態からずれてしまう危険がある場合でも、撮影した静止画像の再生時に違和感を与えないように撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るビデオカメラのブロック図である。
【図2】図1に示すSW1,SW2の状態を示す図である。
【図3】図1に示すビデオカメラのホワイトバランス制御のフローチャートである。
【図4】図3に示すR制御データ制限処理のサブルーチンである。
【図5】図3に示すホワイトバランス制御の白の判定領域を示す図である。
【図6】図3に示すホワイトバランス制御の制御データを示す図である。
【符号の説明】
101 レンズ
102 絞り
103 撮像素子
104 サンプル・ホールド部
105 AGC部
106 A/D変換部
107 カメラ信号処理部
108 レコーダ信号処理部
109 磁気ヘッド
110 カメラ制御部
111 デジタル効果部
112 フィールドメモリ
113 システム制御部
114 SW1
115 SW2
116 ボタン
Claims (5)
- 少なくとも動画と静止画の記録が可能なビデオカメラであって、レンズを介して入力した信号から得られる色情報または色温度センサから入力した情報をもとに被写体を照射する光源の色温度を判定し自動的にホワイトバランスを制御するホワイトバランス制御手段と、静止画を記録するための静止画記録スイッチと、前記静止画記録スイッチのオン/オフの状態を検出すると共に前記静止画記録スイッチのオン/オフの状態およびオン/オフの状態の変化を表す情報を生成し該情報にもとづいてビデオカメラ各部を制御する第1のシステム制御手段とを備え、前記第1のシステム制御手段は前記情報を前記ホワイトバランス制御手段へ出力し、前記ホワイトバランス制御手段は、前記第1のシステム制御手段からの情報により前記静止画記録スイッチのオフからオンへの変化が所定の時間内に少なくとも1回以上繰り返されていると判断された場合は、判断されない場合よりもホワイトバランスの制御範囲を狭くすることを特徴とするビデオカメラ。
- 少なくとも動画と静止画の記録が可能なビデオカメラであって、レンズを介して入力した信号から得られる色情報または色温度センサから入力した情報をもとに被写体を照射する光源の色温度を判定し自動的にホワイトバランスを制御するホワイトバランス制御手段と、静止画を記録するための静止画記録スイッチと、前記静止画記録スイッチのオン/オフの状態を検出すると共に前記静止画記録スイッチのオン/オフの状態およびオン/オフの状態の変化を表す情報を生成し該情報にもとづいてビデオカメラ各部を制御する第1のシステム制御手段とを備え、前記第1のシステム制御手段は前記情報を前記ホワイトバランス制御手段へ出力し、前記ホワイトバランス制御手段は、前記第1のシステム制御手段からの情報により前記静止画記録スイッチのオフからオンへの変化が所定の時間内に少なくとも1回以上繰り返されていると判断された場合は、判断されない場合よりもホワイトバランスの制御時に制御方向および制御量を算出するために利用する画像情報量を少なくすることを特徴とするビデオカメラ。
- 少なくとも動画と静止画の記録が可能なビデオカメラであって、レンズを介して入力した信号から得られる色情報または色温度センサから入力した情報をもとに被写体に照射する光源の色温度を判定し自動的にホワイトバランスを制御するホワイトバランス制御手段と、静止画の記録のために前記ビデオカメラを静止画記録可能な状態にするための静止画記録スタンバイスイッチと、静止画を記録するための静止画記録スイッチと、前記静止画記録スタンバイスイッチおよび前記静止画記録スイッチのオン/オフの状態を検出するとともに前記静止画記録スタンバイスイッチおよび前記静止画記録スイッチのオン/オフの状態の変化を表す情報を生成し該情報にもとづいてビデオカメラ各部を制御する第2のシステム制御手段とを備え、前記第2のシステム制御手段は前記情報を前記ホワイトバランス制御手段に出力し、前記ホワイトバランス制御手段は、前記第2のシステム制御手段からの情報により前記静止画記録スタンバイスイッチのオフからオンへの変化が所定の時間内に少なくとも1回以上繰り返されていると判断された場合は、判断されない場合よりもホワイトバランスの制御範囲を狭くすることを特徴とするビデオカメラ。
- 少なくとも動画と静止画の記録が可能なビデオカメラであって、レンズを介して入力した信号から得られる色情報または色温度センサから入力した情報をもとに被写体に照射する光源の色温度を判定し自動的にホワイトバランスを制御するホワイトバランス制御手段と、静止画の記録のために前記ビデオカメラを静止画記録可能な状態にするための静止画記録スタンバイスイッチと、静止画を記録するための静止画記録スイッチと、前記静止画記録スタンバイスイッチおよび前記静止画記録スイッチのオン/オフの状態を検出するとともに前記静止画記録スタンバイスイッチおよび前記静止画記録スイッチのオン/オフの状態の変化を表す情報を生成し該情報にもとづいてビデオカメラ各部を制御する第2のシステム制御手段とを備え、前記第2のシステム制御手段は前記情報を前記ホワイトバランス制御手段に出力し、前記ホワイトバランス制御手段は、前記第2のシステム制御手段からの情報により前記静止画記録スタンバイスイッチのオフからオンへの変化が所定の時間内に少なくとも1回以上繰り返されていると判断された場合は、判断されない場合よりもホワイトバランス制御時に制御方向および制御量を算出するために利用する画像情報量を少なくすることを特徴とするビデオカメラ。
- 前記画像情報量は、ホワイトバランス制御に用いる分割画面の中の白と判断する分割画面の数であることを特徴とする請求項2又は4記載のビデオカメラ。
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-
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- 1996-12-11 JP JP34654896A patent/JP3703235B2/ja not_active Expired - Fee Related
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